JP3323324B2 - 発光ダイオードおよび発光ダイオードアレイ - Google Patents

発光ダイオードおよび発光ダイオードアレイ

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JP3323324B2 JP11482894A JP11482894A JP3323324B2 JP 3323324 B2 JP3323324 B2 JP 3323324B2 JP 11482894 A JP11482894 A JP 11482894A JP 11482894 A JP11482894 A JP 11482894A JP 3323324 B2 JP3323324 B2 JP 3323324B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は発光ダイオードおよび
発光ダイオードアレイに関する。この発明の発光ダイオ
ードや発光ダイオードアレイは、光信号伝送における信
号発生源や光プリンターの光源として利用でき、特に、
この発明の発光ダイオードアレイは、固体走査方式(発
光ダイオードアレイの発光像を感光体上に等倍結像させ
る方式)の光プリンターの光源として好適に利用でき
る。
【0002】
【従来の技術】光プリンターや光信号伝送用の光源とし
て、「面発光型」の発光ダイオードの使用が意図されて
いる。面発光型の発光ダイオードは、発光部を構成する
半導体積層膜の最上層に形成されたキャップ層上の一部
に膜状の電極が形成され、電極の形成されていないキャ
ップ層表面に形成された絶縁膜表面が「光射出窓」とな
る構成となっている。
【0003】このような、従来の面発光型の発光ダイオ
ードには以下の如き問題があった。即ち、面発光型の発
光ダイオードに発光のための駆動電流を通じると、キャ
ップ層上に形成された電極直下の半導体積層膜部分で駆
動電流密度が最も大きく、発光量はこの部分で最大であ
る。
【0004】しかし、この「電極直下の半導体積層膜部
分」で発光した光の大部分は膜状の電極に反射されるた
め、光射出窓から「光出力」として有効に取り出すこと
ができず、「光取り出し効率」が低い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上述した事
情に鑑みてなされたものであって、光取り出し効率に優
れた新規な発光ダイオードおよび発光ダイオードアレイ
の提供を目的とする。
【0006】この発明の別の目的は、光取り出し効率に
優れ、且つ発光効率の劣化が有効に防止された新規な発
光ダイオードおよび発光ダイオードアレイの提供にあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発光ダイ
オードは「n型の半導体基板上に、電気伝導型が半導体
基板側から順次np(−)p(+)となるように半導体膜を
積層形成したのち、p(−)型の半導体膜を電流ブロック
層とし、光射出窓直下の部分の電流ブロック層に、p
型不純物をイオン注入法によりドーピングしてキャリヤ
濃度を高めることにより、光射出窓に連設された膜状の
電極の、直下の部分のみに電流ブロック領域を形成する
ことにより、駆動電流が光射出窓直下の発光部に集中す
るように構成した」ことを特徴とする。上記p(−)は、
比較的キャリヤ濃度の低いp型伝導型、p(+)は、比較
的キャリヤ濃度の高いp型伝導型を意味する。
【0008】請求項2記載の発光ダイオードは「p型の
半導体基板上に、電気伝導型が半導体基板側から順次p
n(−)n(+)となるように半導体膜を積層形成し、n
(−)型の半導体膜を電流ブロック層として、光射出窓直
下の部分の電流ブロック層に、n型不純物をイオン注入
法によりドーピングしてキャリヤ濃度を高めることによ
り、光射出窓に連設された膜状の電極の直下の部分
に電流ブロック領域を形成することにより、駆動電流
が光射出窓直下の発光部に集中するように構成した」こ
とを特徴とする。上記n(−)は、比較的キャリヤ濃度の
低いn型伝導型、n(+)は、比較的キャリヤ濃度の高い
n型伝導型を意味する。
【0009】上記請求項1、2記載の発明では、電流ブ
ロック層の一部にドーピングさせた不純物により、電流
ブロック機能を解除し、電流路を形成するのである。
【0010】請求項3記載の発光ダイオードアレイは
「請求項1または2記載の発光ダイオードを複数個、同
一の半導体基板上にモノリシック且つ直線状にアレイ配
列して」構成される。
【0011】
【作用】この発明の発光ダイオードは、上述のように
「光射出窓に連設された膜状の電極の直下の部分に電流
ブロック領域を形成することにより、駆動電流が光射出
窓直下の発光部分に集中する」ように構成されているか
ら、駆動電流を通じると、駆動電流は電流ブロック領域
を避けて「光射出窓直下の発光部」に集中し、光射出窓
直下の部分で発光量が最大となる。
【0012】請求項1,2記載の発明においては、予め
形成された電流ブロック層に欠乏しているキャリアをド
ーピングして、キャリヤ濃度を増加させることにより電
流ブロック層の抵抗率を減少させて電流路を形成する。
【0013】電流ブロック層の「電流ブロック機能を解
除する」ため、あるいは「電流ブロック領域を形成す
る」ための不純物をドーピングを「イオン注入法」で行
うと、「熱拡散」により行う場合に比して、材料に加え
られる熱量が少なく、ドーピング後の発光部の「不純物
プロファイル」が大きく変化することがない。
【0014】
【実施例】以下、具体的な実施例に即して説明する。
【0015】図1は、発光ダイオードアレイの1例を示
している。
【0016】図1は、発光ダイオードアレイを、その配
列端部から2番目の発光ダイオードの部分において、発
光ダイオード配列方向に直交する面で切断した状態を示
している。符号D1,D2は、発光ダイオードアレイを構
成するアレイ端部の2つの発光ダイオードを示してい
る。
【0017】発光ダイオードアレイを構成する個々の発
光ダイオードD1,D2等は同一の構造を有しているの
で、この構造を、発光ダイオードD2を例に取って説明
すると、図1において符号13で示す部分が光射出窓で
ある。光射出窓13に連接するようにして、膜状の電極
9が「配線電極」として形成されている。即ち、光射出
窓13には配線電極9が連設されている。
【0018】なお、この明細書において、「キャリヤ濃
度」を表す数値は、「単位立方センチメートル(c
)あたりのキャリヤ数」であることを付記してお
く。
【0019】図2に請求項1記載の発光ダイオードの1
実施例を示している。即ち、図1と同様に、同一の発光
ダイオードをモノリシック且つ直線状にアレイ配列した
発光ダイオードアレイ(請求項3)のうちの、任意の1
を示したものである。
【0020】符号701で示すn−GaAsの半導体基
板の表面側に、半導体膜として、n−Al0.4Ga
0.6As(キャリヤ濃度:3×1017,膜厚:1μ
m)のクラッド層702、n−Al0.2Ga0.8
s(キャリヤ濃度:5×1015,膜厚:0.15μ
m)の発光層703、p−Al0.4Ga0.6As
(キャリヤ濃度:1×1016,膜厚:0.2μm)の
電流ブロック層705、p−Al0.4Ga0.6As
(キャリヤ濃度:2×1018,膜厚:0.3μm)の
電流注入層706、p−GaAs(キヤリヤ濃度:1×
1020,膜厚:0.05μm)のキャップ層707
が、半導体基板701側から上記順序に積層形成されて
いる。
【0021】クラッド層702と発光層703と電流ブ
ロック層705と電流注入層706の部分が、ダブルヘ
テロ構造の発光部を構成し、電流ブロック層705は、
キャリヤ濃度が低く高抵抗であるp(−)型伝導層であ
る。
【0022】半導体膜702〜707が積層形成された
側は絶縁層708により被覆され、絶縁層708上に形
成されたAl膜による配線電極709は、絶縁層708
に穿設されたコンタクトホール712によりキャップ層
707に接している。
【0023】光射出窓711の直下の部分には、電流ブ
ロック層705を中心として、p型不純物である9Be
(+)が、電流ブロック層705におけるキャリヤ濃度を
増加させるようにイオン注入法により注入され、p型不
純物注入領域713をなしている。
【0024】このため、領域713では、キャリヤ濃度
が増加して抵抗率が低下し、電流ブロック層705の高
抵抗による電流ブロック機能が解除され、配線電極70
9の直下の部分に電流ブロック機能を持った領域が残さ
れることになる。
【0025】電流ブロック層705は、キャリヤ濃度を
下げ、抵抗率を高めることにより電流ブロック機能を持
たせており、電流ブロック層705は、電流ブロック機
能を高めるため、上記の如く、膜厚を0.2μmと厚く
しており、これにともない、不純物イオンの注入深さも
大きくなるが、p型不純物として、低質量数のBe
(+)を用いることにより、良好な注入を実現している。
Be(+)は、比較的低い熱処理温度で高い活性化率が
得られるため、活性化の際に、結晶成長層におけるキャ
リヤ濃度プロファイルに与える影響が、他の注入材料に
比して少ない。
【0026】半導体基板701の裏面側には一面に電極
膜710がAu/Ni/Au−Geにより形成され、各
発光ダイオードに共通の電極となっている。
【0027】配線電極709と電極膜710との間に電
圧を印加すると、駆動電流は配線電極709の側から電
極膜710側へ流れるが、配線電極709の直下の部分
では、電流ブロック領域705による電流ブロック作用
が働くので、電流は光射出窓711の直下のp型不純物
注入領域713に集中して流れることになり、この領域
の直下で明るい発光が得られ、発光した光は配線電極7
09に反射されることなく、光射出部13から「光出
力」として有効に射出する。従って、高い「光取り出し
効率」が実現される。
【0028】以下に、上記実施例の発光ダイオードアレ
イの製造工程の1例を略説する。まず、半導体基板70
1上に、半導体膜702〜707を有機金属気層成長法
もしくは分子線エピタキシー法を用いたエピタキシャル
成長により順次積層形成し、通常のフォトリソグラフィ
技術とイオン注入法とを用いて、光射出窓の直下の部分
に、電流ブロック層705を中心として、p型不純物で
あるBe(+)を注入してp型不純物注入領域713を
形成し、注入したイオンをRTAにより活性化する。次
に、ECR−RIBEによるドライエッチングを半導体
基板701に達するまで行い、半導体膜の積層部を個々
の発光ダイオード用に素子分離し、その後、プラズマC
VD法により絶縁層708を形成し、通常のフォトリソ
グラフィ技術とウエットエッチングにより、キャップ層
707の上部の絶縁層708にコンタクトホール712
を穿設する。さらにDCスパッタリング法と反応性イオ
ンエッチング法を用いてAl膜による配線電極709を
形成し、最後に半導体基板701裏面に抵抗加熱蒸着法
を用いて電極膜710を形成する。
【0029】図3に請求項2記載の発光ダイオードの1
実施例を示している。即ち、図1と同様に、同一の発光
ダイオードをモノリシック且つ直線状にアレイ配列した
発光ダイオードアレイ(請求項3)のうちの、任意の1
を示したものである。
【0030】符号801で示すp−GaAsの半導体基
板の表面側に、半導体膜として、p−Al0.4Ga
0.6As(キャリヤ濃度:5×1017,膜厚:1μ
m)のクラッド層802、n−Al0.2Ga0.8
s(キャリヤ濃度:5×1015,膜厚:0.15μ
m)の発光層803、n−Al0.4Ga0.6As
(キャリヤ濃度:1×1016,膜厚:0.1μm)の
電流ブロック層805、n−Al0.4Ga0.6As
(キャリヤ濃度:3×1017,膜厚:0.2μm)の
電流注入層806、p−GaAs(キヤリヤ濃度:3×
1018,膜厚:0.05μm)のキャップ層807
が、半導体基板801側から上記順序に積層形成されて
いる。
【0031】クラッド層802と発光層803と電流ブ
ロック層805と電流注入層806の部分が、ダブルヘ
テロ構造の発光部を構成し、電流ブロック層805は、
キャリヤ濃度が低く高抵抗であるn(−)型伝導層であ
る。
【0032】半導体膜802〜807が積層形成された
側は絶縁層808により被覆され、絶縁層808上に形
成されたAu/Ni/Au−Ge/Cr膜による配線電
極809は、絶縁層808に穿設されたコンタクトホー
ル812によりキャップ層807に接している。
【0033】光射出窓811の直下の部分には、電流ブ
ロック層805を中心として、n型不純物である28
i(+)が、電流ブロック層705におけるキャリヤ濃度
を増加させるように、イオン注入法により注入され、n
型不純物注入領域813をなしている。
【0034】このため、領域813では、キャリヤ濃度
が増加して抵抗率が低下し、電流ブロック層805の高
抵抗による電流ブロック機能が解除され、配線電極80
9の直下の部分に電流ブロック機能を持った領域が残さ
れることになる。
【0035】電流ブロック層805は、キャリヤ濃度を
下げ、抵抗率を高めることにより電流ブロック機能を持
たせており、電流ブロック層705は、電流ブロック機
能を高めるため、上記の如く、膜厚を0.1μmと厚く
しており、これにともない、不純物イオンの注入深さも
大きくなるが、n型不純物として比較的低質量数の28
Si(+)を用いることにより良好な注入を実現してい
る。28Si(+)は、比較的低い熱処理温度で高い活性
化率が得られるため、活性化の際に結晶成長層における
キャリヤ濃度プロファイルに与える影響が、他の注入材
料に比して少ない。
【0036】半導体基板801の裏面側には一面に電極
膜810がAu/Au−Znにより形成され、各発光ダ
イオードに共通の電極となっている。
【0037】配線電極809と電極膜810との間に電
圧を印加すると、駆動電流は配線電極809の側から電
極膜810側へ流れるが、配線電極809の直下の部分
では、電流ブロック領域805による電流ブロック作用
が働くので、電流は光射出窓811の直下のp型不純物
注入領域813に集中して流れることになり、この領域
の直下で明るい発光が得られ、発光した光は配線電極8
09に反射されることなく、光射出部811から「光出
力」として有効に射出する。従って、高い「光取り出し
効率」が実現される。
【0038】以下に、上記実施例の発光ダイオードアレ
イの製造工程の1例を略説する。まず、半導体基板80
1上に、半導体膜802〜807を有機金属気層成長法
もしくは分子線エピタキシー法を用いたエピタキシャル
成長により順次積層形成し、通常のフォトリソグラフィ
技術とイオン注入法とを用いて、光射出窓の直下の部分
に、電流ブロック層805を中心として、n型不純物で
ある28Si(+)を注入してn型不純物注入領域813
を形成し、注入したイオンをRTAにより活性化する。
次に、ECR−RIBEによるドライエッチングを半導
体基板801に達するまで行い、半導体膜の積層部を個
々の発光ダイオード用に素子分離し、その後、プラズマ
CVD法により絶縁層808を形成し、通常のフォトリ
ソグラフィ技術とウエットエッチングにより、キャップ
層807の上部の絶縁層808にコンタクトホール81
2を穿設する。さらにDCスパッタリング法と反応性イ
オンエッチング法を用いてAl膜による配線電極809
を形成し、最後に半導体基板701裏面に抵抗加熱蒸着
法を用いて電極膜810を形成する。
【0039】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば新規な発光ダイオードおよび発光ダイオードアレイを
提供できる。この発明の発光ダイオードおよび発光ダイ
オードアレイは上記の如き構成となっているから、面発
光型でありながら光出力を極めて高い光取り出し効率で
有効に取り出すことができる(請求項1〜2)。
【0040】また、請求項1、2記載の発明では、不純
物の注入をイオン注入により行うので、注入にともなう
半導体膜への熱の影響が少なく、ドーピング後の不純物
プロファイルの変化を小さく抑えることができ、発光部
における発光効率の経時的な低下を有効に軽減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発光ダイオードアレイの1例を説明するための
図である。
【図2】請求項1,3記載の発明の1実施例を説明する
ための図である。
【図3】請求項2,3記載の発明の1実施例を説明する
ための図である。
【符号の説明】
1 半導体基板 2 クラッド層 3 発光層 4 クラッド層 7 キャップ層 8 絶縁層 9 配線電極 13 光射出窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00 H01S 5/00 - 5/50 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発光部がダブルヘテロ構造を有する面発光
    型の発光ダイオードであって、 n型の半導体基板上に、電気伝導型が上記半導体基板側
    から順次、np(−)p(+)となるように半導体膜を積層
    形成したのち、 上記p(−)型の半導体膜を電流ブロック層として、光射
    出窓直下の部分の、上記p(−)型の電流ブロック層に、
    p型不純物をイオン注入法によりドーピングし、キャリ
    ヤ濃度を増加させることにより電流ブロック層の抵抗率
    を減少させて、上記光射出窓に連設された膜状の電極
    の、直下の部分のみに電流ブロック領域を形成すること
    により、駆動電流が光射出窓直下の発光部に集中するよ
    うに構成したことを特徴とする発光ダイオード。
  2. 【請求項2】発光部がダブルヘテロ構造を有する面発光
    型の発光ダイオードであって、 p型の半導体基板上に、電気伝導型が上記半導体基板側
    から順次、pn(−)n(+)となるように半導体膜を積層
    形成したのち、 上記n(−)型の半導体膜を電流ブロック層として、光射
    出窓直下の部分の、上記n(−)型の電流ブロック層に、
    n型不純物をイオン注入法によりドーピングし、キャリ
    ヤ濃度を増加させることにより電流ブロック層の抵抗率
    を減少させて、上記光射出窓に連設された膜状の電極
    の、直下の部分のみに電流ブロック領域を形成すること
    により、駆動電流が光射出窓直下の発光部に集中するよ
    うに構成したことを特徴とする発光ダイオード。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の発光ダイオードを
    複数個、同一の半導体基板上にモノリシック且つ直線状
    にアレイ配列して成る発光ダイオードアレイ。
JP11482894A 1993-06-18 1994-05-27 発光ダイオードおよび発光ダイオードアレイ Expired - Lifetime JP3323324B2 (ja)

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