アユニ・Dが抱くPEDROへの愛──日本武道館公演に華を添えるシングル「東京」
2021年2月13日には日本武道館でのワンマンライヴの開催が決定し、バンドとしての強度を増しているBiSHのアユニ・Dによるソロ・バンド・プロジェクト、PEDRO。アユニ・Dの心の内を描いた“東京”、そしてギターの田渕ひさ子が作曲を担当した“日常”の2曲を収録したニュー・シングルはチームPEDROが新たなフェーズに入ったことを感じる作品だ。全国ツアー〈LIFE IS HARD TOUR〉を経て、PEDROとしての活動にどのような想いを抱いているのか、アユニ・Dにいまの気持ちを訊いた。
ニュー・シングル『東京』から、田渕ひさ子作曲の楽曲“日常”を先行配信中
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INTERVIEW : PEDRO
前作『浪漫』は、2020年に発売した作品の中で群を抜いてよかった。円熟し過ぎているわけでもなく、初期衝動に埋もれているわけでもない。名盤が生まれやすいアルバム3枚目のような、バンドをやる楽しさと初期衝動とバンド特有のグルーブが上がってくる時を見事に記録した名作だ。そして、次に彼女が放つ楽曲名は「東京」。おいおい...w 今や、そのタイトルの曲を出すなんて、並大抵の度胸じゃ無理だ。WACKの中では、コロナ禍でいち早くライヴもはじめたし、やっぱり2021年もPEDRO最強説爆進中ですね。
インタヴュー : 飯田 仁一郎
文 : 西田 健
写真 : 大橋 祐希
明日死んじゃうんじゃないかってくらい毎日ハッピーだった。
──先日行われた〈LIFE IS HARD TOUR〉は本当に楽しそうでしたね。
アユニ:〈LIFE IS HARD TOUR〉は春に全国を回る予定だったんですけど、でもそれが無くなってからのツアーだったので、本当に待ち遠しかったんです。ライヴってやっぱり場数を踏まないとどうにもならないし、100練習しても1の本番には敵わないなっていうことに気づいてからは、ライヴがしたくてたまらなくて。こんな状況のなかでも周りの勇敢な方々がすごく頑張ってくださって、やっと夏にツアーを回ることができたので、本当に嬉しかったですね。お客さんもいろんな縛られたルールの中ではあるんですけど、きっとライヴが生きがいだった方も多かったと思うので、お互い楽しい時間を過ごせたなってすごく思います。
──なにがいちばん楽しかったですか?
アユニ:ギターの田渕ひさ子さんとドラムの毛利さんと一緒にいっぱいいれたことが楽しかったです。大好きな人に会えるのが、それだけで幸せ(笑)。
──大変だったことはありましたか?
アユニ:お客さんをガイドラインに準じて、人数絞って1日2回ライヴしていたので、だいたい1日に40曲以上は演奏することになってたんです。手は血だらけになったり、ベースの紐(ストラップ)が擦れすぎて、肩に穴が空いちゃいました(笑)。あとはライヴが続いて、声が思うように出なくなったりとか。体力的にキツかったところはありますね。
──なるほど。乗り越えられましたか?
アユニ:体力が弱っていくと同時に心もどんどん弱っちゃったりして、心が折れたりして泣いてしまったりとかもあったんです。そんなとき、PEDROチームの方々もそうですし、ひさ子さんと毛利さんは自分たちも疲れてしんどいはずなのに、私がしょげていたらいろんな言葉で救ってくれて、その精神的なサポートもあってなんとか駆け抜けました。
──いつのライヴがいちばん大変でしたか?
アユニ:ツアー初日の1本目のライヴですね。こういう世界の状況になってはじめての有観客ライヴだったんですけど、どういうライヴになるのかわからなくて。やり切る分にはやり切ったんですけど、思い通りに行かなかったり、声が出なくなっちゃったりとか。私の悪いところなんですけど、一回心が折れちゃったらなかなか戻せなくて…。普段のライブで声が出なくなったりしてウッてなったときは、ひさ子さんや毛利さんと目を合わせることで心もどんどん立ち直れるんですけど、その時はなかなか立ち直れなくて…。終わったあと、自分の情けなさにちょっと楽屋で泣いてしまいました。
──その日はどう切り替えていったんですか?
アユニ:その時は周りの方々が直接話してくれました。でも、そういう優しい言葉をかけさせていることにも申し訳ないというか、「自分がちゃんとできていたらこんなに気を遣わせないのに」とか思ってしまって。でも、同じことを繰り返したくなかったので、2本目のライヴは切り替えていった気がします。やっぱり、お客さんは動けないし声も出せないし、マスクをしているので表情もあまり掴めなかったり、こういうライヴもあるんだなって思いました。
──ツアーの思い出は他にありますか?
アユニ:ツアー中は明日死んじゃうんじゃないかってくらい本当に毎日ハッピーすぎましたね。でも印象的なのはたまにあった打ち上げ(笑)。普段BiSHだとライヴ後の打ち上げとか全然しないので、「これ、バンドマンっぽいな」というのを感じてすごく楽しかったです。気づいたら外走り回っちゃってました(笑)。PEDROチームだったから、信頼しすぎてハメを外してしまったんだと思います。
PEDROチームは愛をもって生きている
──PEDROチームのどこが好きなんですか?
アユニ:もちろんBiSHチームもそうなんですけど、PEDROチームも私に関わってくださる方々は本当に人間性が素晴らしいなと思います。私の知らない世界をたくさん知っている方たちだから、言ってることも痛いくらい腑に落ちるというか。だからこそ、尊敬できる。あとビジネスパートナーじゃなくて、ちゃんとひとりの人間として接してくださるんですよね。愛をもって生きてらっしゃるので、こういう人間になりたいって思う人がたくさんいますね。
──このツアーでバンドメンバーとの関係に変化はありましたか?
アユニ:単純に一緒にいる時間が多かったので仲良くなったし、コミュニケーションをすごく取るようになりました。それはやっぱりライヴ中の3人の演奏にも出ているし空気感とか、そういうのは徐々に掴めてきているのかなと思います。
──2021年2月13日には武道館でのワンマンライヴが開催されますよね。武道館公演の開催が決まった時はどのような心境だったんでしょうか。
アユニ:武道館の話を聞かされた時は、衝撃と興奮で膝から崩れ落ちました。ひさ子さんも一緒に(笑)。「ここに絶対に立ちたい。俺の夢はこれだ!」みたいなのなかったんですけど、武道館という存在はBiSHでも「いつかあそこに立てたらすごいよね」ってずっと意識をしてきて。現実的に武道館でライブをするっていうイメージすら持てたことがないくらい遠い存在だったので、ある意味東京ドームよりも夢のまた夢のステージという認識があったんです。なんかわかんないけど泣きそうになりました。
──武道館でライヴを開催するにあたって、課題は見えていますか?
アユニ:フロントマンとしての自覚を持たなきゃなっていうのがいちばん大きいですね。BiSHだったらチッチが性格的にもリーダーシップを取ってやってくれるんですけど、私がそういうの苦手なんで、もっと自意識を持って精神的に強くならなきゃと思っています。それはもう大きい会場に立つからとかじゃなくて、バンドとしての目標ですね。私は小さい頃から内弁慶で外地蔵な所があるので、人目につくところで目立つことをする行為にすごくビビってしまうんです。大きい会場とか小さい会場とか関係なく、どんなライブでもやっぱり精神的に縮こまっちゃう部分があったので、それをなくしたいと思います。
──なるほど。他にも課題はありますか?
アユニ:他には、技術面ですね。歌とベースがもっと上手くなりたいと思っています。ベースは家でもずっと弾いています。培ってきた歌い方と違う、奥行きのある重厚感のある歌声とかそういうのも出せたら、もっと音楽でいろんな顔を見せれるんじゃないかなって思っています。
あの時の一歩がなかったら、大好きなものも生きがいもなかった
──2021年2月10日には「東京」と「日常」の2曲がリリースされます。「東京」はなぜこのタイトルになったんでしょう?
アユニ:バンドとしての活動をするんだったら、「いつか絶対東京ってタイトルの曲を出してやるぜ」というのはずっとあったんです。私が表現したい、自分が一番「東京」だと思う曲を作りました。
──東京のどんなことを書きたかったんですか?
アユニ:人生を振り返って、私が自分の判断ではじめの一歩を踏み出したのっていつだろうって考えた時に、それは上京した時だなと。あの時の一歩がなかったら、大好きなものもないし、生きがいもなかったんだろうなと思って。いま、東京で何気なく生活しているのは、でもそれは本当に昔の自分では考えられない、すごく革命的なことだなと思うんです。東京ってクソな街だなとか思うことも何度もあったし、くじけそうになったりもしたんです (笑)。でも上京していろんな縁があってたくさんの人に出会って、「東京は世界を広げてくれる街なんだな」ということに気づいて、それを曲にしたくて書きました。
──歌詞はいつ頃書かれたんですか?
アユニ:この曲の歌詞は武道館が決まってから書いたんです。曲自体はあったんですけど、どんな歌詞を入れるか全く思い浮かばなくて悩んでたんです。でも、武道館が決まってからは東京について書きたくなって、人生を振り返ったりして、するする言葉が出てきました。「武道館でこの歌詞を歌いたい」という意識があります。
──そして2曲目の「日常」は田渕ひさ子さん作曲の曲ですね。田渕さんの曲があるということが、PEDROをバンドと捉えたときに大きな変化だと思います。
アユニ:ひさ子さんにギターを弾いてもらうと決まった当初から、「ひさ子さんの曲もあったらおもしろいよね」って企んではいたんですけど、「そんなことお願いできるわけないじゃん!」って思ってたんです。でも、そのまさかが今回実現してしまうとは。ひさ子さんにお願いしたら「いいよー!」と2つ返事でした。嬉しかったですね。
──PEDROのこれまでの曲と全然違う感じに聴こえますね。
アユニ:歌のレコーディングの時は、ひさ子さんの澄んでいる透き通った歌い方と声を意識して録りました。発声の出し方も音程のとりかたも全然違うので結構練習しましたね。曲の構成もAメロ、Bメロ、サビとかそういう典型的なものじゃなくて、まさにひさ子さん節だと思います。この曲は元々ひさ子さんから、歌詞も仮歌も入った、このまま世に出したいっていうくらい完成度の高いデモが送られてきたんです。それを聞いた時に、穏やかで優しいサウンドとひさ子さんの澄んでいる声に人間性がすごく出てて、泣いちゃったんです。
──なるほど。歌詞はなぜ変えたんでしょう。
アユニ:ひさ子さんの書いた歌詞を私が歌うことで、違う意図で受け取られたりしたら嫌だし、ひさ子さんの選んだ言葉はひさ子さんの口から聞きたいと思っていたんです。だからあえて歌詞は変えました。でもサビの頭の一行目の「今見ている世界が 今の僕の全部で」の歌詞は、どうしても変えたくなくてひさ子さんの歌詞をそのまま使いました。今自分が思っていることと同じことが書いてあったし、魅力的すぎて抜け出せなくなったんだと思います。ひさ子さんは自分の悪いところも出してくるんですけど、それさえも愛おしいんですよね。愛は大きくなっていく一方ですね。
── (笑)。今回の2曲の制作でこれまでと変わったことはありますか?
アユニ:これまでは、ドラムだけはスタジオで録って、他はお互い宅録してギターだけリアンプしてミックスするみたいな感じで制作してきてたんですが、今回は同じスタジオで円になってレコーディングしたんです。バンドっぽい録り方をしてみたいと前々から思っていて、はじめて思い描いていた録り方ができました。聴いた時のノリもグルーヴも全然違うし、その場でコミュニケーションをとったりディスカッションもできたし、それが今回の制作でいちばんよかったことですね。事前にリハにも入ったんですが、スタジオで3人で練習するのは本当に楽しいことだなって思いました。一人で黙々と部屋でベースを弾くのも好きなんですけど、なんか上手くいかなくなったりするし。もっとバンドでやりたいです。
──ベースは相変らず楽しいですか?
アユニ:楽しいですね。でも、ベース自体が好きというよりはベースを弾いている時間が好きなんで、いろんなベースを集めたいとかまだそんな欲求はないんですけど。これからでてくるかもしれないです。
──バンドとして結束力が高まったPEDROですが、武道館はどんなライヴになりそうですか?
アユニ:私は家でベースを弾き倒してる時が、すごく楽しいんです。なんかもうずっとキャッチボールのボールを投げているというか。でも家で一人でやってるのでボールを投げ返してくれる人もいなければ、キャッチしてくる人もいないので、ライヴの楽しさには全然及ばないんです。でも一人きりでやってるから誰も見てないんで、なにも気にしないで暴れられると言うか、本当好きなようにやりたいようにベースを弾いて歌えるんです。だから武道館でも家で弾いてる時くらい、遠慮なく気持ちよくライブができたら一番いいなと思っています。
編集 : 片野妃茉里
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LIVE INFORMATION
〈PEDRO LIVE at 日本武道館「生活と記憶」〉
2021年2月13日(土)
開場 17:00 / 開演 18:00
会場:日本武道館
チケット料金:12,000円(税込)
TANGTANG別注 武道館限定Tシャツ付き
【詳しいライヴ情報はこちら】
https://www.pedro.tokyo/news/3/?range=future_event_end_time&sort=asc
PROFILE
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーであるアユニ・Dによるソロバンドプロジェクト。
ベースボーカルに加え、全楽曲の作詞から一部作曲までを行う。
セルフプロデュースで放たれる彼女の持つ独特の世界観や感性が大きな支持を集める。
【公式HP】
https://www.pedro.tokyo/
【公式Twitter】
https://twitter.com/PEDRO_AYUNiD
【アユニ・D Twitter】
https://twitter.com/ayunid_bish
【公式YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UCMlScRSfqovXpcg447emv4A