JP2017144483A - 冷間圧延方法 - Google Patents
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Abstract
Description
F=(1+1.5×(0.9−C))×(1+0.64×Si)×(1+4.1×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+0.52×Ni)×(1+3.14×Mo)×(1+0.27×Cu) ・・・(1)
製造する鋼板の焼入性倍数Fが30以上の場合に本発明を適用するのが好ましく、20以上の場合に適用するとより好ましい。上記焼入性倍数Fが20以上又は30以上であると、冷間圧延工程においてエッジ割れが生じやすいが、当該冷間圧延方法は上記焼き戻し工程を有するので、エッジ割れを容易かつ的確に抑制できる。
F=(1+1.5×(0.9−C))×(1+0.64×Si)×(1+4.1×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+0.52×Ni)×(1+3.14×Mo)×(1+0.27×Cu) ・・・(1)
上記熱間圧延工程は、帯状の鋼板を熱間圧延する工程である。この熱間圧延工程では、スラブを加熱し、圧延することで鋼板を形成する。具体的には、まずスラブを加熱炉で900℃以上1200℃以下で加熱し、このとき発生する1次スケールをデスケーラで除去する。次に、この加熱したスラブを900℃以上1300℃以下のまま粗圧延した後、表面に発生する2次スケールをデスケーラで除去する。さらに、粗圧延したスラブを800℃以上1100℃以下で仕上げ圧延を行って熱間圧延した鋼板を得る。上記各加熱温度が上記下限を満たさないと、鋼板のサイズ、圧延速度、圧延設備の能力等の製造条件によってはスラブが低温となるまでの間に鋼板の熱間圧延が完了できないおそれがある。また、加熱温度が上記上限を超えると、Fe3O4が急速に成長して割れや剥離が発生し、鋼板の脱炭深さが増加するおそれがある。
上記巻取工程は、上記熱間工程後の帯状の鋼板を巻取機によってコイル状に巻き取る工程である。この巻取工程において鋼板は冷却され、巻取工程後の鋼板の温度はMs点以下である。
Ms[℃]=561−471×C−33×Mn−17×Ni−17×Cr−21×Mo ・・・(2)
上記計測工程は、処理対象の鋼板の端面の凹凸を計測する工程である。具体的には、コイル状の上記鋼板の積層端面に形成される凹凸の状態を計器により計測する。この計測工程では凹凸の計測手段は特に限定されず、接触式のものであっても、非接触式のものであってもよい。接触式では、例えばテレスコピックゲージによる方法が好ましく、非接触式では、光切断測定機を用いる光切断法が好ましい。なお、光切断法は、対象物に対してスリット光を照射し、対象物に照射されたスリット光の位置情報に対して三角測量法の原理を適用することで、対象物の三次元形状を計測する手法である。
上記焼き戻し工程は、上記巻取工程後の鋼板の耳部を、上述のように鋼板材料のAc3点以下の温度に加熱及び保持することで、焼き戻す工程である。具体的には、計測工程で得られた加熱条件を用いて焼き戻しを行う。なお、当該冷間圧延方法が計測工程を有していない場合は、予め定められた加熱条件を用いて焼き戻しを行う。当該冷間圧延方法は、Ms点以下の鋼板の耳部を上述のように焼き戻すことで、鋼板の耳部が適度な延性を有することになり、その後の冷間圧延工程においてエッジ割れを抑制できる。
A=Ha×Sa+Hb×Sb ・・・(3)
上記式(3)において、Haは、焼き戻し工程後の耳部の金属組織の軟質組織のビッカース硬度であり、Hbは硬質組織のビッカース硬度である。Saは、焼き戻し工程後の耳部の金属組織の軟質組織の面積分率であり、Sbは硬質組織の面積分率である。上記数値Aが上記範囲内にあることで、鋼板の耳部の延性を好適に確保できる。なお、ビッカース硬度は、JIS−Z2244(2009)に準じて測定される。
上記冷間圧延工程は、上記焼き戻し工程後の鋼板を冷間圧延する工程である。この冷間圧延工程にあっては、コイル状の上記鋼板を繰出し、その鋼板を所定の圧下率で冷間圧延する。この冷間圧延工程における圧下率の下限としては、20%が好ましく、30%がより好ましい。この圧下率が上記下限を満たさないと、鋼板の高強度化及び薄型化が不十分となるおそれがある。一方、この圧下率の上限としては、70%が好ましく、60%がより好ましい。上記圧下率が上記上限を超えると、鋼板の加工限界を超えるおそれがある。また、冷間圧延工程における圧下率が上記範囲内であっても、当該冷間圧延方法は、冷間圧延工程前に上記焼き戻し工程が行われ、鋼板の耳部の延性が十分担保されているため、鋼板のエッジ割れが発生し難い。
εt<α×B+β ・・・(4)
上記式(4)においてεtは、鋼板の破断限界歪みである。破断限界歪みは、複数の圧下率で冷間圧延を実施し、耳割れが発生しない最大の歪みである。また、Bは、Hb÷Haの値である。α及びβは係数であり、αは−1.5以上−1以下、βは1.6以上2以下であるとよい。
当該冷間圧延方法にあっては、上述のようにコイル状に巻き取られた熱間圧延鋼板の耳部を冷間圧延前に焼き戻すことで、上記耳部の延性を適度に確保でき、これによって冷間圧延工程においてエッジ割れを容易かつ的確に抑制することかできる。
本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えることも可能である。つまり、上記焼き戻し工程における加熱は上記支持装置及び加熱装置によって行われるものに限定されない。具体的には、支持装置が鋼板を回転不能に支持するものであっても良く、また加熱装置が鋼板に対して移動できないものであっても良い。但し、支持装置が鋼板を回転可能に支持し、加熱装置が円筒状の鋼板に対して相対的に移動できるものであることが好ましい。これにより、円筒状の鋼板の端面を広範囲に低コストで加熱することができる。
下記の組成を有する溶鋼を、通常の溶製法によって溶製し、熱間圧延機を用いて熱間圧延を施し、板厚2.3mmの熱延コイルとした後、大気中で室温にまで放冷した。その後、コイルを巻きほどき試験片No.1〜No.4を得た。試験片No.1及びNo.2については、短冊状としたものを六枚積層し、上記焼き戻し工程を模擬して積層体の端面からバーナーであぶることで加熱した。この加熱の際の加熱開始温度、加熱を保持する際の温度範囲及び加熱を保持する時間を表1に示す。なお、加熱の際の鋼材の温度は、積層体のうち上から3枚目と4枚目との間かつ端面から5mmの位置の温度を熱電対によって計測した。試験片No.3及びNo.4については上記加熱を行わなかった。その後、試験片No.1〜No.4について、表1に示す狙い厚となるまで冷間圧延を施した。試験片No.1〜No.4の狙い厚及び累積歪みを表1に示す。なお、累積歪みとは、ln(元厚(2.3mm)/狙い厚)の値である。
Si:1.13質量%
Mn:2.23質量%
P:0.0110質量%
S:0.0006質量%
Cr:0.0300質量%
Ni:0.0100質量%
Mo:0.0051質量%
Cu:0.0100質量%
なお、上記組成を有する鋼板の焼入れ特性Fは、39.80である。また、Ms点は、383℃である。
10 加熱器
Claims (6)
- コイル状に巻き取られた帯状の熱間圧延鋼板を冷間圧延する方法であって、
上記鋼板の耳部を鋼板材料のAc3点以下の温度に加熱及び保持する焼き戻し工程
を備えることを特徴とする冷間圧延方法。 - 上記焼き戻し工程における加熱を、コイル状に巻き取られた円筒状の上記鋼板の端面の一部に対して行う請求項1に記載の冷間圧延方法。
- 上記焼き戻し工程における加熱を、円筒状の上記鋼板の端面側に設けられる加熱器を用い、円筒状の上記鋼板をその軸方向を中心に回転させつつ行う請求項2に記載の冷間圧延方法。
- 上記鋼板の下記式(1)によって示される焼入性倍数Fが20以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の冷間圧延方法。
F=(1+1.5×(0.9−C))×(1+0.64×Si)×(1+4.1×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+0.52×Ni)×(1+3.14×Mo)×(1+0.27×Cu) ・・・(1) - 上記鋼板の端面の凹凸状態を計測する工程をさらに備え、
上記計測工程で得られた計測結果に基づき、上記焼き戻し工程での加熱条件を決定する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷間圧延方法。 - 上記計測工程で得られた計測結果に基づき、上記焼き戻し工程前に、
上記鋼板の端面のうち少なくとも凸部をAc1点以上に加熱し、Ms点以下まで急冷する工程
をさらに備える請求項5に記載の冷間圧延方法。
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