2023/05/05 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.219

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


アズテック・カメラから、ウェブ経由、The 1975まで

The 1975のライヴの感動いまだに冷めやらぬ、ということでゴールデンウィーク真っ只中の今週は、自分にとってUKといえば!、というプレイリストを。インディー、オルタナ、ガレージ、ニュー・〜、ポスト・〜等々いろいろな言葉がありますが、最初に耳にしたとき「なんだこいつら」「どっから出てきたの」という衝撃とともにあった、という観点で選びました。おそらくUKのそういうバンドの嚆矢はビートルズなのでは? と思うのですが、実体験をしていないのとOTOTOYで配信できていない (悲しい) ので外します。このプレイリスト・コラムはOTOTOYで配信している曲縛りなのです。パンクやニュー・ウェイヴも微妙に実体験感に欠け……となるとスタートは、アズテック・カメラしかありません。彼らの1stアルバム『High Land, Hard Rain』は、自分にとって収録曲すべてがかけがえのない曲ばかり、好きなアルバムを挙げろと言われたら必ず候補にあがるアルバムです。そこから80年代後半〜90年代前半をカバーし……すみません、オアシスから一気に飛びすぎですよね(笑)。

いや、フランツ・フェルディナンドとかリバティーンズとかアークティック・モンキーズとか、ブロック・パーティの初期作とかがOTOTOYになくてですね。これはもちろん第一には我々の力不足によるものなのですが、実は音楽流通の構造の変化とも関係がないわけではありません。CD売上げのピークと言われるのが1998〜2000年 (国によります)。〈Napster〉の登場が1999年。後に音楽配信と呼ばれる〈iTunes Music Store〉が2003年、日本では〈着うたフル〉や、OTOTOYの前身である〈recommuni〉が2004年にサービスを開始します。そういう変化がまわりまわってレーベルや流通の構造に影響を及ぼし今に至ったりと。ともあれ取り扱いレーベルを増やすことはOTOTOYの課題のひとつです。がんばります!

選曲が1994年から一気に2000年代に飛んでしまうもうひとつの理由は、私がその頃に音楽への興味を一時失っていたからです。失ったというか、1993年にウェブというものに出会い、気持ちも思考も精神も時間も何もかもがウェブやインターネットに吸い寄せられ、音楽に向けるそれらがずいぶんと削がれていった、というのが実情でした。吸い寄せられた先は前述の音楽流通構造の変化の前提――ウェブとインターネット――です。繋がってるんですよね。時が経ち、世界も自分もぐるっとまわって、いま私は山盛りの音楽への興味とともにOTOTOYにいて、この文章を書いています。ちょっとエモい(笑)。

さてそんなプレイリストは、自分でもよく自覚している、エヴリシング・バット・ザ・ガールで『Baby, The Stars Shine Bright』を、RIDEで『Going Blank Again』を、(初期作ではなく) 選んでしまうという世間とのズレがあらわになっていたり。まあ好きなものは好きなので、しかたありません。00年代の曲を1曲、ボンベイ・バイシクル・クラブを挟んで、The 1975の2曲に着地させました。ぜひこの ボタンでプレイリストを試聴してみていただければ。例によってSpotify版のプレイリストも勝手に作りましたので、気になるかたはそちらでフル試聴を。そしてお気に入りの曲やアルバムを見つけられたかたは…… ロスレスやハイレゾをダウンロード購入という選択肢もございます! (笑)

これからもOTOTOYをよろしくお願いいたします。

この記事の筆者
高田 敏弘 (takadat)

Director。東京都出身。技術担当。編集部では “音楽好き目線・ファン目線を忘れない” 担当。

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