【連載】Episode66 MAYU EMPiRE「私のすべてを捧げたい」
WACKとavexの共同プロジェクトEMPiRE。2021年11月23日(火・祝)に幕張メッセイベントホールで開催予定のワンマンライヴ〈EMPiRE’S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉は、チケット発売後即完売。9月からクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉を開催し、11月10日には約2年ぶりとなる3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をリリースするなど、勢いがますます加速していきそうな彼女たちの2021年2周目となる個別インタヴューを敢行。第6回はMAYU EMPiREの声をお届けする。
INTERVIEW : MAYU EMPiRE
EMPiRE史上最大規模の幕張メッセイベントホールでのワンマンライヴのチケットが、一般発売後に即完売した。彼女たちへの期待の大きさの現れであるが、メンバー6人がパフォーマンスを磨き地道に努力してきた成果であることに間違いはない。2019年10月にリリースした2ndアルバム『the GREAT JOURNEY ALBUM』で示したダンスミュージックの方向性を軸にしながら、これまでのWACKの伝統も感じる楽曲など表現の幅を広げる楽曲が収録された3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をリリースし、どのような気持ちで日々を過ごし、幕張メッセへと向かうのか。これまで多くのEMPiRE楽曲の歌詞を担い、本作でも多くの歌詞を担当しているMAYU EMPiREに話を訊いた。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
6人のらしさが出たアルバム『BRiGHT FUTURE』
──幕張メッセ公演が近づいてきましたけど、心境はいかがですか?
MAYU : 楽しみな気持ちもあるし、絶対に決める!って気持ちもあるんですけど、過去一の不安もあって。これまでで1番大きい場所で、1つ違うステージに来たって感じがするんです。プレッシャーも不安もないですって言えた方がいいのは分かっているけど、それほど能天気にはいられないというか(笑)。ちょびっと不安だけど、絶対にいい日にしようという気持ちはあります。突っ走るしかないなって感じで毎日必死に過ごしています。
──同時に〈EGPツアー〉も開催中ですが、そこは気持ちを切り替えて楽しめていますか?
MAYU : 楽しめているし、お客さんに楽しんでもらいたい気持ちが1番でやっています。ツアーは自分の心の安定みたいなところもあって。ライヴするぞってなったら、そこにだけ集中できて、自分の筋が通る瞬間だなと感じているんです。〈EGPツアー〉はクラブでみんな自由に音に身を任せて楽しむってことを考えてやっているので、すごく楽しくツアーを回れているなと思います。
──幕張メッセを目前にリリースされた3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』は、前作と比べて幅のあるアルバムになっています。いろいろなタイプの曲がありますが、MAYUさん的にはどんな作品になりましたか?
MAYU : 前作『the GREAT JOURNEY ALBUM』は、ダンス・ミュージックの要素をメインに取り入れて、EMPiREはこれからこういう感じでいきます! ってことを表した、らしさが出たアルバムになったなと思っていて。それで自信を持てたなと思うんですけど、今回はそこからより幅を広げてできたのがおもしろかったなと思っていて。地盤ができたから冒険できるというところで、今までやってきたことがあってこそのアルバムだなとすごく思っていますね。
──だいぶ前からデモをもらって歌詞を考えていたそうですね。
MAYU : そうですね。1年半ぐらい前から制作をはじめていました。
──これだけ時間をかけて作品を作るのは初めてですよね? いつもと違う感覚もあったんじゃないですか。
MAYU : たしかに何回も作詞して直してというのを繰り返していたので、歌詞に悩んでいる時期もあったんですけど、最終的に出来上がった音源を聴いたらすごく嬉しくて。達成感に近いというか。「やっとできたね」、「やっと会えたね」って思いましたね(笑)。
──歌詞に関しては、どういう部分で悩んでいたんですか。
MAYU : 自分は歌詞を書くとき、思ったことを率直にバーって書くタイプなんですけど、今回は歌詞が出来上がって時間がちょっとあって。その間に自分の書いた歌詞を見て、自分はこうやって思っていたんだなと思うことが多くて。あらためて自分の気持ちを整理できました。あと、他のメンバーの歌詞を見て、らしさを出すことがすごく上手いなと思って。自分ってどういう人間なのかなとか、どういう見られ方をしているのかなとかってことを考えて書いているから、すごくよくなっている。みんなでちゃんと向き合って作ったアルバムになったなと思います。
別れと出会いの繰り返しで、私たちも成長してきた
──今回、MAYUさんは共作の歌詞が多いですよね。
MAYU : 私は今まで書いてきた歌詞と比べて、より幅を出していこうということを意識していて。EMPiREの歌詞はほとんどがメンバーのコンペ式なので、作詞が採用されていない楽曲も歌詞を一度書いているんですけど、自分なりに1曲1曲、方向性が似か寄らないようにテーマを決めて書いたんです。そこでいろいろな幅を出せるようになったから、共作ができるようになったのかなって。
──らしさが1番分かりやすいのは、MiKiNAさんと共作の「Hey! Hey!」かなと思うんですけど、これはMiKiNAさんらしさが全開ですよね。
MAYU : MiKiNAちゃんでしかない(笑)。MiKiちゃんが最初書いた歌詞を読んだとき、ここはもうちょっと広がりがあった方がいいのかなと思って、私も1回考えてみたんです。それで私がMiKiちゃんぽいなと思って書いた歌詞がサビで採用されています。
──「I don't care」もMiKiNAさんとの共作ですよね。
MAYU : 「I don't care」は、〈頑張れない〉って部分が私がもともと書いていた歌詞で、そこにMiKiちゃんの他の歌詞が入っています。MiKiちゃんも不思議な歌詞を書いていたというか音ハメがおもしろくて、そこの微調整とかは一緒にしました。
──どういう着想から〈頑張れない〉〈頑張らない〉って歌詞が出てきたんですか?
MAYU : 人生って頑張らないといけない瞬間ばかりで、「もう頑張りたくないよ」って時が来るじゃないですか? でも、その時も頑張らないといけないから、それを歌詞にさせてくれと思って、歌詞に逃げたというか(笑)。
──とはいえ、ここまで同じ言葉を連発するってなかなかないと思いますし、思い切った歌詞の書き方ですよね。
MAYU : たしかにいままで、あまりそういう発想がなかったし、おもしろいかなと思って、歌詞が採用されるかを気にせずに連発したというか(笑)。どんだけこの人頑張れないんだろう、って感じにしちゃおうと思って書きました。
──いつぐらいに書いた歌詞なんですか?
MAYU : 7月ですね。幕張に向けてすごく頑張らないといけないと思っていて。私ができることって何なんだろうってすごく考えていたし、ライヴが少ない時期だったから発散できる場所もなくて。どうしようってなってモヤモヤしていた時に書いたんです。ただ、ラスサビはポジティヴというか、うるせーとか頑張れないとか言いながらも、意固地でも自分たちを信じて進んでいこうよと書いていて。前向きにしたいなと思ったんです。両方の気持ちが入っている曲になったなと思います。
──「RATHER」はMiDORiKOさんとの共作ですが、これはどんなテーマで書いた曲なんでしょう。
MAYU : ずっとイケイケドンドンじゃないといけないって思っていて。ネガティブになったりすることはあるけど、最終的に強気にいかなきゃいけないことが多いんです。そうなったとき、ネガティブな自分はどこへ行くの? と思って。今までそういう気持ちは見ないように閉じ込めていたんですけど、もしかしたら歌詞に逃げているのかもしれないと今回思うときがあったというか。
──逃げているというか、昇華しているわけですよね。
MAYU : そう、昇華している。「LET'S SHOW」とか「ERROR」みたいなイケイケで強気な歌詞を書きたいと思うことが多かったので、こういう赤裸々な歌詞を書くのは久々だったんです。奥底に閉じ込めていた、自分のないがしろにしていた部分とかを引っ張り出してきて書きました。〈EGPツアー〉の大阪公演で初披露したんですけど、ファンの方は、聴いた瞬間、私の作詞だって分かってくれて(笑)。うれしかったですね。
──〈東京の空は星が見えないらしい〉って歌詞で始まりますが、東京に住んでいるMAYUがさんがこういう歌詞を書くのはおもしろいなと思いました。どうして〈見えないらしい〉という伝聞にしたんでしょう?
MAYU : よく言うじゃないですか? 「東京の空って星が見えないよね」って。それは街が明るいからだと思うんですけど、散歩している時に空を見上げたら、たしかに星が見えないなと思って。でも、それは私がコンタクトしていないからかなとか思ったり(笑)。それって自分のせいだよなって思っちゃうのが自分っぽいなというか。ふとそういうことを思って、それをメモに書き留めておいたんです。星は見えないけど、私の目が悪いだけじゃない? って。それを書きました。ちょっと自虐というか、自分の感度が悪いから星が見えないだけでって感じで。
──最後の「RiNG to the BRiGHT FUTURE」は、MAYUさんによる作詞曲です。この曲はどういうことをテーマに書いたんでしょう?
MAYU : これはお別れをテーマにしていて。幕張も控えているし、これから私たちはどうなっていきたいのかをもう1回考え直したり、もう一皮剥けないといけない時期に来ているよねって考えて。これまでの日々があったからの今だから、それも抱きしめて明日からもまた頑張ろうみたいな気持ちを書きました。今までEMPiREで活動してきた中で、初期から応援し続けてくれている人もいるだろうし、今は離れちゃった人もきっといるだろうけど、今出会えている人もいる。別れと出会いの繰り返しで、私たちも成長してきたなと思うんです。出会ってくれた人がいたから今の私たちがいるし、それを大事にして歩いていけるよってことを書きました。
いまは幕張にすべてを注ぎたい
──今回、EMPiREの代表曲を現行メンバーで再レコーディングもされています。改めて歌うにあたって意識したこととか、歌いながら変わったなと思ったことってありますか?
MAYU : 新曲のレコーディングとはまたタイプが違って、家みたいにホッとできるというか。今までこの曲たちと一緒に戦ってきたんだなってすごく思ったんです。曲たちと私たちで一緒にいろいろなことをしてきたなって。そういうところでの厚みを感じました。歌い慣れていて、どういう曲か体に染みついている状態でもう1回歌ってみて、あらためていろいろなことがあったなと思い出したし、うれしい、温かい気持ちになりました。6人の統一感が出るというか、ライヴでやってきたから一本筋が通っている感じ。余裕を感じられるようになったし、音源を聴いてみて、ちょっと大人になったなって思いました。
──この6人でEMPiREという感じが強くなったなと思うんですけど、いまのメンバー間の雰囲気はいかがですか?
MAYU : ある程度のバイヴスというか、テンション、向いている方向がちゃんと1個の方を向いているので、その上での密度をより高めたらもっと強くなれると思っていて。自分も含めて、人間それぞれでこぼこがあるから、そこでのすり合わせはもうちょっとしたい。自分対グループ5人とかじゃなくて、1対1×5みたいな感じが大事だなと思っていて。ポジション的にもそれは私ができることなのかなと思っているから。私も未熟者なので上手くいかないなっていうこともあるんですけど、そこでもうちょっと頑張りたいなと思っています。
──2021年のEMPiREは〈限界突破〉から始まり、幕張で終わるという点で、2022年にジャンプするためのステップになる年なのかなと思います。それだけに、幕張メッセも大きなプレッシャーがあるかと思いますが、どんなライヴにしたいなと考えていますか。
MAYU : エージェントに「わー本当に観に来てよかったあ」って気持ちになってもらいたい。そのために、私たちが最高のライヴをしないといけないと思っています。だから、そこに向けて、もう死ぬ気(笑)。みんながハッピーになれる日にしたいなってすごく思っていますね。今までEMPiREはいろいろなことがあったけど、安心してついていけると思ってもらえるようなライヴにしたいですね。
──ストーリー性だけでなく、圧倒的なパフォーマンスを魅せたいと。
MAYU : 観にきてくれた人たちが感動するようなライブにしたい気持ちはすごくあります。私たちのことをよく知ってくれている人たちは、これまでの物語と重ね合わせて感動してくれる場合もあるとは思うんですけど、初見の人が観ても、すごかったなと思ってもらえるように頑張ろうって強く思っています。
──幕張までもあと2週間くらいですが、どのように過ごしたいですか。
MAYU : 幕張までにまだまだブラッシュアップしていかなければいけないと思っているので、時間があまりないんですけど、私のすべてを捧げようと思っていて。自分のプライベートの時間も、とにかく幕張だけに向けて頑張ろうと考えています。倒れない程度に、いい感じで自分を追い詰めてやっていきたい。幕張は通過点ですとかって格好いいことを言いたいし、それ以上大きな場所に行きたいとは思っているけど、幕張を最高な1日にしないと先にも繋がらないと思うので、いまは幕張にすべてを注ぎたいなと思います。
前回の記事はこちら
LIVE INFORMATION
〈EMPiRE'S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉
2021年11月23日(火・祝)@幕張メッセイベントホール
時間 : OPEN 16:00 / START 17:00
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