JP2015116596A - 熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents

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【課題】熱延鋼帯(特に、高強度熱延鋼帯)を製造するに際して、その全長にわたって機械的特性や品質を適切に均一化させることができる熱延鋼帯の製造方法を提供する。【解決手段】Mn:2.0〜3.0質量%を含有する鋼を熱間圧延して鋼帯となし、該鋼帯をコイル状に巻取った後、常温まで冷却する際に、前記巻取りを終了してから常温まで冷却する過程で、金属組織がオーステナイト相から他の相に変態する熱延鋼帯の製造方法であって、鋼帯の先端部または/および尾端部の巻取り温度を鋼帯の中央部の巻取り温度に対して50〜300℃高温にすることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、熱延鋼帯(特に、高強度熱延鋼帯)の製造方法に関するものである。
一般熱延鋼帯では、熱間圧延され、所定の巻取り温度まで冷却され、コイルに巻き取られるまでの間には、フェライト+パーライトへの変態はほぼ完了している。
一方、近年、高強度・高伸び、高ヤング率など、様々な機械的特性に優れた鋼板が開発されており、CやSi、Mnなどの強化元素を多量に含んでいる高強度鋼板素材の熱延鋼帯(高強度熱延鋼帯)の場合には、これらの添加成分によってフェライト変態が遅延するため、巻き取った時点では変態が完了しないか、ほとんど変態が進行していない。こうした強化元素を含有した高強度熱延鋼帯の場合、熱間圧延され、巻き取られた後、次工程への搬送途中および/またはコイルヤードにおいても変態を起こすことになる。
これによって、特に、熱延後の冷却速度が大きい熱延鋼帯先端・尾端(熱延コイルの内周・外周に相当する箇所)は硬質になる。その結果、冷延時の荷重が大きくなる、あるいは巻き周期に応じた硬さの変動が生じるなど、圧延速度を低下させたり、寸法精度や伸びなどの機械的特性において要求特性を満たさない箇所が生じ、歩留まりの低下を招いたりする。
従来、こうした課題を解決するため、熱延鋼帯の機械的特性や品質を全長にわたり均一化させる技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、熱延鋼帯を巻取った直後の熱延コイルを、搬送装置および/またはコイル置き場において冷却するに当たり、コイル外周面のコイル置台または地面に接する部分と接していない部分の冷却速度を等しくするよう、接している部分を加熱する、あるいは、接していない部分を強制冷却する方法が開示されている。
また、特許文献2には、830〜950℃の条件で熱間圧延し、650℃までの温度域を平均20〜90℃/sで冷却し、その後、470〜640℃の温度域にて巻取る際の該巻取り温度までの平均冷却速度を5〜30℃/sで冷却する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、鋼板先端部と巻取り機のマンドレルが接触して冷却されることによる機械的性質の変動を抑え、「すりかき疵」を防止するために、鋼板先端部を巻取り機のマンドレルに到達する以前に残部より40〜80℃低い温度に冷却する技術が開示されている。
なお、[発明を実施するための形態]の欄において、下記の非特許文献1を引用するので、ここに併せて記載しておく。
特開2013−81990号公報 特開2013−76117号公報 特開平7−124621号公報
金属用語辞典(編著者 金属用語辞典編集員)
しかしながら、上記の特許文献1〜3には以下のような問題点がある。
特許文献1の方法は、加熱あるいは冷却設備を新設して、強制的に冷却履歴を等しくする方法であるが、新たな設備投資を必要し、エネルギー面もコストアップする他、局所的な加熱・冷却のため特に外気と接触する熱延コイルの最内周、最外周において表面品質が他の部分より劣化しやすい。
特許文献2の方法は、巻取り前に十分な時間的余地を設けることによって、フェライトへ変態させる方法であるが、熱間圧延ラインは粗圧延から巻取りまでの連続ラインであるため、仕上げ圧延の出側から巻取りまでの間にそれだけの時間的あるいは距離的な余地を設けることは現実的には不可能である。
特許文献3の方法は、巻取り時の冷却を制御することによって、全長で均一な機械的特性を得ようとする技術であるが、一般熱延鋼帯を対象としており、高強度熱延鋼帯のような変態が巻取り後の冷却中に生じる場合には効果がない。
本発明では、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、熱延鋼帯(特に、高強度熱延鋼帯)を製造するに際して、その全長にわたって機械的特性や品質を適切に均一化させることができる熱延鋼帯の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]Mn:2.0〜3.0質量%を含有する鋼を熱間圧延して鋼帯となし、該鋼帯をコイル状に巻取った後、常温まで冷却する際に、前記巻取りを終了してから常温まで冷却する過程で、金属組織がオーステナイト相から他の相に変態する熱延鋼帯の製造方法であって、鋼帯の先端部または/および尾端部の巻取り温度を鋼帯の中央部の巻取り温度に対して50〜300℃高温にすることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
[2]鋼がC:0.03〜0.2質量%を含有することを特徴とする前記[1]に記載の熱延鋼帯の製造方法。
[3]熱間圧延を終了してから巻取りを開始するまでの間の鋼帯の冷却条件を鋼帯の長手方向で制御することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の熱延鋼帯の製造方法。
本発明においては、熱延鋼帯(特に、高強度熱延鋼帯)を製造するに際して、その全長にわたって機械的特性や品質を適切に均一化させることができる。その結果、製品歩留まりを向上させることが可能になる。
本発明と従来技術におけるCCT線図を比較した図である。 本発明と従来技術における巻取り温度分布を比較した図である。 本発明と従来技術おける巻取り後の温度分布変化を比較した図である。
以下に本発明の詳細について説明する。
鋼の冷却中の変態や、冷却後の組織を予測するために、連続冷却変態線図(以下、CCT線図;Continuous Cooling Transformation curve)が広く用いられている。CCT線図は、ある組成の鋼をオーステナイト状態から色々な冷却速度で常温まで連続冷却した際、途中で起こる変態の温度と時刻を記録したものであり、連続冷却過程で得られる組織や機械的性質を推測できるものである(非特許文献1)。このため、鋼の冷却履歴をCCT線図内に描いた際に、冷却曲線がどの連続冷却変態曲線(以下、CCT曲線)を横断するかにより、冷却時の金属組織を推定することができる。そのため、冷却開始温度が同じでも異なるCCT曲線を横断すれば異なる組織となり、冷却履歴が異なっていても同一のCCT曲線を横断すれば、同じ金属組織を示すと言える。
ところで、本発明で対象とするMnを多量に含んでいる高強度熱延鋼帯の場合には、一般的な熱延鋼帯とは異なり、CCT曲線のフェライトノーズがCCT線図中の比較的長時間側(10〜10秒)に存在しているため、組織を決定付けるのはコイル状に巻取った後の冷却過程であり、これを鋼帯全長で等しくすることによって、冷却後の金属組織は鋼帯の長手方向の位置によらず均質になると考えられる。
しかし、熱延鋼帯はある一定の温度で巻取るのが通例であり、この場合、常温まで冷却される際、空気や水など抜熱媒体に接触しているコイルの内周部および外周部は早急に冷却され、一方で、コイルの中央部は、内周部および外周部からの熱伝達により、ある程度の時間保熱されるという冷却履歴の差異が生じる。このような冷却履歴の差異から、本発明の対象鋼種のように、特にCCT曲線のノーズが長時間側(10〜10秒)に存在する鋼種では、冷却後にコイルの内外周部と中央部では異なる金属組織を形成してしまう。この金属組織のコイル長手方向(鋼帯長手方向)の差異によって、鋼帯の機械的性質(硬さ、伸びなど)や寸法、表面性状がコイル長手方向(鋼帯長手方向)で変動するため、冷却履歴の差異は最終製品の歩留まりを悪化させる一因となっていた。
これらの改善方法を検討した結果、鋼帯のいずれの位置においてもCCT曲線を横断する箇所のみが一致するように、その地点までの冷却履歴を鋼帯の長手方向の位置によって変化させることで、全長で均質な金属組織(フェライト分率のばらつきが小さい金属組織)の造り込みが可能であることを見出した。図1にその考え方を模式図で示す。すなわち、図1(a)が従来パターンであり、図1(b)が本発明パターンである。
さらに、熱延鋼帯の全長で同一のCCT曲線を横断するような冷却履歴を実現するための具体的な方法について検討した結果、鋼帯の冷却開始温度に相当する「巻取り温度」を熱延鋼帯の長手位置によって変更することが最も工業的に有効であった。以下にその詳細を述べる。
まず、対象とする鋼素材について述べる。
一般冷延鋼帯の母材となる熱延鋼帯の巻取り後の組織は、フェライト+パーライト組織であることが普通であるが、高強度鋼帯の場合、焼入れ性を高める元素を添加しているために、巻取り後の組織はベイナイト組織であることが多い。焼入れ性を高める強化元素の中でも、CrやMoは安定かつ安価に入手することが困難であるため、C、Si、Mnを主体として添加した成分系での高強度鋼帯の製造が望まれている。本発明においては、特に、フェライト変態を遅延させる効果が著しいMn量を規定する。
Mn:2.0〜3.0質量%
Mnは固溶強化により、鋼のTSを向上させる元素である。Mn量は所望の強度を確保させるために含有させる必要があるが、2.0質量%未満であると、熱延鋼帯の巻取り前、つまり、ランナウトテーブル上でフェライト変態が進行してしまう。そのため、本発明のような巻取り温度の制御によって冷却履歴を制御する効果を得ることができない。一方、3.0質量%より多く含有させた場合、10秒オーダーまで高温で保持しないとフェライト変態が生じない。この場合、熱延鋼帯巻取り後のコイルを保熱する必要が生じるため、本発明のような巻取り温度の制御のみでは、フェライト分率を制御できない。以上の理由から、Mn含有量は2.0〜3.0質量%の範囲に限定した。
また、本発明では主として高強度鋼帯を対象としており、所定量のCやSiを含有することが望ましい。
Cは、鋼板の強度増加や炭化物生成の観点から重要な元素であり、所望の強度と炭化物量を確保するために0.03質量%以上含有させるものとした。一方、0.2質量%を超える含有は溶接性を著しく劣化させるため、0.03〜0.2質量%の範囲が望ましい。
SiはCと同様に、鋼の強度を増加させ、さらに加工性の向上にも寄与する。安価な元素であり、強度を得るためにはある程度の添加量が必要であるが、必ずしも含有させる必要はない。ただし、2.5質量%を超えて含有させると、脆化を引き起こす上、赤スケールなどの発生による表面性状の劣化を引き起こす。そのため、Siは2.5質量%以下が望ましい。
さらに、所望の強度を得るために、Nb、Ti、Vを含有することも許容する。
Nb、Ti、Vはいずれも、炭窒化物を形成し、析出強化により、鋼帯の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して、1種または2種以上含有できる。このような効果を得るには、いずれも0.005質量%以上の含有を必要とするが、いずれも0.15質量%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなる。そのため、いずれの元素も0.005〜0.15質量%の範囲に限定することが望ましい。
上記組成の鋼素材では、Mnの添加により一般鋼帯に比べてフェライト変態が遅延し、ノーズは長時間側(10〜10秒)になるため、保熱されやすいコイル中央部(熱延鋼帯の中央部)ではフェライト+パーライト組織を形成しやすく、一方、コイル内周部・外周部(熱延鋼帯の先端部・尾端部)は比較的早く冷却されることによりベイナイト組織を形成するため、1コイル内の長手方向によって異なる金属組織を形成しやすくなる。本発明は、このような鋼素材において有効な方法である。
次に、巻取り温度の設定にあたり必要な情報について述べる。
本発明で対象とする鋼素材は、特にMnの含有量によって、フェライト変態の開始時間が異なってくるため、あらかじめ変態曲線を算出しておく必要がある。これら変態曲線は、実験的に求めることも可能であり、どちらを用いても良い。
また、熱延鋼帯の長手方向の各位置について、冷却開始温度である巻取り温度を様々に変更してあらかじめ冷却曲線を算出する。計算にあたっては、コイル状に巻取った後の最外周および最内周に該当する箇所、熱延鋼帯の中央部に該当する箇所の少なくとも3箇所の位置について計算しておく必要がある。さらに、コイルの寸法(内径、外径)、冷却ヤード内の配置、素材によって冷却曲線は変化するため、コイル温度を実測して、計算冷却履歴との誤差を補正することが望ましい。
以上の計算結果を用い、フェライト変態曲線と、熱延鋼帯の長手方向の各位置の冷却曲線が交差する箇所が一致するように、鋼帯長手方向の各位置について巻取り温度を設定する。巻取り温度が異なっていても、フェライト変態曲線と各位置の冷却曲線が交差する箇所が同じであれば、フェライト分率は同等となる。
ところで、熱延鋼帯の製造にあたり、仕上げ圧延機の出側温度は従来どおりオーステナイト域で、全長等温で終了するものとする。本発明では、その後、巻き取った後の冷却が顕著である鋼帯先端部(コイル内周部)・鋼帯尾端部(コイル外周部)においては、フェライト変態ノーズに到達するための時間的余地を確保するために、極力高温を維持したまま巻取る。一方、鋼帯中央部(コイル中央部)は巻取った後に周囲からの熱移動により、巻取り温度のままある程度の時間保熱されるため、フェライト変態ノーズ付近の温度にあらかじめ設定することも可能である。適正な温度を選択すれば、鋼帯先端部・鋼帯尾端部と比較して、50〜300以上℃低い巻取り温度でも十分に保熱され、フェライト変態ノーズに到達する。
巻取り温度を鋼帯の長手方向位置に応じて短時間で変動させるためには、ランナウトテーブル上での冷却条件(注水条件)を熱延鋼帯の長手方向の各位置について変更する方法が有効である。つまり、巻取り温度を高くする鋼帯先端部や鋼帯尾端部では、注水を止め、あるいは注水密度(単位面積当たりの注水量)を小さくし、巻取り温度を低くする鋼帯中央部では、注水密度(単位面積当たりの注水量)を大きくするものである。
しかしながら、鋼帯中央部の巻取り温度を下げるために急冷をした結果、巻取機に到達する前に焼入れ状態となって硬質化が起こると、鋼帯を巻取る時点で破断する危険性がある。これを防ぐため、鋼帯先端部および鋼帯尾端部の巻取り温度と、鋼帯中央部の巻取り温度の差は最大でも300℃以内に設定する。尚、ランナウトテーブルの冷却能力、熱延圧下率や熱延速度の観点から望ましくは200℃以内の範囲とする。また、50℃未満の温度差は、巻取り直後に解消してしまい、鋼帯中央部は必要以上に高温で長時間保熱され、冷却に長時間を要してしまう、あるいは、鋼帯先端部および鋼帯尾端部がフェライト変態を開始する前に冷却されてしまうなど、巻取り温度を変化させる効果を得られない。
さらに、鋼帯の圧延方向(長手方向)の位置によって急激に巻取り温度を変化させることは、ランナウトテーブル上で水圧や水の自重変動による急激な張力変動や材質の変動を併発し、巻取り時の操業トラブルにつながる可能性が高い。これは、巻取り温度を変動させる際に十分な距離あるいは時間的勾配をつけ、張力変動を緩やかにすることで制御系統を追従させることにより解決できる。特に、鋼帯尾端側は張力変動の影響で操業トラブルを発生しやすいため、巻取り温度を低温から高温に推移する際に、十分に緩やかな温度勾配をつけることがより望ましい。
図2に上述の巻取り温度の設定条件の一例を模式図で示す。すなわち、図2(a)が従来パターンであり、図2(b)が本発明パターンである。また、図3にコイルの温度分布の変化の一例を模式図で示す。すなわち、図3(a)が従来パターンであり、図3(b)が本発明パターンである。
なお、図2(b)においては、鋼帯先端部(高温部)および鋼帯尾端部(高温部)の巻取り温度を鋼帯中央部(低温部)に対して50〜300℃高温にするものであるが、鋼帯先端部(高温部)と鋼帯中央部(低温部)の間および鋼帯中央部(低温部)と鋼帯尾端部(高温部)の間にそれぞれ遷移領域を設けている。
ここで、例えば、全長600mの熱延鋼帯を対象とするとき、鋼帯先端部(高温部)は、鋼帯最先端を起点にして長手方向に30m程度の部分であり、鋼帯尾端部(高温部)は、鋼帯最尾端を起点にして長手方向に80m程度の部分である。また、鋼帯先端部(高温部)の遷移領域の長さは30m程度、鋼帯尾端部(高温部)の遷移領域の長さは100m程度とすればよい。
場合によっては、その効果が減少するが、鋼帯先端部と鋼帯尾端部のいずれか一方を高温部になるようにしてもよい。その場合、より抜熱が大きい鋼帯尾端部を高温部にすることが望ましい。
このように、本発明では、熱間圧延後に鋼帯をコイル形状に巻取り、常温まで冷却するにあたり、巻取り後のコイルの冷却過程においてオーステナイト相からフェライト相など様々な金属組織に変態する鋼帯を製造する際に、当該熱延鋼帯の連続冷却中の変態曲線および巻取り後の冷却曲線に基づいて、熱延鋼帯の長手方向における巻取り温度の目標値を変更するようにしている。
より詳しく言えば、本発明では、熱間圧延後に鋼帯をコイル形状に巻取り、常温まで冷却するにあたり、巻取り後のコイルの冷却過程においてオーステナイト相からフェライト相など様々な金属組織に変態する鋼帯を製造する際に、当該熱延鋼帯の連続冷却中の変態曲線をあらかじめ算出あるいは測定し、さらに、巻取り温度を変化させた場合の巻取り後の冷却曲線を、巻取り後のコイルの外周部、中央部、内周部の各位置について、あらかじめ算出しておくことにより、コイルの外周部、中央部、内周部の各位置について、前記変態曲線と前記冷却曲線から計算されるフェライト分率が一定になるよう、熱延鋼帯の長手方向に応じて巻取り温度を設定し、かつ、設定した巻取り温度を達成するために、ランナウトテーブル上での注水条件を長手方向で制御するようにしている。
本発明の実施例を示す。
表1に示す鋼素材を、連続熱間圧延機で幅1100mm、板厚2.5〜4mmに圧延し、直径760mmのマンドレルに巻き取った。
表2に、鋼帯先端部の巻取り温度、鋼帯中央部の巻取り温度、鋼帯尾端部の巻取り温度、鋼帯先端部の巻取り温度と鋼帯中央部の巻取り温度の差(鋼帯先端部の巻取り温度差)、鋼帯尾端部の巻取り温度と鋼帯中央部の巻取り温度の差(鋼帯尾端部の巻取り温度差)を示す。なお、巻取り機に設置した表面温度計によって測定した。
ここで、従来例(No.1)は、鋼帯全長を一定の温度で巻き取った場合である。
また、本発明例(No.2〜7)は、Mnを2.0〜3.0質量%%含有するとともに、巻取り温度差を50〜300℃にするという条件を満足した場合である。
一方、比較例(No.8〜11)は、上記の条件を満足していなかった場合である。
それぞれの場合について、常温になった後、熱延鋼帯の長手方向の組織ばらつきを確認するため、長手方向に鋼帯を5分割し(鋼帯先端部×1、鋼帯中央部×3、鋼帯尾端部×1)、フェライト分率と引張強度(TS)を測定した。
フェライト分率は圧延方向に切り出した試験片の断面を研磨した後、王水エッチングで組織を現出させ、組織全体に対するフェライト相の面積率を画像処理によって求めた。同一の鋼帯において、この面積率の5点間のばらつき(最大値−最小値)が10%未満であれば合格とした。
また、引張強度はJISZ2241に則り、JIS5号試験片を板幅中央部からL方向に採取して試験を行った。試験の結果、5点のTSの最大差(最大値−最小値)が80MPa未満であれば合格とした。
これらの測定の結果を表2中に示す。表2に示すように、比較例では、巻取り温度差が適切でなくて、コイル内外周とコイル中央部の冷却履歴の差異に起因する鋼帯長手方向のばらつきを生じたが、本発明例では、フェライト分率、引張強度ともに鋼帯長手方向において均質であった。その結果、後の冷延工程において、比較例では、鋼帯の尾端が硬質で板厚不良が発生しやすく、冷延時に減速せざるを得なかったが、本発明例では、鋼帯の全長をほぼ同等の圧延荷重で、減速することなく所定板厚まで圧延することが可能だった。
Figure 2015116596
Figure 2015116596
このように、本発明においては、巻取り温度を鋼帯の圧延方向(長手方向)に応じて変化させ、最適化することにより、従来は圧延方向(長手方向)の位置によって変動していた機械的特性を均一にすることが可能になった。

Claims (3)

  1. Mn:2.0〜3.0質量%を含有する鋼を熱間圧延して鋼帯となし、該鋼帯をコイル状に巻取った後、常温まで冷却する際に、前記巻取りを終了してから常温まで冷却する過程で、金属組織がオーステナイト相から他の相に変態する熱延鋼帯の製造方法であって、鋼帯の先端部または/および尾端部の巻取り温度を鋼帯の中央部の巻取り温度に対して50〜300℃高温にすることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
  2. 鋼がC:0.03〜0.2質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造方法。
  3. 熱間圧延を終了してから巻取りを開始するまでの間の鋼帯の冷却条件を鋼帯の長手方向で制御することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼帯の製造方法。
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