祝・月見ル君想フ10周年!!ーーセカイイチ × bananafishの2マン・ライヴは9月25日(木)!! 開催直前座談会を掲載!!
東京は青山のひっそりとしたビルの地下にあるライヴハウス、月見ル君想フ。そこはロマンチックな空間である。ステージの後ろには大きな丸い月が備え付けられ、ライヴの最中には満月になったり三日月になったりと、音楽に幻想的な景色を与えてくれる。ビールやカクテルなどとともに食事もできて、ゆったりとした時間を過ごすこともできる。そんな月見ル君想フが、2014年10月をもって、10周年を迎える。それを祝って、10月は毎日アニヴァーサリー企画が行なわれることが発表された。どれもこれもワクワクする企画ばかりだが、その前夜祭として先陣を切るイベントが、自主レーベル「Anaheim Records」を立ち上げたロック・バンド、セカイイチと、今年1月に赤坂BLITZでのワンマンを行なったbananafishの2マン・ライヴである。なぜこの2組が? そして、どんなイベントが行なわれるの? 両バンドのメンバーに、月見ル君想フの店長・寺尾ブッタを交えて、2組の関係や本イベントについて座談会を行なった。さらに、bananafishのいまでは手に入らない楽曲「モノトーン」をフリー・ダウンロードでお届け。このページ開いちゃったら、9月25日は月見ル君想フへ行くしかないでしょう!!
月見ル君想フ10周年前夜祭 月面ロックspecial!!!
『セカイイチ×bananafish』
日時 : 2014年9月25日(木)
会場 : 青山月見ル君想フ
時間 : 開場18:30 / 開演19:30
料金 : 前売2800円 / 当日3300円※ドリンク代別途必要
出演 : セカイイチ / bananafish
チケット : e+購入ページ(パソコン / スマートフォン / 携帯共通)
問い合わせ : 月見ル君想フ(03-5474-8115)
>>>月見ル君想フ HP
>>>bananafishのレゲエ調楽曲「モノトーン」のフリー・ダウンロードはこちらから
INTERVIEW : セカイイチ × bananafish × 寺尾ブッダ(月見ル君想フ店長)
数ある東京のライヴハウスの中でも異彩を放つ存在、「青山 月見ル君想フ」。ステージ・バックに輝く大きな月の映像がさまざまな出演者、お客さんを迎え続けて今年で10年目となる同店は、南青山というあまり生活感を感じさせない場所にあることも相まって、日常の喧騒を離れ、非現実的な体験を求めて足を運ぶお客さんが多いようだ。そしてそれはミュージシャンたちにとっても同じこと。今回お集まりいただいた2つのバンド、セカイイチとbananafishも、月見ルへの想いは特別なものがあるようだ。自ら「泰山に遊ぶ」を率いるミュージシャンでもある月見ル君想フ店長・寺尾ブッタ氏を交えて、イベントに向けて座談会をおこなった。
インタヴュー&文 : 岡本貴之
写真 : 工藤薫
ブッタさんが言うことはメンバー全員が素直に聞けたんですよね
ーー本日は〈月見ル君想フ10周年前夜祭 月面ROCK special!!! 「セカイイチ×bananafish」〉の開催を記念してみなさんにお集まりいただきました。月見ルの歴史を振り返りつつ、2バンドとの関係についてもお話していただきたいと思います。
一同 : よろしくおねがいします!
ーーまず、店長の寺尾ブッタさんはいつ頃から「月見ル君想フ」に関わっていらっしゃるのでしょうか。
寺尾ブッタ(以下、寺尾) : 自分は月見ルに入社して8年目くらいです。なので10年全部は見ていないんですけど、お店が立ち上がるにあたって最初の方はすごく混乱してたと聞いています(笑)。スタッフも入れ替わりが激しかったりで。僕は今関さんという先輩に誘っていただいて入ったんですけど、その頃にはもう今関さんを中心に、お店のカラーは出来ていたと思うんですよ。そこに既にセカイイチさんも出演されていて、レコ発とかもやっていただいてたんです。たぶん自分が入ったばかりの頃だと思うんですけど。
中内正之(以下、中内) : うんうん。
吉澤響(以下、吉澤) : そうですね。
寺尾 : で、いろいろありまして… 10周年という。
一同 : ははははは!
角川明(以下、角川) : 一気に飛びましたね(笑)。
寺尾 : まあ色々あったんですけど(笑)。セカイイチさんは、今関さんのイベントに定期的に出ていたりとか。でもそんなに多くないですよね?
岩崎慧(以下、岩崎) : たぶんなんですけど、僕が最初に出たのはbloodthirsty butchersの吉村(秀樹)さんと、遠藤賢司さんとアナログフィッシュの佐々木健太郎と僕の4人で弾き語りやった時(2006年11月10日におこなわれたイベント)ちゃうかな?
吉澤 : 慧のソロでの弾き語りが多かったですね。あと3枚目の『世界で一番嫌いなこと』をリリースした時に、招待制のワンマンをやったと思うんですよ。関係者とか、抽選で何名かお客さんを呼んでやったのを覚えてますね。
寺尾 : スペシャル・リリース・パーティー(2007年11月13日スペシャル・リリース・パーティー〈世界で一番嫌いなことって?〉)ですよね。響さんも、元々色んな別のバンドとかで出てくれてて。
吉澤 : そうですね。他のバンドとかサポートとかで何回も出ていて、むしろそっちの方が多い気がしますね、セカイイチよりは(笑)。
寺尾 : そうですね(笑)。まあ昔から所々でみなさんお会いしてます。
ーーセカイイチと最初に会った時の印象って覚えています?
寺尾 : すごいバンドだなっていうのは、月見ルに入る前からいろんなメディアで見ていたので。バンドの名前もすごいじゃないですか(笑)?
一同 : ははははは!
寺尾 : だからもう、尊敬の眼差しで見ていました。
ーーセカイイチのみなさんは寺尾さんとの出会いは覚えていますか?
吉澤 : 僕は他のバンドやサポートで出演したときにご挨拶して、「実はセカイイチというバンドもやっているんですよ」って言ったら「もちろん知ってますよ」みたいな話をしたのが最初だと思います。
中内 : 僕、そんなにちゃんとお話したことがないんですよ。
寺尾 : そうなんですよ。
中内 : だからこれからのお付き合いで(笑)。
一同 : ははははは。
寺尾 : 10周年を機に(笑)。
ーーbananafishは月見ルとの共同企画ライヴも何度もやっていますけど、最初はどんなきっかけで出ることになったんでしょうか。
角川 : 先程からお話に出ている今関さんとは、僕らは関わりがないんですよ。だから正統な“寺尾チルドレン”ですよね(笑)。
一同 : (笑)。
寺尾 : ライヴハウスって音源を送ったりして出演希望を出す人が多いんですけど、まさにそのパターンですね。
角川 : 初めて出たのが2008年ですね。
岩崎 : じゃあ俺たちの方が前なんだ。
角川 : そうなんです。バンドを始めて、もっとちゃんとライヴ活動をしていこうという時に1番最初に来たのが月見ルで、その日にブッキングの後いろいろ話している時に現れたのがブッタ氏で。
岩崎 : え!? そんなあだ名なんですか? 初めて聞きました(笑)。
寺尾 : そうなんです。いや、もう今更理由は聞かないでください(笑)。
一同 : ははははは!
角川 : まあブッタさんと呼んでいるんですけど(笑)。そこで、すごいダメ出しされて(苦笑)。もうライヴがすべてダメだよくらいの感じから始まったんですよね。
赤芝栄亮(以下、赤芝) : もう結成して2年位経ってたんで、ライヴハウスでも結構やってたんですよ。わりと曲にも自信があったし、いいって言ってもらえるんじゃないかと思っていたんで、すごくビックリしましたね。
角川 : でもうちらはそれに信用性を持っちゃって。ブッタさんの人柄だと思うんですけど、すごいなあという感じがして、そこからいろいろ面倒見ていただいているようなお付き合いです。
寺尾 : 最初はお店のブッキングとして5バンドの中に出ていて、自主企画をするようになって、それからワンマンをするようになっていって。そのワンマンの規模もどんどん月見ルよりも大きいところでやっていくというのをずっと見てきました。
角川 : そうですね。だから本当に師匠のような(笑)。
ーー寺尾さんから、bananafishにいろいろアドバイスもしてきたんですか?
寺尾 : そうですね。月見ルとbananafishの共同企画という形で、1年間やってみようかって言ってそれが実現したり。
ーーそれが共同企画〈SCROLL!!〉だったんですね。
角川 : そうです。2012年に隔月で月見ルさんと共同でやっていきましょうということで。その中からKANA-BOONとか空想委員会とか、人気になったバンドも出ていたりとか。
ーーバンド側からするとそういうアドバイスや企画の提案というのはありがたいことですか?
角川 : 本当に、人柄だと思うんですよね。うちらもあんまりいきなりダメ出しされたらムッとするというか、プライドもありますからいろんな感情を持つと思うんですけど、でもなんかブッタさんが言うことはメンバー全員が素直に聞けたんですよね。そこがすごくデカかったんです。いろんなライヴハウスに出てますけど、ここまで深い付き合いの人はいないですからね。そういう意味では大きな出会いだったと思ってます。
寺尾 : 真面目なんですよ、彼らは。赤坂BLITZでワンマンをやって、自分たちの中でも自信をどんどん深めている感じなので、月見ルでやるならわりと絞った濃いイベントをやろうということで、今はいろいろ考えつつ。それでこの月見ル10周年のタイミングで彼等にも出演していただきたいと思って、セカイイチさんにも出てもらいたいと思っていたので、この2バンドが月見ル10周年でやるというのはすごくいいかなと思っています。“月見ルといえば”という僕なりのイメージで、まあ若手のbananafishと、ベテランの…。
岩崎 : ベテランの(笑)。
寺尾 : 対比するとベテランの(笑)、セカイイチさんという。
赤芝 : 僕は運命を感じたんですけど、月見ルに出始めた時に何周年かのイベントで新人アーティストを紹介するというのがあって、ブッタさんにbananafishを選んでもらったんです。それで動画コメントを撮ったんですけど、その中で「月見ルになぜ出たんですか?」って聞かれて、「有名なバンドも出ているので、出てみたいと思いました」って答えたんですけど、「例えばどんなバンド?」って聞かれて「セカイイチさんとか」って言ったんですよ。
岩崎 : へぇ~! ありがとう。
赤芝 : なので、このタイミングで2マンができるとは嬉しい限りです。
ーー2バンドの関わりというのは今までなかったんですか?
角川 : 実際にバンドとしてはないんですけど、共通のPAさんがいて。
吉澤 : あ、そうそう。
寺尾 : うちに出入りしているPAの人間がどちらのバンドにもお世話になっているということで。お店がきっかけということなんですけど。
吉澤 : 月見ルはbananafishをとても応援しているというのを、そのPAさんから聞いていて、1回ライヴ観に来てくださいよって言われて、僕は何回かライヴを観てるんですよ。
角川 : ありがとうございます。そういう関わりはありますよね。
寺尾 : 実はこの組み合わせは何年か前からジワジワと。
角川 : 水面下では(笑)。
寺尾 : いつかは、というのはあったと思います。
ターニング・ポイントでいつも月見ルだなというのは、不思議な縁を感じますね
ーー月見ルでライヴをやる魅力ってどんなところに感じていますか?
岩崎 : バンドでやる時にすごく印象深く残ってるんですけど、ホーム感をやたら感じるんですよね。お客さんがやけに盛り上がるというか。そういうハコって数少ない気がしてて。単純に音楽を楽しめる土壌ができあがっているハコと、それがまだあんまりできていないハコってあると思うんですけど。ただ来ただけで単純に音楽を楽しめる土壌というのが月見ルにはあると思っていて。そういうところでやるロックンロールのライヴは必然的に盛り上がると思うし、それを受けて演者はとても気持ちよく帰るじゃないですか? そういう意味ではとってもビールが美味しく飲めるハコかな、と思っていますね。
寺尾 : ああ、嬉しいですね。
岩崎 : あとだいたいビールをタダでくれたりするので。
一同 : あはははは!
吉澤 : それはアカンやろ(笑)。さっき10周年だから生ビール600円のところ500円にするって話してたのに。タダでもらえるって言ったらアカン(笑)。
岩崎 : いや、それはもう僕と月見ルの8、9年の付き合いですから。仕方ないです(笑)。
寺尾 : (笑)。
吉澤 : やっぱりライヴに来るお客さんというのは、例えば仕事で疲れて、ライヴハウスに来て非日常を楽しみたいという方が多いと思うんです。この店の階段を降りて行って、上からも見れるけど下にホールがあってステージがあってというのは、ライヴハウスの中でも構造として珍しいと思っていて、しかもバックには月がドーンとあって。日常生活を忘れさせてくれていい感じに音楽に没頭させてくれるというか。ライヴハウスとしてはすごくいい空間だなと思いますね。お酒も美味しく飲めるし(笑)。上から見たら全部がバーっと見えるし。ドラムの手元とかも見えるじゃないですか? そういうところってあんまりないし、いいハコだなと思ってます。
角川 : 独特ですよね、月見ルって。他のライヴハウスにない要素が結構ありますよね。
中内 : 僕はセカイイチとしてはそんなに回数は出てないかもしれないんですけど、やたら印象深いライヴが多くて。さっき話の出たリリース・パーティーだったり、あとは初めての試みで昼間にワンマン・ライヴをしようと言って、めでたく今年で2回目を迎えられたんですけど。そういう節目節目でお世話になっているライヴハウスやなって。
岩崎 : みんな昼間から超酒飲んでるんですよ。「お前たち本当に大丈夫か!?」っていうくらい(笑)。
一同 : ははははは!
角川 : 盛り上がりますもんね、昼間でも。
吉澤 : あれは素敵やね。
岩崎 : 昼の方がいいんじゃねえか? って(笑)。
ーーその昼間のワンマン・ライヴ〈真昼の月 vol.2〉がおこなわれた7月20日にステージで自主レーベル「Anaheim Records」(アナハイム・レコーズ)の立ち上げを発表しましたけど、バンドのキャリアの中でも大事な発表をここでするというのは、それだけ深い関わりをバンドとしても感じているのかなと思いました。
岩崎 : そうですね。まあ個人たちの繋がりもあるし、タイミングもたまたま合ったんですけど、でもそんなたまたま合うタイミングって選ばれしものだと思っているんですよ僕は。関係値として。
角川 : うん、そうですよね、確かに。
岩崎 : そういう意味ではターニング・ポイントでいつも月見ルだなというのは、不思議な縁を感じますね。
ーー月見ルへの出演で印象的に残っていることってどんなものがありますか?
角川 : 最近ライヴではやっていない「モノトーン」という曲があるんですけど、それはレゲエな感じで裏打ちのリズムでゆったりした曲なんですけど、それなんかはもうまさに月見ルに出たからこそできた曲というか。それはバンドの中でもそういう認識があって。なんかむしろ、月見ルに合う曲を作ってたというか(笑)。なので今回この曲は配信させて頂こうと思っています。
ーーセカイイチも月見ルにインスパイアされた曲ってあるんでしょうか。
岩崎 : セカイイチは元々、月に関する曲が多いんですよ。だから逆に俺らにインスパイアされてるんちゃうん? と思ってますね。
一同 : ははははは!!
岩崎 : いや、それは嘘ですけど(笑)。
ーーでも寺尾さんがいま頷いてましたけど(笑)。
寺尾 : あったかもって(笑)。
岩崎 : (笑)。僕はすごく印象深いライヴがあって、さっきも話のあった3rdアルバム『世界で一番嫌いなこと』の時に、スペシャが絡んで映像とか撮ってくれたんですよ。その時に初めての試みで、ファミコンのコントローラーにサンプラーみたいにいろんな音色を打ち込んでおいて、それをお客さんにステージから渡して、やらせるというシーンがあったんですけど、なんとコードが届かなかったという(笑)。
一同 : ははははは!
岩崎 : 初めてやからそこまで想像つかなかったんですね。コントローラーのコードが足りずに俺は泣く泣く途中で半回転してステージに戻ったんですけど(笑)。それがきっかけで次のツアーからは延長コードができましたけど。
一同 : (笑)。
ーー月見ルは実験の場でもある、という(笑)。
吉澤 : 上手いこと言いますね(笑)。
寺尾 : そうですね。それは… いいと思います(笑)。
一同 : (笑)。
寺尾 : お客さんから見てもあそこに行ったら何かあるんじゃないかとか、あのバンドが月見ルでやるなら何かあるんじゃないかとか、ワクワク感がプラスされて、バンドの方もそれをよしとしてくれるなら嬉しいですね。実際にTwitterでエゴサーチしまくっているんですけど…。
吉澤 : ははははは!
岩崎 : ホンマにブッタか? 業が深すぎるやろ!?
一同 : (爆笑)
寺尾 : 俗な奴なんで(笑)。「月見ルで見たい」という声も結構あるので、ありがたいですしもっとがんばらなきゃなと思いますね。
ーーそれは10年かけて月見ルの世界が確立されているということですよね。
寺尾 : ええ、そうですね。でも老舗になりたいという感じもないので、まさに実験の場として、箱側もどんどん新しいものを提供できたらと思っています。
昔、好きな子が働いてたんですよね
ーー出演する側としては何回出ても月見ルへの出演は新鮮なものがありますか?
角川 : 特別ですよね。毎回ライヴでも「月見ルでやるとやっぱりちょっと違う」って、ついMCでも言っちゃうくらいに特別な場所なんです、bananafishにとっては。
岩崎 : 昔、好きな子が働いてたんですよね。まあそういうのもあって足繁く通いたいなと思ってずっとやってきていて。
角川 : (笑)。そのことを想いつつ。
岩崎 : それもあって、僕個人の中ではものすごい想い出深い場所ではあるんですよ、本当に。
吉澤 : ええ話やなあ、うん。
岩崎 : なのでそういうところでステージに立たせてもらうと、まあ、男としてもバンドマンとしても凛としますわ。
一同 : ははははは。
ーー赤芝さんは月見ルのステージ上で歌うことをどんなふうに思っていますか?
赤芝 : 1番最初に、APOGEEという先輩のバンドを観にきたんですけど、お客さんの中に黒人さんがいて、それにすごくビックリしたんですよ。それって下北沢とか他のライヴハウスだとそういうことあんまりないじゃないですか。「こういうライヴハウスなんだ!?」と思って、いつか僕も黒人さんを…。
一同 : (笑)。
赤芝 : いや、まあこういう洗練されたところで歌いたいなという気持ちがありましたね(笑)。
ーー月見ルといえば青山にあるオシャレなライヴハウスというイメージが真っ先に浮かぶ方もいると思うんですけど、渋谷・下北沢みたいにお店が密集しているわけではないですし、立地的には正直来やすい場所ではないと思うんですが、その辺りはライヴをやる上でいかがですか?
岩崎 : 青山ってえらい気持ちのいい場所じゃないですか、スピリチュアル的にも。だからみんな、さっき響ちゃんが言ってたみたいな非日常みたいなものを感じるには丁度いいんじゃないかなと思います。
角川 : 少なくとも渋谷・下北沢とは確実に違いますよね、ここは。もちろん渋谷には渋谷のよさがあるんですけど。
ーー寺尾さんは他のライヴハウスとの違いをどう考えていますか?
寺尾 : 渋谷・下北沢とかでいろんな店舗が合同でイベントをやったりするのは羨ましいなと思ったりもしますけどね。
角川 : ああ~、なるほど。
寺尾 : まあそういう街にはその街のよさがありますし、ここは隠れ家というかビックリするようなワクワクするようなことがあったらいいなと思っています。
岩崎 : 俺、普通に飲みに来てましたよ、9年位前とか。A Hundred Birdsを観て痺れるくらいカッコイイなと思ったりして。そこで鍵盤の一武さん(武内一武)と知り合いになって、その後セカイイチの音源に参加してくれるきっかけにもなったんですよ。だからあの当時足繁く飲みに通っていた頃にはいろんな収穫があったのを覚えていますね。
寺尾 : なるほどね。飲みにきてくれるというのはライヴハウスとしては嬉しいですね。bananafishもよく飲みに来てるタイプだと思うんですけど。
角川 : そうですね(笑)。よく来てます。
寺尾 : そういうふうに使ってもらっていろいろ交流してくれるのもありがたいことですね。
ーー寺尾さんがブッキングする上で、どんなバンドに出てほしいと考えていらっしゃるんでしょうか。
寺尾 : 音楽的には、その人がやりたい音楽をやるというのがいいので、特に選んだりとかはないですけど。ここの場所でこういうライヴをしてお客さんを楽しませたいとか、アイデアを持った人は楽しいですね。結構そういう人たちが多いです。あとは店の中を見た瞬間にアイデアが沸き出る人達もいたりとかして。自分でブッキングして企画する時も、他と違うことが何かないかなと考えながらやってますね。だから他のライヴハウスはめちゃくちゃチェックしてますよ。
ーーいままでやってきた中で印象深い企画ってどんなものがありますか?
寺尾 : VJとか、映像が映える場所なので、それの作り込みをしている人は印象に残っていますね。ステージの大きい月以外に、小っちゃい月をいっぱい持ちこんで、全部プロジェクション・マッピングしたりとか。あとは自分がやったイベントでは、ライヴじゃないですけど、「野宿イベント」ですね。
赤芝 : それなんすか(笑)?
岩崎 : それ、なんなんすか(笑)?
一同 : ははははは!
寺尾 : 「野宿野郎」っていうミニコミを作っていらっしゃる方がいて、女性なんですけど。その人のトーク・ショーをやって、その後に野宿しようという。
角川 : 夜を明かすんですか。
吉澤 : それちょっとおもしろいですね(笑)。
寺尾 : それは自分の中では型破りでした。7人位来たんですよ(笑)。
岩崎 : 興業的にはミスですね(笑)!
一同 : ははははは!
寺尾 : まあそういうライヴ以外のことでも使えます。
ーー月見ルでライヴをする上で音の特性ってありますか?
岩崎 : PAさんによって変わるとは思うんですけど、ヴォーカルに関して言うと意外とホール鳴りするという記憶がありますね。
中内 : 確かに天井が高いし、よく鳴るな~というイメージはありますね。
岩崎 : 結構デッドなのかなと思いきや、スコーンと抜けるライヴ感があって気持ちいいですね。東京のライヴハウスによくある感じじゃなくて、オーガニックな感じがして好きです。
角川 : 自分たちの音が加工されずにそのまま伝わってる印象はありますね。
赤芝 : 癖になる音の感じがするというか、ライヴハウスってスタジオっぽい音のところと、いかにもライヴハウスという感じの音のところにわかれると思うんですけど、月見ルの音は月見ルでしかないというか。さっき慧さんがおっしゃってたオーガニックな感じというか、気持ちいいですね。歌っていてもお客さんとして聴いていても。
岩崎 : あと、昔ここで働いてたホーリーという奴がいたんですけど、そいつはもうオーガニックというかスピリチュアルな人間で、なんかそういう人間が沢山集まるようなイメージですね。それが音にも繋がっている気がします。
角川 : オーガニックな印象が強いですよね、月見ルは。
寺尾 : そうですね。まあホーリーは突出してましたけど。オーガニックなものも含めた上で価値を追求するという職人さんのスタッフが多いですね。音的には生音が良い感じでブレンドされてライヴ感が強く感じられると思います。アコースティックな会場だと思われることもたまにあるんですけど、この環境でロック・バンドを聴くのはすごく贅沢だなと自分では思います。
トム・ウェイツとかダニー・ハザウェイとかシガー・ロスとか書いてあって
ーー今度のイベントはどんな内容のライヴになりそうでしょうか?
岩崎 : セカイイチはこのライヴの半月後にミニ・アルバムを出すので(10月15日に自主レーベル第1弾となるミニ・アルバム『Anaheim Apart』をリリース)、おそらくその中の曲をちらほらやるかなという感じですね。あとは月見ルだから、せっかくなのでさっきから名前の挙がっている『世界で一番嫌いなこと』に収録されている「RAIN/THAT/SOMETHING」や僕らの代表曲「あかり」も演奏したいし、結構ドープな曲をやっても許されるのかなと。そういう攻め方をしようかな、と思っています。
角川 : 月見ル10thアニバーサーリー、つまり10年って1つの大きな節目ですよね。その節目に月見ル大先輩であるセカイイチさんと一緒にライヴができることはとても光栄に思ってます。当日はお祝いムード感を出しつつ、これまでのバンドの歴史を振り返りつつ、さらにbananafishの新しい面を打ち出せるようなライヴにをしたいですね。欲張りすぎですかね(笑)。今回配信させて頂く曲は月見ルと縁の深い曲であったり、僕らのバンドの節目となった曲です。曲を聴いてもらえればわかると思うんですが、全てテイストが違うかなと。来る前に聴いてもらえれば、先程言ったライヴの意味がわかってもらえるかと思ってます。
ーー改めてお互いのバンドの印象を聞かせて下さい。
角川 : いやもう、大先輩ですから。演奏も歌もバランスの取れていて、やっぱりキャリアを感じますね。先日も(ライヴに)お邪魔させて頂いたんですけど、バンドの力を感じますよね。まあ当日はそこをちょこっと盗もうと思っています(笑)。
吉澤 : 僕は何度かライヴを拝見させてもらっているんですけど、歌の柱がしっかりある中でどこかストレートなところで収めたくない感じのバンド・サウンド、どこか1つ捻ってやろう、ひっかかりを作ってやろうという楽曲が多いなあってイメージですね。でもライヴをやっている時にこっちに伝わってくるマインドというかスタンスというのはストレートでおもしろいなと思いながらいつも観ています。
岩崎 : アウトプットする音楽のスタンスって人それぞれだと思うけど、大前提で音楽がみんなすごく好きで、いろんな音楽を聴いてチャレンジしていっているのかなと感じますね。僕らも同じなんですけど。そういう人たちと一緒に同じライヴを作っていくのは、結構マジックが起こったりするので、すごく楽しみです。
中内 : 僕はまだライヴを拝見したことはないんですけど、YouTubeで見させて頂いたりして、結構音の出し方がソリッドなんやなと。これはライヴでどういう感じでやるのか。あとみなさんのプロフィールを見て、トム・ウェイツとかダニー・ハザウェイとかシガー・ロスとか書いてあって「いいよね、いいよね」って思ってます(笑)。だからすごく楽しみです。
赤芝 : セカイイチさんにはエネルギーを感じるというか、この間ライヴも拝見させて頂いたんですけど、家に帰って歌詞をチェックさせてもらったんです(笑)。
岩崎 : ありがとうございます(笑)。
赤芝 : 1stシングルが「ふりだしの歌」(作詞・作曲 : 岩﨑慧)っていう曲じゃないですか? 1枚目なのに「ふりだしの歌」ってどういうことだろう? って。普通だったらスタートラインとかはじまりの歌とか付けると思うんですけど、関西のバンドさんなんで、おそらく、東京に出てきて1から作り直そうみたいな気持ちで作ったのかなって想像していて。すごく上昇志向とパワーのあるバンドなんだなって思っていたんですけど。
岩崎 : ありがとう!
赤芝 : … 全然違いますか?
一同 : ははははは!
岩崎 : いやいや、そんなことないです(笑)。あれね、アメリカに1人旅をしていて、帰ってきてすぐ作ったのは覚えてる。だからその影響があるんじゃないかな。
赤芝 : そうなんですか。僕は勝手にそういうふうに受け止めてました(笑)。
岩崎 : やったぜ(笑)。
ーー当日は2バンドの共演も期待していいのでしょうか?
寺尾 : 何か一緒にやってもらえたらいいですよね。まあどういう形になるかはわかりませんけど。
角川 : そうですね。それがセッションなのかまだわからないですけど、何か両者でやれたらいいですよね。
寺尾 : あとは昔の想い出の曲というか、月見ルも10周年ということもあるので、バンドとしてもその歴史を掘り起こすような形の曲をやって頂けるとありがたいかなと思います。
角川 : わかりました。
岩崎 : そうですね、やらせてもらいます。
寺尾 : それはリクエストとしてお願いします。
ーー最後に寺尾さんの方からイベントについて一言お願いします。
寺尾 : 10月で10周年になりますので、このイベントは前夜祭なんですけど、この日はおそらくスタッフもワクワク盛り上がるのではないかと思います。普段からみなさんと仲良くさせていただいているので。スタッフもすごく楽しみにしているイベントだと思いますし、お客さんも楽しんでもらえたら嬉しいですね。10周年といっても1日1日の積み重ねということですし、これからも毎日こういうスペシャルなイベントをやっていけるように目指していけたらな、と思っています。
月見ル君想フ 10周年 Anniversary!!!
月見ル君想フ10周年前夜祭 月面ロックspecial!!!
『セカイイチ×bananafish』
日時 : 2014年9月25日(木)
会場 : 青山月見ル君想フ
時間 : 開場18:30 / 開演19:30
料金 : 前売2800円 / 当日3300円※ドリンク代別途必要
出演 : セカイイチ / bananafish
チケット : e+購入ページ(パソコン / スマートフォン / 携帯共通)
問い合わせ : 月見ル君想フ(03-5474-8115)
月見ル10周年記念1日目「ユクツキクルツキ」
2014年10月1日(木)
出演 : SOUR / Yasei Collective / Mountain Mocha Kilimanjaro
月見ル10周年記念「ヒカシュー×東京ノントロッポ」
2014年10月2日(金)
出演 : ヒカシュー / 東京ノントロッポ / O・A挫•人間
~ヨコチンレーベル・プレゼンツ~「東京30人弾き語り2014」
2014年10月4日(土)
出演 : ※50音順 安部コウセイ(HINTO) / 有馬和樹(おとぎ話) / 石川浩司(ex.たま) / 石橋英子 / 氏原ワタル(DOES) / 大久保潤也(アナ) / オクムラユウスケ / 鴨田潤(イルリメ) / 金 佑龍(キムウリョン) / K(カシミールナポレオン) / 佐々木健太郎(アナログフィッシュ) / 笹口騒音ハーモニカ / 柴田聡子 / ジム・オルーク / 杉林恭雄(くじら) / 高木克(ソウルフラワーユニオン)田畑満(アシッドマザーズテンプル) / 中川五郎/ 原田茶飯事 / ヒューマン(INN JAPAN)/ FUCKER(less than TV / FOLK SHOCK FUCKERS) / 藤岡孝章(藤岡藤巻) / 藤岡みなみ(藤岡みなみ&ザ・モローンズ) / ボギー(nontroppo / 東京ノントロッポ) / 前田由紀(Whiteberry) / 松本敏将(tobaccojuice) / 見汐麻衣(ex.埋火) / ムスキ・アルバボ・リー / 代々木原シゲル / YUKARI(Limited Express(has gone?) / ニーハオ!)
月見ル10周年記念「月と衝突vol.7」
2014年10月6日(月)
出演 : 堕落モーションFOLK2 / 波多野裕文(People In The Box) / 古舘佑太郎(The SALOVERS)
Heymoonshaker来日公演
2014年10月8日(水)
出演:Heymoonshaker
月見ル10周年記念「パラシュートセッション7」F.I.B JOURNAL × Schroeder-Headz
2014年10月9日(木)
出演 : F.I.B JOURNAL / Schroeder-Headz
“tsukuyomi” 1st Album “honeymooner” Release Party
2014年10月10日(金)
出演 : “tsukuyomi” (庸蔵’s band style) / 【VJ/Liquid Lighting】助川貞義(OVERHEADS)/ 【Food】ソウダルア / 【Opening Act】森田くみこ / 【開会宣言】カンタス村田
神棍樂團(f.TAIWAN) JAPAN TOUR
2014年10月11日(土)
出演 : 神棍樂團 / アラゲホンジ / the pyramid / 泰山に遊ぶ
月見ル10周年記念”Chocolat & Akito Tour 2014 Tokyo Special”
2014年10月14日(火)
出演 : Chocolat&Akito (band) / Vo,Key. ショコラ / Vo,Gt. 片寄明人 / Dr. 前越啓輔(おとぎ話) / B. 大森慎也(Any) / Key. 清水一登(ヒカシュー)
月見ル10周年記念「巡る満月祭」
2014年10月16日(木)
出演 : 【舞】古澤侑峯(地歌舞古澤流宗家二代目家元) / 【演奏】黒澤博幸(津軽三味線) / 東京月桃三味線 / ヤススキイ(自作楽器) / 【日本酒出店】絆の会 / サケフェス / 【料理出店】飲&YO!
月見ル10周年記念 APOGEE『OUT OF BLUE』リリースパーティー
2014年10月18日(土)
出演 : APOGEE
月見ル10周年記念「あっぱれむむむ~ん!!!」
2014年10月21日(火)
出演 : バンドじゃないもん! / ゆるめるモ!
月見ル10周年記念「月と衝突vol.8」
2014年10月23日(木)
出演 : 奇妙礼太郎 / 長谷川健一 / 五味岳久(LOSTAGE)
NAMGAR(ナムガル)来日公演2014
2014年10月27日(月)
出演 : ナムガル(ナムガル・ルハサラノワ/エフゲニー・ゾロタリョーフ/ガルサン・オショーロフ) with 鬼怒無月(ギター) / 向島ゆり子(ヴァイオリン) / 堀越彰(ドラム)
「台湾から来た二人、と青葉市子」
2014年10月29日(水)
出演 : 青葉市子 / 洪申豪(透明雑誌) / 斑斑(skip skip ben ben) ※詳細web
[lifter] ニューアルバムリリースレコ発企画「fargic vol.2」
2014年10月30日(木)
出演 : [lifter] / 山田稔明(GOMES THE HITMAN) / momo
「台湾から来た二人、とみんな」 2014年11月3日(月) 出演:Alfred Beach Sandal / スカート / 水中図鑑(guest) / 洪申豪(透明雑誌)/ 斑斑(skip skip ben ben) ※詳細web
PROFILE
セカイイチ
2001年、岩崎慧(Vo)が吉澤響(Dr)を誘い、「アコギボーカルとドラム」という縦一列編成でライヴをスタート。2002年に中内正之(Gt)、2003年に泉健太郎(Ba)が加入し「セカイイチ」を結成。同年12月にミニアルバム『今日あの橋の向こうまで』をリリース。2005年4月にシングル『石コロブ』で、トイズ・ファクトリーよりメジャー・デビューを果たす。デビュー以降、現在に至るまでアルバム7枚、ミニ・アルバム2枚、シングル7枚をリリースしている。結成10周年というメモリアルイヤーとも言える2013年に、Ba・泉が突然の脱退。それでも活動を止めることなく、サポート・ベースを迎え全国でライヴを展開し、同年11月には、キャリア初となる赤坂BLITZでのワンマン・ライヴを成功させた。2014年7月、自主レーベル『Anaheim Records』の立ち上げを発表。10月15日に満を持して2年7ヶ月振りのオリジナル作品『Anaheim part』をリリースする。岩崎の根底に流れるソウルフルな歌と、その歌と呼吸を共にするバンドのうねるようなグルーヴ。 デビュー以来、ジャンルの枠にとらわれず、グッド・ミュージックを鳴らし続ける歌ものロック・バンド。
bananafish
UKロックを軸に様々なジャンルの音楽を取り込み、独自の進化を遂げ続ける東京青山発のロック・バンド。
2012年渋谷クアトロ、2014年赤坂ブリッツでのワンマン・ライヴをD.I.Yで成功させる。 耳に残るアーシー・ボイス、変幻自在のギターリフ、ギターとベースの演奏アプローチの対比から観客を巻き込む圧巻のライヴ・パフォーマンスが定評を得ている。
>>bananafish Official HP
>>bananafishの特集はこちら
寺尾ブッタ
青山月見ル君想フ代表。 2014年台湾台北にて浪漫的工作室を立ち上げ、交流活動に力を入れている。
青山月見ル君想フ
外苑前から徒歩5分、大きな月のスクリーンが印象的な「文化娯楽ライヴハウス」。 今年は10周年。10月には10周年を記念して様々なイベントが催される。