総決算と挑戦の「nameless story」──岸田教団&THE明星ロケッツが再起動〈リブート〉を超えて見る景色
メジャー4thアルバム『REBOOT』のリリースを終え、2019年は全国ツアーや東方アレンジ限定ライヴ・ツアーの開催、そして海外での初ワンマン・ライヴを実施するなど、日本のみならず世界も熱狂させた岸田教団&THE明星ロケッツ。そんな熱量を凝縮し詰め込めこんだような彼らのニュー・シングル「nameless story」がリリース! そしてOTOTOYでは、今作の2週間先行ハイレゾ配信を実施!
TVアニメ『とある科学の超電磁砲T』のEDテーマ“nameless story”と、OVA『ストライク・ザ・ブラッドIV』のOPテーマ“暁のカレイドブラッド“を収録した強力なこの一枚。彼らは2019年の活動から、何を今作へ落とし込んだのか? 岸田教団&THE明星ロケッツはいまどんなモードなのか? 岸田(Bass)とichigo(Vocal)にたっぷりと語ってもらいました!
Wタイアップ・シングル!「nameless story」を2週間先行ハイレゾ配信開始!
購入者の中から10名へ『とある科学の超電磁砲T』イラスト・ステッカーをプレゼント!
【プレゼントの応募方法】
こちらからプレゼントへの応募を選択し、
「岸田教団&THE明星ロケッツ プレゼント応募」と記載のうえ、
・「nameless story」を購入した際使用したアカウントの、メールアドレスもしくはTwitterアカウント名
・購入時のキュー番号(「XXXXXXXXX」XXX点 ¥XXXXXX(税込) 購入完了のお知らせ(000,000)←この数字です)
・お名前
・ご住所
・連絡先
・ご意見、ご感想 をご記入の上お申し込みください。
●応募対象 : 「nameless story」まとめ購入者 もしくは “nameless story” 単曲購入者
※ハイレゾ版・通常版どちらも応募対象となります。
※1/18より先行配信されたこちらのパッケージを購入された方も応募対象となります。
※応募締切 : 2020年2月11日(火)23時59分まで
INTERVIEW : ichigo&岸田 (岸田教団&THE明星ロケッツ)
今回のインタヴューでは、ふたりの口からたびたび「お客さんの反応」という言葉が出ていたのが印象的だった。これまでは彼らの圧倒的な熱量と無敵感を追い続けていたけど、いまは岸田教団&THE明星ロケッツと僕らは真正面から向き合っている。4人が“これまでの総決算、そして新たなる挑戦“として撃ち放ったこの作品を、僕らが全力で受け止めないでどうする? 身体中に響くこの衝撃と、2020年の彼らを全身全霊で感じるしかない!
インタヴュー : 飯田仁一郎&伊達恭平
文 : 伊達恭平
写真 : 宇佐美亮
何が正しくて何が間違っていたかを再評価しよう
──前作『REBOOT』では“再起動”をテーマに掲げていました。ツアーなども経て、今作は岸田教団の『REBOOT』以降の新しいモードが見える曲だなと思いました。
岸田 : 『REBOOT』のリリース後にみんなで「ひとまず“再起動”したけど、何が正しくて何が間違っていたかを再評価しよう」って話になったんです。『REBOOT』でよかった部分は残しておいて、必要なかった部分は消してもとに戻す! っていう(笑)。
──その“よかった部分”っていうのは具体的にはどういうところでしょう?
岸田 : まずヴォーカルに関しては『REBOOT』で確実に良い方向に進んでいたと思ったんですね。あとは歌詞とかストーリー性も間違いなく良かったのでここも継続していこうと。
──なるほど。その一方で『REBOOT』から元の岸田教団のスタイルへ戻した部分もあると。
岸田 : たとえば、楽曲に関してはシンセサイザーよりもエレキギターに立ち戻ろうってなりました。別の角度でも、作家性より作品性の方が重要なんだなと気づきましたね。『REBOOT』では自分が書いた曲だけじゃなくて人に書いてもらった曲も入れたんですが、人に任せた曲の方が、評価が高かった感触があって。
──人に任せた方が評価が高かった、というのはどういうところから感じたんでしょうか。
岸田 : “Reboot:RAVEN”(※1) とかもそうですけど、岸田教団の楽曲の作曲者に対して、みんなそんなに拘っていないんじゃないかなと。もちろん、編曲とか、サウンドとかに関しては僕じゃないととは思うんです。でも僕らは東方アレンジから始まってるし、別の人の曲でも違和感を感じないんですよね(笑)。そうすると僕が作曲にこだわる理由ってほとんどないですし「書きたいときに書けばいいじゃん!」って気持ちになれました。
※1 “Reboot:RAVEN”: 岸田教団&THE明星ロケッツのメジャー4thアルバム『REBOOT』に収録。作詞は岸田、作曲を草野華余子が担当した。草野華余子は「nameless story」で岸田と共に作曲・編曲を担当している。
──先ほどヴォーカルの話も出ていましたが、ichigoさんは何か変化はありましたか?
ichigo : 『REBOOT』で確かに歌が変わり始めて、この方向はいいぞってなったんです。そして昨年にはツアーの中で表現を模索して、“できないことを認めなきゃいけないターン”だったんですよ。今まではやれること伸ばすとか、得意なことしかやってこなかったんですけど、2019年は今まで向き合ってこなかった部分に目を向けましたね。簡単に言うと“鼻水”を……。
──鼻水を……??
ichigo : 今までの私はぎりぎり鼻水が出ないように歌ってたんですけど、「もう鼻水が出てもいい!」って思って歌うことが大事かなっていう(笑) 。
──なるほど(笑)。
ichigo : 正直に言ったら本当は嫌なんですよ(笑)。鼻水なんか出したくなんかないし、変な顔を撮られたくも見られたくもない。でも、「一生懸命さとか本気の気持ちが伝わるんだったら、お客さんはもしかしたらブスって受け取らないのでは?」っていう。当たり前ですけどお客さんを信じることに決めて……。
──“さらけ出す”ってことですよね。
ichigo : そう。それが私には最初は本当に難しくて、本当につらくて……。でも、「鼻水たらしてもいい!」って思ってツアーで歌った結果、メンバーにも伝わってたし、お客さんにも伝わっていた実感があったんです。
──外からのリアクションが良かったんだ。
岸田 : ライヴのリアクションは、明らかに前よりも良くなってましたね。
ichigo : 自分の気持ち、意識を変えると表現の仕方も自然と変わったんですよ。で、その変わった表現をもってこのレコーディングに臨めた。だからすごくいい状態で今回のシングルは歌えたな、と思います。
「よくあるものとは違う音」を出さなければいけない
──今回のシングルはどのくらいのタイミングから作り始めたんですか?
岸田 : 去年の9月から10月くらいですね。今回はエンジニアリングを自分でやろうって思って作り始めたんです。なので、全体的なミックスも今までとはまた違う感じに仕上がってますね。
──自分でやろうと思ったきっかけはあったんですか?
岸田 : お客さんの反応とか考え方ですね。お客さんって僕らにメジャー・ライクな、よくあるアニソンの感じではなくて、“違うもの”であることを求めてると思うんです。じゃあ「よくあるものとは違う音」を出さなければいけないって考えたときに、僕がやった方がみんなが喜ぶ可能性が高いかなって。
──今回のエンジニアリングで岸田さんが拘った部分はあるんでしょうか。
岸田 : ギターが小さいのだけは絶対に嫌だっていうのがありました。だから「ギターあげてもヴォーカルが聴こえる方法は?」とか「ドラムとギターを大きくした状態でも抜ける音ってどんな感じかな?」とかそういうことを考えながら進めましたね。全体的に演奏の音をしっかり聴かせることを意識してます。歌が抜けてる状態でどれくらいギターを大きくできるかを考えたから、今回はかなりヴォーカルが小さくなってますね。
──それはやっぱり、ichigoさんの歌のスタイルが変わったから可能だったってことでしょうか?
岸田 : そうですね、表現力が高くなって歌が聴こえやすくなったと思います。以前よりもはるかに歌自体が前に来るし、ひっかかりのある表現がいっぱい入ってくるので、音量が小さくても音が出ているように感じるんですよ。
──べた褒めですね……!!
ichigo : ほめられましたね(笑)。
岸田 : 前と比較すれば確実に良いと思います。ヴォーカルは一番良くなってるんじゃないかな? ドラムはもう変わりようがないし……(笑)。
ichigo : みっちゃんは間違いなく天才だからね。
──hayapiさんはどうなんですか?
岸田 : hayapiさんはある意味変わってはいないけど、“青春感”や“エモさ”を出していくっていうことがコンセプトで決まってから、曲に合わせてギターを改造してきたって言ってました。「俺の青春のサウンドにしなければならない」って(笑)。
ichigo : 意味わかんない(笑)。
岸田 : でも、今回はhayapiさんも歌やコンセプト面でもだいぶ関わってます。
僕にとってロックの本質はエレキギターでしかない
──「nameless story」は本当にエモく仕上がってますよね。
岸田 : 超電磁砲に出てくるキャラクターなんてみんな“エモエモ”じゃないですか(笑)。だからエモい曲じゃないとこのアニメに合わないっていうのが第一にありましたし、できる限りエモエモな曲を作りました。
──ichigoさんは“エモエモ”に関してどう思いますか?
ichigo : サビは音も高いし、速いし、難しいし、展開も多くて結構大変なんです。そして今までで一番曲が“女の子っぽい”んですよね。
岸田 : しょうがないじゃん! メインの登場人物が女の子ばっかりだし!(笑)。
ichigo : (笑)。そういう意味でも、女性的な部分は残さなきゃいけない。そして爽やかさとかエンディングのちょっとした物悲しさも必要だし。“エモさ”の部分でもちょっと抜かなきゃいけない。でも抜いたからって勢いや強さ、速さがなくなってもだめだから……。というので、技術的にも難しかったですね。
──歌詞も色々と想像させる部分がありますよね。
岸田 : 僕はあくまでアニメを第一に考えて、歌詞を書いてるんです。でもhayapiさんは「この歌詞だったら、超電磁砲のストーリーでもあり、岸田教団のストーリーでもあり、かつお客さんたちがそれを受け取って自分のストーリーにもできるんじゃないかと思ったから、そういう風に聴こえるようにボーカルのディレクションもした」って言ってましたね。
──具体的にはhayapiさんは何をしたんですか?
岸田 : ヴォーカルのレコーディングで、「この歌はこうあるべきだと思う」みたいなところを決めるのはhayapiさんで、実際ichigoさんとやりとりしながら、ディレクションをしています。
ichigo : 私が「ここどっちがいい?」って言ったときに、多分ストーリーが伝わるエモさの残るような表現の方を意図してずっと選び続けてたんだと思う。私も「こう歌ってみたい」ってのがあるし、hayapiにも「こうなるといいな」っていうのがあって。どっちかに完全に寄ることっていうのはないけど、その塩梅がすごいよかったんだろうなって思いますね。
──なるほど、一方でM2の「暁のカレイドブラッド」はサウンド面でも、かなりラウドかつハードになってますね。
岸田 : これは僕がM1とは違うコンセプトでミックスしてます。「nameless story」はポップスとしても通用しうるロックっていうイメージでしたけど、こっちは「どこにも通用しなくていいからとりあえずギターをでかくしよう」っていう(笑)。 僕にとってロックの本質はエレキギターでしかなくて、ギターの音がどれだけデカいかがロックかどうかの境目なんですよね。
──そういう意味でもかなりロックな曲になっていると。
岸田 : 完璧にそうです。ヴォーカルが聴こえないくらいギターの音量を上げてから、段々と下げて、ヴォーカルが聴こえたら止めるって作業でした。だからこの曲は特にギターがデカいです。
──ヴォーカルもかなり矢継ぎ早で勢いを感じます。ichigoさんは歌うのは大変じゃなかったんですか?
ichigo : これは実は歌いやすかったんですよ。でもメロディへの言葉の乗り方が独特というか。本当はちゃんと「シルバーバレット」って言いたいんですけど、「シババレ」って歌いきる勇気と覚悟が必要でした。「自分のルールを曲げてまでもかっこよく聴こえるにはどう歌ったらいいか」っていうのはずっと意識してましたね。
──これは本当にichigoさんにしか歌えないと思います。
岸田 : だからこの2曲は“新しい挑戦”と”これまでの総決算”ですね。
ichigo : 「暁のカレイドブラッド」はずっとichigoとhayapiで聴いてる人をボコボコにしてるような感じです。でも本当に何をやれば良いか自然に分かって、「これが一番得意なんだな」っていうのはありましたね、残念ながら(笑)。
──でもM3「anesthesia」はまた雰囲気を変えてきたって感じですよね。
岸田 : M1、M2がどちらも“挑戦であり、総決算でもある”曲だったんで、じゃあ3曲目は「違うことやる?」みたいな感じで作りました。だから、この曲はエンジニアリングも渡辺敏広さん(※2)にすべて任せて、サウンドからすべてを変えたという感じです。
※2 渡辺敏広: Sony Music Artistsに所属するレコーディング/ミキシング・エンジニア。前作『REBOOT』をはじめ、これまで岸田教団&THE明星ロケッツの作品の多くに参加している。
──具体的にはどういう曲を作ろうと思って「anesthesia」を作ったんですか?
岸田 : M1が明るく、M2がハードだから、3曲目はダークで沈み込む感じの曲かなって。
ichigo : これは思いっきりニュアンスをつけて歌いましたね。ギターが薄いから曲の雰囲気作りと表現をこっちが担わなきゃいけないっていうプレッシャーもあったけど、デモを聴いた段階で私は凄く気に入っていて。岸田には暗い歌詞にしてって伝えてたんです。そしたら岸田がちょうど『JOKER』を観たらしくて。『JOKER』の重たいダークな空気感とか、誰かの期待に沿えなかった人の話とか。根の深いストーリーを出してくれたんですよ。絶望してる感じとか、孤独とか、誰かの期待を背負って応えられなかった感じとか。そこまで具体的に気持ちを追って歌ってるわけじゃないですけど、そういう声色に自然となっていくから、その声色を「エンジニアの渡辺敏広さんが最後うまいことしてくれるやろ」って気持ちで歌ってますね(笑)。
変わらないために変わり続ける
──今回の3曲から、岸田教団の今のストーリーはどういうところにあると思いますか?
ichigo : ここでREBOOT完了っていうか。いまはその結果が出たなって感じがします。どちらかというと“変わらないために変わり続ける”っていうのがバンドとして大事だろうなって。
岸田 : そうですね。だから僕としてはこのシングル全体で「REBOOT完了したらこんな感じじゃないですか」みたいな提案に近いです。
ichigo : 私もこれからもっと歌を歌っていきたいし、もっと良くなっていきたい。まだ全然分からないですけど、私たちの良さが変わらないために、変わっていくだろうなと思います。
──なるほど。では2020年の岸田教団はどういう風に進んでいくんでしょうか?
岸田 : エンジニアリング的な方向を改めて僕が全部やるとなると、まずはもうちょっと音を良くしたいですね。作曲面ではあんまり深く考えずに、オリジナルアルバムは作りたいです。アニメの曲だとなかなかできないこともあるので、アルバム作るのが一番伝わるかなって思いますね。
──ichigoさんはどうですか?
ichigo : 私は引き続き成長期なので、いっぱい栄養を取ろうと思います(笑)。みっちゃんが天才って話もしてましたけど、ここからのバンドの伸びがichigoの成長にかかってるって思ってるんで。
岸田 : ホントよ。ほかの人はみんなもうほぼ完成してるから(笑)。
ichigo : ichigoは、やっぱり武道館に行きたいんで。
編集 : 伊達恭平
編集補助 : 花城勇太
岸田教団&THE明星ロケッツのハイレゾ音源はOTOTOYにて配信中!
新→古
ALBUM
SINGLE
過去のインタヴュー記事もチェック!
LIVE INFO
岸田教団&THE明星ロケッツ LIVE TOUR 2020 “厳かに祭典” 開催決定!!
▪︎東京
2020年05月03日(日)@Zepp DiverCity(TOKYO)
▪︎大阪
2020年06月05日(金)@バナナホール
▪︎愛知
2020年06月07日(日)@Electric Lady Land
▪︎福岡
2020年06月26日(金)@DRUM Be-1
【詳しいライヴ情報はこちら】
https://whv-amusic.com/kisidakyoudan/news/live_event.html
PROFILE
岸田教団&THE明星ロケッツ
岸田教団&THE明星ロケッツとは、2007年、東方アレンジサークルとして同人活動していたリーダー岸田の呼びかけにより軽い気持ちで結成。ライブ一度限りで解散するはずだったがなぜか10年目をむかえて今日に至る。
2010年にTVアニメ「学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の主題歌でメジャーデビュー。2014年12月には、メジャーオリジナルフルアルバム「hack/SLASH」をリリース。
2015年7月『GATE~それは暁のように~』をリリース。2016年には1月『GATEⅡ~世界を超えて~』、7月『天鏡のアルデラミン』、12月にはストライク・ザ・ブラッドⅡ OVA オープニングテーマ『Blood on the EDGE』と3作品のアニメタイアップシングルをコンスタントにリリースを重ね、リリースだけでなくライブ活動も精力的に行う。2016年は全国7公演、ファイナル日比谷野外大音楽堂でのライブを大成功におさめる。また、ANIMAX MUSIX 2016 YOKOHAMAに出演、2017年1月にはリスアニ!LIVE2017に出演するなど大型アニメライブイベントにも参加。
2017年3月に3rdフルアルバム「LIVE YOUR LIFE」をリリースし、夏には東名阪ライブツアーを実施。11月からは福岡を皮切りに全国"10th Anniversary Tour"を行い、ファイナルは2018年1月にディファ有明にて終了。 2月にTVアニメ「博多豚骨ラーメンズ」のオープニングテーマ「ストレイ」をリリース。8月にはTV アニメ「天狼 Sirius the Jaeger」オープニングテーマ「シリウス」を発売予定。結成11年目のスタートを飾る。
岸田教団&THE明星ロケッツ 公式twitterアカウント
https://twitter.com/kisida_info
岸田教団&THE明星ロケッツ オフィシャルサイト
https://whv-amusic.com/kisidakyoudan/