JP7062789B2 - 乗客コンベアの表示装置、並びに乗客コンベア - Google Patents
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Description
本発明は、乗客コンベアの乗客に対する情報を表示する表示システム、並びに表示システムを備える乗客コンベアに関する。
乗客コンベアの乗客に対して、安全上の注意喚起を行う従来技術として、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された技術においては、エスカレーターの上下階側乗降口にそれぞれ設けられる乗客検出装置の出力に基づいてエスカレーター上の乗客数を計数し、乗客数に基づいて混雑状況を判定する。そして、混雑状況に応じて、スピーカや表示器によって、乗客に対して注意喚起を行う。
乗客2人が横に並んで乗れる大きさの踏段を有する乗客コンベア装置では、混雑状態において、進行方向片側レーンにおいて、乗客が偏る状況が発生し得る。また、進行方向片側レーンにおいて、乗客が踏段上を歩行し得る状況も発生し得る。このような状況を避けるために乗客に対する注意喚起する場合、前述した従来技術では、乗客の過剰な乗り込みを抑制することに主眼がおかれているため、乗客の偏りや歩行など、進行方向左右のレーンにおいて乗客の利用状況が異なる場合に対して効果的な注意喚起を行うことが難しい。
そこで、本発明は、進行方向左右のレーンにおいて乗客の利用状況が異なる場合に効果的な注意喚起を行うことのできる乗客コンベアの表示装置、並びにそれを備える乗客コンベアを提供する。
上記課題を解決するために、本発明による乗客コンベアの表示装置は、乗客コンベアに乗り込む乗客に対する情報を表示するものであって、乗り口部において乗客コンベアに向かって左側に位置する第1表示部と、乗り口部において乗客コンベアに向かって右側に位置する第2表示部と、第1表示部および第2表示部を制御する制御装置と、乗客コンベアに乗り込む乗客を検知する乗客検出手段と、を備え、第1表示部および第2表示部は乗客に対する情報を示す画像を表示し、乗客は、第1表示部と第2表示部の間を通って乗客コンベアに乗り込み、制御装置は、乗客検知手段の検出信号に基づいて、乗客コンベアにおける混雑状態および乗客の片寄り状態を推定し、混雑状態および片寄り状態に応じて、第1表示部が表示する画像および第2表示部が表示する画像を独立に設定する。
また、上記課題を解決するために、本発明による乗客コンベアは、乗り口部と降り口部との間において、循環駆動される複数の踏段と、踏段に同期して駆動される移動手摺とを備えるものであって、上記本発明による乗客コンベアの表示装置を備える。
本発明によれば、左右レーンにおいて乗客の利用状況が異なる場合に効果的な注意喚起を行うことができる。これにより、乗客が乗客コンベアの左右レーンにおいて片寄りなく立ち止まって乗る利用状況がもたらされる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いながら説明する。各図において、参照番号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示している。
図1は、本発明の一実施形態であるエスカレーターの概略的構成を示す。また、図2は、本実施形態のエスカレーターにおける乗降口部の外観を示す。
図1,2に示すように、本実施形態のエスカレーターにおいては、複数の踏段3が、建屋内の下階床から上階床に向かって、すなわち乗り口部1から降り口部2に向かって移動する。すなわち、本実施形態のエスカレーターは、上昇運転に設定されている。なお、図示されないが、複数の踏段3は、無端状に連結され、駆動機構によって駆動されて乗り口部1と降り口部2との間を循環移動する。踏段3の進行方向に沿って、一対の欄干4が立設される。欄干4には、移動手摺り5が摺動可能に設けられる。図示されないが、移動手摺り5は、無端状であり、手摺駆動機構によって駆動され、踏段3に同期して乗り口部1と降り口部2との間を循環移動する。なお、本実施形態において、一つの踏段3は、乗客2人が横に並んで乗れる大きさを有する。
乗り口部1においては、踏段3の手前の床面上に、一対のポール部、すなわち第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bが、それぞれ踏段3の進行方向に対して左側および右側に立設される。また、降り口部2においても、同様に、一対のポール部、すなわち第3ポール部6Cおよび第4ポール部6Dが、立設される。乗客は、第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bの間を通って、エスカレーターに乗り込む。また、乗客は、エスカレーターから降りたら、第3ポール部6Cおよび第4ポール部6Dの間を通過後、上階床において移動する。
第1ポール部6Aは、液晶ディスプレイからなる第1表示部7Aと、第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bの間を通過する乗客のうち、踏段3の進行方向に対して左側を通過する乗客を検知する第1乗客検出センサ8Aとを備えている。したがって、第1乗客検出センサ8Aによって検知される乗客は、通常ならばエスカレーターの左側レーンに乗る。
第2ポール部6Bは、液晶ディスプレイからなる第2表示部7Bと、第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bの間を通過する乗客のうち、踏段3の進行方向に対して右側を通過する乗客を検知する第2乗客検出センサ8Bとを備えている。したがって、第2乗客検出センサ8Bによって検知される乗客は、通常ならばエスカレーターの右側レーンに乗る。
第3ポール部6Cは、液晶ディスプレイからなる第3表示部7Cと、前述の右側レーンから降りた乗客を検知する第3乗客検出センサ8Cとを備えている。
また、第4ポール部6Dは、液晶ディスプレイからなる第4表示部7Dと、前述の左側レーンから降りた乗客を検知する第4乗客検出センサ8Dとを備えている。
第1~第4表示部(7A~7D)は、互いに独立に制御され、安全上の注意喚起のための文字、図形、図などの情報を画像表示する。第1表示部7Aおよび第2表示部7Bは、乗り口部1において正面を向いており、エスカレーターに乗り込むために第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bに近づく乗客に対して、左右のレーンのどちらかに乗客が偏ったり、左右のレーンのどちらかを乗客が歩行したりするような利用状況を防ぐための注意喚起に関する情報を画像表示する。このため、第1表示部7Aおよび第2表示部7Bは、独立に制御され、互いに異なる情報を画像表示できる。
なお、第3表示部7Cおよび第4表示部7Dは、降り口部2において正面を向いており、エスカレーターに乗り込むために第3ポール部6Cおよび第4ポール部6Dに近づく乗客に対して、エスカレーターに乗り込めないことを注意喚起するための情報を画像表示する。例えば、第3表示部7Cおよび第4表示部7Dは、進入禁止を示す、マークや文字を画像表示する。なお、第3表示部7Cおよび第4表示部7Dは、互いに独立に制御されるが、本実施形態では進入禁止を示す同じ情報を画像表示するようにそれぞれ制御される。
第1~第4表示部(7A~7D)は、表示制御装置20によって、互いに独立に制御される。表示制御装置20は、各表示部に表示する、注意喚起情報を示す複数の画像データを記憶する記憶装置22と、各乗客検出センサからの検出信号(sa,sb,sc,sd)に応じて、各表示部(7A~7D)への表示指令信号(SA,SB,SC,SD)を作成して送出する制御部21とを備える。制御部21は、各乗客検出センサからの信号(sa,sb,sc,sd)に応じて、記憶装置22が記憶する複数の画像データから各表示部に表示する画像データを選択し、選択した画像データに応じて表示指令信号(SA,SB,SC,SD)を作成する。
乗客検出センサとしては、反射型光電センサや赤外線人感センサなどが適用される。
制御部21は、各乗客検出センサからの検出信号(sa,sb,sc,sd)に基づいて、踏段3上における乗客の混雑度および進行方向に対して左右のレーンにおける乗客の片寄り度を推定する。推定手段の具体例は、次のとおりである。
制御部21は、第1乗客検出センサ8Aの検出信号saおよび第4乗客検出センサ8Dの検出信号sdに基づいて、それぞれ、乗り口部1からエスカレーターの左側レーンに乗り込んだ乗客数xliおよび降り口部2においてエスカレーターの左側レーンから降りた乗客数xloを計数する。また、制御部21は、第2乗客検出センサ8Bの検出信号sbおよび第3乗客検出センサ8Cの検出信号scに基づいて、それぞれ、乗り口部1からエスカレーターの右側レーンに乗り込んだ乗客数xriおよび降り口部2においてエスカレーターの右側レーンから降りた乗客数xroを計数する。
制御部21は、xliとxloの差分から、左側レーン上の乗客数XLを算出するとともに、xriとxroの差分から、右側レーン上の乗客数XRを算出する。そして、制御部21は、XLとXRの和すなわちエスカレーターに乗る全乗客数に基づいて、混雑状態を推定する。また、制御部21は、XLとXRとの比較に基づいて片寄り状態を推定する。
本実施形態では、制御部21は、全乗客数(=XL+XR)を所定の最大乗車可能人数で除算して、乗客負荷率(=(XL+XR)/(最大乗車可能人数))を算出し、算出された乗客負荷率に応じて混雑状態を推定する。より具体的には、乗客負荷率が、50%未満の場合、50%以上かつ70%未満の場合、および70%以上の場合、それぞれ、混雑小、混雑中程度、および混雑大と推定する。
また、本実施形態では、制御部21は、左右のレーンの内、乗客数の多い側のレーンの乗客数を反対側レーンの乗客数で除算して片寄り度を算出し、算出された片寄度に応じて片寄り状態の有無を推定する。例えば、左側レーン上の乗客数XLが右側レーン上の乗客数XR以上である場合、制御部21は、「XL/XR」の値に基づいて片寄度を算出し、左側レーンへの片寄りの有無を推定する。より具体的には、制御部21は、片寄り度が150%以上である場合に片寄りがあると推定し、片寄り度が150%未満である場合に片寄りがないと推定する。
なお、上述の推定手段に限らず、種々の推定手段を適用できる。例えば、制御部21は、所定時間の間に、第1乗客検出センサ8Aの検出信号saおよび第2乗客検出センサ8Bの検出信号sbに基づいて、乗り口部1からエスカレーターの左側レーンに乗り込んだ乗客数xliおよび乗り口部1からエスカレーターの右側レーンに乗り込んだ乗客数xriを計数する。そして、所定時間の間に計数された乗客数xliおよび乗客数xriに基づいて、すなわち、いわばxliおよびxriをそれぞれ上述のXLおよびXRとみなして、混雑状態および片寄りの有無を推定してもよい。
また、上述の乗客負荷率は、乗客数の計数値によらず、踏段3を駆動する駆動機構が備えるモータに流れる負荷電流の大きさに基づいて算出されてもよい。この場合、制御部21は、乗車人数が「最大乗車可能人数」である場合の負荷電流値すなわち最大負荷電流値を予め記憶する。制御部21は、電流センサによって検出される負荷電流の検出値を最大負荷電流値で除算して、乗客負荷率を算出する。
以下に説明するように、本実施形態では、制御部21は、乗り口部1に設けられる進行方向左側の第1表示部7Aと進行方向右側の第2表示部7Bの各々について、上述のような混雑状態や乗客の片寄りの有無に応じて、表示する画像データを設定する。これにより、エスカレーターの利用状況に応じて、左右の表示部に同じ画像を表示したり、異なる画像を表示したりすることができる。したがって、エスカレーターの利用状況に応じて、乗客に対して、片寄りなく、また歩行することなく、エスカレーターに乗ることを促すための注意喚起を行うことができる。
ここで、乗客の片寄りについて、図3および図4を用いて説明する。
図3は、乗客の片寄りがある場合のエスカレーターの利用状況例を示す俯瞰図である。また、図4は、乗客の片寄りがない場合のエスカレーターの利用状況例を示す俯瞰図である。
図3に示す利用状況例において、踏段の進行方向(図中の矢印)に対して、左側レーンに乗り込む乗客は立ち止まっているが、右側レーンに乗り込む乗客は歩行している。このため、右側レーンは左側レーンに比べ乗客が閑散としており、左側レーンへの乗客の片寄りが生じている。このような乗客の片寄りが生じると、輸送効率が低下する。輸送効率の低下は、特に混雑度(乗客負荷率)が高くなると著しくなる。
図3のような利用状況である場合、本実施形態では、ポール6Aおよびポール6Bの正面に異なる画像データを表示して、左右のレーンに乗り込もうとしている乗客に対して異なる内容の注意喚起を行うことができる。例えば、ポール6Aにおいては、左側レーンに乗り込もうとしている乗客に対して、左右に分かれて乗ることを注意喚起し、右側レーンに乗り込もうとしている乗客に対して、歩行禁止であることを注意喚起する。
これにより、エスカレーターの利用状況は、図4に示すように、乗客が、左右のレーンに略均等に分かれて乗り、かつ立ち止まって乗るような利用状況にできる。図4に示すような利用状況において、本実施形態では、ポール6Aの正面(第1表示部7A)およびポール6Bの正面(第2表示部7B)に同じ画像データを表示して、左右のレーンに乗り込もうとしている乗客に対して同じ内容の注意喚起を行い、利用状況の継続を図る。なお、図4に示す利用状況が継続中でも、混雑状態および片寄りの有無の推定は継続して実行され、図3に示すような利用状況が生じた場合は、左右のポールの正面に異なる画像データを表示する表示パターンに自動的に切り替わる。
次に、乗り口における乗客に対して注意喚起するための表示画像について説明する。
図5は、本実施形態におけるポール部が備える表示部における表示画像の例を示す。以下に説明する複数の表示画像は、乗客がエスカレーターの左右レーンにおいて片寄りなく立ち止まって乗る利用状況をもたらすための注意喚起を示す画像(図5中の(d)~(i))を含む。
図5に示すように、第1ポール部6Aにおいて第1表示部7Aに表示される画像および第2ポール部6Bにおいて第2表示部7Bに表示される画像は、混雑度および片寄りの有無に応じて、各表示部に対して設定される。
本実施形態において、踏段3上における乗客の混雑度は、あらかじめ定められる閾値(図6に示す「50%」、「70%」)に基づき、大、中、小の三段階に分けられる。また、片寄りの有無は、所定の片寄り度の閾値(図6に示す「150%」)に基づき、片寄り度が閾値以上であれば「片寄りあり」と判定され、片寄り度が閾値未満であれは「片寄りなし」と、判定される。
なお、本実施形態では、踏段3の進行方向に対して右側のレーンにおいて、歩行する乗客が発生し得る。このため、左右のポール部における表示画像が異なる場合、歩行禁止を注意喚起する画像((e),(h))は、左右のポール部の内、右側のポール部6Bのみに表示される。
また、本実施形態では、各表示画像において、乗客に提示する情報が、図または文字、もしくは、図および文字の両方によって表される。
また、本実施形態において、左右のポールで表示画像が異なる場合は、片寄りがある場合である。これに対し、片寄りがない場合、左右のポールの表示画像は同じである。
混雑度が小さい場合、左右ポール部の表示画像は表示パターンAに設定される。なお、本実施形態では、エスカレーターの稼働中において、混雑度が小さい利用状態にある時間が最も長いので、表示パターンAを標準パターンとしている。
表示パターンAにおいて、片寄りがある場合、左側のポール部6Aおよび右側のポール部6Bには、それぞれ、画像(a)および画像(b)が表示され、片寄りがない場合、ポール部6Aおよびポール部6Bには、ともに画像(c)が表示される。画像(a),(b)および(c)は、同じであり、エスカレーターが自動運転中であることや、踏段3の進行方向を示す。本実施形態では、自動運転中であることは文字によって表され、踏段3の進行方向は図(矢印)によって表される。
混雑度が中程度である場合、左右ポール部の表示画像は、片寄りがない場合には表示パターンBに設定され、片寄りがある場合には表示パターンCに設定される。表示パターンBにおいて、すなわち片寄りがない場合、第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bには、ともに画像(f)が表示される。
表示パターンBにおいて、画像(f)は、歩行禁止であることを示す。本実施形態では、歩行禁止であることが文字で表される。
画像(f)を表示することにより、踏段3上の歩行が抑止され、片寄りのない利用状況が維持できる。
表示パターンCにおいて、すなわち片寄りがある場合、第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bには、それぞれ、画像(d)および画像(e)が表示される。画像(d)は、踏段3の進行方向に対して左右のレーンに分かれて乗ることを示す。本実施形態では、左右のレーンに分かれて乗ることが、文字および図(右側レーンの方向を示す矢印、エスカレーターの乗り口における利用状態)によって表される。画像(e)は、歩行禁止であることを、画像(f)よりも強調的に示す。本実施形態では、画像(e)において、歩行禁止であることが、文字および図(歩行者と禁止マーク(×)、警告マーク)であらわされる。
画像(d)および画像(e)を表示することにより、乗客が片寄り混雑している左側レーンから、空いている右側レーンへ乗客を誘導できる。また、踏段3上の歩行が抑止されるとともに、前方の乗客から踏段3を一個空けて乗るような好ましい利用状況をもたらすことができる。
混雑度が大きな場合、左右ポール部の表示画像は、片寄りがない場合には表示パターンDに設定され、片寄りがある場合には表示パターンEに設定される。
表示パターンDにおいて、画像(i)は、降り口で立ち止まらないことを注意喚起する画像(図中、左側)と、歩行禁止を注意喚起する画像(図中、右側)とからなり、両画像が交互に繰り返し表示される。降り口で立ち止まらないことは、文字および図(警告マーク、エスカレーターの降り口における利用状態)で表され、歩行禁止であることは文字で表される。
画像(i)を表示することにより、踏段3上の歩行が抑止されるとともに、降り口における滞留を防止できる。
表示パターンEにおいて、すなわち片寄りがある場合、第1ポール部6Aおよび第2ポール部6Bには、それぞれ、画像(g)および画像(h)が表示される。
画像(g)は、混雑していることを示すとともに、左右のレーンに分かれて乗ることを示す。本実施形態では、混雑していることが文字で表され、左右のレーンに分かれて乗ることが図(エスカレーターの乗り口における利用状態)によって表される。さらに、画像(g)においては、強調して注意喚起するために、警告マークを示す。
画像(h)は、降り口で立ち止まらないことを注意喚起する画像(図中、左側)と、歩行禁止を注意喚起する画像(図中、右側)とからなり、両画像が交互に繰り返し表示される。本実施形態では、降り口で立ち止まらないことは、文字および図(警告マーク、エスカレーターの降り口における利用状態)で表され、歩行禁止であることを、画像(i)よりも強調的に示す。本実施形態では、画像(h)において、歩行禁止であることが、文字および図(歩行者と禁止マーク(×)、警告マーク)で表される。
これら画像(g)および画像(h)を表示することにより、混雑している進行方向左側のレーンからより空いている進行方向右側のレーンへ乗客を誘導できる。また、踏段3上の歩行を抑止できるとともに、降り口における滞留を防止できる。
上述の、図5における画像(a)~(i)は、画像データとして、記憶装置22(図1)に記憶される。制御部21(図1)は、混雑度および片寄り度に応じて、記憶装置22に記憶される画像データから、乗り口における各表示部(7A,7B)に表示する画像データを選択して、各表示部に設定する。
なお、図示していないが、記憶装置22は、降り口部の各表示部(7C,7D)に表示する画像データも記憶する。この画像データは、進入できないことを示す。制御部21(図1)は、エスカレーターの稼働中、記憶装置22に記憶される画像データから、進入できないこと示す画像データを選択して、降り口部の各表示部に設定する。
図6は、乗り口部における表示部7A,7Bに画像データを設定するために、表示制御装置20における制御部21が実行する処理の概要を示すフローチャートである。図6中に記載される表示パターンA~Eは、前述の図5に記載されている表示パターンA~Eである。なお、制御部21は、記憶装置22から画像データを読みだして、読みだした画像データから各表示部への表示指令信号(図1:SA~SD)を作成し、この表示指令信号を各表示部に送信して各表示部に画像データを設定する。
処理が開始されると、制御部21は、まず、画像データとして、標準パターンすなわち表示パターンAを記憶装置22から読みだして、乗り口部における第1表示部7Aおよび第2表示部7Bに設定する(ステップS1)。
次に、制御部21は、エカレーターが運転中であるかを判定する(ステップS2)。なお、制御部21は、図示されない駆動制御系からエカレーターが運転中もしくは停止中であることを示す信号を受信し、この信号に基づいて、エカレーターが運転中か否かを判定する。エスカレーターが運転中ではない、すなわち停止していると判定すると(ステップS2の「N」)、制御部21は、再度、ステップS2を実行する。また、エスカレーターが運転中であると判定すると(ステップS2の「Y」)、制御部21は、次に、ステップS3を実行する。
ステップS3において、制御部21は、乗客負荷率(混雑度)および乗客の片寄りの診断を開始する。すなわち、制御部21は、乗客センサ(図1:8A~8D)からの信号(図1:sa~sd)に基づいて、乗客負荷率(混雑度)および片寄り度を、上述の手段により演算する。制御部21は、ステップS3を実行後、次に、ステップS4を実行する。
ステップS4において、制御部21は、乗客負荷率が50%未満であるかを判定する。乗客負荷率が50%未満ではない、すなわち50%以上である判定すると(ステップS42の「N」)、制御部21は、次に、後述するステップS8を実行する。また、乗客負荷率が50%未満であると判定すると(ステップS2の「Y」)、すなわち混雑が小さいと判定すると、制御部21は、次に、ステップS5を実行する。
ステップS5において、制御部21は、乗客負荷率50%未満の状態が所定時間(本実施形態では60秒)の間、継続しているかを判定する。継続していないと判定すると(ステップS5の「N」)、制御部21は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。また、継続していると判定すると(ステップS5の「Y」)、制御部21は、次に、ステップS6を実行する。
ステップS6において、制御部21は、現時点で表示部(7A,7B)に設定されている画像データが表示パターンすなわち標準パターンであるかを判定する。表示パターンAであると判定すると(ステップS6の「Y」)、制御部21は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。また、表示パターンAではないと判定すると(ステップS6の「N」)、制御部21は、次に、ステップS7を実行する。
ステップS7において、制御部21は、表示部(7A,7B)に画像データとして表示パターンAを設定し、表示部(7A,7B)が表示する画像を表示パターンAすなわち標準パターンに復帰させる。制御部21は、ステップS7を実行後、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。
上述のステップS4~S7は、混雑が小さな場合の表示に関する処理であるが、制御部21は、ステップS4で乗客負荷率が50%未満ではない、すなわち混在が小さくはないと判定すると、混雑が中程度の場合の表示に関する処理(ステップS8~S12)に移る。
ステップS8において、制御部21は、乗客負荷率が50%以上かつ70%未満であるかを判定する。乗客負荷率が50%以上かつ70%未満ではないと判定すると(ステップS8の「N」)、制御部21は、次に、後述するステップS13を実行する。また、乗客負荷率が50%以上かつ70%未満であると判定すると(ステップS8の「Y」)、すなわち混雑が中程度であると判定すると、制御部21は、次に、ステップS9を実行する。
ステップS9において、制御部21は、乗客負荷率50%以上かつ70%未満である状態が所定時間(本実施形態では60秒)の間、継続しているかを判定する。継続していないと判定すると(ステップS9の「N」)、制御部21は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。また、継続していると判定すると(ステップS9の「Y」)、制御部21は、次に、ステップS10を実行する。
ステップS10において、制御部21は、混雑側レーンの乗客数が反対側レーンの乗客数の150%以上か、すなわち片寄り度が150%以上かを判定する。150%以上ではないと判定すると(ステップS10の「N」)、すなわち乗客の片寄りがないと判定すると、制御部21は、次に、ステップS11を実行する。また、150%以上であると判定すると(ステップS10の「Y」)、すなわち乗客の片寄りがあると判定すると、制御部21は、次に、ステップS12を実行する。
ステップS11において、制御部21は、表示部(7A,7B)に画像データとして表示パターンBを設定する。制御部21は、ステップS11を実行後、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。
ステップS12において、制御部21は、表示部(7A,7B)に画像データとして表示パターンCを設定する。制御部21は、ステップS12を実行後、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。
上述のステップS8~S12は、混雑が中程度の場合の表示に関する処理であるが、制御部21は、ステップS8で乗客負荷率が50%以上かつ70%未満ではない、すなわち混在が中程度ではないと判定すると、混雑が大きな場合の表示に関する処理(ステップS13~S17)に移る。
ステップS13において、制御部21は、乗客負荷率が70%以上であるかを判定する。乗客負荷率が70%以上ではないと判定すると(ステップS13の「N」)、制御部21は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。また、乗客負荷率が70%以上であると判定すると(ステップS13の「Y」)、すなわち混雑が大きいと判定すると、制御部21は、次に、ステップS14を実行する。
ステップS14において、制御部21は、乗客負荷率70%以上である状態が所定時間(本実施形態では60秒)の間、継続しているかを判定する。継続していないと判定すると(ステップS14の「N」)、制御部21は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。また、継続していると判定すると(ステップS14の「Y」)、制御部21は、次に、ステップS15を実行する。
ステップS15において、制御部21は、混雑側レーンの乗客数が反対側レーンの乗客数の150%以上か、すなわち片寄り度が150%以上かを判定する。150%以上ではないと判定すると(ステップS15の「N」)、すなわち乗客の片寄りがないと判定すると、制御部21は、次に、ステップS16を実行する。また、150%以上であると判定すると(ステップS15の「Y」)、すなわち乗客の片寄りがあると判定すると、制御部21は、次に、ステップS17を実行する。
ステップS16において、制御部21は、表示部(7A,7B)に画像データとして表示パターンDを設定する。制御部21は、ステップS16を実行後、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。
ステップS17において、制御部21は、表示部(7A,7B)に画像データとして表示パターンEを設定する。制御部21は、ステップS17を実行後、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度実行する。
上述した実施形態における表示装置によれば、エスカレーターの乗り口部において、踏段3の進行方向に対して左側に設けられる第1表示部7Aと右側に設けられる第2表示部7Bが、踏段3上に乗る乗客の混雑状態および片寄り状態に応じて、独立に制御される。従って、混雑状態および片寄り状態に応じて、第1表示部7Aおよび第2表示部7Bに、同じ画像を表示させたり、異なる画像を表示させたりすることが出来る。これにより、エスカレーターの左右のレーンにおいて乗客の利用状況が異なる場合に、踏段3上に乗客が左右略均等にかつ立ち止まって乗るような利用状況にするために、エスカレーターに乗り込もうとする乗客に対して効果的な注意喚起を行うことができる。このため、左右のレーンの一方への乗客の片寄りが緩和されたり、乗客が踏段上を歩行する利用状況を防止できたりする。
本実施形態においては、上記の混雑状態および片寄り状態を、左右のレーンに乗り込む乗客を検知する乗客検出センサの検出信号に基づいて算出される混雑度(乗客負荷率)および片寄り度によって定量的に判定される。このため、混雑状態および片寄り状態が的確に判定される。また、混雑状態および片寄り状態を複数に分類できる。したがって、混雑状態と片寄り状態の複数の組み合わせの各々に対して、各表示部(7A,7B)に表示する画像を設定できる。したがって、乗客の混雑状態および片寄り状態に応じて、きめ細かく注意喚起を設定することができる。これにより、踏段3上に乗客が略均等に立ち止まって乗るような利用状況を確実にもたらすことができる。
また、本実施形態においては、表示部(7A,7B)および乗客検出センサ(8A,8B)がポール部(6A,6B)に設けられる。このため、本実施形態の表示装置は、乗客検出センサを備える既設の光電ポールを用いて、構成することができる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
例えば、次のような変形が可能である。
本実施形態における表示装置はエスカレーターに限らず、動く歩道(斜め設置、水平設置)を含む種々の乗客コンベアに適用できる。
表示部は、LCDに限らず、有機ELやプラズマディスプレイなどの画像表示器を備えてもよい。
乗客検出センサは、ポール部に限らず、乗り口部の床面やエスカレーターのスカートガードに取り付けられてもよい。
また、乗客検出センサとして、カメラを利用してもよい。この場合、天井や挟まれ防止用の三角板などにカメラをとりつけ、エスカレーター全体の画像を取得して、画像処理により乗客を検出してもよい。
また、上記実施形態は、混雑状態は、小、中、大の3段階に限らず、混雑度(乗客負荷率)に応じて任意の複数段階に分類されてもよい。また、片寄り状態は、片寄りありおよび片寄りなしの2段階に限らず、片寄り度に応じて任意の複数段階に分類されてもよい。
1 乗り口部、2 降り口部、3 踏段、4 欄干、5 移動手摺り、6A 第1ポール部、6B 第2ポール部、6C 第3ポール部、6D 第4ポール部、7A 第1表示部、7B 第2表示部、7C 第3表示部、7D 第4表示部、8A 第1乗客検出センサ、8B 第2乗客検出センサ、8C 第3乗客検出センサ、8D 第4乗客検出センサ、20 表示制御装置、21 制御部、22 記憶装置、sa,sb,sc,sd 検出信号、SA,SB,SC,SD 表示指令信号
Claims (13)
- 乗客コンベアに乗り込む乗客に対する情報を表示する乗客コンベアの表示装置において、
乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1表示部と、
前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2表示部と、
前記第1表示部および前記第2表示部を制御する制御装置と、
前記乗客コンベアに乗り込む乗客を検知する乗客検出手段と、
を備え、
前記第1表示部および前記第2表示部は前記乗客に対する情報を示す画像を表示し、
前記乗客は、前記第1表示部と前記第2表示部の間を通って前記乗客コンベアに乗り込み、
前記制御装置は、
前記乗客検出手段の検出信号に基づいて、前記乗客コンベアにおける混雑状態および乗客の片寄り状態を推定し、
前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を独立に設定することを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項1に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記制御装置は、
前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を同一画像に設定し、
前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を異なる画像に設定することを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項1に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記制御装置は、
前記乗客検出手段の前記検出信号に基づいて、前記乗客コンベアにおける混雑度および乗客の片寄り度を算出し、前記混雑度および前記片寄り度に応じて、前記混雑状態および前記片寄り状態を推定することを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項3に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記混雑状態は、前記混雑度に応じて複数段階に分類され、
前記片寄り状態は、前記片寄り度に応じて複数段階に分類され、
前記制御装置は、
前記複数段階の前記混雑状態および前記複数段階の前記片寄り状態に対して、予め複数の画像を記憶し、
前記複数の画像から、前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を選択することを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項4に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記複数の画像は、乗客が前記乗客コンベアの左右レーンにおいて片寄りなく立ち止まって乗る利用状況をもたらすための注意喚起を示す画像を含むことを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項5に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記複数の画像は、前記乗客コンベアの前記左右レーンに分かれて乗ることを注意喚起する画像と、前記乗客コンベア上における歩行の禁止を注意喚起する画像および前記乗客コンベアの降り口で立ち止まらないことを注意喚起する画像のいずれかを含むことを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項1に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記乗客検出手段は、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1乗客検出センサと、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2乗客検出センサであることを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項1に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記第1表示部は、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1ポール部に設けられ、
前記第2表示部は、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2ポール部に設けられることを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項7に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記第1乗客検出センサは、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1ポール部に設けられ、
前記第2表示部は、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2ポール部に設けられることを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 請求項1に記載の乗客コンベアの表示装置において、
前記第1表示部および前記第2表示部は液晶表示装置によって構成されることを特徴とする乗客コンベアの表示装置。 - 乗り口部と降り口部との間において、循環駆動される複数の踏段と、前記踏段に同期して駆動される移動手摺とを備える乗客コンベアにおいて、
前記乗客コンベアに乗り込む乗客に対する情報を表示する表示装置を備え、
前記表示装置は、
乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1表示部と、
前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2表示部と、
前記第1表示部および前記第2表示部を制御する制御装置と、
前記乗客コンベアに乗り込む乗客を検知する乗客検出手段と、
を備え、
前記第1表示部および前記第2表示部は前記乗客に提示する情報を示す画像を表示し、
前記乗客は、前記第1表示部と前記第2表示部の間を通って前記乗客コンベアに乗り込み、
前記制御装置は、
前記乗客検出手段の検出信号に基づいて、前記乗客コンベアにおける混雑状態および乗客の片寄り状態を推定し、
前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を独立に設定することを特徴とする乗客コンベア。 - 請求項11に記載の乗客コンベアにおいて、
前記制御装置は、
前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を同一画像に設定し、
前記混雑状態および前記片寄り状態に応じて、前記第1表示部が表示する画像および前記第2表示部が表示する画像を異なる画像に設定することを特徴とする乗客コンベア。 - 請求項12に記載の乗客コンベアにおいて、
前記乗客検出手段は、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1乗客検出センサと、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2乗客検出センサであり、
前記第1表示部および前記第1乗客検出センサは、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって左側に位置する第1ポール部に設けられ、
前記第2表示部および前記第2乗客検出センサは、前記乗り口部において前記乗客コンベアに向かって右側に位置する第2ポール部に設けられることを特徴とする乗客コンベア。
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