【連載】Episode62 MAHO EMPiRE「確実に自分の中でいろいろな感覚が変わっている」
WACKとavexの共同プロジェクトEMPiRE。2021年11月23日(火・祝)に幕張メッセイベントホールで開催予定のワンマンライヴ〈EMPiRE’S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉は、チケット発売後即完売。9月からクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉を開催し、11月10日には約2年ぶりとなる3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をリリースするなど、勢いがますます加速していきそうな彼女たちの2021年2周目となる個別インタヴューを敢行。第2回はMAHO EMPiREの声をお届けする。
INTERVIEW : MAHO EMPiRE
EMPiRE史上最大規模の幕張メッセイベントホールでのワンマンライヴのチケットが、一般発売後に即完売した。彼女たちへの期待の大きさの現れであるが、メンバー6人がパフォーマンスを磨き地道に努力してきた成果であることに間違いはない。2019年10月にリリースした2ndアルバム『the GREAT JOURNEY ALBUM』で示したダンスミュージックの方向性を軸にしながら、これまでのWACKの伝統も感じる楽曲など表現の幅を広げる楽曲が収録された3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をひっさげ、どのような気持ちで日々を過ごし、幕張メッセへと向かうのか。取材をするたびに、表情がやわらかく柔軟性が増しているMAHO EMPiREに取材を行った。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
ステージに立った時に堂々としていたい
──初の幕張メッセワンマン、チケットが一般発売後即完売しました。率直にどんな気持ちでしたか。
MAHO : 本当にありがたいです。発表した時点で、まだ先のことだったじゃないですか? 半年以上先の予定をEMPiREに決めてくれる人がたくさんいたことが素直にうれしかったです。
──今年1月4日に東京国際フォーラムホールAで開催した〈EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE〉(以下、限界突破ライヴ)から比べても期待値と注目度が上がった証拠だと思うんですけど、幕張が即完した理由はどういうところにあると思いますか?
MAHO : 2021年をスタートさせてもらった〈限界突破ライヴ〉で全曲を全力で披露したことでEMPiREを気になってくれた人もいるだろうし、それ以外の日々の活動で好きになってくれた人もたくさんいると思うんです。あと、幕張メッセというアリーナクラスでライヴをさせてもらえることが、エージェント(※EMPiREファンの総称)にとっても特別だったのかなってすごく思います。私たちにとっても新しい挑戦だし、その瞬間を一緒に見てくれようとしている人が多いのかなって。
──幕張メッセでまで2ヶ月を切り、ステージに立つイメージも膨らんできていますか?
MAHO : 自分自身のイメージとして、ステージに立った時に堂々としていたいと思うんです。そのために自分のモチベーション、メンタルを準備しなきゃと考えていて。不安を消すことはたぶんできないと思うから、それよりも大きい自信を持つために準備をたくさんしようとしているところです。
──MAHOさんはそういうとき、どうやって自信をつけていくんでしょう?
MAHO : 何か失敗したとき、落ち込んですごく後悔をすることもあるんですけど、そのときに自分はベストを尽くしていなかったのか?と振り返るんです。ベストを尽くしていなかったら反省ですけど、その時々のベストを尽くしていたと思えることが多いから、最近は自分を責めすぎないことも大事なのかなと思うようになって。自分達が積み重ねてきたことをちゃんと考えて、そこから判断するようにして、変に不安にならないようにしています。
──振り返ってみたら、EMPiREにはちゃんと積み重ねてきた歴史があるわけですからね。
MAHO : その上で出来なかったことは、きっとまだできないことなんだと思って。この先やれている自分を想像して、最短でできるように頑張っていこうと切り替えた方がスッキリするし、次に向けて現実的に頑張ろうと思うようになりました。
エージェントへのラブソングなんです
──11月10日には約2年ぶりのアルバム『BRiGHT FUTURE』がリリースされます。これまでの作品と比較すると、じっくり制作時間をとって作られたアルバムだそうですね。
MAHO : デモ曲は1年以上前からあって、ずっと聴いて歌詞を書いたりしていたんです。例えば、今作に関しては、「I have to go」みたいに女の子っぽい部分が見える曲を書いてみたら? ってアドバイスをもらって、書いてみたりもしていました。
──女の子っぽい曲という部分で、どんなことを連想しながら書いてみたんでしょう?
MAHO : 誰かを想う気持ちとか、誰かと距離が近いことって、別に恋人じゃなくとも当てはまるなと私は思っていて。その気持ちって、ファンの人たちにも当てはまると思うんですよ。前作のアルバムの時だったら絶対書けないような歌詞もあると思います。
──コロナ禍は人と人の物理的距離が離れてしまった期間でしたし、そうした距離感を描く上での歌詞もきっと変わってきますよね。
MAHO : たしかに、人との距離の取り方が変わったと思いながら素直に書けた歌詞が多かったです。私も活動してきた中で、エージェント やEMPiREという特別な存在ができた。今までだったら人との距離をわざと取ってしまったりしたけど、本当に近づきたいと思った瞬間が自分の中にあったりして、それが恋心に似ているのかなと思ったんです。特別な存在ができていくことで変わっていくことがあった。これからも、そういう未来があるんだろうなと思いながら、歌詞を書いたんですよね。だからエージェントへのラブソングなんです。
──「ERROR」は限界突破ライヴで披露されていた曲ですが、これもコロナ禍だったことは反映されていると思いますか?
MAHO : 「ERROR」に関しては、本当に閉ざされた半年間ぐらいを過ごしたあと、初めて有観客でライヴができる時期に書いた歌詞なんです。ここからやってやりたい! という熱意みたいなものが強く現れている曲だと思います。
──〈行かなくちゃ〉というフレーズは、WACK所属グループの楽曲において重要なフレーズです。MAHOさん自身の中にもキーワードとしてありましたか?
MAHO : そうですね。進んでいくしかないという気持ちはずっとあります。
──「ERROR」でも〈行かなくちゃ〉は出てきますが、MAHOさん自身に言っているようなところもあるのかなとも思いました。
MAHO : 自分自身にもそうだし、「ERROR」や「LET'S SHOW」はEMPiRE自身に言っていたりもするんです。EMPiREとして見せたい姿をメンバーに歌ってほしいと思って書きました。
──MVにもなった「LET'S SHOW」は、どんなことを考えて書いた曲なんでしょう?
MAHO : この曲は「ここから私たちを見せていこう」という覚悟を書きたかったんです。「私たちは大丈夫だ! やっていこう」って、メンバーに言いたかった部分もあった。6人がそうやって強く歌える曲がいいなと思いながら書きました。私はライヴで歌っている姿を1番に想像しながら書くんですけど、この曲は特にそれが強かった曲です。
──〈Ironyなんてもう 愛のひとかけら〉というワードに、MAHOさんらしいセンスが出ているのかなと思うんですけど、ここのラインはどういうことを思って書いたんでしょう?
MAHO : 6人だけの反骨精神みたいなものがEMPiREにはあると思っていて。その感じは「LET’S SHOW」以外にもストレートにぶつけている楽曲もあると思うんですけど、私はどっちかと言うと、それをEMPiREらしく言いたいというか。
──この曲のMVは山田健人監督が急遽撮りたいと提案して撮影したそうですね。
MAHO : 本当はアルバムの解禁映像の撮影だけの予定だったんですけど、山田さんが「LET'S SHOW」をMVとして出した方がいいと言ってくださって。急遽、限られたものの中で私たちを本当にかっこよく撮ってくださいました。
──決まった振付で魅せるMVでもないので、撮影は難しかったんじゃないですか?
MAHO : 音楽を流して、6人みんなでノッている感じで撮りました。難しい部分もあったんですけど、それもEMPiREの中で得意不得意があるんですよ。それが私はおもしろいなと思っていて。決められた振りをやるのが得意な人もいれば、ラフにやってかっこよかったりする人もいて。映像を観たら、それぞれ個性が光っていておもしろいなと思いました。
──9月からはクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉が始まりました。衣装も変わって、クラブのステージに立つと、パフォーマンスにも変化があるんじゃないですか。
MAHO : テンションが上がります。衣装1つ1つもツアーの思い出になっているし、記憶の1つになるし、スイッチが入って新しいツアーが始まるなという気持ちになるんです。エージェントも衣装を楽しみにしてくれているし、エンターテイメントの1つだと思って臨んでいます。
──クラブ会場とEMPiREの親和性は感じますか?
MAHO : クラブならではの照明や雰囲気の中でEMPiREの音楽とエージェントが音楽を楽しんでいる感じとかはすごいおもしろいなと思いつつ、正直、私はクラブとか行ったことがなかったから、あまりクラブというものを分かってはいないんですけど(笑)、〈EGP〉は今後も続けていきたいものの1つです。
その日を全力で精一杯やろうという本当にそれだけでした
──今年8月にはBiSHのメンバーの新型コロナウイルス感染によって、EMPiREが〈ROCK CIRCUIT 2021 in EZO〉と〈TOKYO BiSH SHiNE 7〉に急遽出演しました。一線で活躍しているバンドなどが出演する〈ROCK CIRCUIT 2021 in EZO〉への出演はいかがでしたか。
MAHO : EMPiREはこれまでアイドルフェス以外の音楽フェスに出ることが少なかったので、本当に初めましての人たちの反応がダイレクトに分かって、すごくいい経験になりました。私たちは誠意を込めてライヴをするだけだと思ってステージに立ったんですけど、他のアーティストのファンの方もたくさん一緒に踊ったり楽しんでくれて。そういう精神を他のアーティストのファンの方々もすごく持っているから、楽しくライヴをすることができました。
──Twitterを見ていても反響がすごかったですよね。それだけ自分たちのパフォーマンスが届いたり受け入れられた手応えもあったんじゃないですか?
MAHO : そうですね。ほとんどが初めて知ってくださった人だったのに、Twitterでもうれしい言葉をかけてもらったりして。突然のことだったんですけど、もっとたくさんの人にEMPiREを知ってもらいたいなと思えた機会でした。
──振り返ってみて、ちょっと不安もあった?
MAHO : 本当に突然で、エージェントたちが知ったタイミングのちょっと前ぐらいに出演が決まって。だからこそ、変に焦りすぎず、自分たちができることをしっかりと考えようと、みんなで話して北海道に行きました。
──その4日後に行われた〈TBS〉は、BiSHが毎年やっている恒例のイベントですが、そこに自分たちが立つのはどんな心境だったんでしょう?
MAHO : いろいろな考えがあった上で、私たちと豆柴の大群で開催しようという結論に至ったと思うし、私たちは私たちで来てくれる人をどれだけ楽しませられるかでしかなかったので、その日を全力で精一杯やろうという本当にそれだけでした。いろいろな想いがある中で来てくれている人たちが、少しでもその1日を一緒に楽しめたらいいなという思いで挑みました。
──EMPiREは、WACKの柱になるグループになっていると思います。自分たちの見られ方とか、WACKの中での自分たちのポジションが変化してきている感じはしますか?
MAHO : WACKもたくさんグループが増えてきているし、EMPiREはEMPiREの色を強くしていくことがWACKのおもしろさにも繋がると思っています。
──再びアルバムの話に戻ると、現行メンバーでEMPiREの代表曲を再レコーディングした音源全10曲もDiSC2に収録しています。全部歌い直したんですか?
MAHO : 全部歌い直しました。もともといたメンバーも全部歌い直しました。
──ライヴで何回も歌ってきている曲ですが、レコーディングという点で、意識や臨み方に変化あはありましたか。
MAHO : 初めてレコーディングした時は、誰かの前で歌うとか初めての瞬間だったからこそ、一発目のまっさらな状態のよさがあったと思うんです。そこからライヴでやっていくうちに、エージェントの反応があって、曲のイメージや想いが変わっていった部分もあるので、再録ヴァージョンは、よりみんなの気持ちがこもっているんじゃないかなと思います。
──「EMPiRE is COMiNG」は冒頭から変化を感じますが、他にMAHOさん的に変化を感じる楽曲を挙げるとしたら?
MAHO : 「アカルイミライ」は私が加入する前からある曲で、1回私も再録したんですけど、そこからさらにいろいろな時を一緒にして歌割りがちょっとずつ変わっていったんです。すごくライヴの情景が浮かぶというか、そういう変化があると思います。「MAD LOVE」はみんな喜んでくれるんだろうなと思いながら、エージェントのことを思いながら歌いました。
今の私たちを表したリアルなアルバム
──改めて、『BRiGHT FUTURE』は、MAHOさんにとってどんな作品になりましたか?
MAHO : 今の私たちを表したリアルなアルバムだなと思っています。分かりやすく見せたいEMPiREも、こうなっていこうって覚悟を歌っている曲もあれば、問いかけられているものがあったり。やるせなさや切なさとかもありつつ、「BRiGHT FUTURE」に向かっていくという、すごくリアルだなと思うアルバムです。
──渡辺(淳之介/WACK代表)さんの歌詞は、毎回メンバーへのメッセージに感じるような曲が多いですよね。そういった部分も感じますか?
MAHO : 渡辺さんとEMPiREが話す機会ってあまり多い時間あるわけじゃないから、私はいつも歌詞で話をしていただいている感覚なんです。今作もそう受け取っています。
──話を聞いていると、今作がかなりの自信作だなということが伝わってきますね。
MAHO : このアルバムは自分でもたくさん聴いていて。2年前の『the GREAT JOURNEY ALBUM』の時とは、確実に自分の中でいろいろな感覚が変わっているんです。変わったということを自分が感じられているということ自体が、すごく変わったなと思う部分だから、エージェントに楽しみにしていてほしいなと思っています。
──『the GREAT JOURNEY ALBUM』も名作ですが、どういう部分が大きく変わったんでしょう。
MAHO : 前作のアルバムはとにかく必死でした。作詞や振付も悩んで悩んで作り上げた感じだったけど、もうちょっと先のEMPiREを想像したり、ライヴをやることを想像して前向きな気持ちでできたアルバムなんです。
──メンバー同士のコミュニケーションも、変に気を遣わずにできるようになったとこれまでの取材で変化を話してくれていますが、今のメンバー間のコミュニケーションはどうですか?
MAHO : 無理して話し合いをする感じはなくて、ここはやっておかないといけないよねというタイミングで話したり、お互いの気持ちを確認し合ったりを都度都度しています。今はアルバム楽曲を、どういう振り付けがいいか話していて、こういうのを見せたいっていう話などを話したりしています。
──幕張メッセワンマン、改めてどんなライヴにしていきたいなと思いますか?
MAHO : 初めて来てくれる人もいるし、ずっと見てきてくれた人もいるし、誰にとっても最高の時間にしたいです。そう思えた結果が、これから先のEMPiREに繋がるものになると思うので。この先、もっとたくさんのエージェントと出会いたいと思うし、覚悟を決める瞬間があると思うんですけど、幕張はそういう日にしたいと思っています。
前回の記事はこちら
LIVE INFORMATION
〈EMPiRE'S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉
2021年11月23日(火・祝)@幕張メッセイベントホール
時間 : OPEN 16:00 / START 17:00
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