JP5381690B2 - 高炭素熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Cは、炭化物を形成し、焼入れ後の硬度を付与する重要な元素である。C含有量が0.2質量%未満では、熱延後の組織において、初析フェライトの生成が顕著となり炭化物の分布が不均一となる。さらに、その場合、焼入れ後に機械構造用部品として充分な強度を得られない。C含有量が0.7質量%を超えると、熱延後の鋼板の硬度が高く脆く、焼鈍後でも充分な加工性が得られない。また、焼入れ後の強度も飽和する。従って、C含有量を0.2〜0.7質量%に規定する。
Crは焼入れ性を高める元素であり、鋼板の強度に寄与する効果を有する。そして、強冷却後の変態挙動(温度変化)に影響を与える元素である。図1に、変態発熱の持続時間と変態発熱による温度上昇量に及ぼすCrの添加量の影響を示す。図1によれば、Crを添加すると変態発熱による温度上昇量が抑えられ、また変態発熱の持続時間が長くなる。つまり、緩やかに温度上昇することが分かる。
特に、Crを0.6質量%以上添加すると、変態発熱量が30℃未満となり、強冷却(急速冷却)終了後は格別の温度制御を行わずとも放冷のままで所定の温度範囲の温度にすることが可能となる。
また、Cr添加量が0.6質量%未満の場合には、強冷却終了後の変態によって比較的短い時間に多量の熱が発生するが、強冷却終了後に適切な冷却制御(緩冷却)を行うことによって所定の温度範囲に温度制御することが可能である。ただし、Cr添加量が0.15質量%未満の場合には、強冷却終了後の変態によって短い時間に多量の熱が発生し、強冷却終了後に適切な冷却制御(緩冷却)を行うことが難しいため、Cr添加量が0.15%以上とすることが好ましい。さらに、Cr添加量が0.01質量%未満の場合には、強冷却終了後の変態によって短い時間に多量の熱が発生し、強冷却終了後に適切な冷却制御(緩冷却)を行うことが極めて難しいため、Cr添加量は0.01質量%以上とする。
一方、Crは、合金コストが高くコスト増を招くと共に、添加量が1.0質量%を超えると溶接性を劣化させると共に、変態開始までの時間が長くなり、コイラに巻取り後に変態を開始して、変態開始時の鋼板の組織が変化してしまうため、Cr添加量は1.0質量%以下とする。
Bは、焼入れ性を高める元素であり、鋼板の強度に寄与する効果を有するので、必要に応じて添加することができる。しかし、これらの元素は、合金コストが高くコスト増を招くと共に、過量にBを添加すればB化合物が粒界に偏析し、脆化を招く。従って、Bを添加する場合は、Bを0.0025質量%以下とすることが好ましい。
本発明では、前述の化学成分に加えて、強度調整あるいは炭化物形成による固溶C、N低減を通した非時効化及び深絞り性向上のため、必要に応じて、Ti、Nb、V、Zrを添加することができる。これらの元素は、合計の添加量が0.01質量%未満では効果がなく、0.2質量%を超えると効果が飽和する。従って、Ti、Nb、V、Zrを添加する場合は、これらの添加量を合計で0.01〜0.2質量%とすることが好ましい。
熱間圧延の仕上温度が(Ar3変態点−20℃)より低い温度では、仕上圧延までに鋼板中の一部でフェライト変態が進行するため炭化物を含まないフェライト粒が増加し、伸びフランジ性が劣化する。そこで(Ar3変態点−20℃)以上の温度で仕上圧延する。これにより、組織の均一化を図ることができ伸びフランジ性の向上が図られる。
強冷却途中に変態が開始すると、初析フェライトが生成し、伸びフランジ性が劣化する原因となる。また、目的とする体積率20%以上のベイナイト相が得られなくなる。従って、変態開始以前に強冷却を終了することで、鋼板の表層部と板厚中央部で変態開始時の鋼板の組織が両者ともベイナイト主体の組織とすることができる。
強冷却終了温度については、変態開始時の温度が570℃を超えると、コイラでの巻取りまでの間あるいは巻取り後にフェライトが生成するばかりか、パーライトのラメラ間隔が粗大化し、ベイナイト相の体積率が20%未満に低下する。そのため、球状化焼鈍後に均一分散した微細炭化物が得られなくなり焼入性が低下する。従って、変態開始時の温度が570℃以下となるように強冷却終了温度を制御する。
その際、変態開始時の温度が500℃以上(上部ベイナイト温度)となるように強冷却終了温度を制御することで、ベイナイト相の体積率が20%以上となり、フェライト粒が均一に粗大化して軟質化するため優れた加工性が得られる。
さらに、変態開始時の温度が500℃以下(下部ベイナイト温度)になるように強冷却終了温度を制御することで、ベイナイト相の体積率が70%以上となり、球状化焼鈍の際、フェライト粒が均一に粗大化して極軟質化するため極めて優れた加工性が得られる。
一方、400℃未満の低温域まで強冷却すると、マルテンサイトが生成するため加工性が劣化する。従って、強冷却終了温度は400℃以上とすることが好ましい。
また、高炭素鋼板では、変態開始から終了までの発熱が顕著であり、例えば冷却停止温度を550℃とした場合でも、巻取りまでの間に50℃程度変態発熱してしまう可能性がある。変態発熱による温度上昇を抑制せず、570℃超えとなってしまった場合、パーライトのラメラ間隔の粗大化を促進してしまうため伸びフランジ性が劣化する。
以上より、変態開始後の鋼板の組織がランナウト走行中に変化しないよう、変態開始時の温度が500℃〜570℃(上部ベイナイト温度)となるように強冷却終了温度を制御した場合は、変態開始から巻取りまでの温度を500℃〜570℃(上部ベイナイト温度)の範囲で保持し、変態開始時の温度が400〜500℃(下部ベイナイト温度)となるように強冷却終了温度を制御した場合は、変態開始から巻取りまでの温度を400〜500℃(下部ベイナイト温度)の範囲で保持する。
変態開始後の鋼板の組織がランナウト走行中に変化しないよう冷却制御して巻取るが、巻取温度が570℃を超えると初析フェライトが生成すると共にパーライトのラメラ間隔が大きくなり、体積率20%以上のベイナイト相が得られなくなる。そのため、焼鈍後の炭化物が粗大化して焼入性が劣化するばかりか、充分な軟質化が得られず加工性が低下する。従って、巻取温度を570℃以下とする。
さらに、巻取温度を500℃以下とすることにより、ベイナイト相の体積率が70%以上となると共に、炭化物の分散状態が一層均一微細化し、極めて優れた加工性及び焼入性が得られる。なお、巻取温度の下限は特に規定しないが、低温になるほど鋼板の形状が劣化するため、400℃以上とすることが好ましい。
2 緩冷却装置
5 コイラ
6 温度計
7 温度計
8 温度計
9 強冷却装置
Claims (5)
- Cを0.2〜0.7質量%含有し、Crを0.6〜1.0質量%添加した鋼を、仕上温度(Ar3変態点−20℃)以上(Ar3変態点+10℃)以下で熱間圧延した後、強冷却装置により変態開始温度が上部ベイナイト温度になるように冷却速度150℃/秒以上の強冷却を行い、変態開始前に強冷却を終了した後、コイラによる巻取りまでの間は、前記強冷却装置の下流側に設置された緩冷却装置による冷却は行わず、コイルに巻取る前に変態を開始させることとして、変態開始から巻取りまでの間の温度を上部ベイナイト温度である500℃〜570℃とし、巻取温度を570℃以下とすることを特徴とする高炭素熱延鋼帯の製造方法。
- Cを0.2〜0.7質量%含有し、Crを0.6〜1.0質量%添加した鋼を、仕上温度(Ar3変態点−20℃)以上(Ar3変態点+10℃)以下で熱間圧延した後、強冷却装置により変態開始温度が下部ベイナイト温度になるように冷却速度150℃/秒以上の強冷却を行い、変態開始前に強冷却を終了した後、コイラによる巻取りまでの間は、前記強冷却装置の下流側に設置された緩冷却装置による冷却は行わず、コイルに巻取る前に変態を開始させることとして、変態開始から巻取りまでの間の温度を下部ベイナイト温度である400℃〜500℃とし、巻取温度を500℃以下とすることを特徴とする高炭素熱延鋼帯の製造方法。
- Cを0.2〜0.7質量%含有し、Crを0.6〜1.0質量%添加した鋼を、仕上温度(Ar3変態点−20℃)以上900℃以下(ただし、900℃は除く)で熱間圧延した後、強冷却装置により変態開始温度が上部ベイナイト温度になるように冷却速度150℃/秒以上の強冷却を行い、変態開始前に強冷却を終了した後、コイラによる巻取りまでの間は、前記強冷却装置の下流側に設置された緩冷却装置による冷却は行わず、コイルに巻取る前に変態を開始させることとして、変態開始から巻取りまでの間の温度を上部ベイナイト温度である500℃〜570℃とし、巻取温度を570℃以下とすることを特徴とする高炭素熱延鋼帯の製造方法。
- Cを0.2〜0.7質量%含有し、Crを0.6〜1.0質量%添加した鋼を、仕上温度(Ar3変態点−20℃)以上900℃以下(ただし、900℃は除く)で熱間圧延した後、強冷却装置により変態開始温度が下部ベイナイト温度になるように冷却速度150℃/秒以上の強冷却を行い、変態開始前に強冷却を終了した後、コイラによる巻取りまでの間は、前記強冷却装置の下流側に設置された緩冷却装置による冷却は行わず、コイルに巻取る前に変態を開始させることとして、変態開始から巻取りまでの間の温度を下部ベイナイト温度である400℃〜500℃とし、巻取温度を500℃以下とすることを特徴とする高炭素熱延鋼帯の製造方法。
- 変態開始後から変態終了までの温度の変動幅を50℃以内に制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高炭素熱延鋼帯の製造方法。
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