JPH0689428A - 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び製造装置

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JPH0689428A
JPH0689428A JP24234992A JP24234992A JPH0689428A JP H0689428 A JPH0689428 A JP H0689428A JP 24234992 A JP24234992 A JP 24234992A JP 24234992 A JP24234992 A JP 24234992A JP H0689428 A JPH0689428 A JP H0689428A
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JP24234992A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
Hiroshi Uchiyama
浩 内山
Kenichi Sato
研一 佐藤
Kazunobu Chiba
一信 千葉
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 金属磁性薄膜型磁気記録媒体16に対して、
非磁性支持体側は円筒キャン19で冷却し、且つ、磁性
層表面はヒーター30で加熱しながら、プラズマCVD
による保護膜形成を行う。上記ヒーター30は、非磁性
支持体の温度がガラス転移点を越えないようコントロー
ラ27によって温度調整されている。 【効果】 耐久性に優れた磁気記録媒体が得られるとと
もに生産性も向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体に対して、プラズマCVDにより保護膜を形成
して磁気記録媒体を製造する方法及びその製造装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニルー酢酸ビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥
することにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く
使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
為、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく短波長
での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中に非
磁性材であるそのバインダーを混入する必要が無いため
磁性材料の充填密度を高めることが出来ることなど、数
々の利点を有している。
【0005】更に、この種の磁気記録媒体の電磁変換特
性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るよう
にするために、該磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案さ
れ実用化されている。したがって、前記金属薄膜媒体
は、磁気特性的な優位さ故に今後の高密度磁気記録媒体
の主流になると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体は磁性層が通常0.2μm程度と非常に薄いた
め耐久性に問題があり、苛酷な条件下での使用には向か
ず、業務用等の分野では実用化されるには至っていな
い。
【0007】このような状況のなかで耐久性を向上させ
る目的で磁性層表面に保護膜層を形成する技術の検討が
なされてきた。耐摩耗性のよいカーボンやシリコン酸化
物、各種窒化物、セラミックス等を保護膜として用いる
技術がスパッタリング法により検討されてきたが、この
方法では成膜スピードが遅く生産性が悪いため実用化す
るには至っていない。
【0008】そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案
されたものであり、耐久性に優れ、しかも生産性の高い
磁気記録媒体を製造する方法、及びその製造装置を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意検討を重ねた結果、プラズマC
VDにより保護膜を形成する際、基板の温度調節を行う
ことにより耐久性に優れた磁気記録媒体を製造できるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明は係る知見に基づいて提案されたも
のであって、本発明の製造方法は、非磁性支持体上に少
なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体に対して、加
熱しながらプラズマCVDによる保護膜形成を行うこと
を特徴とするものである。または、前記磁気記録媒体に
おいて、非磁性支持体側は冷却し、且つ、磁性層表面は
加熱しながら、プラズマCVDによる保護膜形成を行う
ことを特徴とするものである。
【0011】なお、保護膜形成時の非磁性支持体の温度
はガラス転移点未満であることが好ましい。
【0012】一方、本発明の製造装置は、非磁性支持体
上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体に対し
てプラズマCVDによる保護膜形成を行う成膜手段と、
前記磁気記録媒体に対する加熱手段を有することを特徴
とするものである。さらに、上記装置において、前記磁
気記録媒体の温度を制御するための温度調整手段を有す
ることを特徴とするものである。
【0013】上記非磁性支持体上には、強磁性金属材料
を直接被着することにより金属磁性薄膜が磁性層として
形成されているが、この金属磁性材料としては、通常の
蒸着テ−プに使用されるものであれば如何なるものであ
ってもよい。例示すれば、Fe,Co,Ni等の強磁性
金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,F
e−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,Mn
−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−Cr,Ni−
Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−C
o−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。
【0014】これらの単層膜であってもよいし多層膜で
あってもよい。さらには、非磁性支持体と金属磁性薄膜
間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上、
並びに抗磁力の制御等のため、下地層または、中間層を
設けてもよい。また、例えば磁性層表面近傍が耐蝕性改
善等のために酸化物となっていてもよい。金属磁性薄膜
形成の手段としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発さ
せ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金
属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、
アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を越こし
生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき
出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術によればよい。
【0015】また、上記非磁性支持体上に形成された強
磁性金属材料上には保護膜層がCVD法により形成され
るが、この材料としては、通常の金属磁性薄膜用保護膜
として一般に使用されるものであればいかなるものであ
っても良い。例示するならば、カーボン(いわゆるダイ
ヤモンドカーボンや、ダイヤモンドライクカーボンも含
む)、Al2 3 ,SiO2 ,Si3 4 ,SiC,T
iC,TiN等が挙げられる。そして、これらの単層膜
であっもよいし多層膜や複合膜であってもよい。
【0016】上記保護膜を形成するための方法としてプ
ラズマCVDの手法を用いるが、例えば、キャン対向プ
ラズマCVD,プラズマ照射CVD,ECRプラズマC
VD,トーチ型プラズマCVD等が適用可能である。本
発明において保護膜形成は、磁性層と保護膜との接着性
を高めるために、磁気記録媒体を加熱、温度調節しなが
ら、上述のようにプラズマCVDによって成膜するもの
である。
【0017】もちろん、本発明に係わる磁気記録媒体の
構成はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を
逸脱しない範囲での変更、例えば必要に応じてバックコ
ート層を形成したり、非磁性支持体上に下塗層を形成し
たり、潤滑剤、防錆剤などの層を形成することは何等差
し支えない。この場合、バックコート層に含まれる非磁
性顔料、樹脂結合剤あるいは潤滑剤、防錆剤層に含まれ
る材料としては従来公知のものがいずれも使用できる。
【0018】
【作用】磁性層上に保護膜を形成する際、磁性層表面を
加熱することにより、保護膜との接着性が高まる。よっ
て、耐久性に優れた磁気記録媒体となる。また、プラズ
マCVDによると、速いテープ送り速度で保護膜が成膜
できるため、生産性が向上する。
【0019】
【実施例】
【0020】以下、本発明の具体的な実施例について説
明するが、本発明がこの実施例に限定されるものではな
い。
【0021】まず、本実施例において磁性薄膜の形成に
使用した蒸着製造装置の構成について説明する。図1に
示す様に、この製造装置においては、頭部と低部にそれ
ぞれ設けられた排気口1から排気されて内部が真空状態
となされた真空室2内に、図中の回り方向に定速回転す
る送りロール3と、同様に図中の時計回り方向に定速回
転する巻取りロール4とが設けられ、これら送りロール
3から巻取りロール4にテープ状の非磁性支持体5が順
次走行するようになされている。
【0022】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非磁性支持体5が走行する中途部には、上記各ロ
ール3、4の径よりも大径となされた冷却キャン6が設
けられている。この冷却キャン6は、上記非磁性支持体
5を図中下方に引き出す様に設けられ、図中の時計回り
方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール
3、巻取りロール4、及び冷却キャン6は、それぞれ非
磁性支持体5の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすも
のであり、また上記冷却キャン6には、内部に図示しな
い冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体5の温度上昇
による変形等を抑制し得るようになされている。
【0023】従って、上記非磁性支持体5は、送りロー
ル3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン6の周
面を通過し、巻取りロール4に巻取られていくようにな
されている。尚、上記送りロール3と上記冷却キャン6
との間及び該冷却キャン6と上記巻取りロール4との間
にはそれぞれガイドロール7、8が配設され、上記送り
ロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン6から巻取
りロール4にわたって走行する非磁性支持体5に所定の
テンションをかけ、該非磁性支持体5が円滑に走行する
ようになされている。また、上記真空室内には、上記冷
却キャン6の下方にルツボ9が設けられ、このルツボ9
内に金属磁性材料10が充填されている。このルツボ9
は、上記冷却キャン6の長さと略同一の幅を有してな
る。
【0024】一方、上記真空室2の側壁部には、上記ル
ツボ9内に充填された金属磁性材料10を加熱蒸発させ
るための電子銃11が取り付けられる。この電子銃11
は、当該電子銃11より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ9内の金属磁性材料10に照射されるような位置に配
設される。そして、この電子銃11によって蒸発した金
属磁性材料10が上記冷却キャン6の周面を定速走行す
る非磁性支持体5上に磁性層として被着形成されるよう
になっている。
【0025】また、上記冷却キャン6と上記ルツボ9と
の間であって該冷却キャン6の近傍には、シャッタ12
が配設されている。このシャッタ12は、上記冷却キャ
ン6の周面を定速走行する非磁性支持体5の所定領域を
覆う形で形成され、このシャッタ12により上記蒸発せ
しめられた金属磁性材料10が上記非磁性支持体5に対
して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになってい
る。更に、このような蒸着に際し、上記真空室2の側壁
部を貫通して設けられる酸素ガス導入口14を介して非
磁性支持体5の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、
耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0026】次に、本実施例において使用したキャン対
向電極型プラズマCVD製造装置の構造について説明す
るが、プラズマCVDの手法を使用した保護膜の成膜方
法はこれに限らない。図2に示す様に、この製造装置に
おいては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口から
排気されて内部が真空状態となされた真空室15内に、
図中の時計回り方向に定速回転する送りロール17と、
図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール18と
が設けられ、これら送りロール17から巻取りロール1
8にテープ状の磁気記録媒体16が順次走行するように
なされている。
【0027】これら送りロール17から巻取りロール1
8側に上記磁気記録媒体16が走行する中途部には、上
記各ロール17、18の径よりも大径となされた円筒キ
ャン19が設けられている。この円筒キャン19は、上
記磁気記録媒体16を図中下方に引き出す様に設けら
れ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。
尚、上記送りロール17、巻取りロール18、及び、円
筒キャン19は、それぞれ磁気記録媒体16の幅と略同
じ長さからなる円筒状をなすものであり、また上記円筒
キャン19には、内部に図示しない冷却装置が設けら
れ、上記非磁性支持体16の温度上昇による変形等を抑
制し得るようになされている。
【0028】従って、上記磁気記録媒体16は、送りロ
ール17から順次送り出され、さらに上記円筒キャン1
9の周面を通過し、巻取りロール18に巻取られていく
ようになされている。尚、上記送りロール17と上記円
筒キャン19との間及び該円筒キャン19と上記巻取り
ロール18との間にはそれぞれガイドロール20、21
が配設され、上記送りロール17から円筒キャン19及
び該円筒キャン19から巻取りロール18にわたって走
行する磁気記録媒体16に所定のテンションをかけ、該
磁気記録媒体16が円滑に走行するようになされてい
る。
【0029】この送りロールには、DC電源25また
は、RF電源26によりバイアス電圧が印加できる構造
となっている。また、上記真空室内には、上記円筒キャ
ン19の左方に円筒キャンと略平行となるように曲面化
された対向電極22が設けられ、この対向電極22には
高周波電源23が接続されている。さらに、この対向電
極22の側近部には保護膜の原料ガスおよびキャリアガ
スを導入する導入口24が設けられている。なお、上記
対向電極22は上記円筒キャン19の長手方向の幅と略
同一の幅を有してなる。
【0030】また、バイアス電圧は円筒キャンに印加さ
れる構造となっていてもよい。
【0031】円筒キャンは一般に10〜25℃程度の冷
却水等を用いて冷却されるが、本実施例においては−2
0℃に冷却されている。そして、本実施例においては、
保護膜と磁性膜の接着強度をあげるため磁気記録媒体1
6を加熱するための加熱手段が上記対向電極22より上
流側に設けられる。
【0032】このときの加熱手段として、円筒キャン1
9に温媒を循環させる方法や、一般に用いられるニクロ
ム線等のヒーター,遠赤外線ヒーター,ハロゲンランプ
等が使用可能であるが、本実施例では、赤外線ヒーター
によって磁気記録媒体の磁性層表面を加熱した。
【0033】本実施例において、上記ヒーターは図3に
示すように、外部からパワーコントロールされて磁気記
録媒体16の温度調節をするようになされている。即
ち、AC200Vの赤外線ヒーター30と熱反射板29
よりなる上記ヒーターは、上記熱反射板29の開口部が
円筒キャン19の近傍に配置されることにより磁性層表
面を加熱するようになされており、同じくキャン19の
近傍に設置された熱電対温度計28が感知する温度によ
って赤外線ヒーターのパワーをコントロールする加熱コ
ントローラ27に接続されている。
【0034】また、図4に示される上記ヒーターは上記
円筒キャン19の長手方向の幅と略同一の幅を有してな
り、図中、片矢印は磁気記録媒体の走行方向を示し、両
矢印は円筒キャン19の幅方向を示している。
【0035】ここで、磁気記録媒体16の加熱温度を測
定する方法としては、本実施例のように円筒キャン19
近傍に熱電対温度計を設置する以外にも、赤外線放射温
度計等を使用して予めヒーターのパワーと円筒キャン1
9近傍の温度との関係を調べておく等の手法も用いるこ
とができる。また、温媒を循環させて磁気記録媒体を加
熱する場合は、円筒キャン19の出入口付近で温媒の温
度を熱電対温度計等で測定すれば良い。キャン19の熱
容量が大きいため温媒循環を長時間連続的に行うことに
より安定した加熱が可能となる。
【0036】ここで、このような構成を有する製造装置
を用いて保護膜が形成された磁気記録媒体を作成する。
種々の材質よりなる下塗が施された非磁性支持体上に、
図1に示す装置を用いて酸素雰囲気中でCo−Ni合金
を斜め蒸着し、例えば膜厚約0.2μmの金属磁性薄膜
を磁性層として被着形成した後、バックコート、トップ
コートを施し所定のテープ幅に裁断してサンプルテープ
を作成した。
【0037】なお、作成条件は以下のとおりである。 ベースフィルム:ポリエチレンテレフタレート(PE
T),ポリアミド,ポリイミドから選ばれる一種 10μm,150mm幅 下塗り :アクリルエステルを主成分とする水溶
性ラテックスを塗布密度 約1000万個/mm2 バックコート :カーボン及びウレタンバインダーを混
合したものを0.6μm厚塗布 トップコート :パーフルオロポリエーテルを塗布 スリット幅 :8mm幅
【0038】蒸着は以下の条件で行った。 インゴット :Co95─Ni5 入射角 :45−90° テープ速度 :0.17m/sec 磁性層厚み :0.2μm 酸素導入量 :3.3×10-63/sec 蒸着時真空度 :7×10-2Pa
【0039】そして、プラズマCVDによる保護膜形成
は蒸着終了直後に図2の装置を用いて行った。以上のよ
うにして、非磁性支持体の材料や加熱温度の異なる実施
例1〜実施例4、比較例3,4のサンプルテープを作成
した。また、保護膜を形成しないサンプルテープ(比較
例1)や、保護膜をスパッタリング法によって成膜した
サンプルテープ(比較例2)も作成した。
【0040】表1に上記サンプルテープの条件の違いを
まとめた。
【0041】
【表1】
【0042】以下に、プラズマCVDによる成膜の条件
を示す。 方式 :キャン対向電極型プラズマCVD 使用ガス :アルゴン+エチレン 真空度 :7〜9Pa 保護膜膜厚 :0.015μm
【0043】同じく、スパッタリングによる成膜の条件
を示す。 方式 :DCマグネトロンスパッタ ターゲット材 :カーボン 投入電力 :5w/cm 使用ガス :アルゴン
【0044】本実施例では、保護膜を形成したために劣
化する電磁変換特性の補填のために、即ちスペーシング
ロスを小さくするために、下塗時の製造条件を適宜調整
し、下塗が施された非磁性支持体の表面性(主に突起高
さ)を制御した。なお、保護膜形成時の膜厚は15nm
一定とし、その送り速度を変えることで生産性の比較を
行った。
【0045】上述のサンプルテープに対してスチル耐久
性の測定を行った。スチル耐久性は、ソニー社製,8m
mVTR,商品名 EVS−900改造機を用い、初期
の出力レベルから3dB出力が減衰するまでの時間を測
定して評価した。
【0046】また、防錆特性は、ガス腐食試験機を用い
SO2 ガス0.3ppmを含む30℃90%RH雰囲気
中で24時間保存後、放置による残留磁束密度の劣化率
を式1に基づいて求めることによって調べた。 残留磁束密度の劣化率(%)=(φs1−φs0)/φs0 ×100 ・・・1 φs0 : 初期残留磁束密度 φs1 : 放置後残留磁束密度
【0047】次に、上述のサンプルテープに対してエラ
ーレートの測定を行った。このシステムについては後述
する。ここでは、40℃80%環境下における100回
走行後のエラーレートの測定を行った。
【0048】以上のように、各サンプルテープについて
スチル耐久時間、防錆効果、エラーレートの測定を行っ
た結果を表1に併せて示す。
【0049】表1からも明らかなように、実施例1〜実
施例4はスパッタリング法が用いられた比較例2のサン
プルテープに比べてテープの送り速度が早いが、耐久性
の高さは維持している。これより、本発明の製造方法に
よると生産性に優れた磁気記録媒体が得られることが判
る。また、実施例1〜4のように、磁気記録媒体を加熱
した状態で保護膜を形成したものは、磁性層との接着性
に優れ、耐候性に優れた磁気記録媒体となることが判
る。
【0050】エラーレートの測定結果からも、実施例1
〜4のサンプルテープが優れていることが判る。比較例
2のサンプルテープは、測定を始めてしばらくは低いエ
ラーレートを保っていたが、多数回の走行を重ねるとエ
ラーレートが増加し始めた。これは接着性の弱さが起因
して保護膜の粉落ちが発生したためと思われる。
【0051】なお、比較例3,4のサンプルテープは、
非磁性支持体のTg(ガラス転移点)以上で加熱された
状態で保護膜形成を行ったため、非磁性支持体が熱負け
を起こし、形状劣化(長手方向のシワ)のためテープ化
することができなかった。各非磁性支持体のTgを以下
に示す。 ポリエチレンテレフタレート:約69℃ ポリアミド :約250℃ ポリイミド :約350℃
【0052】このように、磁性層側でTg未満の温度で
加熱を行い、且つ、非磁性支持体側では冷却することに
よって、より安定した製造を行うことが可能である。
【0053】ここで、上述のエラーレートの測定を行っ
たシステムについて説明しておく。この説明は、下記の
順序で行う。 a.信号処理部 b.ブロック符号化 c.チャンネルエンコーダ及びチャンネルデコーダ d.ヘッド・テープ系
【0054】a.信号処理部 先ず、本実施例において用いたディジタルVTRの信号
処理部について説明する。図5は記録側の構成全体を示
すものであり、31Y、31U、31Vでそれぞれ示す
入力端子に、例えばカラービデオカメラからの三原色信
号R,G,Bから形成されたディジタル輝度信号Y、デ
ィジタル色差信号U、Vが供給される。この場合、各信
号のクロックレートはD1フォーマットの各コンポーネ
ント信号の周波数と同一とされる。すなわち、それぞれ
のサンプリング周波数が13.5MHz、6.75MH
zとされ、且つこれらの1サンプル当たりのビット数が
8ビットとされている。したがって、入力端子31Y、
31U、31Vに供給される信号のデータ量としては、
約216Mbpsとなる。この信号のうちブランキング
時間のデータを除去し、有効領域の情報のみを取り出す
有効情報抽出回路32によってデータ量が約167Mb
psに圧縮される。
【0055】そして、上記有効情報抽出回路32の出力
のうちの輝度信号Yが周波数変換回路33に供給され、
サンプリング周波数が13.5MHzからその3/4に
変換される。周波数変換回路33としては、例えば間引
きフィルタが使用され、折り返し歪みが生じないように
なされている。この周波数変換回路33の出力信号は、
ブロック化回路35に供給され、輝度データの順序がブ
ロックの順序に変換される。ブロック化回路35は、後
段に設けられたブロック符号化回路38のために設けら
れている。
【0056】図7は、符号化の単位のブロックの構造を
示す。この例は、3次元ブロックであって、例えば2フ
レームに跨がる画面を分割することにより、同図に示す
ように(4ライン×4画素×2フレーム)の単位ブロッ
クが多数形成される。なお、図7において実線は奇数フ
ィールドのラインを示し、破線は偶数フィールドのライ
ンを示す。
【0057】また、有効情報抽出回路32の出力のう
ち、2つの色差信号U、Vがサブサンプリング及びサブ
ライン回路34に供給され、サンプリング周波数がそれ
ぞれ6.75MHzからその半分に変換された後、2つ
のディジタル色差信号が互いにライン毎に選択され、1
チャンネルのデータに合成される。したがって、このサ
ブサンプリング及びサブライン回路34からは線順次化
されたディジタル色差信号が得られる。このサブサンプ
リング及びサブライン回路34によってサブサンプル及
びサブライン化された信号の画素構成を図8に示す。図
8中、○は第1の色差信号Uのサブサンプリング画素を
示し、△は第2の色素信号Vのサンプリング画素を示
し、×はサブサンプルによって間引かれた画素の位置を
示す。
【0058】上記サブサンプリング及びサブライン回路
34からの線順次化出力信号は、ブロック化回路36に
供給される。ブロック化回路36では一方のブロック化
回路35と同様に、テレビジョン信号の走査の順序の色
差データがブロックの順序のデータに変換される。この
ブロック化回路36は、一方のブロック化回路35と同
様に、色差データを(4ライン×4画素×2フレーム)
のブロック構造に変換する。そしてこれらブロック化回
路35及びブロック化回路36の出力信号が合成回路3
7に供給される。
【0059】合成回路37では、ブロックの順序に変換
された輝度信号及び色差信号が1チャンネルのデータに
変換され、この合成回路37の出力信号がブロック符号
化回路38に供給される。ブロック符号化回路38とし
ては、後述するようにブロック毎のダイナミックレンジ
に適応した符号化回路(ADRCと称する。)、DCT
(Discrete Cosine Transfor
m)回路等が適用できる。前記ブロック符号化回路38
からの出力信号は、さらにフレーム化回路39に供給さ
れ、フレーム構造のデータに変換される。このフレーム
化回路39では、画素系のクロックと記録系のクロック
との乗り換えが行われる。
【0060】次いで、フレーム化回路39の出力信号が
エラー訂正符号のパリティ発生回路40に供給され、エ
ラー訂正符号のパリティが生成される。パリティ発生回
路40の出力信号はチャンネルエンコーダ41に供給さ
れ、記録データの低域部分を減少させるようなチャンネ
ルコーディングがなされる。チャンネルエンコーダ41
の出力信号が記録アンプ42A,42Bと回転トランス
(図示は省略する。)を介して一対の磁気ヘッド43
A,43Bに供給され、磁気テープに記録される。な
お、オーディオ信号と、ビデオ信号とは別に圧縮符号化
され、チャンネルエンコーダ41に供給される。
【0061】上述の信号処理によって、入力のデータ量
216Mbpsが有効走査期間のみを抽出するによって
約167Mbpsに低減され、さらに周波数変換とサブ
サンプル、サブラインとによってこれが84Mbpsに
減少される。このデータは、ブロック符号化回路38で
圧縮符号化することにより、約25Mbpsに圧縮さ
れ、その後のパリティ、オーディオ信号等の付加的な情
報を加えて、記録データ量としては31.56Mbps
となる。
【0062】次に、再生側の構成について図6を参照し
ながら説明する。再生の際には、図6に示すように、先
ず磁気ヘッド43A,43Bからの再生データが回転ト
ランス及び再生アンプ44A,44Bを介してチャンネ
ルデコーダ45に供給される。チャンネルデコーダ45
において、チャンネルコーディングの復調がされ、チャ
ンネルデコーダ45の出力信号がTBC回路(時間軸補
正回路)46に供給される。このTBC回路46におい
て、再生信号の時間軸変動成分が除去される。TBC回
路46からの再生データがECC回路47に供給され、
エラー訂正符号を用いたエラー訂正とエラー修整とが行
われる。ECC回路47の出力信号がフレーム分解回路
48に供給される。
【0063】フレーム分解回路48によって、ブロック
符号化データの各成分がそれぞれ分離されるとともに、
記録系のクロックから画素系のクロックへの乗り換えが
なされる。フレーム分解回路48で分離された各データ
がブロック複号回路49に供給され、各ブロック単位に
原データと対応する復元データが複号され、複号データ
が分配回路50に供給される。この分配回路50で複号
データが輝度信号と色差信号に分離される。輝度信号及
び色差信号がブロック分解回路51,52にそれぞれ供
給される。ブロック分解回路51,52は、送信側のブ
ロック化回路35,36とは逆に、ブロックの順序の複
号データをラスター走査の順に変換する。
【0064】ブロック分解回路51からの複号輝度信号
が補間フィルタ53に供給される。補間フィルタ53で
は、輝度信号のサンプリングレートが3fsから4fs
(4fs=13.5MHz)に変換される。補間フィル
タ53からのディジタル輝度信号Yは出力端子56Yに
取り出される。
【0065】一方、ブロック分解回路52からのディジ
タル色差信号が分配回路54に供給され、線順次化され
たディジタル色差信号U,Vがディジタル色差信号U及
びVにそれぞれ分離される。分配回路54からのディジ
タル色差信号U,Vが補間回路55に供給され、それぞ
れ補間される。補間回路55は、復元された画素データ
を用いて間引かれたライン及び画素のデータを補間する
もので、補間回路55からはサンプリングレートが2f
sのディジタル色差信号U及びVが得られ、出力端子5
6U,56Vにそれぞれ取り出される。
【0066】b.ブロック符号化 図5におけるブロック符号化回路38としては、ADR
C(AdaptiveDynamic Range C
oding)エンコーダが用いられる。このADRCエ
ンコーダは、各ブロックに含まれる複数の画素データの
最大値MAXと最小値MINを検出し、これら最大値M
AX及び最小値MINからブロックのダイナミックレン
ジDRを検出し、このダイナミックレンジDRに適応し
た符号化を行い、原画素データのビット数よりも少ない
ビット数により、再量子化を行うものである。ブロック
符号化回路38の他の例としては、各ブロックの画素デ
ータをDCT(Discrete Cosine Tr
ansform)した後、このDCTで得られた係数デ
ータを量子化し、量子化データをランレングス・ハフマ
ン符号化して圧縮符号化する構成を用いてもよい。
【0067】ここでは、ADRCエンコーダを用い、さ
らにマルチダビングした時にも画質劣化が生じないエン
コーダの例を図8を参照しながら説明する。図8におい
て、入力端子57に例えば1サンプルが8ビットに量子
化されたディジタルビデオ信号(或いはディジタル色差
信号)が図5の合成回路37より入力される。入力端子
57からのブロック化データが最大値,最小値検出回路
59及び遅延回路60に供給される。最大値,最小値検
出回路59は、ブロック毎に最小値MIN、最大値MA
Xを検出する。遅延回路60からは、最大値及び最小値
が検出されるのに要する時間、入力データを遅延させ
る。遅延回路60からの画素データが比較回路61及び
比較回路62に供給される。
【0068】最大値,最小値検出回路59からの最大値
MAXが減算回路63に供給され、最小値MINが加算
回路64に供給される。これらの減算回路63及び加算
回路64には、ビットシフト回路65から4ビット固定
長でノンエッジマッチング量子化した場合の1量子化ス
テップ幅の値(△=1/16DR)が供給される。ビッ
トシフト回路65は、(1/16)の割算を行うよう
に、ダイナミックレンジDRを4ビットシフトする構成
とされている。減算回路63からは(MAX−△)のし
きい値が得られ、加算回路64からは(MIN+△)の
しきい値が得られる。これらの減算回路63及び加算回
路64からのしきい値が比較回路61,62にそれぞれ
供給される。なお、このしきい値を規定する値△は、量
子化ステップ幅に限らず、ノイズレベルに相当する固定
値としてもよい。
【0069】比較回路61の出力信号がANDゲート6
6に供給され、比較回路62の出力信号がANDゲート
67に供給される。ANDゲート66及びANDゲート
67には、遅延回路60からの入力データが供給され
る。比較回路61の出力信号は、入力データがしきい値
より大きい時にハイレベルとなり、したがってANDゲ
ート66の出力端子には、(MAX〜MAX−△)の最
大レベル範囲に含まれる入力データの画素データが抽出
される。一方、比較回路62の出力信号は、入力データ
がしきい値より小さい時にハイレベルとなり、したがっ
てANDゲート67の出力端子には、(MIN〜MIN
+△)の最小レベル範囲に含まれる入力データの画素デ
ータが抽出される。
【0070】ANDゲート66の出力信号が平均化回路
68に供給され、ANDゲート67の出力信号が平均化
回路69に供給される。これらの平均化回路68,69
は、ブロック毎に平均値を算出するもので、端子70か
らブロック周期のリセット信号が平均化回路68,69
に供給されている。平均化回路68からは、(MAX〜
MAX−△)の最大レベル範囲に属する画素データの平
均値MAX´が得られ、平均化回路69からは(MIN
〜MIN+△)の最小レベル範囲に属する画素データの
平均値MIN´が得られる。平均値MAX´から平均値
MIN´が減算回路71で減算され、この減算回路71
からダイナミックレンジDR´が得られる。
【0071】また、平均値MIN´が減算回路72に供
給され、遅延回路73を介された入力データから平均値
MIN´が減算回路72において減算され、最小値除去
後のデータPDIが形成される。このデータPDI及び
修整されたダイナミックレンジDR´が量子化回路74
に供給される。この実施例では、量子化に割り当てられ
るビット数nが0ビット(コード信号を転送しない)、
1ビット、2ビット、3ビット、4ビットの何れかとさ
れる可変長のADRCであって、エッジマッチング量子
化がなされる。割り当てビット数nは、ブロック毎にビ
ット数決定回路75において決定され、ビット数nのデ
ータが量子化回路74に供給される。
【0072】可変長ADRCは、ダイナミックレンジD
R´が小さいブロックでは、割り当てビット数nを少な
くし、ダイナミックレンジDR´が大きいブロックで
は、割り当てビット数nを多くすることで、効率の良い
符号化を行うことができる。すなわち、ビット数nを決
定する際のしきい値をT1〜T4(T1<T2<T3<
T4)とすると、(DR´<T1)のブロックは、コー
ド信号が転送されず、ダイナミックレンジDR´の情報
のみが転送され、(T1≦DR´<T2)のブロック
は、(n=1)とされ、(T2≦DR´<T3)のブロ
ックは、(n=2)とされ、(T3≦DR´<T4)の
ブロックは、(n=3)とされ、(DR´≧T4)のブ
ロックは、(n=4)とされる。
【0073】かかる可変長ADRCではしきい値T1〜
T4を変えることで、発生情報量を制御すること(いわ
ゆるバッファリング)ができる。したがって、1フィー
ルド或いは、1フレーム当たりの発生情報量を所定値に
することが要求されるこの発明のディジタルビデオテー
プレコーダのような伝送路に対しても可変長ADRCを
適用できる。
【0074】発生情報量を所定値にするためのしきい値
T1〜T4を決定するバッファリング回路76では、し
きい値の組(T1、T2、T3、T4)が複数例えば3
2組用意されており、これらのしきい値の組がパラメー
タコードPi(i=0、1、2・・・・31)により区
別される。パラメータコードPiの番号iが大きくなる
に従って、発生情報量が単調に減少するように設定され
ている。ただし、発生情報量が減少するに従って、復元
画像の画質が劣化する。
【0075】バッファリング回路76からのしきい値T
1〜T4が比較回路77に供給され、遅延回路78を介
されたダイナミックレンジDR´が比較回路77に供給
される。遅延回路78は、バッファリング回路76でし
きい値の組が決定されるのに要する時間、DR´を遅延
させる。比較回路77では、ブロックのダイナミックレ
ンジDR´と各しきい値とがそれぞれ比較され、比較出
力がビット数決定回路75に供給され、そのブロックの
割り当てビット数nが決定される。量子化回路74で
は、ダイナミックレンジDR´と割り当てビット数nと
を用いて遅延回路79を介された最小値除去後のデータ
PDIがエッジマッチングの量子化により、コード信号
DTに変換される。量子化回路74は、例えばROMで
構成されている。
【0076】遅延回路78、80をそれぞれ介して修整
されたダイナミックレンジDR´、平均値MIN´が出
力され、さらにコード信号DTとしきい値の組を示すパ
ラメータコードPiが出力される。この例では、一旦ノ
ンエッジマッチ量子化された信号が新たにダイナミック
レンジ情報に基づいて、エッジマッチ量子化されている
ためにダビングした時の画像劣化は少ないものとされ
る。
【0077】c.チャンネルエンコーダ及びチャンネル
デコーダ 次に、図5のチャンネルエンコーダ41及びチャンネル
デコーダ45について説明する。チャンネルエンコーダ
41においては、図10に示すように、パリティ発生回
路40の出力が供給される適応型スクランブル回路で、
複数のM系列のスクランブル回路81が用意され、その
中で入力信号に対し最も高周波成分及び直流成分の少な
い出力が得られるようなM系列が選択されるように構成
されている。パーシャルレスポンス・クラス4検出方式
のためのプリコーダ82で、1/1−D2(Dは単位遅
延用回路)の演算処理がなされる。このプリコーダ82
の出力を記録アンプ42A,42Bを介して磁気ヘッド
43A,43Bにより、記録再生し、再生出力を再生ア
ンプ44A,44Bによって増幅するようになされてい
る。
【0078】一方、チャンネルデコーダ45において
は、図11に示すように、パーシャルレスポンス・クラ
ス4の再生側の演算処理回路83は、1+Dの演算が再
生アンプ44A,44Bの出力に対して行われる。ま
た、いわゆるビタビ複号回路84においては、演算処理
回路83の出力に対してデータの相関性や確からしさ等
を用いた演算により、ノイズに強いデータの複号が行わ
れる。このビタビ複号回路84の出力がディスクランブ
ル回路85に供給され、記録側のスクランブル処理によ
って並び変えられたデータが元の系列に戻されて原デー
タが復元される。この実施例において用いられるビタビ
複号回路84によって、ビット毎の複号を行う場合より
も、再生C/N換算が3dBで改良が得られる。
【0079】d.テープ・ヘッド系 磁気ヘッド43A及び磁気ヘッド43Bは、図12に示
すように、一体構造とされた形でドラム86に取付けら
れる。ドラム86の周面には、180°よりやや大きい
か、あるいはやや小さい巻き付け角で磁気テープ(図示
せず。)が斜めに巻き付けられており、磁気ヘッド43
A及び磁気ヘッド43Bが同時に磁気テープを走査する
ように構成される。
【0080】また、前記磁気ヘッド43A及び磁気ヘッ
ド43Bのギャップの向きは、互いに反対側に傾くよう
に(例えば磁気ヘッド43Aはトラック幅方向に対して
+20°、磁気ヘッド43Bは−20°傾斜するよう
に)設定されており、再生時にいわゆるアジマス損失に
よって隣接トラック間のクロストーク量を低減するよう
になされている。
【0081】図13及び図14は、磁気ヘッド43A,
43Bを一体構造(いわゆるダブルアジマスヘッド)と
した場合のより具体的な構成を示すもので、例えば高速
で回転される上ドラム86に一体構造の磁気ヘッド43
A,43Bが取り付けられ、下ドラム87が固定とされ
ている。ここで、磁気テープ88の巻き付け角θは16
6°、ドラム径φは16.5mmである。
【0082】したがって、磁気テープ88には、1フィ
ールドのデータが5本のトラックに分割して記録され
る。このセグメント方式により、トラックの長さを短く
することができ、トラックの直線性に起因するエラーを
小さくすることができる。
【0083】上述のように、ダブルアジマスヘッドで同
時記録を行うようにすることで、180°の対向角度で
一対の磁気ヘッドが配置されたものと比較して直線性に
起因するエラー量を小さくすることができ、またヘッド
間距離が小さいのでペアリング調整をより正確に行うこ
とができる。したがって、このような走行系により、幅
狭のトラックで記録・再生を行うことができる。
【0084】ここで、本実施例に用いた磁気ヘッドにつ
いて説明する。図15に示すように、この磁気ヘッドは
単結晶Mn−Znフェライトコア101A,101B上
にスパッタリング法によって形成されたFe−Ga−S
i−Ru系軟磁性層102,103の間にギャップ10
4を有している。このギャップ104のトラック幅方向
の両側にはガラス105,106が充填され、これによ
ってトラック幅が例えば約4μm幅に規制されている。
107は巻線孔であり、この巻線孔107に記録用コイ
ル(図示せず)が巻回される。この磁気ヘッドの実効ギ
ャップ長は0.20μmである。
【0085】この磁気ヘッドは、ギャップ104の近傍
に飽和磁束密度Bsが14.5kGのFe−Ga−Si
−Ru系軟磁性層102,103を用いているため、高
抗磁力の磁気テープに対してもヘッドの磁気飽和を生じ
ることなく記録を行うことができる。
【0086】以上のような金属磁性薄膜型テープと磁気
ヘッドとを用いることにより、1.25μm2/bit 以下
の記録密度が実現される。即ち、上述のように、5μm
のトラック幅に対して最短波長0.5μmの信号を記録
することによって、1.25μm2/bit が実現される。
ところが、再生出力のC/Nは記録波長及びトラック幅
が減少するに従って劣化することがしられており、この
劣化を抑えるために、上述した構成のテープ及びヘッド
が使用されている。
【0087】本出願人は、1988年に8mm幅の金属
磁性薄膜型テープを使用してトラック幅15μmで最短
波長0.5μmのディジタルVTRを試作したが、この
時は40mm径の回転ドラムを使用して60rpmでこ
のドラムを回転させ、記録・再生を行った。このシステ
ムでは、記録波長1μmに対して、51dBのC/Nが
得られた。そして、そのシステムのビット・エラーレー
トは4×10-5であった。
【0088】本発明の実施例のように、5μm幅のトラ
ックを使用すると、同一の仕様で約44dBのC/Nし
か得られず画質が劣化することになる。この7dBのC
/N劣化分を補うために、上述した本発明の実施例の構
造が用いられることになる。
【0089】即ち、一般に記録及び再生中のテープと磁
気ヘッド間のスペーシングが大きくなれば信号出力レベ
ルが低下することが知られており、このスペーシングの
量はテープの平坦度に依存することも知られている。ま
た、塗布型テープの場合、テープの平坦度は塗布剤に依
存するが、金属磁性薄膜型テープ(いわゆる蒸着テー
プ)の場合はベースそのものの表面平坦度に依存するこ
とが知られている。
【0090】上述の実施例では、ベースフィルムの表面
粗さを極力小に選定することによりC/Nが向上すると
いう実験結果が得られた。また、上述した実施例の蒸着
材料、蒸着方法を用いることにより、1988年の試作
で用いられた磁気テープに対して大きな電磁変換特性の
向上が実験結果として得られた。実際には、4dB程度
の向上が確認された。
【0091】また、本発明では、チャンネル複号にビタ
ビ複号が用いられているため、以前の試作機で使用され
ていたビット毎の複号に対して3dBの上昇が得られる
ことが確認された。以上により、全体として7dBのC
/N劣化分を補うことができ、1.25μm2/bit の記
録密度で1988年の試作機と同等のビットエラーレー
トが得られることになる。再生出力に関して、エラー訂
正符号の訂正処理の前の段階でビットエラーレートが1
-4以下であることが必要なのは、20%程度の冗等長
度のエラー訂正符号を使用したときに、訂正可能な程度
の量にエラーを抑えるためである。
【0092】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、金属
磁性薄膜型の磁気記録媒体に保護膜を形成する際、キャ
ン対向電極型プラズマCVD、プラズマ照射CVD、E
CRプラズマCVD、トーチ型DCプラズマCVD等か
ら選ばれた手法を用い、且つ、保護膜を形成する磁気記
録媒体を加熱、温度調節することにより、生産性に優
れ、耐久性の高い磁気記録媒体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空蒸着装置の一例を示す模式図である。
【図2】キャン対向電極型プラズマCVD装置の一例を
示す模式図である。
【図3】本発明の加熱手段と温度調整手段の構成を示す
模式図である。
【図4】ヒーターの構造の概略を示す斜視図である。
【図5】ディジタル画像信号を再生歪みが少ないような
形で圧縮して記録するディジタルVTRの信号処理部の
記録側の構成を示すブロック図である。
【図6】信号処理部の再生側の構成を示すブロック図で
ある。
【図7】ブロック符号化のためのブロックの一例を示す
略線図である。
【図8】サブサンプリング及びサブラインの説明のため
の略線図である。
【図9】ブロック符号化回路の一例を示すブロック図で
ある。
【図10】チャンネルエンコーダの一例の概略を示すブ
ロック図である。
【図11】チャンネルデコーダの一例の概略を示すブロ
ック図である。
【図12】磁気ヘッドの配置の一例を模式的に示す平面
図である。
【図13】回転ドラムの構成例及び磁気テープの巻き付
け状態を示す平面図である。
【図14】回転ドラムの構成例及び磁気テープの巻き付
け状態を示す正面図である。
【図15】磁気ヘッドの構造の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
15・・・真空室 16・・・磁気記録媒体 17・・・送りロール 18・・・巻き取りロール 19・・・円筒キャン 20,21・・・ガイドロール 22・・・対向電極 23・・・高周波電源 24・・・導入口 25・・・DC電源 26・・・RF電源 27・・・コントローラ 28・・・熱電対温度計 29・・・熱反射板 30・・・赤外線ヒーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 研一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 千葉 一信 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形
    成されてなる磁気記録媒体に対して、加熱しながらプラ
    ズマCVDによる保護膜形成を行うことを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を形
    成した後、前記非磁性支持体側を冷却し、且つ、前記磁
    性層表面を加熱しながら、プラズマCVDによる保護膜
    形成を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 保護膜形成時の非磁性支持体の温度がガ
    ラス転移点未満であることを特徴とする請求項1又は請
    求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形成
    されてなる磁気記録媒体に対してプラズマCVDにより
    保護膜形成を行う成膜手段と、前記磁気記録媒体に対す
    る加熱手段を有することを特徴とする磁気記録媒体の製
    造装置。
  5. 【請求項5】 磁気記録媒体の温度を制御するための温
    度調整手段を有することを特徴とする請求項4記載の磁
    気記録媒体の製造装置。
JP24234992A 1992-09-10 1992-09-10 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置 Withdrawn JPH0689428A (ja)

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