JP6260204B2 - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を吐出し、記録部材上に付着させて文字や画像を形成する方式であり、他の記録方式に比べてフルカラー化が容易で、簡易な構成の装置で高解像度の画像が得られるため、近年広く用いられている。
このインクジェット記録方式に用いられるインクには様々な特性が要求される。特に、インクをヘッドから吐出する際の吐出安定性は画像品質を左右するため重要である。
インクの特性は、粘度や表面張力などの物性値によって示される。これらの物性値を規定することにより、インクの画質や濡れ性を制御できる。
インク液滴を吐出する際、吐出口ではインク滴が吐出されると同時にインクの新たなメニスカスが形成される。この時のインクの表面張力は、吐出口にメニスカスが形成され始める時、吐出される直前、吐出される瞬間、飛翔時、記録部材上に着弾する瞬間、記録部材に浸透していく時などでそれぞれ異なっている。特に動きの遅い静的とみなすことのできる状態(吐出口に新しいメニスカス面が形成され始める時や紙などの記録部材に浸透していくときなど)における表面張力と、動きの速い動的な状態(吐出される瞬間など)における表面張力とでは値が大きく異なってくる。このため、インクジェット記録用インクの特性を評価する際には、静的表面張力だけでなく動的表面張力を考慮する必要がある。
一般に、静的表面張力は記録部材へのインクの浸透性に関わってくるため、ある程度低い方がよく、逆に動的表面張力は吐出安定性に関わってくるため、ある程度の大きさが必要である。これらの表面張力は、インクに添加した界面活性剤や湿潤剤などの比率によって制御できることが、既に知られている。
特許文献1には、複数のサイズの液滴を1つの波形構成から生成する液滴吐出装置において、ノズルが劣化した状態でも液滴曲がり発生しにくく、かつ従来よりも波形長を短くする目的で、1つの駆動波形から異なるサイズの液滴を形成する波形の生成方法が開示されている。そして、液滴サイズに応じて重複使用する駆動パルスから生成する吐出パルスの形状を異ならせる波形構成が開示されている。この発明は、少なくとも2段階で加圧液室を膨張させてメニスカスを引き込む波形要素を有している点で本発明と類似するが、インクの物性に関しては検討されておらず、インクの物性値によっては吐出安定性が確保できないという問題がある。
また特許文献2には、浸透性の異なるブラックインクとカラーインクを用いた場合の色境界での白モヤやブリードを抑えるため、ブラックインクとその他の色のインクの表面張力の関係を規定したインクジェット記録用インクセット及び記録方法が開示されている。
しかし、動的表面張力と静的表面張力の両方の影響について検討した形跡はなく、また吐出安定性についての言及もない。したがって、吐出安定性の確保に関する問題点は解消されていない。
静的表面張力を低くし、動的表面張力を高くしたインクジェット記録用インク(以下、インクということもある)をヘッドから吐出させた場合、印刷物にノズル曲がりやスジが発生し、画像品質が低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、水性インクの動的表面張力と静的表面張力の差が大きくても安定して吐出させることができ、かつ、良好な画像を得ることができるインクジェット記録方法の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 水性インクの液滴を吐出するノズル、前記ノズルが連通する圧力室、及び該圧力室内に圧力を生じさせる圧力発生手段を有する記録ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する信号を発生させる駆動信号発生手段とを有するインクジェット記録装置によって行われ、前記信号にしたがって前記圧力発生手段により発生した前記圧力により前記水性インクの液滴を吐出するインクジェット記録方法であって、次の(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
(1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、同じく表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い水性インクを用いる。
(2)前記信号が、1印字周期内に引き込みパルスを有し、該引き込みパルスにより、前記ノズルにおける前記水性インクのメニスカスが、2段階で前記ノズル内に引き込まれる。
本発明によれば、水性インクの動的表面張力と静的表面張力の差が大きくても安定して吐出させることができ、かつ、良好な画像を得ることができるインクジェット記録方法を提供できる。
ノズル撥水膜が劣化した状態のノズルのSEM画像を示す図。 通常(静止状態)の場合のメニスカスの状態を示す模式図。 液滴を吐出した後のメニスカス溢れや高周波駆動直後のメニスカス溢れの状態を示す模式図。 液滴を吐出した後のメニスカス溢れや高周波駆動直後のメニスカス溢れの状態を示す模式図。(液滴吐出の瞬間) 従来のメニスカス溢れが発生した状態からの吐出により液滴曲がりが発生した状態を示す模式図。 吐出パルス直前にメニスカス引き込みパルスを追加することにより液滴曲がりを回避した状態を示す模式図。 動的表面張力の表面寿命時間に対するプロファイルを示す図。 インクの評価に用いた「波形1」を示す図。 インクの評価に用いた「波形2」を示す図。 1印字周期の説明図。 インクカートリッジの一例を示す図。 図11のインクカートリッジのケース(外装)を含めた図。 本発明のインクジェット記録装置の一例の全体構成を説明するための側面図。 本発明のインクジェット記録装置の一例の全体構成を説明するための要部平面図。 本発明のインクジェット記録装置の記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向の断面図。 本発明のインクジェット記録装置の記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室短手方向の断面図。 本発明のインクジェット記録装置の制御部の一例の概要を示すブロック説明図。 本発明のインクジェット記録装置の印刷制御部及びヘッドドライバの一例を示すブロック説明図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明の実施の形態には次の2)〜10)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
なお、複数の色のインクからなるインクセットを用いてカラー画像を形成した場合に、他の色のインクと接する部分が滲んでしまうことがあるが、次の2)、3)及び7)は、更にこの問題も解決したものである。
2) 前記1印字周期内の信号において、引き込みパルスが、水性インクを吐出する吐出パルスよりも前に存在することを特徴とする1)に記載のインクジェット記録方法。
3) 更に、次の(3)及び(4)の要件を満たすことを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録方法。
(3)ブラックを含む2色以上の水性インクからなるインクセットを用いる。
(4)25℃におけるブラックインクの静的表面張力が他の全ての色のインクの静的表面張力よりも0〜4mN/m高い。
4) 前記インクセットの各インクの25℃における粘度が3〜20mPa・sであることを特徴とする3)に記載のインクジェット記録方法。
5) 前記ノズルの表面が撥水処理されていることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
6) 前記インクが、水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有することを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
7) 水性インクの液滴を吐出するノズル、前記ノズルが連通する圧力室、及び該圧力室内に圧力を生じさせる圧力発生手段を有する記録ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する信号を発生させる駆動信号発生手段とを有し、前記信号にしたがって前記圧力発生手段により発生した圧力により前記水性インクの液滴を吐出するインクジェット記録装置であって、次の(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴とするインクジェット記録装置。
(1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、同じく表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い水性インクを収容した容器を有する。
(2)前記信号が、前記ノズルにおける前記水性インクのメニスカスを2段階で前記ノズル内に引き込む引き込みパルスを1印字周期内に有する。
8) 前記1印字周期内の信号において、引き込みパルスが水性インクを吐出する吐出パルスよりも前に存在することを特徴とする7)に記載のインクジェット記録装置。
9) 更に、次の(3)及び(4)の要件を満たすことを特徴とする7)又は8)に記載のインクジェット記録装置。
(3)ブラックを含む2色以上の水性インクからなるインクセットを用いる。
(4)25℃におけるブラックインクの静的表面張力が他の全ての色のインクの静的表面張力よりも0〜4mN/m高い。
10) 水性インクの液滴を吐出するノズル、前記ノズルが連通する圧力室、及び該圧力室内に圧力を生じさせる圧力発生手段を有する記録ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する信号を発生させる駆動信号発生手段とを有するインクジェット記録装置によって行われ、前記信号にしたがって前記圧力発生手段により発生した前記圧力により前記水性インクの液滴を吐出するインクジェット記録方法であって、次の(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴とする記録物の製造方法。
(1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、同じく表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い水性インクを用いる。
(2)前記信号が、1印字周期内に引き込みパルスを有し、該引き込みパルスにより、前記ノズルにおける前記水性インクのメニスカスが、2段階で前記ノズル内に引き込まれる。
<吐出安定性の確保について>
図1にノズルのSEM画像を示すが、メンテナンスによる物理的負荷によって、液室とは反対側のノズルプレート表面のノズル撥水膜が少しずつ劣化していく。インクが充填されたヘッドのノズルには本来メニスカスが形成されており、通常(静止状態)の場合、メニスカスはノズルエッジを基点として液室側にブリッジを形成しており、ノズル撥水膜の劣化の影響は少ない状態にある(図2参照)。
しかし、図3や図4のように、液滴を吐出した後のメニスカス溢れ〔液滴を吐出するとノズルからの流出に伴って発生した共通液室からのインクの流入がすぐには止まらないため、勢い余ってノズルのメニスカス溢れを発生させる現象。特に、1印字周期内にサイズの大きな液滴を吐出する波形(単位時間の射出量が大きい波形)があるほど、メニスカス溢れは大きくなる〕や、高周波駆動直後のメニスカス溢れ(高周波駆動によって多量のインクがノズルから流出するのに伴って発生した共通液室からのインクの流入が、すぐには止まらず、勢い余ってノズルのメニスカス溢れを発生させる現象。液室の固有振動周期Tcとは異なるリフィル周期Rfを有する現象)といった、インクがノズル外側にせり出すような状態が発生したとき、劣化したノズル撥水膜によって、メニスカスが非対象な形状を形成する。そして、メニスカスが非対象な状態から液滴が吐出されると、液滴曲がりを発生させる。
なお、本発明における1印字周期とは、各アクチュエータが媒体に各ドットを形成するための時間間隔であって、本発明では、各ドットを形成するための吐出パルスと、該吐出パルスの前の少なくとも二段階でメニスカスを引き込むパルスとを含めた時間間隔を意味する。
図10により上記1印字周期について更に説明する。図10は引き込むパルスを省略した吐出パルスのみの図であり、1ドットを形成するために3つの液滴を吐出した例を示しているが、例えば大滴を作るときは3つの液滴、中滴を作るときには2つの液滴というように変化させる。また、図10は、1印字周期に含まれる液滴を空中で一体化させた後、記録媒体に付着させる方式を示しているが、1印字周期に含まれる液滴を吐出順に記録媒体上に付着させる方式でもよい。空中で一体化させる方式の方が、記録媒体上にインクが着弾した際に、インクの形状が円形に近く、着弾位置にずれが生じないので好ましい。
図5に示すように、上記のようなメニスカス溢れが発生した状態からの吐出では、溢れたインクの引き戻しが不十分のため、液滴射出直前状態でもインク溢れが残留し、液滴曲がりが発生してしまう。
これに対し、図6に示すように、吐出パルス直前にメニスカス引き込みパルスを追加すると、液滴吐出が開始される前に、溢れたインクがノズル内に引き込まれるため、液滴曲がりを回避することが可能となる。なお、前記メニスカス引き込みパルスの追加位置は、吐出パルスよりも前の位置で且つ引き込みが可能な位置であればよいが、図6のように、吐出パルス直前が好ましい。
また、従来の吐出パルスを用いるとき、インクの動的表面張力と静的表面張力の差が小さい場合には、ノズル面に残存したインクと、次の吐出インク液滴との間の表面張力の差が小さいため、吐出に対する影響は少ない。しかし、インクの動的表面張力と静的表面張力の差が大きい場合には、ノズル表面に残存したインクの表面張力は、ノズル表面に静止した直後から大きく低下を始める。このため、残存インクと次の吐出インク液滴との間に表面張力の差が生じてしまう。すると、残存インクと吐出インク液滴が合体した時に、表面張力の不均一が生じることになり、液滴の表面形状が崩れ、吐出曲がりにつながる。
しかし、吐出よりも早い位置(好ましくは直前)に少なくとも二段階でメニスカスを引き込む駆動を行うと、液滴吐出が開始される前に残存インクがノズル内に引き込まれるため、液滴曲がりを回避することが可能となる。また、そのまま表面にインクが残存した場合でも、ノズル内のインクと一度合体したことによって残存インクの表面張力が高い値に戻っており、直後の吐出インク液滴との間の表面張力の差が小さくなっている。このため、吐出に対する影響がほとんどなくなり、良好な吐出画像が得られる。
本発明に係る水性インクは、25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、かつ、表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高いことを特徴とする。インクの動的表面張力がこの範囲にある場合、前述した残存インクの影響が強く表れる。なお、動的表面張力とは微小時間における表面張力のことであり、測定方法としては、最大泡圧法、振動ジェット法、メニスカス法、滴下法などが一般に知られている。本発明では、短時間で簡易に測定が可能な最大泡圧法で測定した。
近年の高速印刷技術の発達によりインクジェットプリンターの印刷速度は年々高速化が進み、現在では数十m/分の速さでの連続印刷が可能となっている。この高速印刷を可能とするため、インクジェットプリンターのノズル面におけるインクメニスカスは、10〜10Hzの周期で振動しており、インク液滴も同様の周期で形成され続ける。このため、インク吐出時の動的表面張力は、マイクロ秒オーダーの微小時間での表面張力を測定する必要があるが、これを簡易に測定することは難しい。ここで、動的表面張力の表面寿命時間に対するプロファイルを見た場合、図7に示すように表面寿命時間に対して単調に増減することが分かる。そこで、本発明では、最大泡圧法での測定限界に近い15ms付近での動的表面張力を求め、実際の吐出時のインクの動的表面張力の近似値とした。
逆に、吐出後の記録媒体に対する浸透プロセスは、ミリ秒オーダー以上で行われ、にじみやブリードに関わってくる。このため、表面寿命1000ms以上の動的表面張力や静的表面張力が、画像品質に影響を与えるものとなる。そこで、本発明では、1500ms付近での動的表面張力に注目した。
<にじみ抑制について>
前述したように、記録媒体に対する浸透プロセスには表面寿命1000ms以上の動的表面張力や静的表面張力が関わってくる。このため、複数色のインクを用いてカラー画像を作る場合、インク毎にこれらの値が異なっていると、異なる色のインクが接触している部分での浸透状況の違いが発生し、画像品質の低下につながってしまう。特に、ブラックインクは視認性に優れているため、細線や点などでも輪郭が明確に視認でき、画像の乱れも目立ちやすい。例えば、浸透性の高い、つまり、静的表面張力の低いブラックインクのドットと、浸透性の低い、つまり、静的表面張力の高い他の色インクのドットが隣接した場合、静的表面張力の高い他の色インク側にブラックインクが引っ張られるため、ブラックインクが他の色インク側に混入し、輪郭部が不鮮明となるブリード現象が発生する。この現象は、特に浸透性の悪い記録媒体上で発生しやすく、また、浸透時間が長く取れない高速印刷時にも発生しやすい。
これを防ぐには、ブラックインクの静的表面張力を高くし、他の色インクの静的表面張力を低くすれば良いが、その差が大きすぎると、他の色インクがブラックインク側に混入し、黒文字が細ってしまったり、境界部にブリードが発生するなど、画像品質の低下につながってしまう。静的表面張力差が小さければ、ブリードが起こらないか、起きてもわずかであり、明度の低いブラックインクへの混入なので画像品質への影響は少ない。
そこで、本発明では、25℃におけるブラックインクの静的表面張力が他の全ての色のインクの静的表面張力よりも0〜4mN/m高くなるように設定する。
本発明で用いる水性インクは、水、着色剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及びその他の成分を含有する。
<着色剤>
着色剤としては染料や顔料を用いることができるが、記録物の耐水性や耐光性の点から顔料が好ましい。顔料の種類は特に限定されず、例えば以下のような有機顔料や無機顔料が挙げられる。これらの顔料は1種を単独で用いても複数種類を混合して用いても良い。
有機顔料:アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料等
無機顔料:カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等
ブラック顔料の具体例としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、20、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、86、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185等が挙げられる。
マゼンタ顔料の具体例としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、9、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:1〔パーマネントレッド2B(Ba)〕、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3〔パーマネントレッド2B(Sr)〕、48:4〔パーマネントレッド2B(Mn)〕、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、97、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、175、176、178、179、180、184、185、190、192、193、202、209、215、216、217、219、220、223、226、227、228、238、240、254、255、272等が挙げられる。
シアン顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、22、56、60、63、64、バットブルー4、バットブルー60等が挙げられる。
また、中間色顔料の具体例としては、レッド、グリーン、ブルー用としてC.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントグリーン7、36等が挙げられる。
本発明で用いるインクには、印字濃度及び印字耐久性向上のため、疎水性染料や顔料を含有するポリマー微粒子を用いることができる。該ポリマー微粒子は分散体として用いるが、顔料、特に有機顔料又はカーボンブラックを含有するポリマー微粒子の分散体がより好ましい。顔料を含有するポリマー微粒子の分散体に用いられるポリマーとしては、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。中でもビニル系ポリマーが好ましい。
ビニル系ポリマーとしては、(a)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン系モノマーからなる群より選ばれた1種以上のビニル系モノマーと、(b)塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと、(c)前記ビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーモノマーと共重合可能な成分、とを含有するモノマー組成物を共重合させて得られたポリマーが好ましい。
(a)のビニル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−アミル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−アミル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル;及びスチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
(b)の塩生成基を有する重合性不飽和モノマーとしては、塩生成基を有するカチオン性モノマー及び塩生成基を有するアニオン性モノマーが挙げられる。
塩生成基を有するカチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。その好ましい例としては、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−(N′,N′−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
塩生成基を有するアニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。その好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
(c)のビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能な成分としては、アクリルアミド系モノマー、メタクリルアミド系モノマー、水酸基含有モノマー、片末端に重合性官能基を有するマクロマー、例えば、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー、ポリエステル系マクロマー、ポリウレタン系マクロマー、ポリアルキルエーテルマクロマー、特に、CH=C(R5)COO(R6O)pR7(式中、R5は水素原子又は低級アルキル基、R6はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R7は水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは1〜60の整数を示す)で表されるマクロマー等が挙げられ、それらのモノマーは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、これらのモノマーは例示であってこれに限定されるものではない。
前記水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
前記CH=C(R5)COO(R6O)pR7のマクロマーとしては、ポリエチレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
前記共重合可能な成分の中では、マクロマーが好ましく、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー及びポリアルキルエーテルマクロマーがより好ましい。
モノマー組成物におけるビニル系モノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上の観点から、1〜75質量%が好ましく、より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。
モノマー組成物における塩生成基を有する重合性不飽和モノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上の観点から、2〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
モノマー組成物におけるビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上の観点から、5〜90質量%が好ましく、より好ましくは10〜85質量%、更に好ましくは20〜60質量%である。
また、ポリマー微粒子の平均粒径は、分散安定性の観点から、20〜200nmが好ましく、インク中のポリマー微粒子の含有量は10〜40質量%が好ましい。
なお、上記平均粒径は、日機装社製マイクロトラックUPA−150を用い、測定サンプル中の顔料濃度が0.01質量%になるように純水で希釈したサンプルを用い、粒子屈折率1.51、粒子密度1.4g/cm、溶剤パラメーターとして純水のパラメーターを用い、23℃で測定した50%平均粒径(D50)のことである。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、着色剤の種類や湿潤剤の組み合わせによって分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。これらの界面活性剤は、複数混合して用いてもよい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16のものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16のものがより好ましい。フッ素置換した炭素数が2未満では、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
更に好ましいのは、下記式(I)で表されるフッ素系界面活性剤である。
上記式中、nは2〜6の整数、aは15〜50の整数であり、Y′は−C2b+1(bは11〜19の整数)又は−CHCH(OH)CH−C2d+1(dは2〜6の整数)を表す。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、ネオス社製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の好適な具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
上記式中、Rfは、下記式で表されるフッ素含有疎水基の混合物を表す。Aは、SOX、COOX、又はPOX(ただし、Xは対アニオンであり、具体的には、水素原子、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、又はNH(CHCHOH)が挙げられる)を表す。
上記式中、Rf′は、下記式で表されるフッ素含有基を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。nは1又は2の整数、mは2−nを表す。
上記式中、nは3〜10の整数を表す。
上記式中、Rf′及びXは、上記と同じ意味を表す。
上記式中、Rf′及びXは、上記と同じ意味を表す。
(2)ノニオン系フッ素系界面活性剤
上記式中、Rfは、上記と同じ意味を表す。nは5〜20の整数を表す。
上記式中、Rf′は、上記と同じ意味を表す。nは1〜40の整数を表す。
(3)両性フッ素系界面活性剤
上記式中、Rfは、上記と同じ意味を表す。
(4)オリゴマー型フッ素系界面活性剤
上記式中、Rf″は、下記式で表されるフッ素含有基を表す。nは1〜10の整数を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。
上記式中、nは1〜4の整数を表す。
前記シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし市販品を使用してもよい。該市販品は、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記式で表されるポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。
上記式中、m、n、a、及びbは整数を表す。R及びR′はアルキル基、アルキレン基を表す。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業社製)などが挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
前記界面活性剤のインク中の含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.03〜2.0質量%がより好ましい。
含有量が0.01質量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
<水溶性有機溶剤>
インクには、乾燥防止及び分散安定性を向上のため、水溶性有機溶剤を含有させる。
水溶性有機溶剤の例としては、以下のようなものが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等。
上記水溶性有機溶剤に加えて他の湿潤剤を用いてもよく、そのような湿潤剤としては、尿素化合物や糖を含有するものが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式HOCH(CHOH)nCHOH(n=2〜5の整数)〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としては、D−ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトールなどが挙げられる。
特に、本発明では、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、D−ソルビトール、キシリトールを用いると、保存安定性、及び吐出安定性に優れたインクを作製することができる。
顔料インクの場合、顔料と水溶性有機溶剤の比は、ヘッドからのインクの吐出安定性に大きく影響する。顔料固形分比率が高いのに水溶性有機溶剤の配合量が少ないと、ノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらす。
水溶性有機溶剤の配合量はインク全体の10〜50質量%程度が好ましい。
<その他の成分>
その他の成分としては、従来公知の種々の材料を用いることができ、例えば、抑泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、キレート試薬、消泡剤、浸透剤、などが挙げられるが、これに限られるものではない。
抑泡剤はインクの起泡を防ぐために添加する。その例としては下記式で表されるものが挙げられる。
上記式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数3〜6のアルキル基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜2のアルキル基であり、mは1〜6の整数である。
中でも、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオールは抑泡性に優れた効果を示す。
pH調整剤は、インクをアルカリ性に保つことにより分散状態を安定化し、吐出を安定化する目的で添加する。しかし、pH11以上ではインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、ヘッドやユニットの材質によっては、長期間使用した際に、インクの変質や、漏洩、吐出不良等の問題が発生しやすい。顔料の場合には、顔料を分散剤とともに水に混練分散する際にpH調整剤を加える方が、混練分散後、湿潤剤、浸透剤等の添加剤とともに加えるよりも望ましい。これは、pH調整剤によっては添加により分散を破壊する場合もあるためである。
pH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩を一種類以上含むものが好ましい。
アルコールアミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アンモニウム水酸化物としては、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物等が、ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物が、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
キレート試薬としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
<物性>
本発明で用いるインクの粘度、静的表面張力、pHは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
粘度は、25℃で、3〜20mPa・sの範囲にあることが望ましく、特に6〜12mPa・sの範囲にあることが好ましい。これにより、吐出安定性や画像品質をより優れたものにすることができる。
静的表面張力は、25℃で、19〜55mN/mが好ましい。静的表面張力が25℃で19mN/m以上であることにより、紙上での滲みを生じさせずに、安定した噴射を行うことができる。また、静的表面張力が25℃で55mN/m以下であることにより、紙へのインク浸透を良好にすることができ、乾燥時間を短くすることができる。
また、pHは7〜10であることが好ましい。
<カラー化>
本発明で用いるインクの色は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアンなどが挙げられる。これらのインクを2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うことにより、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行えば、フルカラー画像を形成することができる。
また、請求項2の発明ではブラックを含む2色以上の水性インクからなるインクセットを用いるが、ブラック以外のカラーインクについては、上記と同様である。
<インクカートリッジ>
本発明のインクセットに係る水性インクを充填するカートリッジは、前記インクセットに含まれる各インクを容器内に収容したものであり、必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有する。容器としては特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、プラスチック製容器、アルミニウムラミネートフィルム等で形成されたインク袋等を有するものが挙げられる。
具体例としては、図11、図12に示す構造のものが挙げられる。図11はインクカートリッジの一例を示す図であり、図12は図11のインクカートリッジのケース(外装)を含めた図である。
インクはインク注入口242からインク袋241内に充填し、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置にインクを供給する。インク袋241は、透気性の無いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図12に示すように、通常プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、インクカートリッジ240として、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
このインクカートリッジは、前記インクセットの各インクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができ、また、後述するインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
<インクジェット記録方法、インクジェット記録装置>
続いて、本発明のインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置について図面を用いて説明する。
図13及び図14は本発明のインクジェット記録装置の一例を示す図であり、図13は全体構成を説明するための側面図、図14は要部平面図である。
このインクジェット記録装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図14の矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、記録ヘッド34としては、1つのノズル面に複数のノズルを並べた各色のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部としてのサブタンクであるサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えると共に、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図14のベルト搬送方向に周回移動する。
更に、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
更に、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターンで帯電され、この帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
次に、記録ヘッド34を構成している液体吐出ヘッドの一例について図15及び図16を参照して説明する。図15は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面図、図16は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図である。
この液体吐出ヘッドは、流路板101と、流路板101の下面に接合した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である加圧液室106、加圧液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて加圧液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2個(図15では1列のみ図示)の積層型の圧電部材121と、この圧電部材121を接合固定するベース基板122とを備えている。この圧電部材121には、分割しないスリット加工で溝を形成することで複数の圧電素子柱121A、121Bを形成している。この例では、圧電素子柱121Aは駆動波形を印加する駆動圧電素子柱とし、圧電素子柱121Bは駆動波形を印加しない非駆動圧電素子柱としている。また、圧電部材121の駆動圧電素子柱121Aには図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電部材121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するための液体供給口であるインク供給穴132を形成している。
ここで、流路板101は、例えば、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることにより、ノズル連通路105、加圧液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板、感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えば、エレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電部材121の圧電素子柱121A、121Bを接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各加圧液室106に対応して直径10μm〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水膜を形成したものである。
圧電部材121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電部材121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電部材121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電部材121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば、圧電部材121に印加する電圧を基準電位Veから下げることにより駆動圧電素子柱121Aが収縮し、振動板102が下降して加圧液室106の体積が膨張することにより、加圧液室106内にインクが流入し、その後、駆動圧電素子柱121Aに印加する電圧を上げて駆動圧電素子柱121Aを積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて加圧液室106の体積を収縮させることにより、加圧液室106内のインクが加圧され、ノズル104からインク滴が吐出(噴射)される。
そして、駆動圧電素子柱121Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、加圧液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から加圧液室106内にインクが充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
次に、インクジェット記録装置の制御部の概要について、ブロック説明図の図17を参照して説明する。
制御部500は、この装置全体の制御を司る本発明に係る空吐出動作の制御を行う手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81のキャップ82やワイパ部材83の移動などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ制御部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、本発明に用いる特定の信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択して引き込みパルス及び吐出パルスを生成し、記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する圧力発生手段としての圧電素子に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスの一部又は全部及び駆動パルスを形成する波形用要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、印刷制御部508及びヘッドドライバ509の一例について図18を参照して説明する。
印刷制御部508は、画像形成時に1印刷周期内に引き込みパルスを有する信号を生成して出力する駆動波形生成部701と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部702と、空吐出用の駆動波形を生成して出力する空吐出駆動波形生成部703とを備えている。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ509のスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき駆動パルス又は波形要素でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ509は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力するシフトレジスタ711と、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路712と、階調データと制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ713と、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ714と、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ715とを備えている。
<記録物>
本発明に係る記録物は、本発明のインクジェット記録方法を用いて記録媒体上に形成された画像を有するものである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、説明中の「%」は「質量%」である。
<顔料分散体の調製>
(分散体1:シアン分散体)
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成社製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。次いで、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
次にポリマー溶液の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶剤:テトラヒドロフラン)で測定したところ、重量平均分子量は15000であった。
前記ポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。次いで、3本ロールミル(ノリタケカンパニー社製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0%の青色のポリマー微粒子分散体160gを得た。マイクロトラックUPAで測定したポリマー微粒子の平均粒子径(D50%)は98nmであった。
(分散体2:マゼンタ分散体)
前記シアン分散体における銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更した点以外は、シアン分散体の調製と同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体を得た。マイクロトラックUPAで測定したポリマー微粒子の平均粒子径(D50%)は124nmであった。
(分散体3:イエロー分散体)
前記シアン分散体における銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更した点以外は、シアン分散体の調製と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。マイクロトラックUPAで測定したポリマー微粒子の平均粒子径(D50%)は78nmであった。
(分散体4:ブラック分散体)
前記シアン分散体における銅フタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社製FW100)に変更した点以外は、シアン分散体の調製と同様にして黒色のポリマー微粒子分散体を得た。マイクロトラックUPAで測定したポリマー微粒子の平均粒子径(D50%)は110nmであった。
<インク調製例>
上記分散体1〜4を含む表1、表2−1〜表2−2に示す処方の材料を用いて、調製例1〜14、及び調製例1′〜26′のインクを作製した。なお、表中の数値は「質量%」である。
水溶性有機溶剤→界面活性剤→抑泡剤・消泡剤→浸透剤→防黴剤→イオン交換水の順に材料を調合して30分撹拌した後、上記分散体1〜4を添加して30分撹拌し、次いで、孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過してインクを得た。
表1、表2−1〜表2−2中の略号の意味、及び用いた界面活性剤の詳細は次のとおりである。
・KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン社製、成分100%)
・プロキセルLV:アベシア社製、防腐防黴剤
・界面活性剤A:式(I)において、n=4、a=21、b=12のもの
・界面活性剤B:下記構造式のもの
・界面活性剤C:BYK−348(ビックケミー・ジャパン社製、成分100%)
・界面活性剤D:ECTD−3NEX(日光ケミカルズ社製)
調製例1〜14、及び調製例1′〜26′の各インクについて、粘度、動的表面張力、静的表面張力を下記の方法により測定した。結果を表3、表4に示す。
また、各インクの動的表面張力と静的表面張力の差が、次の(1)と(2)の両方とも満たす場合は「○」、それ以外は「×」として評価した結果も示す。
(1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が、静的表面張力よりも10mN/m以上高い。
(2)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い。
<粘度>
各インクの、25℃における粘度(mPa・s)を、R型粘度計(RC−500、東機産業社製)を用いて、10〜100rpmの適切な回転速度で測定した。

<動的表面張力>
25℃における動的表面張力(mN/m)を、動的表面張力計SITA DynoTester(SITA Messtechnik社製)を用いて、最大泡圧法で測定した。

<静的表面張力>
25℃における静的表面張力(mN/m)を、全自動表面張力計(CBVP−Z、協和界面科学社製)を用いて、白金プレート法によって測定した。
上記調製例1′〜26′のインクを用いて、表5に示す組み合わせのインクセット1′〜8′を作製した。
実施例1〜10、実施例1′〜4′、比較例1〜18、比較例1′〜12′
上記調製例1〜14、調製例1′〜26′、及びインクセット1′〜8′の各インクについて、以下のようにして評価を行った。結果を表6、表7に示す。

また、25℃におけるブラックインクの静的表面張力が他の全ての色のインクの静的表面張力よりも0〜4mN/m高いという請求項2の(4)の要件を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として、表7に示す。
<プリンター評価前準備>
温度25±0.5℃、50±5%RHに調整された環境下、インク容器(インクカートリッジ)を備えたインクジェットプリンター(リコー社製IPSio GXe3300)を用い、各インクの粘度において、最も安定してインクが吐出する波形を選択し、全ての印字評価で用いた。この時、吐出直前に図8のように二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を「波形1」、図9のように一段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を「波形2」とした。
実施例1〜10は、インク1〜10に対して「波形1」を用いた場合である。
比較例1〜4は、インク11〜14に対して「波形1」を用いた場合である。
比較例5〜18は、インク1〜14に対して「波形2」を用いた場合である。
実施例1′〜4′はインクセット1′〜4′に対して「波形1」を用いた場合である。
比較例1′〜4′はインクセット5′〜8′に対して「波形1」を用いた場合である。
比較例5′〜12′はインクセット1′〜8′に対して「波形2」を用いた場合である。
<吐出安定性評価>
前述のプリンターを用い、前記イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各インクにより、マイペーパー(NBSリコー社製)上に印字を行なった。印刷パターンは、各色の印字面積が紙面全面積の5%であるチャートとし、100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度600dpiで、ワンパス印字とし、「波形1」及び「波形2」の印字サンプルを作製した。この時、間欠印写を行った。上記チャートを20枚連続で印写した後、20分間吐出を行わない休止状態にし、これを50回繰り返して、累計1000枚印写した後、もう一度同じチャートを印写した。そして、このときの5%チャートベタ部の筋、白抜け、噴射乱れの有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。Aが合格である。
〔評価基準〕
A:ベタ部に筋・白抜け・噴射乱れがない。
B:ベタ部に若干の筋・白抜け・噴射乱れが認められる。
C:ベタ部全域にわたって、筋・白抜け・噴射乱れが認められる。
<ベタ印字部の均一性(ベタ部均一性)>
前述のプリンターを用い、前記イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各インクにより、リコービジネスコートグロス100(リコー社製)上に、100%dutyでベタ画像を印字した。この時、「波形1」及び「波形2」の印字サンプルを作製した。
得られたベタ画像の均一性を目視で観察し、下記の基準で評価した。Aが合格である。
〔評価基準〕
A:ベタ部に斑がほとんど認められない。
B:ベタ部に若干の斑が認められる。
C:ベタ部全域に斑が認められる。
<ブラックインク−カラーインク間のブリード評価>
この評価については、実施例1′〜4′及び比較例1′〜4′についてのみ行った。
前述のプリンターを用いてマイペーパー(NBSリコー社製)上に印字を行った。印刷パターンは、各カラーインクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度600dpiでワンパス印字とした。この時、サンプルは「波形1」のみで作製した。
得られた各カラーインクベタ画像部中にブラックインクの文字を印字し、カラーインク−ブラックインク間のブリード(にじみ)を、目視により下記の基準で評価した。Aが合格である。
〔評価基準〕
A:ブリードの発生がなく、黒文字が鮮明に認識でき、にじみは認められない。
B:ブリードが若干発生し、黒文字が少しにじむ。
C:ブリードが発生し、黒文字の認識が困難である。
(1)吐出安定性評価:実施例1〜10により、二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を用いることにより、表面張力の値が条件を満たしていれば、良好な吐出安定性が得られることが分かる。
(2)吐出安定性評価:実施例1〜10と、比較例5〜14とを対比すると、表面張力の値が条件を満たしているインクであっても、二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を用いなければ、良好な吐出安定性が得られないことが分かる。
(3)ベタ部均一性評価:実施例1〜10と、比較例1〜4とを対比すると、吐出安定性は良好でも、表面張力の値が条件を満たしていなければ、ベタ部の均一性は劣ることが分かる。これは、表面張力の値が条件を満たす場合、ヘッドからの吐出直後は、高い動的表面張力による安定した液滴が形成され、紙面に着弾後は、低い静的表面張力によって浸透が速やかに進み、ビーディングが起きにくいためである。
(1)吐出安定性評価:実施例1′〜4′によれば、二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を用いることにより、動的表面張力と静的表面張力の差が条件を満たしていれば、良好な吐出安定性が得られることが分かる。
(2)吐出安定性評価:実施例1′〜4′と、比較例3′〜6′とを対比すると、表面張力の値が条件を満たしているインクに対して二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を用いることにより、初めて良好な吐出安定性が得られることが分かる。
(3)吐出安定性評価:実施例1′〜4′と、比較例1′とを対比すると、表面張力の値が条件を満たしていないインクは、二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を用いても、あまり吐出安定性が改善されないことが分かる。
(4)ベタ部均一性評価:実施例1′〜4′と、比較例3′〜6′とを対比すると、二段階でメニスカスを引き込むパルスを持つ吐出波形を用いることにより、良好なベタ部均一性が得られることが分かる。
(5)ベタ部均一性評価:実施例1′〜4′と、比較例2′とを対比すると、吐出安定性は良好でも、表面張力の値が条件を満たしていないと、ベタ部の均一性は劣ることが分かる。
これは、表面張力の値が条件を満たす場合、ヘッドからの吐出直後は、高い動的表面張力による安定した液滴が形成され、紙面に着弾後は、低い静的表面張力によって浸透が速やかに進み、ビーディングが起きにくいためである。
(6)ブラックインク−カラーインク間のブリード評価:実施例1′〜4′と実施例5′〜6′、比較例1′とを対比すると、静的表面張力の値が条件を満たしていればブリードは発生せず、良好な画像が得られることが分かる。
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 カートリッジ装填部
10y インクカートリッジ(メインタンク)
10m インクカートリッジ(メインタンク)
10c インクカートリッジ(メインタンク)
10k インクカートリッジ(メインタンク)
21A 側板
21B 側板
24 供給ポンプユニット
31 ガイドロッド
32 ガイドロッド
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
34a 記録ヘッド
34b 記録ヘッド
35 サブタンク
35a サブタンク
35b サブタンク
36 供給チューブ
41 用紙積載部(圧板)
42 用紙
43 半月コロ(給紙コロ)
44 分離パッド
45 ガイド部材
46 カウンタローラ
47 搬送ガイド
48 押さえ部材
49 先端加圧コロ
51 搬送ベルト
52 搬送ローラ
53 テンションローラ
56 帯電ローラ
61 分離爪
62 排紙ローラ
63 拍車
71 両面ユニット
72 手差しトレイ
81 維持回復機構
82a キャップ部材
82b キャップ部材
83 ワイパ部材(ワイパブレード)
84 空吐出受け
87 キャリッジロック
88 空吐出受け
89 開口部
100 廃液タンク
101 流路板
102 振動板
103 ノズル板
104 ノズル
105 ノズル連通路
106 加圧液室
107 流体抵抗部(供給路)
108 共通液室
109 インク供給口
121 圧電部材
121A 圧電素子柱
121B 圧電素子柱
122 ベース基板
126 FPCケーブル
130 フレーム部材
131 貫通部
132 インク供給穴
151 圧電材料
152 内部電極
153 個別電極
154 共通電極
240 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
500 制御部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 書き換え可能な不揮発性メモリ
505 ASIC
506 I/F
508 印刷制御部
509 ヘッドドライバ(ドライバIC)
510 モータ制御部
511 ACバイアス供給部
513 I/O部
514 操作パネル
515 センサ群
554 主走査モータ
555 副走査モータ
556 維持回復モータ
600 ホスト
601 プリンタドライバ
701 駆動波形生成部
702 データ転送部
703 空吐出駆動波形生成部
711 シフトレジスタ
712 ラッチ回路
713 デコーダ
714 レベルシフタ
715 アナログスイッチ
特開2011−062821号公報 特開2008−239964号公報

Claims (10)

  1. 水性インクの液滴を吐出するノズル、前記ノズルが連通する圧力室、及び該圧力室内に圧力を生じさせる圧力発生手段を有する記録ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する信号を発生させる駆動信号発生手段とを有するインクジェット記録装置によって行われ、前記信号にしたがって前記圧力発生手段により発生した前記圧力により前記水性インクの液滴を吐出するインクジェット記録方法であって、次の(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
    (1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、同じく表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い水性インクを用いる。
    (2)前記信号が、1印字周期内に引き込みパルスを有し、該引き込みパルスにより、前記ノズルにおける前記水性インクのメニスカスが、2段階で前記ノズル内に引き込まれる。
  2. 前記1印字周期内の信号において、引き込みパルスが、水性インクを吐出する吐出パルスよりも前に存在することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 更に、次の(3)及び(4)の要件を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
    (3)ブラックを含む2色以上の水性インクからなるインクセットを用いる。
    (4)25℃におけるブラックインクの静的表面張力が他の全ての色のインクの静的表面張力よりも0〜4mN/m高い。
  4. 前記インクセットの各インクの25℃における粘度が3〜20mPa・sであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記ノズルの表面が撥水処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インクが、水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  7. 水性インクの液滴を吐出するノズル、前記ノズルが連通する圧力室、及び該圧力室内に圧力を生じさせる圧力発生手段を有する記録ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する信号を発生させる駆動信号発生手段とを有し、前記信号にしたがって前記圧力発生手段により発生した圧力により前記水性インクの液滴を吐出するインクジェット記録装置であって、次の(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴とするインクジェット記録装置。
    (1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、同じく表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い水性インクを収容した容器を有する。
    (2)前記信号が、前記ノズルにおける前記水性インクのメニスカスを2段階で前記ノズル内に引き込む引き込みパルスを1印字周期内に有する。
  8. 前記1印字周期内の信号において、引き込みパルスが、水性インクを吐出する吐出パルスよりも前に存在することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 更に、次の(3)及び(4)の要件を満たすことを特徴とする請求項7又は8に記載のインクジェット記録装置。
    (3)ブラックを含む2色以上の水性インクからなるインクセットを用いる。
    (4)25℃におけるブラックインクの静的表面張力が他の全ての色のインクの静的表面張力よりも0〜4mN/m高い。
  10. 水性インクの液滴を吐出するノズル、前記ノズルが連通する圧力室、及び該圧力室内に圧力を生じさせる圧力発生手段を有する記録ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する信号を発生させる駆動信号発生手段とを有するインクジェット記録装置によって行われ、前記信号にしたがって前記圧力発生手段により発生した前記圧力により前記水性インクの液滴を吐出するインクジェット記録方法であって、次の(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴とする記録物の製造方法。
    (1)25℃において、最大泡圧法による表面寿命が15msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも10mN/m以上高く、同じく表面寿命が1500msの時の動的表面張力が静的表面張力よりも5mN/m以上高い水性インクを用いる。
    (2)前記信号が、1印字周期内に引き込みパルスを有し、該引き込みパルスにより、前記ノズルにおける前記水性インクのメニスカスが、2段階で前記ノズル内に引き込まれる。
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