JPH0517348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の前部車体構造、特に、サイ
ドシルとフロントサイドフレームとの連結部分の
補強構造に関するものである。

（従来の技術） 車室の側端部には車体前後方向に延びる閉断面
状のサイドシルが設けられ、このサイドシルの前
方には車体前後方向に延びる閉断面状のフロント
サイドフレームが設けられるが、一般に、フロン
トサイドフレームはサイドシルに対して上方にオ
フセツトしている。このため、両者間には、サイ
ドシルの前端部とフロントサイドフレームの後端
部とを連結する連結フレームが設けられる。この
連結フレームは、ダツシユパネル等とで閉断面部
を構成して強度確保を図るようになつているが、
これだけでは強度上まだ十分ではない。これに対
し、実開昭59−142179号公報に開示されているよ
うなレインフオースメントを連結フレーム内に設
けるようにすれば、ある程度の強度向上を図るこ
とが可能である。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、サイドシルとフロントサイドフ
レームとの連結部分が車室前部に位置することに
鑑みれば、車両衝突時における車室内乗員保護の
観点から、その強度をより良くすることが望まれ
る。また、フロントサイドフレームの下方にはサ
スペンシヨン装置を支持するサスペンシヨンクロ
スメンバが設けられるが、このサスペンシヨンク
ロスメンバを上記フロントサイドフレーム等で支
持する場合には、サスペンシヨンクロスメンバか
ら入力される荷重に対しても十分耐え得る強度を
確保することが望まれる。

本考案は、このような事情に鑑みなされたもの
であつて、車両衝突時における安全性の向上およ
びサスペンシヨンクロスメンバに対する支持強度
の向上を図ることのできる自動車の前部車体構造
を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案による自動車の前部車体構造は、サスペ
ンシヨンクロスメンバの車体への連結をフロント
サイドフレームの後端部近傍および連結フレーム
の後端部近傍に対して行うことにより、サスペン
シヨンクロスメンバ、フロントサイドフレームお
よび連結フレームで強度上の連続性を有する閉じ
た系を形成し、さらに、連結フレームを補強する
レインフオースメントを利用してサスペンシヨン
クロスメンバとフロントサイドフレームおよび連
結フレームとの各連結部分をも補強することによ
り上記目的達成を図るようにしたものである。す
なわち、車室の側端部に設けられた車体前後方向
に延びる閉断面状のサイドシルと、このサイドシ
ルの前方に該サイドシルに対して上方にオフセツ
トして設けられた車体前後方向に延びる閉断面状
のフロントサイドフレームと、前記サイドシルの
前端部と前記フロントサイドフレームの後端部と
を連結する連結フレームと、前記フロントサイド
フレームの後端部近傍および前記連結フレームの
後端部近傍にそれぞれ連結された車幅方向に延び
るサスペンシヨンクロスメンバと、前端部が前記
フロントサイドフレームの内面に連結されて該フ
ロントサイドフレームの前記サスペンシヨンクロ
スメンバの連結部分を補強するとともに、後端部
が前記サイドシルに連結され、かつ少なくとも前
記連結フレームの後端部近傍と前記サスペンシヨ
ンクロスメンバとの連結部分において該連結フレ
ームとで閉断面部を構成するレインフオースメン
トとを備えてなることを特徴とするものである。

上記「連結フレーム」は、上記構成に示す前部
車体構造を採用した場合において上記目的達成を
図るに足る強度を有するものであれば、閉断面状
のものであつても開断面状のものであつてもよ
く、閉断面状とする場合には、連結フレーム自体
を閉断面状に形成してもよいし、連結フレームと
ダツシユパネル等の他の部材とで閉断面状に形成
してもよい。

上記「レインフオースメント」は、「フロント
サイドフレームの内面」および「サイドシル」に
連結されるが、「フロントサイドフレームの内面」
とは、必ずしもサスペンシヨンクロスメンバが連
結されたフロントサイドフレーム外面の裏側部位
である必要はなく、サスペンシヨンクロスメンバ
とフロントサイドフレームとの連結部分を補強可
能な部位であれば、フロントサイドフレーム内の
どこに連結するようにしてもよく、また「サイド
シル」への連結については、サイドシルの内面あ
るいは外面のいずれかに連結するうよにしてもよ
い。

（作用） 上記構成に示すように、サスペンシヨンクロス
メンバはフロントサイドフレームの後端部近傍お
よび連結フレームの後端部近傍において車体に連
結されるため、これら３つの部材により強度上の
連続性を有する閉じた系が形成されることとな
り、したがつて、フロントサイドフレームおよび
連結フレームとサスペンシヨンクロスメンバとは
相互に補強し合う関係となる。また、サスペンシ
ヨンクロスメンバが連結される連結フレーム後端
部近傍は、該連結フレームとレインフオースメン
トとで閉断面部が形成されているため、サスペン
シヨンクロスメンバに対する支持強度の向上が図
られることとなり、一方、サスペンシヨンクロス
メンバが連結されるフロントサイドフレーム後端
部近傍は、閉断面状に形成されたフロントサイド
フレームに加えてレインフオースメントによる補
強がなされているため、サスペンシヨンクロスメ
ンバに対する支持強度向上が図られることとな
る。さらに、サスペンシヨンクロスメンバは、フ
ロントサイドフレーム後端部近傍および連結フレ
ーム後端部近傍にそれぞれ連結されているのでサ
スペンシヨンクロスメンバからの入力荷重は、フ
ロントサイドフレームおよびサイドシルに効率よ
く分散されることとなる。

（考案の効果） したがつて、本考案によれば、サイドシルとフ
ロントサイドフレームとの連結部分の車体強度が
向上するため、車両衝突時の荷重はフロントサイ
ドフレームからサイドシルにスムーズに伝達さ
れ、上記連結部分に応力が集中するのを防止で
き、車室内乗員の安全性が向上するとともに、サ
スペンシヨンクロスメンバに対する支持強度も向
上する。

（実施例） 以下添付図面を参照しながら本考案の実施例に
ついて詳述する。

第１および２図は、本考案による自動車の前部
車体構造の一実施例を示す側面図および平面図で
あつて、第３図の部を詳細に示す図である。

第３図に示すように、車室１の側端部には車体
前後方向に延びる閉断面状のサイドシル２が設け
られ、このサイドシル２の前方には、ダツシユパ
ネル３を隔てて車体前後方向に延びる閉断面状の
フロントサイドフレーム４が設けられている。

第１および第２図に示すように、フロントサイ
ドフレーム４はサイドシル２に対して上方および
車幅方向内方にオフセツトして設けられ、連結フ
レーム５によつてサイドシル２の前端部とフロン
トサイドフレーム４の後端部とが連結されてい
る。この連結フレーム５は断面Ｕ字形に形成さ
れ、ダツシユバネル３に接合されて該ダツシユパ
ネル３とで閉断面を構成するようになつている。

フロントサイドフレーム４の下方には、車幅方
向に延びるサスペンシヨンクロスメンバ６が設け
られている。このサスペンシヨンクロスメンバ６
は、フロントサイドフレーム４の後端部近傍およ
び連結フレーム５の後端部近傍に連結されてい
る。連結フレーム５への連結は、該連結フレーム
５に固定されたウエルドナツト７にボルト８を締
結することによつてなされ、一方、フロントサイ
ドフレーム４への連結は、該フロントサイドフレ
ーム４から下方に突出したボルト１０にナツト１
１を締結することによつてなされる。

第１図の−線断面図である第４図に示すよ
うに、ボルト１０は、フロントサイドフレーム４
を構成するインナフレーム４ａおよびアウタフレ
ーム４ｂで形成された閉断面内を貫通して設けら
れるが、フロントサイドフレーム４の内面には断
面Ｕ字形の第１レインフオースメント１２が溶接
されていて、この第１レインフオースメント１２
に固定されたウエルドナツト１３にボルト１０を
締結しておくことにより、ボルト１０のサスペン
シヨンクロスメンバ６に対する支持強度を高める
ようになつている。

第１図に示すように、第１レインフオースメン
ト１２は、ウエルドナツト１３が固定された部位
を前端部としてフロントサイドフレーム４内を車
体後方に延び、連結フレーム５内にまで延長して
設けられている。そして、第１レインフオースメ
ント１２の後端部には、第２レインフオースメン
ト１４の前端部が重合されて溶接されている。こ
の第２レインフオースメント１４は、その後端部
がサイドシル２に溶接されている。これら第１お
よび第２レインフオースメント１２，１４により
連結フレーム５の補強がなされる。

さらに、第２図の−線断面図である第５図
に示すように、第２レインフオースメント１４
は、連結フレーム５およびサイドシル２とで閉断
面部を構成するようになつている。したがつて、
サスペンシヨンクロスメンバ６が連結される連結
フレーム５後端部近傍は、第２レインフオースメ
ント１４により十分に補強されることとなる。

第１図に示すように、サスペンシヨンクロスメ
ンバ６は、ダツシユパネル３の前方近傍に配設さ
れるステアリングタイロツド１５の下方に位置す
るため、その車体への連結はステアリングタイロ
ツド１５を囲むようにしてなされ、ステアリング
タイツド１５の周囲には、フロントサイドフレー
ム４、連結フレーム５およびサスペンシヨンクロ
スメンバ６により４角形の閉じた系が形成される
こととなる。これにより、フロントサイドフレー
ム４および連結フレーム５とサスペンシヨンクロ
スメンバ６とが相互に補強し合う構造となる。そ
して、サスペンシヨン装置（図示せず）からサス
ペンシヨンクロスメンバ６に入力される荷重は、
フロントサイドフレーム４と、連結フレーム５を
介してサイドシル２とに効率よく分散されること
となる。

また、第１図から明らかなように第１レインフ
オースメント１２は、第２レインフオースメント
１４との重合部分を除きフロントサイドフレーム
４および連結フレーム５の下面に接しているのに
対し、第２レインフオースメント１４は連結フレ
ーム５とで閉断面部を構成するようになつてい
る。したがつて、第１レインフオースメント１２
で補強された部分よりも第２レインフオースメン
ト１４で補強された部分の方が車体強度は高くな
る。このため、車両衝突時等車両前後方向の衝撃
荷重を受けた場合には、それぞれ所定以下の荷重
であれば、両レインフオースメント１２，１４で
補強された連結フレーム５を介してフロントサイ
ドフレーム４からの入力荷重はサイドシル２に伝
達されるため車体変形が阻止されるが、所定以上
の荷重に対しては、段階的に車体が圧縮変形する
こととなる。すなわち、車室１内の乗員に近い車
体部位に配される第２レインフオースメント１４
による補強効果の方が大きいことから、乗員の安
全性確保の点で有利となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による自動車の前部車体構造の
一例を示す、第３図の部側面図、第２図は第３
図の部平面図、第３図は該構造が適用される車
体部位を示す斜視図、第４図は第１図の−線
断面図、第５図は第２図の−線断面図であ
る。 １……車室、２……サイドシル、４……フロン
トサイドフレーム、５……連結フレーム、６……
サスペンシヨンクロスメンバ、１２……第１レイ
ンフオースメント、１４……第２レインフオース
メント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車室の側端部に設けられた車体前後方向に延び
   る閉断面状のサイドシルと、このサイドシルの前
   方に該サイドシルに対して上方にオフセツトして
   設けられた車体前後方向に延びる閉断面状のフロ
   ントサイドフレームと、前記サイドシルの前端部
   と前記フロントサイドフレームの後端部とを連結
   する連結フレームと、前記フロントサイドフレー
   ムの後端部近傍および前記連結フレームの後端部
   近傍にそれぞれ連結された車幅方向に延びるサス
   ペンシヨンクロスメンバと、前端部が前記フロン
   トサイドフレームの内面に連結されて該フロント
   サイドフレームの前記サスペンシヨンクロスメン
   バとの連結部分を補強するとともに、後端部が前
   記サイドシルに連結され、かつ少なくとも前記連
   結フレームの後端部近傍と前記サスペンシヨンク
   ロスメンバとの連結部分において該連結フレーム
   とで閉断面部を構成するレインフオースメントと
   を備えてなることを特徴とする自動車の前部車体
   構造。