以下、本発明の変位検出装置の実施の形態例について、図1~図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
また、以下の説明において記載される各種のレンズは、単レンズであってもよいし、レンズ群であってもよい。
1.変位検出装置の実施の形態例
まず、本発明の変位検出装置の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成を図1~図3に従って説明する。
1-1.変位検出装置の構成例
図1は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。図2は、変位検出装置における第1の回折格子が設けられた被測定部材を示す斜視図である。
本例の変位検出装置1は、ヘッドと被測定部材のうち少なくとも一方を移動させた際の変位(移動量)を検出する変位検出装置である。
図1及び図2に示すように、変位検出装置1は、反射型の回折格子である第1の回折格子11が設けられた被測定部材2と、被測定部材2と対向するヘッド3と、変位出力部4とを備えている。なお、変位出力部4は、ヘッド3内に収容してもよく、あるいはヘッド3の外部に設けた携帯情報処理端末や、PC(パーソナルコンピュータ)に配置してもよい。変位出力部4は、第1相対位置情報出力部4Aと、第2相対位置情報出力部4Bと、第3相対位置情報出力部4Cと、第4相対位置情報出力部4Dとを有している。
図3A及び図3Bに示すように、被測定部材2は、平板状に形成されている。被測定部材2の被測定面2aには、第1の回折格子11が設けられている。第1の回折格子11は、第1格子ベクトル方向と、第2格子ベクトル方向を有している。第1格子ベクトル方向及び第2格子ベクトル方向は、被測定面2aに対して平行をなす。
そして、被測定面2aに対して平行でかつ、第1格子ベクトル方向と平行をなす方向を第1の方向Xとする。また、被測定面2aに対して平行で、かつ第1方向Xと直交する方向を第2の方向Yとする。第2の方向Yは、第1の回折格子11の第2格子ベクトル方向と平行をなす。さらに、被測定面2aと直交する方向、すなわち第1の方向Xと第2の方向Yとも直交する方向を第3の方向Zとする。すなわち、第3の方向Zは、被測定部材2とヘッド3が対向する高さ方向である。
ヘッド3と、被測定部材2は、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zの3方向に相対的に移動可能に構成されている。そして、本例の変位検出装置1は、第1の方向Xと、第3の方向Zと、第1の方向X及び第3の方向Zとも直交する第2の方向Yの3次元の変位情報を出力可能な変位検出装置である。さらに、変位検出装置1は、被測定部材の傾きも検出可能な変位検出装置である。
第1の回折格子11は、複数の突起(格子)11aにより構成されている。複数の突起11aは、被測定面2aから第3の方向Zに向けて突出している。この複数の突起11aは、第1の方向Xと平行をなす第1格子ベクトル方向と、第2の方向Yと平行をなす第2格子ベクトル方向に沿ってそれぞれ間隔を空けて格子状に配置されている。
なお、第1の回折格子11を複数の突起11aにより構成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被測定部材2の被測定面2aに形成された複数の凹部によって第1の回折格子11を構成してもよい。
第1の回折格子11は、例えば、ガラスやシリコンの基板からなる被測定部材2に形成される。そして、第1の回折格子11を構成する複数の突起11aは、例えば金やアルミニウム等の反射率の高い材料を被測定部材2の被測定面2aに蒸着することで形成される。なお、第1の回折格子11の格子ピッチdR及び回折角度θについては、後述する。
この被測定部材2に設けた第1の回折格子11は、ヘッド3から照射された光を回折して所定の回折角度によって再びヘッド3に戻す。
次に、ヘッド3の構成について説明する。
ヘッド3は、第1変位検出部5Aと、第2変位検出部5Bと、第3変位検出部5Cと、第4変位検出部5Dと、光源6と、レンズ16と、第1光束分割部13Aと、第2光束分割部13Bと、第3光束分割部13Cと、第4光束分割部13Dと、を備えている。
第1変位検出部5Aは、ヘッド3の第1の方向Xの一側に配置され、第2変位検出部5Bは、ヘッド3の第1の方向Xの他側に配置されている。また、第3変位検出部5Cは、ヘッド3の第2の方向Yの一側に配置され、第4変位検出部5Dは、ヘッド3の第2の方向Yの他側に配置されている。
第1変位検出部5A、第2変位検出部5B、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dの間には、光源6、レンズ16、第1光束分割部13A、第2光束分割部13B、第3光束分割部13C及び第4光束分割部13Dが配置されている。すなわち、光源6、レンズ16、第1光束分割部13A、第2光束分割部13B、第3光束分割部13C及び第4光束分割部13Dは、ヘッド3における第1の方向X及び第2の方向Yの中心部に配置されている。
光源6には、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、ガスレーザ、固体レーザ、発光ダイオード等が挙げられる。光源6として、可干渉距離が長い光源を用いると、被測定部材2の被測定面2aのチルト等による物体光と参照光の光路長差の影響を受けにくくチルト許容範囲が広くなる。また、光源6の可干渉距離が短くなるほど、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぐことができ、高精度な計測をすることができる。
さらに、光源6として、シングルモードのレーザを用いると、波長を安定させるために、光源6の温度をコントロールすることが望ましい。また、シングルモードのレーザの光に、高周波重畳などを付加して、光の可干渉性を低下させてもよい。さらに、マルチモードのレーザを用いる場合も、ペルチェ素子等で光源6の温度をコントロールすることで、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぎ、さらに安定した計測が可能になる。
なお、光源6の数は、1つに限定されるものではなく、複数の光源6を配置して互いの光りを重ね合わせることで光量を増加させてもよい。また、光源6は、例えば、光軸を中心に回転した円偏光の光を出射する。
光源6から出射された光Lは、第4光束分割部13Dに入射する。なお、光源6と第4光束分割部13Dの間には、コリメートレンズ等からなるレンズ16及びアイソレータ9が配置されている。レンズ16は、光源6から出射された光Lを平行光にコリメートする。そのため、アイソレータ9及び第4光束分割部13Dには、レンズ16により平行光にコリメートされた光Lが入射される。
アイソレータ9は、光源6と第4光束分割部13Dとの間において、レンズ16と第4光束分割部13Dの間に配置されている。アイソレータ9は、光を一方向だけ通過させ、逆方向には光を遮断する光学素子である。光源6から出射された光Lが直線偏光である場合、アイソレータ9によって直線偏光の向きが変わる。
これにより、後述する第1の回折格子11によって回折された回折光のうち0次光が光源6に戻ることをアイソレータ9により抑制することができる。その結果、光源6の不要光によるモードホップ、いわゆる波長の飛びが発生することを軽減することができる。
第1光束分割部13A、第2光束分割部13B、第3光束分割部13C及び第4光束分割部13Dは、ハーフミラー又はビームスプリッタにより構成されている。第1光束分割部13A、第2光束分割部13B、第3光束分割部13C及び第4光束分割部13Dは、それぞれ入射した光を、反射した光と、透過する光の2つに分割する。
第1光束分割部13A、第2光束分割部13B、第3光束分割部13C及び第4光束分割部13Dは、第3の方向Zにおける被測定部材2側から、第1光束分割部13A、第2光束分割部13B、第3光束分割部13C、第4光束分割部13Dの順に配置されている。すなわち、第4光束分割部13Dが光源6側に配置される。
第4光束分割部13Dには、光源6から出射された光Lが入射する。第4光束分割部13Dによって反射された光束は、第4変位検出部5Dで用いられる参照光である第2の光束L2Dとなる。第4光束分割部13Dを反射した第2の光束L2Dは、第2の方向Yの他側に向けて照射される。なお、第4光束分割部13Dにおける第2の方向Yの他側には、後述する第4変位検出部5Dの光束結合部50D及び参照用ミラー14Dが配置されている。そのため、第2の光束L2Dは、後述する第4変位検出部5Dの光束結合部50D及び参照用ミラー14Dに向けて照射される。また、第4光束分割部13Dを透過した光は、第3光束分割部13Cに入射する。
第3光束分割部13Cによって反射された光束は、第3変位検出部5Cで用いられる参照光である第2の光束L2Cとなる。第3光束分割部13Cを反射した第2の光束L2Cは、第2の方向Yの一側に向けて照射される。なお、第3光束分割部13Cにおける第2の方向Yの一側には、後述する第3変位検出部5Cの光束結合部50C及び参照用ミラー14Cが配置されている。そのため、第2の光束L2Cは、後述する第3変位検出部5Cの光束結合部50C及び参照用ミラー14Cに向けて照射される。また、第3光束分割部13Cを透過した光は、第2光束分割部13Bに入射する。
第2光束分割部13Bによって反射された光束は、第2変位検出部5Bで用いられる参照光である第2の光束L2Bとなる。第2光束分割部13Bを反射した第2の光束L2Bは、第1の方向Xの他側に向けて照射される。なお、第2光束分割部13Bの第1の方向Xの他側には、後述する第2変位検出部5Bの光束結合部50B及び参照用ミラー14Bが配置されている。そのため、第2の光束L2Bは、後述する第2変位検出部5Bの光束結合部50B及び参照用ミラー14Bに向けて照射される。また、第2光束分割部13Bを透過した光は、第1光束分割部13Aに入射する。
第1光束分割部13Aによって反射された光束は、第1変位検出部5Aで用いられる参照光である第2の光束L2Aとなる。第1光束分割部13Aを反射した第2の光束L2Aは、第1の方向Xの一側に向けて照射される。なお、第1光束分割部13Aの第1の方向Xの一側には、後述する第1変位検出部5Aの光束結合部50A及び参照用ミラー14Aが配置されている。そのため、第2の光束L2Aは、後述する第1変位検出部5Aの光束結合部50A及び参照用ミラー14Aに向けて照射される。また、第1光束分割部13Aを透過した第1の光束L1は、被測定部材2、すなわち第1の回折格子11の入射点P11に垂直に入射する。
なお、光源6と第4光束分割部13Dとの間に偏光板を設けてもよい。これにより、s偏光及びp偏光に対して直交した偏光成分としてわずかに存在する漏れ光、ノイズを除去することができる。また、光束分割部13A、13B、13C、13Dとしてハーフミラーやビームスプリッタを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。光束分割部13としては、例えば、偏光ビームスプリッタを用いてもよい。
さらに、光源6、レンズ16、アイソレータ9及び4つの光束分割部13A、13B、13C、13Dは、第1光束分割部13Aを透過する光、すなわち第1の光束L1の進行方向が第3の方向Zと平行になるように配置される。そのため、第1光束分割部13Aを透過した第1の光束L1は、被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11に対して垂直に入射する。これにより、被測定部材2が第3の方向Zに変位しても第1の回折格子11に入射される第1の光束L1の入射点P11の位置は、第1の回折格子11上において変化しない。
その結果、後述する変位検出部5A、5B、5C、5Dによって第1の方向X及び第2の方向Yの変位を検出する際に、被測定部材2における第3の方向Zの変位が影響することを抑制することができる。
第1の回折格子11の入射点P11に入射した第1の光束L1は、第1の回折格子11によって第1の方向Xに沿って正負の次数を有する2つの光束L1A、L1Bと、第2の方向Yに沿って正負の次数を有する2つの光束L1C、L1Dに分けられる。
ここで、第1の回折格子11の第1格子ベクトル方向のプラス方向(一側)へ回折した回折光を第1の方向Xにおける正の次数の回折光とし、マイナス方向(他側)へ回折した回折光を第1の方向Xにおける負の次数の回折光とする。そして、第1の方向Xにおける正の次数を有する回折光が第1変位検出部5Aで用いられる物体光となり、第1の方向Xにおける負の次数を有する回折光が第2変位検出部5Bで用いられる物体光となる。
また、第1の回折格子11の第2格子ベクトル方向のプラス方向(一側)へ回折した回折光を第2の方向Yにおける正の次数の回折光とし、マイナス方向(他側)へ回折した回折光を第2の方向Yにおける負の次数の回折光となる。そして、第2の方向Yにおける正の次数を有する回折光が第3変位検出部5Cで用いられる物体光となり、第2の方向Yにおける負の次数を有する回折光が第4変位検出部5Dで用いられる物体光となる。
第1の回折格子11によって回折された第1の光束L1における第1の方向Xにおいて正の次数を有する第1の光束L1Aは、後述する第1変位検出部5Aの光束平行分岐部40Aに入射する。また、第1の回折格子11によって回折された第1の光束L1における第1の方向Xにおいて負の次数を有する第1の光束L1Bは、後述する第2変位検出部5Bの光束平行分岐部40Bに入射する。
さらに、第1の回折格子11によって回折された第1の光束L1における第2の方向Yにおいて正の次数を有する第1の光束L1Cは、後述する第3変位検出部5Cの光束平行分岐部40Cに入射する。また、第1の回折格子11によって回折された第1の光束L1における第2の方向Yにおいて負の次数を有する第1の光束L1Dは、後述する第4変位検出部5Dの光束平行分岐部40Dに入射する。
次に、第1変位検出部5A、第2変位検出部5B、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dについて説明する。なお、第1変位検出部5A、第2変位検出部5B、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dは、それぞれ同様の構成を有しているため、ここでは、第1変位検出部5Aについて説明する。
図1に示すように、第1変位検出部5Aは、第2の回折格子12Aと、光束平行分岐部40Aと、光束結合部50Aと、参照光用反射部材の一例を示す参照用ミラー14Aと、物体光用反射部材の一例を示す物体用ミラー15Aと、第1の位相板17Aと、第2の位相板18Aと、を有している。さらに、第1変位検出部5Aは、受光部7Aと、第1傾き検出用受光部80Aを有している。
光束平行分岐部40Aは、第1の回折格子11によって回折された正の次数を有する第1の光束L1Aが入射する位置に配置されている。光束平行分岐部40Aは、偏光調整位相板42と、三角柱状のプリズムからなる反射ミラー43と、偏光ビームスプリッタ44により構成されている。
偏光調整位相板42は、通過する光の偏光方向を変化させるものであり、入射した第1の光束L1の偏光状態をs偏光に変化させる。偏光調整位相板42における光の出射側には、反射ミラー43が配置されている。反射ミラー43は、偏光調整位相板42を通過した第1の光束L1を偏光ビームスプリッタ44に向けて反射させる。
偏光ビームスプリッタ44は、s偏光の光を反射し、p偏光の光を透過させる。偏光ビームスプリッタ44における光を反射及び透過させる反射透過面44aと、反射ミラー43の反射面は、平行に配置されている。ここで、反射ミラー43によって反射された第1の光束L1Aは、偏光調整位相板42によってs偏光の光に偏光状態が調整されている。そのため、偏光ビームスプリッタ44は、反射ミラー43によって反射された第1の光束L1Aを第2の回折格子12Aに向けて反射させる。
また、光束平行分岐部40Aの偏光ビームスプリッタ44には、後述する第2の回折格子12A及び第1の位相板17Aを透過し、かつ物体用ミラー15Aによって反射された第1の光束L1Aが再び入射する。なお、光束平行分岐部40Aに再び入射した第1の光束L1Aの偏光方向は、p偏光に変化されている。そのため、光束平行分岐部40Aは、再び偏光ビームスプリッタ44に入射した第1の光束L1Aを透過させる。そして、光束平行分岐部40Aを透過した第1の光束L1Aは、再び第1の回折格子11に入射する。
第2の回折格子12Aは、光束平行分岐部40Aを通過した第1の光束L1Aが入射する位置に配置されている。第2の回折格子12Aは、その平面が第3の方向Zに対して傾斜して配置されている。第2の回折格子12Aは、光を透過させ、かつ透過した光を回折させる透過型の回折格子である。なお、第2の回折格子12Aの格子ピッチdT及び回折角度φについては、後述する。
第2の回折格子12Aにおける第1の回折格子11から入射した第1の光束L1Aが回折して透過する方向には、物体用ミラー15Aが配置されている。さらに、第2の回折格子12Aと物体用ミラー15Aの間には、第1の位相板17Aが配置されている。
第1の位相板17Aは、通過する光の偏光方向を変化させるものであり、例えば、1/4波長板等から構成されている。そのため、第1の位相板17Aは、通過する光がp偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変化させる。また、通過する光が第1の向きに回転する円偏光の場合、s偏光に変化させる。さらに、通過する光がs偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の方向とは反対である第2の向きに回転する円偏光に変化させる。そして、通過する光が第2の向きに回転する円偏光の場合、p偏光に変化させる。
第1の位相板17Aを透過した第1の光束L1Aは、第1の位相板17Aによって偏光方向が変化されて、物体用ミラー15Aに入射する。物体用ミラー15Aは、第2の回折格子12Aを回折して透過し、及び第1の位相板17Aを透過した第1の光束L1Aが反射面に対して垂直に入射する位置に配置されている。そして、物体用ミラー15Aには、第1の光束L1Aが垂直に入射するため、物体用ミラー15Aは、第1の光束L1Aを、第2の回折格子12Aを回折し、透過して入射する際の光路と、反射して第2の回折格子12Aに再び入射する光路が一致するように反射させる。
物体用ミラー15Aにより反射された第1の光束L1Aは、第1の位相板17A及び第2の回折格子12Aを透過して再び光束平行分岐部40Aに入射する。光束平行分岐部40Aを通過した第1の光束L1Aは、再び第1の回折格子11に入射する。
ここで、光束平行分岐部40Aに再び入射した第1の光束L1Aの偏光方向は、第1の位相板17Aによってp偏光に変化されている。そのため、光束平行分岐部40Aは、再び偏光ビームスプリッタ44に入射した第1の光束L1Aを透過させる。そして、光束平行分岐部40Aを透過した第1の光束L1Aは、再び第1の回折格子11に入射する。
ここで、光束平行分岐部40Aは、第1の光束L1Aにおける第1の回折格子11によって回折されて光束平行分岐部40Aに入射する光路を行き光路とする。また、第2の回折格子12Aによって回折された第1の光束L1Aが光束平行分岐部40Aを透過してから第1の回折格子11に入射するまでの光路を帰り光路とする。
光束平行分岐部40Aは、第1の光束L1Aにおける行き光路と帰り光路が一致しないように、行き光路と帰り光路を平行に移動させている。そのため、第1の光束L1Aにおける再び第1の回折格子11に入射する位置は、行き光路の入射点P11とは異なる入射点P12Aとなる。
さらに、第1の光束L1Aは、行き光路と帰り光路で第1の回折格子11と第2の回折格子12Aによってそれぞれ2回ずつ回折される。そして、第1の光束L1Aは、第1の回折格子11によって再び回折されて光束結合部50Aに入射する。
光束結合部50Aは、第1光束分割部13Aと参照用ミラー14Aの間に配置されている。光束結合部50Aは、例えば、偏光調整位相板と、偏光ビームスプリッタにより構成されている。
偏光調整位相板は、偏光ビームスプリッタと、第1光束分割部13Aの間に配置されている。偏光調整位相板は、通過する光の偏光方向を変化させるものであり、入射した第2の光束L2Aの偏光状態をp偏光に変化させる。
偏光ビームスプリッタは、光束平行分岐部40Aの偏光ビームスプリッタ44と同様に、s偏光の光を反射し、p偏光の光を透過させる。そして、偏光ビームスプリッタは、偏光調整位相板を通過したp偏光の第2の光束L2Aを透過させる。光束結合部50Aの偏光ビームスプリッタを透過した第2の光束L2Aは、参照用ミラー14Aに向かって進行する。
参照用ミラー14Aは、第1光束分割部13Aによって分割されて、光束結合部50Aを透過した第2の光束L2Aの進行方向に配置されている。参照用ミラー14Aは、その反射面が第1光束分割部13Aにおける第2の光束L2Aを照射する面及び光束結合部50Aの光を反射及び透過させる反射透過面と平行に配置されている。すなわち、参照用ミラー14Aは、その反射面に第2の光束L2Aが垂直に入射する位置に配置される。そして、参照用ミラー14Aには、第2の光束L2Aが垂直に入射するため、参照用ミラー14Aは、第2の光束L2Aを、入射する際の光路と反射した後の光路が一致するように反射する。
また、光束結合部50Aと参照用ミラー14Aの間には、第2の位相板18Aが配置されている。第2の位相板18Aは、第1の位相板17Aと同様に、通過する光の偏光方向を変化させるものであり、例えば、1/4波長板等から構成されている。そのため、第1の位相板17Aは、通過する光がp偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変化させる。また、通過する光が第1の向きに回転する円偏光の場合、s偏光に変化させる。さらに、通過する光がs偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の方向とは反対である第2の向きに回転する円偏光に変化させる。そして、通過する光が第2の向きに回転する円偏光の場合、p偏光に変化させる。
第1の光束L1Aにおける第1光束分割部13Aから物体用ミラー15Aに反射されて光束結合部50Aに入射するまでの光路長の長さと、第2の光束L2Aにおける第1光束分割部13Aから参照用ミラー14Aに反射されて光束結合部50Aに入射するまでの光路長の長さが等しくなるように、参照用ミラー14A及び物体用ミラー15Aが配置されている。
これにより、気圧、湿度や温度の変化によって光源6の波長変動があった場合でも、第1の光束L1Aと第2の光束L2Aが受ける影響を等しくすることができる。その結果、気圧補正、湿度補正や温度補正を行うことなく、周囲環境に関わらず安定した測定を行うことができる。さらに、変位検出装置1を製造する際に、第1の光束L1Aの光路長と、第2の光束L2Aの光路長や光軸の角度を調整し易くすることができる。
参照用ミラー14Aにより反射された第2の光束L2Aは、行きの光路と同じ光路を通って、第2の位相板18Aを通過して、再び光束結合部50Aに入射する。ここで、第2の光束L2Aは、第2の位相板18Aを2回通過することで、p偏光からs偏光に変化されている。また、第1の光束L1Aは、第1の位相板17Aを2回通過することで、s偏光からp偏光に変化されている。
そのため、光束結合部50Aは、p偏光の第1の光束L1Aを受光部7Aに向けて透過させて、s偏光の第2の光束L2Aを受光部7Aに向けて反射させる。これにより、光束結合部50Aによって第1の光束L1Aと第2の光束L2Aを重ね合わせることができる。そして、光束結合部50Aによって重ね合わされた第1の光束L1Aと第2の光束L2Aは、受光部7Aに向けて照射される。
受光部7Aは、集光レンズ21と、ハーフミラー22と、第1の偏光ビームスプリッタ24と、第2の偏光ビームスプリッタ25とを有している。また、ハーフミラー22と、第2の偏光ビームスプリッタ25との光路上には、例えば、1/4波長板等からなる受光側位相板23が配置されている。
集光レンズ21は、光束分割部13からの入射された第1の光束L1A及び第2の光束L2Aを集光する。また、集光レンズ21は、後述する第1の受光素子31、第2の受光素子32、第3の受光素子33及び第4の受光素子34上でビーム径が適当な大きさになるように光を集光する。ハーフミラー22は、光を分割する。ハーフミラー22によって分割された光は、第1の偏光ビームスプリッタ24、又は受光側位相板23を介して第2の偏光ビームスプリッタ25に入射する。
第1の偏光ビームスプリッタ24は、入射される光束の偏光方向が入射面に対して45度傾くように配置されている。この第1の偏光ビームスプリッタ24における光の出射口側には、第1の受光素子31と、第2の受光素子32が設けられている。また、第2の偏光ビームスプリッタ25における光の出射口側には、第3の受光素子33と、第4の受光素子34が設けられている。
これら第1の偏光ビームスプリッタ24及び第2の偏光ビームスプリッタ25は、s偏光成分を有する干渉光を反射させ、p偏光成分を有する干渉光を透過させて、光を分割するものである。
第1の受光素子31、第2の受光素子32、第3の受光素子33及び第4の受光素子34は、光を受光し、干渉信号を得る。そして、受光部7Aには、変位出力部4の第1相対位置情報出力部4Aが接続されている。受光部7Aは、第1の受光素子31、第2の受光素子32、第3の受光素子33及び第4の受光素子34が得た干渉信号を第1相対位置情報出力部4Aに出力する。
第1傾き検出用受光部80Aは、第2の回折格子12Aの近傍に配置されている。また、第1傾き検出用受光部80Aは、第2の回折格子12Aを透過した光のうち0次光L4Aが入射する位置に配置されている。第1傾き検出用受光部80Aは、第1受光素子81と、第2受光素子82とを有している。この第1受光素子81と第2受光素子82には、0次光L4Aの照射像が結像される。
さらに、第1傾き検出用受光部80Aは、変位出力部4に接続されている。そして、第1傾き検出用受光部80Aは、第1受光素子81及び第2受光素子82が受光し、光電変換した信号を変位出力部4に出力する。
第2変位検出部5Bは、第2の回折格子12Bと、参照用ミラー14Bと、物体用ミラー15Bと、第1の位相板17Bと、第2の位相板18Bと、光束平行分岐部40Bと、光束結合部50Bと、を備えている。さらに、第2変位検出部5Bは、受光部7Bと、第2傾き検出用受光部80Bを有している。
また、第2変位検出部5Bを構成する第2の回折格子12B、参照用ミラー14B、物体用ミラー15B、第1の位相板17B、第2の位相板18B、光束平行分岐部40B、光束結合部50B及び第2傾き検出用受光部80Bは、第1変位検出部5Aに対して第1の方向Xに沿って反転して配置されている。
第2変位検出部5Bの光束平行分岐部40Bは、物体用ミラー15Bによって反射され、かつ第2の回折格子12Bを通過した第1の光束L1Bを、第1の回折格子11における1回目の入射位置の入射点P11と異なる入射点P12Bに入射させる。なお、1回目の入射一である入射点P11と、2回目の照射一である入射点P12Bは、被測定部材2における第1の方向X上に位置している。また、光束平行分岐部40Bは、第1の光束L1Bにおける入射点P11から光束平行分岐部40Bに入射するまでの行き光路と、光束平行分岐部40Bから第1の回折格子11の入射点P12Bに入射するまでの帰り光路が一致しないように、第1の方向Xに平行に移動させている。
第1の回折格子11の入射点P12Bに入射した第1の光束L1Bは、第1の回折格子11によって回折され、光束結合部50Bによって第2の光束L2Bと重ね合わされて受光部7Bに入射する。受光部7Bは、得られた干渉信号を第2相対位置情報出力部4Bに送信する。
第2傾き検出用受光部80Bは、第1受光素子81と、第2受光素子82とを有している。また、第2傾き検出用受光部80Bは、第2の回折格子12Bを透過した光のうち0次光L4Bが入射する位置に配置されている。第1受光素子81と第2受光素子82には、0次光L4Bの照射像が結像される。
さらに、第2傾き検出用受光部80Bは、変位出力部4に接続されている。そして、傾き検出用受光部80Bは、第1受光素子81及び第2受光素子82が受光し、光電変換した信号を変位出力部4に出力する。
また、第1傾き検出用受光部80Aと、第2傾き検出用受光部80Bは、第1の方向Xに沿って間隔LL1を空けて配置されている。この第1傾き検出用受光部80Aと、第2傾き検出用受光部80Bとの間隔LL1の情報は、予め変位出力部4に格納されている。
図2に示すように、第3変位検出部5Cは、第2の回折格子12Cと、参照用ミラー14Cと、物体用ミラー15Cと、第1の位相板17Cと、第2の位相板18Cと、光束平行分岐部40Cと、光束結合部50Cと、を備えている。さらに、第3変位検出部5Cは、受光部7Cと、第3傾き検出用受光部80Cを有している。また、第2の回折格子12Cの格子ベクトル方向は、第2の方向Yと第3の方向Zで形成される平面上に存在する。
第3変位検出部5Cの光束平行分岐部40Cは、物体用ミラー15Cによって反射され、かつ第2の回折格子12Cを通過した第1の光束L1Cを、第1の回折格子11における1回目の入射位置の入射点P11と異なる入射点P12Cに入射させる。なお、1回目の入射一である入射点P11と、2回目の照射一である入射点P12Cは、被測定部材2における第2の方向Y上に位置している。また、光束平行分岐部40Cは、第1の光束L1Cにおける入射点P11から光束平行分岐部40Cに入射するまでの行き光路と、光束平行分岐部40Cから第1の回折格子11の入射点P12Cに入射するまでの帰り光路が一致しないように、第2の方向Yに平行に移動させている。
第1の回折格子11の入射点P12Cに入射した第1の光束L1Cは、第1の回折格子11によって回折され、光束結合部50Cによって第2の光束L2Cと重ね合わされて受光部7Cに入射する。受光部7Cは、得られた干渉信号を第3相対位置情報出力部4Cに送信する。
第3傾き検出用受光部80Cは、第1受光素子81と、第2受光素子82とを有している。また、第3傾き検出用受光部80Cは、第2の回折格子12Cを透過した光のうち0次光L4Cが入射する位置に配置されている。第1受光素子81と第2受光素子82には、0次光L4Cの照射像が結像される。
さらに、第3傾き検出用受光部80Cは、変位出力部4に接続されている。そして、第3傾き検出用受光部80Cは、第1受光素子81及び第2受光素子82が受光し、光電変換した信号を変位出力部4に出力する。
第4変位検出部5Dは、第2の回折格子12Dと、参照用ミラー14Dと、物体用ミラー15Dと、第1の位相板17Dと、第2の位相板18Dと、光束平行分岐部40Dと、光束結合部50Dと、を備えている。さらに、第4変位検出部5Dは、受光部7Dと、第4傾き検出用受光部80Dを有している。また、第2の回折格子12Dの格子ベクトル方向は、第2の方向Yと第3の方向Zで形成される平面上に存在する。
また、第4変位検出部5Dを構成する第2の回折格子12D、参照用ミラー14D、物体用ミラー15D、第1の位相板17D、第2の位相板18Dは、光束平行分岐部40D、光束結合部50D及び第4傾き検出用受光部80Dは、第3変位検出部5Cに対して第2の方向Yに沿って反転して配置されている。
第4変位検出部5Dの光束平行分岐部40Dは、物体用ミラー15Dによって反射され、かつ第2の回折格子12Dを通過した第1の光束L1Dを、第1の回折格子11における1回目の入射位置の入射点P11と異なる入射点P12Dに入射させる。なお、1回目の入射一である入射点P11と、2回目の照射一である入射点P12Dは、被測定部材2における第2の方向Y上に位置している。また、光束平行分岐部40Dは、第1の光束L1Dにおける入射点P11から光束平行分岐部40Dに入射するまでの行き光路と、光束平行分岐部40Dから第1の回折格子11の入射点P12Dに入射するまでの帰り光路が一致しないように、第2の方向Yに平行に移動させている。
第1の回折格子11の入射点P12Dに入射した第1の光束L1Dは、第1の回折格子11によって回折され、光束結合部50Dによって第2の光束L2Dと重ね合わされて受光部7Dに入射する。受光部7Dは、得られた干渉信号を第4相対位置情報出力部4Dに送信する。
第4傾き検出用受光部80Dは、第1受光素子81と、第2受光素子82とを有している。また、第4傾き検出用受光部80Dは、第2の回折格子12Dを透過した光のうち0次光L4Dが入射する位置に配置されている。第1受光素子81と第2受光素子82には、0次光L4Dの照射像が結像される。
さらに、第4傾き検出用受光部80Dは、変位出力部4に接続されている。そして、第4傾き検出用受光部80Dは、第1受光素子81及び第2受光素子82が受光し、光電変換した信号を変位出力部4に出力する。
また、第3傾き検出用受光部80Cと、第4傾き検出用受光部80Dは、第2の方向Yに沿って間隔LL2を空けて配置されている。この第3傾き検出用受光部80Cと、第4傾き検出用受光部80Dとの間隔LL2の情報は、予め変位出力部4に格納されている。
なお、本例では、第1の回折格子11の第1格子ベクトル方向と第2格子ベクトル方向が直交する例を説明したが、これに限定されるものではない。第1格子ベクトル方向と第2格子ベクトル方向は直交しなくてもよく、被測定部材2の被測定面2a上で互いに交差すればよい。そして、第1変位検出部5A及び第2変位検出部5Bは、第1格子ベクトル方向に沿って配置され、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dは、第2格子ベクトル方向に沿って配置される。
1-2.第1の回折格子と第2の回折格子の関係
次に、上述した構成を有する第1の回折格子11と第2の回折格子12Aの関係について図4を参照して説明する。
図4は、第1の回折格子11と第2の回折格子12Aの回折角度の関係を示す説明図である。
図4に示すように、第1の回折格子11には、第1の光束L1が第3の方向Zに沿って垂直に入射する。なお、第1の回折格子11の格子ベクトル方向は、第1の方向Xと平行をなしている。そして、第1の回折格子11は、回折角度θで回折する。ここで、第1の光束L1Aの波長をλ、第1の回折格子11の格子ピッチd
Rとすると、第1の回折格子11の回折角度θは、下記式1及び式2により算出することができる。
[式1]
[式2]
第1の回折格子11で回折した第1の光束L1Aは、第2の回折格子12Aに入射され、第2の回折格子12Aで回折する。このときの第2の回折格子12Aの格子ベクトル方向は、第1の方向Xと第3の方向Zで形成される平面上に存在する。また、第2の回折格子12Aの格子ベクトル方向は、第1の光束L1Aにおける第1の回折格子11への入射角度に対して、角度θTで傾斜している。すなわち、第2の回折格子12Aの格子ベクトル方向は、第3の方向Zに対して角度θTで傾斜している。
第1の光束L1Aが第2の回折格子12Aに対して角度φで入射した場合、第2の回折格子12Aがブラッグ条件を満たせば、第2の回折格子12Aは、第1の光束L1Aを回折角度φで回折する。そのため、ブラッグ条件は、次の式3及び式4を満たすように第2の回折格子12Aの格子ピッチd
T又は回折角度φを設定すればよい。なお、λは、第1の光束L1Aの波長である。
[式3]
[式4]
第2の回折格子12Aがブラッグ条件を満たすことで、例えば、後述する透過型のボリュームタイプホログラムの第2の回折格子12M(図8A参照)を用いれば、非常に高い回折効率を得ることができる。しかしながら、第2の回折格子12Aへの入射角度φと、格子ピッチdTの設計に制限がかかるため、第2の回折格子12Aとしては、ボリュームタイプホログラムを用いずに、厚みのない透過型の回折格子を用いてもよい。厚みのない透過型の回折格子を用いることで、入射角度と回折角度の選択に自由度を持たせることができる。
第2の回折格子12Aがブラッグ条件を満たす場合、第2の回折格子12Aにより2回目(1回目は第1の回折格子11)の回折をした第1の光束L1Aは、物体用ミラー15Aによって反射されて再び第2の回折格子12Aに入射する。なお、図1及び図4に示すように、被測定部材2が第3の方向Zに変位していない場合、第1の光束L1Aにおける第2の回折格子12Aに入射する入射点Q1Aの位置は、変化しない。また、被測定部材2が第1の方向X又は第2の方向Yに変位しても、第1の光束L1Aにおける第2の回折格子12Aに入射する入射点Q1Aの位置は、変化しない。そして、第2の回折格子12Aによって3回目の回折が行われた第1の光束L1Aは、光束平行分岐部40Aを通過して第1の回折格子11に入射し、第1の回折格子11により4回目の回折が行われる。
ここで、被測定部材2、すなわち第1の回折格子11が第3の方向Zに長さΔZだけ移動した例について説明する。
図4に示すように、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッド3に接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の回折格子11の入射点P21に入射する時点で、第1の光束L1Aの光路長は、長さΔZ短くなる。
なお、第1の光束L1Aは、被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11に対して垂直に入射している。そのため、被測定部材2が第3の方向Zに変位しても第1の回折格子11に入射される第1の光束L1Aの入射点P11、P21の位置は、第1の回折格子11上において変化しない。
第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッド3に接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1Aにおける第2の回折格子12Aに入射する位置は、入射点Q1Aから入射点Q2Aに変化する。
また、第1の光束L1Aにおける光束平行分岐部40A内での光路長は、第1の回折格子11が第1の方向Xや第3の方向Zに移動しても変化しない。そのため、第1の回折格子11の入射点P21から光束平行分岐部40を介して第2の回折格子12Aの入射点Q2Aまでの光路長は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第1の回折格子11の入射点P11から光束平行分岐部40Aを介して第2の回折格子12Aの入射点Q1Aまでの光路長よりも長さM1だけ長くなる。さらに、第2の回折格子12Aの入射点Q2Aから物体用ミラー15Aまでの距離は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第2の回折格子12Aの入射点Q1Aから物体用ミラー15Aまでの光路長よりも長さM2だけ長くなる。
そのため、ΔZ=M1+M2を満たせば、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1Aの光路長は、一定となる。また、ΔZ=M1+M2を満たす条件は、第1の回折格子11の回折角度θと、第2の回折格子12Aの回折角度φから下記式5が示される。
[式5]
したがって、第1の回折格子11の回折角度θと第2の回折格子12Aの回折角度φは、上記式5を満たす値に設定される。これにより、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1Aの光路長を一定にすることができる。
なお、第1の光束L1Aが物体用ミラー15Aによって反射し、光束平行分岐部40Aを通過した第1の回折格子11に再び入射するまでの光路にも適用できる。さらに、第1の光束L1Aにおける光束平行分岐部40A内での光路長は、第1の回折格子11が第1の方向Xや第3の方向Zに移動しても変化しない。従って、第1の光束L1Aにおける帰り光路の光路長も常に一定にすることができる。
上述したように、被測定部材2が第1の方向X又は第2の方向Yに変位しても、第1の光束L1Aにおける第2の回折格子12Aに入射する入射点Qの位置は、変化しないため、第1の光束L1Aの光路長を一定に保つことができる。その結果、第1の回折格子11が第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに移動しても第1の光束L1Aの光路長が変化しないため、第1の光束L1Aの光路長と第2の光束L2A(図1参照)の光路長を常に一定に保つことができる。
例えば、光源6の波長λが790nm、第1の回折格子11の格子ピッチdRが1μm、第1の回折格子11への第1の光束L1Aの入射角度が0度、第2の回折格子12Aの格子ピッチdTの場合、第1の回折格子11の回折角度θ≒52.2°、第2の回折格子12Aの回折角度φ≒45.9°となる。
1-3.変位出力部の構成例
次に、変位出力部4の構成例について図5~図7を参照して説明する。
図5は、本例の変位出力部4における第1相対位置情報出力部4Aを示すブロック図である。なお、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dは、それぞれ同様の構成を有しているため、ここでは第1相対位置情報出力部4Aについて説明する。
図5に示すように、第1相対位置情報出力部4Aは、第1差動増幅器61aと、第2差動増幅器61bと、第1のA/D変換器62aと、第2のA/D変換器62bと、波形補正処理部63と、インクリメンタル信号発生器64とを有している。
第1差動増幅器61aには、第1の受光素子31及び第2の受光素子32が接続されており、第2差動増幅器61bには、第3の受光素子33及び第4の受光素子34が接続されている。また、第1差動増幅器61aには、第1のA/D変換器62aが接続されており、第2差動増幅器61bには、第2のA/D変換器62bが接続されている。そして、第1のA/D変換器62a及び第2のA/D変換器62bは、波形補正処理部63と接続している。また、波形補正処理部63は、インクリメンタル信号発生器64に接続されている。
第1差動増幅器61aは、第1の受光素子31及び第2の受光素子32から干渉信号を受信し、第2差動増幅器61bは、第3の受光素子33及び第4の受光素子34から干渉信号を受信する。第1差動増幅器61a及び第2差動増幅器61bは、それぞれ受信した干渉信号を差動増幅し、干渉信号の直流成分をキャンセルする。
第1差動増幅器61aで差動増幅された信号は、第1のA/D変換器62aによってA/D変換され、波形補正処理部63によって信号振幅とオフセットと位相が補正される。この信号は、例えばA相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64において演算される。
また同様に、第2差動増幅器61bで差動増幅された信号は、第2のA/D変換器62bによってA/D変換される。そして、波形補正処理部63により信号振幅とオフセットと位相とが補正され、A相と位相が90度異なるB相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64から出力される。
こうして得られた2相のインクリメンタル信号は、図示しないパルス弁別回路等により正逆の判別が行われ、これにより、ヘッド3と被測定部材2との第1の方向X又は第3の方向Zの相対的な変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出できる。なお、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dでは、ヘッド3と被測定部材2との第2の方向Y又は第3の方向Zの相対的な変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出する。
また、図示しないカウンタによってインクリメンタル信号のパルス数をカウントすることにより、第1の光束L1と第2の光束L2の干渉光強度が上述の周期の何周期分変化したのかを計測できる。これにより、変位検出装置1により被測定部材2とヘッド3との相対的な変位量(移動量)が検出される。
なお、本例の第1相対位置情報出力部4Aが出力する相対位置情報は、上述の2相のインクリメンタル信号であってもよいし、それから算出された変位量、変位方向を含む信号であってもよい。
図6は、変位出力部4における相対位置情報を算出する構成を示すブロック図である。
また、図6に示すように、変位出力部4は、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dに接続された演算部70を有している。
演算部70には、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dから変位情報が出力される。そして、演算部70は、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dから変位情報から出力された変位情報に基づいて、第1の方向Xと、第2の方向Yと、第3の方向Zの3次元の変位情報を出力する。
図7は、変位出力部4における傾きを算出する構成を示すブロック図である。
図7に示すように、変位出力部4は、第1傾き検出用受光部80Aからの信号を受信する差動増幅器83aと、第2傾き検出用受光部80Bからの信号を受信する差動増幅器80bと、第3傾き検出用受光部80Cからの信号を受信する差動増幅器80cと、第4傾き検出用受光部80Dからの信号を受信する差動増幅器80dとを有している。
さらに、変位出力部4は、第1絶対位置検出部84aと、第2絶対位置検出部84bと、第3絶対位置検出部84cと、第4絶対位置検出部84dと、第1角度計算部85と、第2角度計算部86とを有している。
差動増幅器80a、80b、80c、80dは、それぞれ第1受光素子81及び第2受光素子82と、接続されている。そして、差動増幅器80a、80b、80c、80dは、第1受光素子81と第2受光素子82で光電変換された信号を差動増幅し、フォーカス信号を生成する。そして、差動増幅器80aによって生成されたフォーカス信号は、第1絶対位置検出部84aに出力される。
第1絶対位置検出部84aは、差動増幅器80aと演算部70に接続されている。そして、第1絶対位置検出部84aは、差動増幅器80aからの信号と、演算部70が演算した第3の方向Zの変位情報に基づいて、被測定部材2の被測定面2aにおける第3の方向Zの絶対位置を演算する。同様に、第2絶対位置検出部84b、第3絶対位置検出部84c及び第4絶対位置検出部84dも、同様に、被測定部材2の被測定面2aにおける第3の方向Zの絶対位置を演算する。
第1絶対位置検出部84aと第2絶対位置検出部84bは、第1角度計算部85に接続されており、第3絶対位置検出部84cと第4絶対位置検出部84dは、第2角度計算部86に接続されている。第1角度計算部85は、第1絶対位置検出部84aと第2絶対位置検出部84bが演算した絶対位置に基づいて、被測定部材2における第2の方向Yを中心軸とした第1傾きの角度Yθを算出する。また、第2角度計算部86は、第3絶対位置検出部84cと第4絶対位置検出部84dが演算した絶対位置に基づいて、被測定部材2における第1の方向Xを中心軸とした第2傾きの角度Xθを算出する。なお、角度Yθ、Xθの算出方法については、後述する。
また、変位出力部4は、第1角度計算部85及び第2角度計算部86が算出した角度Yθ、Xθを演算部70に出力し、演算した第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zの変位情報を補正してもよい。
1-4.変位検出装置の動作例
次に、図1、図2、及び図4を参照して、上述した構成を有する変位検出装置1の動作例について説明する。
図1に示すように、光源6から出射した光Lは、レンズ16によりコリメートされて平行光となる。レンズ16によりコリメートされた平行光Lは、アイソレータ9を介して第4光束分割部13D、第3光束分割部13C、第2光束分割部13B及び第1光束分割部13Aに入射する。
平行光Lは、第4光束分割部13D、第3光束分割部13C、第2光束分割部13B及び第1光束分割部13Aによって、第1の光束L1、第2の光束L2A、L2B、L2C、L2Dに分割される。
第1光束分割部13Aによって反射された第2の光束L2Aは、第1変位検出部5Aの光束結合部50Aに入射する。また、第2光束分割部13Bによって反射された第2の光束L2Bは、第2変位検出部5Bの光束結合部50Bに入射し、第3光束分割部13Cによって反射された第2の光束L2Cは、第3変位検出部5Cの光束結合部50Cに入射する。そして、第4光束分割部13Dによって反射された第2の光束L2Dは、第4変位検出部5Dの光束結合部50Dに入射する。
第1変位検出部5Aの光束結合部50Aに入射した第2の光束L2Aは、光束結合部50Aの偏光調整位相板により、p偏光の光に変化する。p偏光の光に変化した第2の光束L2Aは、光束結合部50の偏光ビームスプリッタに入射する。
上述したように、偏光ビームスプリッタは、光のうちs偏光を反射し、p偏光を透過する。そのため、偏光ビームスプリッタに入射した第2の光束L2Aは、偏光ビームスプリッタを透過する。
第2の光束L2Aは、光束結合部50Aを通過して第2の位相板18Aに照射される。第2の光束L2Aは、p偏光であるため、第2の光束L2Aは、第2の位相板18Aを通過することで、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変化する。第2の位相板18Aを通過した第2の光束L2Aは、参照用ミラー14Aに照射される。
参照用ミラー14Aに照射された第2の光束L2Aは、参照用ミラー14Aで反射されて、再び第2の位相板18Aに照射される。このときの第2の光束L2Aの偏光方向は、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光である。そのため、第2の光束L2Aは、第2の位相板18Aによって、行きの偏光方向であるp偏光と直交するs偏光に変化する。
第2の位相板18Aを通過した第2の光束L2Aは、光束結合部50Aの偏光ビームスプリッタに入射する。第2の光束L2Aの偏光方向がs偏光であるため、第2の光束L2Aは、光束結合部50Aの偏光ビームスプリッタによって反射される。
なお、第2変位検出部5Bに入射した第2の光束L2B、第3変位検出部5Cに入射した第2の光束L2C及び第4変位検出部5Dに入射した第2の光束L2Dも同様であるため、その説明は省略する。
一方、第1光束分割部13Aを透過した第1の光束L1は、被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11の入射点P11に垂直に入射する。そして、図4に示すように、第1の光束L1は、第1の回折格子11によって回折角度θで回折する。
第1の回折格子11によって回折された回折光のうち、第1の方向Xにおいて正の次数を有する第1の光束L1Aは、第1変位検出部5Aの光束平行分岐部40Aに入射する。第1の回折格子11によって回折された回折光のうち、第1の方向Xにおいて負の次数を有する第1の光束L1Bは、第2変位検出部5Bの光束平行分岐部40Bに入射する。
さらに、図2に示すように、第1の回折格子11によって回折された回折光のうち、第2の方向Yにおいて正の次数を有する第1の光束L1Cは、第3変位検出部5Cの光束平行分岐部40Cに入射する。また、第1の回折格子11によって回折された回折光のうち、第2の方向Yにおいて負の次数を有する第1の光束L1Dは、第4変位検出部5Dの光束平行分岐部40Dに入射する。
第1変位検出部5Aの光束平行分岐部40Aに入射した第1の光束L1Aは、光束平行分岐部40Aの偏光調整位相板42によって、偏光状態がs偏光に変化する。s偏光に変化した第1の光束L1Aは、反射ミラー43によって反射されて偏光ビームスプリッタ44に入射する。第1の光束L1Aは、s偏光であるため、偏光ビームスプリッタ44によって反射される。
光束平行分岐部40Aの偏光ビームスプリッタ44を反射した第1の光束L1Aは、第2の回折格子12Aに入射角度φで入射点に入射する。上述したように、第2の回折格子12Aは、ブラッグ条件を満たしているため、第1の光束L1Aは、第2の回折格子12Aによって回折角度φで回折する。
また、第2の回折格子12Aを透過する光のうち0次光L4A(図1参照)は、第1傾き検出用受光部80Aに入射する。
第2の回折格子12Aによって回折された第1の光束L1Aは、物体用ミラー15Aに垂直に入射する。そして、第1の光束L1Aは、再び第2の回折格子12Aに向けて、物体用ミラー15Aによって反射される。第1の光束L1Aは、入射角度φで第2の回折格子12Aに入射する。このとき、第1の光束L1Aは、行き光路と同じ第2の回折格子12Aにおける入射点Qに入射する。そして、第2の回折格子12Aによって3回目の回折が行われ、光束平行分岐部40Aの偏光ビームスプリッタ44に入射する。
また、第2の回折格子12Aと物体用ミラー15Aの間には、第1の位相板17Aが配置されている。そのため、第2の回折格子12Aを通過した第1の光束L1Aは、s偏光であるため、第1の位相板17Aによって、進行方向を中心軸として第2の向きに回転する円偏光に変化する。また、物体用ミラー15Aを反射した第1の光束L1Aは、第1の位相板17Aを再び通過することで、第2の向きに回転する円偏光からp偏光に変化する。
光束平行分岐部40Aに再び入射した第1の光束L1Aの偏光方向は、第1の位相板17Aによってp偏光に変化されているため、第1の光束L1Aは、光束平行分岐部40Aの偏光ビームスプリッタ44を透過する。
また、光束平行分岐部40Aは、第1の光束L1Aにおける行き光路と帰り光路が一致しないように、行き光路と帰り光路を平行に移動させている。そのため、第1の光束L1Aは、光束平行分岐部40Aを通過して、第1の回折格子11に入射角度θで、行き光路の入射点P11とは異なる入射点P12Aに入射する。
このように、第1の回折格子11に対する行き光路の入射点P12Aと帰り光路の入射点P12Aが異なる位置であるため、第1の回折格子11にゴミが付着した際の影響を少なくすることができる。
次に、第1の光束L1Aは、第1の回折格子11で4回目の回折が行われて、光束結合部50Aに照射される。このときの第1の光束L1Aの偏光方向がp偏光であるため、光束結合部50Aの偏光ビームスプリッタを透過する。そして、光束結合部50Aで重ね合わされ、かつ互いに直交した直線偏光の第1の光束L1Aと第2の光束L2Aが重なり合った光束が、受光部7Aに照射される。
光束は、集光レンズ21によって集光されて、ハーフミラー22に照射される。ハーフミラー22は、光束を2つの光に分割する。ハーフミラー22を透過した光束は、第1の偏光ビームスプリッタ24に入射する。
ここで、第1の偏光ビームスプリッタ24は、互いに偏光方向が90度異なる第1の光束L1A及び第2の光束L2Aの偏光方向が、第1の偏光ビームスプリッタ24の入射面に対してそれぞれ偏光方向が45度傾くように傾けて配置されている。これにより、第1の光束L1A及び第2の光束L2Aは、第1の偏光ビームスプリッタ24に対してそれぞれp偏光成分とs偏光成分を有することになる。したがって、第1の偏光ビームスプリッタ24を透過した第1の光束L1A及び第2の光束L2Aは、同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。よって、第1の光束L1Aと第2の光束L2Aを第1の偏光ビームスプリッタ24によって干渉させることができる。
同様に、第1の偏光ビームスプリッタ24によって反射される第1の光束L1A及び第2の光束L2Aは、第1の偏光ビームスプリッタ24に対して同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。そのため、第1の偏光ビームスプリッタ24によって干渉させることができる。
第1の偏光ビームスプリッタ24を透過した第1の光束L1A及び第2の光束L2Aとの干渉光は、第1の受光素子31によって受光される。また、第1の偏光ビームスプリッタ24によって反射された第1の光束L1A及び第2の光束L2Aとの干渉光は、第2の受光素子32によって受光される。ここで、第1の受光素子31と第2の受光素子32とによって光電変換される干渉信号は、180度位相の異なる信号となる。
そして、第1の受光素子31と第2の受光素子32によって得られる干渉信号は、
なお、第1変位検出部5Aの受光部7Aは、下記式6に示す干渉信号を得る。ここで、A1は、干渉の振幅である。
[式6]
ここで、A1は、干渉の振幅であり、K1は、2π/dRで示される第1の回折格子11の波数である。また、xは、第1の回折格子11の移動量、すなわちヘッド3と被測定部材2における第1の方向Xへの相対的な変位量を示している。一方、K2は、2π/dTで示される第2の回折格子12Aの波数である。zは、第2の回折格子12Aに入射する第1の光束L1Aにおける第2の回折格子12Aの格子ベクトル方向の移動量を示している。なお、dRは、第1の回折格子11の格子ピッチであり、dTは、第2の回折格子12Aの格子ピッチである。また、δは、初期位相を示している。
さらに、Bは、第2の回折格子12Aの格子ベクトル方向が第3の方向Zに対して傾斜角度θTで傾斜することに伴う係数である。そして、第2の回折格子12Aのへの入射角度(ブラッグ条件では、回折角度も同じになる)をφとした場合、B=cosθT+sinθT×tanφで示すことができる。
ここで、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的にx/2だけ移動すると、第1の回折格子11に照射される第1の光束L1の入射点は、点P11から点P12に第1の方向Xにx/2だけ移動する。すなわち、第1の光束L1は、第1の回折格子11上を第1の方向Xにx/2だけ移動する。そのため、第1の光束L1には、K1xの位相が加わり、1周期の光の明暗が生じる干渉光が第1の受光素子31と第2の受光素子32によって受光される。
なお、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xや第2の方向Yに相対的に移動しても、第1の光束L1における第2の回折格子12A上での入射点P11、12は、変化しない。そのため、第1の光束L1には、第1の回折格子11によって回折された位相のみが加わる。
また、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的にZ/(2×B)だけ移動すると、第2の回折格子12Aに照射される第1の光束L1Aの入射点が点Q1Aから点Q2Aに第2の回折格子12Aの格子ベクトル方向にZ/2だけ移動する。すなわち、第1の光束L1Aは、第2の回折格子12A上を格子ベクトル方向にZ/2だけ移動する。そのため、第1の光束L1Aには、K2zの位相が加わり、1周期の光の明暗が生じる干渉光が第1の受光素子31と第2の受光素子32によって受光される。
なお、上述したように、第1の光束L1は、第3の方向Zと平行に第1の回折格子11に入射する。そのため、第1の光束L1は、第1の回折格子11に垂直に入射する。したがって、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的に移動しても、第1の光束L1における第1の回折格子11上での入射点P11、21は、変化しない。そのため、第1の光束L1Aには、第2の回折格子12Aによって回折された位相のみが加わる。
さらに、第1の回折格子11の回折角度θと、第2の回折格子12Aの回折角度φは、上記式5を満たす値に設定されている。そのため、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的にΔZで移動しても、ΔZと図4に示すM1+M2の和が常に0になる。その結果、第1の光束L1Aの光路長が変化せず、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的にΔZで移動しても、第1の光束L1Aにおける第2の回折格子12Aに入射する位置だけが点Q1Aから点Q2Aに変化する。
ここで、上述したように、第1の受光素子31及び第2の受光素子32によって得られる干渉信号には、光源6の波長に関する成分が含まれていない。よって、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長に変動が起きても干渉強度には、影響を受けない。
一方、図1に示すように、ハーフミラー22を反射した光束は、受光側位相板23に入射する。互いに偏光方向が90度異なる直線偏光である第1の光束L1A及び第2の光束L2Aからなる光束は、受光側位相板23を透過することにより、互いに逆回りの円偏光となる。そして、この互いに逆回りの円偏光は同一光路上にあるので、重ね合わされることにより直線偏光となり、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射する。
この直線偏光のs偏光成分は第2の偏光ビームスプリッタ25によって反射され、第3の受光素子33に受光される。また、p偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ25を透過し、第4の受光素子34によって受光される。
上述したように、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射する直線偏光は、互いに逆回りの円偏光の重ね合わせによって生じている。そして、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射される直線偏光の偏光方向は、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的にdR/2だけ移動すると1/2回転する。また、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的にdT/(2×B)だけ移動しても、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射される直線偏光の偏光方向は、1/2回転する。
したがって、第3の受光素子33と第4の受光素子34でも、第1の受光素子31及び第2の受光素子32と同様に、A1×cos(2×K1x+2×B×K2z+δ’)の干渉信号が得られる。δ’は初期位相である。
また、第3の受光素子33と第4の受光素子34とで光電変換される信号は、180度位相が異なる。
なお、本例では、第1の偏光ビームスプリッタ24に対して、第3の受光素子33と第4の受光素子34に受光される光束を分割する第2の偏光ビームスプリッタ25を45度傾けて配置している。このため、第3の受光素子33と第4の受光素子34において得られる信号は、第1の受光素子31と第2の受光素子32において得られる信号に対し、90度位相がずれている。
したがって、例えば第1の受光素子31と第2の受光素子32で得られる信号をsin信号、第3の受光素子33と第4の受光素子34で得られる信号をcos信号として用いることによりリサージュ信号を取得することができる。
これらの受光素子によって得られる信号は、変位出力部4によって演算され、ヘッド3と被測定部材2との相対的な変位量がカウントされる。これにより、ヘッド3と被測定部材2との相対的な変位量を検出することができる。
なお、第2変位検出部5B、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dに入射した第2の光束L2B、L2C、L2D及び第1の光束L1B、L1C、L1Dも同様に、光束結合部50B、50C、50Dで重ね合わされ、それぞれの受光部7B、7C、7Dに照射される。
第2変位検出部5Bの受光部7Bは、下記式7に示す干渉信号を得る。ここで、A2は、干渉の振幅である。
[式7]
第3変位検出部5Cの受光部7Cは、下記式8に示す干渉信号を得る。ここで、A3は、干渉の振幅である。yは、第1の回折格子11の移動量、すなわちヘッド3と被測定部材2における第2の方向Yへの相対的な変位量を示している。
[式8]
第4変位検出部5Dの受光部7Dは、下記式9に示す干渉信号を得る。ここで、A4は、干渉の振幅である。
[式9]
上記式6と式7に示すように、第1変位検出部5Aの受光部7Aと、第2変位検出部5Bの受光部7Bが得られる干渉信号における第1の方向Xの変位情報は、正負が異なっている。また、上記式8及び式9に示すように、第3変位検出部5Cの受光部7Cと、第4変位検出部5Dの受光部が得られる第2の方向Yの変位情報は、正負が異なっている。
そのため、第1相対位置情報出力部4Aの変位情報Aから第2相対位置情報出力部4Bの変位情報Bを引くことで、第1の方向Xの変位情報のみを取り出すことができる。また、第3相対位置情報出力部4Cの変位情報Cから第4相対位置情報出力部4Dの変位情報Dを引くことで、第2の方向Yの変位情報のみを取り出すことができる。そして、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dの全ての変位情報A、B、C、Dを足し合わせることで、第3の方向Zの変位情報のみを取り出すことができる。
そして、図6に示すように、演算部70は、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C、第4相対位置情報出力部4Dの全ての変位情報A、B、C、Dを足し合わせて、4で割ることで、ヘッド3と被測定部材2との第3の方向Zへの相対位置の変位情報を演算する。
また、演算部70は、第1相対位置情報出力部4Aの変位情報Aから第2相対位置情報出力部4Bの変位情報Bを引き、2で割ることで、ヘッド3と被測定部材2との第1の方向Xの変位情報を演算する。演算部70は、第3相対位置情報出力部4Cの変位情報Cから第4相対位置情報出力部4Dの変位情報Dを引き、2で割ることで、ヘッド3と被測定部材2との第2の方向Yの変位情報を演算する。
これにより、変位出力部4は、第1の方向Xと、第2の方向Yと、第3の方向Zの3次元の変位情報を出力する。
本例の変位検出装置1によれば、第1の回折格子11によって回折された回折光のうち第1の方向Xにおける正の次数の回折光を第1変位検出部5Aで用いて、第1の方向Xにおける負の次数の回折光を第2変位検出部5Bで用いている。さらに、第2の方向Yにおける正の次数の回折光を第3変位検出部5Cで用いて、第2の方向Yにおける負の次数の回折光を第4変位検出部5Dで用いている。これにより、変位出力部4で得られる干渉信号の出力振幅を増加させることができる。
次に、傾き検出について説明する。
被測定部材2が第3の方向Zの絶対位置が変化した場合、第1傾き検出用受光部80Aにおける第1受光素子81及び第2受光素子82に入射する0次光L4Aは、原点R1Aから第1受光素子81側、又は第2受光素子82側に移動する。なお、第2傾き検出用受光部80B、第3傾き検出用受光部80C及び第4傾き検出用受光部80Dにおいても同様である。
また、被測定部材2が第2の方向Yを中心に傾いた場合、第1傾き検出用受光部80Aにおける第1受光素子81及び第2受光素子82に入射する0次光L4Aは、原点R1Aから第1受光素子81側、又は第2受光素子82側に移動する。同様に、第2傾き検出用受光部80Bにおける第1受光素子81及び第2受光素子82に入射する0次光L4Bは、原点R1Bから第1受光素子81側、又は第2受光素子82側に移動する。
また、第1絶対位置検出部84aが演算した絶対位置と、第2絶対位置検出部84bが演算した絶対位置に第3の方向Zに対してΔZのズレが発生する。そして、第1角度計算部85は、第1絶対位置検出部84aの絶対位置と第2絶対位置検出部84bのずれΔZと、第1傾き検出用受光部80Aと第2傾き検出用受光部80Bとの間隔LL1を用いて、下記式10から被測定部材2における第2の方向Yを中心軸とした第1傾きの角度Yθを算出する。
[式10]
また、また、被測定部材2が第1の方向Xを中心に傾いた場合、第3傾き検出用受光部80Cにおける第1受光素子81及び第2受光素子82に入射する0次光L4Cは、原点R1Cから第1受光素子81側、又は第2受光素子82側に移動する。同様に、第4傾き検出用受光部80Dにおける第1受光素子81及び第2受光素子82に入射する0次光L4Dは、原点R1Dから第1受光素子81側、又は第2受光素子82側に移動する。
また、第3絶対位置検出部84cが演算した絶対位置と、第4絶対位置検出部84dが演算した絶対位置に第3の方向Zに対してΔZのズレが発生する。そして、第2角度計算部86は、第3絶対位置検出部84cの絶対位置と第4絶対位置検出部84dのずれΔZと、第3傾き検出用受光部80Cと第4傾き検出用受光部80Dとの間隔LL2を用いて、下記式11から被測定部材2における第1の方向Xを中心軸とした第2傾きの角度Xθを算出する。
[式11]
このように、本例の変位検出装置1によれば、被測定部材2の被測定面2aに対して光源6からの光を1点(入射点P11)に照射するだけで、ヘッド3と被測定部材2との第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zの3次元の変位情報だけでなく、被測定部材2の傾きも検出することができる。
なお、第1傾き検出用受光部80A、第2傾き検出用受光部80B、第3傾き検出用受光部80C及び第4傾き検出用受光部80Dに入射する0次光L4A、L4B、L4C、L4Dの原点R1A、R1B、R1C、R1Dは、第1受光素子81と第2受光素子82の境界線に限定されるものではない。例えば、被測定部材2の被測定面2aが第1の方向X及び第2の方向Y、すなわち水平方向と平行をなしている状態での、0次光L4A、L4B、L4C、L4Dが各傾き検出用受光部80A、80B、80C、80Dに入射する点を原点としてもよい。
また、本例の変位検出装置1では、第1の方向Xの変位を検出するために、第1変位検出部5Aと第2変位検出部5Bを設け、第2の方向Yの変位を検出するために、第3変位検出部5Cと第4変位検出部5Dを設けた例を説明した。しかしながら、第1の方向Xと第3の方向Zの変位を検出するためだけであれば、第1変位検出部5Aと第2変位検出部5Bだけでよい。また、第2の方向Yと第3の方向Zの変位を検出するためだけであれば、第3変位検出部5Cと第4変位検出部5Dだけでよい。
さらに、本例の変位検出装置1では、参照光である第2の光束L2L2A、L2B、L2C、L2Dが入射する参照用反射部材として参照用ミラー14A、14B、14C、14Dを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。上述した変位検出装置1では、光源6に波長変動が生じた場合、第1の光束L1A、L1B、L1C、L1Dの回折角が、第1の回折格子11や第2の回折格子12A、12B、12C、12Dによって片かする。そのため、第1の光束L1A、L1B、L1C、L1Dと、第2の光束L2A、L2B、L2C、L2Dの光路長に差が発生するおそれがある。
そのため、参照用反射部材としては、例えば、物体光である第1の光束L1が入射する光学系と同様の光学系を適用してもよい。ここで、第1の方向Xと第3の方向Zの変位を検出する変位検出装置を例に挙げて説明する。まず、光束分割部は、光源から照射された光を、上述した第1の回折格子11に入射する第1の光束と、参照用反射部材に入射する第2の光束に分割する。なお、第1の光束が入射する側の構成は、上述した変位検出装置1と同様であるため、その説明は省略する。
参照用反射部材は、反射型の参照用第1の回折格子と、2つの参照用光束平行分岐部と、2つの透過型の参照用第2の回折格子と、2つの参照用ミラーと、2つの第2の位相板とを有している。参照用第1の回折格子は、反射面が第1の方向Xと第3の方向Zで形成された平面、又は第2の方向Yと第3の方向Zで形成された平面と略平行に配置される。そして、参照用第1の回折格子には、第2の光束が垂直に入射する。この参照用第1の回折格子に入射した第2の光束は、参照用第1の回折格子により回折される。
参照用第1の回折格子は、被測定部材2に設けられた第1の回折格子11の格子ピッチと同じ格子ピッチに設定されている。
参照用第1の回折格子により回折された第2の光束のうち、正の次数の回折光が第1変位検出部5Aで用いられる参照光(第1参照光)となり、負の次数の回折光が第2変位検出部5Bで用いられる参照光(第2参照光)となる。そして、第1参照光は、2つの参照用光束平行分岐部のうち一方の参照用光束平行分岐部(第1参照用光束平行分岐部)を介して、2つの参照用第2の回折格子のうち一方の参照用第2の回折格子に入射する。また、第2参照光は、2つの参照用光束平行分岐部のうち他方の参照用光束平行分岐部(第2参照用光束平行分岐部)を介して、2つの参照用第2の回折格子のうち他方の参照用第2の回折格子に入射する。
第1参照光は、一方の参照用第2の回折格子を透過し、かつ回折されて第2の位相板を介して2つの参照用ミラーのうち一方の参照用ミラーに入射する。同様に、第2参照光は、他方の参照用第2の回折格子を透過し、かつ回折されて第2の位相板を介して2つの参照用ミラーのうち他方の参照用ミラーに入射する。なお、参照用第1の回折格子、参照用光束平行分岐部、参照用第2の回折格子、第2の位相板及び参照用ミラーの構成及び位置関係は、上述した変位検出装置1における第1の回折格子11、光束平行分岐部40A、40B、第2の回折格子12A、12B、第1の位相板及び物体用ミラーと同様である。
参照用第2の回折格子は、透過型の回折格子であり、例えば、ボリュームタイプの透過型のホログラムであってもよい。また、参照用第2の回折格子の格子ピッチは、上述した第1変位検出部5Aの第2の回折格子12A及び第2変位検出部5Bの第2の回折格子12Bの格子ピッチと同じであることが好ましい。また、参照用第1の回折格子及び2つの参照用第2の回折格子は、ヘッド3内に機械的に固定されている。
そして、参照用ミラーにより反射された第1参照光及び第2参照光は、第2の位相板、参照用第2の回折格子及び参照用光束平行分岐部を通過して、再び参照用第1の回折格子に入射する。ここで、第1参照光及び第2参照光は、光束分割部により分割された参照用第1の回折格子に入射する1回目の入射点と異なる位置に入射する。
また、光束分割部により分割された第1の光束と第2の光束における受光部までの光路長を等しくするために、参照用ミラーによって第2の光束の光路長が調整される。
再び参照用第1の回折格子に入射した第1参照光及び第2参照光は、参照用第1の回折格子によって反射及び回折される。そして、第1参照光は、第1変位検出部5Aの光束結合部50Aに入射し、第1の光束L1Aと重なり合い、受光部7Aに入射する。また、第2参照光は、第2変位検出部5Bの光束結合部50Bに入射し、第1の光束L1Bと重なり合い、受光部7Bに入射する。
これにより、光源6の波長変動によって生じる物体光である第1の光束と参照光である第2の光束の光路長の差を完全にキャンセルさせることができる。その結果。第3の方向Zの検出誤差を完全にキャンセルすることができる。さらに、周囲の環境条件、例えば温度、気圧、湿度が変化しても第1の光束と第2の光束の光路長が常に等しくなり、安定した変位の検出が可能になる。
2.第2の回折格子の変形例
次に、図8A及び図8Bを参照して回折格子の変形例について説明する。
図8Aは第2の回折格子の変形例を示す断面図、図8Bは第2の回折格子の他の変形例を示す断面図である。
図8Aに示す第2の回折格子12Mは、写真乾板を用いた、いわゆるボリュームタイプのホログラムである。吸収型のホログラムを用いてもよいが、ここでは位相型のホログラムについて説明する。この第2の回折格子12Mにおける格子部12bは、例えば次のようにして形成される。まず、ガラス基板12aの一面に光に感光する銀塩の乳剤を塗布し、干渉縞を露光し、現像後、漂白する。これにより、格子部12bには、銀の粒子が残っている箇所と、残っていない箇所が形成される。
ここで、銀の粒子が残っている箇所は、屈折率が高く、銀の粒子が残っていない箇所は、屈折率が低くなる。すなわち、位相型のホログラムである。また、材料として写真乾板の代わりにホログラム記録用フォトポリマーを使用してもよい。
図8Bに示す第2の回折格子12Nは、略透明なガラス基板12aの一面に例えばクロム(Cr)からなる格子部12cを形成したものである。一般的に、格子部12cは、ガラス基板12aの一面にクロム等の薄膜を真空蒸着によって形成されるため、その厚みは、1μm以下である。
また、図8Aに示す第2の回折格子12M及び図8Bに示す第2の回折格子12Nにおいて、入射角度をφa、回折角度をφbとした場合、下記式12のブラッグ条件を満たすとき、φa=φbとなる。なお、nは、整数である。
[式12]
また、図8Aに示す第2の回折格子12Mの場合、ブラッグ条件を満たすときに、第2の回折格子12Mによって回折される回折光の出力を最大にすることができる。すなわち、第2の回折格子12Mによって回折された回折光の光量が低下することを防ぐことができる。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施の形態例では、光源から照射される光は、気体中だけでなく、液体中又は真空中の空間を飛ばして光を供給するようにしてもよい。
また、光源6から放射された光Lの光軸、すなわち第3の方向Zを軸とした回転を検出するための構成を上述した変位検出装置1に加えてもよい。これにより、第1の方向X、第2の方向Y、第3の方向Zの変位と、第1の方向Xの傾き、第2の方向Yの傾きと、第3の方向Zを軸とした回転の6軸の変位を一つの変位検出装置で検出することができる。
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。