ファンタジーとダークネスが交差するRayonsのデビュー作を高音質で
女性音楽家、中井雅子のソロ・プロジェクトRayonsのデビュー作『After the noise is gone』が完成! ゲスト・ヴォーカルにPredawnを迎えた本作は、サティやドビュッシーを思い起こさせる美しく危ういピアノの旋律に、淡く無垢な声を重ねた、静謐で瑞々しいサウンドが魅力の一枚。ドラマチックで繊細な響きは、短編映画を見ているような感覚にさせます。ファンタジーとダークネスが交差する全6編の物語の中に、いざ足を踏み入れてみましょう。
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Rayons / After the noise is gone
1. Ivy
2. Damn it, Shut it, Release it
3. Go over
4. Halfway
5. Love is a personal thing
6. Take me to the fairyland
★アルバム購入者には、歌詞付きウェブ・ブックレットをプレゼント!
販売形式 : mp3 / HQD(24bit/48kHzの高音質wav)
Rayonsによる楽曲解説
1.Ivy
ポップスのやり方じゃなくて、でもストレートな感情の表現で、どことなくクラシカルで・・・と思い描きながらピアノを弾いていたら出来た曲。器楽曲と歌モノの狭間で揺れています。これに一体どんな歌詞がつくんだろうと思っていたけど、Predawnは知的な深みのある詞を見事に書いてくれました。
2.Damn it,Shut it, Release it
いらだち、やりきれなさ、憧れ、スタイリッシュさ、そしてそれらとは逆のノスタルジー。自分の感情を強く出した曲をどうしても書きたくて、何度も考え書き直した曲。また、オンマイクで録音する弦の肌触りが好きで、それを存分に浴びせるように書いていきました。奏者が本当に素晴らしく、うねる旋律、優美で繊細な息づかいに何度もため息が出ます。
3.Go over
最初は即興で弾き出したのだけど、2度の重音が心地よく、それに導かれて芯の通った曲になりました。
4.Halfway
夜、好きなブラジル音楽のことを考えていたら、 同時にそんな遠くで暮らしている人を思いました。ひょっとして、地球の裏側で、今まさに私と同じような気持ちで空を見上げている人がいるかもしれない・・・。その誰かに手紙を書くようなつもりで書いた曲。遠い国というのは遠いというだけでロマンチックな気持ちにさせるものです。結果的にとてもピュアな曲になりました。
5.Love is a personal thing
作品を作るきっかけになった曲。自分の使い慣れた楽器で、やり方で、私にとって自然な曲を個人的に作りたいと思って出来た曲。
6.Take me to the fairyland
ピアノに向かって、じっと耳を澄まして、聴こえる音を弾きつないでいきます。聴こえてくるのはピアノの音?心の音、生活の音、雑音、誰かの呼ぶ声、遠い記憶・・・
じわじわと浸食していく光
現代音楽家、中井雅子のソロ・プロジェクト、Rayons(レイヨン)がこの度初の音源となる『After the noise is gone』を発表した。彼女たっての希望で、6曲中3曲に「天使の声」と語られる女性シンガー・ソングライターのPredawnが参加している。サティやドビュッシーを想起させる、安堵と不安の間で揺れる危うげな旋律。その上を、両手を広げてバランスをとりながら、足元を確かめるようにゆっくりとPredawnの声が歩いてゆく。
平日の雑踏の中でこの作品を聴いた時、ヘッドフォンの中で広がる世界と目に映る世界のギャップにすぐに頭がついていかなかった。体は現実の中に身を置きながら、心は現実の外側にはじき出されてしまったみたいだ。それは寂しくもあり、悦でもある。もしかしたら幽霊ってこんな気分なのかもしれない。となると、「天使の声」にも深く納得してしまう。しかも彼女たちは4月に下北沢にある教会で共演することが決まっている。生で、しかも教会で聴くとなるといよいよ召されてしまいそうだ。Rayons(=光線、半径)とPredawn(=夜明け前)。じわじわと光に浸食されてゆくような全6曲25分、優しさと恐怖が砂時計の砂ようにゆっくりと体内に蓄積する。
4曲目「Halfway」の歌詞は「I hear you calling(きみが呼んでいるのが聞こえる)」から始まる。この言葉から映画「BAGDAD CAFE」のテーマ曲「Calling you('89)」のサビ部分「I am calling you(わたしはあなたを呼んでいるの)」を連想した。曲調は全く異なるけれど、胸を焦がすほどの望郷感は通じている。中井雅子が音大に入り本格的に音楽家の道を歩み始めたきっかけは、映画音楽を作りたかったかららしい。もしかしたら、私がこの古い曲を思い出したのも、この2つの曲の歌詞が対になっているのも、ただの偶然ではないのかもしれない。また、彼女が元々抱えていた映画音楽家への憧れを知れば、自らのデビュー作の主人公に自分ではない人物を置いたのにも合点がいく。映画で例えるなら、主演 : Predawn / 監督 : Rayonsといったところだろうか。
『After the noise is gone』、雑音が過ぎたあと。Rayonsの音楽はテレビを消した後の部屋に置き去りにされた静寂に似ている。半数の楽曲にゲスト・ボーカルを招いた本作。まだ彼女の「半径」は隠されたままだ。次の作品ではPredawn以外の主演俳優を立てるのか、もしくは自ら監督・主演をこなすのか。彼女の「全景」を見てみたいような、まだしばらく「半径」で留めておいて欲しいような。ともあれ、次の作品を楽しみにしている。(text by 水嶋美和)
LIVE SCHEDULE
『Rayons "After the noise is gone" release party Sylvain Chauveau Japan Tour 2012』
2012年4月14日(土)@下北沢 富士見丘教会
OPEN 17:00 / START 17:30
出演:Rayons(with Predawn) / Sylvain Chauveau …and more
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンクチャージなし)
RECOMMEND
Predawn / 手のなかの鳥
清水美和子のソロ・ユニットとして活動を開始後、全国リリース前にも関わらずフジロックなどのフェス出演を果し、業界関係者や早耳のリスナーの間では「和製ノラ・ジョーンズ」と評され既に話題となっている。聴く者の心にそっと染み入り魅了する天性の歌声。UKロック、オルタナティヴ・ロック、ルーツ・ミュージックを昇華し、少々ひねくれつつもドリーミングかつヒーリング的な聴き心地が融合された傑作!
児玉奈央×Predawn / LIVE in Sense of Wonder 2011
Sense of Wonder 2011での児玉奈央 、Predawnのステージからそれぞれ3曲をピック・アップし、高音質のスプリット・ライヴ・アルバムとしてOTOTOYからリリース。音質は、DSD+mp3とHQD(24bit 48kのWAV)。Predawnと児玉奈央という2人の至高のシンガー・ソング・ライターが、今出会う!
PROFILE
Rayons
現代音楽家・中井雅子のソロ・プロジェクト。音大にて現代音楽、クラシック等、さまざまな作曲を学び、卒業後、音源製作を中心に据えた活動を開始。本作品では、作曲 / ストリングス・アレンジ / ピアノ演奏等を担当している。彼女が紡ぎ織りなす世界は、ファンタジーとダークネスな感情が重なり共鳴し、特有の美しさとノイズを生み出している。
Predawn
Predawn (プリドーン=夜明け前)を名乗る、女性ソロ・シンガー・ソングライター。かわいらしくも凛としたたたずまいと、天性の声に魅了されるリスナーが続出している。UKロック、オルタナティブ・ロック、ルーツ・ミュージックを独自に昇華し、少々ひねくれつつもドリーミングかつヒーリング的な聴き心地が融合した音楽は、国内のおいて類を見ない。2010年6月に、作詞/作曲/演奏/歌唱/録音をすべて一人で行った、1stミニ・アルバム『手のなかの鳥』をリリースし、日本全国でロング・セールスを記録中。