JP6131760B2 - リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、リチウム二次電池用電極、リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
(1) 組成式Li1+αMe1−αO2(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素、1.2≦(1+α)/(1−α)≦1.4)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(但し、ホウ素を0.110質量%含有するものを除く。)を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた微分細孔容積が最大値を示す細孔径が30〜40nmの範囲であり、ピーク微分細孔容積が0.85mm 3 /(g・nm)以上であり、前記Me中のCoのモル比Co/Meが0.20〜0.36であり、エックス線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに(104)面に帰属される回折ピークの半値幅が0.262°〜0.424°の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(2)前記(1)のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法であって、Co、Ni及びMnを含む遷移金属の炭酸塩前駆体にLi化合物を混合し、800〜850℃で焼成して前記リチウム遷移金属複合酸化物を製造することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
(3)前記(1)のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
(4)前記(3)のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
また、タップ密度は、高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得るために、1.25g/cc以上が好ましく、1.7g/cc以上がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
100℃乾燥品の色相は、標準色F05−20Bと比べて、赤色方向に標準色F05−40Dに至る範囲内にあり、また、標準色FN−10と比べて、白色方向に標準色FN−25に至る範囲内にあることがわかった。中でも、標準色F05−20Bが呈する色相との色差が最も小さいものと認められた。
一方、80℃乾燥品の色相は、標準色F19−50Fと比べて、白色方向に標準色F19−70Fに至る範囲内にあり、また、標準色F09−80Dと比べて、黒色方向に標準色F09−60Hに至る範囲内にあることがわかった。中でも、標準色F19−50Fが呈する色相との色差が最も小さいものと認められた。
以上の知見から、炭酸塩前駆体の色相は、標準色F05−20Bに比べて、dL,da及びdbの全てにおいて+方向であるものが好ましく、dLが+5以上、daが+2以上、dbが+5以上であることがより好ましいといえる。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O2型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
また、発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで750℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
したがって、エネルギー密度、又はエネルギー密度と共に高率放電性能を向上させるために、1.2≦モル比Li/Me≦1.4、モル比Co/Me0.20〜0.36の本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする場合、焼成温度は800〜850℃とすることが好ましい。
硫酸コバルト7水和物14.64g、硫酸ニッケル6水和物11.06g及び硫酸マンガン5水和物25.60gを秤量し、これらの全量をイオン交換水100mlに溶解させ、Me(Co,Ni,Mn)に対するモル比が、Co/Me比:0.26、Ni/Me比:0.21、Mn/Me比:0.53となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、CO2ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCO2を溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、2.0Mの炭酸ナトリウム、および0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて200mlによる洗浄を1回としたときに、5回の洗浄を行う条件で粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.09Co0.24Ni0.19Mn0.48O2を作製した。ICP測定の結果より、含まれるNa量は2100ppmであった。
前記共沈炭酸塩前駆体2.302gに、炭酸リチウム0.938gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が125:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、実施例1−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.11Co0.23Ni0.19Mn0.47O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.276gに、炭酸リチウム0.964gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が130:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、実施例1−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.13Co0.23Ni0.18Mn0.46O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.251gに、炭酸リチウム0.991gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が135:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、実施例1−4に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.15Co0.22Ni0.18Mn0.45O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.227gに、炭酸リチウム1.016gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が140:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、実施例1−5に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.17Co0.22Ni0.17Mn0.44O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体を作製する場合のCo/Me比:0.26、Ni/Me比:0.21、Mn/Me比:0.53を、表1の実施例1−6〜1−15に記載されているように変更した他は、実施例1−3と同様にして、実施例1−6〜1−15に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.383gに、炭酸リチウム0.854gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が110:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.05Co0.25Ni0.20Mn0.50O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.355gに、炭酸リチウム0.883gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が115:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、比較例1−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.07Co0.24Ni0.20Mn0.49O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.203gに、炭酸リチウム1.041gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が145:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、比較例1−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.18Co0.21Ni0.17Mn0.44O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.179gに、炭酸リチウム1.065gを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が150:100である混合粉体を調製した他は、実施例1−1と同様にして、比較例1−4に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.18Co0.21Ni0.17Mn0.42O2を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体を作製する場合のCo/Me比:0.26、Ni/Me比:0.21、Mn/Me比:0.53を、表1の比較例1−5〜1−11に記載されているように変更した他は、実施例1−3と同様にして、比較例1−5〜1−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
前記ペレットの焼成温度を850℃から750℃に変更した他は、実施例1−3と同様にして、比較例1−12に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
前記ペレットの焼成温度を850℃から900℃に変更した他は、実施例1−3と同様にして、比較例1−13に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
硫酸コバルト7水和物12.08g、硫酸ニッケル6水和物26.33g及び硫酸マンガン5水和物14.08gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が25:50:25となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、Arガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中の溶存酸素を脱気した。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、2.0Mの水酸化ナトリウム、0.5Mのアンモニア、0.25Mのヒドラジンを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に11.0(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。 次に、ブフナー漏斗(130mmφ)と吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈水酸化物の粒子を分離し、さらにブフナー漏斗にイオン交換水を100ml注ぎ、ガラス棒で撹拌することで共沈化合物を洗浄した。この洗浄作業を5回行った。つぎに、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、100℃にて乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈水酸化物前駆体を作製した。このようにして共沈水酸化物前駆体を作製したこと、共沈水酸化物前駆体に水酸化リチウムを加え、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が1:1である混合粉体を調製し、800℃で焼成した他は、実施例1−1と同様にして、比較例1−14に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li(Co1/4Ni1/2Mn1/4)O2を作製した。
Co/Me比:0.33、Ni/Me比:0.33、Mn/Me比:0.33に変更し、焼成温度を900℃に変更し、組成をLi(Co1/4Ni1/2Mn1/4)O2の代わりに、Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O2とした他は、比較例1−14と同様にして、比較例1−15に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1−1〜1−15及び比較例1−1〜1−15に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、次の条件及び手順に沿って半値幅の測定を行った。
エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて粉末エックス線回折測定を行った。線源はCuKα、加速電圧及び電流はそれぞれ30kV及び15mAとした。得られたエックス線回折データについて、前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについて半値幅を決定した。
実施例1−1〜1−15及び比較例1−1〜1−15に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれリチウム二次電池用正極活物質として用いて、以下の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
続いて、充電電圧を4.3Vとして電流0.1CmAでの充電を行い、30分の休止後、1CmAでの放電を終止電圧2.0Vとして行った。このときに得られた放電カーブにおいて、縦軸(電位)と横軸(容量)で囲まれる部分の面積をエネルギー密度として算出した。
これに対して、Li/Me比が1.2より小さくなるか、又は1.4より大きくなると、比較例1−1〜1−4に示されるように、リチウム二次電池のエネルギー密度は低下し、また、Co/Me比が0.20より小さくなるか、又は0.36より大きくなる〔(104)面に帰属される回折ピークの半値幅も0.424°より大きくなる〕と、比較例1−5〜1−11に示されるように、同様にエネルギー密度は低下する。
硫酸コバルト7水和物13.49g、硫酸ニッケル6水和物10.51g及び硫酸マンガン5水和物27.00gを秤量し、これらの全量をイオン交換水100mlに溶解させ、Me(Co,Ni,Mn)に対するモル比が、Co/Me比:0.24、Ni/Me比:0.20、Mn/Me比:0.56となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、CO2ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCO2を溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、2.0Mの炭酸ナトリウム、および0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて200mlによる洗浄を1回としたときに、5回の洗浄を行う条件で粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.13Co0.21Ni0.17Mn0.49O2を作製した。ICP測定の結果より、含まれるNa量は2100ppmであった。
共沈炭酸塩前駆体を作製する場合のCo/Me比:0.24、Ni/Me比:0.20、Mn/Me比:0.56を、表2の実施例2−2〜2−8に記載されているように変更した他は、実施例2−1と同様にして、実施例2−2〜2−8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例2−2〜2−8に係るリチウム遷移金属複合酸化物において、ICP測定の結果より、含まれるNa量は2100ppmであった。
焼成温度を850℃から800℃に変更した他は、実施例2−2と同様にして、実施例2−9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
共沈炭酸塩前駆体を作製する場合のCo/Me比:0.24、Ni/Me比:0.20、Mn/Me比:0.56を、表2の実施例2−10及び2−11に記載されているように変更した他は、実施例2−1と同様にして、実施例2−10及び2−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例2−1〜2−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、実施例と同様の条件及び手順に沿って半値幅の測定を行った。
実施例2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、ユアサアイオニクス社製比表面積測定装置(商品名:MONOSORB)を用いて、一点法により、活物質に対する窒素吸着量[m2]を求めた。得られた吸着量(m2)を活物質質量(g)で除した値をBET比表面積とした。測定に当たって、液体窒素を用いた冷却によるガス吸着を行った。また、冷却前に120℃15minの予備加熱を行った。また、測定試料の投入量は、0.5g±0.01gとした。実施例2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物において、BET比表面積は3.0m2/gであった。
実施例2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、REI ELECTRIC CO.LTD.社製のタッピング装置(1968年製)を用いて、300回カウント後の活物質の体積を質量で除した値をタップ密度とした。測定においては、10−2dm3のメスシリンダーに活物質を2g±0.2g投入することで行った。実施例2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物において、タップ密度は1.7g/ccであった。
実施例2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、次の条件及び手順に沿って細孔容積分布測定を行った。細孔容積分布の測定には、Quantachrome社製の「autosorb iQ」及び制御・解析ソフト「ASiQwin」を用いた。測定対象の試料であるリチウム遷移金属複合酸化物1.00gを測定用のサンプル管に入れ、120℃にて12h真空乾燥することで、測定試料中の水分を十分に除去した。次に、液体窒素を用いた窒素ガス吸着法により、相対圧力P/P0(P0=約770mmHg)が0から1の範囲内で吸着側および脱離側の等温線を測定した。そして、脱離側の等温線を用いてBJH法により計算することにより細孔分布を評価した。実施例2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物において、微分細孔容積が最大値を示す細孔径が30〜40nmの範囲であり、ピーク微分細孔容積は1.35mm3/(g・nm)であった。
実施例2−1〜2―11に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、次の条件及び手順に沿って粒度分布の測定を行った。測定装置には日機装社製Microtrac(型番:MT3000)を用いた。前記測定装置は、光学台、試料供給部及び制御ソフトを搭載したコンピューターを備えており、光学台にはレーザー光透過窓を有する湿式セルが設置される。測定原理は、測定対象試料が分散溶媒中に分散している分散液が循環している湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料からの散乱光分布を粒度分布に変換する方式である。前記分散液は試料供給部に蓄えられ、ポンプによって湿式セルに循環供給される。前記試料供給部は、常に超音波振動が加えられている。今回の測定では、分散溶媒として水を用いた。又、測定制御ソフトにはMicrotrac DHS for Win98(MT3000)を使用した。前記測定装置に設定入力する「物質情報」については、溶媒の「屈折率」として1.33を設定し、「透明度」として「透過(TRANSPARENT)」を選択し、「球形粒子」として「非球形」を選択した。試料の測定に先立ち、「Set Zero」操作を行う。「Set zero」操作は、粒子からの散乱光以外の外乱要素(ガラス、ガラス壁面の汚れ、ガラス凹凸など)が後の測定に与える影響を差し引くための操作であり、試料供給部に分散溶媒である水のみを入れ、湿式セルに分散溶媒である水のみが循環している状態でバックグラウンド操作を行い、バックグラウンドデータをコンピューターに記憶させる。続いて「Sample LD (Sample Loading)」操作を行う。Sample LD操作は、測定時に湿式セルに循環供給される分散液中の試料濃度を最適化するための操作であり、測定制御ソフトの指示に従って試料供給部に測定対象試料を手動で最適量に達するまで投入する操作である。続いて、「測定」ボタンを押すことで測定操作が行われる。前記測定操作を2回繰り返し、その平均値として測定結果がコンピューターから出力される。測定結果は、粒度分布ヒストグラム、並びに、D10、D50及びD90の各値(D10、D50及びD90は、二次粒子の粒度分布における累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒度)として取得される。リチウム遷移金属複合酸化物の測定されたD50の値は8μmであった。
実施例2−1〜2−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物について、その一部をカーボンテープに付着させ、走査型電子顕微鏡(SEM)観察に供するため、Ptスパッタリング処理を行った。
SEM観察により2次粒子を十分拡大させた状態で、2次粒子を構成する1次粒子の大きさについて表示スケールから判断した。測定結果は、実施例2−1〜2−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物において、すべて0.3μm以下であった。
実施例2−1〜2−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれリチウム二次電池用正極活物質として用いて、実施例1と同様の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
実施例1と同様に、初期充放電工程を行った後、充電電圧を変更して、1サイクルの充放電試験を行った。電圧制御は全て正極電位に対して行った。この充放電試験の条件は、充電電圧を4.3Vとしたことを除いては、前記初期充放電工程の条件と同一である。このときの放電電気量を「放電容量(0.1C)mAh/g」として記録した。
続いて、充電電圧を4.3Vとして電流0.1CmAでの充電を行い、30分の休止後、1CmAでの放電を終止電圧2.0Vとしておこなった。このときに得られた放電容量の、前記0.1CmA時に得られた「放電容量(mAh/g)」に対する百分率を「高率放電性能(1C/0.1C)」として記録した。
これに対して、Co/Me比が0.20以上であっても、0.24より小さい場合には、エネルギー密度は高いが、高率放電性能の向上は十分とはいえない。
Claims (4)
- 組成式Li1+αMe1−αO2(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素、1.2≦(1+α)/(1−α)≦1.4)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(但し、ホウ素を0.110質量%含有するものを除く。)を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた微分細孔容積が最大値を示す細孔径が30〜40nmの範囲であり、ピーク微分細孔容積が0.85mm 3 /(g・nm)以上であり、前記Me中のCoのモル比Co/Meが0.20〜0.36であり、エックス線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに(104)面に帰属される回折ピークの半値幅が0.262°〜0.424°の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
- 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法であって、Co、Ni及びMnを含む遷移金属の炭酸塩前駆体にLi化合物を混合し、800〜850℃で焼成して前記リチウム遷移金属複合酸化物を製造することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
- 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
- 請求項3に記載のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
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