JP2000280354A - 三次元造形装置および三次元造形方法 - Google Patents

三次元造形装置および三次元造形方法

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JP2000280354A
JP2000280354A JP11086909A JP8690999A JP2000280354A JP 2000280354 A JP2000280354 A JP 2000280354A JP 11086909 A JP11086909 A JP 11086909A JP 8690999 A JP8690999 A JP 8690999A JP 2000280354 A JP2000280354 A JP 2000280354A
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dimensional
nozzle
modeling
layer
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JP11086909A
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English (en)
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Shigeaki Tochimoto
茂昭 栃本
Fumiya Yagi
史也 八木
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で低コストかつ容易に、複数の色を有
する三次元造形物や任意の混合色からなる三次元造形物
を造形できること。 【解決手段】 三次元造形装置10において、第1の材
料として内部造形用となる無着色または白色の樹脂がタ
ンク18dに収容されており、第2の材料として表面側
造形用の着色された樹脂がタンク18a〜18cに収容
されている。これらの樹脂材料は吐出ノズル15a〜1
5dからステージ20の方向に吐出される。制御手段で
ある駆動制御部12がノズルヘッド15をXY面内で移
動させつつ、各吐出ノズル15a〜15dからの樹脂材
料の吐出を制御する。三次元造形物21の内部側造形時
には少なくとも内部造形用の樹脂を吐出させ、表面側造
形時には少なくとも表面側造形用の着色樹脂を吐出させ
る。つまり、表面形成時と内部側形成時とで樹脂材料の
吐出を変更するのである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、三次元造形装置
および三次元造形方法に関するものであって、とりわけ
樹脂を液体あるいは流体状態でインクジェット方式等に
よって噴出し、硬化させ、これを積層することによっ
て、目的とする三次元造形物を製造する三次元造形装置
および三次元造形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、造形対象物を平行な複数の面
で切断した各断面ごとに樹脂を順次積層することによっ
て立体造形を行い、造形対象物の三次元モデルとなる造
形物を生成する装置が知られている。
【0003】図22は、このような従来の三次元造形装
置100を示す概略図である。この三次元造形装置10
0において、コンピュータ111は三次元形状の造形対
象物をデータ化し、それを幾層もの薄い断面体にスライ
スして得られる断面データの送り出しを行う。駆動制御
部112はコンピュータ111からの断面データを取り
込み、そのデータに従って、インクジェットヘッド11
5、XY方向駆動部113およびZ方向駆動部114を
制御する。この駆動制御部112の制御により、XY方
向駆動部113が作動するとともにインクジェットヘッ
ド115より熱可塑性樹脂を小滴として吐出することに
より、コンピュータ111から与えられた断面データに
基づく断面形状が造形される。そしてステージ116上
にて吐出された熱可塑性樹脂は放熱・冷却されて溶融状
態から固体に変化して硬化する。このような動作によっ
て一層分の断面体すなわち層体が作り出される。
【0004】その後、駆動制御部112によってZ方向
駆動部114が制御され、ステージ116は一層分の厚
さに相当する距離だけ降下する。そして上記と同様の動
作を行うことにより一層目の上側に新たな層が積層され
る。このように連続的に作り出された幾層もの薄い層体
が積層されて造形物117が造形される。
【0005】また、造形物117がオーバーハング形状
を有する場合には、コンピュータ111において造形対
象物のデータ化を行う際に必要に応じてオーバーハング
支持部形状が付加される。そして駆動制御部112は、
上記造形物の造形と同時に、そのオーバーハング支持部
形状に基づいて造形物を造形するための熱可塑性樹脂と
は溶融温度の異なる熱可塑性樹脂をインクジェットヘッ
ド118から小滴として吐出させることによりオーバー
ハング支持部119を形成する。
【0006】そして、積層完了後に造形物を上記支持部
用樹脂の融点より高く、上記造形物用樹脂の融点より低
い温度に加熱・保温することにより、オーバーハング支
持部119を形成している樹脂を溶融除去することがで
き、所望の三次元造形物を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
三次元造形装置、あるいは射出成形機や切削加工機で
は、作成された三次元造形物は二材成形等の特殊な場合
を除き、単一樹脂材料で形成されるため単一の着色状態
でしかない。そのため、三次元造形物に彩色が必要な場
合にはその後工程でデザイナーが模様を描いたり、色付
けを行ったりしなければならず、時間と費用が必要以上
にかかるという問題があった。
【0008】すなわち、複数の色を有する三次元造形物
を作成する場合や任意の混合色からなる三次元造形物を
作成する場合、従来の装置では短時間で低コストかつ容
易に造形を行うことができず、造形後に人手に頼らざる
を得なかったのである。
【0009】ここで三次元造形物に彩色が必要な部分は
主として表面側であり、表面側に彩色が施されていれば
内部側は特に問題とならない。したがって、三次元造形
物の表面側造形時と内部側造形時とで吐出する材料を使
い分けることが望ましいのであるが、そのためには三次
元造形物を一層ごとに積層していく際に、三次元造形物
の表面側付近を造形するときには彩色用の材料を吐出す
る一方、内部側を造形するときには内部用として準備さ
れた材料を吐出するように構成することが必要になる。
【0010】ところが、上記のような従来の三次元造形
装置ではそのようなことは不可能である。
【0011】そこで、この発明は、表面側造形時と内部
側造形時とで吐出する材料を使い分けることにより、短
時間で低コストかつ容易に造形を行うことができる三次
元造形装置および三次元造形方法を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、造形対象物を平行な複数
の面で切断した各断面に対応する層体を所定の材料を吐
出することによって形成し、前記層体を順次積層してい
くことで前記造形対象物の三次元造形物を生成する三次
元造形装置であって、第1の材料を吐出する第1のノズ
ルと、第2の材料を吐出する第2のノズルと、前記三次
元造形物の層体ごとの内部側造形時には少なくとも前記
第1のノズルから前記第1の材料を吐出させ、前記三次
元造形物の層体ごとの表面側造形時には少なくとも前記
第2のノズルから前記第2の材料を吐出させる制御手段
とを備えている。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の三次元造形装置において、前記第2の材料は、それぞ
れ異なる色成分に着色された複数の樹脂であることを特
徴としている。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の三次元造形装置において、前記第2の材料は、それぞ
れ異なる色の複数のインクであることを特徴としてい
る。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項2または
請求項3に記載の三次元造形装置において、前記第1の
材料は白色に着色された樹脂であることを特徴としてい
る。
【0016】請求項5に記載の発明は、造形対象物を平
行な複数の面で切断した各断面に対応する層体を所定の
材料を吐出することによって形成し、前記層体を順次積
層していくことで前記造形対象物の三次元造形物を生成
する三次元造形方法であって、第1の材料を吐出する第
1のノズルと第2の材料を吐出する第2のノズルとを所
定のステージに対して相対的に移動させる工程と、前記
三次元造形物の層体ごとの内部側を形成する際に、少な
くとも前記第1のノズルから前記第1の材料を吐出させ
る工程と、前記三次元造形物の層体ごとの表面側を形成
する際に、少なくとも前記第2のノズルから前記第2の
材料を吐出させる工程とを有している。
【0017】
【発明の実施の形態】<1.第1の実施の形態>この実
施形態では、表面用と内部用との2つの材料としてそれ
ぞれ樹脂を使用する例を示し、表面造形時と内部造形時
とでそれぞれの樹脂を吐出制御することのできる構成を
示す。そして、表面用材料としての樹脂は着色された樹
脂を使用し、それによって三次元造形物の表面側に対し
て彩色を行う一方、外部から観察することのできない三
次元造形物の内部側については内部用材料としての樹脂
を使用するようにすれば、効率的な造形を行うことがで
きるとともに着色用樹脂の消費量を低減できる。
【0018】以下、この発明の第1の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。
【0019】<1−1.三次元造形装置の全体的構成>
図1は、この実施形態における三次元造形装置10を示
す概略図である。この三次元造形装置10は、コンピュ
ータ11と駆動制御部12とXY方向駆動部13とZ方
向駆動部14とノズルヘッド15とタンク部18と溶融
部19とステージ20とを備えて構成される。
【0020】コンピュータ11は内部にCPUやメモリ
等を備えて構成される一般的な卓上型コンピュータ等で
ある。このコンピュータ11は三次元形状の造形対象物
をデータ化し、それを幾層もの薄い断面体にスライスし
て得られる断面データを駆動制御部12に対して出力す
る。
【0021】駆動制御部12は、XY方向駆動部13と
Z方向駆動部14と溶融部19とノズルヘッド15とス
テージ20とをそれぞれに駆動制御する制御手段として
機能する。駆動制御部12はコンピュータ11から断面
データを取得すると、その断面データに基づいて上記の
各部に対して駆動指令を与えることによりステージ20
上に一層ごとの断面形状を積層していく。
【0022】XY方向駆動部13はノズルヘッド15を
X軸およびY軸によって規定される平面内で移動させる
べく設けられた駆動手段であり、駆動制御部12からの
駆動指令に基づいてノズルヘッド15をその平面におけ
る駆動範囲内で任意の位置に移動させることができる。
【0023】Z方向駆動部14はステージ20上に三次
元造形物の一層分の造形または数層分の造形が行われる
ごとにステージ20を下降させるべく設けられた駆動手
段であり、駆動制御部12からの駆動指令に基づいてス
テージ20を鉛直なZ軸に沿って移動させる。このZ方
向駆動部14が三次元造形物の造形が進むにつれてステ
ージ20を下降させていくことにより、ステージ20上
に積層生成される三次元造形物とノズルヘッド15とが
接触することを回避することができるのである。
【0024】タンク部18はそれぞれ異なる種類の熱可
塑性樹脂を収容する複数のタンク18a〜18eを備え
る。それぞれのタンク18a〜18eには、常温で固体
状態であり、スティックのような塊状、ペレット状、あ
るいは粉末状の熱可塑性樹脂が収容される。また、溶融
部19にはタンク部18に設けられたタンク18a〜1
8eのそれぞれに個別に温度調整が可能な溶融ヒータ1
9a〜19eが設けられている。したがって、タンク1
8a〜18eのそれぞれに収容される熱可塑性樹脂はそ
れぞれのタンク下方に設けられた溶融ヒータ19a〜1
9eによって加熱・溶融されるのである。
【0025】ノズルヘッド15はXY方向駆動部13の
下部に固定されており、XY方向駆動部13とともに一
体となってXY平面内で移動自在となっている。また、
ノズルヘッド15はタンク部18のタンク数と同数の吐
出ノズル15a〜15eを備えており、各タンク18a
〜18eにおいて溶融された熱可塑性樹脂は対応して設
けられた各吐出ノズル15a〜15eに加熱保温状態で
供給される。各吐出ノズル15a〜15eは溶融された
熱可塑性樹脂を例えばインクジェット方式等で微小な液
滴として吐出(噴出)するノズルである。各吐出ノズル
15a〜15eによる熱可塑性樹脂の吐出は駆動制御部
12によって個別に制御されており、各吐出ノズル15
a〜15eから吐出される熱可塑性樹脂はノズルヘッド
15に対向する位置に設けられているステージ20上に
付着する。なお、吐出ノズル15eはオーバーハング形
状を支持する支持部用となる樹脂を吐出するノズルであ
る。
【0026】ステージ20は三次元造形物を生成するた
めの基盤として機能し、各吐出ノズル15a〜15eか
ら吐出された熱可塑性樹脂はステージ20上にて放熱・
冷却されて溶融状態から固体に変化して硬化する。
【0027】なお、ステージ20の上面側すなわち造形
面側には複数の小領域に分割されるとともに各小領域に
は分割ステージ20aが配置されている。これらの各分
割ステージ20aは駆動制御部12の制御指令によって
独立した昇降動作を行う。
【0028】この実施の形態では、複数の色を有する三
次元造形物や任意の混合色からなる三次元造形物を作成
するために、三次元造形物の表面側造形時には主として
有彩色に着色された樹脂を使用する。一方、三次元造形
物の内部側には特に着色の必要性がないため、無彩色ま
たは無着色の樹脂を使用する。このため、上記タンク部
18の各タンク18a〜18eのうち、タンク18a〜
18cには表面側造形時において三次元造形物の表面に
有彩色の着色作用を施すためにそれぞれ異なる色成分に
着色された樹脂が収容されており、タンク18dには主
として内部側造形時において使用する無彩色または無着
色の樹脂が収容されている。なお、無彩色または無着色
の樹脂としては自然色のものを使用してもよいし、白色
あるいは淡い色に着色されている樹脂を使用してもよ
い。
【0029】具体的には、タンク18a〜18cにはそ
れぞれY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)
に着色された樹脂が収容されており、タンク18dには
W(ホワイト)に着色された樹脂が収容されている。さ
らにタンク18eには支持部用樹脂が収容されている。
なお、支持部用樹脂以外の樹脂は同一の樹脂材料であっ
てもよいし、異なる樹脂材料であってもよい。例えば、
それぞれに各色成分の着色剤と相性のよい樹脂を用いて
もよい。
【0030】また、この実施の形態では積層造形に用い
る樹脂の一例として上記のように熱可塑性樹脂を利用す
る。室温では固体であり、かつ融点が低く、溶融粘度の
低い樹脂が造形容易であり、例えば高分子量のポリスチ
レン、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
【0031】また、熱可塑性樹脂以外にも光硬化性樹脂
や熱硬化性樹脂を利用することも可能であるが、その場
合には、上述した溶融部19は不必要となる反面、ステ
ージ20上に付着した樹脂を硬化させるためのエネルギ
ー線照射装置が必要となる。
【0032】オーバーハング支持部22を形成するため
の支持部用樹脂としては、三次元造形物の造形用となる
他の樹脂よりも融点の低い熱可塑性樹脂を用いる。例え
ばワックス系の樹脂、アジペート系エステルなどがあ
る。そのような支持部用樹脂を使用することによって、
オーバーハング支持部22を含む積層完了後の造形物の
温度を支持部用樹脂の融点以上、造形用樹脂の融点以下
の温度におくことで、支持部用樹脂のみを溶融・除去す
ることで所望の三次元造形物の完成品を得ることができ
るのである。
【0033】<1−2.三次元造形装置10における動
作>次に、この三次元造形装置10における動作につい
て説明する。図2はこの実施形態における三次元造形装
置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0034】まず、コンピュータ11が、三次元形状で
あり表面にカラー模様等が施された造形対象物がモデル
データとしてデータ化される(ステップS1)。造形す
るためのもとになる造形対象物のデータには一般の三次
元CADモデリングソフトウェアで作成されるカラー三
次元モデルデータを使用することができる。また、三次
元形状入力装置で計測された形状データおよびテクスチ
ャを利用することも可能である。
【0035】このようにして得られるモデルデータにお
いて色情報は三次元モデルの表面にのみ付与されている
場合と、三次元モデルの内部まで付与されている場合と
がある。後者の場合でも造形に際してモデル表面の色情
報のみを使用することも可能であるし、モデル内部の色
情報も使用することも可能である。この実施形態におい
ては、三次元モデルの表面付近の色情報を利用する。
【0036】また、このデータ化を行うとき、造形対象
物がオーバーハング形状を有する場合にはオーバーハン
グ支持部形状が付加される。
【0037】そして、そのモデルデータから、造形する
際の積層厚さに基づいて造形対象物をスライスした各断
面ごとの断面データを生成する(ステップS2)。モデ
ルデータから積層する樹脂の一層分の厚みに相当する厚
さピッチでスライスされた断面体を切り出し、断面形状
および彩色領域のデータを作成する。
【0038】図3はステップS2で生成される断面デー
タの一例を示す図である。図3に示すように、モデルデ
ータからある断面体を切り出し、格子状に細分化し、各
ボクセルごとに色情報を持たせた断面データを得ること
ができる。つまり、この断面データでは二次元画像のビ
ットマップと同様の形態で色情報を持つことができるの
である。
【0039】なお、この断面データにはオーバーハング
形状を有する場合には、そのオーバーハング形状を支持
するために造形する支持部情報も含まれている。そし
て、コンピュータ11で生成された断面データは駆動制
御部12に送られる。
【0040】ステップS3においては、断面データを作
成するときに用いた積層厚さに関する情報がコンピュー
タ11から駆動制御部12に入力される。
【0041】次のステップS4以降については駆動制御
部12が各部を制御することによって行われる動作であ
る。ステップS4ではステージ20を一層目の断面形状
(すなわち、最初の層体)を吐出造形するために適した
位置に上昇させる。これにより、ステージ20とノズル
ヘッド15との位置関係は所定の位置関係となり、ノズ
ルヘッド15の各吐出ノズル15a〜15eから吐出さ
れる樹脂はステージ20上の適切な位置に付着するので
ある。
【0042】そしてステージ20の移動が終了するとス
テップS5に進み、駆動制御部12の内部に設けられた
図示しないデータ変換手段で断面データに対して階調変
換等のデータ変換が行われ、各吐出ノズル15a〜15
eから吐出される液滴サイズに適した層形状や彩色等に
関する情報が生成される。
【0043】ステップS6では上記のデータ変換によっ
て生成された層形状、彩色情報に従って駆動制御部12
がXY方向駆動部13に駆動指令を与えることによりノ
ズルヘッド15を所定方向に移動させるとともに、その
移動に伴って各吐出ノズル15a〜15eからの樹脂の
吐出を適宜に行わせる。
【0044】そして、三次元造形物の表面側付近に相当
する部分について樹脂の吐出を行う際には造形対象物か
ら導かれた彩色情報に基づいてY,M,Cのそれぞれに
着色された樹脂を吐出することにより、三次元造形物の
表面側にカラー造形を行う。一方、三次元造形物の内部
側に相当する部分について樹脂の吐出を行う際にはWに
着色された樹脂を吐出することにより、三次元造形物の
内部側造形を行う。
【0045】また、オーバーハング形状を有する場合に
はオーバーハング部を支持するオーバーハング支持部2
2を造形するために支持部用樹脂を吐出する。
【0046】ステージ20上に付着する樹脂は自然放熱
又はステージ20の内部側に設けられた図示しない冷却
手段によって冷却されて溶融状態から固体に変化して硬
化する。
【0047】このようにしてステップS6において三次
元造形物の一層分の断面体である層体の造形が行われる
のである。
【0048】そして、一層分の造形が終了するとステッ
プS7に進んで、駆動制御部12が三次元造形物の造形
が完了したかどうかを判断し、「NO」と判断された場
合はさらに次の層の造形を行うべくステップS4に戻
り、「YES」と判断された場合は造形動作は終了す
る。
【0049】なお、ステップS4に戻った場合は、ステ
ージ20を造形された一層の高さ寸法分だけ下降させ、
次の層の造形時においてノズルヘッド15とステージ2
0上に積層されていく造形物との位置関係を適切な位置
関係に修正する。
【0050】なお、高精度に作る場合、または、造形さ
れた一層分の厚さより断面データを作成するときに用い
た積層厚さに関する情報が小さいときには、一層ごとに
カッターで削って高さをそろえるようにしてもよい。ま
た、造形された一層分の厚さより断面データを作成する
ときに用いた積層厚さに関する情報が大きいときは、実
際の積層厚さが断面データ作成時に用いた厚さに達する
まで同じ断面データに基づいて造形を繰り返すようにし
てもよいし、一層分の造形の際に1つの場所に複数滴ず
つ積んでいくようにしてもよい。
【0051】そして上記の動作を繰り返すことにより、
一層目の上側に二層目の新たな層体が積層されるのであ
る。このような動作を断面体の数の分だけ繰り返すこと
により、ステージ20上に一層ごとのカラー化された層
体が順次積層されていき最終的に造形対象物の三次元造
形物21がステージ20上に造形されるのである。そし
て造形される三次元造形物21は表面側に彩色が施され
たものとなる。
【0052】このようにして得られる三次元造形物21
を図4に示す。図4(a)は三次元造形物21の断面を
示したものであり、図4(b)は(a)におけるA部分
を拡大表示したものである。図4(b)において、三次
元造形物21の表面側付近21aには斜線領域で示すよ
うにY,M,Cの樹脂によって彩色が施されるととも
に、内部側21bはWの樹脂によって造形が行われる。
したがって、この実施の形態における三次元造形装置1
0のような構成とすることにより、三次元造形物の造形
過程においてその表面側に彩色を施すことができ、人手
に頼ることなく短時間で低コストかつ容易にカラー造形
を行うことができるのである。
【0053】なお、図4(b)において、彩色が施され
る領域が三次元造形物21の表面だけでなく、若干内部
側領域まで及んでいるのは、厳密に表面だけを彩色する
ことはノズルヘッド15の移動量と各樹脂の吐出タイミ
ングとに対する高精度な制御が必要であるため、断面デ
ータにおいて彩色情報を所定幅だけ内部側までオフセッ
トさせているからである。また、図4(b)のように彩
色領域を所定幅分だけ内部側に形成することにより、そ
の後に三次元造形物20の表面に傷等が生じた場合であ
っても内部用樹脂の白色が露呈することを防止すること
ができるのである。その一方で、表面だけに彩色領域を
造形するように高精度な制御を行えば、彩色用の樹脂の
使用量を減少させることができるのである。
【0054】三次元造形物21がオーバーハング形状を
有する場合には、図2に示すフローチャートが終了した
ときにはオーバーハング支持部22が一体となって造形
されている。このため、造形完了後、三次元造形物を支
持部用樹脂の融点よりも高く、かつ、他の樹脂の融点よ
りも低い温度下に置くことでオーバーハング支持部22
のみを溶融させて取り除く。このように支持部用樹脂を
使用することによって造形対象物が複雑な形状であって
もその三次元造形物を生成することができるのである。
【0055】以上、この実施形態における三次元造形装
置10の概略構成とその動作について説明したが、コン
ピュータ11にCAD/CAM/CAEのシステムを導
入すれば、造形の際のスピードアップ化とデザインの質
的向上をおしすすめることも可能である。
【0056】<1−3.彩色について>次に、この実施
形態における造形過程での彩色について説明する。この
実施形態では、三次元造形物21の表面側にY,M,C
の3原色に着色された複数の樹脂を積層していくことに
より、三次元造形物21の造形過程での彩色を行ってい
る。
【0057】吐出ノズル15a〜15cのそれぞれから
は減色混合によって異なる色成分を表現することができ
るY,M,Cの各色成分に着色された樹脂が吐出される
一方、吐出ノズル15dからは白色に着色された樹脂が
吐出される。ここで、無着色の樹脂は一般的に白色やク
リーム色等のものがあるため、吐出ノズル15dから吐
出する樹脂を無着色状態において白色のものを用いれば
よい。
【0058】このように吐出ノズル15dから吐出され
る三次元造形物21の内部造形用として白色の樹脂を使
用することにより、各吐出ノズル15a〜15dから吐
出される微小な樹脂の液滴の集合によって混色あるいは
色の階調を表現することができる。
【0059】一般に、彩色を行うためにはY,M,Cの
三原色を混色すればよいが、色の濃淡を表現するために
は三原色に加えて白色に着色された樹脂を吐出して混色
することが有効となる。一般のプリンタ等では白色の紙
にインク、トナー等で字、画像をプリントしていくた
め、基材となる紙の白色を利用すれば白色インクは必要
ではなく、Y,M,Cの三色を使用するだけで原理的に
各色成分の濃淡を表現することができる。しかしなが
ら、三次元造形のように基材となるものが存在しない場
合には白色の樹脂を使用することが特に有益となるので
ある。
【0060】つまり、Y,M,Cの各色成分を混合する
ことによって暗い色を表現することができることができ
るが、白色は表現することはできないため、内部造形用
として白色等淡い色の樹脂を準備し、この白色の樹脂を
表面彩色の際にも使用すれば、三次元造形物21に対し
て適切な彩色を施すことが可能になる。
【0061】このようにして三次元造形物21に彩色を
施す際の濃淡を表示する場合の樹脂の吐出形態の一例に
ついて説明する。
【0062】図5は、シアンについての階調表現の一例
を示す図である。駆動制御部12において所定の階調変
換が行われると、断面データに含まれる多値の階調デー
タは一定領域を有する2値データに変換される。この2
値データは各吐出ノズル15a〜15eをON/OFF
制御するための情報となる。
【0063】図5にはこの一定領域を示しており、この
彩色のための一定領域内への各色成分の樹脂の吐出パタ
ーンを変化させることにより、階調表現や混合色表現を
行うことが可能になる。淡いシアンを表示する場合には
一定領域にシアンを1滴吐出し、他の領域にはホワイト
を吐出する。また、濃いシアンを表示する場合には一定
領域の全体にシアンを4滴吐出する。このように一定領
域に対するシアンの樹脂とホワイトの樹脂との吐出割合
を変化させることにより、淡いシアンから濃いシアンへ
の階調変化を適切に表現することが可能になる。
【0064】なお、図5の例では説明の都合上、階調変
換によって生じる彩色のための一定領域を4個の吐出領
域で示しているが、これに限定するものではない。例え
ば、断面データにおいて256階調を有している場合で
あってその階調を低下させずにON/OFF制御のため
の2値データに変換する場合、一定領域内には256個
の吐出領域が定められる。
【0065】次に、図6は淡いシアンから淡いイエロー
へ変化する表現の一例を示す図である。図6の左端は淡
いシアンを表現する際のCとWとの吐出パターンであ
り、右端は淡いイエローを表現する際のYとWとの吐出
パターンである。淡いシアンからシアンとイエローとの
混合色を経て淡いイエローへと変化させる際には図6に
示すように一定領域内へのCとYとWとを吐出する割合
をしだいに変化させていくことによってそのような色の
変化を表現することが可能になる。
【0066】また、図7には上記の彩色のための一定領
域が複数個集合したものを示している。図7(a)はC
とWとの吐出パターンを示しており、図7(b)は
(a)の吐出パターンによって表現される彩色形態を具
体的に示している。図7に示すように駆動制御部12が
吐出パターンを制御することによって三次元造形物21
の造形過程における彩色を行うことが可能になる。
【0067】ところで、隣接する複数の一定領域におい
て同一の階調を表示しようとする場合、吐出パターンが
同一であるとそのパターンの規則的配置によって造形対
象物にはない模様が三次元造形物21上に現れる場合が
ある。このような事態を回避するために同一の階調を表
示する場合であっても吐出パターンを変化させることが
好ましい。図8は吐出パターンを変化させる例を示す図
であり、(a)は1滴のシアンに対して3滴のホワイ
ト、(b)は2滴のシアンに対して2滴のホワイト、
(c)は3滴のシアンに対して1滴のホワイトをそれぞ
れ吐出する例を示している。同じ階調が隣接する場合に
は駆動制御部12が吐出パターン決定手段として機能
し、各吐出ノズル15a〜15dからの吐出パターンを
シアンが1滴の場合は図8(a)に示すように、またシ
アンが2滴の場合は図8(b)に示すように、さらにシ
アンが3滴の場合は図8(c)に示すようにそれぞれ変
化させることにより、造形対象物にはない模様が三次元
造形物21上に現れることを回避することができる。こ
こで、図8(a)、(b)、(c)の各図においていず
れの吐出パターンを選択するかはランダムに決定しても
よいし、規則的に決定してもよい。
【0068】このようにこの実施形態では、三次元造形
物21の表面側付近を造形する際に表面造形用として
Y,M,Cに着色された樹脂を使用し、内部側を造形す
る際には内部造形用として白色の樹脂を使用することに
より、造形過程において三次元造形物の表面側に造形対
象物に対応した彩色を施していくことができる。
【0069】なお、吐出ノズル15a〜15cから吐出
される着色された樹脂はそれぞれ他の色成分(例えば、
R(赤),G(緑),B(青)等)に着色されていても
よいが、Y,M,Cの三原色に着色された樹脂を使用し
てこれらを混合することにより、三次元造形物21の表
面側に中間色等の全ての色成分の彩色することができる
という効果がある。
【0070】また、吐出ノズル15dから吐出される内
部造形用の樹脂は白色に限定されるものではなく、クリ
ーム色等の無着色の樹脂であってもよい。ただし、生成
される三次元造形物21において造形対象物の白色や階
調を鮮明に再現するためには、内部造形用として白色の
樹脂を使用することが望ましい。
【0071】さらに、三次元造形物21の表面側に黒色
を再現する場合には、Y,M,Cの三色を吐出すること
で黒色を表現することができるが、鮮明な黒色を再現す
るために別途黒色に着色された樹脂を吐出するための吐
出ノズルを設けてもよい。
【0072】<1−4.ノズルヘッドの構成>次に、上
記の三次元造形装置10におけるノズルヘッド15の構
成例について説明する。
【0073】ノズルヘッド15における各吐出ノズル1
5a〜15eはそれぞれに圧電アクチュエータ等の圧力
発生手段が設けられており、当該圧力発生手段によって
ノズル内部に供給される溶融状態の樹脂に対して一定の
圧力が付与されてノズル先端部から液滴状の樹脂が吐出
されるように構成されている。
【0074】このような構成にすることにより、駆動制
御部12が各吐出ノズル15a〜15eの圧力発生手段
を独立に駆動制御することが可能になり、それによって
各色に着色された樹脂やその他の樹脂の吐出を個別に制
御することができるのである。
【0075】また、このようにノズルヘッド15に設け
られる各吐出ノズル15a〜15eが個別に制御可能で
あることから、ノズルヘッド15の構成例についてもい
くつかの実施例が考えられる。
【0076】まず第1に、上記のように個別に制御可能
なノズルヘッド15では、図1に示すような複数の吐出
ノズル15a〜15eが直線状に配置されたノズルユニ
ットをさらに複数個並設することが考えられる。
【0077】図9は、三次元造形物に彩色を施すための
ノズルヘッド15の構成の一例を示す図であり、図9
(a)は三原色に着色された樹脂と白色の樹脂と支持部
用樹脂との5種類の樹脂を個別に吐出する構成例を示し
ており、(b)はさらに黒色の樹脂を吐出する構成例を
示している。図9において、Yはイエローの樹脂、Mは
マゼンタの樹脂、Cはシアンの樹脂、Wはホワイトの樹
脂、Sは支持部用樹脂、Kは黒色の樹脂をそれぞれ吐出
するための吐出ノズルである。
【0078】図9に示すように、複数の吐出ノズル15
a〜15e(又は15a〜15f)が直線状に配置され
たものを1つのノズルユニット17として構成し、この
ノズルユニット17を複数個並設することによって複数
の吐出ノズルをマトリクス状に配置することで、効率よ
く、かつ確実に彩色造形を行うことが可能になる。例え
ば、ノズルヘッド15をX方向に移動させると、ノズル
ヘッド15のY方向の幅を1走査分として同時に造形す
ることができるため、効率よく造形を行うことができ、
造形時間の短縮化を図ることが可能になる。
【0079】図9において、複数の吐出ノズルの軸(す
なわち吐出方向)はそれぞれ平行になるように配置され
ており、ノズルヘッド15のX方向またはY方向への移
動タイミングに合わせて駆動制御部12が時系列的に各
樹脂を吐出させることで一定領域内において複数色の樹
脂を混色することができるのである。
【0080】また第2に、上記のように個別に制御可能
なノズルヘッド15では、支持部用樹脂以外の樹脂を吐
出する吐出ノズル15a〜15d、15fのうち、Y,
M,C(さらにはK)に着色された樹脂を吐出する吐出
ノズル15a〜15c、15fを内部造形用として設け
られた白色の樹脂を吐出する吐出ノズル15dの周囲に
配置することも考えられる。
【0081】図10はこのような配置構成の概念を示す
図であり、(a)は側方からみた概念図であり、(b)
は上方からみた概念図である。図10(b)に示すよう
に吐出ノズル15a〜15c、15fは内部造形用の樹
脂である白色の樹脂の吐出ノズル15dの周囲に配置さ
れており、図10(a)に示すように複数の吐出ノズル
15a〜15fの各軸(吐出方向)を彩色のための一定
領域内で交差するように配置することで、彩色のための
一定領域内に対しては同時に各色の樹脂を吐出すること
ができる。このような吐出ノズル15a〜15fを1つ
のノズルユニット17としたときに、このノズルユニッ
ト17を図11に示すように複数個配置することで、効
率よくかつ確実に彩色造形を行うことが可能になる。な
お、図11(a)は図10のノズルユニット17をY方
向に直線状に配置したノズルヘッド15の例を示してお
り、図11(b)はXY平面内に配置したノズルヘッド
15の例を示している。図11(a)の構成のノズルヘ
ッド15をX方向に走査することで造形の隙間が生じる
場合には、図11(b)の構成を採用すればよい。
【0082】<1−5.ステージ20について>ステー
ジ20の造形面側は格子状に分割されており、その各々
は独立に昇降可能な分割ステージ20aとして構成され
ている。これら各分割ステージ20aは駆動制御部12
によって昇降動作の制御が行われる。例えば各分割ステ
ージ20aごとにステッピングモータを配置し、駆動制
御部12がステッピングモータを駆動制御することによ
り、分割ステージ20aを個別に昇降させる。
【0083】図12に示すように裏面が凹形状のレリー
フの造形を行う場合、各層ごとの造形が行われる度に各
分割ステージ20aを個別に昇降制御することで三次元
造形物21の裏面側に凹形状を有する造形を行うことが
可能になる。すなわち、まず、図12(a)に示すよう
に凹形状に対応する領域の分割ステージ20aをノズル
ヘッド15と干渉しない程度まで上昇させ、この状態で
凹形状以外の造形を行う領域にノズルヘッド15より樹
脂を吐出していく。そして、造形が進み、ステージ20
が下降するのに伴って、凹形状に対応する領域の分割ス
テージ20aをノズルヘッド15に干渉しない程度に上
昇させていく(図12(b))。そして造形が完了する
と、三次元造形物21の裏面側には所定の凹形状が形成
される(図12(c)、(d))。このような分割ステ
ージ20aの構成を採用することで、三次元造形物21
の裏面側に所望の凹形状を形成することができるととも
に、裏面側において使用される造形用の樹脂の使用量を
低減することができ、造形速度の高速化を図ることが可
能になる。この結果、三次元造形物21の制作コストを
低減し、効率的な造形を行うことができるのである。ま
た、このような分割ステージ20aをオーバーハング形
状の支持部において昇降動作させることで支持部用樹脂
の使用量の低減を行うことも可能である。
【0084】なお、このようにステージ20の各分割ス
テージ20aを個別に昇降させて三次元造形物21の裏
面側に凹形状を形成する場合には、図13に示すように
造形用の断面データ生成時において各分割ステージ20
aによる昇降動作を考慮して造形部分から造形不要部分
を除去したデータを生成しておくことは言うまでもな
い。
【0085】<2.第2の実施の形態>この実施形態で
は、表面用の材料として着色用のインクを、内部用の材
料として樹脂を使用する例を示し、表面造形時と内部造
形時とでインクと樹脂とを吐出制御することのできる構
成を示す。
【0086】以下、この発明の第2の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。
【0087】<2−1.三次元造形装置の全体的構成>
図14は、この実施形態における三次元造形装置30を
示す概略図である。なお、図14において上記第1の実
施の形態で説明した各部材と同一の作用効果を奏する部
材については同一符号を付している。
【0088】この三次元造形装置30は、第1の実施形
態と同様に、コンピュータ11と駆動制御部12とXY
方向駆動部13とZ方向駆動部14とノズルヘッド35
とタンク部38と溶融部39とステージ20とを備えて
構成される。
【0089】コンピュータ11と駆動制御部12とXY
方向駆動部13とZ方向駆動部14とステージ20とは
上記第1の実施の形態と同一の作用効果を示すものであ
るため、ここではその説明を省略する。
【0090】この実施形態において第1の実施の形態と
異なるものは、ノズルヘッド35とタンク部38と溶融
部39とである。
【0091】タンク部38は造形用と支持部用との融点
の異なる熱可塑性樹脂をそれぞれに収容する2つのタン
ク38a、38bと、異なる色成分のインクをそれぞれ
に収容する複数のタンク40a〜40dとを備える。ま
た、溶融部39には熱可塑性樹脂を収容するタンク38
a、38bとのそれぞれに対応して2つの溶融ヒータ3
9a、39bが設けられている。このため、タンク38
a、38bのそれぞれに収容される熱可塑性樹脂はそれ
ぞれのタンク下方に設けられた溶融ヒータ39a、39
bによって加熱・溶融される。一方、複数のタンク40
a〜40dに収容されるそれぞれのインクは常温で液体
であるため溶融ヒータ等を設ける必要はない。
【0092】ノズルヘッド35はXY方向駆動部13の
下部に固定されており、XY方向駆動部13とともに一
体となってXY平面内で移動自在となっている。また、
ノズルヘッド35はタンク部38のタンク数と同数の吐
出ノズル35a〜35d、36a、36bを備えてお
り、タンク38a、38bにおいて溶融された熱可塑性
樹脂は対応して設けられた各吐出ノズル36a、36b
に加熱保温状態で供給されるとともに、タンク40a〜
40dに収容されている各色ごとのインクはそれぞれに
対応する吐出ノズル35a〜35dに供給される。各吐
出ノズル35a〜35d、36a、36bはインクまた
は樹脂を例えばインクジェット方式等で微小な液滴とし
て吐出(噴出)するノズルである。各吐出ノズルによる
インクまたは樹脂の吐出は駆動制御部12によって個別
に制御されており、各吐出ノズルから吐出されるインク
または樹脂はノズルヘッド35に対向する位置に設けら
れているステージ20上に付着する。なお、吐出ノズル
36aは造形用となる樹脂を吐出するノズルであり、吐
出ノズル36bは支持部用となる樹脂を吐出するノズル
である。
【0093】この実施の形態では、複数の色を有する三
次元造形物や任意の混合色からなる三次元造形物を作成
するために、三次元造形物の内部側および表面側造形時
において樹脂を吐出によって造形を行うとともに、表面
側造形時には樹脂に加えて異なる色成分のインクを使用
する。三次元造形物を造形するための樹脂は特に着色の
必要性がないため、無彩色または無着色の樹脂を使用す
る。このため、上記タンク部38の樹脂用となるタンク
38a、38bのうち、タンク18aには造形時におい
て使用する無彩色または無着色の樹脂が収容されてい
る。なお、無彩色または無着色の樹脂としては自然色の
ものを使用してもよいし、白色あるいは淡い色に着色さ
れている樹脂を使用してもよい。また、タンク38bに
は支持部用樹脂が収容されている。
【0094】一方、タンク40a〜40dにはそれぞれ
Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),W
(ホワイト)のインクが収容されている。
【0095】なお、ステージ20の造形面側は格子状に
分割されており、その各々は独立に昇降可能な分割ステ
ージ20aとして構成されている点については第1の実
施の形態と同様である。
【0096】<2−2.三次元造形装置30における動
作>次に、この三次元造形装置30における動作につい
て説明する。図15はこの実施形態における三次元造形
装置30の動作の一例を示すフローチャートである。こ
の図15のフローチャートは、ほぼ図2のフローチャー
トと同様であり、異なる処理はステップS60である。
【0097】まず、ステップS1において造形対象物の
データ化が行われ、続いてステップS2において造形す
る際の積層厚さに基づいて造形対象物がスライスされた
各断面ごとの断面データが生成される。そしてステップ
S3において断面データを作成するときに用いた積層厚
さに関する情報がコンピュータ11から駆動制御部12
に入力される。
【0098】そして、ステップS4においてステージ2
0を所定位置に移動させ、ステップS5においてデータ
変換手段でのデータ変換が行われて各吐出ノズルから吐
出される液滴サイズに適した層形状や彩色等に関する情
報が生成される。
【0099】そして、ステップS60では上記のデータ
変換によって生成された層形状、彩色情報に従って駆動
制御部12がXY方向駆動部13に駆動指令を与えるこ
とによりノズルヘッド35を所定方向に移動させるとと
もに、その移動に伴って各吐出ノズルからのインクまた
は樹脂の吐出を適宜に行わせる。
【0100】三次元造形物の内部側および表面側の造形
時には造形用となる樹脂が吐出され、表面側の造形時に
はさらに造形用樹脂の吐出に伴って造形対象物から導か
れた彩色情報に基づいてY,M,C,Wのそれぞれのイ
ンクを吐出することにより、三次元造形物の表面側にカ
ラー造形を行う。
【0101】また、オーバーハング形状を有する場合に
はオーバーハング部を支持するオーバーハング支持部4
3を造形するために支持部用樹脂を吐出する。
【0102】ステージ20上に付着する樹脂は自然放熱
又はステージ20の内部側に設けられた図示しない冷却
手段によって冷却されて溶融状態から固体に変化して硬
化する。
【0103】このようにしてステップS60において三
次元造形物の一層分の断面体である層体の造形が行われ
るのである。
【0104】そして、一層分の造形が終了するとステッ
プS7に進んで、駆動制御部12が三次元造形物の造形
が完了したかどうかを判断し、「NO」と判断された場
合はステップS4からの処理を繰り返し、「YES」と
判断された場合は造形動作は終了する。
【0105】なお、高精度に作る場合、または、造形さ
れた一層分の厚さより断面データを作成するときに用い
た積層厚さに関する情報が小さいときには、一層ごとに
カッターで削って高さをそろえるようにしてもよい。ま
た、造形された一層分の厚さより断面データを作成する
ときに用いた積層厚さに関する情報が大きいときは、実
際の積層厚さが断面データ作成時に用いた厚さに達する
まで同じ断面データに基づいて造形を繰り返すようにし
てもよいし、一層分の造形の際に1つの場所に複数滴ず
つ積んでいくようにしてもよい。
【0106】このようにして得られる三次元造形物42
を図16および図17に示す。図16および図17にお
いて(a)は三次元造形物42の断面を示したものであ
り、(b)は(a)におけるA部分を拡大表示したもの
である。
【0107】まず、図16(b)において、三次元造形
物42の表面側付近42aには斜線領域で示すように
Y,M,C,Wのインクによって彩色が施されるととも
に、内部側42bは造形用の樹脂によって造形が行われ
る。
【0108】図16では三次元造形物42がオーバーハ
ング形状を有する場合にそのオーバーハング部の裏面側
にも表面着色用のインクが吐出されている。このような
三次元造形物42を造形するためには、オーバーハング
部に相当する層体の造形を行う際にノズルヘッド35を
2回走査させることが必要になる。1回目のXY平面を
走査する際には三次元造形物42の表面側付近において
インクのみを吐出し、2回目のXY平面を走査する際に
は造形用の樹脂を吐出して造形を行うとともに表面側付
近においてはインクの吐出をも行い彩色を施すのであ
る。このような2回走査を行うと、オーバーハング形状
を有する三次元造形物42のオーバーハング部の裏面側
にも彩色を施すことが可能になる。このため、造形対象
物に忠実な彩色を再現することができ、質の高い三次元
造形物42を得ることができる。
【0109】次に、図17(b)においても同様に、三
次元造形物42の表面側付近42aには斜線領域で示す
ようにY,M,C,Wのインクによって彩色が施される
とともに、内部側42bは造形用の樹脂によって造形が
行われる。
【0110】ところが、図17では三次元造形物42が
オーバーハング形状を有する場合であってもそのオーバ
ーハング部の裏面側には表面着色用のインクが吐出され
ていない。一般的には三次元造形物42のオーバーハン
グ部の裏面側には着色が施されていなくとも問題となる
ことは少ない。また、オーバーハング部の裏面側に彩色
を行わない場合には、1層分の層体を造形するのにノズ
ルヘッド35を1回の走査で造形を行うことが可能であ
る。したがって、三次元造形物42の裏面側への着色を
行わない場合には、裏面側への着色をも行う場合に比べ
て造形効率が向上する。
【0111】このように、この実施の形態における三次
元造形装置30のような構成とすることにより、三次元
造形物の造形過程においてその表面側に彩色を施すこと
ができ、人手に頼ることなく短時間で低コストかつ容易
にカラー造形を行うことができるのである。
【0112】なお、図16(b)および図17(b)に
おいて、インクによる彩色が施される領域が三次元造形
物42の表面だけでなく、若干内部側領域まで及んでい
るのは、厳密に表面だけを彩色することはノズルヘッド
35の移動量と各インクの吐出タイミングとに対する高
精度な制御が必要であるため、断面データにおいて彩色
情報を所定幅だけ内部側までオフセットさせているから
である。
【0113】三次元造形物42がオーバーハング形状を
有する場合には、図15に示すフローチャートが終了し
たときにはオーバーハング支持部43が一体となって造
形されている。このため、造形完了後、三次元造形物4
2を支持部用樹脂の融点よりも高く、かつ、造形用樹脂
の融点よりも低い温度下に置くことでオーバーハング支
持部43のみを溶融させて取り除く。このように支持部
用樹脂を使用することによって造形対象物が複雑な形状
であってもその三次元造形物を生成することができるの
である。
【0114】<2−3.彩色について>次に、この実施
形態における造形過程での彩色について説明する。この
実施形態では、三次元造形物42の造形用として樹脂を
使用するとともに、その表面側にY,M,C,Wの4色
のインクを吐出していくことによって三次元造形物42
の造形過程での彩色を行っている。
【0115】吐出ノズル35a〜35cのそれぞれから
は減色混合によって異なる色成分を表現することができ
るY,M,Cの各色成分のインクが吐出される一方、吐
出ノズル35dからはホワイトのインクが吐出される。
また、吐出ノズル36aからは三次元造形物42の造形
用となる無着色の樹脂が吐出される。
【0116】このように吐出ノズル36aから吐出され
る三次元造形物42の造形用として無着色の樹脂を使用
することにより三次元造形物42の立体形状を造形する
ことができるとともに、各吐出ノズル35a〜35dか
ら吐出される微小なインクの液滴の集合によってその三
次元造形物42の表面に混色あるいは色の階調を表現す
ることができる。
【0117】一般に、彩色を行うためにはY,M,Cの
三原色のインクを混色すればよいが、色の濃淡を表現す
るためには三原色に加えて白色のインクを吐出し混色す
ることが有効となる。このため、この実施形態ではY,
M,Cの3色のインクに加えてWのインクを使用するの
である。しかしながら、第1の実施の形態で説明したよ
うに吐出ノズル36aから吐出される造形用樹脂が白色
のものを使用する場合には、特にWのインクを使用する
必要はない。なぜなら、この実施形態では造形用樹脂を
基材としてその樹脂に対してインクを吐出して着色する
ように構成されているため、基材となる樹脂の白色を利
用すれば白色インクは必要でないからである。
【0118】そして、Y,M,C,Wの各色成分のイン
クをステージ20上に吐出される造形用樹脂に対して付
着させていくことにより、三次元造形物42に対して適
切な彩色を施すことが可能になる。
【0119】なお、この実施形態において三次元造形物
42に彩色を施す際の各インクの吐出形態は、第1の実
施の形態と同様である。すなわち、図5ないし図8の各
図はこの実施形態における各インクの吐出形態をも示し
ており、その詳細は第1の実施の形態におけるものと同
様であるのでここではその説明を省略する。
【0120】このようにこの実施形態では、三次元造形
物42の表面側付近を造形する際に使用する材料として
Y,M,C,Wのインクを使用するとともに、三次元造
形物42の造形用の材料として樹脂を使用することによ
り、造形過程において三次元造形物の表面側に造形対象
物に対応した彩色を施していくことができる。
【0121】なお、吐出ノズル35a〜35cから吐出
されるインクはそれぞれ他の色成分(例えば、R
(赤),G(緑),B(青)等)のインクであってもよ
いが、Y,M,Cの三原色のインクを使用してこれらを
混合することにより、三次元造形物42の表面側に中間
色等の全ての色成分の彩色することができるという効果
がある。
【0122】さらに、三次元造形物42の表面側に黒色
を再現する場合には、Y,M,Cの三色を吐出すること
で黒色を表現することができるが、より鮮明な黒色を再
現するために別途黒色のインクを吐出するための吐出ノ
ズルを設けてもよい。
【0123】<2−4.ノズルヘッドの構成>次に、こ
の三次元造形装置30におけるノズルヘッド35の構成
例について説明する。
【0124】ノズルヘッド35における各吐出ノズル3
5a〜35d、36a、36bはそれぞれに圧電アクチ
ュエータ等の圧力発生手段が設けられており、当該圧力
発生手段によってノズル内部に供給されるインクまたは
溶融状態の樹脂に対して一定の圧力が付与されてノズル
先端部から液滴状のインクまたは樹脂が吐出されるよう
に構成されている。
【0125】このような構成にすることにより、駆動制
御部12が各吐出ノズル35a〜35d、36a、36
bの圧力発生手段を独立に駆動制御することが可能にな
り、それによって各色のインクや樹脂の吐出を個別に制
御することができるのである。
【0126】また、このようにノズルヘッド35に設け
られる各吐出ノズルが個別に制御可能であることから、
ノズルヘッド35の構成例についてもいくつかの実施例
が考えられる。
【0127】まず第1に、上記のように個別に制御可能
なノズルヘッド35では、図14に示すような複数の吐
出ノズル35a〜35d、36a、36bが直線状に配
置されたノズルユニットをさらに複数個並設することが
考えられる。
【0128】図18は、三次元造形物に彩色を施すため
のノズルヘッド35の構成の一例を示す図であり、図1
8(a)は三原色および白色の4種類のインクを吐出す
るとともに、造形用の樹脂と支持部用樹脂との2種類の
樹脂を吐出する構成例を示しており、(b)はこれに加
えて黒色のインクを吐出する構成例を示しており、
(c)は造形用樹脂として白色の樹脂を使用し、インク
の色をY,M,C以外のB,G,Rと黒色との4色を使
用する構成例を示している。なお、Yはイエローのイン
ク、Mはマゼンタのインク、Cはシアンのインク、Wは
ホワイトのインク、Paは造形用樹脂、Pbは支持部用
樹脂、Kは黒色のインク、Bは青のインク、Gは緑のイ
ンク、Rは赤のインク、Pは白色の樹脂をそれぞれ吐出
するための吐出ノズルである。
【0129】図18に示すようにインク用の複数の吐出
ノズル35a〜35hが直線状に配置されたものがY方
向に2列に設けられており、さらにこのインク用の吐出
ノズル35a〜35hのX方向側には造形用樹脂と支持
部用樹脂との吐出ノズル36a〜36cが設けられて1
つのノズルユニット37を構成している。そして、この
ノズルユニット37をY方向に複数個並設することによ
って複数の吐出ノズルをマトリクス状に配置することが
でき、それによって効率よく、かつ確実に彩色造形を行
うことが可能になる。例えば、このノズルヘッド35を
X方向に移動させると、ノズルヘッド35のY方向の幅
を1走査分として同時に造形および彩色することができ
るため、効率よく造形と彩色とを行うことができ、造形
時間の短縮化を図ることが可能になる。
【0130】一般的に樹脂とインクとの粘度を比較する
とインクの粘度の方が低いため、インクを液滴として吐
出させるための圧力発生手段は樹脂を液滴として吐出さ
せる圧力発生手段よりも小規模で構成することができ
る。つまり、インク用の吐出ノズル35a〜35hは樹
脂用の吐出ノズル36a〜36cよりも小規模に構成す
ることができ、その結果、インク用の吐出ノズル35a
〜35hのノズル径を樹脂用のノズル径よりも小さくす
ることができるのである。
【0131】そこで、この実施形態では、図18(a)
〜(c)に示すようにインク用の吐出ノズル35a〜3
5hのノズル径が樹脂用の吐出ノズル35a〜36cに
比べて小さくなるように構成する。このような構成とす
ることにより、インクが吐出される際の液滴を樹脂の液
滴に比べて小さくすることができ、三次元造形物42に
対して高精細な彩色を行うことが可能になる。
【0132】なお、図18(a)〜(c)においては吐
出ノズル35a〜35hのノズル径は吐出ノズル36a
〜36cノズル径の約1/2となっているが、これに限
定されるものではなくインクと樹脂との粘度に基づいて
任意のノズル径を採用してもよいことは明らかである。
【0133】そして、これら各吐出ノズルの軸(すなわ
ち吐出方向)はそれぞれ平行になるように配置されてお
り、ノズルヘッド35の吐出ノズル36aから造形用樹
脂を吐出し、ノズルヘッド35がさらにX方向に移動し
ていく過程においてインク用の各吐出ノズル35a〜3
5dからそれぞれ所定のタイミングでインクを吐出する
ことにより、ステージ20上において樹脂に着色が行わ
れる。つまり、ノズルヘッド35のX方向またはY方向
への移動タイミングに合わせて駆動制御部12が時系列
的にインクと樹脂とを吐出させることで造形と彩色とを
造形過程において同時に行うことができるのである。
【0134】なお、図18(c)においては支持部用樹
脂を吐出する吐出ノズルが設けられていないが、オーバ
ーハング形状に対応しないような三次元造形装置の場合
には支持部用樹脂の吐出ノズルは設ける必要はない。
【0135】次に第2に、上記のように個別に制御可能
なノズルヘッド35では、造形用の樹脂を吐出する吐出
ノズル36aの周囲にインクを吐出する吐出ノズル35
a〜35dを配置することも考えられる。
【0136】図19はこのような配置構成の概念を示す
図であり、(a)は側方からみた概念図であり、(b)
は上方からみた概念図である。図19(b)に示すよう
に吐出ノズル35a〜35dは造形用樹脂の吐出ノズル
36aの周囲に同心円状に配置されており、図19
(a)に示すようにインク用の各吐出ノズル35a〜3
5dの各軸(吐出方向)を造形用樹脂の吐出ノズル36
aの軸と交差するように配置することで、吐出ノズル3
6aから吐出される樹脂に対してインクによる着色を行
うことができ、それによって造形過程において彩色を同
時に行っていくことが可能になる。なお、図19におい
ては吐出ノズル35a〜35dの各軸と吐出ノズル36
aの軸とが交差する位置はステージ20の造形面若しく
は既にステージ20上に形成されている層体の上端面で
ある。
【0137】また、図20は図19の構成を若干変形し
たものであり、(a)は側方からみた概念図であり、
(b)は上方からみた概念図である。図20(b)に示
すように吐出ノズル35a〜35dは造形用樹脂の吐出
ノズル36aの周囲に同心円状に配置されている点、お
よび、図20(a)に示すようにインク用の各吐出ノズ
ル35a〜35dの各軸と吐出ノズル36aの軸とが交
差するように配置されている点は図19に示す構成と同
様であるが、各軸の交差する位置が異なり、図20の構
成では各吐出ノズルの軸が交差する位置は、ステージ2
0若しくはステージ20上に形成された層体と吐出ノズ
ルとの空間内に規定されている。つまり、吐出ノズル3
6aから造形用樹脂が吐出されるとその樹脂がステージ
20上若しくは層体上に着弾する前にインクによる着色
が施されるのである。この図20のような構成とするこ
とにより、各吐出ノズルと樹脂の着弾位置との高さ寸法
の制限を無くすことが可能になる。
【0138】図19の構成では、各吐出ノズルの軸の交
差する位置は樹脂による着弾位置(造形位置)と一致し
ているため、一層分の層体を形成するごとにその層体の
厚さ分だけステージ20を下降させていく必要がある。
これに対して図20の構成では、吐出ノズル36aから
吐出された樹脂は飛翔中にインク液滴が付着することに
よって着色され、その後に造形位置に着弾するように構
成されるので、着弾位置は各吐出ノズルの軸の交差する
位置よりも下方でありさえすれば問題はないため、一層
分の層体を形成するごとにその層体の厚さ分だけステー
ジ20を下降させていく必要がなくなるのである。
【0139】なお、図19および図20の構成例でも、
上記と同様にインク用の吐出ノズル35a〜35dのノ
ズル径が樹脂用の吐出ノズル35aに比べて小さくなる
ように構成することが好ましい。このような構成とする
ことにより、インクが吐出される際の液滴を樹脂の液滴
に比べて小さくすることができ、三次元造形物42に対
して高精細な彩色を行うことが可能になる。
【0140】そして、図19または図20のように構成
された吐出ノズル35a〜35d、36aを1つのノズ
ルユニット37としたときに、このノズルユニット37
を図21に示すように複数個配置することで、効率よく
かつ確実に彩色造形を行うことが可能になる。なお、図
21(a)は図19または図20のノズルユニット37
をY方向に直線状に配置したノズルヘッド35の例を示
しており、図21(b)はXY平面内に配置したノズル
ヘッド35の例を示している。図21(a)の構成のノ
ズルヘッド35をX方向に走査することで造形の隙間が
生じる場合には、図21(b)の構成を採用すればよ
い。
【0141】<3.特徴的作用効果>上記各実施形態に
おいては、造形対象物を平行な複数の面で切断した各断
面に対応する層体を所定の材料を吐出することによって
形成し、そのような層体を順次積層していくことで造形
対象物の三次元造形物を生成する三次元造形装置10、
30について説明した。そして、三次元造形装置は、第
1の材料を吐出する第1のノズルと、第2の材料を吐出
する第2のノズルと、三次元造形物の層体ごとの内部側
造形時には少なくとも第1のノズルから第1の材料を吐
出させ、三次元造形物の層体ごとの表面側造形時には少
なくとも第2のノズルから第2の材料を吐出させる制御
手段とを備えている。このことは、第2の材料は厳密に
三次元造形物の表面のみに使用されるものではなく、上
述したように若干内部側までオフセットされた造形の形
態も実現できるものであることを意味する。
【0142】第1の実施の形態では、第1の材料は内部
造形用となる無着色または白色の樹脂であり、第2の材
料は着色された樹脂である。また、第2の実施の形態で
は第1の材料は造形用樹脂であり、第2の材料はインク
である。
【0143】そして、これら第1の材料と第2の材料と
を制御手段のはたらきによって三次元造形物の表面側造
形時と内部側造形時とで使い分けることが可能となって
いる。
【0144】そして、第1の実施の形態のように第2の
材料としてそれぞれ異なる色成分に着色された複数の樹
脂を使用すれば、造形過程において三次元造形物の表面
側に彩色を施すことができるのである。また、第2の実
施の形態のように第2材料としてそれぞれ異なる色の複
数のインクを使用しても造形過程において三次元造形物
の表面側に彩色を施すことが可能になる。
【0145】さらに、第1の材料として白色に着色され
た樹脂を使用すれば、その樹脂の白色を有効に利用して
階調表現を行うことができるため、別途に白色成分の材
料を用意することなく、三次元造形物の表面の彩色の際
に色の濃淡を適切に表現することが可能になる。
【0146】<4.変形例>以上、この発明に係る三次
元造形装置および三次元造形方法についての一実施形態
を詳細に説明したが、この発明は上記説明したものに限
定されるものではない。
【0147】例えば、上記説明においてはノズルヘッド
15,35をステージ20に対して相対的に移動させる
ために、ノズルヘッド15,35はXY平面内を移動
し、積層厚さ方向すなわちZ方向の移動は三次元造形物
を載せるステージ20を昇降移動させることによって行
う例を示した。しかしながら、これに限定されるもので
はなく、ステージ20が固定でノズルヘッド15,35
がXYZ空間内を移動するように構成してもよい。ただ
し、ノズルヘッド15,35のステージ20に対する相
対的位置関係を高精度かつ高効率で制御することを望む
場合には、それぞれの移動軸を別途に独立して設けるこ
とが好ましい。
【0148】また、上記説明のように、一層ごとの造形
に伴ってステージ20を移動(下降)させていく場合に
は、積層厚さ方向の造形精度を向上させるために、前回
積層した層体の高さ寸法を光電型センサ等の距離計測手
段で計測し、それによって次に積層する層体の高さ寸法
を予測してその高さ位置までステージ20を移動させる
ように構成することがより好ましい。
【0149】また、上記説明は造形面がXY平面に平行
である場合(つまり水平である場合)についてのもので
あったが、造形面は特に水平面である必要はない。
【0150】また、上記説明においては、三次元造形物
の表面用材料として着色された材料を使用し、内部用材
料として無着色等の材料を使用する例について説明した
が、これに限定されるものでもない。例えば、内部用材
料として着色された材料を使用し、表面用材料として透
明材料を使用すれば、三次元造形物の内部側に彩色が施
されたものを造形過程において効率よく生成することも
できるのである。
【0151】また、第1の材料と第2の材料とのうちの
いずれかが三次元造形物に対して彩色を行うための材料
である必要もない。なぜなら、三次元造形物の表面側と
内部側とで積層する材料を変更することが可能になるこ
とで、例えば表面側には保護膜等を形成することも可能
になり、この場合には彩色を行うための材料は使用され
ず、保護膜等を形成するための材料が使用されるからで
ある。
【0152】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
三次元造形装置によれば、第1の材料を吐出する第1の
ノズルと、第2の材料を吐出する第2のノズルと、三次
元造形物の層体ごとの内部側造形時には少なくとも第1
のノズルから第1の材料を吐出させ、三次元造形物の層
体ごとの表面側造形時には少なくとも第2のノズルから
第2の材料を吐出させる制御手段とを備えて構成される
ため、三次元造形物の表面側と内部側とで積層する材料
を変更しながら造形を行うことができる。
【0153】請求項2に記載の三次元造形装置によれ
ば、第2の材料は、それぞれ異なる色成分に着色された
複数の樹脂であるため、造形過程において短時間で低コ
ストかつ容易に三次元造形物の表面側に彩色を施すこと
ができるのである。
【0154】請求項3に記載の三次元造形装置によれ
ば、第2の材料は、それぞれ異なる色の複数のインクで
あるため、造形過程において短時間で低コストかつ容易
に三次元造形物の表面側に彩色を施すことができるので
ある。
【0155】請求項4に記載の三次元造形装置によれ
ば、第1の材料は白色に着色された樹脂であるため、別
途に白色成分の材料を用意することなく、三次元造形物
の表面の彩色の際に短時間で低コストかつ容易に色の濃
淡を適切に表現することが可能になる。
【0156】請求項5に記載の三次元造形方法によれ
ば、三次元造形物の表面側と内部側とで積層する材料を
変更しながら造形を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における三次元造形装置を示
す概略図である。
【図2】第1の実施の形態における三次元造形装置の動
作の一例を示すフローチャートである。
【図3】断面データの一例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態において得られる三次元造形
物を示す図である。
【図5】シアンについての階調表現の一例を示す図であ
る。
【図6】淡いシアンから淡いイエローへ変化する表現の
一例を示す図である。
【図7】彩色の一例を示す図である。
【図8】着色された樹脂等の吐出パターンを変化させる
例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態におけるノズルヘッドの構成
の一例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態における同心円状に配置さ
れた複数の吐出ノズルの構成の概念を示す図である。
【図11】第1の実施の形態におけるノズルヘッドの構
成の一例を示す図である。
【図12】分割ステージの動作を示す図である。
【図13】分割ステージを利用する場合の断面データの
一例を示す図である。
【図14】第2の実施の形態における三次元造形装置を
示す概略図である。
【図15】第2の実施の形態における三次元造形装置の
動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態において得られる三次元造
形物を示す図である。
【図17】第2の実施の形態において得られる三次元造
形物を示す図である。
【図18】第2の実施の形態におけるノズルヘッドの構
成の一例を示す図である。
【図19】第2の実施の形態における同心円状に配置さ
れた複数の吐出ノズルの一構成の概念を示す図である。
【図20】第2の実施の形態における同心円状に配置さ
れた複数の吐出ノズルの一構成の概念を示す図である。
【図21】第2の実施の形態におけるノズルヘッドの構
成の一例を示す図である。
【図22】従来の三次元造形装置を示す概略図である。
【符号の説明】
10,30 三次元造形装置 11 コンピュータ 12 駆動制御部(制御手段) 13 XY方向駆動部 14 Z方向駆動部 15,35 ノズルヘッド 15a〜15e,35a〜35d,36a,36b 吐
出ノズル 18,38 タンク部 19,39 溶融部 20 ステージ 20a 分割ステージ 21,42 三次元造形物 22,43 オーバーハング支持部
フロントページの続き Fターム(参考) 4F213 WA25 WA53 WA87 WA97 WB01 WF01 WF25 WL02 WL32 WL67 WL85 WL87 WL95

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造形対象物を平行な複数の面で切断した
    各断面に対応する層体を所定の材料を吐出することによ
    って形成し、前記層体を順次積層していくことで前記造
    形対象物の三次元造形物を生成する三次元造形装置であ
    って、 第1の材料を吐出する第1のノズルと、 第2の材料を吐出する第2のノズルと、 前記三次元造形物の層体ごとの内部側造形時には少なく
    とも前記第1のノズルから前記第1の材料を吐出させ、
    前記三次元造形物の層体ごとの表面側造形時には少なく
    とも前記第2のノズルから前記第2の材料を吐出させる
    制御手段と、を備えることを特徴とする三次元造形装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の三次元造形装置におい
    て、 前記第2の材料は、それぞれ異なる色成分に着色された
    複数の樹脂であることを特徴とする三次元造形装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の三次元造形装置におい
    て、 前記第2の材料は、それぞれ異なる色の複数のインクで
    あることを特徴とする三次元造形装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の三次元
    造形装置において、 前記第1の材料は白色に着色された樹脂であることを特
    徴とする三次元造形装置。
  5. 【請求項5】 造形対象物を平行な複数の面で切断した
    各断面に対応する層体を所定の材料を吐出することによ
    って形成し、前記層体を順次積層していくことで前記造
    形対象物の三次元造形物を生成する三次元造形方法であ
    って、 第1の材料を吐出する第1のノズルと第2の材料を吐出
    する第2のノズルとを所定のステージに対して相対的に
    移動させる工程と、 前記三次元造形物の層体ごとの内部側を形成する際に、
    少なくとも前記第1のノズルから前記第1の材料を吐出
    させる工程と、 前記三次元造形物の層体ごとの表面側を形成する際に、
    少なくとも前記第2のノズルから前記第2の材料を吐出
    させる工程と、を有することを特徴とする三次元造形方
    法。
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