2022/06/28 17:00

Death of Heather 『Death of Heather』

タイのシューゲイズ・バンドの1stフル・アルバム。元々はDIIVの影響が色濃いサーフ感のあるドリーム・ポップを演奏していた一方、今年配信された最新シングル「Pretty Things」では本格的にヘヴィ・シューゲイズ路線へと舵を切った彼らですが、このアルバムはまさにその過渡期に当たり、どちらの要素も見られます。折り重なる単音リフとささやきかけるようなボーカルの残響がひとつに融け合い、爆発的なカタルシスへと向かっていくさまが美しいです。

FOG 『Fogesque』

海外からも注目を集めつつある韓国シューゲイズ・シーンの若手のホープが2020年にリリースしたデビュー・アルバム。バンド名の通り轟音よりもリバーブとディレイで空間を埋め尽くす霧のように白く儚い耽美なギターと、その向こう側から見え隠れする歌声が織りなすサウンドは、触れたら崩れてしまいそうなもろさを感じさせます。この一切地に足のついていない危うい浮遊感は意外と日本のバンドには見られないものかもしれません。スロウダイヴや初期DIIVのファンには刺さること間違いなし。

Vaadat Charigim 『The World is Well Lost』

ここまで東アジア~東南アジア地域のバンドを中心に紹介してきましたが、こちらはイスラエルのバンドで、アルバム名こそ英語になっているものの歌詞はすべてヘブライ語なのが大きな特徴。国を問わず英語で歌うバンドが多いシューゲイズ・シーンにおいては貴重な存在です。絶え間なく鳴り続けるノイズ・ギターとアグレッシブなビート、ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスを思わせる朗々とした低音の男性ボーカルによる、ポスト・パンク的なテイストの強いモノトーンのシューゲイズ・サウンドがかっこいいです。

管梓 a.k.a. 夏bot
For Tracy Hyde、エイプリルブルーのソングライター / ギタリストとして東京のインディ・シーンで活躍するほか、シューゲイズ・アイドルRAYなどへの楽曲提供活動も行う。
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