JP2015118892A - リチウム二次電池用正極活物質、その正極活物質の前駆体、リチウム二次電池用電極、リチウム二次電池及びバッテリーモジュール - Google Patents
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Abstract
Description
Li(x)Ni(1−a−b)Co(a)Mn(b)O2 (1)
(式中、xは0.98≦x≦1.20、aは0<a≦0.5、bは0<b≦0.5である。)
で表わされるリチウム複合酸化物であり、一次粒子の表層部に存在している残存アルカリ量が4000ppm以下であり、一次粒子の表層部に存在している硫酸根の量が500〜11000ppmであることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。」(請求項1)、
「リチウム化合物と、ニッケル化合物と、コバルト化合物と、マンガン化合物と、を含有する焼成原料混合物を、950℃以下で焼成し、下記一般式(1):
Li(x)Ni(1−a−b)Co(a)Mn(b)O2 (1)
(式中、xは0.98≦x≦1.20、aは0<a≦0.5、bは0<b≦0.5である。)
で表わされるリチウム複合酸化物を得る第一焼成工程と、
該第一焼成工程で得られる前記一般式(1)で表わされるリチウム複合酸化物の洗浄及び硫酸塩の水溶液との接触を行い、硫酸塩水溶液処理物を得る硫酸塩水溶液処理工程と、
該硫酸塩水溶液処理物を、400〜800℃で焼成して、リチウム二次電池用正極活物質を得る第二焼成工程と、
を行い得られることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。」(請求項4)の発明が記載されている。この発明は、「一次粒子の表層部に存在している残存アルカリ量が少なく、且つ、サイクル特性に優れるリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物を提供すること」(段落[0011])を目的とするものである。
前記正極活物質は、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物であって、
前記リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物は、タングステンとニオブとを含有することを特徴とする正極活物質。」(請求項1)、「前記リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物に含まれる水溶性アルカリ分は、0.2wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の正極活物質。」(請求項4)の発明が記載されている。この発明は、「優れた出力特性を有し、ガス発生の少ない正極活物質およびそれを用いた電池を提供することを目的とする」(段落[0009])ものである。
(1)α−NaFeO2構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、前記遷移金属に対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1より大きく、Na及びKが含まれることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
(2)前記遷移金属に対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1.2より大きく且つ1.6より小さいことを特徴とする前記(1)のリチウム二次電池用正極活物質。
(3)Na及びKの含有量が合計で1000ppm以上20000ppm以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)のリチウム二次電池用正極活物質。
(4)MeCO3(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属)で表され、Na及びKが含まれることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の炭酸塩前駆体。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかのリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
(6)前記(5)のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
(7)前記(6)のリチウム二次電池を複数個集合して構成したバッテリーモジュール。
前駆体作製時の中和・洗浄工程における残存Na及びKが、いわゆる「リチウム過剰型」のリチウム遷移金属複合酸化物の焼成工程において、1次粒子の成長抑制剤として作用することが推定され、このリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含有するリチウム二次電池の電極特性が向上すると考えられる。
また、タップ密度は、高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得るために、1.25g/cc以上が好ましく、1.7g/cc以上がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
炭酸カリウム等のカリウム化合物を使用して作製した場合、その後の洗浄工程において粒子に付着しているナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを洗浄除去するが、本発明においては、Naが1000ppm以上及び/又はKが1000ppm以上残存するような条件で洗浄除去することが好ましい。例えば、作製した炭酸塩前駆体を吸引ろ過して取り出す際に、イオン交換水200mlによる洗浄回数を5回とするような条件を採用することができる。
100℃乾燥品(比較例)の色相は、標準色F05−20Bと比べて、赤色方向に標準色F05−40Dに至る範囲内にあり、また、標準色FN−10と比べて、白色方向に標準色FN−25に至る範囲内にあることがわかった。中でも、標準色F05−20Bが呈する色相との色差が最も小さいものと認められた。
一方、80℃乾燥品(実施例)の色相は、標準色F19−50Fと比べて、白色方向に標準色F19−70Fに至る範囲内にあり、また、標準色F09−80Dと比べて、黒色方向に標準色F09−60Hに至る範囲内にあることがわかった。中でも、標準色F19−50Fが呈する色相との色差が最も小さいものと認められた。
以上の知見から、炭酸塩前駆体の色相は、標準色F05−20Bに比べて、dL,da及びdbの全てにおいて+方向であるものが好ましく、dLが+5以上、daが+2以上、dbが+5以上であることがより好ましいといえる。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O2型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
また、発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで750℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。即ち、焼成温度を上記した活物質の酸素放出温度にできるだけ近付けるように選択することにより、はじめて、可逆容量が顕著に大きい活物質を得ることができる。
以上のようにして、本発明に係るリチウム二次電池用正極活物質を作製する。
硫酸コバルト7水和物14.08g、硫酸ニッケル6水和物21.00g及び硫酸マンガン5水和物65.27gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が12.50:19.94:67.56となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、CO2ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCO2を溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、1.0Mの炭酸ナトリウム、1.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて200mlによる洗浄を1回としたときに、5回の洗浄を行う条件で粒子に付着しているナトリウムイオン及びカリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.005gおよび炭酸カリウム0.007gを加えることで実施例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.009gおよび炭酸カリウム0.014gを加えることで実施例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに加える炭酸リチウム1.021gに変更して、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が140:100である合粉体を調製した。これによって実施例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2を作製した。
実施例4の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.005gおよび炭酸カリウム0.007gを加えることで実施例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例4の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.009gおよび炭酸カリウム0.014gを加えることで実施例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の前駆体作製の工程において、中和剤として1.0Mの炭酸ナトリウムと1.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、1.0Mの炭酸リチウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで共沈炭酸塩前駆体を作製した。また、焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.002gおよび炭酸カリウム0.004gを加えることで実施例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例7の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.005gおよび炭酸カリウム0.004gを加えることで実施例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例7の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.002gおよび炭酸カリウム0.007gを加えることで実施例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.005gを加えることで実施例10に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.009gを加えることで実施例11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.014gを加えることで実施例12に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.007gを加えることで実施例13に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.014gを加えることで実施例14に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.021gを加えることで実施例15に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の前駆体作製の工程において、中和剤として1.0Mの炭酸ナトリウムと1.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、1.0Mの炭酸リチウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで共沈炭酸塩前駆体を作製した。また、焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.002gおよび炭酸カリウム0.004gを加えることで実施例16に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2を作製した。
実施例16の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.005gおよび炭酸カリウム0.004gを加えることで実施例17に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例16の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.002gおよび炭酸カリウム0.007gを加えることで実施例18に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.005gを加えることで実施例19に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.009gを加えることで実施例20に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.014gを加えることで実施例21に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸カリウム0.007gを加えることで実施例22に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸カリウム0.014gを加えることで実施例23に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸カリウム0.021gを加えることで実施例24に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.032gを加えることで実施例25に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.050gを加えることで実施例26に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸ナトリウム0.068gを加えることで実施例27に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.049gを加えることで実施例28に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.077gを加えることで実施例29に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.105gを加えることで実施例30に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.032gを加えることで実施例31に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.050gを加えることで実施例32に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.068gを加えることで実施例33に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸カリウム0.049gを加えることで実施例34に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸カリウム0.077gを加えることで実施例35に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸カリウム0.105gを加えることで実施例36に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の前駆体作製の工程において、中和剤として1.0Mの炭酸ナトリウムと1.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、2.0Mの炭酸ナトリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで共沈炭酸塩前駆体を作製した。また、焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.018gを加えることで比較例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2を作製した。
比較例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gに加えて炭酸ナトリウム0.005gを加えることで比較例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例1の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.228gに、炭酸リチウム1.021gを加えることで比較例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例3の前駆体作製の工程において、中和剤として2.0Mの炭酸ナトリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、1.0Mの炭酸ナトリウム、1.0Mの炭酸リチウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで比較例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例4の前駆体作製の工程において、中和剤の炭酸ナトリウムと炭酸リチウムの比(Na/Liのモル比)を1/1[M]とする代わりに、表1の比較例5〜8に記載されているように変更した他は、比較例4と同様にして、比較例5〜8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
実施例1の前駆体作製の工程において、中和剤として1.0Mの炭酸ナトリウムと1.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、2.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで共沈炭酸塩前駆体を作製した。また、焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.018gを加えることで比較例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.13Co0.11Ni0.17Mn0.59O2を作製した。
比較例9の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.011gを加えることで比較例10に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例9の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gに加えて炭酸カリウム0.004gを加えることで比較例11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例9の焼成の工程において、前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gを加えることで比較例12に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例12の前駆体作製の工程において、中和剤として2.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、1.0Mの炭酸カリウム、1.0Mの炭酸リチウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで比較例13に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
比較例12の前駆体作製の工程において、中和剤として2.0Mの炭酸カリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液の代わりに、0.5Mの炭酸カリウム、1.5Mの炭酸リチウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を用いることで比較例14に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
得られたリチウム遷移金属複合酸化物に含まれるNa及び/又はKの量は以下のようにして求めた。
活物質を50mg秤取し、これを10wt%の塩酸水溶液10mlに投入した。この水溶液を、150℃のホットプレート上において加熱することにより、活物質を十分溶解させた。その後、吸引濾過装置を用いて濾過を行い、水溶液中に含まれる微粒子を除去した。濾過後の水溶液に90mlのイオン交換水を加えて攪拌し、100mlの試料溶液を作製した。また、Na及び/又はKの含有量を求める検量線を作成するために、3種類のNa及びK濃度既知の参照溶液を調製した。この参照溶液は、Na及びK標準液(ナカライテスク製、1000ppm)を、イオン交換水を用いて目的の濃度に希釈して調製した。
上記の試料溶液及び参照溶液それぞれ20〜40ml程度を用いて、ICP発光分光分析装置(SHIMADZU, ICPS-8100)により分析を行うことにより、Na及び/又はKの含有量を測定した。
また、リチウム遷移金属複合酸化物に含まれるNa及び/又はKの量は、上記したICP発光分光分析の他に、原子吸光分析法によって測定することも可能である。
実施例1〜36及び比較例1〜14に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、次の条件及び手順に沿って粒度分布測定を行った。測定装置には日機装社製Microtrac (型番:MT3000)を用いた。前記測定装置は、光学台、試料供給部及び制御ソフトを搭載したコンピューターを備えており、光学台にはレーザー光透過窓を有する湿式セルが設置される。測定原理は、測定対象試料が分散溶媒中に分散している分散液が循環している湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料からの散乱光分布を粒度分布に変換する方式である。前記分散液は試料供給部に蓄えられ、ポンプによって湿式セルに循環供給される。前記試料供給部は、常に超音波振動が加えられている。今回の測定では、分散溶媒として水を用いた。又、測定制御ソフトにはMicrotrac DHS for Win98(MT3000)を使用した。前記測定装置に設定入力する「物質情報」については、溶媒の「屈折率」として1.33を設定し、「透明度」として「透過(TRANSPARENT)」を選択し、「球形粒子」として「非球形」を選択した。試料の測定に先立ち、「Set Zero」操作を行う。「Set zero」操作は、粒子からの散乱光以外の外乱要素(ガラス、ガラス壁面の汚れ、ガラス凹凸など)が後の測定に与える影響を差し引くための操作であり、試料供給部に分散溶媒である水のみを入れ、湿式セルに分散溶媒である水のみが循環している状態でバックグラウンド操作を行い、バックグラウンドデータをコンピューターに記憶させる。続いて「Sample LD (Sample Loading)」操作を行う。Sample LD操作は、測定時に湿式セルに循環供給される分散液中の試料濃度を最適化するための操作であり、測定制御ソフトの指示に従って試料供給部に測定対象試料を手動で最適量に達するまで投入する操作である。続いて、「測定」ボタンを押すことで測定操作が行われる。前記測定操作を2回繰り返し、その平均値として測定結果がコンピューターから出力される。測定結果は、粒度分布ヒストグラム、並びに、D10、D50及びD90の各値(D10、D50及びD90は、二次粒子の粒度分布における累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒度)として取得される。測定されたD50の値は8μmであった。また、共沈炭酸塩前駆体を作製する工程において、滴下終了後、反応槽内の撹拌をさらに継続する時間を3hから4hに変更した場合、D50の値は10μmになった。
なお、炭酸塩前駆体の二次粒子の粒度分布における累積体積は、リチウム遷移金属複合酸化物と同程度であった。
実施例1〜36及び比較例1〜14に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれリチウム二次電池用正極活物質として用いて、以下の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
次に、充電電圧を変更して、1サイクルの充放電試験を行った。電圧制御は全て正極電位に対して行った。この充放電試験の条件は、充電電圧を4.3Vとしたことを除いては、前記初期充放電工程の条件と同一である。このときの放電電気量を「放電容量(mAh/g)」(表においては「0.1C capa」と表記)として記録した。
充電深度が浅い(30%)状態での直流内部抵抗(SOC30%DCR)を、以下のようにして求めた。電流0.1CmA、電圧4.3Vの定電流定電圧充電を行い、このときの充電電気量を計測した。30分の休止後、電流0.1CmAの定電流放電を行い、前記充電電気量に対して70%の電気量を通電した時点で放電を休止した。放電休止後から30分後、各率放電電流でそれぞれ1秒放電する試験を行った。具体的には、まず、電流0.1CmAにて1秒放電し、2分の休止後、電流0.1CmAにて1秒の補充電を行った。さらに2分の休止後、電流1CmAにて1秒放電し、2分の休止後、電流0.1CmAにて10秒の補充電を行った。さらに2分の休止後、電流2CmAにて1秒放電し、2分の休止後、電流0.1CmAにて20秒の補充電を行った。以上の結果を各率放電の1秒後の電圧をその電流値に対してプロットし、最小二乗法によるフィッティングを行ったグラフの傾きを算出し「SOC30%DCR(Ω)」として記録した。
これに対して、Naのみ、Kのみが含まれる比較例1〜14の正極活物質を用いたリチウム二次電池では、Na又はKの含有量が一定以上の場合、放電容量が向上し、初期効率も高くなるが、SOC30%DCRは大きく入出力特性の改善は十分とはいえない。
放電容量(0.1C capa)が特に大きく(210mAh/g以上)と大きく、SOC30%DCRが特に小さい(4.8Ω以下)正極活物質を得るためには、リチウム遷移金属複合酸化物中のNa及びKの含有量は、1000ppm〜20000ppmとすることが好ましい。
なお、本発明の正極活物質を含有する正極を用いたリチウム二次電池では、使用条件により正極活物質中のNa及びKが正極から漏出することも考えられる。この場合、Na及びKは電解液中や負極中にも含まれているので、上記正極中のNa及びKの含有量だけではなく、電解液及び/又は負極に含まれるNa及びKの量を測定することにより、より正確に正極活物質に含有されているNa及びKの量を知ることが可能となる。
10 バッテリーモジュール
20 車体本体
100 充放電制御装置
200 蓄電ユニット
210 矩形状のリチウム二次電池
220 収容ケース
1000 自動車
Claims (7)
- α−NaFeO2構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、前記遷移金属に対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1より大きく、Na及びKが含まれることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
- 前記遷移金属に対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1.2より大きく且つ1.6より小さいことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- Na及びKの含有量が合計で1000ppm以上20000ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- MeCO3(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属)で表され、Na及びKが含まれることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の炭酸塩前駆体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用電極。
- 請求項5に記載のリチウム二次電池用電極を備えたリチウム二次電池。
- 請求項6に記載のリチウム二次電池を複数個集合して構成したバッテリーモジュール。
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