クラウドファンディングは音楽活動を救うのか?ーーYouth代表がノイズ・バンド非常階段と挑む夢の実現
2010年すぎくらいから日本でも話題になり、クリエイターが資金調達をする手法として定着しつつあるクラウドファンディング。達成したいプロジェクトの目標金額を設定し、それを支援したい人たちからお金を集め、目標額が集まったら実行、支援金額に対してお礼としてリターンをお返しする。アーティストとリスナーが透明性を持って一つのプロジェクトに向かっていけるというこの仕組み。でも実際どうやるの? と躊躇している人もいるかと思います。そんな方たちのために、株式会社Youthがはじめたサービスが「Rockin’ Cheer」。プロジェクトの企画立案、プロット制作、サクセスまで全面サポートしてくれます。
その第一弾として「Rockin’ Cheer」を使い公開されたのが、非常階段のプロジェクト。非常階段のドキュメンタリー映画を制作すべく375万円を目指し目標を設定。達成した暁には、これまで知られなかった非常階段が劇場にて公開されます。世界初のノイズ・バンドとして1979年に非常階段をはじめ、自身のレーベル・アルケミーレコードを運営し続けているJOJO広重がこのタイミングでクラウドファンディングにチャレンジする理由とは? 「Rockin’ Cheer」をスタートさせたYouth代表の高橋司とJOJO広重にじっくり語ってもらいました。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
Youth × クラウドファンディング「Rockin’ Cheer」プロジェクト開始
「Rockin’ Cheer」とは?
株式会社Youthが、プロジェクトの企画立案から、プロット制作、サクセスまで全面サポート。
サクセス後のリターン等の運用も責任をもっておこないます。
クラウドファンディングをやってみたいけど、どうやっていいかわからないという方へ。
Rockin’ Cheerはあなたの夢を全面的に最後まで支援します!
https://www.Youth-inc.co.jp/rockin-cheer/
第1弾プロジェクト 非常階段、ドキュメンタリー映画「極悪の教典 劇場版」
"キング・オブ・ノイズ"と称され、関西音楽シーン・日本ノイズ・シーンでその名を知らないものはいない伝説のバンド「非常階段」、初のドキュメンタリー映像を制作します!
2010年『非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE』、2013年『非常階段ファイル』の2冊のヒストリー本を元に映像にまとめあげた、ドキュメンタリー映画の制作を目指します。JOJO広重をはじめとする「非常階段」の主要メンバーが自らの音楽的半生をインタビュー形式で語る自叙伝、デビューから近年までの貴重なアーカイブ映像、新宿ロフトにおける伝説のライブなど、2014年に結成35周年を迎えた「非常階段」の金字塔にふさわしい驚愕の映像を収録。著名ミュージシャン、文筆家、アイドル、アーティストらのインタヴューやコメント映像も予定しています。
出演 : 非常階段
監督 : 宮本杜朗
https://camp-fire.jp/projects/view/1407
INTERVIEW : 高橋司 × JOJO広重
フジテレビのゴールデンタイムで裏ビデオ流してるようなもんっていうか
ーー「Rockin’ Cheer」とは、どういったサービスなんでしょう?
高橋司(以下、高橋) : クラウドファンディングの存在を知っていても、どうやってやっていいかわからない人って、案外多いと思うんですよ。そういう人のために、各プラットフォームを使って、プロジェクトの企画立案、プロット制作、追加のリターンなど、サクセスまで全てをサポートするプロジェクトです。キュレーション・チャンネルっていうんですけど、要するにキュレーションの仕事ですよね。
ーー高橋さんが社長を務めるYouthは、2006年から音源制作やレーベルなどをやられているわけですが、今までのやり方では通用しなくなった、そんな背景があってのことなのでしょうか?
高橋 : 今の音楽市場って3100億円くらいで、そのうちの85%がCDの売上なんです。クラウドファンディングの市場って日本に来て3年くらいなんですけど、去年の段階で8000億市場なんですね。言ってみれば、音楽業界って斜陽産業なんですよ。僕は80年代90年代が青春なんですけど、非常階段の新しいCDを早く手に取って聴きたいとか、持ってることがかっこいいと思っていた。例えば、非常階段はノイズで極悪なサウンドをやってるわけですよ。そうすると「俺は誰も聴かないようなアンダーグラウンドなものを聴いているんだぜ」とか、カウンター・カルチャーでサブカルであってインディーズだぜという意識があった。でも、いまのこの時代、JOJOさんはメジャーなんですよ。一番メジャーじゃない人がメジャーに欲しがられている。僕の感覚からしてみたら、フジテレビのゴールデンタイムで裏ビデオ流してるようなもんっていうか。そんなことがありえていいわけないんですよ!!
JOJO広重 : 俺は裏ビデオらしいです。
一同 : あははははは(笑)。
高橋 : 実際、それが今の音楽業界だと思っているんですよ。そんななかで模索した結果、原点に帰って自主制作する時代だなと思って。好きな人にソノシートを確実に届ける感覚というか、自分たちがやりたいものを、自分たちの力で、自分たちの求めてる人に直で届ける。そこだ!! と思った時にクラウドファンディングがぴったりくると思ったんですよ。一番最初にJOJOさんにそれをお話したら、すぐにプロジェクト案をいくつも出してくれて、一緒に試行錯誤して1月に具体的にスタートしたんです。
JOJO広重 : 僕は1970年代からこんなことやりたいっていうことがたくさんあって、それを35年かけてちょっとづつ実現しているんですよね。例えば、頭脳警察のPANTAさんとやってることだったり、フォーク・ミュージックの後ろからノイズが聞こえてくるようなものだったり。でも、タイミングだったり、お金の問題、人間関係の問題、権利の問題だったり、なかなかすぐにできないこともいくつかあるんですよね。特に予算面でできないことが多い。逆に言ったら、買ってくれる人がこれだけいるっていうのが見えれば作れるんですよね。アメリカのレコードマーケットが割とそういうものになってきていて、レコード会社に対してこれだけ買いますから再発してくださいっていうマーケットが徐々に成り立ちつつあるんですね。クラウドファンディングもそうじゃないですか? 「こういったアルバムがあれば僕ら買うんでどうか作ってください」と。ある意味、ユーザーがほしがってるものを形にするというのにかなり近いですよね。どちらかというと、僕らは今までこのアルバムはすごくいいものだから復刻しようってことをやってきたんですけど、それでも採算がとれるかどうかっていうのは博打的な要素があって、実はあんまり売れなかった、トータルで赤字だねっていうときがいっぱいあったけど、そのリスクを背負わなくていいという形がクラウドファンディングなのかなと思いますね。成立しなければ出さなければいいわけだから、赤字っていうことはない。
ーー確かに、欲しがってる人を把握したうえで出すっていうのは理にかなっている気がします。
高橋 : ひとりでも欲しがってるような人がいれば商品化したい思いはあるんですけど、僕らも継続していくためにはある程度リスクを軽くしていかないと次が出せないので、そういった意味で、ハードルをひとつ設けてお客さんに対して示しながら作っていけるきっかけになると思うんですよ。
ミリオンくらい売れていた時代はもう二度と来ないと思うんですよ
ーーこうしたプロジェクトって、非常階段とかニューロティカとかキャリアがあってあるからこそ達成できるんじゃないかとも思うんですけど、駆け出しのアーティストがやりたいんだっていったときに、ちゃんと成功できるんですか?
高橋 : 例えば、非常階段の場合、プロジェクトがドキュメンタリー映画を作るというもので、それなりの額が必要なんですね。その額の設定っていうのは人それぞれなので、そこはミニマムな金額にしつつ、プロジェクト自体をおもしろいものにする。そういうのはアイデア次第でいくらでもできますし、マーケティングとしての利用もあるので、そこからファンを増やすこともいけることだと思いますね。
ーーマーケティングとしての利用というのはどういうことですか?
高橋 : 結局、拡散していかないとサクセスしないんですよ。今まで9年間Youthをやって、いろんなレーベルと人を見ているんですけど、CDを出したらそれを売ってくれるもんだっていう感覚の人も多いんですよ。CDを出すとき最初にイニシャルっていう初回注文数を作るんですけど、何枚注文が来るかがわからないでプレスするんです。だから、1000枚売れるんじゃないかっていう目算で作っても、実は200枚でしたとか多々あるんですよ。そういうリスクを負ってる感があまりないというか見えなかったんですよね。クラウドファンディングは、プロジェクトをみんなで立ち上げるじゃないですか。今、これくらいの支援者がいますよって誰でも見れるし、目標金額に対してこれだけのお金が集まってますよっていうのが全部可視化できるというか、クリアなんですよね。それがマーケティングになるというか、みんなでチームになってるというか。
JOJO広重 : すごく正直な気がするんですよね。音楽業界でトラブルになっているのって、印税をもらってないとか、実際いくら売れてるのかレコード会社の人も実はわかってないとか、さっき言ったようのドカンと返品が返ってきて、こんだけ売れてると思っていたら実は赤字だったとか。僕は何十年もレーベルをやってきているわけで、アーティストもお客さんもわかってないっていうのがわかるんですよ。CDショップに平積みするのにも音楽雑誌に載るためにもお金が必要だなんて誰も思ってないじゃないですか。レコード会社が宣伝費を払って載せてもらってるわけで、そんなこと話したらすごくイヤじゃないですか。しらけちゃうというか。でも、クラウドファンディングっていうのはそうじゃないじゃないですか。明らかにはっきりしてる、予算も出ている、お金の使い道も報告しますよって仕組みになっている。儲からないかもしれないけど、非常にピュアな形で応援してる側とアーティストが繋がる。今のネットの時代ならではの新しい形で、しかもお金っていう非常に生々しいものが絡みつつも、ある程度納得できるっていうのは、なかなか他の商品とはまた違った流通だなって思いますね。
高橋 : 変な話、音楽ビジネスのなかで、音を作ってCDとかレコードを作って全国のショップに回すっていうのに無理がきてるんじゃないかなと思っているんですよね。
JOJO広重 : 無理ですね(苦笑)。
高橋 : まだ、みんな信じたくないんだと思います。それこそ、ミリオンくらい売れていた時代はもう二度と来ないと思うんですよ。だったら、こういうものを使って、みんな協力してくださいよっていう。寄付型だったりとかいろんな種類があるんですけど、今僕らがやってるのはリターンを買う形。なので、音楽ビジネスの新しいアプローチかなと思って僕はやっていますね。クラウドファンディングの金額が集まっているのをみて、JOJOさんの新しい面を見たと僕は思っているんですよ。
JOJO広重 : いやー、めっちゃ感動してますよ、今回。やっぱり、お金払うってすごくシビアなことじゃないですか? みなさんが仕事して、汗をかいて、嫌な思いもして、ようやく得た収入でしょ。その中から5千円でも1万円でも、上だと7万円とか出してくれてる方がいるってことは大感動で。こんなにAlchemy Recordsとか非常階段とのことを応援してくれる人がいたんだと思うと本当に泣きました。もちろん支援したいんだけど本当に500円もしんどいんだよっていう方が画面の向こう側にいらっしゃるのもわかってるんですけど、「非常階段のJOJOさんが映画つくろうとしてるんだ、ならカンパしよう」と思ってくれてる人がこんなにいるのかって感動しましたね。これは逆にいうとアーティストにとってもすごく励ましにもなるというか、モチベーションが上がることにもなると思うんですよね。
高橋 : そこだと思うんですよね。結局、今までは不透明すぎて人が見えなかったじゃないですか。JOJOさんのように30年一線で活躍してる人でさえ、そういうことに改めて気づけるってことが、クラウドファンディングのおもしろさだと思うんですね。あと、僕は実際専門学校で講師をやってるんですけど、ボーカロイドの曲やCDを作りましょうっていう授業で「君たちCDは買うの?」って聞いたら、好きなボカロPは買うっていうんです。どういう気持ちで買うの? って聞いたら、お布施ですっていうんですよ。自分たちが買わないと次を作れないからって。それを聞いたときに明らかに90年代と違うなって思ったんです。90年代はかっこよくて憧れで買ったんですよ。今の若い子たちは逆ですよね。音楽活動してほしいからとりあえず買っとこうみたいな。全体がそういう流れになっていて、買う側の意識も変わってる。そういうのに気付かなきゃいけないと思うんですよね。クラウドファンディングっていうのは、この人が活動するために応援してくれているってことが見えるわけですよ。こういう人たちのためにも続けなきゃいけないってわかる。そういう面では絶対やったほうがいいと思うんですよね、毛嫌いしてないで。
ーーそういう意味では、アイドルってTwitterでつぶやくとかブログを書くとか、すごくがんばるじゃないですか。逆に、バンドマンのブログって大体1ヶ月に1回更新してればいいくらいの感じだったりする。そんな状況で、高橋さんがバンドのクラウドファンディングのサポートにチャレンジしていくのは逆にリスキーであると思ったんですけど。
高橋 : この「Rockin’ Cheer」のひとつの理念っていうのが、本気の音楽を応援・サポートしましょうってことなんですよ。本気でやってる人たちが90年代は多くて、30、40代になってもやってる人たちがいっぱいいいる。いま言ったみたいに、アイドルでクラウドファンディングやってる人ってすごい多いし、サクセス率も高いんですよ。アイドルはパワーがあって、自分たちでチェキを撮ったりとかしているじゃないですか。それを見ると、バンドの人たちって、なんか元気ないなって思っていたので、リスキーと言われればリスキーかもしれないですけど、みんながやってない分、やったらハマるんじゃないかなと思います。
JOJO広重 : かっこ悪いと思う人もいるんでしょうけどね。非常階段は一番極端な例なので、これをひとつ見守ってもらえたらなと思っています。逆に、非常階段がやってるようなことは俺たちにはできないけどこういうのならできるなとか、こういう見せ方をすると新しくていいんじゃないかとか、きっかけになってくれたらいいなと。僕らは、あくまでテストケースというかショーケースなんで、もっと頭のいい人たちがによるおもしろい形がまだまだ出てくるんじゃないかと思いますね。
高橋 : そう、ひとつの考え方だけじゃなくていいと思うんですよ。今週新しいプロジェクトが出るんですけど、川上奈々美というAVの女の子が高校時代からバンドをやっていて、音楽が大好きなんですよ。音楽活動がしたいって気持ちがあったので、ニューロティカさんとコラボしてCDを発売するためのクラウドファンディングがあったり、THE KIDSって博多のバンドで50歳を超えてでまだ現役でやってるんですけど、80年代のときの自分たちのカセットテープが出てきたんで、そういうのをもう一回世に出すために、クラウドファンディングで当時の博多の人に呼びかけて復刻しようっていうプロジェクトだったりとか考えていて。やり方なんていくらでもある。OTOTOYさんとうちでコラボして、JOJOさんも絡めてクラウドファンディングとかっていう企画でもおもしろいと思いますし、なんでもできると思います。
僕らがこれだけ愛した音楽っておもしろいんだよっていうことを残したい
ーー音楽を語るに当たって、お金の話をすることがタブーみたいな感じってあって、それがバンドの人には強い気がするんですよ。
JOJO広重 : お金ってすごく俗っぽくなったり、それを出すとちょっと品がなくなっちゃうみたいなところがあるかもしれないですけど、逆にいうと、アンダーグラウンドのものとかアーバンギャルドのものとかは、特に儲からないですからね。海外だと、もうちょっとアーティストに対するステータスが高いので、国とか芸術団体が出資したりするんですけど、今は非常にきびしくて、まずそういった助成金なんかは下りない。ある程度お金を生み出していかないとに次の繋がっていかないし、シュリンクしていくことになってしまうっていう状況にずいぶん前から気がつていて。サラリーマンでやっていって、そちらの身銭を切って何かつくっていくのもひとつなんですけど、それだと僕のなかで納得いかなくて、やっぱり自分たち側がある程度自分たちの活動費を捻出していくような形を考えないと、情けないなっていうのをずっと昔から思っていて。
高橋 : その話を聞いて思うんですけど、JOJOさんの年代は働かない不良的な人たちがいっぱいいても、多分なんですけど、夢はあったと思うんですよ。売れてやろうぜ的なものがあったと思うんです。で、世に音楽ビジネスが生まれたのってビートルズぐらいかなと思うんですよ。ってなると、音楽ビジネスが根づいて、たかだか50年くらいですよ。その先の歴史がまだないんですよ。それが、最近やっと未来が見えてきたというか。
ーーなんか、いまのところ明るい未来ではなさそうですね…。
一同 : (笑)。
高橋 : いまの60代、70代を見たときに、ああいう70代になりたいと20代の人が思うかって考えることがあるんですよ。ロックのかっこいい人たちは、歳をとったらああなるのかって。やっと老後が見えてきた。普通の商社とかに勤めている人たちだったら、80代になったら蓄えを生かして、素晴らしい未来がまってるじゃないですか。年金もちゃんと出てるぞって。でも、ミュージシャンなんてまず払えないじゃないですか。そういう老後を暮らしたいか、なりたいかと思ったときに、音楽ビジネスをやっているアーティストってかっこいいのか? っていうとこに差しかかってるんじゃないのかなと思ってるんですよ。若い子たちは音楽にあんまり夢もってないんですよね。
JOJO広重 : 僕はこのプロジェクトでね、そこを映画にして残したいんです。非常階段みたいなアンダーグラウンドでめちゃくちゃやってきた人たちが、実は今アイドルたちと最前線でやっていて、君たちと同じなんだよって。本当にこのレコードおもしろいぞ、同人誌も作ろう、自分たちで漫画も描こうみたいなことをやっていた人たちが、今もこういうふうに形として残してるんだから、君たちもいけるんだよって、そこをすごく残したい。僕は好きな音楽をずっとやっていれば楽しくって、大金持ちにはなれないけど、俺の人生おもしろかったなって死ねるんだよって思いたい。そこの途中経過報告じゃないけど道筋を残したいなと思って、この映画を作りたいんですね。いわゆる、アーティストの俺自慢みたいな映画にはしたくないし、音楽の振り返り系のドキュメンタリーにもしたくない。僕らがこれだけ愛した音楽っておもしろいんだよ、もっといろんなやり方があるんだよ、夢はまだまだ続くんだよっていうことを残したいんです。
ーーここ数年、非常階段の書籍が出版されたり、活動をアーカイブすることに積極的に見えるのですが、そういうことを意識されていたんですね。
JOJO広重 : 最近、自分死んだ後のことをずいぶん考えるようになって。特に大物ミュージシャンがどんどん亡くなっていくじゃないですか。そういったなかで、書籍であるとか映像、音源を、きっちりアーカイブしていく必要があるなと。実は裏では執筆であったりアーティストの交渉であったりマスタリングであったり、そういったことをしていることも多くて、自分の後半の人生はそういうことを残すことが必要なんだなと思ってます。そこにクラウドファンディングなんかをうまくミックスしていけたらいいなと。全面的にこれがいいとか、新しいビジネスなんて言うつもりもないですけど、ひとつの取っ掛かりになるんじゃないかと思います。例えば、ヤフーオークションなんて10年くらいしかないじゃないですか。でも今普通に個別に物を売ったりしてるますよね? そういったものになっていくんじゃないかと。
高橋 : インターネットは普及が早いですよね。
JOJO広重 : 僕はインターネットがない時代からはじめてるので、こんな未来がくるとは思わなかった。このクラウドファンディングは世の中の一つの定番になれるような、今それがはじまりかけてるようなそういう瞬間だと思うんですよね。だから、注目してもらいたいなと思うんです。
高橋 : 今、READYFORで、エヴァンゲリオンのロンギヌスの槍を月に打ち込むプロジェクトをやっていて1億円の設定をしていて、もう30%近くいってるんですよ。そんなくだらないことですけど、おもしろいじゃないですか。海外には、10億、20億のプロジェクトがいっぱいあるわけですよ。日本だとまだ3000万くらいが一番上なので、エヴァンゲリオンのプロジェクトが1億円を達成したら日本のクラウドファンディング自体がおもしろくなるんじゃないかなと思います。
JOJO広重 : 俺はそんなに大きなのは考えられないけど、ヴァン・モリソンを日本に呼ぼうとかってことをしたくて(笑)。みんなでヴァン・モリソンを呼ぶためにライヴしようぜって。これをきっかけになんかのバンドが再結成してもいいじゃない。
ーーそういう夢みたいなことが全部達成できる可能性もあるわけですもんね。
JOJO広重 : あと、そこには民間の力みたいなものがあったりするじゃないですか。この前Twitterで書いたらすごくリツイートされたんですけど、実はクロネコヤマトって、宅急便ひとつにつき10円を寄付していて、実は480億、震災に寄付してるんですよ。クロネコヤマトっていう企業がすごいんだけど、それに参加したのは実はみなさんですよっていうね。そういうふうに、支援した人たちが自然な形で参加できるものになっていくといいなって思いますね。
俺とそっくりな子役がドラマやってたら、滅茶滅茶腹を抱えて笑うじゃないですか
ーー本当に方法はいろいろ考えられますね。非常階段のプロジェクトのこともお聞きしたいんですけど、今回作られる映画は音楽以外の部分もドキュメンタリーで入ってきているんですか?
JOJO広重 : もちろん、もちろん。ライヴの映像を見せることは欠かせないと思うんですけど、結局僕は35年かけて何をやってきたんだろうっていうのを明確にしたい。音楽業界とか、未来にあんまり希望を持てない時代とか言われているけど、僕が青春時代を送った70年代が生きやすい時代かといわれればそうじゃなくって、みなさんの方がよっぽど生きやすい時代を生きてるわけで、何十年かかるものもあるかもしれないけど、夢っていうのは実現できるし、楽しく生きられるんだよってことをちゃんと伝えたいですね。映画にして、それを残せたらなって思います。
ーー具体的にどんな感じの映画になるんですか?
JOJO広重 : 予算にもよるんですけど(笑)、予算がたくさん集まったら、ドラマ内ドラマみたいに子どもの頃のJOJO広重を子役にやってもらおうと思っていて(笑)。微妙に俺に似てる子役と美川さんに似てる似ている子役を揃えてケンカさせたりとか。映画のナレーションはぜひハカイダーをやってる飯塚 昭三さんに、とか夢があるんですよ。非常階段の『蔵六の奇病』とかそうじゃないですか。一番夢中になった一番怖い漫画家の人が自分のジャケット絵やってくれたらかっこいいな!! とか、ごく普通にみんなが思う気持ちなんですよね。だから、今回の映画も当然そういった内容にしていきたいたいんです。そのためにお金がいるので、みなさんよろしくお願いします。別に儲けたいわけじゃないんですよ。考えたらおもしろいんですよ、俺とそっくりな子役がドラマやってたら、滅茶滅茶腹を抱えて笑うじゃないですか。あんまりバラしたくないのでこのへんにしておきますが、そんなアホなこと考えているんですか? みたいなことばっかです。実はおばかなことをいっぱい考えてます。
ーーこういう話って、バンドマンとか音楽を好きな人って絶対話してることですよね? それを酒の席の笑い話じゃなくって、実現していけるっていうのが夢ありますよね。
高橋 : 夢を叶えるパワーってやっぱいいじゃないですか。
JOJO広重 : 実際、KISSとももクロが一緒にやる企画は俺のパクリだと思ってるんですよ(笑)。もちろん、3月3日は観に行きますよ。3階席から声を大にして言います、俺の真似しやがってって(笑)。あれだって夢じゃないですか? それこそ、ポール・マッカートニーと俺が一緒にやるのだって夢だけど、それも実現しないってことないでしょ? それを小さなレベルからでも示していきたいなって。いわゆる、通常の音楽ドキュメンタリーとは全く違うものになると思います。期待しててください。
第1弾 非常階段、ドキュメンタリー映画「極悪の教典 劇場版」
"キング・オブ・ノイズ"と称され、関西音楽シーン・日本ノイズ・シーンでその名を知らないものはいない伝説のバンド「非常階段」、初のドキュメンタリー映像を制作します!
2010年『非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE』、2013年『非常階段ファイル』の2冊のヒストリー本を元に映像にまとめあげた、ドキュメンタリー映画の制作を目指します。JOJO広重をはじめとする「非常階段」の主要メンバーが自らの音楽的半生をインタビュー形式で語る自叙伝、デビューから近年までの貴重なアーカイブ映像、新宿ロフトにおける伝説のライブなど、2014年に結成35周年を迎えた「非常階段」の金字塔にふさわしい驚愕の映像を収録。著名ミュージシャン、文筆家、アイドル、アーティストらのインタヴューやコメント映像も予定しています。
出演 : 非常階段
監督 : 宮本杜朗
https://camp-fire.jp/projects/view/1407
第2弾 マイコーりょうの成長をドキュメンタリー&パロディで映画風に再現
マイケルジャクソンインパーソネーター『マイコーりょう』の成長をドキュメンタリー&パロディで映画風に再現
マイケルジャクソン亡き後の世界を、
マイケルのインパーソネーター(なりきりタレント)として生き抜くマイコーりょう。
そのインパーソネーターライフを
ドキュメンタリー&パロディで映画風に再現したDVD作品を制作します!
https://www.Youth-inc.co.jp/rockin-cheer/project_maikoryo/
>>>続々プロジェクトが発動中!! こちらからチェックを!!
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PROFILE
非常階段
日本が世界に誇るノイズ・バンド。1979年にJOJO広重、頭士奈生樹によって京都で結成。轟音と即興演奏というコンセプトで世界初のノイズ・バンドとしてスタート。頭士脱退後はT.美川など大勢のメンバーが参加し、80年代にその過激なライヴ・パフォーマンスでインディーズ・シーンの歴史に名を残すバンドとなる。「キング・オブ・ノイズ」という呼称を受けるほどのその爆音とワイルドなステージングは日本国内のみならず、世界中にそのノイズ音楽を広める結果となった。ソニック・ユースのサーストン・ムーアなど、海外のアーティストからも強烈なリスペクトを受けている。海外公演、坂田明などフリー・ジャズの面々との セッション、スターリンから初音ミク、BiSまで幅広い合体ユニットなど、ノイズを最大限に活用した音楽活動は結成35年を過ぎてもまだまだとどまることを知らない。30枚組CDBOX、メジャーや海外からのアルバム・リリースなど作品も多数発売されている。
特にボーカロイドの初音ミクをフィーチャーしたユニット「初音階段」は初音ミクに扮するレイヤー"るしゃ"もステージに登場、話題を呼んだ。またアイドル・グループBiSとの合体バンド「BiS階段」も、アイドルとノイズの融合に加え、過激なステージ・パフォーマンスでシーンに衝撃を与えている。最近はアイドル・グループ「ゆるめるモ!」ともコラボ・ライヴやレコーディングを行い、各方面で精力的に活動している。