にじみだす「和」ーー世界のコンテストを制したロックンロール・バンド、花ト散るらんが、2ndアルバムを持って凱旋デビュー!!
こんな形の叩き上げバンドがいただろうか? 大きな舞台に立ちたいという動機から応募した世界最大級のアマチュア・バンドのコンテスト「Emergenza Festival」の日本大会で優勝し、ドイツの「Taubertal Festival」でも日本人初の世界優勝、そしてドイツ、フランス、イタリアとツアーを敢行、カナダ・ケベック州のロック・フェスへも出演するなど、世界を舞台にライヴを重ねながら活動を続けてきた4人組ロック・バンド、花ト散るらん。バンドのテーマとして「和」をかかげているものの、安易な日本的要素を取り入れるのではなく、現代の日本の「和」がにじみ出るような試行錯誤をしながら、いまのスタイルを作り上げた。そんな彼らによる渾身の2ndアルバム『S×M=』を配信開始!! 日本における本格的デビューを果たす。一体どのような旋風を巻き起こすのか? 日本での本格始動を目前とした4人にインタヴューを行い、バンドについて迫った。彼らの快進撃は、ここから加速していく。
「和」がにじみだす本格的ロックンロール
花ト散るらん / S×M=
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV、mp3
【価格】
単曲 250円(税込) / まとめ購入 1,350円(税込)
【Track List】
1. C.A.N.D.Y / 2. 散らしてるだけ / 3. 東京エデン
4. DANCE / 5. what’s up / 6. メリーゴーラウンド
7. JUMP / 8. しんとして / 9. 花の散るらむ
INTERVIEW : 花ト散るらん
ーー「花ト散るらん」というバンド名がとても印象的ですよね。これは、いつ頃つけられたバンド名なんでしょう?
夕美帆 : たしか、2008年頃ですね。ギターのコケシさんの実家が四国なんですけど、みんなで車で遊びに行く道中、百人一首の句から取ったんです。その前は縁(えにし)ってバンドをやっていたんですけど、バンド名を変えようって盛り上がって。
ーーそもそも、夕美帆さんとコケシさんの出会いはいつ頃になるんでしょうか?
竹内コケシ(以下、コケシ) : 元々自分が別のバンドをやっていて、彼女はR&Bシンガーをやっていたんです。当時、彼女の事務所の方針で「ロックをやろう」ということになり、僕がギターとして呼ばれたんです。リズム隊も別の所から引っ張ってきたので、正直組まされたような感じで最初は始まりました。
ーーとはいえ、そこからずっと一緒にやってきたってことは、お2人の相性がよかったんでしょうか?
夕美帆 : そうですね(笑)。
コケシ : 彼女はR&Bをやってたんですけど、ロックの気質にあっていて。いろいろ参考にしようとCDを貸したら飲み込みが早いし、彼女が好きだっていうアーティストや曲も僕の感性と似ていて。
ーーちなみにどんなCDを貸していたんですか?
コケシ : あの頃は個人的にUKが好きだったので、レディオヘッドとクーラシェイカーとか。特に、ちょっと民族的な要素があるのが好きだったんですよね。だから、このバンドにおいて共有したい音は洋楽ばっかりでしたね。
ーーバンド名もそうですけど、日本的要素を前面に出そうとしていると思っていたので、それは意外ですね。和洋折衷じゃないけれど、新しいものを作ろうということは考えていましたか。
コケシ : それは、相当意識していましたね。彼女に和風なところがあったので、そこは意識したんですけど、和風のバンドって、やってみるとすごく難しくて。こってりしちゃうし、そうなると変な感じになってしまうんです。誰もやってないような和風バンドってどういうものだろう? って考えて、こってり和風の演奏にファンクとかを取り入れたりとか、演歌を混ぜるとか試行錯誤しました。
夕美帆 : あと、ただ着物を着たり正装したりするだけじゃおもしろくないじゃないですか? せっかく違うジャンルが好きな人たちが集まってるので、なにか組み合わせてみたいなっていう想いがあったんです。
ーーなるほど。和っていうのが一つのテーマにあったとしても、バンド名を変えるっていうのは大きなイメージの変化になると思うんですね。新しい風をバンドに吹き込みたいタイミングでもあったということなんでしょうか?
夕美帆 : そうかもしれないですね。縁って漢字が読めなくて「みどり」って呼ばれたり、着物を着ていることによってジャンルを特定されてしまうというか、そこから抜け出したい気持ちはありました。
ーープロフィールには、ミュージカルやヒップホップとのコラボレーションをしてきたと書かれていますが、これはどういうことをされたんでしょう。
コケシ : 例えば、下北沢って劇団が多いじゃないですか? そこの舞台で弾き語り役として彼女が参加したり、その経験を楽曲に取り込んで、劇調のライヴをやっていた時代もありました。ヒップホップに関しては、対バン相手に自分たちの楽曲にラップで参加してもらったりとかですね。当時の楽曲が、だいぶこってりとした和の曲だったんで、合うかな? っていう不安もあったんですけど、カッコよく決まって。
ーーこってりした和を出さないようにしてたっていうことは、意識してもやっぱり出ちゃうものだったんですか?
コケシ : そうなんですよね(笑)。僕たちは「和風を意識したバンド」じゃなくて、「和風がにじみ出るようなバンド」になりたくて。和ってなんだろう? って考えていた頃は、狙ってそうしていたんです。でもいまは、ほっておいても出てくるものだと思っていて。それこそ着物じゃなく、スーツでやってたりもしますし。そういうふうに考えを変えていったんですよね。
夕美帆 : あと、海外に出ることによって、日本に対する気持ちは強くなりましたね。
忍者がスーツを着てスマホを操作しているような、そんな混ざり方
ーーいま話にでましたが、花ト散るらんは、世界25カ国100都市で開催される「Emergenza Festival」の日本大会で優勝、そしてドイツの「Taubertal Festival」で日本人初の優勝されていますよね。なぜ日本のライヴハウスを中心に活動するのではなく、海外に出て行こうとしたんでしょうか?
夕美帆 : それは、たまたまですね(笑)。
コケシ : 詳しく話すと、コンテストを受けたのがきっかけなんです。それもコンテストの決勝が渋谷のO-EASTだったから、というくらいの理由で。そこまで大きいステージに立ったこともなかったし、ノルマもなかったんで、気軽に申し込んじゃったんです。そしたら知らぬ間にドイツのステージ立ってましたね(笑)。
ーーあはははは。それだけ実力があったうえで、気負いなくできたのが、パフォーマンスに繋がったのかもしれないですね。そのコンテストで評価されたのはどこだったかは聞いたりしましたか?
夕美帆 : ステージ・パフォーマンスはとにかく評価されましたね。あと、外国の人たちからみたらやっぱり着物を着てたりっていうのはおもしろかったんじゃないかなと。
ーーパフォーマンスっていうのは着物着る以外にはなにかされたんでしょうか?
夕美帆 : 踊ったりしましたね。
コケシ : 飛んだり跳ねたりステージの上ゴロゴロ転がったり。着物とのギャップがよかったんだと思います。このコンテストの世界大会の決勝の評価を見たんですけど、すべての項目がほぼ満点で圧勝だったんですよね。
ーーそれはすごいですね。世界を舞台に評価されたことによって、バンドをどうしていこうとか考えましたか?
夕美帆 : うーん。どちらかというと、周りのお客さんや家族の方が期待が大きかったりして。自分たちはそこまで意識しなかったですね。
コケシ : むしろ、あまりにも評価が高すぎたので、課題が見つからなかくて、おもしろくなかったですね。
ーー逆にどこを目指せばいいかわからないみたいな?
コケシ : そうですね。もちろん嬉しかったんですけど。評価されたことによって、後は気楽にやればいいのかなって思うようになりましたね。
ーー2011年にはドイツ、フランスツアーを行っていますがこれはどういう経緯で?
夕美帆 : それがいわゆるコンテストのご褒美みたいなやつですね。ジプシーじゃないですけど、一個のトラックに4人で乗って、ずっとツアーをまわりながら生活していたので、おもしろかったですね。
カルタ : 最初がドイツのミュンヘンで、最後もミュンヘンだったんですよ。最初のときとは違うお客さんが最後は見にきてくれたりして。そういうのを観ていて盛り上がったのかなって思いました。
ーー2012年のイタリア・ツアーは賞は関係なく行ったんですか?
コケシ : それは今の事務所を通じて知り合った音楽専門のイタリアの弁護士の方が気に入ってくれて、それでツアーを組んでもらったんですよね。
ーーそういうリクエストもそうですけど、「和」の部分が海外でも評価されるようになった実感はありましたか?
コケシ : そうですね。日本の女の子も、和っていうのよく知らなかったりするじゃないですか? 例えば、自分で着物を着れる子がそんなにいなかったり、作法とか全然知らなかったりするんですよね。だから和を意識すると、侍とか忍者を演じるかのようになっていくんですけど、僕が意識したかったのは忍者がスーツを着てスマホを操作しているような、そんな混ざり方で。だからこそ伝わったのかなって。忍者や侍になると海外の方のほうが詳しかったりするんですよね(笑)。
夕美帆 : あと、いまの日本のロックみたいなのは意識してますね。タトゥーとかが入ってたりするのが分かりやすいロックじゃないですか? でも女の人の演歌とかもすごいロックだと思うんですよ。あの「待つ」とか「耐え抜く」精神みたいなのって。日本のロックの形っていうのを向こうに持っていって、少しでも評価されたらいいなって思いはありますね。
過激にSMというものを繋げてみて、足さずに掛けてみたんです
ーー曲作りについて聞きたいんですけど、夕美帆さんとコケシさんでそれぞれクレジットがありますよね。どういうふうに作られているんでしょう。
夕美帆 : 私が作るときは、弾き語りで作ったものを持っていって、そっからアレンジをしていく感じですね。
コケシ : 自分もギターのコードとメロディだけですかね。僕の場合はだいたいの歌詞を付けてから持っていきます。
ーー曲中にあるファンクのような要素は意識して取り入れているんでしょうか?
コケシ : 作曲のときには意識しないですけど、編曲する時には相当意識していますね。
ーーそこにはどういう意図があるんでしょう?
コケシ : スピードのあるファンクと日本の歌謡、演歌の組み合わせって、あまり聴いたことがなかったので、それを合わせてみたかったんですよね。僕たちって、編曲にとにかく時間がかかるんですよ。誰かがこれを試したいってなったら、全部試していくので。僕も作曲って、そんなに難しくないと思っていて。そこに対して「どういう服を着せるか?」が大切だと思っているので、編曲にはすごい時間をかけてますね。
ーーちなみに今回5曲目の「What' up」は4 Non Blondesのカヴァーですが、なぜこの曲を選んだんでしょう。
夕美帆 : 結成前に1人で歌いたいと思ったときに、当時カヴァーしてたのがきっかけですかね。最近は自分で曲を作るようになって歌わなくなったんですけど、海外に行くようになって、新しいアルバムを作るってなったときに、なにかカヴァーが入っててもいいかもねって話になって。で、この曲を選んだんです。
ーーなるほど。アルバム・タイトル『S×M=』にはどんな意味があるんでしょう。
コケシ : 1stアルバムのタイトルが『汚い美人』っていうんですけど、これは夕美帆がパッと出したタイトルなんですね。それが自分はすごく気に入って。
ーーたしかに、どっちなんだろうっていう違和感がありますよね。
コケシ : そのときに思ったのが、自分たちは、世界観が真逆のものや、本来みんなが合わせないようなものを合わせたりとかしてるので、それをタイトルにしたらいいんじゃないかって。ちょっとセクシャルな歌詞もあったりするので、過激にSMというものを繋げてみて、足さずに掛けてみたんです。なのでイコールの先が謎のままっていう。だから、次も真逆のものの組み合わせになるかも知れないですね。
ーー今後の花ト散るらんはどんな方向に進んでいきたいと思いますか。
夕美帆 : とにかく日本でがんばりたいですね。行ったことない国も沢山あるし、知らない人たちも沢山いるんですけど、海外に行ってる場合じゃないというか。
ーー逆にまだ日本は全然回りきれてないということですか?
夕美帆 : そうですね。ほとんど東京でしかやっていないので、この間千葉で初めてライヴをやったのが新鮮でした。
ーーそれは逆に珍しいですよね。これだけ海外でライヴしているのに、日本はほどんどやっていないっていう。これから日本を回っていく上で、意気込みみたいなものはありますか。
ロッシ : とにかくコツコツがんばっていこうと思います。
夕美帆 : やってやるぞって感じですね。YouTubeや音源では体感出来ない部分をやっぱりライヴハウスで届けたいと思っています。
カルタ : いろんなところにいって、いろんな人に聴いてもらいたいっていうのが1番ですね。とりあえず見てもらわないと始まらないんで、やっぱり生で見てもらいたいです。僕らもこれからどんどんいろんなところに出て行きたいです。
コケシ : 時間をかけて、ゆっくりこういうふうに変化をしてきて、いま、いいものができていると思うんです。実際評価も頂けるようになったので、後は広めるだけですね。とにかくそれ一心です。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 雨宮透貴
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LIVE SCHEDULE
2014年9月23(火)@京都MUSE
2014年9月24日(水)@大阪 阿倍野 ROCK TOWN
2014年9月25日(木)@兵庫 神戸VARIT
2014年9月26日(金)@大阪 南堀江Knave
2014年9月28日(日)@名古屋 SiX-DOG
2014年10月13日(月)@千葉 稲毛K's dream
2014年10月30日(木)@千葉LOOK
2014年11月5日(水)@渋谷 egg man
2014年11月14日(金)@渋谷 BURROW
花ト散るらんワンマンショー『S×M=LIVE』
2014年12月18日(木)@渋谷egg man
PROFILE
花ト散るらん
2008年に結成。夕美帆(ボーカル / ギター)、竹内コケシ(ギター)、柳山カルタ(ベース)、小林ロッシ(ドラム)による、和を核としたロックが魅力の日本のオルタナティブ・ロック・バンド。2010年の「エマージェンザ・ミュージック・フェスティバル」における日本優勝、世界優勝を皮切りに、ドイツ、フランス、イタリア、カナダへと確実に世界へ活動のフィールドを広げ、ワールド・ワイドにオーディエンスを熱狂させてきた。