JPH11181526A - 加工性と非時効性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
加工性と非時効性に優れた熱延鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH11181526A JPH11181526A JP36542397A JP36542397A JPH11181526A JP H11181526 A JPH11181526 A JP H11181526A JP 36542397 A JP36542397 A JP 36542397A JP 36542397 A JP36542397 A JP 36542397A JP H11181526 A JPH11181526 A JP H11181526A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coil
- workability
- less
- temperature
- rolled steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 特殊元素を添加することなく、通常の熱延設
備で、コイルの全長にわたり、加工性および非時効性に
すぐれた熱延鋼板を製造する。 【解決手段】 重量%で、C:0.08%以下、Si:
0.05%以下、Mn:0.30%以下、P:0.03
0%以下、S:0.020%以下、Al:0.010〜
0.060%、N:0.0050%以下および残部Fe
および不可避的不純物からなる鋼片を1050〜120
0℃に加熱した後、Ar3点以上で熱間圧延を終了し、6
60〜720℃の範囲内の巻取温度CTM で巻き取るに
際し、コイル先端部・尾端部における巻取温度CTTBを
下記式(1) の温度にて巻き取る。 CTTB=CTM +A×log (CRTB/CRM )……(1) 但し、A:30〜40、CRM :500 ℃までのコイル中央部
の冷却速度(℃/hr)、CRTB:500 ℃までのコイル先
端部・尾端部の冷却速度(℃/hr)の平均値。
備で、コイルの全長にわたり、加工性および非時効性に
すぐれた熱延鋼板を製造する。 【解決手段】 重量%で、C:0.08%以下、Si:
0.05%以下、Mn:0.30%以下、P:0.03
0%以下、S:0.020%以下、Al:0.010〜
0.060%、N:0.0050%以下および残部Fe
および不可避的不純物からなる鋼片を1050〜120
0℃に加熱した後、Ar3点以上で熱間圧延を終了し、6
60〜720℃の範囲内の巻取温度CTM で巻き取るに
際し、コイル先端部・尾端部における巻取温度CTTBを
下記式(1) の温度にて巻き取る。 CTTB=CTM +A×log (CRTB/CRM )……(1) 但し、A:30〜40、CRM :500 ℃までのコイル中央部
の冷却速度(℃/hr)、CRTB:500 ℃までのコイル先
端部・尾端部の冷却速度(℃/hr)の平均値。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】自動車、家電、建材、容器等
に用いられる加工性と非時効性に優れた熱延鋼板であっ
て、コイル長手方向に均質な機械的性質を備えた熱延鋼
板の製造方法に関する。
に用いられる加工性と非時効性に優れた熱延鋼板であっ
て、コイル長手方向に均質な機械的性質を備えた熱延鋼
板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用鋼板に代表される加工用
鋼板の分野においては、素材費削減の観点から、従来か
ら用いられてきた冷延鋼板に代わり、熱延鋼板が用いら
れるようになってきた。このため、熱延鋼板に対する加
工性向上の要求は年々高まっており、加工性の優れた熱
延鋼板を製造しようとする試みが多くなされている。
鋼板の分野においては、素材費削減の観点から、従来か
ら用いられてきた冷延鋼板に代わり、熱延鋼板が用いら
れるようになってきた。このため、熱延鋼板に対する加
工性向上の要求は年々高まっており、加工性の優れた熱
延鋼板を製造しようとする試みが多くなされている。
【0003】例えば、(1) 極低炭素アルミキルド鋼を用
いる方法(特開昭49−89621号)、(2) TiやN
bを添加した極低炭素IF鋼を用いる方法(特開昭55
−97431号)、(3) 低炭素アルミキルド鋼において
は、B,Nb,Ti,V,Cr,Zr等の特殊元素を添
加する方法(特開昭52−17319号、特開昭52−
23518号、特開昭62−13849号、特開昭63
−216925号、特開平02−104637号、特開
平02−209423号、特開平02−217419号
等)、(4) Pを減少する方法(特開平02−20942
4号)、(5) Mn,Al,Nを低減する方法(特公昭6
3−64491号)、(6) 仕上圧延後の冷却速度を規定
する方法(特公平05−86451号)等がある。
いる方法(特開昭49−89621号)、(2) TiやN
bを添加した極低炭素IF鋼を用いる方法(特開昭55
−97431号)、(3) 低炭素アルミキルド鋼において
は、B,Nb,Ti,V,Cr,Zr等の特殊元素を添
加する方法(特開昭52−17319号、特開昭52−
23518号、特開昭62−13849号、特開昭63
−216925号、特開平02−104637号、特開
平02−209423号、特開平02−217419号
等)、(4) Pを減少する方法(特開平02−20942
4号)、(5) Mn,Al,Nを低減する方法(特公昭6
3−64491号)、(6) 仕上圧延後の冷却速度を規定
する方法(特公平05−86451号)等がある。
【0004】また、材料が厳しい加工を受ける場合、加
工性の時効劣化がしばしば問題となるため、非時効化へ
の試みもなされている。例えば、(7) 低炭素アルミキル
ド鋼にCr,Zrを添加する方法(特開昭52−235
18号)、(8) Nを低減する方法(特開昭57−131
324号)、(9) 巻き取り後の放冷時に250〜450
℃で保定する方法(特開平02−19424号)等があ
る。
工性の時効劣化がしばしば問題となるため、非時効化へ
の試みもなされている。例えば、(7) 低炭素アルミキル
ド鋼にCr,Zrを添加する方法(特開昭52−235
18号)、(8) Nを低減する方法(特開昭57−131
324号)、(9) 巻き取り後の放冷時に250〜450
℃で保定する方法(特開平02−19424号)等があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記(1) 〜
(5) 、(7) 、(8) の場合、製鋼工程における精錬処理の
コストアップ、添加元素のコストアップが避けられな
い。(6) の場合、加工性は良好となるものの、時効劣化
が問題である。また、(9) では保温のための設備が必要
であり、設備コスト高を招来する。
(5) 、(7) 、(8) の場合、製鋼工程における精錬処理の
コストアップ、添加元素のコストアップが避けられな
い。(6) の場合、加工性は良好となるものの、時効劣化
が問題である。また、(9) では保温のための設備が必要
であり、設備コスト高を招来する。
【0006】一方、熱延鋼板の材質については巻取温度
だけでなく、巻取り後の冷却速度にも大きく影響を受け
る。このため冷却速度の速いコイル先端部、尾端部では
加工性、非時効性とも大きく劣化する。かかる劣化は冷
延−焼鈍工程を経て製造される冷延鋼板でも見られる
が、熱延鋼板では冷延鋼板に比して顕著である。この問
題に関しては、特開昭58−37128号、特開昭59
−16227号、特開平05−43946号等に開示さ
れているように、冷延鋼板での検討はなされているもの
の、熱延鋼板では検討されていないのが実情である。
だけでなく、巻取り後の冷却速度にも大きく影響を受け
る。このため冷却速度の速いコイル先端部、尾端部では
加工性、非時効性とも大きく劣化する。かかる劣化は冷
延−焼鈍工程を経て製造される冷延鋼板でも見られる
が、熱延鋼板では冷延鋼板に比して顕著である。この問
題に関しては、特開昭58−37128号、特開昭59
−16227号、特開平05−43946号等に開示さ
れているように、冷延鋼板での検討はなされているもの
の、熱延鋼板では検討されていないのが実情である。
【0007】本発明はかかる問題に鑑みなされてもの
で、特殊元素を添加することなく、通常の熱延設備で、
コイルの全長にわたり、加工性および非時効性にすぐれ
た熱延鋼板を製造することができる方法を提供すること
を目的とするものである。
で、特殊元素を添加することなく、通常の熱延設備で、
コイルの全長にわたり、加工性および非時効性にすぐれ
た熱延鋼板を製造することができる方法を提供すること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明を成すに至った基
礎実験についてまず説明する。下記成分の鋼を実験室的
に真空溶解し、その鋼片を1130℃に加熱後、仕上温
度約880℃以上で板厚2.3mmに熱間圧延し、巻取温
度に相当する600〜740℃の範囲内の温度で加熱炉
に装入し、同温度から500℃までの冷却速度が30℃
/hr、70℃/hr、130℃/hrになるように炉冷し、
その後、1%の調質圧延を行った。 ・成分( wt%) C:0.05%、Si:0.01%、Mn:0.22
%、P:0.008%、S:0.008%、Al:0.
025%、N:0.0022%
礎実験についてまず説明する。下記成分の鋼を実験室的
に真空溶解し、その鋼片を1130℃に加熱後、仕上温
度約880℃以上で板厚2.3mmに熱間圧延し、巻取温
度に相当する600〜740℃の範囲内の温度で加熱炉
に装入し、同温度から500℃までの冷却速度が30℃
/hr、70℃/hr、130℃/hrになるように炉冷し、
その後、1%の調質圧延を行った。 ・成分( wt%) C:0.05%、Si:0.01%、Mn:0.22
%、P:0.008%、S:0.008%、Al:0.
025%、N:0.0022%
【0009】得られた熱延鋼板からJIS5号引張試験
片を採取し、伸び(El)を測定するとともに、さらに
100℃×60min の加熱処理後の降伏点上昇量(A
I、時効指数)を求め、非時効性を評価した。その結果
を図2(A),(B) に示す。
片を採取し、伸び(El)を測定するとともに、さらに
100℃×60min の加熱処理後の降伏点上昇量(A
I、時効指数)を求め、非時効性を評価した。その結果
を図2(A),(B) に示す。
【0010】図2(A) より、低炭素アルミキルド鋼の非
時効性はコイル中央部に相当する冷却速度(30℃/h
r)の遅い所では、巻取温度が660〜710℃で時効
指数が20N/mm2 以下と顕著に良くなり、コイル先端
部、尾端部に相当する冷却速度の速い所ではこの温度範
囲が高温側にシフトすることが見い出された。また、図
2(B) より、前記温度範囲で48%以上と良好なElを
示し、冷却速度の影響についても同様の傾向が認められ
た。これは、AlNの析出、セメンタイトの析出形態
が、巻取温度と冷却速度に大きく影響されるためである
と思われる。
時効性はコイル中央部に相当する冷却速度(30℃/h
r)の遅い所では、巻取温度が660〜710℃で時効
指数が20N/mm2 以下と顕著に良くなり、コイル先端
部、尾端部に相当する冷却速度の速い所ではこの温度範
囲が高温側にシフトすることが見い出された。また、図
2(B) より、前記温度範囲で48%以上と良好なElを
示し、冷却速度の影響についても同様の傾向が認められ
た。これは、AlNの析出、セメンタイトの析出形態
が、巻取温度と冷却速度に大きく影響されるためである
と思われる。
【0011】従って、コイル各部について冷却速度に応
じた巻取温度にコントロールすれば、加工性と非時効性
に優れた、コイル長手方向に均質な熱延鋼板が得られこ
とがわかる。すなわち、コイル中央部の巻取温度および
冷却速度、並びにコイル内外周部(コイル先端部、後端
部に相当する部分)の冷却速度により、コイル先端部、
尾端部の巻取温度を決定し、これにより巻取温度を制御
することによって、特殊元素の添加を行うことなく、加
工性と非時効性に優れた、コイル長手方向で材質の均一
な熱延鋼板を製造することできる。実際のコイルではコ
イルの先端部、後端部の巻取温度を高くすることによ
り、保温効果も得られ、冷却速度が遅くなり、非時効性
はより向上するものと考えられる。
じた巻取温度にコントロールすれば、加工性と非時効性
に優れた、コイル長手方向に均質な熱延鋼板が得られこ
とがわかる。すなわち、コイル中央部の巻取温度および
冷却速度、並びにコイル内外周部(コイル先端部、後端
部に相当する部分)の冷却速度により、コイル先端部、
尾端部の巻取温度を決定し、これにより巻取温度を制御
することによって、特殊元素の添加を行うことなく、加
工性と非時効性に優れた、コイル長手方向で材質の均一
な熱延鋼板を製造することできる。実際のコイルではコ
イルの先端部、後端部の巻取温度を高くすることによ
り、保温効果も得られ、冷却速度が遅くなり、非時効性
はより向上するものと考えられる。
【0012】かかる知見に基づきなされた本発明の熱延
鋼板の製造方法は、重量%で、 C :0.08%以下、Si:0.05%以下、Mn:
0.30%以下、P :0.030%以下、S :0.
020%以下、Al:0.010〜0.060%、N
:0.0050%以下 および残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を1
050〜1200℃に加熱した後、Ar3点以上で熱間圧
延を終了し、660〜720℃の範囲内の巻取温度CT
M で巻き取るに際し、コイルの先端および尾端から各々
全コイル長の5%以上の長さを有するコイル先端部およ
び尾端部における巻取温度CTTBを下記式(1) の温度に
て巻き取るものである。 CTTB=CTM +A×log (CRTB/CRM )……(1) 但し、A:30〜40(定数)、CRM :500℃まで
のコイル中央部の冷却速度(℃/hr)、CRTB:500
℃までのコイル先端部・尾端部の冷却速度(℃/hr)の
平均値。なお、CTM はコイル中央部における巻取温度
に等しく、CRMおよび下記CRTBは予めコイル全長を
CTM で巻き取ったときの巻取後のコイルから事前に測
定される。また、冷却速度は全て平均冷却速度を意味す
る。
鋼板の製造方法は、重量%で、 C :0.08%以下、Si:0.05%以下、Mn:
0.30%以下、P :0.030%以下、S :0.
020%以下、Al:0.010〜0.060%、N
:0.0050%以下 および残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を1
050〜1200℃に加熱した後、Ar3点以上で熱間圧
延を終了し、660〜720℃の範囲内の巻取温度CT
M で巻き取るに際し、コイルの先端および尾端から各々
全コイル長の5%以上の長さを有するコイル先端部およ
び尾端部における巻取温度CTTBを下記式(1) の温度に
て巻き取るものである。 CTTB=CTM +A×log (CRTB/CRM )……(1) 但し、A:30〜40(定数)、CRM :500℃まで
のコイル中央部の冷却速度(℃/hr)、CRTB:500
℃までのコイル先端部・尾端部の冷却速度(℃/hr)の
平均値。なお、CTM はコイル中央部における巻取温度
に等しく、CRMおよび下記CRTBは予めコイル全長を
CTM で巻き取ったときの巻取後のコイルから事前に測
定される。また、冷却速度は全て平均冷却速度を意味す
る。
【0013】本発明の成分限定理由について説明する。 C:0.08%以下 Cは多量に含有すると伸び等の加工性を劣化させるだけ
でなく、固溶Cとして存在するようになり、非時効性を
も劣化させるので、少ない方が好ましく、上限を0.0
8%とする。
でなく、固溶Cとして存在するようになり、非時効性を
も劣化させるので、少ない方が好ましく、上限を0.0
8%とする。
【0014】Si:0.05%以下 Siは多量に含有するとAl系介在物が増加し加工性を
劣化させる。また、スケール性状も劣化させ、鋼板の表
面性状を損なうので、0.05%以下とする。
劣化させる。また、スケール性状も劣化させ、鋼板の表
面性状を損なうので、0.05%以下とする。
【0015】Mn:0.30%以下 MnもCと同様、多量に添加すると加工性を劣化させる
ため、0.30%以下とする。
ため、0.30%以下とする。
【0016】P:0.030%以下 Pは鋼中に固溶し、鋼の強度を上昇させ、加工性を劣化
させるため、0.030%以下とする。
させるため、0.030%以下とする。
【0017】S:0.020%以下 Sは硫化物系介在物を形成し、加工性を劣化させるので
低い方が好ましい。また、Sはヘゲ疵、スリバー疵等の
発生の原因になり、鋼板の表面性状が損なわれるので、
S:0.020%以下とする。
低い方が好ましい。また、Sはヘゲ疵、スリバー疵等の
発生の原因になり、鋼板の表面性状が損なわれるので、
S:0.020%以下とする。
【0018】Al:0.010〜0.060% Alは鋼の脱酸剤として添加される。脱酸効果および経
済性の観点から0.010%以上、0.060%以下と
する。
済性の観点から0.010%以上、0.060%以下と
する。
【0019】N:0.0050%以下 NはCと同様、増加すると伸び等の機械的性質が劣化す
るばかりでなく、固溶Nとして存在し、非時効性をも劣
化させるので、0.0050%以下とする。
るばかりでなく、固溶Nとして存在し、非時効性をも劣
化させるので、0.0050%以下とする。
【0020】次に、熱延条件について説明する。スラブ
加熱温度は、1200℃を越えるとスケールロスが多く
なったり、機械的特性が劣化するので、上限を1200
℃とする。また、1050℃より低くなると、仕上温度
をAr3点以上に確保するのが困難となるため、下限を1
050℃とする。
加熱温度は、1200℃を越えるとスケールロスが多く
なったり、機械的特性が劣化するので、上限を1200
℃とする。また、1050℃より低くなると、仕上温度
をAr3点以上に確保するのが困難となるため、下限を1
050℃とする。
【0021】熱間圧延の仕上温度がAr3点を下回ると、
熱延鋼板の加工性が著しく劣化するばかりでなく、圧延
荷重の急激な変化が生じ、板厚制御が困難になる等の操
業上の不都合も生じるため、Ar3点以上とする。
熱延鋼板の加工性が著しく劣化するばかりでなく、圧延
荷重の急激な変化が生じ、板厚制御が困難になる等の操
業上の不都合も生じるため、Ar3点以上とする。
【0022】熱延後の巻取温度は本発明において重要で
ある。後述の実施例から明らかなとおり、予めコイル全
長をCTM で巻き取ったときのコイル中央部の冷却速度
CRM およびコイル先端部、後端部の平均の冷却速度C
RTBを測定しておき、テーブル上を走行する鋼帯の冷却
水量、水圧等を制御することにより、コイル先端部、後
端部の巻取温度を式(1) を満足する温度範囲内に制御す
ることで、時効指数が20N/mm2 以下の非時効性に優
れた熱延鋼板が得られる。この場合、CRM 、CRTBを
500℃までの冷却速度としたのは、AlNの析出は5
00℃までで完了するため、非時効性に影響するのは5
00℃までの冷却速度ということになるからである。ま
た、コイル先端部、後端部の長さをコイル全長の5%以
上としたのは、5%未満では保温効果が過小であり、コ
イル先端部、後端部の非時効性が劣化するようになるか
らである。なお、コイル先端部、後端部の長さの上限は
コイル全長の20%以下で十分である。
ある。後述の実施例から明らかなとおり、予めコイル全
長をCTM で巻き取ったときのコイル中央部の冷却速度
CRM およびコイル先端部、後端部の平均の冷却速度C
RTBを測定しておき、テーブル上を走行する鋼帯の冷却
水量、水圧等を制御することにより、コイル先端部、後
端部の巻取温度を式(1) を満足する温度範囲内に制御す
ることで、時効指数が20N/mm2 以下の非時効性に優
れた熱延鋼板が得られる。この場合、CRM 、CRTBを
500℃までの冷却速度としたのは、AlNの析出は5
00℃までで完了するため、非時効性に影響するのは5
00℃までの冷却速度ということになるからである。ま
た、コイル先端部、後端部の長さをコイル全長の5%以
上としたのは、5%未満では保温効果が過小であり、コ
イル先端部、後端部の非時効性が劣化するようになるか
らである。なお、コイル先端部、後端部の長さの上限は
コイル全長の20%以下で十分である。
【0023】
【実施例】まず、本発明にかかる鋼種の機械的性質、非
時効性について説明する。実験室的に真空溶解した表1
に示す成分の鋼片を1150℃に加熱した後、仕上温度
を約880℃以上として板厚2.3mmに熱間圧延し、巻
取温度に相当する680℃で加熱炉に装入し、同温度か
ら500℃までの冷却速度が30℃/hrとなるように炉
冷し、その後、1%の調質圧延を行った。
時効性について説明する。実験室的に真空溶解した表1
に示す成分の鋼片を1150℃に加熱した後、仕上温度
を約880℃以上として板厚2.3mmに熱間圧延し、巻
取温度に相当する680℃で加熱炉に装入し、同温度か
ら500℃までの冷却速度が30℃/hrとなるように炉
冷し、その後、1%の調質圧延を行った。
【0024】得られた熱延鋼板を用いて、JIS5号引
張試験片で引張特性を、さらに100℃×60mm加熱処
理後の降伏点上昇量(AI)を求め、非時効性を評価し
た。その結果を表1に併せて示す。
張試験片で引張特性を、さらに100℃×60mm加熱処
理後の降伏点上昇量(AI)を求め、非時効性を評価し
た。その結果を表1に併せて示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1において、鋼種A〜Fは発明例であ
り、良好な加工性と非時効性を備えていることがわか
る。一方、鋼種Gは鋼種Bと比較してPが多いため加工
性が悪く、鋼種Hは鋼種Bと比較してCが多いため加工
性、非時効性がともに悪い。また、鋼種Iは鋼種Eと比
較してMnが多いため加工性が悪い。また、鋼種Jは鋼
種Aと比較してNが多いため加工性、非時効性がともに
悪く、鋼種Kは鋼種Aと比較してSiが多いため、加工
性、非時効性は良好であるものの、スケール性状が悪
く、鋼板の表面性状が悪かった。鋼種Lは鋼種Aと比較
してSが多いため、加工性が悪く、またヘゲ、スリバー
等が発生し、鋼板の表面性状も悪かった。
り、良好な加工性と非時効性を備えていることがわか
る。一方、鋼種Gは鋼種Bと比較してPが多いため加工
性が悪く、鋼種Hは鋼種Bと比較してCが多いため加工
性、非時効性がともに悪い。また、鋼種Iは鋼種Eと比
較してMnが多いため加工性が悪い。また、鋼種Jは鋼
種Aと比較してNが多いため加工性、非時効性がともに
悪く、鋼種Kは鋼種Aと比較してSiが多いため、加工
性、非時効性は良好であるものの、スケール性状が悪
く、鋼板の表面性状が悪かった。鋼種Lは鋼種Aと比較
してSが多いため、加工性が悪く、またヘゲ、スリバー
等が発生し、鋼板の表面性状も悪かった。
【0027】次に、コイル先端部、尾端部における巻取
温度の制御例について説明する。下記成分を有する鋼を
転炉にて溶製し、連続鋳造にてスラブとした。このスラ
ブを表2に示す条件で仕上板厚2.3mmに熱間圧延し、
コイルの先端部、尾端部を式(1) に従って決定した巻取
温度にコントロールして巻き取った。巻取温度のコント
ロールは、テーブル上での冷却水量を制御することによ
り行った。 ・成分( wt%) C:0.05%、Si:0.01%、Mn:0.19
%、P:0.010%、S:0.008%、Al:0.
027%、N:0.0024%
温度の制御例について説明する。下記成分を有する鋼を
転炉にて溶製し、連続鋳造にてスラブとした。このスラ
ブを表2に示す条件で仕上板厚2.3mmに熱間圧延し、
コイルの先端部、尾端部を式(1) に従って決定した巻取
温度にコントロールして巻き取った。巻取温度のコント
ロールは、テーブル上での冷却水量を制御することによ
り行った。 ・成分( wt%) C:0.05%、Si:0.01%、Mn:0.19
%、P:0.010%、S:0.008%、Al:0.
027%、N:0.0024%
【0028】なお、式(1) を適用するに際し、予めコイ
ル全長を同一巻取温度(CTM )で巻き取った場合のコ
イル中央部の冷却速度(CRM )、先端部、尾端部の平
均の冷却速度(CRTB)を調査し、 log(CRTB/CR
M ) の値を算出した。CRMはコイルの中央部に側面か
ら測温孔(深さ150mm)を明けて熱電対を装入し、温
度変化を測定することにより求めた。一方、CRTBはコ
イルの先端、後端から2巻き目の位置にコイル側面から
測温孔(深さ150mm)を明けて熱電対を装入し、温度
変化を測定し、その平均値をCRTBとした。
ル全長を同一巻取温度(CTM )で巻き取った場合のコ
イル中央部の冷却速度(CRM )、先端部、尾端部の平
均の冷却速度(CRTB)を調査し、 log(CRTB/CR
M ) の値を算出した。CRMはコイルの中央部に側面か
ら測温孔(深さ150mm)を明けて熱電対を装入し、温
度変化を測定することにより求めた。一方、CRTBはコ
イルの先端、後端から2巻き目の位置にコイル側面から
測温孔(深さ150mm)を明けて熱電対を装入し、温度
変化を測定し、その平均値をCRTBとした。
【0029】得られたそれぞれのコイルについて、先端
部、中央部、尾端部から試験用サンプルを採取し、JI
S5号引張試験片で引張特性を、さらに100℃×60
min加熱処理後の降伏点上昇量(AI)を求め、非時効
性を評価した。その結果を表2に併せて示す。また、表
2の試料No. 1〜7について、 log(CRTB/CRM)
および(CTTB−CTM )が非時効性に及ぼす影響を整
理したグラフを図1に示す。なお、グラフ中に付した符
号は試料No. を示し、(CTTB−CTM )の値は各試料
ごとにその先端部および後端部について算出した。ま
た、グラフ中の「○」は加工性および非時効性が共に良
好なもの、「×」は非時効性が不良なものを示す。
部、中央部、尾端部から試験用サンプルを採取し、JI
S5号引張試験片で引張特性を、さらに100℃×60
min加熱処理後の降伏点上昇量(AI)を求め、非時効
性を評価した。その結果を表2に併せて示す。また、表
2の試料No. 1〜7について、 log(CRTB/CRM)
および(CTTB−CTM )が非時効性に及ぼす影響を整
理したグラフを図1に示す。なお、グラフ中に付した符
号は試料No. を示し、(CTTB−CTM )の値は各試料
ごとにその先端部および後端部について算出した。ま
た、グラフ中の「○」は加工性および非時効性が共に良
好なもの、「×」は非時効性が不良なものを示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2および図1から、式(1) に基づいて巻
取温度をコントロールした試料No.1,5,6は、コイ
ルの先端部、中央部、尾端部に渡り、良好な加工性と非
時効性を有する鋼板が得られていることがわかる。一
方、No. 3,7は先端部、尾端部の巻取温度が式(1) で
求められる温度より高く、またNo. 2,4は低いため、
先端部、尾端部の非時効性が劣化し、コイル全長に渡り
良好な非時効性が得られていない。また、No. 8は先端
部、尾端部の巻取温度の制御長さが短いため、先端部、
尾端部の非時効性が劣化している。なお、加工性につい
ては、一部の比較例で尾端部のElが48%を下回るも
のがあるが、概ね良好である。
取温度をコントロールした試料No.1,5,6は、コイ
ルの先端部、中央部、尾端部に渡り、良好な加工性と非
時効性を有する鋼板が得られていることがわかる。一
方、No. 3,7は先端部、尾端部の巻取温度が式(1) で
求められる温度より高く、またNo. 2,4は低いため、
先端部、尾端部の非時効性が劣化し、コイル全長に渡り
良好な非時効性が得られていない。また、No. 8は先端
部、尾端部の巻取温度の制御長さが短いため、先端部、
尾端部の非時効性が劣化している。なお、加工性につい
ては、一部の比較例で尾端部のElが48%を下回るも
のがあるが、概ね良好である。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、特殊元素を含まないア
ルミキルド鋼を用いているにもかかわらず、コイルの先
端部、後端部を式(1) を満足する巻取温度で巻取るの
で、コイル全長に渡り、加工性および非時効性に優れた
熱延鋼板を得ることができる。しかも、コイルの先端
部、後端部の巻取温度をコントロールするだけで実施可
能であるため、特殊な設備は必要なく、通常の設備を用
いて実施することができ、生産性にも優れる。
ルミキルド鋼を用いているにもかかわらず、コイルの先
端部、後端部を式(1) を満足する巻取温度で巻取るの
で、コイル全長に渡り、加工性および非時効性に優れた
熱延鋼板を得ることができる。しかも、コイルの先端
部、後端部の巻取温度をコントロールするだけで実施可
能であるため、特殊な設備は必要なく、通常の設備を用
いて実施することができ、生産性にも優れる。
【図1】実施例における log(CRTB/CRM ) および
(CTTB−CTM )が非時効性に及ぼす影響を整理した
グラフである。
(CTTB−CTM )が非時効性に及ぼす影響を整理した
グラフである。
【図2】(A) は巻取温度に相当する温度と非時効性との
関係を冷却速度別に表示したグラフ、(B) は巻取温度に
相当する温度と伸びとの関係を冷却速度別に表示したグ
ラフである。
関係を冷却速度別に表示したグラフ、(B) は巻取温度に
相当する温度と伸びとの関係を冷却速度別に表示したグ
ラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、C :0.08%以下、S
i:0.05%以下、Mn:0.30%以下、P :
0.030%以下、S :0.020%以下、Al:
0.010〜0.060%、N :0.0050%以下
および残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を1
050〜1200℃に加熱した後、Ar3点以上で熱間圧
延を終了し、660〜710℃の範囲内の巻取温度CT
M で巻き取るに際して、 コイルの先端および尾端から各々全コイル長の5%以上
の長さを有するコイル先端部および尾端部における巻取
温度CTTBを下記式(1) の温度にて巻き取る加工性と非
時効性に優れた熱延鋼板の製造方法。 CTTB=CTM +A×log (CRTB/CRM )……(1) 但し、A:30〜40(定数) CRM :500℃までのコイル中央部の冷却速度(℃/
hr) CRTB:500℃までのコイル先端部、尾端部の冷却速
度(℃/hr)の平均値
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36542397A JPH11181526A (ja) | 1997-12-19 | 1997-12-19 | 加工性と非時効性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36542397A JPH11181526A (ja) | 1997-12-19 | 1997-12-19 | 加工性と非時効性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11181526A true JPH11181526A (ja) | 1999-07-06 |
Family
ID=18484220
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36542397A Pending JPH11181526A (ja) | 1997-12-19 | 1997-12-19 | 加工性と非時効性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11181526A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013133509A (ja) * | 2011-12-27 | 2013-07-08 | Jfe Steel Corp | 形状凍結性と耐時効性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2015116596A (ja) * | 2013-12-19 | 2015-06-25 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼帯の製造方法 |
JP2016130334A (ja) * | 2015-01-13 | 2016-07-21 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼帯、冷延鋼帯及び熱延鋼帯の製造方法 |
-
1997
- 1997-12-19 JP JP36542397A patent/JPH11181526A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013133509A (ja) * | 2011-12-27 | 2013-07-08 | Jfe Steel Corp | 形状凍結性と耐時効性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2015116596A (ja) * | 2013-12-19 | 2015-06-25 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼帯の製造方法 |
JP2016130334A (ja) * | 2015-01-13 | 2016-07-21 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼帯、冷延鋼帯及び熱延鋼帯の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3610883B2 (ja) | 曲げ性に優れる高張力鋼板の製造方法 | |
JP4650006B2 (ja) | 延性および伸びフランジ性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JPS5825435A (ja) | 連続焼鈍による表面性状にすぐれた深絞り用冷延鋼板の製造方法 | |
JPH11181526A (ja) | 加工性と非時効性に優れた熱延鋼板の製造方法 | |
JP3516747B2 (ja) | コイル長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用冷延鋼板の製造方法 | |
JP3578234B2 (ja) | 高ヤング率熱延鋼板の製造方法 | |
JP2505579B2 (ja) | 耐つまとび性およびそのコイル内均一性に優れたホ―ロ―用冷延鋼板の製造方法 | |
JPH09256065A (ja) | 表面特性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法 | |
JPS609097B2 (ja) | すぐれた加工性と非時効性を有する極低降伏点鋼およびその製造方法 | |
JP3593728B2 (ja) | 成形性の優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法 | |
JPH04168217A (ja) | 均一性に優れる高靭性・高張力熱延鋼板の製造方法 | |
JPH06322441A (ja) | 焼付硬化性を有する高強度鋼板の製造方法 | |
JP2669188B2 (ja) | 深絞り用高強度冷延鋼板の製造法 | |
JPS59123721A (ja) | 加工性にすぐれた冷延鋼板の製造方法 | |
JP3762085B2 (ja) | 加工性に優れた直送圧延による軟質冷延鋼板の製造方法 | |
JP3443220B2 (ja) | 深絞り性の優れた熱延鋼板及びその製造方法 | |
JP3046366B2 (ja) | 深絞り用薄鋼板の製造方法 | |
JPH09125195A (ja) | 加工性の優れた熱延鋼板及びその製造方法 | |
JPS61257421A (ja) | 超高張力鋼板の製造方法 | |
JPH1143721A (ja) | 高強度ばね用鋼材及びその製造方法 | |
JP2001181801A (ja) | フレーム用フェライト系ステンレス鋼材およびその製造方法 | |
JP3596193B2 (ja) | 延性に優れ、鋼帯長さ方向の伸びが均一な熱延鋼板の製造方法 | |
JP3793254B2 (ja) | 成形性に優れた冷延鋼板の製造方法 | |
JPS63243225A (ja) | 耐ろう接割れ性に優れた冷延鋼板の製造法 | |
JP3331944B2 (ja) | 加工性に優れた直送圧延による軟質熱延鋼板およびその製造方法 |