JP4320743B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転機に電力を供給するインバータのスイッチング素子を操作することで該回転機の回転に関する物理量を制御する回転機の制御装置に関する。
例えば下記特許文献1に見られるように、3相回転機に対する指令電流によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限と実電流との大小に基づきインバータのスイッチング素子を操作することで、実電流を、要求トルクを生成するための要求電流にフィードバック制御する瞬時電流値制御を行う制御装置が周知である。
また、回転機の出力トルクや回転速度が大きい領域においては、回転機の電気角の1周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるようにスイッチング素子を操作するいわゆる矩形波制御を行う制御装置も周知である。矩形波制御によれば、高出力、高回転領域において電力損失の増大を抑制することができるのみならず、インバータの入力電圧に対する相間電圧の1次成分の実効値によって定義される電圧利用率を向上させることもできる。
なお、上記以外にも、下記特許文献2に見られる制御装置もある。
特開平10−174453号公報 特開2003−235270号公報
ただし、上記瞬時電流値制御では、高回転速度に移行するにつれて、実電流が指令電流からずれ、ひいては、要求トルクを生成することが困難となるおそれがある。すなわち、通常運転時には、インバータの入力電圧が3相回転機の逆起電力よりも大きいために、実電流の変化速度が指令電流の変化速度よりも十分大きい。このため、実電流がヒステリシス領域内で小刻みに変化しつつも指令電流への追従が可能となる。これに対し、高回転速度領域では、3相回転機を流れる実電流と指令電流との位相ずれが顕著となる。これは、高回転速度領域ではインバータの入力電圧と3相回転機の逆起電力との差が小さくなるために、3相回転機を流れる実電流の変化速度が指令電流の変化速度と同程度となるためである。
そして、指令電流と実電流との間に位相ずれが生じると、要求トルクに対して実際に3相回転機が出力するトルクがずれたものとなる。
これに対し、矩形波制御では、高回転速度、高出力トルク領域において回転機の出力トルクを要求トルクに適切に制御することができる。ただし、矩形波制御では、回転機を流れる電流がオープン制御されることとなるため、電流が過度に大きくなる等の可能性を否定できない。そして回転機に過度に大きい電流が流れると、インバータのスイッチング素子の信頼性を低下させる等の不都合が生じることとなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転機の出力トルクを要求トルクにより適切に制御することのできる回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、前記回転機の電気角の1回転周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるように前記スイッチング素子を操作することで、前記回転機の出力トルクを要求トルクに制御する矩形波制御手段と、前記回転機に対する指令電流よりも大きい値を上限値として且つ前記指令電流よりも小さい値を下限値とするヒステリシス領域内に実電流を制御すべく、前記ヒステリシス領域の上限及び下限と前記実電流との大小関係に基づき前記インバータのスイッチング素子を操作する瞬時電流値制御手段と、前記矩形波制御手段による制御がなされているときに前記回転機を流れる電流が前記ヒステリシス領域から外れる場合、前記瞬時電流値制御手段による制御に切り替える切替手段とを備えることを特徴とする。
上記発明では、矩形波制御手段による制御を行うことで、インバータの入力電圧に対する相電圧の1次成分の実効値で定義される電圧利用率を理論上最大とすることができる。このため、高回転速度領域や、高出力トルク領域においても、回転機の出力トルクを、要求トルクに好適に制御することができる。ただし、矩形波制御手段による制御では、回転機を流れる実電流をフィードバック制御することができない。このため、例えば回転速度が急激に低下することで回転機の誘起電圧が急減する際には、実電流が過度に多くなる等の問題を生じる。この点、上記発明では、切替手段を備えることで、回転機の実電流を適切にフィードバック制御することができるため、実電流の制御性の低下を好適に回避することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記矩形波制御手段は、前記瞬時電流値制御手段の前記指令電流を、前記要求トルクを生成するための要求電流と同周期且つ該要求電流よりも振幅の大きい大振幅指令電流とする手段と、前記大振幅指令電流の値が前記要求電流の値と交わるタイミングを予測する交点予測手段と、該交わるタイミングにおいて前記瞬時電流値制御手段による前記スイッチング素子の操作状態の切り替えが未だなされていないときに前記操作状態を強制的に切り替える強制手段とを備えることを特徴とする。
指令電流を、要求電流と同周期且つ要求電流よりも大きな振幅として瞬時電流値制御を行うと、指令電流の振幅が大きいために、指令電流と実電流が交差するタイミング近傍において、実電流が上記ヒステリシス領域をはみ出す。このため、指令電流と実電流が交差するタイミング近傍において、スイッチング素子の操作状態が切り替わることとなる。このため、瞬時電流値制御手段による制御によって、回転機の電気角の1回転周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるようにスイッチング素子を操作することができる。しかも、大振幅指令電流の位相を適合することで、大振幅指令電流と実電流とが交わる際の位相を調節することができ、ひいてはスイッチングの切り替えの位相を調節することができる。これにより、回転機の実電流を要求電流に適切にフィードバック制御することができる。
ただし、この場合、実電流がヒステリシス領域をはみ出してから瞬時電流値制御手段による次の制御タイミングまでの間は、瞬時電流値制御手段によってはスイッチング素子の操作状態が切り替えられることはない。このため、大振幅指令電流を用いた瞬時電流値制御手段によるスイッチング素子の操作状態の切り替えタイミングは、矩形波制御によって要求トルクを生成するための切り替えタイミングに対して遅延するおそれがある。この点、上記発明では、大振幅指令電流と要求電流とが交わるタイミングにおいてスイッチング素子の操作状態を切り替えることで、瞬時電流値制御手段に矩形波制御の一端を担わせつつも、これによっては矩形波制御を適切に行うことができないときにこれを補償することができる。
請求項3記載の発明は、回転機の実電流を要求トルクを生成するための要求電流にフィードバック制御すべく、前記回転機に対する指令電流よりも大きい値を上限値として且つ前記指令電流よりも小さい値を下限値とする所定のヒステリシス領域の上限及び下限と前記実電流との大小関係に基づきインバータのスイッチング素子を操作する瞬時電流値制御手段と、前記指令電流を、前記要求電流と同周期且つ前記要求電流よりも大きい振幅を有する大振幅指令電流に設定する設定手段と、前記大振幅指令電流が前記要求電流と交わるタイミングを予測する交点予測手段と、該交わるタイミングにおいて前記瞬時電流値制御手段によって前記スイッチング素子の操作状態が未だ切り替えられていないときに前記操作状態を強制的に切り替える強制手段とを備えることを特徴とする。
指令電流を、要求電流と同周期且つ要求電流よりも大きな振幅として瞬時電流値制御を行うと、指令電流の振幅が大きいために、指令電流と実電流が交差するタイミング近傍において、実電流が上記ヒステリシス領域をはみ出す。このため、指令電流と実電流が交差するタイミング近傍において、スイッチング素子の操作状態が切り替わることとなる。このため、回転機の電気角の1回転周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるようにスイッチング素子を操作することができる。しかも、大振幅指令電流の位相を適合することで、スイッチングの切り替えの位相を調節することができ、ひいては、回転機の実電流を要求電流に適切にフィードバック制御することができる。
ただし、この場合、実電流がヒステリシス領域をはみ出してから瞬時電流値制御手段による次の制御タイミングまでの間は、瞬時電流値制御手段によってはスイッチング素子の操作状態が切り替えられることはない。このため、大振幅指令電流を用いた瞬時電流値制御手段によるスイッチング素子の操作状態の切り替えタイミングは、矩形波制御によって要求トルクを生成するための切り替えタイミングに対して遅延するおそれがある。この点、上記発明では、強制手段を備えることで、こうした問題を回避することができる。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記強制手段による切り替えがなされた時点から予め定められた期間、前記瞬時電流値制御手段による前記スイッチング素子の操作状態の切り替えを禁止する禁止手段を更に備えることを特徴とする。
強制手段によるスイッチング素子の操作状態の切り替えがなされた直後においては、瞬時電流値制御手段によるスイッチング素子の操作指令が強制手段による操作指令と相違すると考えられる。このため、強制手段による切り替え直後から瞬時電流値制御手段によるスイッチング素子の操作を許可する場合には、要求トルクを生成するために適切な位相でスイッチング素子が切り替えられているにもかかわらず、これが妨げられるおそれがある。この点、上記発明では、禁止手段を備えることで、こうした問題を回避することができる。
なお、禁止手段によって切り替えを禁止する所定期間は、回転機の回転に伴う電気角の半回転(指令電流の半周期)よりも短い期間とすることが望ましい。特に所定期間は、瞬時電流値制御手段によるスイッチング素子の操作指令と強制手段による操作指令とが一致するまでに要すると想定される期間以上であって且つ極力短い期間とすることが望ましい。
請求項5記載の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記交点予測手段は、前記瞬時電流値制御の次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流の値及び前記要求電流の値を予測する電流値予測手段と、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての今回の制御タイミングの値及び前記予測される次回の制御タイミングの値の大小関係の変化に基づき前記次回の制御タイミングまでに前記交わるタイミングが生じるか否かを判断する判断手段と、前記交わるタイミングが生じると判断されるとき、前記交わるタイミングまでの所要時間を算出する所要時間算出手段とを備えることを特徴とする。
今回の制御タイミングから次回の制御タイミングまでの期間において大振幅指令電流が要求電流と交わる場合、大振幅指令電流と要求電流との大小関係は、今回の制御タイミングと次回の制御タイミングとで逆転すると考えられる。上記判断手段は、この点に着目し、交わるタイミングが生じるか否かを適切に判断することができる。そして交わるタイミングが生じるとの判断がなされるときに所要時間を算出することで、所要時間を適切に算出することもできる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記強制手段は、更に、前記大振幅指令電流及び前記要求電流の大小関係が前回の制御タイミングと今回の制御タイミングとで互いに相違して且つ、前記前回の制御タイミングから前記今回の制御タイミングまでに前記スイッチング素子の操作状態が切り替えられていないとき、前記操作状態を強制的に切り替えることを特徴とする。
上記電流値予測手段による予測に誤差が生じると、今回の制御タイミングから次回の制御タイミングまでの間に大振幅指令電流と要求電流とが交わるタイミングがあるにもかかわらず、判断手段によって交わるタイミングがないと誤判断されるおそれがある。この場合には、瞬時電流値制御によってスイッチング素子の操作状態の切り替えがなされない限り、スイッチング素子の操作状態の切り替えがなされないおそれがある。こうした事態が生じる場合、次回の制御タイミングとなるときには、大振幅指令電流と要求電流との大小関係が逆転している。上記発明では、この点に着目し、上記電流値予測手段の予測誤差に起因するスイッチング素子の操作状態の切り替えに遅延が生じることを上記大小関係の逆転に基づき判断し、遅延が生じているときには直ちにスイッチング素子の操作状態を切り替えることで、遅延時間を極力低減することができる。
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記瞬時電流値制御手段は、前記要求トルクを生成するための要求電流を指令電流とするものであって且つ、前記ヒステリシス領域の上限よりも前記実電流の方が大きいとき、前記ヒステリシス領域内に前記実電流が包含されているとき、及び前記ヒステリシス領域の下限よりも前記実電流が小さいときのそれぞれで各別の論理値を出力する出力手段を備え、前記切替手段は、前記出力手段の論理値に基づき前記切り替えを行うことを特徴とする。
上記発明では、矩形波制御手段による制御がなされつつも、要求電流に応じて定まるヒステリシス領域から実電流が外れるときには、出力手段の論理値に基づきこれを把握することができる。このため、こうした状況下には瞬時電流値制御を行うことができるため、矩形波制御を行いつつも、実電流を要求電流に適切にフィードバック制御することができる。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記ヒステリシス領域を、前記回転機の回転速度及び前記回転機のトルクに応じて可変設定することを特徴とする。
ヒステリシス領域の上限及び下限間の幅(ヒステリシス幅)を狭くするほど、実電流が要求電流からずれるずれ量を小さくすることができる。ただし、ヒステリシス幅を過度に小さくすると矩形波制御が正常になされているにもかかわらず実電流がヒステリシス領域からはみ出す。そして、この場合には、矩形波制御が妨げられ、電圧利用率が低下する。ここで、矩形波制御が正常になされているときの実電流と要求電流とのずれ量の最大値は、回転速度や要求トルクに応じて変化する。この点、上記発明では、回転速度やトルクに応じてヒステリシス領域(ヒステリシス幅)を可変設定することで、矩形波制御が正常になされているときにこれが妨げられることを回避しつつも、実電流を要求電流に極力追従させることができる。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の発明において、前記ヒステリシス領域は、矩形波制御が正常になされているときにおける前記指令電流及び前記実電流のずれ量が最大値となるときの前記実電流を包含するように設定されてなることを特徴とする。
上記発明では、矩形波制御が正常になされているときにこれが妨げられることを回避することができる。
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれかに記載の発明において、前記矩形波制御手段は、前記要求電流と同周期且つ該要求電流よりも振幅の大きい大振幅指令電流が前記要求電流と交わるタイミングを予測する交点予測手段と、該交点予測手段によって予測されるタイミングで前記スイッチング素子の操作状態の切り替えを行う手段とを備えることを特徴とする。
上記発明では、大振幅指令電流が要求電流となるタイミングによって、矩形波制御によるスイッチング素子の操作状態の切り替えタイミングを規定することができる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記交点予測手段は、前記矩形波制御の次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流を予測する電流値予測手段と、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての今回の制御タイミングの値及び前記予測される次回の制御タイミングの値の大小関係の変化に基づき前記次回の制御タイミングまでの間に前記交わるタイミングが生じるか否かを判断する判断手段と、前記交わるタイミングが生じると判断されるとき、前記交わるタイミングまでの所要時間を算出する所要時間算出手段とを備えることを特徴とする。
今回の制御タイミングから次回の制御タイミングまでの期間において大振幅指令電流が要求電流と交わる場合、大振幅指令電流と要求電流との大小関係は、今回の制御タイミングと次回の制御タイミングとで逆転すると考えられる。上記判断手段は、この点に着目し、交わるタイミングが生じるか否かを適切に判断することができる。そして交わるタイミングが生じるとの判断がなされるときに所要時間を算出することで、所要時間を適切に算出することもできる。
請求項12記載の発明は、請求項5,6,11のいずれかに記載の発明において、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての静止座標系での値を設定する手段と、該静止座標系での値を回転座標系での値に変換する変換手段とを更に備え、前記電流値予測手段は、前記静止座標系での値を入力信号とする前記変換手段の出力信号に基づき前記大振幅指令電流及び前記要求電流の時間微分演算を行う手段と、該時間微分演算結果に基づき、前記次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流をテイラー級数によって算出する手段とを備えることを特徴とする。
静止座標系での値を回転座標系にて変換することで大振幅指令電流や要求電流を算出する場合、この変換は、通常、三角関数にて定義される。このため、大振幅指令電流や要求電流は微分可能な曲線となり、その所定時間後の値は、テイラー級数によって近似することができる。ここで、大振幅指令電流や要求電流の時間微分演算は、静止座標系でのこれらの値に基づき、上記変換手段を用いて行うことができる。換言すれば、静止座標系での値を回転座標系での値に変換する変換手段の変換処理によって、上記微分演算をするのと等価の演算をすることができる。上記発明では、この点に着目し、所定次数のテイラー級数を簡易に算出することができ、ひいては次回の制御タイミングにおける大振幅指令電流や要求電流を簡易に予測することができる。
なお、請求項12記載の発明は、請求項13記載の発明によるように、前記電流値予測手段は、1次又は2次までのテイラー級数によって前記算出を行うことを特徴としてもよい。
請求項14記載の発明は、請求項5,6,11のいずれかに記載の発明において、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての静止座標系での値を設定する手段と、該静止座標系での値を回転座標系での値に変換する変換手段とを更に備え、前記電流値予測手段は、前記制御タイミング間の時間間隔と前記回転機の現在の電気角速度との乗算値を算出する手段と、前記現在の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての静止座標系での値をそれぞれ、現在の電気角度を前記乗算値だけ進角させた電気角度を用いて前記変換手段により変換することで前記次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流を予測することを特徴とする。
上記発明では、大振幅指令電流及び要求電流の静止座標系での値を回転座標系での値に変換するに際し、変換に用いる電気角を現在の値に対し上記乗算値だけ進角させることで、次回の制御タイミングにおける大振幅指令電流及び要求電流を算出することができる。
なお、請求項5及び6及び11〜14のいずれかに記載の発明は、請求項15記載の発明によるように、前記矩形波制御手段は、前記所要時間算出手段によって所要時間が算出されてからの時刻を計時する計時手段と、該計時手段によって計時される時間が前記所要時間と一致するときに前記切り替えを行う手段とを備えることを特徴としてもよい。
請求項16記載の発明は、請求項15記載の発明において、前記大振幅指令電流の振幅は、前記計時手段の計時動作の周期Tc、前記大振幅指令電流の最小単位量Ad、前記大振幅指令電流を用いる際の前記回転機の最小電気角速度ωminを用いて、「Ad/(ωmin×Tc)」以上となるように設定されてなることを特徴とする。
制御タイミング間の時間間隔Tと計時動作の周期Tcとによって、時間間隔Tの間の計時動作回数を、「T/Tc」と表すことができる。一方、時間間隔Tの間に、大振幅指令電流が増加する増加回数を、制御装置による大振幅指令電流の表現の最小単位量Adと、電気角速度ωと、大振幅指令電流の変化速度dA2とによって表現すると、「ω×A2×T/Ad」となる。時間間隔T内では要求電流の変化は無視できるとものとすると、大振幅指令電流が要求電流と交わるタイミングの算出精度を計時動作の精度と同程度以上とするためには、「ω×A2×T/Ad≧T/Tc」とする必要がある。これから、「A2≧Ad/(ω×Tc)」が求まる。ここで、右辺はωが小さいほど大きくなる。このため、大振幅指令電流を用いる際の回転機の最小電気角速度ωminを用いると、振幅A2が満たすべき式は、「A2≧Ad/(ωmin×Tc)」となる。
請求項17記載の発明は、請求項5,6,11〜16記載の発明において、前記所要時間算出手段は、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についてのそれぞれの時間微分値の差に対する前記大振幅指令電流及び前記要求電流の差に基づき前記所要時間を算出することを特徴とする。
上記発明では、今回の制御タイミングから次回の制御タイミングまでの短い時間間隔において大振幅指令電流と要求電流とを線形近似することで所要時間を簡易に算出することができる。特に、静止座標系での値を回転座標系での値に変換する変換手段を備えて大振幅指令電流及び要求電流を算出する場合には、変換手段を流用することで時間微分値を簡易に算出可能である。
請求項18記載の発明は、請求項2〜6のいずれかに記載の発明において、前記大振幅指令電流の振幅は、前記インバータの最大定格電流値に2の平方根を乗算した値以下に設定されてなることを特徴とする。
上記発明では、大振幅指令電流の振幅を最大定格電流に2の平方根を乗算した値以下に設定するために、インバータを流れる電流の絶対値が最大定格電流を越えて大きくなるときには、大振幅指令電流によって定まるヒステリシス領域から実電流がはみ出す。このため、上記実電流の絶対値を減少させるようフィードバック制御がなされることとなる。このため、上記発明では、インバータを流れる電流が最大定格電流を越えることを好適に抑制することができる。
請求項19記載の発明は、請求項2〜6、10〜18のいずれかに記載の発明において、前記電気角度の1回転周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるように前記スイッチング素子を操作することで前記要求トルクを実現するための前記スイッチング素子の操作状態の切り替えタイミングにおいて、前記大振幅指令電流が前記要求電流と交わるように適合されてなることを特徴とする。
上記発明では、大振幅指令電流と実電流が交わるタイミング近傍において瞬時電流値制御によりスイッチング素子の操作が切り替えられる。ここで、上記発明では、大振幅指令電流と実電流が交わるタイミングを、要求電流を実現するための矩形波制御によるスイッチング素子の操作状態の切り替えタイミングとすることで、瞬時電流値制御によって、矩形波制御によるスイッチング素子の操作状態の切り替えタイミング近傍において切り替えを行うことができる。
請求項20記載の発明は、請求項2〜6、10〜19のいずれかに記載の発明において、前記大振幅指令電流の振幅A2は、前記要求電流の振幅A1よりも大きな値に設定されて且つ、前記大振幅指令電流の位相T2は、前記要求電流の一周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるように前記スイッチング素子を操作することで前記要求トルクを実現するために想定される前記操作状態の切り替え位相T3と前記要求電流の位相T1とによって、
T2=T3−arcsin{(A1/A2)×sin(T3−T1)}
に設定することを特徴とする。
上記発明において、回転機の電気角速度wを用いると、要求電流は、「A1×sin(wt−T1)」と、また、大振幅指令電流は、「A2×sin(wt−T2)」とそれぞれ表現される。ここで、要求電流と大振幅指令電流とが位相T3において交差すると仮定すると、以下の関係が成立する。
A1×sin(T3−T1)=A2×sin(T3−T2)
上記関係から、位相T2は、上記式によって表現されたものとなる。このため、上記発明によれば、位相T3近傍においてスイッチング操作状態の切り替えを行うことができる。
請求項21記載の発明は、請求項1、2、7〜11のいずれかに記載の発明において、前記矩形波制御手段による制御は、前記回転機の回転速度領域及び出力トルク領域の少なくとも一方においてなされるものであることを特徴とする。
上記発明では、高回転速度領域や高出力トルク領域において矩形波制御を行うことで、電力損失の増大を抑制することや、電圧利用率を向上させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる回転機の制御装置を、ハイブリッド車に搭載される3相電動機の制御装置に適用した一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に、上記3相電動機及びその制御装置の全体構成を示す。
図示されるように、3相電動機であるDCブラシレスモータ(モータ2)の3つの相(U相、V相、W相)には、インバータ10が接続されている。このインバータ10は、3相インバータであり、3つの相のそれぞれに対応したスイッチング素子12,14とスイッチング素子16,18とスイッチング素子20,22との並列接続体を備えて構成されている。更に、インバータ10は、各スイッチング素子12〜22に逆並列に接続されたダイオード24〜34を備えている。そして、スイッチング素子12及びスイッチング素子14を直列接続する接続点がモータ2のU相と接続されている。また、スイッチング素子16及びスイッチング素子18を直列接続する接続点がモータ2のV相と接続されている。更に、スイッチング素子20及びスイッチング素子22を直列接続する接続点がモータ2のW相と接続されている。ちなみに、これらスイッチング素子12〜22は、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)によって構成されている。
インバータ10の各1組のスイッチング素子12,14とスイッチング素子16,18とスイッチング素子20,22との両端には、平滑コンデンサ40を介してバッテリ42の電圧が印加されている。
一方、マイクロコンピュータ(マイコン50)は、中央処理装置(CPU50a)や、読み出し専用メモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)等からなるメモリ50b、タイマ50c、レジスタ50d、一致検出器50e、出力ポート50f等を備えて構成されている。ここで、CPU50aは、定期的な演算周期に加えて、一致検出器50eの立ち上がりエッジをトリガとして、メモリ50b内のROMに記憶されているプログラムを実行する。このプログラムの実行は、各種演算パラメータ値をメモリ50b内のRAMに一時的に記憶させつつ行われる。一致検出器50eは、CPU50aによって任意の値に設定されるレジスタ50dの値と、所定周期で増加していくタイマ50cの値とを入力として、これらが一致するときに論理「1」のパルス信号を出力する。
上記マイコン50は、モータ2の出力軸の回転角度を検出する位置センサ52や、U相及びV相に流れる電流を検出する電流センサ54,56の検出結果を取り込む。そして、マイコン50は、W相に流れる電流を、キルヒホッフの法則に基づき、U相を流れる電流とV相を流れる電流とから算出する。そして、マイコン50は、上記モータ2の出力軸の回転角度や3つの相を流れるそれぞれの電流等に基づき、ゲート駆動回路58a〜58cを介してスイッチング素子12〜22を操作することで、モータ2の回転に関する物理量(出力軸から出力されるトルク等)を制御する。
図2に、マイコン50の行なう処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための操作信号の生成に関する処理の機能ブロック図を示す。
図2において、回転速度算出部60は、位置センサ52によって検出されるモータ2の回転角度θに基づき、モータ2の回転速度を算出する部分である。一方、dq軸電流指令値算出部62は、回転速度算出部60によって算出される回転速度と外部から取り込まれる要求トルクとに基づき、要求トルクを生成するためのdq軸上の要求電流である第1指令値id1,iq1を算出する部分である。また、dq軸電流指令値算出部62は、回転速度算出部60によって算出される回転速度と外部から取り込まれる要求トルクとに基づき、dq軸上での第2指令値id2,iq2をも算出する。
電流指令値切替部64は、上記第1指令値id1,iq1又は第2指令値id2,iq2のいずれかを選択して出力する部分である。2相3相変換部66は、上記電流指令値切替部64によって選択される最終的なdq軸上の指令値idc,iqcを3相の指令電流iuc,ivc,iwcに変換する部分である。この際、位置センサ52によって検出される回転角度θに、モータ2の極対数pを乗算することで算出される電気角度を用いる。
上記指令電流iuc,ivc,iwcは、それぞれヒステリシスコンパレータ70,72,74に入力される。また、ヒステリシスコンパレータ70,72,74には、電流センサ54によって検出される実電流iu、電流センサ56によって検出される実電流iv、減算部76において実電流iu,ivの和の「−1」倍として算出される実電流iwがそれぞれ取り込まれる。
そして、ヒステリシスコンパレータ70では、指令電流iucによって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流iuとの大小に基づき、駆動パルスgucを出力する。最終スイッチング信号決定部80では、所定の条件下、駆動パルスgucを、上記パワースイッチング素子12,14をスイッチングする操作信号guとする。ヒステリシスコンパレータ72では、指令電流ivcによって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流ivとの大小に基づき、駆動パルスgvcを出力する。最終スイッチング信号決定部80では、所定の条件下、駆動パルスgvcを、上記パワースイッチング素子16,18をスイッチングする操作信号gvとする。ヒステリシスコンパレータ74では、指令電流iwcによって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流iwとの大小に基づき、駆動パルスgwcを出力する。最終スイッチング信号決定部80では、所定の条件下、駆動パルスgwcを、上記パワースイッチング素子20,22をスイッチングする操作信号gwとする。なお、これら操作信号gu,gv,gwが論理「H」であるとき、先の図1に示したゲート駆動回路58a〜58cでは、上側アームのスイッチング素子SW12,SW16,SW20をオンとして且つ下側アームのスイッチング素子SW14,SW18,SW22をオフとする。また、操作信号gu,gv,gwが論理「L」であるとき、先の図1に示したゲート駆動回路58a〜58cでは、上側アームのスイッチング素子SW12,SW16,SW20をオフとして且つ下側アームのスイッチング素子SW14,SW18,SW22をオンとする
これにより、図3にU相について示すように、指令電流iucよりもヒステリシス幅hysの「1/2」だけ大きい値と指令電流iucよりもヒステリシス幅hysの「1/2」だけ小さい値との間の領域(ヒステリシス領域)内に入るように、実電流iuが制御される。
ところで、実電流iu,iv,iwを指令電流iuc,ivc,iwcによって定まるヒステリシス領域内となるようにフィードバック制御する瞬時電流値制御をする場合、モータ2の回転速度が高い領域では、モータ2を流れる電流(より正確には、指令電流iuc,ivc,iwc)の一周期と駆動パルスgu,gv,gwの周期とが一致するいわゆる矩形波制御となる傾向にある。矩形波制御は、インバータ10の入力電圧(バッテリ42の電圧)に対するモータ2に印加される相間電圧の1次成分の実効値の比である電圧利用率が理論上最大となる制御である。しかし、モータ2の回転速度が高い領域では、モータ2の逆起電力がインバータ10の入力電圧と近似する。このため、実電流iu,iv,iwと指令電流iuc,ivc,iwcとの間に位相ずれを生じ、ひいてはモータ2のトルクを要求トルクとすることができなくなることについては上述したとおりである。
そこで、本実施形態では、回転速度が高い領域において、要求トルクを生成するための第1指令値id1,iq1に代えて、第2指令値id2,iq2を用いて瞬時電流値制御を行う。ここではまず、第2指令値id2,iq2に基づく3相の指令電流iuc2,ivc2,iwc2を、図4にU相について例示する態様にて生成する。
すなわち、3相の第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2は、3相の第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1よりもその振幅が大きく、且つ位相がずれたものとなっている。この第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2は、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1と、矩形波制御により要求トルクを生成するための適切な駆動パルスguaとによって算出される。
すなわち、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2と第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1との交差タイミングが、矩形波制御により要求トルクを生成するための適切な駆動パルスgua,guva,gwaの反転タイミングと一致するように、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2を生成する。これにより、瞬時電流値制御により生成される駆動パルスguc,gvc,gwcは、矩形波制御によって要求トルクを生成することのできる駆動パルスgua,gva,gwaと近似する。これは、以下の理由による。
時刻t1においては、第1指令電流iuc1よりも第2指令電流iuc2の方が小さい。このため、実電流が要求トルクを生成するための要求電流(すなわち、第1指令電流iuc1)に追従しているとすると、第2指令電流iuc2を用いたときのヒステリシスコンパレータ72の出力する駆動パルスgucは、論理「L」となる。その後、第2指令電流iuc2が第1指令電流iuc1と交差するときには、実電流iuと第2指令電流iuc2との大小関係が逆転する。ここで、第2指令電流iuc2の振幅を大きく取ることにより、ヒステリシスコンパレータ72の出力する駆動パルスgucも、時刻t2近傍で論理反転する。このため、駆動パルスgucを、矩形波制御によって要求トルクを生成するためのパルス信号とすることができる。
なお、図中、駆動パルスguaは、その波高値が第2指令電流iuc2と一致しているが、駆動パルスguの電圧の基準と第2指令電流iuc2の電流の基準とを調整することで便宜上一致させているに過ぎない。
以下、マイコン50における第2指令電流に基づく瞬時電流値制御の処理手法について説明する。
図5に、上記電流指令値切替部64による処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、要求トルクが規定トルクαより大きく且つ回転速度が規定回転速度βよりも大きいか否かを判断する。この判断は、モータ2の逆起電力とインバータ10の入力電圧とが近似するか否かを判断するためのものである。そして、大きくないと判断されるときには、ステップS12において第1指令値id1,iq1が選択され、大きいと判断されるときには、ステップS14において第2指令値id2,iq2が選択される。
図6に、dq軸電流指令値算出部62による第1指令値id1,iq1及び第2指令値id2,iq2の算出処理の手順を示す。この処理は、例えば先の図5のステップS10において肯定判断されているときに所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS20において、要求トルクと回転速度とから矩形波制御におけるスイッチング素子12〜22のオン操作のタイミング(スイッチング位相T3)と、3相における第2指令電流の振幅A2とを算出する。ここで、矩形波制御のスイッチング位相T3は、要求トルク及び回転速度とスイッチング位相T3との関係を、予めシミュレーションや実験等によって求めておく。また、第2指令電流の振幅A2は、インバータ10の最大定格電流に「2」の平方根を乗算した値Amax以下とすることが望ましい。すなわち、モータ2を流れる電流が値Amaxとなるときにインバータ10を流れる電流が最大定格電流と等しくなる。このため、振幅A2を値Amax以下とすることで、モータ2を流れる電流がインバータ10の最大定格電流を越えるときには、瞬時電流値制御により電流を減少させる側にフィードバック制御される。このため、モータ2を流れる電流がインバータ10の最大定格電流を越えることを抑制することができる。この第2指令電流の振幅A2は固定値としてもよいが、第1指令電流A1の振幅が大きいほど大きくなるようにすることが望ましい。これにより、実電流iu,iv,iwが、要求トルクを生成するための要求電流値(第1指令電流)から大きく離間することを回避することができる。
続くステップS22では、第1指令電流iuc1の位相T1と、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の振幅A1とを算出する。ここで、第1指令電流iuc1は、電気角速度wを用いて以下の式によって表現される。なお、電気角速度wは、モータ2の極対数pと回転速度ω(rpm)とを用いて「w=2πpω/60」にて定義される。
A1×sin(w×t−T1) …(c1)
また、位相T1は、「arctan(−id1/−iq1)」によって定義される。また、振幅A1は、第1指令値id1,iq1のそれぞれの2乗の和の「2/3」倍の平方根である。
続くステップS24では、第2指令電流iuc2の位相T2を算出する。
ここで、第2指令電流iuc2は、下記の式によって表現される。
A2×sin(w×t−T2) …(c2)
このため、上記の式(c1)と式(c2)とが等しくなるときの位相がスイッチング位相T3であるとして下記の式が成立する。
A1×sin(T3−T1)=A2×sin(T3−T2)
したがって、位相T2は、下記の式(c3)によって算出することができる。
T2=T3−arcsin{(A1/A2)×sin(T3−T1)}…(c3)
続くステップS26においては、第2指令値id2,iq2を以下の式によって算出する。
id2=−A2×sin(T2)
iq2=−A2×cos(T2)
図7に、上記第2指令値id2,iq2を用いた瞬時電流値制御による実電流の挙動のシミュレーション結果を示す。図7では、便宜上、U相についてのシミュレーション結果を示している。図示されるように、実電流iuは、要求トルクを生成するための要求電流である第1指令電流iuc1に好適に追従している。これに対し、高回転速度において第1指令電流による瞬時電流値制御をする場合のシミュレーション結果を図8に示す。この場合、実電流iuの第1指令電流iuc1に対する追従性が悪いため、モータ2の出力トルクが要求トルクからずれたものとなる。
このように、第2指令電流iuc,ivc2,iwc2を用いて瞬時電流値制御を行うことで、瞬時電流値制御によって矩形波制御を模擬することができる。ただし、瞬時電流値制御を用いた場合には、スイッチング操作状態の切り替えタイミングが、制御タイミング間の時間間隔(制御周期)に依存するため、切り替えタイミングが矩形波制御によって要求されるタイミングから遅延するおそれがある。以下、これについて詳述する。
図9に、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2を用いた瞬時電流制御によるスイッチング素子12〜22の操作状態の切り替えのうちU相を例示する。図示されるように、制御タイミングt11においては、図中太線にて示す実電流iuは、1点鎖線にて示す第2指令電流iuc2に応じて定まるヒステリシス領域(図中、細線内)よりも上側にある。そして、次の制御タイミングt12においては、実電流iuがヒステリシス領域内に入っている。このため、この段階では、ヒステリシスコンパレータ70の出力する駆動パルスgucは未だ論理反転しない。これに対し、その次の制御タイミングt13においては、実電流iuがヒステリシス領域よりも下側となる。このため、この制御タイミングt13において、ヒステリシスコンパレータ70の駆動パルスgucが論理反転し、スイッチング操作が切り替えられる。このため、要求トルクを生成するためのスイッチング操作状態の切り替えタイミングTPに対して実際のタイミングRPが遅延したものとなり、出力トルクと要求トルクとの間に誤差が生じる。
この問題を回避するためにヒステリシス領域の上限及び下限間の幅(ヒステリシス幅)を狭めることも考えられるが、ヒステリシス幅を狭めると、要求トルクを生成するためのスイッチング操作状態の切り替えタイミングTPよりも実際のタイミングが進角側となりやすい。このため、こうした手法によっても、やはり出力トルクと要求トルクとの間に誤差が生じる。
そこで本実施形態では、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1と第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2との交点となるタイミング、すなわち矩形波制御によって要求トルクを生成するためのスイッチング操作状態の切り替えタイミングにおいて、瞬時電流値制御によって未だ切り替えがなされていないときには、強制的に切り替えを行う。こうした処理を行うべく、本実施形態では、先の図2に示すように、第2指令値id2,iq2が用いられているときに第1指令値id1,iq1を3相の第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1に変換する2相3相変換部82を備えている。そして、スイッチングタイミング算出部84では、第2指令値id2,iq2が用いられているときに、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1と第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2とが交わるタイミングを算出する。そして、交わるタイミングにおいて、スイッチング操作状態の切り替えをさせるべく、交わるタイミングまでの所要時間Tu,Tv,Twとスイッチング状態の指示信号Su,Sv,Swとを最終スイッチング信号決定部80に出力する。これにより、最終スイッチング信号決定部80では、所要時間Tu,Tv,Twの経過時において瞬時電流値制御によってスイッチング操作状態の切り替えが未だなされていないときには、指示信号Su,Sv,Swに基づきスイッチング操作状態の切り替えを行う。
図10に、スイッチングタイミング算出部84等の行う処理のうち、特にU相のスイッチングタイミングの算出にかかる処理の手順を示す。この処理は、マイコン50により、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、V相、W相の処理についても、図10に示す処理と同様であるため、その説明を割愛する。
この一連の処理では、まずステップS30において、第2指令値id2,iq2による瞬時電流値制御がなされているときであるか否かを判断する。ここでは、先の図2に示した電流指令値切替部64から第2指令値id2,iq2を選択している旨の信号が出力されているか否かを判断する。そして、ステップS30において第2指令値id2,iq2が選択されていると判断されるときには、ステップS32において、U相の第1指令電流iuc1と、制御周期内でのその増加量Δiuc1とを算出する。ここで、U相の第1指令電流iuc1は、dq軸上(静止座標系)での第1指令値id1,iq1を上記2相3相変換部82によって3相(回転座標系)での第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1に変換することで行うことができる。また、増加量Δiuc1については、テイラー級数の1次の項にて近似的に算出する。以下、これについて説明する。
dq軸上での電流id,iqを、3相の電流iu,iv,iw(ここでは、実電流iu,iv,iwと同一の符号を用いているが、実電流iu,iv,iwに限らない)に変換する2相3相変換は、以下の態様にて行われる。

iu=sqrt(2/3){cos(w×t) ×id −sin(w×t) ×iq}
iv=sqrt(2/3){cos(w×t−2π/3) ×id −sin(w×t-2π/3) ×iq}
iw=sqrt(2/3){cos(w×t) ×id −sin(w×t+2π/3) ×iq}

上記各式の両辺を時間微分すると、下記の式となる。

d(iu)/dt=w×sqrt(2/3){cos(w×t) ×(-iq) −sin(w×t) ×id}
d(iv)/dt=w×sqrt(2/3){cos(w×t−2π/3) ×(-iq) −sin(w×t-2π/3) ×id}
d(iw)/dt=w×sqrt(2/3){cos(w×t) ×(-iq) −sin(w×t+2π/3) ×id}

上記の式からわかるように、時間微分演算は、2相3相変換において、電流ベクトル(id,iq)を変換対象とする代わりに、電流ベクトル(−iq,id)を変換対象とすることで行うことができる。図11に、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1及び後述する第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2の増加量Δiu,Δiv,Δiwの算出手法を示す。図示されるように、電流ベクトル(−iq,id)を2相3相変換部90にて変換した後、その出力に、乗算器92,94,96によって電気角速度wと制御周期Tとの乗算値を乗算することで、増加量Δiuc1,Δivc1,Δiwc1を算出することができる。
先の図10のステップS32の処理が完了すると、ステップS34において、U相の第2指令電流iuc2と、制御周期内でのその増加量Δiu2とを算出する。ここで、U相の第2指令電流iuc2については、先の図2に示した2相3相変換部66によって算出する。また、増加量Δiu2については、先の図11に示した手法により算出する。
続くステップS36においては、次回の第1指令電流の予測値iuc1^と第2指令電流の予測値iuc2^とを算出する。ここでは、今回の第1指令電流iuc1に増加量Δiuc1を加算することで予測値iuc1^を算出し、今回の第2指令電流iuc2に増加量Δiu2を加算することで予測値iuc2^を算出する。そして、ステップS38では、今回の第1指令電流iuc1及び第2指令電流iuc2の大小関係に対し、予測値iuc1^及び予測値iuc2^の大小関係が逆転しているか否かを判断する。この処理は、次回の制御タイミングまでの期間に、第1指令電流iuc1と第2指令電流iuc2とが交わるか否かを判断するものである。すなわち、図12に示すように、今回の制御タイミングt21と次回の制御タイミングt23との間のタイミングt22で第1指令電流iuc1と第2指令電流iuc2とが交わる場合、上記大小関係の逆転が生じる。このため、逆転に基づき交わるか否かを判断することができる。
そしてステップS38において逆転が生じると判断されるときには、ステップS40において現在の制御タイミングから上記交わるタイミングまでの所要時間Tuを算出する。ここでは、第2指令電流iuc2の時間微分値「d(iuc2)/dt」に対する第1指令電流iuc1の時間微分値「d(iuc1)/dt」の差で、現在の第1指令電流iuc1に対する第2指令電流iuc2の差を除算することで、所要時間Tuを算出する。
続くステップS42においては、今回の第1指令電流iuc1が今回の第2指令電流iuc2よりも大きく且つ、第1指令電流の予測値iuc1^が第2指令電流の予測値iuc2^よりも小さいか否かを判断する。この処理は、U相のスイッチング素子12,14のいずれをオン状態とする操作に切り替えるかを判断するものである。そして、ステップS42において肯定判断されるときにはステップS44において指示信号Suを「1」とすることで、スイッチング素子12がオン且つスイッチング素子14がオフとなるように切り替える旨指示する。また、ステップS42において否定判断されるときには、ステップS46において指示信号Suを「0」とすることで、スイッチング素子12がオフ且つスイッチング素子14がオンとなるように切り替える旨指示する。
これに対し、上記ステップS30において第2指令電流が選択されていないと判断されるときには、ステップS48において、所要時間Tuを「−1」にセットする。なお、ステップS44〜S48の処理が完了するときには、この一連の処理を一旦終了する。
図13に、最終スイッチング信号決定部80の行う処理のうち、特にU相のスイッチング制御に関する処理の手順を示す。詳しくは、図13(a)には、U相のスイッチング制御に関する処理のうち先の図10に示した処理に引き続いて実行される処理を示し、また、図13(b)には、一致検出器50eによって一致が検出されるタイミングでなされる割り込み処理を示す。なお、V相、W相の処理についても、U相と同様にして行うことができるため、その説明を割愛する。
図13(a)に示す一連の処理では、まずステップS50において、所要時間Tuが「0」以上であるか否かを判断する。この処理は、先の図10に示した処理によって、指示信号Su及び所要時間Tuが設定されることにより、指示信号Suに基づくスイッチング操作を優先させる状況か否かを判断するものである。そして、所要時間Tuが「0」以上であると判断されるときには、ステップS52において、先の図1に示したタイマ50cの現在の値に所要時間Tuを加算した値をレジスタ50dにセットする。これにより、所要時間Tu経過時にタイマ50cの値とレジスタ50dの値との一致が一致検出器50eによって検出されるため、図13(b)に示す割り込み処理が実行される。すなわち、ステップS64において指示信号Suを出力ポート50fにセットする。これにより、指示信号Suが強制的に出力されるため、瞬時電流値制御による駆動パルスgucが論理反転していない場合、スイッチング素子12、14の操作が強制的に切り替えられることとなる。そして、ステップS66においては、指示信号Suによる強制的な切り替えがなされた旨を示す割り込み履歴フラグをセットする。
図13(a)に示すステップS54では、割り込み履歴フラグがセットされているか否かを判断する。この処理は、瞬時電流値制御による駆動パルスgucを無効化する処理を行うか否かを判断するためのものである。これは、「第1指令電流iuc1と第2指令電流iuc2とが交わるタイミングで強制的にスイッチング操作状態の切り替えがなされるのは、指示信号Suと駆動パルスgucとが互いに矛盾する指令信号となっているときである」ことに鑑みてなされる処理である。このため、駆動パルスgucを無効としないと、矩形波制御のための適切なタイミングにてスイッチング操作状態を切り替えたにもかかわらず瞬時電流値制御によってスイッチング操作状態が再度切り替えられるおそれがある。
すなわち、割り込み履歴フラグがオンとされていると判断されるときには、駆動パルスgucを無効化すべく、ステップS56に移行する。ステップS56では、割り込み発生後の制御タイミングの発生回数をカウントする発生回数カウンタの値が所定値γ以上であるか否かを判断する。この処理は、駆動パルスgucの無効化を解除してもよいか否かを判断するものである。ここで、所定値γは、駆動パルスgucと指示信号Suとの指示内容が互いに異なり得ると想定される期間にわたって駆動パルスgucを無効化することのできる値であって、且つ極力小さい値に設定されている。これは、実電流iuが第1指令電流iuc1から過度に離間することのないようにするための設定である。すなわち、駆動パルスgucを極力早期に有効化することで、瞬時電流値制御による電流のフィードバック制御を開始することができ、ひいては実電流iuが第1指令電流iuc1から過度に離間する状況を回避することができる。ここでは、特に、無効化の期間が第1指令電流iuc1の半周期「2π/w」よりも極力短い時間とする。この期間は、ヒステリシス幅の設定に依存するが、概ね「20〜200μs」でよい。
そして発生回数カウンタが所定値γ未満であると判断されるときには、ステップS58において、発生回数カウンタをインクリメントする。これに対し、発生回数カウンタが所定値γ以上であると判断されるときには、割り込み履歴フラグ及び発生回数カウンタをリセットする。
これに対し、上記ステップS54において割り込み履歴フラグがセットされていないと判断されるときには、ステップS62において、駆動パルスgucを出力ポート50fにセットすることで、駆動パルスgucを有効とする。このため、瞬時電流値制御として第1指令電流iuc1が用いられているときと、第2指令電流iuc2が用いられているときであって且つ割り込み履歴フラグがリセットされているときには、駆動パルスgucが有効化されることとなる。
なお、ステップS58,S60,S62の処理が完了するときには、この一連の処理を一旦終了する。
上記第2指令電流iuc2の振幅A2は、タイマ50cの計時周期Tc、ディジタル処理に伴う第2指令電流iuc2の最小単位量Ad、第2指令電流iuc2が選択される際の最小の電気角速度ωmin(先の図5のステップS10の規定回転速度βに極対数pを乗算した値)を用いて、「Ad/(ωmin×Tc)」以上となるように設定する。これは、以下の理由による。図14に示すように、制御タイミング間の時間間隔(制御周期T)とタイマの計時周期Tcとによって、制御周期Tの間の計時動作回数を、「T/Tc」と表すことができる。一方、制御周期Tの間に、第2指令電流iuc2が増加する回数を、最小単位量Adと、電気角速度ωと、第2指令電流iuc2の振幅A2とによって表現すると、「ω×A2×T/Ad」となる。ここでは、第1指令電流iuc1及び第2指令電流iuc2の交点近傍における第2指令電流の変化速度が「ω×A2」で近似できることを用いている。制御周期T内では第1指令電流iuc1の変化は無視できるとものとすると、第2指令電流iuc2が第1指令電流iuc1と交わるタイミングの算出精度を計時動作の精度と同程度以上とするためには、「ω×A2×T/Ad≧T/Tc」とする必要がある。これから、「A2≧Ad/(ω×Tc)」が求まる。この式から明らかなように、右辺はωが小さいほど大きくなる。よって、第2指令電流iuc2が選択される際の最小の電気角速度ωminを用いて、振幅A2が満たすべき条件は、「Ad/(ωmin×Tc)」以上であることとなる。
図15に、本実施形態にかかるトルク制御のシミュレーション結果を示す。図示されるように、指示信号Suによる強制的な切り替え処理を用いることで、平均トルクと要求トルクとが一致し、要求トルクへの制御を高精度に行うことができている。これに対し、図16に、指示信号Suによる強制的な切り替えを行わず、第2指令電流iuc2による瞬時電流値制御を行った場合を示す。この場合、瞬時トルクが、実電流iuの2周期程度を周期として脈動し、トルク平均も要求トルクからずれたものとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2(大振幅指令電流)が第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1(要求電流)と交わるタイミングにおいて、瞬時電流値制御によってスイッチング操作状態の切り替えが未だなされていないとき、強制的に切り替えを行った。これにより、瞬時電流値制御によって矩形波制御の一端を担わせつつも、瞬時電流値制御によるスイッチング操作状態の切り替えタイミングが矩形波制御によって要求電流を生成するための切り替えタイミングに対して遅延することを回避することができる。
(2)強制的な切り替えがなされてから所定期間、瞬時電流値制御によるスイッチング操作状態の切り替えを禁止した。これにより、強制的な切り替えによって要求トルクを生成するために適切な位相で切り替えがなされているにもかかわらず、これが妨げられることを回避することができる。
(3)第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1についての今回の制御タイミングの大小関係と次回の制御タイミングの大小関係の変化に基づき、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2と第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1が次回の制御タイミングまでに交わるか否かを判断した。これにより、次回の制御タイミングまでの期間に交わるタイミングが生じるか否かを適切に判断することができる。
(4)dq軸上での指令値id1,iq1,id2,iq2を2相3相変換部90によって変換することで第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の時間微分演算を行いつつ、次回の制御タイミングにおけるこれら第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1をテイラー級数によって算出した。このように、2相3相変換部90を用いることで、テイラー級数を簡易に算出することができ、ひいては次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1を簡易に予測することができる。
(5)次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1を、テイラー級数の1次の項までで近似した。これにより、次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1をより簡易な処理にて算出することができる。
(6)第2指令電流iucの振幅A2を、タイマ50cの計時周期Tc、ディジタル処理に伴う第2指令電流iuc2の最小単位量Ad、第2指令電流iuc2が選択されるとき(矩形波制御がなされるとき)の最小電気角速度ωminを用いて、「Ad/(ωmin×Tc)」以上となるように設定した。これにより、第2指令電流iuc2が第1指令電流iuc1と交わるタイミングの算出精度を計時動作の精度と同程度以上とすることができる。
(7)所要時間Tuを、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2の時間微分値に対する第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の時間微分値の差によって第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1に対する第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2の差を除算した値として算出した。これにより、所要時間Tu,Tv,Twを簡易に算出することができる。
(8)第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2の振幅を、インバータ10の最大定格電流値に2の平方根を乗算した値以下とした。これにより、インバータ10を流れる電流の絶対値が最大定格電流を越えて大きくなることを好適に抑制することができる。
(9)矩形波制御によって要求トルクを実現するためのスイッチング操作状態の切り替えタイミングにおいて、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2が第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1と交わるように、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2を適合した。これにより、上記交わるタイミング近傍において瞬時電流値制御によりスイッチング操作状態を切り替えることができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、次回の制御タイミングでの第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2や第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1を、テイラー級数の2次の項までを用いて近似する。この際、これらの2階微分値が、電流ベクトル(id,iq)を2相3相変換して且つ「−w×w」を乗算することで得られることに着目する。図17に、本実施形態にかかる第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2の増加量Δiu2,Δiv2,Δiw2や第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の増加量Δiuc1,Δivc1,Δiwc1の算出処理を示す。
図示されるように、dq軸上の電流ベクトル(id,iq)のq軸成分を乗算器100によって符号を反転させた後、成分を入れ替えることで電流ベクトル(−iq,id)を生成する。そして、これを2相3相変換部102にて3相の電流ベクトルに変換した後、乗算器104,106,108にて「wT」を乗算することで、テイラー級数の1次の項を算出する。一方、dq軸上の電流ベクトル(id,iq)を、2相3相変換部110にて3相の電流ベクトルに変換した後、乗算器112,114,116にて「(−1/2)w×w×T×T」を乗算することで、テイラー級数の2次の項を算出する。そして、加算器118,120,122にて、1次の項と2次の項とを加算することで、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2の増加量Δiu2,Δiv2,Δiw2や第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の増加量Δiuc1,Δivc1,Δiwc1を算出する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)、(6)〜(9)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(10)次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1を、テイラー級数の2次の項までで近似した。これにより、次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1をより高精度に算出することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図18に、本実施形態にかかる次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2や第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の算出処理を示す。
図示されるように、電流ベクトル(id,iq)を2相3相変換部130にて3相の電流ベクトルに変換する際、電気角度として、次回の制御タイミングまでの回転角度間隔「wT」だけ現在の電気角度「θ×p」を進角させた角度を用いる。これにより、テイラー級数を用いることなく、次回の制御タイミングにおける第2指令電流の予測値iuc2^,ivc2^,iwc2^や第1指令電流の予測値iuc1^,ivc1^,iwc1^を算出することができる。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(6)〜(9)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(11)次回の制御タイミングまでの回転角度間隔「wT」だけ現在の電気角度「θ×p」を進角させた角度を用いて2相3相変換を行うことで、次回の制御タイミングにおける第2指令電流の予測値iuc2^,ivc2^,iwc2^や第1指令電流の予測値iuc1^,ivc1^,iwc1^を算出した。これにより、次回の制御タイミングにおける第2指令電流の予測値iuc2^,ivc2^,iwc2^や第1指令電流の予測値iuc1^,ivc1^,iwc1^を簡易に算出することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
先の第1の実施形態では、線形近似によって、次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2や第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1を予測した。しかし、この場合、次回の制御タイミングにおける第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2や第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の真の値に対して予測値が遅延するおそれがある。そしてこの場合には、矩形波制御によって要求トルクを生成するための適切なタイミングにてスイッチング操作状態の切り替えがなされないおそれがある。以下、これについて図19を用いて詳述する。
図示されるように、制御タイミングt31においては、1点鎖線にて示される第2指令電流iuc2の方が2点鎖線にて示される第1指令電流iuc1より小さい。そして、このときに線形近似にて予測される次回の制御タイミングt32における第2指令電流iuc2の予測値も第1指令電流iuc1の予測値より小さい。このため、先の図10のステップS38において逆転が生じないと判断されるために、指示信号Su等の設定がなされない。しかし、図の例では、制御タイミングt32においては、第2指令電流iuc2が第1指令電流iuc1よりも大きくなっている。そして、この時点において次回の制御タイミングt33での第2指令電流iuc2や第1指令電流iuc1の予測値を算出すると、次回の制御タイミングt33までの間に、第2指令電流iuc2と第1指令電流iuc1とが交わらないと判断されることとなる。このため、矩形波制御によるスイッチング操作状態の切り替えに処理抜けが生じ、瞬時電流値制御の駆動パルスgucが論理反転するまでスイッチング操作状態の切り替えがなされないこととなり、切り替えに遅延が生じる。
そこで本実施形態では、都度の制御タイミングにおいて、前回の制御タイミングと今回の制御タイミングとで、第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1の大小関係が逆転していて且つ、未だスイッチング操作状態の切り替えがなされていないときには、今回の制御タイミングにおいて強制的にスイッチング操作状態の切り替えを行う。
図20に、上記スイッチング操作状態の切り替えの処理抜けの補償処理のうち、特にU相の補償処理の手順を示す。この処理は、マイコン50によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、V相、W相の処理についても同様に行うことができるため、その説明を割愛する。
この一連の処理では、まずステップS80において、前回の第1指令電流iuc1old及び前回の第2指令電流iuc2oldの大小関係と、今回の第1指令電流iuc1及び今回の第2指令電流iuc2の大小関係とが逆転して且つ、割り込み履歴フラグがオフとなっているか否かを判断する。この処理は、上記スイッチング操作状態の切り替え処理の処理抜けが生じたか否かを判断するものである。そして、ステップS80において肯定判断されると、ステップS82において、所要時間Tuをゼロとする。そして、ステップS84においては、第1指令電流iuc1よりも第2指令電流iuc2の方が大きいか否かを判断する。この処理は、矩形波制御によるスイッチング状態を定めるための処理である。すなわち、第1指令電流iuc1よりも第2指令電流iuc2の方が大きい場合には、ステップS86において、スイッチング素子12をオンとして且つスイッチング素子14をオフとすべく、指示信号Suを「1」とする。一方、第1指令電流iuc1の方が第2指令電流iuc2よりも大きい場合には、ステップS88において、スイッチング素子12をオフとして且つスイッチング素子14をオンとすべく、指示信号Suを「0」とする。これにより、瞬時電流値制御によってスイッチング操作状態の切り替えがなされていない場合、先の図13に示した処理によって、強制的にスイッチング操作が切り替えられることとなる。
そして、ステップS86、S88の処理が完了するときや、上記ステップS80において否定判断されるときには、ステップS90において、前回の第1指令電流iuc1oldに今回の第1指令電流iuc1を代入するとともに、前回の第1指令電流iuc2oldに今回の第2指令電流iuc2を代入する。なお、ステップS90の処理が完了するときには、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(9)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(12)第2指令電流iuc2,ivc2,iwc2及び第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1についての前回の制御タイミングにおける値と今回の制御タイミングにおける値との大小関係が逆転して且つ、前回の制御タイミングから今回の制御タイミングまでにスイッチング操作状態が切り替えられていないとき、強制的な切り替えを行った。これにより、矩形波制御によって要求トルクを生成するための適切なスイッチング操作状態の切り替えタイミングに対する実際のタイミングの遅延の発生を極力抑制することができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図21に、本実施形態にかかるマイコン50の行う処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための操作信号の生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図21において、先の図2に示した処理と対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、要求電流に応じた第1指令値id1,iq1を2相3相変換部66にて変換することで、瞬時電流値制御の指令電流iuc,ivc,iwcを生成する。換言すれば、回転速度やトルクの大小にかかわらず、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1によって瞬時電流値制御を行う。ただし、ヒステリシスコンパレータ140,142,144を、図22に示すように、その出力信号が3つの値を取り得るものとする。すなわち、中心値(第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1)によって定義されるヒステリシス領域の下限よりも小さいときには論理値「−1」をとり、ヒステリシス領域内にあるときには論理値「0」をとり、ヒステリシス領域の上限よりも大きいときには論理値「1」を取る。
そして、ヒステリシスコンパレータ140,142,144の出力が論理値「0」であるときには、上記スイッチングタイミング算出部84によって算出される所要時間Tu,Tv、Tw及び指示信号Su,Sv,Swによってスイッチング操作状態の切り替えを行う。これに対し、ヒステリシスコンパレータ140,142,144の出力が論理値「0」でないとき、換言すれば、実電流iu,iv,iwがヒステリシス領域から外れるときには、瞬時電流値制御によってスイッチング操作状態を強制的に切り替える。
ここでヒステリシス幅は、図23に示すように、矩形波制御が正常になされているときに、瞬時電流値制御によってスイッチング操作状態の切り替えがなされないように設定する。これは、矩形波制御がなされているときのスイッチング操作状態の切り替え直前の第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1と実電流iu,iv,iwとの差として想定される値に基づきヒステリシス幅を設定することで行うことができる。これは、第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1と実電流iu,iv,iwとの差がスイッチング操作状態の切り替え直前において最大となることによる。なお、実際には、上記想定される値に、モータ2の個体差や電流センサ54,56の誤差、ノイズの影響を考慮したマージンを加算することでヒステリシス幅を設定することが望ましい。
本実施形態では、上記ヒステリシス幅を、回転速度及び要求トルクに応じて可変設定する。すなわち、図21に示されるように、ヒステリシス幅算出部150を備え、回転速度及び要求トルクに応じて、ヒステリシスコンパレータ140,142,144のヒステリシス幅を可変設定する。ヒステリシス幅算出部150では、図24に示すマップを用いてヒステリシス幅を可変設定する。このマップは、正常に矩形波制御がなされているときに実電流iu,iv,iwがヒステリシス領域を外れないように、予め実験やシミュレーションによって適合しておく。
図25に、本実施形態にかかる最終スイッチング信号決定部80の行う処理のうち、特にU相の処理の手順を示す。詳しくは、図25(a)には、U相のスイッチング制御に関する処理のうち先の図10に示した処理に引き続いて実行される処理を示し、また、図25(b)には、一致検出器50eによって一致が検出されるタイミングでなされる割り込み処理を示す。なお、図25において、先の図13の処理と対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。また、V相、W相の処理についても同様に行うことができるため、ここではその説明を割愛する。
この一連の処理では、まずステップS100において、ヒステリシスコンパレータ140の出力する駆動パルスgucが「0」であるか否かを判断する。この処理は、実電流iuがヒステリシス領域内にあるか否かを判断するものである。そして、同領域内にあると判断されるときには、ステップS50にて、所要時間Tuがゼロ以上か否かを判断し、ゼロ以上であると判断されるときには、先の図13に示したステップS52の処理を行った後、この一連の処理を一旦終了する。これに対し、ステップS100においてヒステリシスコンパレータ140の出力する駆動パルスgucが論理「0」でないときには、駆動パルスgucに基づき、スイッチング素子12及びスイッチング素子14を操作する。すなわち、ステップS102において駆動パルスgucが「−1」であると判断されるときには、ステップS104において出力ポート50fに「1」を出力する。これにより、スイッチング素子12をオンとして且つスイッチング素子14をオフとする操作に切り替えられる。また、ステップS102において駆動パルスgucが「1」であると判断されるときには、ステップS106において、出力ポート50fに「0」を出力する。これにより、スイッチング素子12をオフとして且つ、スイッチング素子14をオンとする操作に切り替えられる。
図26に、モータ2の回転速度が低下する過渡時における本実施形態の出力トルクの制御態様を示す。詳しくは、モータ2の回転速度ωを、変化率「500rpm/ms」にて、「15000rpm」から「5000rpm」まで変化させたときの電流及びトルクのシミュレーション結果を示す。図示されるように、図中実線にて示す実電流iuは、2点鎖線にて示す第1指令電流iuc1に追従している。このため、過渡時であってもモータ2の出力トルクの変動はほとんどない。これに対し、先の第1の実施形態による同一条件下での制御態様を図27に示す。この場合、過渡時において実電流iuが第2指令電流iuc2に追従するため、出力トルクが上昇している。一方、この場合には、モータ2の出力トルクが上昇するため、過渡時のモータ2の出力(回転速度及びトルクの乗算値)の変化を、本実施形態と比較して緩和することができる。
なお、図28に、上記過渡条件下において従来の矩形波制御を行う場合を示す。この場合、スイッチング素子12〜24を流れる電流が過度に上昇し、これらスイッチング素子12〜24の信頼性の低下を招く。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(3)〜(7)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(13)ヒステリシス領域の上限よりも実電流の方が大きいときと、ヒステリシス領域内に実電流が包含されているときと、ヒステリシス領域の下限よりも実電流が小さいときとで、各別の論理値を出力するヒステリシスコンパレータ140,142,144を用いた。これらヒステリシスコンパレータ140,142,144の出力を用いることで、矩形波制御を行いつつも、実電流iu,iv,iwを第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1に適切にフィードバック制御することができる。
(14)ヒステリシス領域を、回転速度及び要求トルクに応じて可変設定した。これにより、矩形波制御が正常になされているときにこれが妨げられることを回避しつつも、実電流を第1指令電流iuc1,ivc1,iwc1に極力追従させることができる。
(15)ヒステリシス幅を、矩形波制御が正常になされているときにおいて実電流iuがヒステリシス領域から外れないように設定した。これにより、矩形波制御が正常になされているときにこれが妨げられることを回避することができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図29に、本実施形態にかかるマイコン50の行う処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための操作信号の生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図29において、先の図21に示した処理と対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、3相2相変換部160において実電流iu,iv,iwをdq軸上の実電流に変換し、これに基づきトルク推定部162にてモータ2の出力トルクを推定する。そして、偏差算出部164において、要求トルクと推定トルクとの差を算出する。矩形波制御部166では、偏差算出部164の出力に基づき、矩形波制御によって要求トルクを生成するためのスイッチング操作状態の切り替えタイミング(位相φu,φv,φw)と上記指示信号Su,Sv,Swとを設定する。なお、この際の位相φu,φv,φwは、先の図6のステップS20における位相T3と同様、予め適合等によって求めておく。
以上説明した本実施形態によっても、先の第6の実施形態の効果に準じた効果を得ることができる。特に、本実施形態によれば、矩形波制御の処理抜けが生じないため、矩形波制御をより確実に行うことができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・先の第2、第3、第5の実施形態において、第4の実施形態における処理抜けの補償処理(図20)を行ってもよい。
・先の第4及び第5の実施形態において、次回の制御タイミングにおける第1指令電流や第2指令電流を、第2、第3の実施形態の処理によって算出してもよい。
・第5、第6の実施形態におけるヒステリシス幅の設定は、実験やシミュレーションによる適合によって行うものに限らない。例えば電圧及び電流についての微分方程式を解析的に解くことで、実電流と指令電流との差の最大値を算出することで設定してもよい。
・第2の実施形態において、第1指令電流と第2指令電流とが交わるタイミングまでの所要時間の算出手法は、先の第1の実施形態におけるものに限らない。第2の実施形態では、次回の制御タイミングにおける第1指令電流や第2指令電流をテイラー級数の2次の項まで用いて近似していることに鑑み、第1指令電流や第2指令電流の2階微分値を加味して所要時間を算出するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、3相電動機としてのモータ2に本発明を適用する場合を想定したが、これに限らず、3相発電機に本発明を適用してもよい。この場合、モータ2の出力トルクが大きいときを、発電機のトルクが負で大きいとき(負荷トルクが大きいとき)と読み替えればよい。
・上記各実施形態では、インバータ10のスイッチング手法として、矩形波制御及び瞬時電流値制御を採用したがこれに限らない。例えばモータ2の低回転速度、小トルク領域においては、三角波を搬送波とするPWM制御を採用してもよい。
・回転機の制御装置としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、例えば電気自動車に搭載されるものであってもよい。
・上記各実施形態において、制御処理の実装は、マイコンに限らない。例えばFPGAや専用LSI等のハードデバイスでもよい。
第1の実施形態にかかるモータ、インバータ、及びマイコンの構成を示す図。 同実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態における瞬時電流値制御の態様を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる第2指令電流の生成手法を説明するタイムチャート。 同実施形態にかかる第1の指令値による制御と第2の指令値による制御との切り替えに関する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる第2の指令値の生成に関する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態の瞬時電流値制御によるモータを流れる電流の要求電流への追従態様を示すタイムチャート。 従来の瞬時電流値制御によるモータを流れる電流の要求電流への追従態様を示すタイムチャート。 上記実施形態にかかる瞬時電流値制御の問題点を示すタイムチャート。 本実施形態にかかるスイッチングタイミングの算出処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる次回の制御タイミングまでの指令電流の増加量の予測処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる第1指令電流と第2指令電流とが交わるか否かの判断手法を示すタイムチャート。 同実施形態にかかるスイッチング操作状態の切り替え処理の手順を示す流れ図。 同実施形態のタイマの計時周期及び第2指令電流の最小単位の設定手法を説明する図。 同実施形態にかかる出力トルクの制御のシミュレーション結果を示すタイムチャート。 スイッチング操作の強制的な切り替え処理を行わない場合の出力トルクの制御のシミュレーション結果を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかる次回の制御タイミングまでの指令電流の増加量の予測処理を示すブロック図。 第3の実施形態にかかる次回の制御タイミングまでの指令電流の増加量の予測処理を示すブロック図。 矩形波制御によるスイッチング操作状態の切り替え処理に抜けが生じることを説明するタイムチャート。 第4の実施形態にかかるスイッチングタイミングの算出処理の手順を示す流れ図。 第5の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態にかかるヒステリシスコンパレータの出力特性を示す図。 同実施形態にかかるヒステリシス幅の設定態様を示すタイムチャート。 同実施形態にかかるヒステリシス幅の設定手法を示す図。 同実施形態にかかるスイッチング操作状態の切り替え処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる出力トルクの制御態様のシミュレーション結果を示すタイムチャート。 上記第1の実施形態にかかる出力トルクの制御態様のシミュレーション結果を示すタイムチャート。 従来の矩形波制御による過渡時の電流の変動のシミュレーション結果を示すタイムチャート。 第6の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。
2…モータ、10…インバータ、50…マイクロコンピュータ(回転機の制御装置の一実施形態)。

Claims (21)

  1. 回転機に電力を供給するインバータのスイッチング素子を操作することで該回転機の回転に関する物理量を制御する回転機の制御装置において、
    前記回転機の電気角の1回転周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるように前記スイッチング素子を操作することで、前記回転機の出力トルクを要求トルクに制御する矩形波制御手段と、
    前記回転機に対する指令電流よりも大きい値を上限値として且つ前記指令電流よりも小さい値を下限値とするヒステリシス領域内に実電流を制御すべく、前記ヒステリシス領域の上限及び下限と前記実電流との大小関係に基づき前記インバータのスイッチング素子を操作する瞬時電流値制御手段と、
    前記矩形波制御手段による制御がなされているときに前記回転機を流れる電流が前記ヒステリシス領域から外れる場合、前記瞬時電流値制御手段による制御に切り替える切替手段とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記矩形波制御手段は、前記瞬時電流値制御手段の前記指令電流を、前記要求トルクを生成するための要求電流と同周期且つ該要求電流よりも振幅の大きい大振幅指令電流とする手段と、前記大振幅指令電流の値が前記要求電流の値と交わるタイミングを予測する交点予測手段と、該交わるタイミングにおいて前記瞬時電流値制御手段による前記スイッチング素子の操作状態の切り替えが未だなされていないときに前記操作状態を強制的に切り替える強制手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 転機の実電流を要求トルクを生成するための要求電流にフィードバック制御すべく、前記回転機に対する指令電流よりも大きい値を上限値として且つ前記指令電流よりも小さい値を下限値とする所定のヒステリシス領域の上限及び下限と前記実電流との大小関係に基づきインバータのスイッチング素子を操作する瞬時電流値制御手段と、
    前記指令電流を、前記要求電流と同周期且つ前記要求電流よりも大きい振幅を有する大振幅指令電流に設定する設定手段と、
    前記大振幅指令電流が前記要求電流と交わるタイミングを予測する交点予測手段と、
    該交わるタイミングにおいて前記瞬時電流値制御手段によって前記スイッチング素子の操作状態が未だ切り替えられていないときに前記操作状態を強制的に切り替える強制手段とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  4. 前記強制手段による切り替えがなされた時点から予め定められた期間、前記瞬時電流値制御手段による前記スイッチング素子の操作状態の切り替えを禁止する禁止手段を更に備えることを特徴とする請求項2又は3記載の回転機の制御装置。
  5. 前記交点予測手段は、前記瞬時電流値制御の次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流の値及び前記要求電流の値を予測する電流値予測手段と、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての今回の制御タイミングの値及び前記予測される次回の制御タイミングの値の大小関係の変化に基づき前記次回の制御タイミングまでに前記交わるタイミングが生じるか否かを判断する判断手段と、前記交わるタイミングが生じると判断されるとき、前記交わるタイミングまでの所要時間を算出する所要時間算出手段とを備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  6. 前記強制手段は、更に、前記大振幅指令電流及び前記要求電流の大小関係が前回の制御タイミングと今回の制御タイミングとで互いに相違して且つ、前記前回の制御タイミングから前記今回の制御タイミングまでに前記スイッチング素子の操作状態が切り替えられていないとき、前記操作状態を強制的に切り替えることを特徴とする請求項5記載の回転機の制御装置。
  7. 前記瞬時電流値制御手段は、前記要求トルクを生成するための要求電流を指令電流とするものであって且つ、前記ヒステリシス領域の上限よりも前記実電流の方が大きいとき、前記ヒステリシス領域内に前記実電流が包含されているとき、及び前記ヒステリシス領域の下限よりも前記実電流が小さいときのそれぞれで各別の論理値を出力する出力手段を備え、
    前記切替手段は、前記出力手段の論理値に基づき前記切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  8. 前記ヒステリシス領域を、前記回転機の回転速度及び前記回転機のトルクに応じて可変設定することを特徴とする請求項7記載の回転機の制御装置。
  9. 前記ヒステリシス領域は、矩形波制御が正常になされているときにおける前記指令電流及び前記実電流のずれ量が最大値となるときの前記実電流を包含するように設定されてなることを特徴とする請求項7又は8記載の回転機の制御装置。
  10. 前記矩形波制御手段は、前記要求電流と同周期且つ該要求電流よりも振幅の大きい大振幅指令電流が前記要求電流と交わるタイミングを予測する交点予測手段と、該交点予測手段によって予測されるタイミングで前記スイッチング素子の操作状態の切り替えを行う手段とを備えることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  11. 前記交点予測手段は、前記矩形波制御の次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流を予測する電流値予測手段と、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての今回の制御タイミングの値及び前記予測される次回の制御タイミングの値の大小関係の変化に基づき前記次回の制御タイミングまでの間に前記交わるタイミングが生じるか否かを判断する判断手段と、前記交わるタイミングが生じると判断されるとき、前記交わるタイミングまでの所要時間を算出する所要時間算出手段とを備えることを特徴とする請求項10記載の回転機の制御装置。
  12. 前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての静止座標系での値を設定する手段と、
    該静止座標系での値を回転座標系での値に変換する変換手段とを更に備え、
    前記電流値予測手段は、前記静止座標系での値を入力信号とする前記変換手段の出力信号に基づき前記大振幅指令電流及び前記要求電流の時間微分演算を行う手段と、該時間微分演算結果に基づき、前記次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流をテイラー級数によって算出する手段とを備えることを特徴とする請求項5,6,11のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  13. 前記電流値予測手段は、1次又は2次までのテイラー級数によって前記算出を行うことを特徴とする請求項12記載の回転機の制御装置。
  14. 前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての静止座標系での値を設定する手段と、
    該静止座標系での値を回転座標系での値に変換する変換手段とを更に備え、
    前記電流値予測手段は、前記制御タイミング間の時間間隔と前記回転機の現在の電気角速度との乗算値を算出する手段と、前記現在の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流についての静止座標系での値をそれぞれ、現在の電気角度を前記乗算値だけ進角させた電気角度を用いて前記変換手段により変換することで前記次回の制御タイミングにおける前記大振幅指令電流及び前記要求電流を予測することを特徴とする請求項5,6,11のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  15. 前記矩形波制御手段は、前記所要時間算出手段によって所要時間が算出されてからの時刻を計時する計時手段と、該計時手段によって計時される時間が前記所要時間と一致するときに前記切り替えを行う手段とを備えることを特徴とする請求項5及び6及び11〜14のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  16. 前記大振幅指令電流の振幅は、前記計時手段の計時動作の周期Tc、前記大振幅指令電流の最小単位量Ad、前記大振幅指令電流を用いる際の前記回転機の最小電気角速度ωminを用いて、「Ad/(ωmin×Tc)」以上となるように設定されてなることを特徴とする請求項15記載の回転機の制御装置。
  17. 前記所要時間算出手段は、前記大振幅指令電流及び前記要求電流についてのそれぞれの時間微分値の差に対する前記大振幅指令電流及び前記要求電流の差に基づき前記所要時間を算出することを特徴とする請求項5,6,11〜16記載の回転機の制御装置。
  18. 前記大振幅指令電流の振幅は、前記インバータの最大定格電流値に2の平方根を乗算した値以下に設定されてなることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  19. 前記電気角度の1回転周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるように前記スイッチング素子を操作することで前記要求トルクを実現するための前記スイッチング素子の操作状態の切り替えタイミングにおいて、前記大振幅指令電流が前記要求電流と交わるように適合されてなることを特徴とする請求項2〜6、10〜18のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  20. 前記大振幅指令電流の振幅A2は、前記要求電流の振幅A1よりも大きな値に設定されて且つ、前記大振幅指令電流の位相T2は、前記要求電流の一周期内にオン状態及びオフ状態が1度ずつとなるように前記スイッチング素子を操作することで前記要求トルクを実現するために想定される前記操作状態の切り替え位相T3と前記要求電流の位相T1とによって、
    T2=T3−arcsin{(A1/A2)×sin(T3−T1)}
    に設定することを特徴とする請求項2〜6、10〜19のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  21. 前記矩形波制御手段による制御は、前記回転機の回転速度領域及び出力トルク領域の少なくとも一方においてなされるものであることを特徴とする請求項1、2、7〜11のいずれかに記載の回転機の制御装置。
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