以下、本発明の変位検出装置の実施の形態例について、図1〜図31を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
また、以下の説明において記載される各種のレンズは、単レンズであってもよいし、レンズ群であってもよい。
1.変位検出装置の第1の実施の形態例
まず、本発明の変位検出装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成を図1〜図5に従って説明する。
1−1.変位検出装置の構成例
図1は、変位検出装置の構成を示す概略構成図、図2は、変位検出装置の回折格子の一例を示す側面図、図3は、変位検出装置の要部を示す説明図、図4は、変位検出装置における相対位置情報出力手段の概略構成を示すブロック図である。
本例の変位検出装置1は、回折格子を用いて、被測定面における垂直な方向の変位を検出することができる変位検出装置である。図1に示すように、変位検出装置1は、光源2と、光源から出射される光を2つの光束に分割する光束分割部3と、回折格子4と、反射部の一例を示すミラー6と、受光部8とを有している。さらに、変位検出装置1は、被測定部材9の被測定面の直交する方向、すなわち高さ方向の相対位置情報(変位情報)を出力する相対位置情報出力手段10を備えている。
光源2には、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、ガスレーザ、固体レーザ、発光ダイオード等が挙げられる。
光源2として、可干渉距離が長い光源を用いると、被測定部材9の被測定面のチルト等による物体光と参照光の光路長差の影響を受けにくくチルト許容範囲が広くなる。また、光源2の可干渉距離が短くなるほど、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぐことができ、高精度な計測をすることができる。
さらに、光源2として、シングルモードのレーザを用いると、波長を安定させるために、光源2の温度をコントロールすることが望ましい。また、シングルモードのレーザの光に、高周波重畳などを付加して、光の可干渉性を低下させてもよい。さらに、マルチモードのレーザを用いる場合も、ペルチェ素子等で光源2の温度をコントロールすることで、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぎ、さらに安定した計測が可能になる。
この光源2から出射された光は、光束分割部3に入射する。なお。光源2と光束分割部3の間には、コリメートレンズ等からなるレンズ11が配置されている。レンズ11は、光源2から出射された光を平行光にコリメートする。そのため、光束分割部3には、レンズ11により平行光にコリメートされた光が入射される。
光束分割部3は、コリメートされた光を物体光である第1の光束L1と、参照光である第2の光束L2に分割する。第1の光束L1は、被測定部材9に照射され、第2の光束L2は、ミラー6に照射される。また、光束分割部3は、例えば、光源2からの光のうち、s偏光を反射し、p偏光を透過する。
光束分割部3では、光が第1の光束L1と第2の光束L2に分割されるが、その光量比率は、受光部8に入射する際に被測定部材9側とミラー6側でそれぞれが同じ光量になるような比率にすることが好ましい。
また、光源2と光束分割部3との間に偏光板を設けてもよい。これにより、それぞれの偏光に対して直行した偏光成分としてわずかに存在する漏れ光、ノイズを除去することができる。
光束分割部3と被測定部材9との間には、第1の位相板12が配置されており、光束分割部3とミラー6との間には、第2の位相板13が配置されている。第1の位相板12及び第2の位相板13は、それぞれ1/4波長板等から構成されている。
被測定部材9は、第1の光束L1を回折格子4に反射させる。なお、被測定部材9としては、ミラー等が用いられる。被測定部材9の詳細な構成例については、後述する。本例の回折格子4は、入射した光を反射させ、かつ回折させる反射型の回折格子である。
また、被測定部材9は、回折格子4によって回折された第1の光束L1を再び光束分割部3へ反射させる。回折格子4は、被測定部材9の被測定面に対して略直角、すなわち回折格子4の回折面と被測定部材9の被測定面で形成される角度がほぼ90°となるように配置されている。
なお、回折格子4における被測定部材9に対する配置する精度は、変位検出装置1に要求する測定精度によって種々設定されるものである。すなわち、変位検出装置1に高い精度を要求する場合、回折格子4を被測定部材9の被測定面に対して90°±0.5°の範囲に配置することが好ましい。これに対し、回折格子を被測定部材の被測定面に対して90°から±2°の範囲で配置しても、変位検出装置1を工作機械等の低精度の測定に用いる場合には、十分である。
また、回折格子4に入射した第1の光束L1は、回折格子4によって反射し、かつ回折される。この回折格子4の格子ピッチΛは、回折角が回折格子4への入射角とほぼ等しくなるように設定される。すなわち、回折格子4の格子ピッチΛは、被測定面への入射角をθ、光の波長をλとすると、次の式1を満たす値に設定することが好ましい。なお、上述したように、回折格子4が被測定部材9の被測定面に対して直角に配置されているため、回折格子4への入射角は、π/2−θとなる。
[式1]
Λ=λ/(2sin(π/2−θ))
そのため、回折格子4によって反射し、かつ回折されて再び被測定部材9に入射するときの光路が、光束分割部3によって分割された第1の光束L1が被測定部材9によって反射されて回折格子4に入射するときの光路に重なり合う。その結果、回折格子4によって回折された第1の光束L1は、光束分割部3から被測定部材9に照射された照射スポットP1とおなじ点に戻る。そして、第1の光束L1は、被測定部材9で再び反射され、光束分割部3から照射されたときの光路と、同じ光路を通って光束分割部3に戻る。
なお、回折格子としては、図2に示すような回折格子4Aを用いてよい。
図2は、回折格子の一例を示す側面図である。
図2に示すように、回折格子4Aは、溝の断面形状を鋸歯状に形成した、いわゆるブレーズド回折格子である。この回折格子4Aによれば、被測定部材9から反射した第1の光束L1や、ミラー6から反射した第2の光束L2の回折効率を高めることができ、信号のノイズを低下させることができる。
また、図1に示すように、ミラー6は、光束分割部3によって分割された第2の光束L2を回折格子4に反射するものである。このミラー6は、回折格子4を間に挟んで被測定部材9と対向する位置に設けられている。そして、ミラー6の反射面は、被測定部材9の被測定面と略平行に配置される。そのため、ミラー6の反射面と回折格子4の回折面で形成される角度がほぼ90°となるように、ミラー6及び回折格子4は配置される。
また、ミラー6は、回折格子4によって回折された第2の光束L2を再び光束分割部3に反射する。なお、ミラー6によって反射され、かつ回折格子4によって回折された第2の光束L2も、第1の光束L1と同様に、光束分割部3から照射されたときの光路と、同じ光路を通って、光束分割部3に戻る。
このミラー6は、第1の光束L1における光束分割部3から回折格子4までの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3から回折格子4までの光路長が等しくなるように配置される。ミラー6を設けたことで、変位検出装置1を製造する際に、第1の光束L1の光路長と第2の光束L2の光路長や光軸の角度を調整し易くすることができる。その結果、気圧や湿度や温度の変化による光源2の波長変動の影響を受けにくくすることができる。
上述したように、ミラー6の反射面と回折格子4の回折面は、被測定部材9と回折格子4の関係と同様に、略直角に配置することが好ましい。これにより、回折格子4によって回折されて再びミラー6に入射するときの光路が、ミラー6によって反射されて回折格子4に入射するときの光路に重なり合う。
また、光束分割部3は、被測定部材9及びミラー6から反射されて戻ってきた第1の光束L1及び第2の光束L2を重ね合わせて、受光部8に照射する。すなわち、本例で示す光束分割部3は、光を分割する光束分割部としての役割と、第1の光束と第2の光束を重ね合わせる光束結合部としての役割を有している。
ここで、光束分割部3から被測定部材9及び回折格子4を介して光束分割部3に戻るまでの長さと、光束分割部3からミラー6及び回折格子4を介して光束分割部3に戻るまでの長さは、略等しく設定されている。すなわち、第1の光束L1と第2の光束L2の光路長を等しく設定したため、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長変動があったとしても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。その結果、気圧補正や湿度補正、温度補正を行う必要がなく、周囲環境に関わらず安定した測定を行うことができる。
受光部8は、光束分割部3からの入射された第1の光束L1及び第2の光束L2を集光する集光レンズ14と、光を分割するハーフミラー16と、第1の偏光ビームスプリッタ18と、第2の偏光ビームスプリッタ19とを有している。また、ハーフミラー16と第2の偏光ビームスプリッタ19との光路上には、例えば1/4波長板等からなる受光側位相板17が配置されている。
第1の偏光ビームスプリッタ18は、入射される光束の偏光方向が入射面に対して45度傾くように配置されている。この第1の偏光ビームスプリッタ18における光の出射口側には、第1の受光素子33と、第2の受光素子34が設けられている。また、第2の偏光ビームスプリッタ19における光の出射口側には、第3の受光素子35と、第4の受光素子36が設けられている。
これら第1の偏光ビームスプリッタ18及び第2の偏光ビームスプリッタ19は、s偏光成分を有する干渉光を反射させ、p偏光成分を有する干渉光を透過させて、光を分割するものである。
そして、受光部8には、相対位置情報出力手段10が接続されている。図4に示すように、相対位置情報出力手段10は第1の差動増幅器61aと、第2の差動増幅器61bと、第1のA/D変換器62aと、第2のA/D変換器62bと、波形補正処理部63と、インクリメンタル信号発生器64とを有している。
第1の差動増幅器61aには、第1の受光素子33及び第2の受光素子34が接続されており、第2の差動増幅器61bには、第3の受光素子35及び第4の受光素子36が接続されている。また、第1の差動増幅器61aには、第1のA/D変換器62aが接続されており、第2の差動増幅器61bには、第2のA/D変換器62bが接続されている。そして、第1のA/D変換器62a及び第2のA/D変換器62bは、波形補正処理部63と接続している。
1−2.変位検出装置の動作
次に、図1、図3及び図4を参照して、本例の変位検出装置1の動作について説明する。
図1に示すように、光源から出射した光は、レンズ11によりコリメートされて平行光となる。そして、レンズ11によりコリメートされた平行光は、光束分割部3に入射する。光束分割部3に入射した光は、第1の光束L1と第2の光束L2に分割される。ここで、光束分割部3は、光のうちs偏光を反射し、p偏光を透過する。そのため、光束分割部3を透過したp偏光による第1の光束L1は、第1の位相板12に照射され、光束分割部3により反射されたs偏光による第2の光束L2は、第2の位相板13に照射される。
そして、第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の位相板12及び第2の位相板13により円偏光となる。図3に示すように、円偏光となった第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面の任意の照射スポットP1に入射角θで入射する。そして、第1の光束L1は、被測定部材9によって反射された回折格子4の回折位置T1に入射角π/2−θで入射する。
回折格子4に入射した第1の光束L1は、回折格子4によって回折される、そして、回折された第1の光束L1は、再び被測定部材9に入射する。次に、再び被測定部材9に入射した第1の光束L1は、被測定部材9で反射されて、第1の位相板12に照射される。
一方、ミラー6に照射された第2の光束L2は、ミラー6で反射されて、回折格子4に照射される。そして、第1の光束L1と同様に、第2の光束L2は、回折格子4によって回折されて、再びミラー6に入射する。
上述したように、ミラー6は、第1の光束L1における光束分割部3から回折格子4までの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3から回折格子4までの光路長が等しくなるように配置されている。そのため、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長変動があったとしても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。
さらに、第1の光束L1及び第2の光束L2を共に回折格子4に入射させて回折させている。これにより、温度変化によって回折格子4の回折角に変化が起きても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。
ミラー6に再び入射した第2の光束L2は、ミラー6で反射されて、第2の位相板13に照射される。第1の光束L1は、第1の位相板12によって行きと直交した直線偏光、すなわちs偏光となる。また、第2の光束L2は、第2の位相板13によって行きと直交した直線偏光p偏光となる。したがって、第1の光束L1は、光束分割部3を透過して受光部8に照射される。また、第2の光束L2は、光束分割部3で反射されて受光部8に照射される。そのため、受光部8には、互いに直交した直線偏光の第1の光束L1と第2の光束L2が重なった光束Laが入射する。
光束Laは、集光レンズ14によって集光されて、ハーフミラー16に照射される。ハーフミラー16は、光束Laを2つの光に分割する。ハーフミラー16を反射した光束Laは、第1の偏光ビームスプリッタ18に入射する。
ここで、第1の偏光ビームスプリッタ18は、互いに偏光方向が90度異なる第1の光束L1及び第2の光束L2の偏光方向が、第1の偏光ビームスプリッタ18の入射面に対してそれぞれ偏光方向が45度傾くように傾けて配置されている。これにより、第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の偏光ビームスプリッタ18に対してそれぞれp偏光成分とs偏光成分を有することになる。したがって、第1の偏光ビームスプリッタ18を透過した第1の光束L1及び第2の光束L2は、同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。よって、第1の光束L1と第2の光束L2を第1の偏光ビームスプリッタ18によって干渉させることができる。
同様に、第1の偏光ビームスプリッタ18によって反射される第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の偏光ビームスプリッタ18に対して同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。そのため、第1の偏光ビームスプリッタ18によって干渉させることができる。
第1の偏光ビームスプリッタ18によって反射された第1の光束L1及び第2の光束L2との干渉光は、第1の受光素子33によって受光される。また、第1の偏光ビームスプリッタ18を透過した第1の光束L1及び第2の光束L2との干渉光は、第2の受光素子34によって受光される。ここで、第1の受光素子33と第2の受光素子34とによって光電変換される信号は、180度位相の異なる信号となる。
第1の受光素子33と第2の受光素子34によって得られる干渉信号は、Acos(Kx+δ)の干渉信号が得られる。Aは、干渉の振幅であり、Kは2π/Λで示される波数である。また、xは、回折格子4上における第1の光束L1の移動量を示しており、δは、初期位相を示している。Λは、回折格子4における格子のピッチである。
ここで、図3に示すように、被測定部材9が高さ方向にx/2だけ移動すると、被測定部材9の測定面に照射される第1の光束L1は、照射スポットP1から照射スポットP2に移動する。また、被測定部材9に反射された第1の光束L1は、回折格子4の回折位置T1から回折位置T2に移動する。ここで、回折格子4は、被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されているため、回折位置T1と回折位置T2の間隔は、照射スポットP1と照射スポットP2の間隔の2倍のxとなる。すなわち、回折格子4上を移動する第1の光束L1の移動量は、被測定部材9を移動した際の2倍のxとなる。
また、回折格子4が被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されているため、被測定部材9が高さ方向に変位しても、P2−T2間の距離と、P2−P1−T1間の距離が一定であることから、第1の光束L1の光路長は常に一定となることが分かる。すなわち、第1の光束L1の波長は、変化しない。そして、被測定部材9が高さ方向に変位すると、回折格子4に入射する位置だけが変化する。
よって、回折された第1の光束L1には、Kxの位相が加わる。つまり、被測定部材9が高さ方向に対してx/2だけ移動すると、第1の光束L1は回折格子4上ではxだけ移動する。そのため、第1の光束L1には、Kxの位相が加わり、1周期の光の明暗が生じる干渉光が第1の受光素子33、第2の受光素子34によって受光される。
ここで、第1の受光素子33及び第2の受光素子34によって得られる干渉信号には、光源2の波長に関する成分が含まれていない。よって、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長に変動が起きても干渉強度には、影響を受けない。
一方、図1に示すように、ハーフミラー16を透過した光束Laは、受光側位相板17に入射する。互いに偏光方向が90度異なる直線偏光である第1の光束L1及び第2の光束L2からなる光束Laは、受光側位相板17を透過することにより、互いに逆回りの円偏光となる。そして、この互いに逆回りの円偏光は同一光路上にあるので、重ね合わされることにより直線偏光となり、第2の偏光ビームスプリッタ19に入射する。
この直線偏光のs偏光成分は第2の偏光ビームスプリッタ19によって反射され、第3の受光素子35に受光される。また、p偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ19を透過し、第4の受光素子36によって受光される。
上述したように、第2の偏光ビームスプリッタ19に入射する直線偏光は、互いに逆回りの円偏光の重ね合わせによって生じている。そして、第2の偏光ビームスプリッタ19に入射される直線偏光の偏光方向は、被測定部材9が高さ方向にΛ/2だけ移動すると1/2回転する。したがって、第3の受光素子35と第4の受光素子36でも同様に、Acos(Kx+δ’)の干渉信号が得られる。δ’は初期位相である。
また、第3の受光素子35と第4の受光素子36とで光電変換される信号は、180度位相が異なる。
なお、本実施形態では、第1の偏光ビームスプリッタ18に対して、第3の受光素子35と第4の受光素子36に受光される光束を分割する第2の偏光ビームスプリッタ19を45度傾けて配置している。このため、第3の受光素子35と第4の受光素子36において得られる信号は、第1の受光素子33と第2の受光素子34において得られる信号に対し、90度位相がずれている。
したがって、例えば第1の受光素子33と第2の受光素子34で得られる信号をsin信号、第3の受光素子35と第4の受光素子36において得られる信号をcos信号として用いることによりリサージュ信号を取得することができる。
これらの受光素子によって得られる信号は、相対位置情報出力手段10によって演算され、被測定面の変位量がカウントされる。
図4に示すように、例えば、本例の相対位置情報出力手段10では、まず、第1の受光素子33と第2の受光素子34で得られた位相が互いに180度異なる信号を第1の差動増幅器61aによって差動増幅し、干渉信号の直流成分をキャンセルする。
そして、この信号は、第1のA/D変換器62aによってA/D変換され、波形補正処理部63によって信号振幅とオフセットと位相が補正される。この信号は、例えばA相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64において演算される。
また同様に、第3の受光素子35及び第4の受光素子36で得られた信号は、第2の差動増幅器61bによって差動増幅され、第2のA/D変換器62bによってA/D変換される。そして、波形補正処理部63により信号振幅とオフセットと位相とが補正され、A相と位相が90度異なるB相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64から出力される。
こうして得られた2相のインクリメンタル信号は、図示しないパルス弁別回路等により正逆の判別が行われ、これにより、被測定部材9の高さ方向の変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出できる。
また、図示しないカウンタによってインクリメンタル信号のパルス数をカウントすることにより、第1の光束L1と第2の光束L2の干渉光強度が上述の周期の何周期分変化したのかを計測できる。これにより、被測定部材9の変位量が検出される。
なお、本例の相対位置情報出力手段10の出力する相対位置情報は、上述の2相のインクリメンタル信号であってもよいし、それから算出された変位量、変位方向を含む信号であってもよい。
2.被測定部材の構成例
次に、図5を参照して被測定部材の構成例及び変形例について説明する。
図5は被測定部材を示す断面図である。
一般に光源2からの光を反射させる被測定部材9としては、ミラー等が用いられる。図5に示すように、被測定部材9は、基板9bと、基板9b上に積層された反射膜9aとを有している。この反射膜9aは、極めて平坦に加工されている。また、表面を平坦化することで、より正確な高さ方向の変位を検出することが可能となる。さらに、反射膜9aは、光源2の波長を含む特定の波長のみを反射するようにしてもよい。
3.変位検出装置の第2の実施の形態例
次に、図6を参照して本発明の第2の実施の形態例について説明する。
図6は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、第2のミラー104を設けて第1の光束L1及び第2の光束L2を2回回折した点である。そのため、ここでは、第2のミラー104について説明し、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図6に示すように、変位検出装置101は、回折格子4と対向して第2のミラー104が配置されている。そして、回折格子4によって一回回折された第1の光束L1及び第2の光束L2は、第2のミラー104に照射される。そして、第2のミラー104は、一回回折された第1の光束L1及び第2の光束L2を、一回目の回折位置を同じポイントに向けて反射させる。すなわち、回折格子4の格子ピッチΛは、被測定面への入射角をθ、光の波長をλとすると、次の式2を満たす値に設定される。
[式2]
Λ=λ/sin(π/2−θ)
そのため、第1の光束L1及び第2の光束L2は、回折格子4によって2回回折されて、被測定部材9またはミラー6に戻る。なお、第1の光束L1における光束分割部3から第2のミラー104までの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3から第2のミラー104までの光路長は、等しく設定されている。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置101によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101によれば、第1の光束L1及び第2の光束L2を2回回折しているため、得られる干渉信号はAcos(2Kx+δ)となる。
4.変位検出装置の第3の実施の形態例
次に、図7、図8及び図9を参照して本発明の変位検出装置の第3の実施の形態例について説明する。
図7は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。図8は、変位検出装置における絶対値用受光部に照射される照射像の例を示す説明図、図9は、絶対値用受光部によって検出された光量から得られる信号の特性を示す図である。
この第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201が、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、第2の集光レンズ202及び第3の集光レンズ203設けた点と、絶対位置検出を行う点である。そのため、ここでは、第2の集光レンズ202及び第3の集光レンズ203について説明し、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図7に示すように、第1の位相板12と被測定部材9の間には、第1の光束L1を集光する第2の集光レンズ202が設けられている。また、第2の位相板13とミラー6の間には、第2の光束L2を集光する第3の集光レンズ203が設けられている。そして、第2の集光レンズ202及び第3の集光レンズ203によって、第1の光束L1及び第2の光束L2を集光させて、回折格子4に収束する収束光とする。
これにより、被測定部材9の被測定面がチルトした(傾いた)際に生じる干渉信号の振幅の低下を抑制することができる。また、光束L2を被測定部材9上に集光させるなど、使用目的に応じて被測定部材9上に照射されるビーム径を調整してもよい。
また、回折格子4と対向するように絶対値用受光部37が配置されている。この絶対値用受光部37は、回折格子4に入射した第1の光束L1のうち回折格子面から反射した反射光を受光する。絶対値用受光部37は絶対位置情報出力手段40に接続されている。
図8に示すように、絶対値用受光部37は、第5の受光素子37Cと、第6の受光素子37Dとを有している。第5の受光素子37C及び第6の受光素子37Dは、被測定部材9が高さ方向に変位した際に、反射光が移動(シフト)する方向に沿って並べて配置されている。この第5の受光素子37C及び第6の受光素子37Dは、絶対位置情報出力手段40を構成する差動比較器38に接続されている。
そして、第5の受光素子37C及び第6の受光素子37Dは、検出した光を電気エネルギーに変換(光電変換)して出力信号を生成し、差動比較器38に出力する。
被測定部材9が高さ方向に変位すると、第1の光束L1の反射光は、例えば第5の受光素子37Cから第6の受光素子37Dにシフトする。そして、光電変換した信号を差動比較器38に通すと、図9に示すような信号出力の変化が得られる。この図9に示す信号出力の変化におけるゼロクロス位置を絶対位置として、相対位置情報と比較することで被測定部材9の絶対位置検出が可能となる。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置201によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
5.変位検出装置の第4の実施の形態例
次に、図10を参照して本発明の変位検出装置の第4の実施の形態例について説明する。
図10は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301が、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、光源2及び受光素子33〜36を光ファイバによって他の部材から切り離した点である。そのため、ここでは、光ファイバについて説明し、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図10に示すように、光源2とレンズ11の間には、供給用光ファイバ302が配置されている。この供給用光ファイバ302は、変位検出装置301の外部に配置された光源2から光をレンズ11に供給するものである。
また、第1の受光素子33及び第2の受光素子34には、それぞれ第1の偏光ビームスプリッタ18から第1の受光用光ファイバ303及び第2の受光用光ファイバ304を介して光が供給される。さらに、また、第3の受光素子35及び第4の受光素子36には、それぞれ第2の偏光ビームスプリッタ19から第3の受光用光ファイバ305及び第4の受光用光ファイバ306を介して光が供給される。
これにより、熱源となる光源2を他の部材から離すことができる。また、変位検出装置301から離れた場所で、光源2や第1〜第4の受光素子33〜36のメンテナンスが可能となり、作業性が向上する。
さらに、熱源を切り離すことで、変位検出装置の温度上昇を控え、安定した計測が可能になる。また、第1〜第4の受光素子33〜36を相対位置情報出力手段10に近づけることで、電気的な外来ノイズの影響を少なくでき、光ファイバで伝送することで、応答スピードも上げることができる。これらの効果から目的に応じて光源2のみを光ファイバによって他の部材から切り離しても良いし、受光素子33〜33のみを光ファイバによって他の部材から切り離しても良い。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置301によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
6.変位検出装置の第5の実施の形態例
次に、図11を参照して本発明の変位検出装置の第5の実施の形態例について説明する。
図11は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
この第5の実施の形態例にかかる変位検出装置401が、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、回折格子と反射部を一体に構成した点である。そのため、ここでは、回折格子について説明し、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図11に示すように、この第5の実施の形態例にかかる変位検出装置401では、光束分割部3によって分割された第2の光束L2を直接回折格子404に照射している。そして、回折格子404は、光束分割部3によって分割された第2の光束L2を光束分割部3に反射する。すなわち、この第5の実施の形態例に示す回折格子404は、第2の光束L2を反射させる反射部としての役割も有している。
なお、第1の光束L1における光束分割部3から回折格子404までの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3から回折格子404までの光路長は、等しく設定されている。
この第5の実施の形態例にかかる変位検出装置401では、回折格子404が第1の光束L1の回折と、第2の光束L2の反射させる反射部の両方の役割を有するため、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1よりもミラー6の部品を削除することができる。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置401によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
7.変位検出装置の第6の実施の形態例
次に、図12を参照して本発明の変位検出装置の第6の実施の形態例について説明する。
図12は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
この第6の実施の形態例にかかる変位検出装置501が、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、反射部の一例を示すミラーの構成である。そのため、ここでは、ミラーについて説明し、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図12に示すように、反射部の一例を示すミラー506は、光束分割部3によって分割された第2の光束L2を回折格子4に反射させることなく、再び光束分割部3に反射させている。また、第1の光束L1における光束分割部3から回折格子4までの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3からミラー506までの光路長が等しくなるようにミラー506が配置されている。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置501によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
8.変位検出装置の第7の実施の形態例
次に、図13を参照して本発明の第7の実施の形態例について説明する。
図13は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
この第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600は、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1を2台対称に配置したものである。
図13に示すように、変位検出装置600は、第1の変位検出部601Aと、第2の変位検出部601Bと、平均演算器602とを有している。第1の変位検出部601A及び第2の変位検出部601Bは、それぞれ第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同一の構成を有している。そのため、ここでは、第1の変位検出部601Aを構成する構成要素は、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1の構成要素の符号にAを付し、第2の変位検出部601Bを構成する構成要素は、変位検出装置1の構成要素の符号にBを付して示す。
第1の変位検出部601Aは、被測定部材9の被測定面の任意の第1の照射スポットPa1に第1の光束L1Aを照射する。第2の変位検出部601Bは、被測定部材9の被測定面における第1の照射スポットPa1とは異なる任意の第2の照射スポットPb1に第1の光束L1Bを照射する。そして、この変位検出装置600は、第1の照射スポットPa1と第2の照射スポットPb1の間の中心位置を仮想ポイントPとして検出する。
また、平均演算器602は、第1の変位検出部601Aの第1の相対位置情報出力手段10A及び第2の変位検出部601Bの第2の相対位置情報出力手段10Bに接続されている。第1の相対位置情報出力手段10Aは、第1の相対位置情報を算出し、平均演算器602に出力する。同様に、第2の相対位置情報出力手段10Bは、第2の相対位置情報を算出し、平均演算器602に出力する。そして、この平均演算器602は、出力された第1の相対位置情報と第2の相対位置情報の平均値が求め、仮想ポイントPの相対位置情報として出力する。
この第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600では、被測定部材9が高さ方向に変位しても第1の照射スポットPa1と第2の照射スポットPb1の間の中心位置を仮想ポイントPは、ずれない。そのため、被測定部材9の被測定面に対して常に同じ場所を検出することができる。その結果、被測定部材9の被測定面がチルトしても、2点の平均値を算出することで被測定面のチルトを打ち消すことができる。
また、この第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600では、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1を2台配置した例を説明したが、これに限定されるものではなく、3台以上配置してもよい。例えば、3台以上の変位検出部を、仮想ポイントPを中心に放射状から放射状に配置し、その中心位置である仮想ポイントPの高さ方向の変位を平均して求めてもよい。あるいは、3台以上の変位検出部から得られる被測定部材9の被測定面の変位情報をそれぞれ個別に計算し、被測定部材9の被測定面のチルト情報(傾き)を求めてもよい。
9.変位検出装置の第8の実施の形態例
次に、第8の実施の形態例にかかる変位検出装置について図14A,図14Bを参照して説明する。
図14A及び図14Bは、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
この第8の実施の形態例にかかる変位検出装置700は、第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600における第1の変位検出部601A及び第2の変位検出部601Bの光束分割部3A,3B、反射部であるミラー6A,6B及び光源2A,2Bを一体にしたものである。
図14Aに示すように、光源2から照射された光は、レンズ711によって平行光にコリメートされる。そして、平行光にコリメートされた光は、プレビームスプリッタ721によって、第1の光LAと第2の光LBに分割される。第1の光LAは、第1の反射ミラー722によって反射されて、光束分割部703に入射する。また、第2の光LBは、第2の反射ミラー723によって反射されて、光束分割部703に入射する。
図14Bに示すように、変位検出装置700は、光束分割部703と、4つの位相体712A,713A,712B,713Bと、第1の回折格子704Aと、第2の回折格子704Bと、ミラー706と、第1の受光部708Aと、第2の受光部708Bとを有している。また、変位検出装置700は、第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600と同様に、第1の相対位置情報出力手段10Aと、第2の相対位置情報出力手段10Bと、平均演算器702を有している。
光束分割部703は、第1の光LAを、物体光である第1の光束L1Aと、参照光である第2の光束L2Aに分割する。また、光束分割部703は、第2の光LBを、物体光である第1の光束L1Bと、参照光である第2の光束L2Bに分割する。
第1の光LAを分割した光である第1の光束L1Aは、第1の位相板712Aを透過して被測定部材9の第1の照射スポットPa1に照射される。そして、第1の光束L1Aは、被測定部材9に反射されて第1の回折格子704Aに照射される。これに対し、第2の光LBを分割した光である第1の光束L1Bは、第3の位相板712Bを透過して被測定部材9の第2の照射スポットPb1に照射される。そして、第1の光束L1Aは、被測定部材9に反射されて第2の回折格子704Bに照射される。
さらに、第1の光LAを分割した光である第2の光束L2Aは、第2の位相板713Aを透過してミラー706に照射される。そして、ミラー706に反射された第2の光束L2Aは、第1の回折格子704Aに入射する。また、第2の光LBを分割した光である第2の光束L2Bは、第4の位相板713Bを透過してミラー706に照射される。そして、ミラー706に反射された第2の光束L2Bは、第2の回折格子704Bに入射する。
そして、第1の受光部708Aには、第1の光LAを分割した2つの光である第1の光束L1A及び第2の光束L2Aが入射される。第2の受光部708Bには、第2の光LBを分割した2つの光である第1の光束L1B及び第2の光束L2Bが入射される。
その他の構成は、第7の実施の形態にかかる変位検出装置600と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置700によっても、上述した第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600と同様の作用効果を得ることができる。
また、この第8の実施の形態例にかかる変位検出装置700によれば、光源2を共有とすることで、光源2の劣化による波長の変動等の影響も、平均演算器702によってキャンセルすることができる。
次に、複数の変位検出部を有する変位検出装置における光の分配方法について図15を参照して説明する。
図15は、複数の変位検出部を有する変位検出装置における光源周りの概略構成図である。
図15に示すように、光源2から照射された光をレンズ801によって平行光にコリメートする。そして、複数のビームスプリッタ802,803,804を設ける。そして、光源2から照射された光を複数のビームスプリッタ802,803,804によって、第1の光LA、第2の光LB、第3の光LC、第4の光LDに分割する。第1の光LAは、集光レンズ806に集光されて第1の光ファイバ811に照射される。第2の光LB,第3の光LC,第4の光LDも同様に、集光レンズ807,808,809に集光されて、各光ファイバ812,813,814に照射される。
このように、一つの光源2を複数に分岐させ、光ファイバ811,812,813,814を介して各変位検出部に供給することで、光源2の温度変化や長期的な特性の変化もそれぞれの変位検出部が共有することができる。これにより、変位検出部を多数設けても各変位検出部の個体差を無くすことが可能となる。
10.変位検出装置の第9の実施の形態例
次に、第9に実施の形態例にかかる変位検出装置について図16〜図18を参照して説明する。
図16は、第9の実施の形態例の構成を示す概略構成図、図17は、第9の実施の形態例にかかる要部を示す説明図、図18は、第9の実施の形態例にかかる回折格子を示す図である。
第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1では反射型の回折格子4を用いたのに対し、この第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001では、透過型の回折格子を用いている。そのため、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図16に示すように、変位検出装置1001は、光源2と、光束分割部3と、透過型の回折格子1004と、ミラー6と、受光部8と、相対位置情報出力手段10と、戻り用反射部である戻り用反射ミラー1005とを備えている。また、光束分割部3と被測定部材9との間には、第1の位相板12が配置されており、光束分割部3とミラー6との間には、第2の位相板13が配置されている。
光源2から出射された光は、光束分割部3によって第1の光束L1と第2の光束L2に分割される。そして、第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第1の照射スポットPc1に入射する。被測定部材9は、第1の照射スポットPc1に入射した第1の光束L1を回折格子1004に反射させる。
さらに、被測定部材9と対向する位置には、ミラー6が配置されている。ミラー6には、光束分割部3によって分割された第2の光束L2が照射される。第2の光束L2は、ミラー6の反射面における反射側第1の照射スポットSc1に入射する。ミラー6は、被測定部材9と同様に、入射した第2の光束L2を回折格子1004に反射させる。
回折格子1004は、入射した光を透過させ、かつ回折する透過型の回折格子である。この回折格子1004を透過し、かつ1回回折された第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第1の照射スポットPc1と異なる第2の照射スポットPd1に入射する。また、被測定部材9は、回折格子1004によって1回回折され、かつ第2の照射スポットPd1に入射した第1の光束L1を戻り用反射ミラー1005に反射させる。
同様に、回折格子1004を透過し、かつ1回回折された第2の光束L2は、ミラー6の反射面における反射側第1の照射スポットSc1と異なる反射側第2の照射スポットSd1に入射する。そして、ミラー6は、回折格子1004によって1回回折され、かつ反射側第2の照射スポットSd1に入射した第2の光束L2を戻り用反射ミラー1005に反射させる。
また、回折格子1004は、第1の実施の形態例にかかる回折格子4と同様に、被測定部材9の被測定面に対して略直角、すなわち回折格子1004の回折面と被測定部材9の被測定面で形成される角度がほぼ90°となるように配置されている。
戻り用反射ミラー1005は、第1の反射面1005aと第2の反射面1005bとを有する略三角形状のミラーである。第1の反射面1005aには、被測定部材9から反射された第1の光束L1が入射し、第2の反射面1005bには、ミラー6から反射された第2の光束L2が入射する。戻り用反射ミラー1005は、第1の光束L1及び第2の光束L2を入射したときと同じ光路で被測定部材9及びミラー6に戻す。
この戻り用反射ミラー1005は、第1の光束L1の光路長と、第2の光束L2の光路長が等しくなるように配置される。戻り用反射ミラー1005を設けたことで、変位検出装置1を製造する際に、第1の光束L1の光路長と第2の光束L2の光路長や光軸の角度を調整し易くすることができる。その結果、気圧や湿度や温度の変化による光源2の波長変動の影響を受けにくくすることができる。
また、戻り用反射ミラー1005によって被測定部材9に戻された第1の光束L1は、被測定部材9の第2の照射スポットPb1を反射して、再び回折格子1004に入射する。そして、第1の光束L1は、回折格子1004によって2回目の回折が行われる。2回目の回折が行われた第1の光束L1は、被測定部材9に反射されて、光束分割部3に戻る。なお、第2の光束L2も第1の光束L1と同様に、回折格子1004及びミラー6を介して光束分割部3に戻る。
第1の位相板12を光束分割部3と被測定部材9との間に配置し、第2の位相板13を光束分割部3とミラー6との間に配置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の位相板12を戻り用反射ミラー1005の第1の反射面1005aに設け、第2の位相板13を戻り用反射ミラー1005の第2の反射面1005bに設けてもよい。
ここで、図17を参照して、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001の要部について説明する。
図17に示すように、回折格子1004は、被測定部材9に対して略垂直に配置されている。そのため、被測定部材9の第1の照射スポットPc1に入射角θ1で入射した第1の光束L1は、回折格子1004に対して入射角π/2−θ1で入射する。さらに、第1の光束L1は、被測定部材9の第2の照射スポットPd1に入射角θ2で入射する。
また、回折格子1004の格子ピッチΛは、回折角が回折格子4への入射角とほぼ等しくなるように設定されることが好ましい。すなわち、回折格子1004の格子ピッチΛは、上述したように被測定部材9への一回目の入射角をθ1、二回目の入射角をθ2、波長をλとすると、次の式3を満たす。
[式3]
Λ=nλ/(sin(π/2−θ1)+sin(π/2−θ2))
なお、nは、正の次数である。
回折格子1004への入射角と回折角が等しくなる場合、第1の照射スポットPc1と第2の照射スポットPd1は、回折格子1004に対して対称に構成することができる。そして、式3は、次の式4と示すことができる。
[式4]
2Λsinθ=nλ
なお、θは、回折格子1004への入射角及び回折角である。
すなわち、ブラッグ条件を満たすことができ、回折格子1004によって回折される回折光を強めることが可能となる。
また、角度θ2で被測定部材9に入射した第1の光束L1は、上述したように、被測定部材9により反射され、戻り用反射ミラー1005に入射する(図16参照)。そして、戻り用反射ミラー1005の第1の反射面1005aで反射されて、行きと同じ光路をたどり、再び被測定部材9の第2の照射スポットPd1に入射角θ2で入射される。
さらに、被測定部材9によって反射した第1の光束L1は、回折格子4に角度π/2−θ2で再び入射する。なお、第1の光束L1における2回目の回折は、式2の条件により回折角π/2−θ1で回折される。そして、回折格子1004によって回折された第1の光束L1は、再び被測定部材9の第1の照射スポットPc1に入射角θ1で入射される。そのため、被測定部材9によって反射された戻りの第1の光束L1の光路が、光束分割部3によって分割された行きの第1の光束L1の光路と重なり合う。
また、図17に示すように、被測定部材9が高さ方向にx/2だけ移動すると、被測定部材9の測定面に照射される第1の光束L1は、第1の照射スポットPc1から第1の照射スポットPc2に移動する。また、被測定部材9の第1の照射スポットPc1,Pc2に反射された第1の光束L1は、回折格子1004の回折位置T1から回折位置T2に移動する。さらに、回折格子1004によって1回目の回折が行われた第1の光束L1は、被測定部材9の第2の照射スポットPd1から第2の照射スポットPd2に移動する。
ここで、回折格子1004は、被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されているため、回折位置T1と回折位置T2の間隔は、第1の照射スポットPc1と第1の照射スポットPc2の間隔の2倍のxとなる。すなわち、回折格子1004上を移動する第1の光束L1の移動量は、被測定部材9を移動した際の2倍のxとなる。
また、回折格子1004が被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されているため、第1の光束L1の光路長は、被測定部材9が高さ方向に変位しても、常に一定となる。すなわち、第1の光束L1の波長は、変化しない。そして、被測定部材9が高さ方向に変位すると、回折格子1004に入射する位置だけが変化する。
なお、ミラー6に照射された第2の光束L2においても、第1の光束L1と同様であるため、その説明は省略する。
この第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001によれば、第1の光束L1を2回回折している。そのため、2回回折された第1の光束L1には、2Kxの位相が加わる。Kは、2π/Λで示される波数である。また、xは、回折格子4上における第1の光束L1の移動量を示している。つまり、被測定部材9が高さ方向に対してx/2だけ移動すると、第1の光束L1は回折格子4上では2倍のxだけ移動する。さらに、2回回折することで、第1の光束L1には、2Kxの位相が加わり、2周期分の光の明暗が生じる干渉光が受光部8によって受光される。
すなわち、第1の受光素子33と第2の受光素子34では、Acos(2Kx+δ)の干渉信号を得ることができる。また、第3の受光素子35と第4の受光素子36では、Acos(2Kx+δ’)の干渉信号を得ることができる。
よって、この第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001によれば、回折格子1004の格子ピッチと第1の実施の形態例にかかる回折格子4の格子ピッチが同じ場合、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1よりも2倍の分解能とすることができる。
例えば、回折格子1004の格子ピッチΛを0.5515μm、波長λを780nm、回折格子1004の入射角及び回折角を45°に設定したとき、被測定部材9が高さ方向に0.5515μm移動する例について説明する。
被測定部材9が高さ方向に0.5515μm移動すると、第1の光束L1は、回折格子1004上を0.5515μmの2倍、すなわち2ピッチ分移動する。さらに、第1の光束L1は、2回回折されるため、4回の光の明暗を受光部8によって得ることができる。すなわち、得られる信号の1周期は、0.5515μm/4=0.1379μmとなる。
また、この第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001によれば、一台の光学系で第1の光束L1を被測定部材9の第1の照射スポットPc1と、第2の照射スポットPd1の2箇所に照射している。これにより、1台の光学系で、第7の実施の形態例にかかる変位検出装置600及び第8の実施の形態例にかかる変位検出装置700と同様に、測定ポイントをキャンセルすることができる。
さらに、上述したような構成にすることで、被測定部材9の被測定面がチルトしても、第1の照射スポットPc1に照射するときと第2の照射スポットPd1に照射するときによってチルトを打ち消すことができる。そのため、第1の光束L1の光路長に変化が生じ難くなり、第1の光束L1の光路長と、第2の光束L2の光路長との差を小さくすることができる。
次に、図18を参照してこの第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001に用いられる回折格子の例について説明する。
図18Aは、回折格子の一例を示す断面図、図18Bは、回折格子の他の例を示す断面図である。
図18Aに示す回折格子1004Aは、略透明なガラス基板1004aの一面に例えばクロム(Cr)からなる格子部1004bを形成したものである。一般的に、格子部1004bは、ガラス基板1004aの一面にクロム等の薄膜を真空蒸着によって形成されるため、その厚みは、1μm以下である。
図18Bに示す回折格子1004Bは、写真乾板を用いた、いわゆるホログラムである。吸収型のホログラムを用いてもよいが、ここでは位相型のホログラムについて説明する。この回折格子1004Bにおける格子部1004cは、例えば次のようにして形成される。まず、ガラス基板1004aの一面に光に感光する銀塩の乳剤を塗布し、干渉縞を露光し、現像後、漂白する。これにより、格子部1004cには、銀の粒子が残っている箇所1004dと、残っていない箇所1004eが形成される。ここで、銀の粒子が残っている箇所1004dは、屈折率が高く、銀の粒子が残っていない箇所1004eは、屈折率が低くなる。すなわち、位相型のホログラムである。また、材料として写真乾板の代わりにホログラム記録用フォトポリマーを使用してもよい。
このような構成を有する回折格子1004Bの場合、所定の角度(入射角)θaで光が入射すると、所定の角度(回折角)θbで光が出力(回折)される。さらに、式3に示すブラッグ条件を満たすときに、回折格子1004Bによって回折される回折光の出力を最大にすることができる。すなわち、回折格子1004Bによって回折された回折光の光量が低下することを防ぐことができる。
また、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001のように複数回回折を行い、入射角と回折角を等しくしたい場合では、回折効率のよい図18Bに示す回折格子1004Bを用いることが好適である。
この回折格子1004Bの格子部1004cの厚みN1は、格子ピッチΛの4倍以上が好ましい。しかしながら、光が格子部1004cで吸収されることを考慮すると、格子部1004cの厚みN1は、格子ピッチΛの約4〜20倍程度に設定することが好ましい。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置1001によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
11.変位検出装置の第10の実施の形態例
次に、図19を参照して本発明の変位検出装置の第10の実施の形態例について説明する。
図19は、第10の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図19に示すように、第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201は、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様に、透過型の回折格子1004を用いたものである。また、この第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201が、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と異なる点は、第1の光束L1及び第2の光束L2を行きの光路に戻さない点である。そのため、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図19に示すように、第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201には、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001のように戻り用反射部である戻り用反射ミラー1005が設けられていない。そのため、回折格子1004によって一回回折された第1の光束L1は、被測定部材9に反射されて光束結合部1016に入射される。また、回折格子1004によって一回回折された第2の光束L2は、ミラー6に反射されて光束結合部1016に入射される。
光束結合部1016は、例えばハーフミラーやビームスプリッタから構成される。この光束結合部1016は、第1の光束L1及び第2の光束L2を重ね合わせると共に、重ね合わせた光束を2つに分配する。光束結合部1016によって分配された光束は、集光レンズ14によって集光されて、第1の偏光ビームスプリッタ18または第2の偏光ビームスプリッタ19に入射する。
ここで、第1の光束L1における光束分割部3から光束結合部1016までの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3から光束結合部1016までの光路長は、略等しく設定されている。そのため、この第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201においても他の実施の形態例にかかる変位検出装置と同様に、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長変動があったとしても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。その結果、気圧補正や湿度補正、温度補正を行う必要がなく、周囲環境に関わらず安定した測定を行うことができる。
また、光束結合部1016と被測定部材9との間には、第1の位相板12が配置されており、光束結合部1016とミラー6との間には、第2の位相板13が配置されている。そして、第1の光束L1は、第1の位相板12によって円偏光となる。また、第2の光束L2は、第2の位相板13によって第1の光束L1と反対周りの円偏光となる。
なお、この第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201では、第1の光束L1及び第2の光束L2は、回折格子1004によって一回だけ回折される。そのため、2回回折する第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と異なり、被測定部材9が高さ方向に対してx/2だけ移動すると、第1の光束L1には、Kxの位相が加わる。
また、この第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201では、第1の光束L1及び第2の光束L2を被測定部材9やミラー6を介して光束分割部3に戻していない。そのため、第1の光束L1および第2の光束L2が戻る際の偏光方向を考慮する必要がない。その結果、光束分割部3によって分割され被測定部材9に入射される第1の光束L1の偏光方向を被測定部材9の状況に応じて自由に設定することができる。
すなわち、後述するように、被測定部材9として回折格子スケールを適用し、変位検出装置1201と他の変位検出装置と組み合わせた際に、被測定部材9に光を入射するときの偏光方向を目的に応じて変えることができる。
さらに、この第10の実施の形態例にかかる変位検出装置1201では、被測定部材9の被測定面と対向するように遮光板1018が設けられている。この遮光板1018を設けることにより、被測定部材9が回折格子スケールであった場合、被測定部材9で回折した特定の回折光が変位検出装置1201内に迷光として入ることを防ぐことができる。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置1201によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様の作用効果を得ることができる。
12.変位検出装置の第11の実施の形態例
次に、図20を参照して本発明の変位検出装置の第11の実施の形態例について説明する。
図20は、第11の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図20に示すように、第11の実施の形態例にかかる変位検出装置1301は、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様に、透過型の回折格子1004を用いたものである。また、この第11の実施の形態例にかかる変位検出装置1301が、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と異なる点は、複数の補助ミラーを設けた点である。そのため、ここでは、複数の補助ミラーについて説明し、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図20に示すように、回折格子1004と被測定部材9との間には、第1の補助ミラー1021と、第2の補助ミラー1022が配置されている。また、回折格子1004とミラー6との間には、第3の補助ミラー1023と、第4の補助ミラー1024が配置されている。
第1の補助ミラー1021と第2の補助ミラー1022の反射面が互いに対向しており、また第3の補助ミラー1023と第4の補助ミラー1024の反射面が互いに対向している。さらに、第1の補助ミラー1021の反射面と第3の補助ミラー1023の反射面は、略同一平面上に配置され、第2の補助ミラー1022の反射面と第4の補助ミラー1024は、略同一平面上に配置されている。
第1の補助ミラー1021は、被測定部材9の第1の照射スポットPc1によって反射された第1の光束L1を反射し、回折格子1004に入射させる。また、第1の補助ミラー1021は、回折格子1004から戻った第1の光束L1を反射し、被測定部材9に入射させている。第2の補助ミラー1022は、回折格子1004によって一回目の回折が行われた第1の光束L1を反射し、被測定部材9の第2の照射スポットPd1に入射させる。そして、第2の補助ミラー1022は、被測定部材9から戻った第1の光束L1を反射させて、回折格子1004に入射させている。
第3の補助ミラー1023は、ミラー6の反射側第1の照射スポットSc1によって反射された第2の光束L2を反射して回折格子1004に入射させるものである。そして、第3の補助ミラー1023は、回折格子1004から戻った第2の光束L2をミラー6へ反射させる。第4の補助ミラー1024は、回折格子1004によって一回目の回折が行われた第2の光束L2をミラー6の反射側第2の照射スポットSd1に反射させる。また、第4の補助ミラー1024は、ミラー6の反射側第2の照射スポットSd1から戻った第2の光束L2を回折格子1004側に反射させる。
すなわち、第11の実施の形態例にかかる変位検出装置1301では、第1の光束L1を第1及び第2の補助ミラー1021,1022を介して被測定部材9から回折格子1004へ、または回折格子1004から被測定部材9へ入射させている。また、第2の光束L2を第3及び第4の補助ミラー1023,1024を介してミラー6から回折格子1004へ、または回折格子1004からミラー6へ入射させている。
そのため、第1及び第2の補助ミラー1021,1022の位置を調整することで、第1の光束L1における被測定部材9に入射する第1の照射スポットPc1と第2の照射スポットPd1の間隔Qを目的に応じて変化させることができる。なお、ミラー6の反射側第1の照射スポットSc1と反射側第2の照射スポットSd1の間隔も、第3及び第4の補助ミラー1023,1024の位置を調整することで、種々に調整することができる。
そのため、第1の照射スポットPc1と第2の照射スポットPd1の間隔Qを小さくすることができ、被測定部材9がチルトすることで生じる第1の照射スポットPc1と第2の照射スポットPd1の光路長差をより少なくすることができる。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置1301によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様の作用効果を得ることができる。
13.変位検出装置の第12の実施の形態例
次に、図21を参照して本発明の変位検出装置の第12の実施の形態例について説明する。
図21は、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図21に示すように、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401は、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様に、透過型の回折格子を用いたものである。また、この第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401が、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と異なる点は、回折格子を複数設けた点である。そのため、ここでは、回折格子周りの構成について説明し、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図21に示すように、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401は、被測定部材9とミラー6との間に、第1の回折格子1004と、第2の回折格子1044と、戻り用反射ミラー1005と、中間ミラー1042が配置されている。第1の回折格子1004は、第9の実施の形態例にかかる回折格子1004と同様の構成を有しているため、その説明は、省略する。
第2の回折格子1044は、第1の回折格子1004と戻り用反射ミラー1005との間に設けられている。また、第2の回折格子1044は、第1の回折格子1004と同様に、被測定部材9の被測定面に対して略直角、すなわち第2の回折格子1044の回折面と被測定部材9の被測定面で形成される角度がほぼ90°となるように配置されている。さらに、第2の回折格子1044は、ミラー6の反射面に対して略直角に配置されている。
この第2の回折格子1044と第1の回折格子1004の間には、中間ミラー1042が設けられている。中間ミラー1042は、両面に反射面を有している。中間ミラー1042は、その反射面が被測定部材の被測定面及びミラー6の反射面と略平行となるように配置されている。
この第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401では、第1の回折格子1004を透過し、かつ1回回折された第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第2の照射スポットPd1に入射する。そして、第2の照射スポットPd1に入射した第1の光束L1は、被測定部材9によって中間ミラー1042に反射される。
中間ミラー1042に反射された第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第3の照射スポットPe1に入射する。被測定部材9は、第3の照射スポットPe1に入射した第1の光束L1を第2の回折格子1044に反射させる。そして、第2の回折格子1044は、第1の回折格子1004と同様に、入射した光を透過させ、かつ回折する透過型の回折格子である。また、第2の回折格子1044は、第1の回折格子1004と同じ格子ピッチΛを有している。
そのため、第1の光束L1が第2の回折格子1044を透過することで、第1の光束L1は、2回目の回折が行われる。2回回折された第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第4の照射スポットPf1に入射し、被測定部材9によって戻り用反射ミラー1005の第1の反射面1005aに反射する。
そして、戻り用反射ミラー1005に入射した第1の光束L1は、第1の反射面1005aで反射されて、行きと同じ光路をたどり、第2の回折格子1044によって3回目の回折が行われる。3回目の回折が行われた第1の光束L1は、被測定部材9及び中間ミラー1042によって反射されて、第1の回折格子1004に入射する。そして、第1の回折格子1004によって、第1の光束L1は、4回目の回折が行われる。4回目の回折が行われた第1の光束L1は、被測定部材9に反射されて、光束分割部3に戻る。
なお、第1の回折格子1004を透過した第2の光束L2は、第1の光束L1と同様に、被測定部材9の反射側第3の照射スポットSe1及び反射側第4の照射スポットSf1で反射され、かつ中間ミラー1042及び第2の回折格子1044を経て、戻り用反射ミラー1005の第2の反射面1005bに入射する。そして、戻り用反射ミラー1005に反射されて、第2の回折格子1044、中間ミラー1042及び第1の回折格子1004を経て光束分割部3に戻る。
また、この第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401においても、第1の光束L1の光路長と第2の光束L2の光路長が等しくなるように、第1の回折格子1004、中間ミラー1042、第2の回折格子1044及び戻り用反射ミラー1005が配置されている。
また、第2の回折格子1044は、第1の回折格子1004と同様に、被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されている。第1の光束L1の光路長は、被測定部材9が高さ方向に変位しても、常に一定となる。すなわち、第1の光束L1の波長は、変化しない。そして、被測定部材9が高さ方向に変位すると、第2の回折格子1044に入射する位置だけが変化する。
さらに、この第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401では、第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の回折格子1004及び第2の回折格子1044によって4回回折される。
ここで、被測定部材9が高さ方向に対してx/2だけ移動すると、第1の光束L1には、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001の2倍の4Kxの位相が加わる。すなわち、第1の受光素子33と第2の受光素子34では、Acos(4Kx+δ)の干渉信号を得ることができる。また、第3の受光素子35と第4の受光素子36では、Acos(4Kx+δ’)の干渉信号を得ることができる。その結果、この第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401によれば、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001よりも2倍の分解能を得ることができる。
なお、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401では、回折格子を2つ設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、第1の光束L1が通過する光束分割部から光束結合部までの間に、回折格子を3つ以上設けてもよい。
また、上述した第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401のように複数の回折格子を設けて複数回回折を行う場合、適用される回折格子としては、回折された回折光の光量の低下が少ない図18Bに示すような回折格子1004Bを用いることが好ましい。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置1401によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様の作用効果を得ることができる。
14.被測定部材の変形例
次に、図22A〜図23G、図24を参照して被測定部材の変形例について説明する。
図22A〜図23Gは被測定部材を示す断面図である。図24は、被測定部材を正面から見た平面図及び断面図である。
また、本例では、回折格子4に入射する第1の光束L1は、被測定部材9で反射された反射光、すなわち0次光である。回折格子4に入射する第1の光束L1には、被測定部材の格子ピッチの移動が加わることがない。よって、図22A〜図23G、図24に示すように、複数の格子9c、溝(スリット)d,d1,d2を有する被測定部材9A〜9G、109,209,309,409,509いわゆる回折格子スケールを用いてもよい。
図22Aに示す被測定部材9Aは、基板9bの上に波形の格子9cを設けたものである。そして、この格子9cの表面には、反射膜9aが形成されている。また、図22Bに示す被測定部材9Bは、基板9bの上に矩形の格子9c’を設けたものである。その他の構成は、図22Aに示す被測定部材9Aと同様であるため、その説明は、省略する。なお、図22A及び図22Bに示す被測定部材9A及び9Bは、格子9c,9c’を露出させたものである。
図22Cに示す被測定部材9Cは、図22Bに示す被測定部材9Bの反射膜9aの上に保護層9dを形成してものである。保護層9dによって反射膜9aを保護することで、取り扱い性を向上させることができる。
図22Dに示す被測定部材9Dは、図22Bに示す被測定部材9Bの反射膜9a上に接着層9dを介してカバーガラス9eを固定してものである。この被測定部材9Dによれば、カバーガラス9e保護層の役割を果たすことができる。また、被測定部材9Dの表面をカバーガラス9eによって平坦化することが可能となる。
また、図23Eに示す被測定部材9Eのように、図22Dに示す被測定部材9Dにおける接着層9dとカバーガラス9eとの間に、第2の反射膜9a’を介在させてもよい。この第2の反射膜9a’は、光源2の波長を含む特定の波長を反射させるものである。
なお、図23Fに示す被測定部材9Fのように、図22Dに示す被測定部材9Dにおけるカバーガラス9e上に第2の反射膜9a’を設けてもよい。この第2の反射膜9a’は、図23Eに示す被測定部材9Eの反射膜9a’と同一のものである。また、第2の反射膜9a’を反射防止膜にしてもよい。この場合、被測定面は、格子9’上に設けた第1の反射膜9aとなる。
さらに、図23Gに示す被測定部材9Gは、カバーガラス9eの代わりに透明の保護層9fを用いたものである。保護層9fとしては、樹脂からなる保護層を適用してもよいことは、もちろんである。また、第2の反射膜9a’を反射防止膜にしてもよい。この場合、被測定面は、格子9’上に設けた第1の反射膜9aとなる。
図24Aに示す被測定部材109は、被測定面と平行に一方向に等間隔にスリットdが形成されている。この被測定部材109では、リニアエンコーダによって1次元の計測を行うことができる。
図24Bに示す被測定部材209は、被測定面と平行に等間隔に形成された第1のスリットd1と、第1のスリットd1に対して角度θdで交わる第2のスリットd2が形成されている。第1のスリットd1の格子ピッチと、第2のスリットd2の格子ピッチは、同じ長さに設定してもよく、あるいは異なる長さでもよい。これの被測定部材209は、2つのリニアエンコーダによって2次元の計測を行うことができる。
図24Cに示す被測定部材309は、同心円上に略円弧状の第1のスリットd1が形成されると共に、放射状に第2のスリットd2が形成されている。この被測定部材309は、いわゆるロータリーエンコーダとして、回転移動する工作機械の可動部分等の位置検出を行うことができる。また、この被測定部材309によれば、角度情報を検出しながら、半径方向の偏心成分も計測することが可能である。さらに、被測定部材309Aのように、第1のスリットd1と、放射状の第2のスリットd2を重ね合わせてもよい。
図24Eに示す被測定部材409は、基板409bの一面に略円柱状に形成された複数の突起409aを設けたものである。この被測定部材409では、複数の突起409aの間に形成された隙間が格子スリットとなる。そして、2つの格子ベクトル方向が角度θeで交わっている。なお、突起409aの形状は、略円柱状に限定されるものではなく、四角錐台形状や直方体形状に形成してもよい。
図24Eに示す被測定部材409に対して図24Fに示す被測定部材509は、基板509bの一面に略円柱状に窪んだ複数の凹部509aを設けたものである。この被測定部材509では、複数の凹部509aの間に形成された隙間が格子スリットとなる。
15.変位検出装置の利用例
次に、上述した第1〜第12の実施の形態例にかかる変位検出装置の利用例について図25及び図26を参照して説明する。
図25は、第1の利用例について示す模式図である。図26は、第2の利用例について示す模式図である。
なお、図25及び図26に示す利用例における被測定部材9は、例えば上述した図23〜図24に示す回折格子スケールを用いたものである。
図25に示す利用例では、被測定部材9における被測定面と平行をなす第1の方向Xの変位検出するX軸用リニアエンコーダ901と、被測定部材9における被測定面と平行をなし、第1の方向Yと直交する第2の方向Yの変位を検出するY軸用リニアエンコーダ902が設けられている。また、被測定部材9の被測定面の高さ方向Zの検出するために上述した本例の変位検出装置1を設けている。
これにより、X軸用リニアエンコーダ901及びY軸用リニアエンコーダ902によって、被測定部材9のX軸Y軸の変位を計測し、本例の変位検出装置1によって被測定部材9の被測定面の高さ方向、すなわちZ軸の変位を検出することができる。これにより、3次元の計測が可能となる。
図26に示す利用例における被測定部材9Hは、Z軸を中心に回転するものである。そして、この利用例では、被測定部材9Hの角度情報を検出するロータリーエンコーダ903と、被測定部材9の高さ方向Zの検出するために上述した本例の変位検出装置1を設けている。この利用例では、被測定部材9Hの角度情報θと、Z軸の変位を検出することができ、3次元の計測が可能となる。
16.変位検出装置の更に他の実施の形態例
次に、本発明の変位検出装置の更に他の実施の形態例について図27〜図31を参照して説明する。
図27〜図31に示す変位検出装置1501〜1701は、間隔を空けて互いに対向する2つの反射面を有する部材の変位情報を検出する装置である。
16−1.変位検出装置の第13の実施の形態例
まず、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置について図27〜図29を参照して説明する。
図27は、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図、図28は、図27に示す変位検出装置の要部を示す説明図である。
図27に示すように、この第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501は、光学系ブロック1502と、被測定部材に装着される被測定ブロック1503とを有している。この変位検出装置1501は、光学系ブロック1502と、被測定ブロック1503との相対的な変位を検出することができる装置である。すなわち、この第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501によれば、被測定ブロック1503が被測定部材に相当する。
光学系ブロック1502は、光源2と、光束分割部3と、透過型の回折格子1004と、受光部8と、相対位置情報出力手段10と、戻り用反射ミラー1005とを備えている。この光学系ブロック1502は、第9の実施の形態例にかかる1001の光源2と、光束分割部3と、回折格子1004と、受光部8と、相対位置情報出力手段10と、戻り用反射ミラー1005と同様の構成を有している。
被測定ブロック1503は、略U字状に形成されている。この被測定ブロック1503は、第1反射片部1504と、第2反射片部1505と、接続片部1506とを有している。第1反射片部1504と第2反射片部1505は、互いに対向して配置される。そして、第1反射片部1504と第2反射片部1505は、一端側を接続片部1506によって接続されている。そのため、被測定ブロック1503が高さ方向に移動すると、第1反射片部1504及び第2反射片部1505も同じだけ移動する。
また、第1反射片部1504における第2反射片部1505と対向する一面は、光を反射する第1反射面1507となっている。同様に、第2反射片部1505における第1反射片部1504と対向する一面は、光を反射する第2反射面1508となっている。そして、第1反射片部1504の第1反射面1507と第2反射片部1505の第2反射面1508は、略平行に配置される。
そして、被測定ブロック1503における第1反射片部1504と、第2反射片部1505の間には、光学系ブロック1502における回折格子1004及び戻り用反射ミラー1005が設置された部分が挿入される。このとき、回折格子1004の一面、いわゆる回折面は、第1反射片部1504の第1反射面1507及び第2反射片部1505の第2反射面1508に対して略垂直に配置される。また、戻り用反射ミラー1005は、被測定ブロック1503における接続片部1506側に配置される。
その他の構成は、その他の構成は、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様であるため、それらの説明は省略する。
ここで、図28を参照して、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501の要部について説明する。
図28に示すように、被測定ブロック1503が高さ方向にx/2だけ移動すると、第1反射片部1504の第1反射面1507及び第2反射片部1505の第2反射面1508も高さ方向にx/2だけ移動する。
また、回折格子1004は、被測定ブロック1503の第1反射面1507及び第2反射面1508に対して略直角に配置されている。そのため、第1の光束L1及び第2の光束L2の光路長は、被測定ブロック1503が高さ方向に変位しても、常に一定となる。すなわち、第1の光束L1及び第2の光束L2の波長は、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様に、変化しない。そして、被測定ブロック1503が高さ方向に変位すると、回折格子1004に入射する第1の光束L1及び第2の光束L2の位置だけが変化する。
図17に示す第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様に、第1反射面1507及び第2反射面1508が高さ方向にx/2移動すると、回折格子1004上を移動する第1の光束L1及び第2の光束L2の移動量は、第1反射面1507及び第2反射面1508を移動した際の2倍のxとなる
そして、第1反射面1507に照射される第1の光束L1は、行きと戻りで回折格子1004を2回透過するため、2回回折される。そのため、第1の光束L1には、2Kxの位相が加わる。
また、第2反射面1508も第1反射面1507と同じ量だけ移動するため、第2反射面1508に照射される第2の光束L2は、第1の光束L1と同様に、回折格子1004に入射する位置が、第1の光束L1と同じ長さだけ変化する。
ここで、第1反射面1507は、回折格子1004にx/2だけ近づき、第2反射面1508は、回折格子1004にx/2だけ離れる。そのため、第2の光束L2は、回折格子1004を透過することで、第1の光束L1とは正負の異なる位相が加わる。そして、第2の光束L2も第1の光束L1と同様に、行きと戻りで回折格子1004を2回透過するため、2回回折される。これらにより、第2の光束L2には、−2Kxの位相が加わる。したがって、第1の光束L1と第2の光束L2の位相差は、4Kxとなる。
すなわち、第1の受光素子33と第2の受光素子34では、Acos(4Kx+δ)の干渉信号を得ることができる。また、第3の受光素子35と第4の受光素子36では、Acos(4Kx+δ’)の干渉信号を得ることができる。その結果、この第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501によれば、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001よりも2倍の分解能を得ることができる。
この変位検出装置1501においても、第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様に、例えば、回折格子1004の格子ピッチΛを0.5515μm、波長λを780nm、回折格子1004の入射角及び回折角を45°に設定する。そして、被測定ブロック1503が高さ方向に回折格子1004の格子ピッチΛ分、0.5515μm移動する例について説明する。
被測定ブロック1503が高さ方向に0.5515μm移動すると、第1の光束L1及び第2の光束L2は、回折格子1004上を0.5515μmの2倍、すなわち2ピッチ分移動する。さらに、第1の光束L1及び第2の光束L2は、2回回折される。また、第1の光束L1及び第2の光束L2には、正負の異なる位相が加わるため、第1の光束L1と第2の光束L2の位相差は、8Kxとなる。すなわち、得られる信号の1周期は、0.5515μm/8=0.0689μmとなる。
このような構成を有する変位検出装置1501によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第9の実施の形態例にかかる変位検出装置1001と同様の作用効果を得ることができる。
次に、図29を参照してこの第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501に用いられる被測定ブロックの例について説明する。
図29Aは、被測定ブロックの一例を示す平面図、図29Bは、被測定ブロックの他の例を示す平面図である。
図29Aに示す被測定ブロック1503Aは、第1反射面1507を有する第1反射ミラー1511と、第2反射面1508を有する第2反射ミラー1512とを有している。第1反射ミラー1511と第2反射ミラー1512は、接着剤を用いた接着や固定ねじを用いた締結固定等の固定方法によって接続片部1506に固定されている。そして、第1反射ミラー1511の第1反射面1507と第2反射ミラー1512の第2反射面1508は、略平行に対向している。
このような構成を有する被測定ブロック1503Aは、接続片部1506に2枚の反射ミラー1511,1512を取り付けただけの単純な構成を有しているため、ブロック全体を小型化することが容易にできる。
図29Aに被測定ブロック1503Bは、ブロック片1513に、矩形状に開口した溝1509を形成したものである。そして、ブロック片1513に形成した溝1509の一面1513aには、第1反射ミラー1511と固定され、一面1513aと対向する他面1513bには、第2反射ミラー1512が固定されている。
このような構成を有する被測定ブロック1503Bによれば、被測定部材に溝1509を設け、その溝1509内に2枚の反射ミラー1511,1512を設置することで形成することができる。
16−2.変位検出装置の第14の実施の形態例
次に、第14の実施の形態例にかかる変位検出装置について、図30を参照して説明する。
図30は、第14の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図30に示すように、この第14の実施の形態例にかかる変位検出装置1601は、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501と同様に、光学系ブロック1602と、被測定部材に装着される被測定ブロック1603とを有している。
光学系ブロック1602には、図1〜図14に示す第1〜第8の実施の形態例にかかる変位検出装置1,101,201,301,401,501,600,700と同様に反射型の回折格子4が用いられている。また、この光学系ブロック1602は、図10に示す第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301と同様に、レンズ11と、光束分割部3と、回折格子4と、受光部8を構成する第1の偏光ビームスプリッタ18及び第2の偏光ビームスプリッタ19とを有している。
レンズ11には、供給用光ファイバ302を介して光源2から光が照射される。第1の偏光ビームスプリッタ18によって分割された光は、第1の受光用光ファイバ303及び第2の受光用光ファイバ304を介して第1の受光素子33及び第2の受光素子34に供給される。また、第2の偏光ビームスプリッタ19によって分割された光は、第3の受光用光ファイバ305及び第4の受光用光ファイバ306を介して第3の受光素子35及び第4の受光素子36に供給される。
これにより、熱源となる光源2を光学系ブロック1602から離すことができる。また、光学系ブロック1602から離れた場所で、光源2や第1〜第4の受光素子33〜36のメンテナンスが可能となり、作業性が向上する。
さらに、熱源を切り離すことで、光学系ブロック1602の温度上昇を控え、安定した計測が可能になる。また、第1〜第4の受光素子33〜36を相対位置情報出力手段10に近づけることで、電気的な外来ノイズの影響を少なくでき、光ファイバで伝送することで、応答スピードも上げることができる。これらの効果から目的に応じて、第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301と同様に、光源2のみを光ファイバによって光学系ブロックから切り離しても良いし、受光素子33〜33のみを光ファイバによって光学系ブロックから切り離しても良い。
また、光学系ブロック1602の回折格子4の一面、いわゆる回折面が、被測定ブロック1603の第1反射面1607及び第2反射面1608に対して略垂直となるように、光学系ブロック1602に被測定ブロック1603が配置される。
そして、光束分割部3によって分割された第1の光束L1は、第1反射面1607によって反射されて、回折格子4に入射する。また、第2の光束L2も同様に、第2反射面1608によって反射された、回折格子4に入射する。
被測定ブロック1603が高さ方向に移動すると、第1反射片部1604及び第2反射片部1605も移動する。そのため、この第14の実施の形態例にかかる変位検出装置1601においても、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501と同様に、第1の光束L1と第2の光束L2にそれぞれ異なる正負の位相差が加わる。
その結果、この第14の実施の形態例にかかる変位検出装置1601によれば、回折格子4の格子ピッチが同じ場合、第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301よりも2倍の分解能とすることができる。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1や第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置1601によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501と同様の作用効果を得ることができる。
16−3.変位検出装置の第15の実施の形態例
次に、第15の実施の形態例にかかる変位検出装置について、図31を参照して説明する。
図31は、第15の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図31に示すように、この第15の実施の形態例にかかる変位検出装置1701は、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501と同様に、光学系ブロック1702と、被測定部材に装着される被測定ブロック1703とを有している。
光学系ブロック1702は、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401と同様に、光源2と、光束分割部3と、透過型の第1の回折格子1004及び第2の回折格子1044と、受光部8と、相対位置情報出力手段10と、戻り用反射ミラー1005と、中間ミラー1042とを有している。また、被測定ブロック1703は、光学系ブロック1702における第1の回折格子1004、中間ミラー1042、第2の回折格子1044及び戻り用反射ミラー1005を含む部分を間に挟む、第1反射片部1704と、第2反射片部1705とを有している。
その他の構成は、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401及び第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501と同様であるため、それらの説明は省略する。すなわち、この第15の実施の形態例にかかる変位検出装置1701は、第12の実施の形態例にかかる変位検出装置1401と第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1501を組み合わせたものである。
この第15の実施の形態例における第1の光束L1は、行きと戻りで第1の回折格子1004及び第2の回折格子1044により4回回折される。また、第2の光束L2も同様に、行きと戻りで第1の回折格子1004及び第2の回折格子1044により4回回折される。
そして、被測定ブロック1703が高さ方向にx/2だけ移動すると、第1の光束L1には、4Kxの位相が加わり、第2の光束L2には、第1の光束L1と正負の異なる−4Kxの位相が加わる。したがって、第1の光束L1と第2の光束L2の位相差は、8Kxとなる。
その結果、この第15の実施の形態例にかかる変位検出装置1701によれば、第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1401よりも2倍の分解能を得ることができる。
このような構成を有する変位検出装置1701によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第13の実施の形態例にかかる変位検出装置1401と同様の作用効果を得ることができる。
第13〜第15の実施の形態例にかかる変位検出装置1501、1601及び1701は、例えば光学系ブロックと被測定ブロックを板ばねによって連結することで、板ばね機構の変位を検出することができる。また、光学系ブロックと被測定ブロックをアクチュエータの内部に内臓することとで、アクチュエータの変位情報を検出することが可能となる。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、光源から照射される光は、気体中だけでなく、液体中又は真空中の空間を飛ばして光を供給するようにしてもよい。
また、反射部を示すミラー6を被測定部材9の移動に連動するように移動させてもよい。すなわち、被測定部材9における高さ方向の移動量と同じ移動量だけ反射部を示すミラー6を移動させる。これにより、第1〜第12の実施の形態例にかかる変位検出装置においても、第13〜第15の実施の形態例にかかる変位検出装置と同様に、第2の光束L2に第1の光束L1と正負の異なる位相を加えることができる。