JP3881766B2 - 車両の自動操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバーのステアリング操作によらずに車両を自動的に駐車するための車両の自動操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる車両の自動操舵装置は特開平3−74256号公報、特開平4−55168号公報により既に知られている。これらの車両の自動操舵装置は、従来周知の電動パワーステアリング装置のアクチュエータを利用し、予め記憶した車両の移動距離と転舵角との関係に基づいて前記アクチュエータを制御することにより、バック駐車や縦列駐車を自動で行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来の車両の自動操舵装置は、ドライバーがブレーキペダルやアクセルペダルを操作して車速をコントロールする間に、電動パワーステアリング装置のアクチュエータで車輪を自動的に転舵するようになっているため、自動操舵制御中の車速は必ずしも一定ではない。従って、車両が所定の移動軌跡に沿って移動するためには、車速の増加に伴ってアクチュエータの駆動速度を増加させる必要がある。
【0004】
しかしながら、アクチュエータの駆動速度を増加させると、車輪の転舵角が限界位置近傍に達したときにステアリングロッドが移動端に突き当たり、その衝撃で異音が発生したり、転舵角が変動して車両の移動軌跡がずれたりする場合がある。特に、自動操舵制御中に操舵トルク検出手段がドライバーの自発的なステアリング操作を検出すると自動操舵制御を中止するものでは、前記衝撃によって操舵トルク検出手段が疑似的な操舵トルクを検出してしまい、そのために自動操舵制御が中止されてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動操舵制御中にアクチュエータにより作動する転舵機構が限界転舵状態に達したときに衝撃が発生するのを防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、目標位置までの車両の移動軌跡を記憶または演算する移動軌跡設定手段と、転舵機構を介して車輪を転舵するアクチュエータと、移動軌跡設定手段により記憶または演算された移動軌跡に基づいてアクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、前記転舵機構の転舵状態を検出する検出手段を備えてなり、前記アクチュエータ制御手段は、前記検出手段で検出した転舵状態が限界転舵状態に接近したときに前記アクチュエータの駆動速度を低減する低減制御を実行するが、車速が所定値未満の低車速時には、前記転舵状態が限界転舵状態に接近したときでも前記低減制御を実行しないことを特徴とし、また請求項2の発明は、目標位置までの車両の移動軌跡を記憶または演算する移動軌跡設定手段と、転舵機構を介して車輪を転舵するアクチュエータと、移動軌跡設定手段により記憶または演算された移動軌跡に基づいてアクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、前記転舵機構の転舵状態を検出する検出手段を備えてなり、前記アクチュエータ制御手段は、前記検出手段で検出した転舵状態が限界転舵状態に接近したときに前記アクチュエータの駆動速度を低減する低減制御を実行するが、転舵速度が所定値未満の時には、前記転舵状態が限界転舵状態に接近したときでも前記低減制御を実行しないことを特徴とする。尚、本発明において、「転舵機構の限界転舵状態」とは、アクチュエータを駆動しても車輪の転舵角がそれ以上増加しない限界状態をいう。
【0007】
上記構成によれば、自動操舵制御中に車輪を転舵すべくアクチュエータを駆動したとき、アクチュエータの駆動力を車輪に伝達する転舵機構の転舵状態が限界転舵状態に接近するとアクチュエータの駆動速度が低減するので、前記限界転舵状態において転舵機構に衝撃が発生するのを回避することができる。これにより、打音の発生を防止し、車両の移動軌跡のずれを防止し、かつアクチュエータおよび転舵機構の耐久性を高めることが可能となる。
【0008】
また特に請求項1の上記構成によれば、車速が所定値以上のときに限ってアクチュエータの駆動速度が低減するので、一般的に転舵速度が小さいために衝撃が発生する虞のない低車速時にアクチュエータの駆動速度が無意味に低減するのを回避し、一層正確な移動軌跡を確保することができる。また車速が所定値未満のときは、前記衝撃が発生する可能性が低いことから、転舵状態が限界転舵状態に接近したときでもアクチュエータ駆動速度の前記低減制御は実行されない。尚、前記車速の所定値は実施例では5km/hに設定されているが、その値は適宜設定可能である。
【0009】
また特に請求項2の上記構成によれば、転舵速度が所定値以上に増加するとアクチュエータの駆動速度が低減するので、転舵速度が高いために大きな衝撃が発生し易いときにアクチュエータの駆動速度を低減して衝撃の発生を有効に回避することができる。また転舵速度が所定値未満のときは、前記衝撃が発生する可能性が低いことから、転舵状態が限界転舵状態に接近したときでもアクチュエータ駆動速度の前記低減制御は実行されない。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、前記移動軌跡設定手段は、車両の移動距離に対する車輪の転舵角の関係として前記移動軌跡を記憶または演算すること を特徴とし、この構成によれば、車両の移動軌跡が車両の移動距離に対する車輪の転舵角の関係として記憶または演算されるので、自動操舵制御中に車速が変動しても常に一定の移動軌跡を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動操舵装置を備えた車両の全体構成図、図2はバック駐車/左モードの作用説明図、図3はモード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図、図4は電動パワーステアリング装置の構造を示す図、図5はステアリングアクチュエータの駆動回路を示す図、図6は作用を説明するフローチャートである。
【0013】
図1および図4に示すように、車両Vは駆動輪である一対の前輪Wf,Wfと、従動輪である一対の後輪Wr,Wrとを備える。ステアリングホイール1と前輪Wf,Wfとが、ステアリングホイール1と一体に回転するステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の下端に設けたピニオン3と、ピニオン3に噛み合うラック41 を有するステアリングロッド4と、ステアリングロッド4の両端に設けた左右のタイロッド5,5と、タイロッド5,5に連結された左右のナックル6,6とによって接続される。ドライバーによるステアリングホイール1の操作をアシストすべく、あるいは後述する車庫入れのための自動操舵を行うべく、電気モータよりなるステアリングアクチュエータ7がステアリングロッド4に設けたボールねじ機構8に接続される。ボールねじ機構8は本発明の転舵機構を構成する。
【0014】
操舵制御装置21は制御部22と記憶部23とから構成される。制御部22には、ステアリングホイール1の回転角に基づいて前輪Wf,Wfの転舵角θを検出する転舵角検出手段S1 と、ステアリングシャフト2の下部に介装したトーションバーの捩じれに基づいてステアリングホイール1の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段S2 と、左右の前輪Wf,Wfの回転角を検出する前輪回転角検出手段S3 ,S3 と、セレクトレバー11により選択されたシフトレンジ(「D」レンジ、「R」レンジ、「N」レンジ、「P」レンジ等)を検出するシフトレンジ検出手段S4 と、ステアリングロッド4の左右位置に基づいて転舵状態を検出する転舵状態検出手段S5 とからの信号が入力される。転舵状態検出手段S5 は本発明の検出手段を構成する。
【0015】
前輪回転角検出手段S3 ,S3 は、前輪Wf,Wfが所定角度回転する毎にパルスを出力するもので、検出されたパルス数に前輪Wf,Wfの半径に応じて決定される定数を乗算することにより車両Vの移動距離Xを算出することができる。尚、一対の前輪回転角検出手段S3 ,S3 の出力は、そのハイセレクト値、ローセレクト値、あるいは平均値が採用される。
【0016】
ステアリングロッド4の左右方向の移動限界位置は、ボールねじ機構8の作動可能範囲によって規制されており、前記転舵状態検出手段S5 はステアリングロッド4が移動限界位置の近傍に達したことを、即ちボールねじ機構8が作動可能範囲の限界位置(つまり限界転舵位置)に接近したことを検出可能である。
【0017】
更に制御部22には、ドライバーにより操作されるモード選択スイッチS6 および自動駐車スタートスイッチS7 が接続される。図3から明らかなように、モード選択スイッチS6 は、4種類の駐車モード、即ちバック駐車/右モード、バック駐車/左モード、縦列駐車/右モードおよび縦列駐車/左モードの何れかを選択する際に操作されるもので、各モードに対応する4個のスイッチボタンを備えている。自動駐車スタートスイッチS7 は、モード選択スイッチS6 で選択した何れかのモードによる自動駐車を開始する際に操作される。
【0018】
前記記憶部23は本発明の移動軌跡設定手段を構成するもので、そこには前記4種類の駐車モードのデータ、即ち車両Vの移動距離Xに対する規範転舵角θrefの関係が、予めテーブルとして記憶されている。
【0019】
而して、制御部22は前記各検出手段S1 〜S5 およびスイッチS6 ,S7 からの信号と、記憶部23に記憶された駐車モードのデータとに基づいて、前記ステアリングアクチュエータ7の作動と、液晶モニター、スピーカ、ランプ、チャイム、ブザー等を含む操作段階教示装置12の作動とを制御する。
【0020】
図5に示すように、ステアリングアクチュエータ7の駆動回路31は、バッテリ32およびステアリングアクチュエータ7間に設けた4個のトランジスタT1 〜T4 と、パワーリレー33と、フェイルセーフリレー34とから構成される。制御部22からの指令により2個のトランジスタT1 ,T4 がONすると、図5(A)に太線で示す回路が構成され、ステアリングアクチュエータ7が例えば左転舵方向に駆動される。また2個のトランジスタT2 ,T3 がONすると、図5(B)に太線で示す回路が構成され、ステアリングアクチュエータ7が例えば右転舵方向に駆動される。ステアリングアクチュエータ7の駆動速度、即ち転舵速度は、各トランジスタT1 〜T4 のデューティを変化させることにより制御される。
【0021】
またステアリングアクチュエータ7に制動力を発生させるには、図5(C)に示すように2個のトランジスタT1 ,T2 をONするか、図5(D)に示すように2個のトランジスタT3 ,T4 をONすれば良い。その結果、太線で示す短絡回路が構成され、ステアリングアクチュエータ7で発電した回生電力を前記短絡回路の内部抵抗で消費することにより制動力が発生する。このとき、トランジスタT1 〜T4 のデューティを変化させることにより制動力の大きさを任意に制御することも可能である。
【0022】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0023】
自動操舵制御を行わない通常時(前記自動駐車スタートスイッチS7 がONしていないとき)には、操舵制御装置21は一般的なパワーステアリング制御装置として機能する。具体的には、ドライバーが車両Vを旋回させるべくステアリングホイール1を操作すると、操舵トルク検出手段S2 がステアリングホイール1に入力された操舵トルクを検出し、制御部22は前記操舵トルクに基づいてステアリングアクチュエータ7の駆動を制御する。その結果、ステアリングアクチュエータ7の駆動力によって左右の前輪Wf,Wfが転舵され、ドライバーのステアリング操作がアシストされる。
【0024】
次に、バック駐車/左モード(車両Vの左側にある駐車位置にバックしながら駐車するモード)を例にとって、自動操舵制御の内容を説明する。
【0025】
先ず、図2(A)に示すように、車両Vを駐車しようとする車庫の近傍に移動させ、車体の左側面を車庫入口線にできるだけ近づけた状態で、予め決められた基準(例えば、ドアの内側に設けられたマークやサイドミラー)が車庫の中心線に一致する位置(スタート位置(1) )に車両Vを停止させる。そしてモード選択スイッチS6 を操作してバック駐車/左モードを選択するとともに自動駐車スタートスイッチS7 をONすると、自動操舵制御が開始される。自動操舵制御が行われている間、操作段階教示装置12には自車の現在位置、駐車位置、スタート位置から駐車位置までの自車の予想移動軌跡、前進から後進に切り換える折り返し位置等が表示され、併せてスピーカからの音声でドライバーに前記折り返し位置(2) におけるセレクトレバー11の操作等の各種の指示や警報が行われる。
【0026】
自動操舵制御により、ドライバーがブレーキペダル9を緩めて車両Vをクリープ走行させるだけで、あるいはアクセルペダル10を僅かに踏んで車両Vを走行させるだけで、ステアリングホイール1を操作しなくても、モード選択スイッチS6 により選択されたバック駐車/左モードのデータに基づいて前輪Wf,Wfが自動操舵される。即ち、スタート位置(1) から折り返し位置(2) まで車両Vが前進する間は前輪Wf,Wfは右に自動操舵され、折り返し位置(2) から目標位置(3) まで車両Vが後進する間は前輪Wf,Wfは左に自動操舵される。
【0027】
図2(B)から明らかなように、自動操舵が行われている間、制御部22は記憶部23から読み出したバック駐車/左モードのデータに、前輪回転角検出手段S3 ,S3 の出力に基づいて算出した車両Vの移動距離Xを適用して規範転舵角θrefを検索する。そして前記規範転舵角θrefと転舵角検出手段S1 から入力された転舵角θとに基づいて偏差E(=θref−θ)を算出し、その偏差Eが0になるようにステアリングアクチュエータ7の作動を制御する。このとき、規範転舵角θrefのデータは車両Vの移動距離Xに対応して設定されているため、自動操舵制御中の車速に多少の変動があっても、前記移動距離Xが正しく検出されている限り車両Vは常に前記移動軌跡上を移動することになる。
【0028】
上述した自動操舵制御は、ドライバーがモード選択スイッチS6 をOFFした場合に解除されるが、それ以外にもドライバーがステアリングホイール1を操作した場合、車速が所定値を越えた場合に解除され、通常のパワーステアリング制御に復帰する。
【0029】
ところで、自動操舵制御中にステアリングアクチュエータ7が作動したとき、ボールねじ機構8が作動可能範囲の限界位置に突き当たって衝撃が発生するのを防止すべく、以下のようなステアリングアクチュエータ7のブレーキ制御が行われる。
【0030】
図6のフローチャートのステップS1において、車速vおよび転舵速度γを読み込む。車速vは前輪回転角検出手段S3 ,S3 の出力から算出した前記移動距離Xの時間微分値として算出可能であり、転舵速度γは転舵角検出手段S1 の出力から算出した前記転舵角θの時間微分値として算出可能である。
【0031】
続くステップS2で車速vを所定値(例えば、5km/h)と比較し、車速vが所定車速未満であれば、ステアリングアクチュエータ7のブレーキ制御を行うことなくステップS7に移行し、ステアリングアクチュエータ7の通常制御を行う。その理由は、車両Vの移動軌跡は車両Vの移動距離Xに対する転舵角θの関係として設定されているため、車速vが小さくなると転舵速度γも小さくなり、ボールねじ機構8が作動可能範囲の限界位置に突き当たって衝撃が発生する可能性が低くなるからである。
【0032】
前記ステップS2で車速vが所定値以上であれば、ステップS3で転舵速度γを所定値と比較し、転舵速度γが所定値未満であれば衝撃が発生する可能性が低いと判断し、ステップS7に移行してステアリングアクチュエータ7の通常制御を行う。一方、前記ステップS3で転舵速度γが所定値以上であればステップS4に移行し、転舵状態検出手段S5 によりステアリングロッド4の位置を検出する。
【0033】
そしてステップS5でステアリングロッド4の位置が限界転舵位置に接近したか否かを判定し、限界転舵位置に接近していなければステップS7でステアリングアクチュエータ7の通常制御を行い、逆に限界転舵位置に接近していればステップS6でステアリングアクチュエータ7のブレーキ制御を行う。このブレーキ制御は、図5に基づいて既に説明したように、ステアリングアクチュエータ7の駆動回路31の4個のトランジスタT1 〜T4 をON/OFFすることにより実行される。
【0034】
而して、転舵速度γが高いときにステアリングロッド4の位置が移動限界位置に接近してボールねじ機構8が移動端に突き当たると大きな衝撃が発生する可能性があるが、その手前位置でステアリングアクチュエータ7が制動力を発生して転舵速度γを低下させるため、前記衝撃の発生を未然に回避することが可能となる。
【0035】
これにより、衝撃に伴って異音が発生することや、衝撃で転舵角θが変動して移動軌跡がずれることが防止されるだけでなく、衝撃によるボールねじ機構8やステアリングアクチュエータ7の耐久性低下を回避することができる。また自動操舵制御はドライバーがステアリングホイール1を操作して操舵トルクが検出された場合に中止されるため、前記衝撃によって操舵トルク検出手段S2 が疑似的な操舵トルクを検出すると自動操舵制御が中止されてしまう可能性があるが、本実施例によれば自動操舵制御の不必要な中止を未然に回避することができる。
【0036】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0037】
例えば、実施例では目標位置までの車両Vの移動軌跡が予め記憶部23に記憶されているが、車両Vの現在位置および目標位置から前記移動軌跡を演算することも可能である。
【0038】
また実施例の如くステアリングアクチュエータ7のブレーキ制御を駆動回路31の短絡により行う代わりに、ステアリングアクチュエータ7に逆方向の制動電流を流すことにより行っても良い。即ち、図7に示すように転舵速度γが所定値を越えた時点から、転舵速度γの増加および車速vの増加に応じて増加する制動電流を設定しておき、ステアリングロッド4の位置が限界転舵位置に接近したときに、自動操舵のためにステアリングアクチュエータ7に供給される駆動電流に前記制動電流を加算し、実質的な駆動電流を減少させて制動力を発生させることも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、自動操舵制御中に車輪を転舵すべくアクチュエータを駆動したとき、アクチュエータの駆動力を車輪に伝達する転舵機構の転舵状態が限界転舵状態に接近するとアクチュエータの駆動速度が低減するので、前記限界転舵状態において転舵機構に衝撃が発生するのを回避することができる。これにより、打音の発生を防止し、車両の移動軌跡のずれを防止し、かつアクチュエータおよび転舵機構の耐久性を高めることが可能となる。
【0040】
また特に請求項1の発明によれば、車速が所定値以上のときに限ってアクチュエータの駆動速度が低減するので、一般的に転舵速度が小さいために衝撃が発生する虞のない低車速時にアクチュエータの駆動速度が無意味に低減するのを回避し、一層正確な移動軌跡を確保することができる。また車速が所定値未満のときは、前記衝撃が発生する可能性が低いことから、転舵状態が限界転舵状態に接近したときでもアクチュエータ駆動速度の前記低減制御は実行されない。
【0041】
また特に請求項2の発明によれば、転舵速度が所定値以上に増加するとアクチュエータの駆動速度が低減するので、転舵速度が高いために大きな衝撃が発生し易いときにアクチュエータの駆動速度を低減して衝撃の発生を有効に回避することができる。また転舵速度が所定値未満のときは、前記衝撃が発生する可能性が低いことから、転舵状態が限界転舵状態に接近したときでもアクチュエータ駆動速度の前記低減制御は実行されない。
【0042】
また特に請求項3の発明によれば、車両の移動軌跡が車両の移動距離に対する車輪の転舵角の関係として記憶または演算されるので、自動操舵制御中に車速が変動しても常に一定の移動軌跡を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動操舵装置を備えた車両の全体構成図
【図2】 バック駐車/左モードの作用説明図
【図3】 モード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図
【図4】 電動パワーステアリング装置の構造を示す図
【図5】 ステアリングアクチュエータの駆動回路を示す図
【図6】 作用を説明するフローチャート
【図7】 本発明の第2実施例に係るステアリングアクチュエータの制動電流の説明図
【符号の説明】
7 ステアリングアクチュエータ(アクチュエータ)
8 ボールねじ機構(転舵機構)
22 制御部(アクチュエータ制御手段)
23 記憶部(移動軌跡設定手段)
S5 転舵状態検出手段(検出手段)
V 車両
v 車速
Wf 前輪(車輪)
X 移動距離
γ 転舵速度
θ 転舵角
Claims (3)
- 目標位置までの車両(V)の移動軌跡を記憶または演算する移動軌跡設定手段(23)と、転舵機構(8)を介して車輪(Wf)を転舵するアクチュエータ(7)と、移動軌跡設定手段(23)により記憶または演算された移動軌跡に基づいてアクチュエータ(7)の駆動を制御するアクチュエータ制御手段(22)とを備えた車両の自動操舵装置において、
前記転舵機構(8)の転舵状態を検出する検出手段(S5 )を備えてなり、
前記アクチュエータ制御手段(22)は、前記検出手段(S5 )で検出した転舵状態が限界転舵状態に接近したときに前記アクチュエータ(7)の駆動速度を低減する低減制御を実行するが、車速(v)が所定値未満の低車速時には、前記転舵状態が限界転舵状態に接近したときでも前記低減制御を実行しないことを特徴とする車両の自動操舵装置。 - 目標位置までの車両(V)の移動軌跡を記憶または演算する移動軌跡設定手段(23)と、転舵機構(8)を介して車輪(Wf)を転舵するアクチュエータ(7)と、移動軌跡設定手段(23)により記憶または演算された移動軌跡に基づいてアクチュエータ(7)の駆動を制御するアクチュエータ制御手段(22)とを備えた車両の自動操舵装置において、
前記転舵機構(8)の転舵状態を検出する検出手段(S 5 )を備えてなり、
前記アクチュエータ制御手段(22)は、前記検出手段(S 5 )で検出した転舵状態が限界転舵状態に接近したときに前記アクチュエータ(7)の駆動速度を低減する低減制御を実行するが、転舵速度(γ)が所定値未満の時には、前記転舵状態が限界転舵状態に接近したときでも前記低減制御を実行しないことを特徴とする車両の自動操舵装置。 - 前記移動軌跡設定手段(23)は、車両(V)の移動距離(X)に対する車輪(Wf)の転舵角(θ)の関係として前記移動軌跡を記憶または演算することを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両の自動操舵装置。
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