全曲フル試聴スタート!! 内村イタルとayU tokiO… 今最も注目されるふたりが出会い、そして生まれたロックの新たな"良心"
新世代の正当派ロック・シンガーとして注目される内村イタル。一部から強烈な支持を獲得しながらも現在は活動を休止している3人組バンド"葡萄園(ぶどうえん)"の中心人物である彼が、ソロ活動を始動後初のミニ・アルバムをリリースしました。
本作は、2014年にソロ・プロジェクトayU tokiOを始動した猪爪東風(イノツメアユ)と出会ったことをきっかけに制作がスタート。猪爪をプロデューサーとしてだけではなくプレイヤーとしても迎え、THE KEYSのつなかわ和行(Dr)、Jappersの上野恒星(Ba)、そして葡萄園で活動を共にしてきた鬼才のピアニスト、永井秀和の4名によるmusasavibandとともに楽曲を制作。録音・ミックスを馬場友美、マスタリングを中村宗一郎が担当している。
弱冠ハタチ(制作時はまだ19歳!)とは思えぬ内村の作曲センスと天性の歌声、そして猪爪のポップ・センスが凝縮した本作は、現在のロック・シーンの新たな良心ともいうべき快作です。まずはぜひ聴いてください。全曲フル試聴がスタートです!! あわせて、彼のルーツから現在までを辿ったインタヴューもどうぞ。
全曲フル試聴スタート!(2014年12月16日(火)24:00まで)
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INTERVIEW : 内村イタル
自分達のできる範囲の中で最大限に遊ぶみたいな考え方はすごくおもしろい
――内村君の音楽がどういう風にできているかっていうところを訊いていきたいんですけど、まず、ルーツはどこに?
内村イタル(以下、内村) : 親が結構レコードを持っていたり、家族全員芸術好きだったので、わりと昔から音楽が身近なものだったんです。Buena Vista Social Clubとかがよくかかってたのを覚えていて、あとはエレカシ(エレファントカシマシ)とか、イエモン(THE YELLOW MONKEY)とか聴いていました。
――実際に自分で音楽をやりはじめるようになったのはいつごろ?
内村 : 中学のとき吹奏楽部に入って、演奏する楽しさみたいなものを覚えたんです。そこで高校生のころにやっていた葡萄園ってバンドのメンバーとも知り合って、3人でやる楽しさみたいなのが生まれて。あと、4つ上の兄がいて、ちょうど僕が中学のときに高校で軽音とかやってたんで、ギターを借りて弾いたりしてました。くるりのコピーとか。
――音楽的には、くるりとかWilco辺りのオルタナティヴ・ロック直系のメロディーだと思うんですが、影響を受けたバンドはいますか?
内村 : 音楽的にはWilcoも好きなんですけど、エモーショナルな部分では、Clap Your Handsがすごく好きで。ヴォーカルもサウンドも良いし、バンド感みたいなものも好きなんですけど、その真ん中で立っているヴォーカルのアレックの、何とも言えない感じにグっとくるんです。気持ちの直結具合というか、駄目そうな部分とかも含めて全部好き。
――なるほど。でもステージに立ったら、その駄目なりのかっこよさがあるんですよね。
内村 : そうなんです。そういう部分を歌声や演奏で全部ひっくり返していく、全部格好良さになってるみたいなところに惹かれますね。
――インディー 〜オルタナティヴ・ロックのどんなところがおもしろいと思いますか?
内村 : 葡萄園は、ドラム、キーボード、ギター・ヴォーカルのベースレスのバンドで、変わったな編成だったんです。自分ではそれが欠けていることのように思っていたんですけど、他のバンドにも自由に楽器を持ち替えたり、それこそベースレスとか他の楽器がいないバンドがいることがわかって。自分達との共通項を見つけて「あ、これなら出来るじゃん!」と思って。自分達のできる範囲の中で最大限に遊ぶみたいな考え方はすごくおもしろいなと思って。そういうことをやるためにバンドをやりたいと思ったのかもしれないです。
――じゃあバンドからソロになったときもそんなに動じることなく?
内村 : そうですね。ちゃんとした編成とかやり方があんまりよくわかってなかったこともあって。でも、ソロになってからは、曲がもっと濃くなったかなと自分では思ってます。
――何故ですか?
内村 : やっぱり弾き語りで一人で歌うってなったときに、「弾き語りでも通用するメロディーの曲を作らなきゃな」って気持ちが強くなって。そういう曲を作っていくなかで自然とJake Buggに出会って刺激を受けたり、葡萄園をやっているときよりはフォークな感じになってきたかなとは思います。
自分のことを歌うというのは結構恥ずかしさがあるんですけど、それでも良いんだということをちゃんと体感できた
――今作は内村イタル&musasaviband名義でのリリースですね。この編成になった経緯は?
内村 : 葡萄園が活動休止に入り、じゃあ違う形でってことでmusasavibandとやることになりました。プロデューサー兼ギタリストのあゆ (ayU tokiO / 猪爪東風)さんのことは粟生田さん(※現マネージャー)に紹介してもらったんです。ドラムのつなかわ(和行)さんとベースの上野(恒星)さんはあゆさんが連れてきてくれて、キーボードは葡萄園の永井(秀和)に声をかけて。今回は年上のミュージシャンの人にサポートしてもらったので、今までとは全然違って、自分からどんどんコミュニケーションを求めていかなきゃいけなかったですね。そんななかでアルバムの内容も固まってきたので、最初から何か明確なコンセプトがあったり、目指すものがあって作っていったというよりは、手探りのなか出来上がった感じです。
――具体的にはどんなことを探ったんですか?
内村 : 詞が書けなくて悩んだり。あゆさんに、漠然としすぎているなかで、何を目指していけばいいのかってことを相談したんです。そしたら、「手探りでわからないものはわからないと、そのまま歌に乗せていけばいいんじゃないか」ってアドバイスをくれて。その一言が道を示してくれました。
――手探りだったとおっしゃってますけど、内村君の音楽は、今の流行とは違うというか、ルーツやコアの部分がはっきりしてる音楽だと思うんです。実際に曲作りをする上で、どんなところに重きを置いているのでしょうか。
内村 : 大味な音楽にはしたくなくて、自分の細かい心の揺れとか動きみたいなものをもっと歌にすべきだと思いました。色々とモヤモヤしたなかでも、それはちゃんと捉えようと。
――はっきりしない感情や機微を表現していくというのが、内村君の中でしっくりきたことだったんですか。
内村 : そうですね。それを歌ってみたことで、自分が何を考えているのかがわかった気がしたので。
――ayU tokiOさんとのレコーディングはどうでしたか?
内村 : あゆさんもかつてバンドをやっていてソロになった人なので、僕のバンドをやりたい気持ちとかをけっこう親身になってくれました。あといろんなこと詳しいし、魅力的な人ですね。曲を作るにあたっても、あゆさんに相談しながら紐解かれていったというか、曖昧だった部分を上手く引き出してくれたので、ちゃんと形になっていった部分がすごく大きいです。
――じゃあ結構ゆっくりしたペースで制作をしていったのでしょうか。
内村 : そうですね、完成まではだいぶかかりました。1年位わりと断続的にやっていたんですけど、スケジュール的にも、エンジニアさんが忙しかったり、メンバー全員のスケジュールをあわせるのが難しかったりして。あと、1回全部完成させたんですけど、これではパンチが弱いかなと、もうちょっとフックのある曲を作ろうということになって、後から2曲目と3曲目を足したんです。
――あゆさんのプロデュースで印象的な場面とかありますか?
内村 : 僕が作った断片的なデモと歌詞をあゆさんに渡して、その上に新しい要素を入れたデモを作ってきてくれて、そこからまた僕が上書きをするというような作業があったんですけど、そのときに大分安心しましたね。歌詞とか、最初は空白の部分が多かったりしたんですけど、あゆさんが僕の気持ちに寄って書いてきてくれたのを見せてくれて。自分のことを歌うというのは結構恥ずかしさがあるんですけど、それでも良いんだということをちゃんと体感できたというか、すごく後押しされた感じがしたんです。
――恥ずかしいことを書いてもいいんだ、と。
内村 : それまでは自分の気持ちを表現するような歌はあまり作ってなかったんです。でも今回はそれをしないと意味がないなと思って。ソロ名義というか、僕が中心にいる音楽なので、自分のパーソナルな部分を出さないと前に進まないというか。
――ちょっと質問を変えたいんですけど、内村君自身の音楽や一緒にやってくれたミュージシャンの音楽もそうだと思うんですが、自分が好きな音楽や信じる音楽がもっと世の中に認められてほしいと思いますか? 「シーンを変えたい」みたいなこととか。
内村 : そうですね、アンダーグラウンド的な良さみたいなものを、もっとオーバーグラウンドに持ち込みたいです。自分が好きだった音楽は、やはりみんなが聴いてるものじゃないけど、そこの良さがもうちょっと表に溢れても良いんじゃないかと思っていたので。今のシーンはちょっと大味だなと思っている部分もあるので、そこに迎合するんじゃなくて、自分のやり方でちゃんとスポットを浴びるような活動をしていきたいと思っています。
それも含めて自分の歌だから、自信はあるんですよ
――今後はどう活動していこうと思っていますか?
内村 : バンドをやりたいですね。実はまた葡萄園をやりたくて。今メンバーが浪人とかしていてできてない状態なんですけど、それを復活させたいというのはいつも片隅にあるので。バンドマンになりたいんです。
――シンガー・ソングライターではなくてバンドマンになりたいんだ?
内村 : そうなんです。でも、今はBright Eyesにすごく近いなと。ソロを経て自分のメロディーとかがだんだん出てきたし、今の状態も込みで葡萄園と合体させたいですね。
――やっぱりソロとバンドは違いますか?
内村 : 単純に、あのふたりの前だと僕がもっと威張れるんですよね(笑)。
――(笑)。葡萄園は復活する予定はあるんですか?
内村 : 未定ですね。でもメンバーが音楽活動に戻ることが出来たらやりたいと思ってます。
――じゃあ本当に、次の内村君の作品は葡萄園での可能性もありますね。
内村 : まだわからないですけど、なるべく早く次を作りたいなという気持ちが出てきたので、葡萄園でできるなら葡萄園で、でもソロをやめてというわけではないので、その状況でできる方をやっていければいいかなと思っています。
――音楽的にはどんなことをやりたいですか?
内村 : 音楽の内容よりも、どちらかというと、様式というか見た目からのほうがよく考えるかもしれないですね。ツイン・キーボードで、ドラムを入れて、ギターも二人で、シンメトリーで、みたいな。音楽の内容は、その都度違った音を出せるのがかっこいいと思っているので。
――その都度内村君がやりたいと思ってることをやりたい?
内村 : そうですね。
――今だったらそれは何ですか?
内村 : 今回の作品はシンガー・ソングライター的な内容になったと思っているので、今度はもうちょっとパーソナルじゃないところというか、根詰まってない、スカッとした感じのものがやりたいなと思いますね。
――先ほど「自分のメロディーが出てきた」とおっしゃっていましたけど、それってどんなものか具体的に説明がつくものですか?
内村 : うーん… 説明しづらいですね。確実にあるんですけど、クセみたいなものなので。でもそれも含めて自分の歌だから、自信はあるんですよ。
――その自信はどこから出てくるんですか?
内村 : どこからだろう? ただ、現状に満足できてないからやってやる! みたいな感じでもあるんですよね。だから、どんどん出てくるメロディーを形にしていきたいと思っています。
インタヴュー : 飯田仁一郎
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PROFILE
内村イタル
神奈川県出身の19歳。中学のころから音楽活動をスタート。幼なじみと共に3人組バンド"葡萄園"を結成。公式ライヴ数回にも関わらず、その荒削りだが才能迸るパフォーマンスで一部の関係者に大絶賛を受ける。メンバーの進路の関係で葡萄園は活動休止、内村はソロ活動をスタートする。
17歳の時、「日比谷野音でライヴをしてみたかった」というピュアな動機で『閃光ライオット2012』に応募、見事「審査員特別賞」を受賞する。その後も多くのデビューの誘いを受けながらもマイペースな活動を続け、2013年春には宅録作品『ヒカリ』をライヴハウスを中心に販売。
その後、ayU tokiOとの出会いをきっかけに新たなサポート・メンバーとバンドを結成。ライヴ活動と平行してじっくりゆっくり時間をかけて制作、7曲入りのミニ・アルバム『内村イタル & musasaviband』が完成。19歳とは思えない楽曲のクオリティと天性の歌声が聴きどころ。古き良き日本のロックに若さが迸る。2014年4月よりFM横浜「YOKOHAMA MUSIC AWARD」(第2木曜 26:00〜)で異例の月1レギュラー・コーナーに抜擢。
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