JP2007269675A - 歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末 - Google Patents
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【課題】 重合性モノマーを添加しなくても高い透明性を有する歯科用グラスアイオノマーセメント硬化体を得ることのできる歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末を提供する。
【解決手段】 SiO2 15〜40wt%,Al2O3 15〜35wt%,Na2OとK2O 単独または合計で5〜15wt%,P2O5 0〜15wt%,SrO 10〜30wt%,F 15〜40wt%,CaOとMgO を単独または合計で0〜5wt%の組成をFを除き酸化物換算で有し、屈折率ndが1.42〜1.47の範囲にある歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末とする。
【解決手段】 SiO2 15〜40wt%,Al2O3 15〜35wt%,Na2OとK2O 単独または合計で5〜15wt%,P2O5 0〜15wt%,SrO 10〜30wt%,F 15〜40wt%,CaOとMgO を単独または合計で0〜5wt%の組成をFを除き酸化物換算で有し、屈折率ndが1.42〜1.47の範囲にある歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末とする。
Description
本発明は歯科用グラスアイオノマーセメントに適した低屈折率のガラス粉末に関する。
一般的に使用されている歯質の色調を持つ歯科修復用材料は大きく分けて歯科用コンポジットレジンと歯科用グラスアイオノマーセメントとがある。歯科用コンポジットレジンは基本的に重合性モノマー,無機充填材,重合開始剤の組み合わせで構成され、審美性の高い歯科修復材料として一般的に広く使用されている。しかし歯科用コンポジットレジンは、構成成分に重合性モノマーを含んでいるので硬化時に重合性モノマーの重合収縮が起きてしまうこと、及びコンポジットレジン自体に接着性がないためにボンディング材が必要なこと、熱膨張係数が歯質より大きいなどの理由により時間の経過と共に歯質とこの材料の界面で隙間ができ辺縁漏洩が起きる問題がある。更に重合性モノマーによるアレルギーの問題や、材料から放出されるフッ素徐放量が低いことも欠点として指摘されており、後述する歯科用グラスアイオノマーセメントよりも二次う蝕になる可能性が高い材料であると考えられている。
歯科用コンポジットレジンが審美的に優れていると評価されている理由は、硬化後の透明性が高いために歯質と色調が調和する点にある。歯科用材料における透明性は無機フィラーとそれ以外のマトリックスとの屈折率ndの差が大きく影響し、この差が小さいほど硬化体の透明性が高くなる。コンポジットレジンの場合、無機フィラー成分としては一般的に屈折率ndが約1.53のバリウム含有ガラス粉末や1.50〜1.53程度のフルオロアルミノシリケートガラス粉末が使用され、マトリックス成分としてはビスフェノールAやウレタンジメタクリレート等の重合性モノマーに希釈材としてフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の分子量の小さい重合性モノマーが組み合わせて使用される。このとき、重合性モノマーが重合硬化して成るマトリックス成分の屈折率ndが1.50付近となるように設計されており、無機フィラー成分とマトリックス成分との屈折率ndの差を合わせることが可能なため、結果として歯科用コンポジットレジンの硬化体を透明にすることができる。
一方歯科用グラスアイオノマーセメントは、基本的に無機フィラーであるフルオロアルミノシリケートガラス粉末、マトリックスであるポリカルボン酸と水で構成され、フルオロアルミノシリケートガラス粉末とポリカルボン酸とを水の存在下で反応させることにより硬化させる。この歯科用グラスアイオノマーセメントは生体に対する親和性が極めて良好であることや、歯質に対して優れた接着力を有していること、更にはフルオロアルミノシリケートガラス粉末に含まれるフッ素による二次う蝕の予防が期待できること等の優れた特徴を有しているため歯科修復材料として広く使用されている。
しかしながら、歯科用グラスアイオノマーセメントのマトリックス成分であるポリカルボン酸水溶液の硬化後の屈折率ndは約1.42とかなり低いのに対し、無機フィラー成分である従来のフルオロアルミノシリケートガラス粉末の屈折率ndは1.50〜1.53程度と高く、マトリックス成分と無機フィラー成分との屈折率nd差が大きい(例えば、特許文献1,2参照。)。このように無機フィラー成分とマトリックス成分との屈折率が離れている歯科用グラスアイオノマーセメントでは、その界面で光の反射や散乱が起こってしまい硬化体に十分な透明性を与えられず審美的に劣るという問題があった。
そこで、歯科用グラスアイオノマーセメントの透明性を向上させるため、屈折率ndの高い重合性モノマーをマトリックス成分であるポリカルボン酸水溶液に添加してマトリックス成分の屈折率ndを高めて無機フィラー成分の屈折率ndに近づけたレジン強化型グラスアイオノマーセメントも開発されている(例えば、特許文献3参照。)。このレジン強化型グラスアイオノマーセメントは、重合性モノマー成分の添加により有機マトリックスの屈折率を約1.46程度まで向上させており、アルミノシリケートガラスとの屈折率差を低減させて審美性を向上させている。しかし、レジン強化型グラスアイオノマーセメントには歯科用コンポジットレジンと同様に重合性モノマーを添加することの問題、即ち、重合性モノマー成分に由来した辺縁漏洩やアレルギーなどの問題が発生してしまい、重合性モノマー成分を含まずに優れた透明性を有する歯科用グラスアイオノマーセメントが求められていた。
特開昭61−215234号公報
特表2001−525778号公報
特開平2−164807号公報
屈折率ndの高い重合性モノマーを添加しなくても高い透明性を有する歯科用グラスアイオノマーセメントを得ることのできる歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末を提供することを課題とする。
本発明者らは前述の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、歯科用グラスアイオノマーセメントに用いるガラス粉末の構成を特定のガラス組成範囲内に設定しておくと、ポリカルボン酸水溶液で硬化させた場合に高い透明性を有するグラスアイオノマーセメント硬化体と成り得ることを見出し本発明を完成した。
即ち本発明は、SiO2 15〜40wt%,Al2O3 15〜35wt%,Na2OとK2O 単独または合計で5〜15wt%,P2O5 0〜15wt%,SrO 10〜30wt%,F 15〜40wt%,CaOとMgO を単独または合計で0〜5wt%の組成をFを除き酸化物換算で有し、屈折率ndが1.42〜1.47の範囲にある歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末である。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末は、X線造影性を持ちながら屈折率ndが従来の歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末と比較して低いことによりマトリックス成分との屈折率ndの差が小さいため、その硬化体は極めて優れた透明性を有すると共に従来のガラス粉末と同様にポリカルボン酸水溶液との反応性も高く、優れた硬化性を有する歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末である。
一般的にグラスアイオノマーセメントに使用されてきたフルオロアルミノシリケートガラス粉末にはSi位置にAlが置換した構造を取るため電気的なバランスを取るためにも金属イオンの存在が必須である。本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末のガラス組成はアルカリ金属としてNa,K及びSrが含有されている。
Na及びKはガラスの融点を下げる効果を有しガラスの作製を容易にすると共に本発明の目的であるフルオロアルミノシリケートガラスの屈折率ndを下げる効果を持つ。また本発明においてSrはガラスにX線造影性を付与させるために配合される。X線造影性の付与のため一般的に用いられる元素としてZr,Hf,W,La,Ybなどが知られているが、これらの元素を使用するとガラスの屈折率ndが大幅に高くなってしまうため本発明の歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末には実質的に含まない。
Baも屈折率ndの上昇が少ない元素である。しかし、Baはアルカリ土類金属の中で毒性があることが知られているので本発明の歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末の主成分として配合しない。しかし、他の原材料にもともと含まれているので混入してしまうことがあり、実質的に酸化物換算(BaO)で0.5wt%程度まで含まれることがある。同様の理由によりFeも酸化物換算(Fe2O3)で0.5wt%程度まで含まれることがある。
Ca及びMgは本発明においては必ずしも必須ではないが、他の原材料にもともと含まれているので混入してしまうことがあり、またガラス組成の安定化のために実質的に酸化物換算(CaO,MgO)で5wt%程度まで含んでいても良い。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末は屈折率ndを低くするためにF含有量が多い。Fと同様なハロゲン族のClやBrでは人体への安全面で問題があり、また物質そのものが不安定でもある。Pは歯科用セメントの練和による操作性を向上させる効果があるために必要により所定量配合される。
従って本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末は、Si,Al,Na,K,Sr,F,Oのイオンを主成分として含み、補助的なイオンとしてCa,Mg,Pを含む組成である。本発明においては、一般的にガラス組成を重量%で表示する場合と同様に、Si,Al,Na,K,Sr,Ca,Mg,PなどのFを除くイオンを酸化物の状態に換算しFをそのままの量で扱い総重量を100%とした場合の組成範囲を100分率で以下のように規定する。
本発明中SiO2は15〜40wt%含まれ、ガラス組成中で網目形成酸化物としての役割を果たす。SiO2が15wt%より少なくなると透明なガラス粉末が得られないばかりか耐酸性が低く歯科用セメント用のガラス粉末としては使用できない。逆に、40wt%より多いとポリカルボン酸との架橋反応が鈍くなりセメントの硬化性が低下する。SiO2の原料としては珪砂(SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)などを例示できる。
本発明中Al2O3は15〜35wt%含まれ、15wt%より少ないとセメントの硬化反応が鈍くなり、35wt%より多いと屈折率ndが高くなるのでガラス粉末の透明性が悪くなる。Al2O3の原料としては例えばアルミナ(Al2O3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、フッ化アルミニウム(AlF3)、リン酸アルミニウム(AlPO4)などを例示できる。
本発明中Na2OとK2Oは単独または合計で5〜15wt%含まれ、ガラスの融点を下げる役割とガラスの屈折率ndを下げる役割を果たす。5wt%少ないとガラス粉末の屈折率ndが高くなり、またガラス粉末の透明性が悪くなる。逆に15wt%より多いとポリカルボン酸水溶液に対する反応性が悪くなる。Na2Oの原料としては、例えば炭酸ナトリウム(Na2CO3)、氷晶石(Na3AlF6)、フッ化ナトリウム(NaF)などを例示できる。
本発明中Fは15〜40wt%含まれ、15wt%より少ないとガラス粉末の屈折率ndを下げることができず、逆に40wt%より多いとガラス粉末そのものが不透明になりポリカルボン酸水溶液との反応性も低下する。Fの原料としては、例えばフッ化ストロンチウム(SrF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化ナトリウム(NaF)、氷晶石(Na3AlF6)などを例示できる。
本発明中SrOは10〜30wt%含まれることでX線造影性を付与する役割を果たす。10wt%より少ないとX線造影性が不足し、30wt%より多いと屈折率ndが高くなりすぎてセメント硬化体の透明性が不足すると共にセメントの操作余裕時間が短くなり実使用上扱い難くなる。SrOの原料としては、例えば炭酸ストロンチウム(SrCO3)、水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、リン酸ストロンチウム(Sr3(PO4)2)などを例示できる。
本発明中CaO及びMgOはそれぞれを単独であるいは同時に0〜5wt%程度の割合で前述した理由により含まれていても良い。またP2O5も同様に操作性の改善のため15wt%まで含まれていることが好ましい。P2O5が含まれていないとセメントの操作性が悪化し易い傾向があり、15wt%より多いとセメント硬化体の強度が低下する虞がある。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末の屈折率ndは1.42〜1.47、好ましくは1.45〜1.47の範囲にある。屈折率nd範囲を1.42〜1.47としているのは1.42未満では透明なガラス粉末を得ることが難しく、1.47を超えると実使用上有用な硬化後のマトリックス成分の屈折率ndが約1.42であるからマトリックス成分との屈折率ndの差が大きすぎて透明性の高いセメント硬化体にならないからである。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末は、ガラス粉末100重量部に対し0.01〜5%重量部の酸及び/またはフッ化物でガラス粉末表面が処理されていても良い。このように表面処理されたガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは、耐水性の向上、硬化初期における感水性の低下等に加えて、セメント練和物の流動性が向上し練和操作性が尚一層優れた特性を発揮する。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末の表面処理に使用する酸としては、例えばリン酸、塩酸、ピロリン酸、酒石酸、クエン酸、グルタル酸、リンゴ酸、酢酸等が挙げられるが、酸性物質である第1リン酸塩や第2リン酸塩等も含まれる。また本発明の表面処理に使用するフッ化物としては特願昭60-206299号で例示されているフッ化物が使用される。即ち本発明で例示されるガラス組成物は、これらの酸及びフッ化物で表面処理することによりガラスの屈折率ndには影響を与えず物性値を向上させることができ、更にセメント泥の流動性が増加し操作性が向上する。また、これらの酸のポリマーや多塩基性カルボン酸の一部または全部を粉末化し本発明に係るグラスアイオノマーセメント用ガラス粉末と混合して処理することもできる。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末の粒径は、従来の歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末と同程度であることが好ましく、平均粒径が0.02〜10μm程度である。平均粒径が10μmを越えると合着用セメントとして使用する際に鋳造冠の浮き上がり等が原因で好ましくない。一方、平均粒径が0.02μm未満の微粉では練和が極端に困難となり練和操作性が極めて悪化する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末の作製>
表1の原料を計量し乳鉢で十分に混合した。混合した混合物を磁性坩堝に入れて電気炉内に静置した。電気炉を昇温し1200℃〜1400℃で溶解して十分均質化した。均質化したものを空気中に放冷した後、前記均質化し冷却したガラス100gを計量しボールミルで20時間粉砕後、120メッシュの篩いを通過させ実施例及び比較例の歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末とした。
表1の原料を計量し乳鉢で十分に混合した。混合した混合物を磁性坩堝に入れて電気炉内に静置した。電気炉を昇温し1200℃〜1400℃で溶解して十分均質化した。均質化したものを空気中に放冷した後、前記均質化し冷却したガラス100gを計量しボールミルで20時間粉砕後、120メッシュの篩いを通過させ実施例及び比較例の歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末とした。
表2において実施例8では、実施例4の方法にて作製された粉砕ガラス粉末100gに対して、1%チタンフッ化カリウム水溶液を100gを混合しスラリーを作製した。同様に実施例9では、実施例4の方法にて作製された粉砕ガラス粉末100gに対して、1%リン酸アルミニウム水溶液を100gを混合しスラリーを作製し120℃で乾燥させ歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末を得た。また、実施例10では、実施例4の方法にて作製された粉砕ガラス粉末100gに対して、ポリアクリル酸粉末(平均分子量25000)を3wt%となるように混合しガラス粉末を得た。比較例4では、比較例1の方法にて作製された粉砕ガラス粉末100gに対して、1%リン酸アルミニウム水溶液100gを混合しスラリーを作製し120℃で乾燥させて歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末とした。
<平均粒度の測定>
均一混合した試料粉を乾燥した50mlビーカーにミクロスパチュラ3杯分取り、分散媒(0.3wt%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液)を30ml加えて攪拌した後、3分間超音波を照射しスラリー溶液を調製した。このスラリーを用いレーザー回折式粒度分布計(商品名 SALD-1000,島津製作所社製)にて測定した。結果を表1及び表2に記す。
均一混合した試料粉を乾燥した50mlビーカーにミクロスパチュラ3杯分取り、分散媒(0.3wt%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液)を30ml加えて攪拌した後、3分間超音波を照射しスラリー溶液を調製した。このスラリーを用いレーザー回折式粒度分布計(商品名 SALD-1000,島津製作所社製)にて測定した。結果を表1及び表2に記す。
<屈折率ndの測定>
粉体の屈折率ndは以下のように測定した。試験管に試料粉を入れ予想される屈折率より低い屈折率を有するモノマーの混合溶液を作製し、予想される屈折率より高い屈折率を有するモノマーの混合溶液を適宜添加混合してナトリウムD線下で観察した。混合液と試料粉との屈折率がやがて一致し試料粉が殆ど見えなくなったときの比率の混合液を再調製し、更にナトリウムD線での屈折率が0.002程度異なる混合液を数種類調製しそれぞれ個別に試験粉の入った試験管に添加し比較した。この中で最も高い透明性を与えた混合液の屈折率をアッベの屈折率計で測定し、試料粉の屈折率ndとした。測定は23℃,50%RH下で行った。結果を表1及び表2に記す。
粉体の屈折率ndは以下のように測定した。試験管に試料粉を入れ予想される屈折率より低い屈折率を有するモノマーの混合溶液を作製し、予想される屈折率より高い屈折率を有するモノマーの混合溶液を適宜添加混合してナトリウムD線下で観察した。混合液と試料粉との屈折率がやがて一致し試料粉が殆ど見えなくなったときの比率の混合液を再調製し、更にナトリウムD線での屈折率が0.002程度異なる混合液を数種類調製しそれぞれ個別に試験粉の入った試験管に添加し比較した。この中で最も高い透明性を与えた混合液の屈折率をアッベの屈折率計で測定し、試料粉の屈折率ndとした。測定は23℃,50%RH下で行った。結果を表1及び表2に記す。
表1及び表2から明らかなように、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末は屈折率ndが1.42〜1.47の範囲内にあることが確認できた。また、フッ化物処理,酸処理またはポリマー粉末処理を施しても屈折率ndが1.42〜1.47の範囲内と低い値にあることが確認できた。それに対し、Naを含まない比較例1及び比較例3、Fが少ない比較例2、Naを含まず酸処理とポリマー粉末処理を施した比較例3は屈折率ndが1.47よりも高くなり歯科用グラスアイオノマーセメントのマトリックス成分であるポリカルボン酸水溶液の重合後の屈折率ndは約1.42とは屈折率が離れたものになってしまっている。以上の比較から本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末は、屈折率ndの高い重合性モノマーを添加することなく高い透明性を有する歯科用グラスアイオノマーセメントとすることができる優れた歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末であることが確認できた。
Claims (1)
- SiO2 15〜40wt%
Al2O3 15〜35wt%
Na2OとK2O を単独または合計で 5〜15wt%
P2O5 0〜15wt%
SrO 10〜30wt%
F 15〜40wt%
CaOとMgO を単独または合計で 0〜5wt%
の組成をFを除き酸化物換算で有し、屈折率ndが1.42〜1.47の範囲にある歯科用グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末。
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