JP6136303B2 - 再充填インクカートリッジの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再充填インクカートリッジの製造方法に関する。
一度使用したカートリッジに、新たなインクを再充填することは公知である。しかし、従来は再充填の際に、残留インクと再充填インクとの混合による不具合を防ぐための洗浄が必要であり、残留洗浄液と再充填インクの混合による不具合の発生などを考慮しなければならなかった。また洗浄せずにインクを充填する場合には、残留インクと再充填インクとの混合安定性を確保する処方を見つけなければならないという問題があった。カートリッジをリユースするという課題に対しては、従来は染料インクが主体であったため、染料インクの入っていたカートリッジに染料インク又は顔料インクを再充填する際の問題についての対策や、カートリッジ内にある負圧形成のためのインク吸収体に残留するインクの問題についての対策がほとんどであった。
特許文献1(本発明者の発明に係るもの)には、残留インクと再充填用インクを混合した際の、混合直後の粗大粒子数Aと24時間放置後の粗大粒子数Bが、B/A≦2を満たすようにした、保存安定性及び吐出安定性が良好な再充填用インクに係る発明が開示されている。しかし、着色剤としては顔料でも染料でもよいとしており、インクのpHに関しては全く検討していない。
特許文献2には、印字画質、インクの吐出性及びヘッドへの悪影響を及ぼすことのない再充填インク及びその再充填方法を提供する目的で、初期充填インクと再充填インクの間の表面張力、pH、粘度の関係を規定した発明が開示されている。しかし、染料インクについてしか検討しておらず、顔料インクに関する記載はない。
前記特許文献1の発明では、インクのpHについて検討しておらず、顔料インク特有の凝集した残留顔料インクの溶解についても検討していない。
また、前記特許文献2の発明では、規定する三つの物性にpHが含まれているが、染料インクを対象としている上に、再充填インクが初期充填インクよりも低いpHである場合も含んでおり、本発明のような顔料インクを用いるインクカートリッジにおける、再充填インクとの混合安定性の確保や、凝集した残留顔料インクの溶解といった問題の解決には役に立たない。
本発明は、顔料インク用の使用済みインクカートリッジを洗浄することなく、該インクカートリッジに再充填用顔料インクを充填した、吐出安定性のよい再充填インクカートリッジの製造方法の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも高いpHを有する再充填用顔料インクを製造する工程、該再充填用顔料インクを前記使用済みインクカートリッジに充填する工程からなることを特徴とする再充填インクカートリッジの製造方法。
本発明によれば、顔料インクを用いた使用済みインクカートリッジを洗浄することなく、再充填用顔料インクを安定に充填した再充填インクカートリッジの製造方法を提供できる。
更に、残留顔料インク中の顔料が凝集しているような場合にも混合安定性を確保でき、残留顔料インクも有効活用できるので、環境負荷低減にも役立つ。
インクカートリッジに内臓されるインク袋の一例を示す図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明する。また、本発明の実施の形態には、次の2)〜5)の発明も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) pH調整剤を加えることにより、使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも高いpHを有する再充填用顔料インクを製造する工程、該再充填用顔料インクを、前記使用済みインクカートリッジに充填する工程からなることを特徴とする再充填インクカートリッジの製造方法。
3) 前記再充填用顔料インクが、少なくとも顔料、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤を含有することを特徴とする2)記載の再充填インクカートリッジの製造方法。
4) 前記pH調整剤がアルカンジオール型のpH調整剤であることを特徴とする2)又は3)記載の再充填インクカートリッジの製造方法。
5) 顔料インクが残留する使用済みインクカートリッジに、再充填用顔料インクを再充填することにより得られる、再充填後インクを有する再充填インクカートリッジの製造方法において、前記再充填用顔料インクとして、顔料、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤を含有する顔料インクを使用し、再充填後、60℃で1ヶ月保管したときの再充填後インクのpHが8.3以上、90%粒径(体積平均粒径)が190nm以下であり、前記使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも前記再充填用顔料インクのpHの方が高く、更に、使用済みインクカートリッジの内部を洗浄する洗浄工程を設けないことを特徴とする再充填インクカートリッジの製造方法。
初期インクのpHは通常、インクに使用される顔料の分散安定性を確保できる範囲に色ごとに調整されるか、あるいはインク経路で使用される部材等に与える影響を考慮して調整されるが、構成部材の統一を図るためには、ある程度同じ範囲にあることが望ましい。インクカートリッジに充填されたインクは、最初はインクカートリッジが密閉されているのでpHは安定に保たれるが、一度使用されたインクカートリッジの場合には、密閉性が破れるため、空気中のCOなどの影響を受けてpHが下がる傾向にある。特に使用済みインクカートリッジにおいては、残留インクが少量であるため、空気中に暴露されるインクの比表面積が大きくなり影響を受けやすい。また、開封後からの使用環境・使用期間の影響もあり、使用済みインクカートリッジ内の残留インクのpHにはかなりバラツキがある。そのため、特にpH変化に敏感な顔料インクの場合には、残留インクが凝集している可能性が高い。なお、本発明でいう使用済みインクカートリッジとは、例えば、少なくとも1度プリンタに着脱されたインクカートリッジ、少なくとも1度印字に使用されたインクカートリッジ、ユーザーから回収されたインクカートリッジなどを意味する。
そのような場合に、本発明のように最初に充填された顔料インクよりもpHの高い顔料インクを再充填すると、インクカートリッジ内に残る残留顔料インクによる凝集物を溶解することができるため、インクカートリッジを洗浄せずに再利用することができる。
また、再充填用顔料インクのpHが残留顔料インクの影響で低下することを防止して、顔料インクの安定性を確保できる範囲のpHに調整することができる。
また、顔料インクのpHが下がるとインクの流路部材に悪影響を及ぼす場合も多いが、再充填用顔料インクのpHを高く設定することにより、pHが低下した残留顔料インクと混合した場合でも、適切な範囲のpHを維持することができ、インク流路部材への悪影響を回避できる。なお、本発明に係る再充填インクカートリッジにおける再充填の回数は1度に限らない。カートリッジ(容器)が損傷するなど、再利用が困難とならない範囲で複数回充填することが可能であり、充填の仕方は、実施例に示した1回目の充填と同様である。
本発明で用いる再充填用顔料インクのpH調整手段は特に限定されないが、通常はpH調整剤を用いる。その場合の再充填用顔料インクの組成は、pH調整のために添加するpH調整剤を除き、通常の顔料インクの場合と同じである。即ち、顔料、湿潤剤、界面活性剤を含有し、必要に応じて浸透剤などの他の添加剤を含有する。なお、通常の顔料インクは、顔料の種類などによって異なるが、pHが9〜10程度、25℃での粘度が7.5〜8.5mPa・s程度である。
また、再充填用顔料インクのpHは、9.0以上であることが望ましい。9.0よりも低くなると、残留顔料インク中の凝集物の溶解性が落ちたり、経時でのpH低下による吐出不良を招く可能性が高い。
<顔料(着色剤)>
顔料としては特に限定はなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックが挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましい。
上記顔料の好ましい具体例としては、黒色用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属又は金属酸化物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
また、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
顔料の中でも、表面に少なくとも1種の親水基が直接又は他の原子団を介して結合するように表面改質された形態のものが好ましい。表面改質のためには、顔料の表面に特定の官能基(スルホン酸基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させる方法、次亜ハロゲン酸及び/又はその塩を用いて湿式酸化処理する方法などが用いられる。中でも好ましいのは、顔料の表面にカルボキシル基が結合し、水中に自己分散しているものである。この顔料の場合には、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるし、印字後の記録媒体の耐水性もより向上する。
また上記形態の顔料を用いたインクは、乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合でも目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。またこの自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
上記形態の顔料に加え、ポリマー微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョンを使用することも可能である。「色材を含有させたポリマーエマルジョン」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入したもの、及び/又はポリマー微粒子の表面に色材を吸着させたものを意味する。この場合、全ての色材が封入及び/又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。該色材は、水不溶性又は難溶性であって上記ポリマーに含有させることができるものであれば特に限定はなく、例えば、油溶性染料、分散染料等の染料や、前記具体例として列挙した顔料などが挙げられるが、得られる記録物の耐光性の点から、顔料を用いることが好ましい。またポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましいのはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーである。
更に本発明では、分散剤により水性媒体中に分散させた顔料を併用することもできる。分散剤としては、従来公知の顔料分散液調製用のものを使用することができる。
その例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの重合体又は共重合体は、重量平均分子量が3,000〜50,000のものが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、更に好ましくは7,000〜15,000である。
分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣選択すればよい。通常の場合、顔料と分散剤の重量比は、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
更に、上記顔料インク中の分散剤にはカルボキシル基が結合していることが好ましい。分散剤にカルボキシル基が結合していると、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。更に裏抜けを防止する効果が得られる。特に、カルボキシル基が結合している分散剤で分散した顔料と、浸透剤とを併用した場合には、普通紙などの比較的サイズ度の高い記録媒体に印字した場合でも、十分な乾燥速度が得られ、且つ、裏抜けが少ないという効果が得られる。これは、カルボン酸の解離定数が他の酸基に比べて小さいため、顔料が記録媒体に付着した後、顔料インクのpH価の低下や、記録媒体表面近傍に存在するカルシウムなどの多価金属イオンとの相互作用などにより、分散剤自体の溶解度が低下し、分散剤自体や顔料が凝集する為と推定される。
顔料の添加量は、0.5〜15重量%程度が好ましく、より好ましくは5〜12重量%程度である。
また、顔料インク中の顔料の体積平均粒径は10〜200nmが望ましい。ここでいう体積平均粒径とは、体積累積パーセント50%の値を指す。体積累積パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)といわれる方法を用いることができる。体積平均粒径が10nmよりも小さいと顔料インク中の分散安定性が損なわれ、また印字されたときの画像濃度が劣る結果となる。また、そのレベルまで顔料を微粒子化するのにコストがかかるという問題も生じる。逆に体積平均粒径が200nmを超えると、画像の定着性が劣るほか、長期保存時に凝集が起こりやすく、目詰まりしやすくなる。
<pH調整剤>
顔料の種類によっては凝集特性がpH依存性を持つものがある。特に印字されたときの紙面上でのpH変化により凝集を起こさせ、増粘させて高画質を実現させる目的で使用される顔料は、pHが変化すると分散安定性が崩れ易いため、分散安定性を確保するのが難しくなる。顔料の分散安定性確保のために使用されるpH調整剤としては、調合される記録液に悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に限定されない。その例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられるが、本発明ではその他の特性も考慮して有機系のpH調整剤が好ましく用いられる。
特にアミノ基を含有するアルカンジオール型のpH調整剤が好ましく、その具体例としては、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−アミノ−2−エチル−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2,3−プロパンジオールなどが挙げられる。これらの中でもインク流路等への影響まで考慮すると、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(以下、AEPDと略する)が望ましい。AEPDが上記効果を奏する理由は定かではないが、顔料が自己分散型の顔料の場合は、凝集性は特に問題ないが、pHが低下するとインク流路部材に悪影響を及ぼすことがあり、その影響を低減する効果があることによると考えられる。また顔料が樹脂で被覆された顔料の場合、AEPDが添加されると、インクの凝集を防ぐことができるが、これは、AEPDの添加により、顔料表面のζ電位が安定化することによるものと考えられる。また、一度凝集したような場合にも、樹脂との相互作用により、再分散しやすい状態にする効果があると考えられる。
再充填用顔料インクのpHは、残留顔料インクよりも高いことが必須であるが、目安としては、残留顔料インクのpHを「pH*」として、pH*+0.5〜1.5の範囲が望ましい。+0.5未満の場合は、残留顔料インクの状態にもよるが、その後の使用期間内にpHが再度低下したとき、吐出安定性を確保することが難しくなる可能性が高い。特に顔料の種類によってpHの緩衝性に差があるため、緩衝性の低い顔料種を使用した再充填用顔料インクについては、少し高めのpHに設定する方が有効である。またpHの上限は10.5とすることが望ましい。pHが10.5を超えると、インク流路に悪影響を及ぼすだけでなく、逆に再充填用顔料インクの分散安定性を破壊する可能性も高くなる。
<湿潤剤>
湿潤剤は特に限定されないが、多価アルコールアルキルエーテルや多価アルコールアリールエーテルが好ましい。これらの湿潤剤を含有させることによりインクの水分蒸発を防止し、インク吐出口での顔料の析出、粘度上昇による吐出不良をより良く抑制することができ、吐出信頼性の高いインクを得ることができる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテルとしては例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
上記湿潤剤の添加量は5〜30重量%が好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。5重量%未満では使用効果が乏しく、また30重量%を越えると、インクの粘度が高くなってしまい、吐出安定性に影響を与えてしまうことが多い。
また、インクの水分蒸発を防止する目的で上記湿潤剤と組み合わせて用いられる水溶性有機溶媒としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、グリセロール、1、2、6−ヘキサントリオール、1、2、4−ブタントリオール、1、2、3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等。
<界面活性剤>
顔料インクには、紙への浸透性を高め、速乾燥性で、文字にじみ、境界にじみを更に低減させた高品位な画像を得ることを目的として界面活性剤も添加する。
界面活性剤の種類は特に限定されず、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れも使用可能であるが、好ましくはノニオン系界面活性剤及び/又はアニオン系界面活性剤であり、更に好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩系界面活性剤である。これらは単独で用いても複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
また合成時の副生成物として生成される無機塩をイオン交換樹脂で精製除去することが好ましい。
上記界面活性剤を主成分として含有する市販品としては、日光ケミカルズ社のBTシリーズ、日本触媒社のソフタノールシリーズ、日本油脂社のディスパノール、日光ケミカルズ社のNIKKOL ECTシリーズ、NIKKOL AKYPOシリーズ、三洋化成社のビューライトシリーズ等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は0.01〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%である。0.01重量%未満では添加効果がなく、5.0重量%より多いと、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生する。
<その他の添加剤>
顔料インクには、上記成分以外に、浸透剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などを必要に応じて適宜添加してもよい。
−浸透剤−
浸透剤は顔料インク浸透性を高める目的で添加する。これにより高速印字時でも滲みを低減することが可能となり、また吐出安定性及び吐出応答性を向上させることができる。
浸透剤としては、ポリオール化合物、グリコールエーテル化合物などが挙げられるが、特に、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物が好適である。ポリオール化合物の炭素数が8未満では十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度が低下することがある。
炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
浸透剤の添加量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。
−消泡剤−
消泡剤としては、特にシリコーン系のものが破泡効果に優れており、例えばオイル型、コンパウンド型、自己乳化型、エマルジョン型などがあるが、水系での使用を考慮すると、自己乳化型又はエマルジョン型が、信頼性を確保する上で好ましい。また、アミノ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、アルキレンオキサイド変性等の変性シリコーン系消泡剤を使用してもよい。
消泡剤の添加量は目的に応じて適宜選択することができるが、0.001〜3重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましい。
シリコーン消泡剤の市販品としては、信越化学工業社製のKS508、KS531、KM72、KM85など、東レ・ダウ・コーニング社製のQ2−3183A、SH5510など、日本ユニカー社製のSAG30など、旭電化工業社製のアデカネートシリーズなどが挙げられる。
−防腐防黴剤−
防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
−防錆剤−
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
−酸化防止剤−
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
再充填用顔料インクは、少なくともpH調整剤、着色剤、湿潤剤、界面活性剤、及び必要に応じて添加するその他の添加剤を水性媒体中に分散又は溶解し、必要に応じて攪拌混合して製造する。分散は、例えば、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機、スタティックミキサー等で行うことができる。
<インクカートリッジ>
一般にインクカートリッジは、インク袋を内蔵する。図1にインクカートリッジに内臓されるインク袋の一例を示す。
インク袋2は、アルミラミネートフィルムからなる略長方形状の可撓性を有する袋状部21と、この袋状部21を固着した樹脂製の保持部材22とを有する。なお、袋状部21の側面形状は矩形状に限るものではなく、例えば略円形状、略楕円形状などとすることもできるし、特定の形状でなくとも良い。また、ここでは、アルミラミネートフィルムから袋状部21を形成しているが、袋状部21を形成する部材の材質はこれに限られるものではない。ただし、シール性の点から、少なくともアルミラミネートフィルムを含む部材で形成することが好ましい。
保持部材22には、袋状部21内にインクを充填するときに用いる内部に通孔が形成されたインク充填用の筒状開口部(インク充填口部)23が一体的に成形され、このインク充填口部23は途中を融かすことで封止部24のように、内部の通孔を封止している。
また、保持部材22には、袋状部21内のインクを記録装置に供給(補給)するための内部に通孔が形成されたインク供給用の筒状開口部(インク供給口部)25が一体的に成形され、このインク供給口部25の先端部には内部にゴムなどの弾性体26を保持するキャップ部材27が嵌め込まれている。なお、弾性体26は記録装置本体側から中空で針状の供給針が刺し込まれることにより、密閉状態を維持したままで記録装置本体側へのインク供給が可能になる。
インク袋2は記録装置への脱着を容易にするために、ハードケースに収納して使用されることが多いため、保持部材22にはハードケースへ係合するための係合突部28、29が一体的に形成されている。
上記インクカートリッジでは、袋が折れ曲がるとそこにインクが残留することが多く、そのまま長期保存されると顔料が凝集することがあった。そのため通常は再利用する際に洗浄が必要であったが、本発明に係る再充填用顔料インクを用いれば、凝集した残留顔料インクを溶解することができるため、洗浄することなく再利用が可能となる。
本発明の再充填インクカートリッジの製造方法は、次の(1)又は(2)に示す工程を有する。なお、pHの測定は適宜行えばよい。
(1)・使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも高いpHを
有する再充填用顔料インクを製造する工程
・該再充填用顔料インクを、前記使用済みインクカートリッジに充填する工程
(2)・pH調整剤を加えることにより、使用済みインクカートリッジに残留している
顔料インクのpHよりも高いpHを有する再充填用顔料インクを製造する工程
・該再充填用顔料インクを、該使用済みインクカートリッジに充填する工程
前述したように、一度使用されたインクカートリッジの場合には、密閉性が破れるため空気中のCOなどの影響を受け、インクカートリッジ内に残留するpHが下がる傾向にある。しかし、本発明のように最初に充填された顔料インクよりもpHの高い顔料インクを再充填すれば、インクカートリッジを洗浄せずに再利用することができる。
また、再充填用顔料インクとして、顔料、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤を含有するインクを使用する場合において、再充填後、60℃で1ヶ月保管したときの再充填後インクのpHが8.3以上、90%粒径(体積平均粒径)が190nm以下であると、インク流路部材への悪影響を好適に回避でき、また、インクの凝集が抑制され、良好な分散状態が維持される。その結果、良好な吐出安定性を達成することが可能となる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
−残留顔料インク含有カートリッジ1〜4の作製−
ジェルジェットプリンター(リコー社製、IPSiO GX5000)用の純正仕様の4色の顔料インク(ブラックGC21KH、イエローGC21YH、マゼンタGC21MH、シアンGC21CH)を、それぞれインクカートリッジに搭載して印字を行い、使用済みとなった時点で、インクカートリッジを70℃の環境に2週間保存した。なお、この保存条件は加速試験を行うためのものである。
保存後の各カートリッジを、残留顔料インク含有カートリッジとし、ブラックインクカートリッジを「残留顔料インク含有カートリッジ1」、イエローインクカートリッジを「残留顔料インク含有カートリッジ2」、マゼンタインクカートリッジを「残留顔料インク含有カートリッジ3」、シアンインクカートリッジを「残留顔料インク含有シアンカートリッジ4」として評価に使用した。また保存後のカートリッジ内に残留しているブラックインクを「残留顔料インク1」、イエローインクを「残留顔料インク2」、マゼンタインクを「残留顔料インク3」、シアンインクを「残留顔料インク4」として、こちらも評価に使用した。
評価1:残留顔料インク1〜4の物性評価
残留顔料インクの粗大粒子数・90%粒径(体積平均粒径)・pHを測定した。結果を表1に示す。
粗大粒子数は、AccuSizer 780(Particle Sizing Systems社製)を用いて、各残留顔料インク5μL中に存在する0.5μm以上の粗大粒子数を測定した。
90%粒径(体積平均粒径)は、日機装社製のマイクロトラックUPA150を用いて、それぞれ純水で500倍に希釈して測定した。
pHは、東亜DKK社製のpHメータ HM−30Rを用いて測定した。
Figure 0006136303
<再充填用顔料インク1(ブラックインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)を添加してpH9.8に調整した後、更に室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク1を得た。
・KM−9036(東洋インキ社製・自己分散型) 40重量%
・グリセリン 10重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製) 1重量%
・イオン交換水 27重量%
−イエロー顔料分散液1の作製−
下記処方の材料を混合した後、湿式サンドミルで分散させ、遠心処理にかけて粗大粒子を取り除き、イエロー顔料分散液1を作製した。
・C.I.ピグメントイエロー 97 ・・・30重量%
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム・・・15重量%
・エチレングリコール ・・・30重量%
・純水 ・・・25重量%
−マゼンタ顔料分散液2の作製−
下記処方の材料を混合した後、3本ロールミルで分散させて、マゼンタ顔料分散液2を作製した。
・C.I.ピグメントレッド 122 ・・・30重量%
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム・・・15重量%
・グリセリン ・・・30重量%
・純水 ・・・25重量%
−シアン顔料分散液3の作製−
下記処方の材料を混合した後、湿式サンドミルで分散させて、シアン顔料分散液3を作製した。
・C.I.ピグメントブルー 15:3 ・・・30重量%
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム・・・15重量%
・エチレングリコール ・・・30重量%
・純水 ・・・25重量%
<再充填用顔料インク2(イエローインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、AEPDを添加してpH9.8に調整した後、更に室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク2を得た。
・イエロー顔料分散液1 15重量%
・グリセリン 8重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製 ) 1重量%
・イオン交換水 54重量%
<再充填用顔料インク3(マゼンタインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、AEPDを添加してpH9.5に調整した後、更に室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク3を得た。
・マゼンタ顔料分散液2 15重量%
・グリセリン 8重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製 ) 1重量%
・イオン交換水 54重量%
<再充填用顔料インク4(シアンインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、AEPDを添加してpH10.2に調整した後、更に、室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク4を得た。
・シアン顔料分散液3 15重量%
・グリセリン 8重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製) 1重量%
・イオン交換水 54重量%
<再充填用顔料インク5(ブラックインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを添加してpH9.8に調整した後、更に室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク5を得た。
・KM−9036(東洋インキ・自己分散型) 40重量%
・グリセリン 10重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製) 1重量%
・イオン交換水 27重量%
<再充填用顔料インク6(ブラックインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH9.8に調整した後、更に室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク6を得た。
・KM−9036(東洋インキ・自己分散型) 40重量%
・グリセリン 10重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 1重量%
・イオン交換水 27重量%
<再充填用顔料インク7(ブラックインク)の調製>
下記処方の材料を一旦攪拌し、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)を添加してpH8.8に調整した後、更に室温で十分に攪拌し、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過して、再充填用顔料インク7を得た。
・KM−9036(東洋インキ社製・自己分散型) 40重量%
・グリセリン 10重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製) 1重量%
・イオン交換水 27重量%
<再充填用顔料インク8(ブラックインク)の調製>
下記処方の材料を室温で十分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、pH7.2の再充填用顔料インク8を得た。
・KM−9036(東洋インキ・自己分散型) 40重量%
・グリセリン 10重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 1重量%
・イオン交換水 27重量%
<再充填用顔料インク9(イエローインク)の調製>
下記処方の材料を室温で十分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、pH7.7の再充填用顔料インク9を得た。
・イエロー顔料分散液1 15重量%
・グリセリン 8重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製 ) 1重量%
・イオン交換水 54重量%
<再充填用顔料インク10(マゼンタインク)の調製>
下記処方の材料を室温で十分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、pH7.0の再充填用顔料インク10を得た。
・マゼンタ顔料分散液2 15重量%
・グリセリン 8重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製 ) 1重量%
・イオン交換水 54重量%
<再充填用顔料インク11(シアンインク)の調製>
下記処方の材料を室温で十分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、pH7.1の再充填用顔料インク11を得た。
・シアン顔料分散液3 15重量%
・グリセリン 8重量%
・ジエチレングリコール 20重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・ソフタノールEP7025(日本触媒社製 ) 1重量%
・イオン交換水 54重量%
実施例1〜7、比較例1〜4
下記表2に示す組み合わせで、上記残留顔料インク含有カートリッジ1〜4に再充填用顔料インク1〜11を充填して、実施例及び比較例の再充填インクカートリッジを作製した。再充填インクカートリッジは、再充填後に超音波を30秒かけて、中のインクを混合させた。なお、超音波をかけるとインクカートリッジが振動してインクを混合することができるが、他の振動方法や混合方法を用いてもよい。
Figure 0006136303
上記実施例及び比較例の再充填インクカートリッジについて、下記の評価を行った。

評価2:再充填後のインクの物性評価(初期)
再充填後のインクの粗大粒子数・90%粒径(体積平均粒径)・pHを測定した。測定は、表1の場合と同様にして行った。結果を表3に示す。
Figure 0006136303
評価3:再充填後のインクの物性評価(保存後)
各再充填インクカートリッジを60℃の環境で1ヶ月保管した後、再充填カートリッジ内のインクについて、粗大粒子数・90%粒径(体積平均粒径)・pHを測定した。測定は、表1の場合と同様にして行った。結果を表4に示す。
Figure 0006136303
評価4:再充填用顔料インクの吐出安定性評価
評価3で用いた保存後の再充填インクカートリッジをプリンターにセットして初期充填を行い、室温で1週間放置した後、連続印字評価を行った。
評価機にはリコー社製ジェルジェット プリンター IPSiO GX3000を使用し、各色とも同じ吐出量となるベタのチャートをクリーニングなしで連続印字し、画像かすれが生じる枚数をチェックした。前記表3及び表4に示した初期物性及び保存後物性における粗大粒子数の差から得られる保存前後の粗大粒子数の増加分と、印字枚数の関係を表5に示す。
Figure 0006136303
表5から分かるように、実施例1〜7では、比較例1〜4に比べて粗大粒子数の増加分を顕著に低く抑えることができ、良好な吐出安定性を確保することができる。
2 インク袋
21 袋状部
22 保持部材
23 インク充填用の筒状開口部
24 封止部
25 インク供給用の筒状開口部
26 弾性体
27 キャップ部材
28 係合突部
29 係合突部
特開2008−179804号公報 特開2002−121435号公報

Claims (5)

  1. 使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも高いpHを有する再充填用顔料インクを製造する工程、該再充填用顔料インクを前記使用済みインクカートリッジに充填する工程からなることを特徴とする再充填インクカートリッジの製造方法。
  2. pH調整剤を加えることにより、使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも高いpHを有する再充填用顔料インクを製造する工程、該再充填用顔料インクを、前記使用済みインクカートリッジに充填する工程からなることを特徴とする再充填インクカートリッジの製造方法。
  3. 前記再充填用顔料インクが、少なくとも顔料、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤を含有することを特徴とする請求項2記載の再充填インクカートリッジの製造方法。
  4. 前記pH調整剤がアルカンジオール型のpH調整剤であることを特徴とする請求項2又は3記載の再充填インクカートリッジの製造方法。
  5. 顔料インクが残留する使用済みインクカートリッジに、再充填用顔料インクを再充填することにより得られる、再充填後インクを有する再充填インクカートリッジの製造方法において、前記再充填用顔料インクとして、顔料、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤を含有する顔料インクを使用し、再充填後、60℃で1ヶ月保管したときの再充填後インクのpHが8.3以上、90%粒径(体積平均粒径)が190nm以下であり、前記使用済みインクカートリッジに残留している顔料インクのpHよりも前記再充填用顔料インクのpHの方が高く、更に、使用済みインクカートリッジの内部を洗浄する洗浄工程を設けないことを特徴とする再充填インクカートリッジの製造方法。
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