JPWO2015050061A1 - 密封パック製品の検査装置及び検査方法 - Google Patents

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Abstract

真空パック製品20の内部の気体又は異物の有無を検査する検査装置10に、超音波センサ11と、主制御部18aを設けた。超音波センサ11は、発信探触子11aと受信探触子11bを備え、真空パック製品20を発信探触子11aと受信探触子11bの間に位置させて、発信探触子11aが発信する超音波を受信探触子11bが受信することにより真空パック製品20を検出する。主制御部18aは、超音波センサ11が真空パック製品20を検出するときの超音波の透過率により真空パック製品20内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する。また、真空パック製品20に対して超音波センサ11を移動させる移動装置12を設けた。

Description

本発明は、真空パック製品や液体包装製品などの密封パック製品の内部に気体又は異物が混入しているか否かを検査する密封パック製品の検査装置及び検査方法に関する。
従来から、電池や医療用品などを真空状態で容器内に収容した電池パックや医療パックなどの真空パック製品や、食品を液体中に浸した状態で容器内に収容した液体包装製品などからなる密封パック製品が用いられている。この密封パック製品は、容器に漏れが生じて、内部に空気などの気体が入ると、収容物に品質低下が生じたり、製品自体が破損されたりするため、出荷前に、気体混入の有無の検査が行われる(例えば、特許文献1参照)。
この検査は、音波発生装置とマイクロフォンを備えた真空漏洩検出装置を用いて行われる。この場合、板状の真空包装品を、音波発生装置とマイクロフォンの間に設置し、音波発生装置が発生しマイクロフォンが検出する音圧信号の信号レベルを測定することによって、真空漏洩の有無を判定している。すなわち、この検査では、真空包装品が、音波発生装置とマイクロフォンの間で遮音材として作用し、さらに、真空包装品に真空漏洩がある場合には、空気の存在により遮音効果が増大することを利用している。
特開平10−206259号公報
しかしながら、前述した従来の方法では、真空包装品内に混入した気体が音波が届く範囲に均一に存在していないと安定した検出ができないという問題がある。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、密封パック製品の内部の気体の有無に加えて、異物の有無も精度よく検査できる密封パック製品の検査装置及び検査方法を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明の構成上の特徴は、密封パック製品(20)の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査装置(10)であって、発信探触子(11a)と受信探触子(11b)とを備え、密封パック製品を発信探触子と受信探触子の間に位置させて、発信探触子が発信する超音波を受信探触子が受信することにより密封パック製品を検出する超音波センサ(11)と、超音波センサが密封パック製品を検出するときの超音波の透過率により密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段(18a)とを備えたことにある。
本発明に係る密封パック製品の検査装置では、密封パック製品を挟んで超音波センサの発信探触子と受信探触子を配置している。このため、発信探触子が発信し受信探触子が受信する超音波の強度(透過波の振幅)により、密封パック製品が発信探触子と受信探触子の間に位置していることを検出できるとともに、密封パック製品における超音波が透過した部分に気体又は異物が存在しているか否かを検出することができる。超音波は、密封パック製品を透過する際に減衰するとともに、密封パック製品の内部に空気などの気体又は異物が存在する場合には、気体又は異物が存在しない場合と比較して透過し難くなる性質を備えている。このため、受信探触子が受信する超音波の強度により、密封パック製品内に気体又は異物が存在しているか否かを判定することができる。
この場合、密封パック製品における超音波を透過させる部分としては、密封パック製品の特性等から、気体又は異物が混入したときに溜まりやすい部分が予め予想できる場合はその部分を選択してもよいが、密封パック製品を横切る線状部分にしたり、密封パック製品の全面にしたりすることもできる。そして、超音波を透過させた部分に、設定値以上の気体又は異物があると認められるか否か、すなわち、設定された透過率以下の部分があるか否か、又は、設定された透過率以下の部分があっても、その部分の数若しくは面積が設定値以上であるか否か等の所定の基準を設定して良否を判定する。
本発明に係る密封パック製品の検査装置の他の構成上の特徴は、密封パック製品を発信探触子と受信探触子の間に位置させて超音波センサに対して相対的に移動させる搬送装置(12)を備えたことにある。本発明によると、密封パック製品に対する超音波センサの位置を変更できるため、密封パック製品の任意の部分を検査することができる。また、所定位置に配置された超音波センサに対して密封パック製品を移動させることにより、複数の密封パック製品を連続して検査することも可能になる。
本発明に係る密封パック製品の検査装置のさらに他の構成上の特徴は、密封パック製品に超音波を透過させる前に、密封パック製品を所定の気体中で加圧又は減圧することにより密封パック製品内に気体又は異物が入り易くする封入手段(23)を備えたことにある。本発明によると、密封パック製品を、所定の気体中で加圧したり、減圧して膨らませたりすることにより内部に気体又は異物が入り易くしたりできるため、密封パック製品に漏れが生じている場合には、より明確にその漏れを検出できる。なお、本発明においては、密封パック製品の表面を吸引することにより膨らませることも減圧することに含まれるものとする。
本発明に係る密封パック製品の検査方法の構成上の特徴は、前述した密封パック製品の検査装置を用いて、密封パック製品の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査方法であって、超音波を発信する発信探触子と、発信探触子に対向して配置され発信探触子から送信される超音波を受信する受信探触子との間に、密封パック製品を配置して密封パック製品に超音波を透過する密封パック製品検出ステップと、密封パック製品を透過する超音波の透過率により密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定ステップとを備えたことにある。
本発明によると、密封パック製品を、発信探触子と受信探触子の間に配置している。このため、発信探触子が発信し受信探触子が受信する超音波の強度により、密封パック製品が発信探触子と受信探触子の間に位置していることを検出できるとともに、密封パック製品における超音波が透過した部分に気体又は異物が存在しているか否かを検出することができる。この場合、密封パック製品を、超音波センサに対して移動させることにより、密封パック製品の任意の部分を検査することができる。
本発明に係る密封パック製品の検査方法の他の構成上の特徴は、密封パック製品を横切るように超音波センサを走査させて密封パック製品に超音波を透過させ、密封パック製品を横切る線状部分に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにしたことにある。超音波センサを走査させる部分は密封パック製品のどの部分であってもよいが、予め気体又は異物が溜まりそうな部分が分かっていればその部分を通るようにする。本発明によると、密封パック製品内に気体又は異物が入っている場合には、かなり高い確率でその存在を確認することができる。
本発明に係る密封パック製品の検査方法のさらに他の構成上の特徴は、間隔を保って密封パック製品を横切る複数の線状部分に超音波センサを走査させて超音波を透過させ、密封パック製品を横切る複数の線状部分に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにしたことにある。この場合、超音波センサを走査させる線状部分の間隔は、検査の目的に応じて適宜設定することができるが、最小で不良とされる密封パック製品内に存在する気泡又は異物のうちの問題となる大きさの気泡又は異物の直径程度にすることができる。本発明によると、より精度のよい検査が可能になる。
本発明に係る密封パック製品の検査方法のさらに他の構成上の特徴は、密封パック製品の全面に対して超音波センサを走査させて超音波を透過させ、密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにしたことにある。本発明によると、微小な気泡又は異物も検出できるため、最も精度のよい検査が可能になる。
本発明の一実施形態で用いられる真空パック製品の検査装置の概略を示した構成図である。 真空パック製品を圧力容器内に入れて加圧する状態を示した説明図である。 真空パック製品を吸着パッドで上下に引っ張る状態を示した説明図である 真空パック製品を全面走査した結果を示した二次元データの画像である。 真空パック製品の所定の部分を検査する状態を示した説明図である。 真空パック製品の所定の線状部分を検査する状態を示した説明図である。 検査結果としきい値との関係を示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る検査装置10を用いて、真空パック製品20の漏れの有無、すなわち真空パック製品20内に空気などの気体又は異物が混入しているか否かを検査する状態を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、図1の方向に基づいたものとし、図1の左下方が前方、右上方が後方であるとする。検査装置10は、真空パック製品20を設置する設置装置(図示省略)と、超音波センサ11と、超音波センサ11を移動させる移動装置12と、エンコーダ17a,17bと、制御装置18と、表示装置19を備えている。
設置装置は、真空パック製品20の周縁部又は四隅を把持し、把持された部分以外を開放した状態で真空パック製品20を支持する。超音波センサ11は、超音波を発信する発信探触子11aと、発信探触子11aが発信する超音波を受信する受信探触子11bとで構成されている。発信探触子11aは、電圧を掛けると振動する圧電素子からなっており、所定の電圧を与えると伸縮、膨張を繰り返して振動することにより超音波を発生する。この発信探触子11aは、40KHZ〜数MHZの周波数のバースト波からなる超音波を発生する。
受信探触子11bは、発信探触子11aと同様の構成をしており、超音波を受信して振動する。そして、受信探触子11bは、この振動により生じる変位を電圧信号に変換する。発信探触子11aは、設置装置における真空パック製品20が支持される部分の上方に位置し、受信探触子11bは、発信探触子11aの下方に配置されており、発信探触子11aにおける超音波を発信する面と、受信探触子11bにおける超音波を受信する面とは対向している。この発信探触子11aと受信探触子11bはそれぞれ上下方向に移動可能な状態で支持部(図示せず)に支持されている。
移動装置12は、水平移動部13と垂直移動部16で構成されており、発信探触子11aと受信探触子11bが支持される支持部を前後、左右に移動させるとともに、発信探触子11aと受信探触子11bをそれぞれ個別に上下に移動させる。水平移動部13は、X軸モータ14の作動により支持部を前後方向に移動させるX軸駆動部と、Y軸モータ15の作動により支持部をX軸駆動部とともに左右方向に移動させるY軸駆動部からなっている。垂直移動部16は、上部モータ16aの作動により発信探触子11aを上下方向に移動させる上部駆動部と、下部モータ16bの作動により受信探触子11bを上下方向に移動させる下部駆動部からなっている。
エンコーダ17aは、X軸モータ14の回転軸14aの近傍に設置されており、回転軸14aの回転を検出しその回転角に応じたパルスを発生する。図示は省略するが、このエンコーダ17aは、発光部と、受光部とを対向させて配置し、その間に、回転軸14aに取り付けられ発光部が発生する光を断続させるスリットが形成された円盤を配置して構成されている。そして、エンコーダ17aは、受光部が検知する円盤によって生じる光の断続に応じた数のパルスを出力する。
このため、このパルス数を時間で割れば回転軸14aの回転速度が求められる。また、エンコーダ17aが発生するパルスから超音波センサ11の前後方向の移動距離も求められる。エンコーダ17bは、エンコーダ17aと同一のもので構成され、Y軸モータ15の回転軸15aの近傍に設置されている。このエンコーダ17bが発生するパルスから、回転軸15aの回転速度や超音波センサ11の左右方向の移動距離が求められる。
制御装置18は、主処理部18a、モータ制御部18b、超音波制御部18cからなっている。主処理部18aは、CPU、ROM、RAM及びタイマを備えており、接続配線を介して、モータ制御部18b、超音波制御部18c及び表示装置19に接続されている。ROMには、CPUが実行するためのプログラムが記憶され、RAMには、CPUによるプログラムの実行時に使用される各種のデータが記憶される。CPUは、ROMに記憶されたプログラムやRAMに記憶されたデータにしたがって、モータ制御部18b及び超音波制御部18cを介して、検査装置10に備わった各装置の作動を制御する。なお、主処理部18aで本発明に係る判定手段が構成される。
モータ制御部18bは、主処理部18aからの指令信号に基づいて、各モータを駆動させるための電気信号を生成し、コントローラ18dを介して、X軸モータ14、Y軸モータ15、上部モータ16a及び下部モータ16bの作動を制御する。また、超音波制御部18cは、主処理部18aからの指令信号に基づいて、超音波センサ11の作動を制御する。超音波制御部18cは、周波数、振幅及び波長などが設定された送信波形の電気信号を生成し、その電気信号に応じた励振用の駆動信号をバースト波の信号として生成する。これによって、発信探触子11aは、駆動信号に基づいて駆動し超音波を発信する。
また、超音波制御部18cは、受信探触子11bが受信した超音波信号を増幅したのちに、デジタル信号に変換する。そして、主処理部18aが、このデジタル信号を演算処理することによって、超音波の伝播距離や強度に関する各情報が得られる。これらの各装置による処理が繰り返し実行されることによって、得られる検査結果は、グラフや画像として表示装置19に表示される。また、主処理部18aは、エンコーダ17a,17bがパルスを発生すると同時に、発信探触子11aが超音波を発生するように制御する。このため、超音波センサ11が一定距離移動するごとに超音波が断続的に発生するようになる。そして、表示装置19に表示される画像は、真空パック製品20における検査された部分をドットで示した画像や超音波の透過率にしたがって上下する曲線グラフになる。ドット画像の場合、検査された各部分の超音波の透過率は、画像の濃淡で表される。
つぎに、このように構成された検査装置10を用いて、真空パック製品20の内部に気体又は異物が存在するか否かの検査を行う方法について説明する。この場合、検査の前に、図2に概略を示した圧力容器23を用いて真空パック製品20を加圧処理することが好ましい。真空パック製品20は、中央部分が所定の医療用品(図示せず)が収容された収容部21で構成され、その周縁部に接合部22が形成された医療パックからなっている。そして、この真空パック製品20を圧力容器23内に入れ、空気又はヘリウムガス中で加圧する。これによって、真空パック製品20の容器に漏れがある場合には、空気又はヘリウムガスが、真空パック製品20の内部に圧入される。
また、圧力容器23を用いた加圧処理でなく、吸着パッド(図示せず)を用いて、図3に示したように、真空パック製品20の上下両面を上下にそれぞれ引っ張って真空パック製品20を膨らませることもできる。これによっても、真空パック製品20の容器に漏れがある場合には、大気中の空気又は異物が、真空パック製品20の内部に浸入する。このように内部に気体又は異物が入り易くする処理をした真空パック製品20を設置装置に設置する。
つぎに、X軸モータ14及びY軸モータ15を作動させて、超音波センサ11を、真空パック製品20の後部左の角部(図1の左上の角部)に位置させる。ついで、上部モータ16a及び下部モータ16bを作動させて、真空パック製品20に対する発信探触子11aと受信探触子11bの位置を適正な位置(できるだけ接近させることが好ましい。)に調節する。そして、X軸モータ14を作動させて超音波センサ11を後方から前方に向かって移動させる。このとき、エンコーダ17aが発生するパルスにしたがって発信探触子11aが超音波を発生する。
超音波センサ11が、真空パック製品20の前部左の角部(図1の左下の角部)に到達すると、X軸モータ14の作動が停止して、Y軸モータ15が短時間作動する。これによって、超音波センサ11は右側に少し移動する。つぎに、X軸モータ14を先ほどと逆方向に回転させて、超音波センサ11を前方から後方に移動させる。そして、超音波センサ11が、真空パック製品20の後端に到達すると、超音波センサ11を再度右側に少し移動させて、前述した操作を繰り返す。この処理は、超音波センサ11が、真空パック製品20の前部又は後部の右側の角部に到達するまで行われる。その間、発信探触子11aは断続的に超音波を発生する。そして、発信探触子11aが発生した超音波は、真空パック製品20を透過したのちに、受信探触子11bに受信される。
超音波センサ11による真空パック製品20の走査が終了すると、表示装置19に、図4に示した画像Aが結果として表示される。この画像Aは、受信探触子11bが受信する超音波パルスの強度、すなわち透過率に応じた二次元データからなる強度画像で、白い部分が透過率の大きな部分で黒くなるにしたがって透過率が小さくなることを示している。図4において、符号aで示した外周部は、接合部22に対応する部分で、符号bで示した部分は収容部21の中の気体又は異物の存在が認められない部分に対応している。また、符号c1,c2で示した部分は、収容部21の中の気体又は異物の存在により透過信号が低下したと認められる部分に対応しており、そのうち符号c1で示した気体又は異物は、真空パック製品20の製造時に残留した空気又は異物で、符号c2で示した気体又は異物は、真空パック製品20の漏れにより混入した空気やヘリウムガス又は異物などである。
真空パック製品20の良否の判定は、この画像Aを用いて行われる。この場合、予め、透過信号のしきい値を設定するとともに、不良の基準値をしきい値以下のドットの数で設定しておき、走査により得られた画像A中に、しきい値以下の所定のドットが不良の基準値以上あるか否かで判定する。この場合の判定は、しきい値以下のドットの全数を用いてもよいし、互いに隣り合ってしきい値以下になっているドット数を用いてもよい。また、検査結果の強度グラフをF(x、y)とし、予め良品として設定した強度グラフをG(x、y)とし、実際に判定に使用する関数をT(x、y)として、これらの関係を下記の式1で表すこともできる。
Figure 2015050061
そして、|T(x、y)|のしきい値を超えるドットの数が不良の基準値以上、若しくはT(x、y)のしきい値を下回るドットの数が不良の基準値以上ある場合、又は、|T(x、y)|の隣り合ったしきい値を超えるドットの数が不良の基準値以上、若しくはT(x、y)の隣り合ったしきい値を下回るドットの数が不良の基準値以上ある場合に、その真空パック製品20は不良であると判定する。さらに、相関関数により判定する場合には、類似性を確認するための下記の畳み込みの式2を用いることもできる。
Figure 2015050061
この場合、所定のしきい値を設けてその範囲を出るものが設定した数以上あるときに不良であると判定する。このような検査方法によると、微小な気泡又は異物も検出できるため、精度のよい検査が可能になる。また、表示装置19に表示される画像Aを目視することによっても真空パック製品20内に存在する気体又は異物を確認することができる。
前述した検査では、真空パック製品20の全面を走査しているが、真空パック製品20に漏れが生じている場合に、気体又は異物が溜まる場所が予め分かっており、さほど厳密な検査を必要としないものであれば、真空パック製品20の所定の一部だけを検査してその良否を判定することもできる。例えば、真空パック製品20において漏れが生じている場合には、図4に示した画像Aの符号c2で示した部分に気体又は異物が溜まると予め予想できるものとする。
この場合、図5に示した真空パック製品20の、例えば、点d(画像Aの符号c2で示した部分の中の一点)に超音波センサ11を位置させて、発信探触子11aが発生した超音波を真空パック製品20の点dの部分を透過させたのちに、受信探触子11bに受信させる。この場合も、透過強度のしきい値を予め設定しておき、受信探触子11bが受信した超音波がしきい値以下であれば不良品、しきい値以上であれば良品と判定する。なお、図5に示した真空パック製品20には、図4に示した画像Aと同じ位置に気体又は異物が存在しているものとして図4の符号c1,c2に対応する部分を破線で示している。
また、真空パック製品20が、全面走査するほど厳密な検査が必要ではないが、一点だけの検査では十分でないとされるものであれば、真空パック製品20を横切る線状の部分だけを検査してもよい。この場合、図6に示したように、真空パック製品20の、例えば、点eと点fを結ぶ直線に沿って超音波センサ11を移動させて、その間、発信探触子11aが発生する超音波を真空パック製品20に透過させて受信探触子11bに受信させる。この結果、表示装置19には、図7に示したグラフが表示される。このグラフは、点eと点fを結ぶ直線上の各点の濃淡を上下方向の大きさに置き換えて示したものである。
図7において、横軸は真空パック製品20における測定場所を示し、縦軸は超音波の透過強度を示している。そして、曲線gは、真空パック製品20の点eから点fまでの間を超音波センサ11が走査したときに受信探触子11bが受信する超音波パルスの強度を表わしている。また、直線hは設定されたしきい値を示している。曲線gにおける左右両側の値の大きな部分は、接合部22を透過した超音波の透過強度を示しており、それ以外で直線hよりも大きな値の部分は、収容部21のうち気体又は異物が存在していない部分と気体又は異物が存在している部分の外周部分を透過した超音波の透過強度を示している。そして、曲線gにおける直線hよりも小さな値の部分は、収容部21のうち気体又は異物が存在している部分のうち外周部分を除いた内部側部分を透過した超音波の透過強度を示している。
この場合の真空パック製品20の良否の判定も、前述した全面を走査したときと同様にして行われる。この場合も、不良の基準値をしきい値(直線h)以下のドットの数で設定しておき、走査により得られた曲線g中に、しきい値以下のドットが不良の基準値以上あるか否かで判定する。この場合の判定も、しきい値以下のドットの全数を用いてもよいし、連続してしきい値以下になっているドット数を用いてもよい。また、検査結果の強度グラフをF(x)とし、予め良品として設定した強度グラフをG(x)とし、実際に判定に使用する関数をT(x)として、これらの関係を下記の式3で表すこともできる。
Figure 2015050061
そして、|T(x)|のグラフでしきい値を超えるドットの数が不良の基準値以上、若しくはT(x)のグラフでしきい値を下回るドットの数が不良の基準値以上ある場合、又は、|T(x)|のグラフで連続してしきい値を超えるドットの数が不良の基準値以上、若しくはT(x)のグラフで隣り合ったしきい値を下回るドットの数が不良の基準値以上ある場合に不良であると判定する。さらに、相関関数により判定する場合には、類似性を確認するための下記の畳み込みの式4を用いることもできる。
Figure 2015050061
この場合も、所定のしきい値を設けてその範囲を出るものが設定した数以上あるときに不良であると判定する。この検査方法によると、真空パック製品20内の気体又は異物を、かなり高い確率で確認することができるとともに、検査が簡単になる。また、表示装置19に表示される曲線gと直線hによっても真空パック製品20内に存在する気体又は異物を確認することができる。また、この検査の精度を上げるために、間隔を保って複数の線状部分を走査することもできる。
以上のように、本実施形態に係る検査装置10では、真空パック製品20を挟んで超音波センサ11の発信探触子11aと受信探触子11bを配置している。このため、発信探触子11aが発信し受信探触子11bが受信する超音波の強度により、真空パック製品20が発信探触子11aと受信探触子11bの間に位置していることを検出できるとともに、真空パック製品20における超音波が透過した部分に気体又は異物が存在しているか否かを検出することができる。
また、検査装置10には、超音波センサ11を移動させる移動装置12が備わっているため、設置装置に支持された真空パック製品20の任意の部分を検査することができる。さらに、本実施形態では、真空パック製品20の検査を行う前に、真空パック製品20を圧力容器23内で加圧したり、吸着パッドを用いて、真空パック製品20の上下両面を引っ張って膨らませたりしている。このため、真空パック製品20に漏れが生じている場合には、内部に気体又は異物が入るため、その漏れを容易に検出できる。
また、本発明に係る検査装置及び検査方法は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することが可能である。例えば、前述した実施形態では、真空パック製品20を設置装置に設置して、超音波センサ11を前後、左右に移動可能にしているが、真空パック製品20を搬送装置で図1の右側から左側に搬送するようにしてもよい。この場合、超音波センサ11を前後に往復移動させながら、超音波センサ11が真空パック製品20を直線状に一回走査する毎に、真空パック製品20を一定距離ずつ断続的に搬送する。これによると、複数の真空パック製品20を連続して検査することが可能になる。そして、Y軸モータ15を備えたY軸駆動部は省略できる。
また、前述した実施形態では、密封パック製品を真空パック製品20としているが、密封パック製品は、収容物を液体が充填された容器内に収容した液体包装製品であってもよい。これによっても前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、密封パック製品の検査部分の選択や良否の判定方法についても、その密封パック製品の使用目的等に応じて適宜設定することができる。

Claims (7)

  1. 密封パック製品の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査装置であって、
    発信探触子と受信探触子とを備え、前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて、前記発信探触子が発信する超音波を前記受信探触子が受信することにより前記密封パック製品を検出する超音波センサと、
    前記超音波センサが前記密封パック製品を検出するときの超音波の透過率により前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とする密封パック製品の検査装置。
  2. 前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて前記超音波センサに対して相対的に移動させる搬送装置を備えた請求項1に記載の密封パック製品の検査装置。
  3. 前記密封パック製品に超音波を透過させる前に、前記密封パック製品を所定の気体中で加圧又は減圧することにより前記密封パック製品内に気体又は異物が入り易くする封入手段を備えた請求項1又は2に記載の密封パック製品の検査装置。
  4. 請求項1ないし3のいづれか一つに記載の密封パック製品の検査装置を用いて、密封パック製品の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査方法であって、
    超音波を発信する発信探触子と、前記発信探触子に対向して配置され前記発信探触子から送信される超音波を受信する受信探触子との間に、前記密封パック製品を配置して前記密封パック製品に超音波を透過する密封パック製品検出ステップと、
    前記密封パック製品を透過する超音波の透過率により前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定ステップと
    を備えたことを特徴とする密封パック製品の検査方法。
  5. 前記密封パック製品を横切るように前記超音波センサを走査させて前記密封パック製品に超音波を透過させ、前記密封パック製品を横切る線状部分に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにした請求項4に記載の密封パック製品の検査方法。
  6. 間隔を保って前記密封パック製品を横切る複数の線状部分に前記超音波センサを走査させて超音波を透過させ、前記密封パック製品を横切る複数の線状部分に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにした請求項4に記載の密封パック製品の検査方法。
  7. 前記密封パック製品の全面に対して前記超音波センサを走査させて超音波を透過させ、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにした請求項4に記載の密封パック製品の検査方法。
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