JP5352646B2 - 高圧ポンプ - Google Patents
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Description
ところで、こうした高圧ポンプを組み立てる過程や、組み立てた高圧ポンプをエンジンに搭載する過程においては、シリンダ孔内に挿入したプランジャがそのシリンダ孔から落下しないようにする必要がある。
また、特許文献2には、プランジャ12の外向運動の範囲が舌片17と係合する円環23の形の受け台により制限され、それにより、搬送および関連のエンジンへの装置の組み立ての間中、プランジャ12が孔11から落下するのを防止する旨が記載されている(特許文献2の段落[0010]並びに図1及び図2を参照)。
このため、ピストン36の段48がストッパ78に当接する際に、ピストン36の露出した摺動面に打痕が生じ、この打痕によってピストン36の摺動面が変形する恐れがあった。また、ピストン36の露出した摺動面に異物などが付着するおそれがあった。いずれの場合においても、ピストン36の摺動不良という問題が生じる。
このため、この特許文献2に記載の燃料ポンプ装置においても、上記の特許文献1に記載の燃料高圧ポンプの場合と同様に、プランジャ12の露出した摺動面における打痕や異物付着などに起因するプランジャ12の摺動不良という問題が生じる。
更に、この特許文献2に記載の燃料ポンプ装置においては、プランジャ12の孔11からの落下を防止するストッパ構成の体格が非常に大きいことや、この燃料ポンプ装置の用途に規定されることではあるが、プランジャ12の下端側に燃料領域を設けた場合のエンジンオイル領域との分離が考慮されていないストッパ構成となっているなどの問題もあった。
シリンダ形成部材の加圧室と反対側のシリンダ端部を含み加圧室と反対側に突出するシリンダ孔形成部には、プランジャストッパが着脱可能に取り付けられている。このプランジャストッパは、プランジャの所定の位置に形成された段付き部と協働し、プランジャの摺動面をシリンダ孔の内壁面に接触させた状態で、プランジャの移動を規制する。
また、プランジャストッパがシリンダ形成部材のシリンダ孔形成部に着脱可能に取り付けられていることにより、特に高圧ポンプの組み立て過程やエンジン搭載過程における取り扱い上の利便性が高くなる。
しかも、このプランジャストッパは、プランジャの摺動面をシリンダ孔の内壁面に接触させた状態でプランジャの移動を規制することにより、高圧ポンプの組み立て後の作動中におけるプランジャのシリンダ孔内での往復移動の際や、高圧ポンプの組み立て過程やエンジン搭載過程におけるプランジャのシリンダ孔からの落下を防止する際に、プランジャの摺動面は打痕や異物付着などが生じないように保護された状態が保持される。
また、プランジャストッパは、プランジャのシリンダ孔内での移動に伴って段付き部が当接するストッパ部を有している。ストッパ部は、シリンダ孔の軸方向において、シリンダ形成部材のシリンダ端部と同じ位置に位置しているか、或いは、シリンダ形成部材のシリンダ端部から加圧室側寄りの位置に位置している。
このように、プランジャの大径部と小径部との境界をなす第1段付き部が、段付き部としてプランジャストッパと協働し、プランジャの摺動面をシリンダ孔の内壁面に接触させた状態で、プランジャの移動を規制することができる。
このように、シリンダ形成部材のシリンダ孔形成部の外壁面に形成された外リセスにプランジャストッパが係合されて取り付けられていることにより、プランジャストッパの外リセスへの係止、及びその係止の解除による取り外しが可能になる。即ち、プランジャストッパのシリンダ形成部材への着脱が可能になる。
即ち、シリンダ形成部材とポンプボディとが連続的な一体となっている、いわゆるシリンダ一体型ポンプボディを用いる場合であっても、シリンダ形成部材がポンプボディと異なる、いわゆる別体シリンダの場合であっても、請求項1に係る高圧ポンプの発明は適用される。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による高圧ポンプを図1に示し、そのプランジャ部にプランジャストッパが取り付けられている状態を図2(a)に示し、そのプランジャストッパを図2(b)に示す。
高圧ポンプ1は、内燃機関に燃料を供給する燃料供給系統に設けられる。燃料タンクから汲み上げられた燃料は、高圧ポンプ1により加圧され、デリバリパイプに蓄圧される。そしてデリバリパイプに接続するインジェクタから内燃機関の各気筒に噴射供給される。
また、高圧ポンプ1は、ポンプボディ10、プランジャ部20、ダンパ室40、吸入弁部50、電磁駆動部60、吐出弁部70などを有している。尚、本実施形態では、ポンプボディ10は、特許請求の範囲に記載の「シリンダ形成部材」に相当する。
ポンプボディ10には、円筒状のシリンダ孔11と、このシリンダ孔11に連通する加圧室12とが一体として形成されている。シリンダ孔形成部14は、ポンプボディ10のダンパ室40と反対側に突出する筒状部分であって、加圧室12と反対側のシリンダ端部141を含む。シリンダ孔形成部14の周囲には、シールエレメント25のプランジャスプリング28を係止する部分が収容される凹部13が略円環状に形成されている。
このシリンダ孔形成部14の凹部13側の壁面である外壁面142には、外リセス15が円周状に形成されている。
プランジャ21は、シリンダ孔11に収容され、その中心軸方向に往復移動可能に保持されている。また、プランジャ21は、一方の端部が加圧室12に臨み、シリンダ孔11を構成する内壁に沿って摺動する大径部211と、この大径部211よりも外径が小さく、大径部211から加圧室12側と反対側に延伸する小径部213とを有している。そして、これら大径部211及び小径部213は同軸形状をなし、その境界には段付き部214が形成されている。また、プランジャ21の小径部213側の端部には、スプリング座27が設けられている。そして、プランジャ21の小径部213の周囲に、プランジャストッパ23が配設されている。
プランジャストッパ23は、その断面が略凹形状をなし、その底面部231の中央に、プランジャ21の小径部213を通すための挿通穴239が開口されている。そして、この挿通穴239の端面は、所定の間隙をもって小径部213の外周壁面に相対している。尚、この間隙は、後で説明する可変容積室30と筒状通路31とを連通させるためのものである。
また、シールエレメント25とポンプボディ10との間には、互いに連通する筒状通路31及び環状通路32が形成される。また、ポンプボディ10には、環状通路32に連通する戻し通路33が形成される。そして、可変容積室30は、これらの筒状通路31、環状通路32、及び戻し通路33を経由して、ダンパ室40に連通する。
ダンパ室40は、凹部41、カバー42、ダンパユニット43などから構成される。
ポンプボディ10には、シリンダ孔11の反対側に、シリンダ孔11側に凹む凹部41が設けられている。この凹部41には、内部を外気から遮断するための有底筒状のカバー42が被せられている。
パルセーションダンパ44は、2枚の金属ダイアフラム441、442の内部に所定圧の気体が密封されている。そして、2枚の金属ダイアフラム441、442がダンパ室40の圧力変化に応じて弾性変形することで、ダンパ室40の燃圧脈動を低減する。
蓋側支持部46の上方には、波ばね48が配置されている。これにより、カバー42をポンプボディ10に取り付けた状態で、波ばね48が蓋側支持部46を底側支持部45側へ押圧する。その結果、パルセーションダンパ44は、その周縁部を蓋側支持部46と底側支持部45とによって周方向に均等な力で挟持され固定される。
吸入弁部50は、供給通路52、弁ボディ53、シート部54、吸入弁55などから構成される。
ポンプボディ10には、シリンダ孔11の中心軸と略垂直に筒部51が設けられ、この筒部51の内部は燃料の供給通路52となっている。また、この筒部51の内側には弁ボディ53が収容され、係止部材によって固定されている。この弁ボディ53の内側には、凹テーパ状の円周面を有するシート部54が形成されており、このシート部54と相対して吸入弁55が配置されている。そして、この吸入弁55は、弁ボディ53の底部に設けられた孔の内壁に案内されて往復移動するものであり、吸入弁55がシート部54から離座することで供給通路52を開放し、吸入弁55がシート部54に着座することで供給通路52を閉塞する。
また、ストッパ56には、ストッパ56の軸に対して傾斜する傾斜通路58が周方向に複数形成されている。供給通路52を通って供給されてきた燃料は、この傾斜通路58を通って加圧室12に吸入される。また、供給通路52は、加圧側通路59を介してダンパ室40に連通している。
電磁駆動部60は、コネクタ61、固定コア62、可動コア63、フランジ64などから構成される。
コネクタ61は、コイル611及び端子612を有し、端子612を通じてコイル611に通電されることにより磁界を発生するようになっている。固定コア62は磁性材料で作られ、コイル611の内側に収容されている。可動コア63は磁性材料で作られ、固定コア62と対向して配置されている。そして可動コア63は、フランジ64の内側に軸方向に往復移動可能に収容されている。
また、ニードル67は略円筒状に形成され、ガイド筒65の内壁に案内されて往復移動する。このニードル67は、一方の端部が可動コア63に固定され、他方の端部が吸入弁55の電磁駆動部60側の端面に当接可能である。
コイル611に通電していないとき、可動コア63と固定コア62とは、第2スプリング68の弾性力により互いに離れている。これにより、可動コア63と一体のニードル67が吸入弁55側へ移動し、ニードル67の端面が吸入弁55を押圧することで吸入弁55が開弁する。
吐出弁部70は、吐出通路71、吐出弁装置80などから構成されている。
ポンプボディ10には、シリンダ孔11の中心軸と略垂直に吐出通路71が形成されている。この吐出通路71は、一方で加圧室12に連通し、他方で燃料出口72に連通している。そして、この吐出通路71には、吐出弁装置80が組み付けられている。
吐出弁部材82は、ポンプボディ10の弁座85に相対して収容されている。
こうして、吐出弁部材82、スプリング83、及びアジャスティングパイプ84を有し、アジャスティングパイプ84に端部を係止されたスプリング83の付勢力により吐出弁部材82が付勢されている吐出弁装置80が、吐出弁部70に組み付けられている。
プランジャ21がシリンダ孔11内を上昇するにつれ、加圧室12の燃料の圧力が上昇する。そして、吐出弁装置80の吐出弁部材82よりも加圧室12側(上流側)の燃料から吐出弁部材82が受ける力が、スプリング83の弾性力と吐出弁部材82より燃料出口72側(下流側)の燃料から受ける力との和よりも大きくなると、吐出弁部材82はポンプボディ10の弁座85から離座する。即ち、吐出弁装置80は開弁状態となる。これにより、加圧室12で加圧された高圧燃料は、吐出通路71を通って燃料出口72に吐出される。
このようにして、吐出弁部70に組み付けられた吐出弁装置80は、加圧室12から燃料出口72に向かって吐出される高圧燃料に対する逆止弁として機能する。
(1)吸入行程
カムシャフトの回転により、プランジャ21がシリンダ孔11内を上死点から下死点に向かって下降すると、加圧室12の容積が増加し、加圧室12内の燃料が減圧される。このとき、吐出弁部70においては、吐出弁装置80の吐出弁部材82が弁座85に着座して、吐出通路71を閉塞する。また、吸入弁部50においては、加圧室12と供給通路52との差圧により、吸入弁55が第1スプリング57の付勢力に抗して図1の右方向に移動して、開弁状態となる。このとき、電磁駆動部60のコイル611への通電は停止されているので、可動コア63及びこの可動コア63と一体のニードル67は第2スプリング68の付勢力により図1の右方向に移動する。従って、ニードル67と吸入弁55とが当接して、吸入弁55は開弁状態を維持する。これにより、供給通路52から加圧室12に燃料が吸入される。
ここで、大径部211と可変容積室30の断面積比は概ね1:0.6である。従って、加圧室12の容積の増加分と可変容積室30の容積の減少分の比も1:0.6となる。このため、加圧室12が吸入する燃料の約60%が可変容積室30から供給され、残りの約40%が燃料入口から吸入される。これにより、加圧室12への燃料の吸入効率が向上する。
カムシャフトの回転により、プランジャ21がシリンダ孔11内を下死点から上死点に向かって上昇すると、加圧室12の容積が減少する。このとき、所定の時期まではコイル611への通電が停止されているので、第2スプリング68の付勢力によりニードル67と吸入弁55は図1の右方向に位置する。これにより、供給通路52は開放した状態が維持される。このため、加圧室12に一度吸入された低圧燃料が供給通路52へ戻される。従って、加圧室12の圧力は上昇しない。
このとき、加圧室12がダンパ室40側へ排出する低圧燃料の容積の約60%が、ダンパ室40から可変容積室30に吸入される。これにより、燃圧脈動の約60%が低減される。
プランジャ21がシリンダ孔11内を下死点から上死点に向かって上昇する途中の所定の時刻に、コイル611へ通電される。するとコイル611に発生する磁界により、固定コア62と可動コア63との間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力が第2スプリング68の弾性力と第1スプリング57の弾性力との差より大きくなると、可動コア63とニードル67は固定コア62側(図1の左方向)へ移動する。これにより、吸入弁55に対するニードル67の押圧力が解除される。吸入弁55は、第1スプリング57の弾性力、及び加圧室12からダンパ室40側へ排出される低圧燃料の流れによって生ずる力により、シート部54側へ移動する。従って、吸入弁55はシート部54に着座し、供給通路52が閉塞される。
尚、加圧行程の途中でコイル611への通電が停止される。加圧室12の燃料圧力が吸入弁55に作用する力は、第2スプリング68の付勢力より大きいので、吸入弁55は閉弁状態を維持する。
コイル611へ通電するタイミングを早くすれば、調量行程の時間が短くなると共に、加圧行程の時間が長くなる。これにより、加圧室12から供給通路52へ戻される燃料が少なくなり、吐出通路71から吐出される燃料が多くなる。一方、コイル611へ通電するタイミングを遅くすれば、調量行程の時間が長くなると共に、吐出行程の時間が短くなる。これにより、加圧室12から供給通路52へ戻される燃料が多くなり、吐出通路71から吐出される燃料が少なくなる。
このように、コイル611へ通電するタイミングを制御することで、高圧ポンプ1から吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御する。
本実施形態において、プランジャストッパ23は、その折れ曲がり部234をシリンダ孔形成部14の外リセス15に着脱可能に係止してポンプボディ10に固定される一方、そのストッパ部232をプランジャ21の段付き部214に相対させている。
このため、プランジャストッパ23のストッパ部232は、高圧ポンプ1の組み立て後に、プランジャ21がシリンダ孔11内を往復移動する際のストッパ機能を果たすことは勿論、高圧ポンプ1を組み立てる過程や組み立てた高圧ポンプ1をエンジンに搭載する過程においても、プランジャ21がシリンダ孔11から落下するのを防止するストッパ機能を果たす。
上記の構成では、プランジャストッパ23のストッパ部232のシリンダ孔11の軸方向における位置を、シリンダ孔形成部14のシリンダ端部141と同じ位置にしているが、プランジャストッパ23のストッパ部232の位置を、シリンダ孔形成部14のシリンダ端部141から加圧室12側寄りにしても、同様の作用効果を奏することができる。
例えば図3に示すように、変形例のプランジャストッパ23Aは、底面部231の中央寄りに、加圧室12側に突出する凸部を形成し、その凸部のプランジャ21の段付き部214に相対する面がストッパ部232aを形成する。そのため、ストッパ部232aは、底面部231の外周側のシリンダ孔形成部14のシリンダ端部141に当接する面よりも加圧室12側寄りに位置することとなる。
参考形態による高圧ポンプのポンプボディにプランジャストッパが取り付けられている状態を図4(a)に示し、そのプランジャストッパを図4(b)に示す。
以下複数の実施形態及び参考形態において、上記第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお、本明細書には、「第2実施形態」は存在しない。
本参考形態による高圧ポンプ2のポンプボディ10のシリンダ孔11の内壁面、即ちシリンダ孔形成部14の内壁面143には、内リセス16が円周状に形成されている。
尚、プランジャストッパ29は、所定のフレキシビリティを有する紐状の部材であることから、変形が可能であるため、内リセス16内に係合したり、係合を解除して取り外したりすることが可能となっている。
本参考形態において、プランジャストッパ29は、内リセス16に着脱可能に係合されてポンプボディ10に固定される一方、シリンダ孔形成部14のシリンダ端部141から加圧室12側に寄った位置において、ストッパ部292をプランジャ21の段付き部214に相対させている。
こうして、プランジャ21の摺動面を打痕や異物付着などが生じないように保護された状態において、高圧ポンプ2の作動中におけるプランジャ21の摺動不良を防止することができ、高圧ポンプ2の組み立て過程やエンジン搭載過程におけるプランジャ21のシリンダ孔11からの落下を防止することができる。
本発明の第3実施形態による高圧ポンプ3のプランジャ部拡大図を図5に示す。また、第3実施形態の基本例によるプランジャストッパを構成する第1リングおよび第2リング、並びに、当該プランジャストッパを図6、図7に示す。
図5に示すように、第3実施形態のプランジャストッパ34は、第1実施形態のプランジャストッパ23と同様、シリンダ孔形成部14の外壁面142に固定される。ただし、第1実施形態のプランジャストッパ23は、折れ曲がり部234が外壁面142の外リセス15に係止されて外壁面142に固定されるのに対し、第3実施形態のプランジャストッパ34は、複数の係合部351が有する径内方向への弾性力によって、シリンダ孔形成部14の外壁面142に押圧され、外壁面142を抱きかかえるように固定される。
第1リング35は、比較的板厚の薄いバネ鋼板等の板材で形成され、本体350の略中央に、プランジャ21の小径部213が挿通可能な挿通穴359が、軸Zを中心として形成される。
なお、3つの係合部351を周方向に均等に配置すれば、最小の個数でバランスよく係合させることができる。しかし他の実施形態では、係合部の数や配置はこれに限らない。
周方向の凸部363同士の間の空間は、連通路366を形成する。連通路366の高さは、本体360の上面361と、凸部363の上面364との高さの差に相当する。連通路366は、プランジャストッパ34の径内方向の可変容積室30と径外方向の筒状通路31とを連通する。
第3実施形態の第1〜第5変形例を、図8〜図12を参照して説明する。これらの変形例は、上記基本例に対し、第1リングと第2リングとを係合させ、且つ離脱を防止する構成が異なる。具体的には、第1リングにおいて、上記基本例の突起354に代えて補助爪等が採用される。なお、第1〜第3実施例については、第2リング36は、基本例の第2リング36と実質的に同一である。
本発明の第4実施形態によるプランジャストッパを図13に示す。第4実施形態の基本例のプランジャストッパ37は、第3実施形態のプランジャストッパ34等と同様、複数の係合部371が有する径内方向への弾性力によって、シリンダ孔形成部14に外リセスを形成する必要なく、外壁面142を抱きかかえるように固定される。
プランジャストッパ37は、第3実施形態の第1リング35の材料に相当する比較的板厚の薄いバネ鋼板等で形成され、本体370の略中央に、プランジャ21の小径部213が挿通可能な挿通穴379が、軸Zを中心として形成される。
周方向の凸部373同士の間の空間は、連通路376を形成する。連通路376の高さは、本体370の基面377と、凸部373の上面374との高さの差に相当する。
また、特に図13に示す基本例では、凸部373の内壁375より径内側の基面377は、ストッパ部を兼ねる。
図14に示す第4実施形態の変形例のプランジャストッパ37Aは、基本例に対し凸部373aの構成のみが異なる。すなわち凸部373aは、内壁375がさらに畳み込まれるように曲げられて、ストッパ部378が形成される。
これにより、基本例に比べ、ストッパ部378の剛性を向上させることができる。
本発明の第5実施形態による高圧ポンプのプランジャ部にプランジャストッパが取り付けられている状態を図15に示す。
本実施形態による高圧ポンプ5のプランジャ部20Aについて、図15を用いて説明する。尚、プランジャ部20以外の部分は、上記第1実施形態の図1に示す高圧ポンプ1と同じ構成を有しているため、その説明を省略する。
プランジャ部20Aには、プランジャ21A、プランジャストッパ38、燃料シール部材24、シールエレメント25A、プランジャスプリング28、可変容積室30などから構成される。
ここで、このプランジャストッパ38のストッパ部382とシリンダ孔形成部14のシリンダ端部141との距離L1は、プランジャ21Aの中径部212aの軸方向の長さL2、即ちプランジャ21Aの第1段付き部214aと第2段付き部214bとの距離L2と等しくなっている。
本実施形態において、プランジャストッパ38は、シールエレメント25Aを介してポンプボディ10に固定される一方、ストッパ部382をプランジャ21Aの第2段付き部214bに相対させている。しかも、プランジャストッパ38のストッパ部382とシリンダ孔形成部14のシリンダ端部141との距離L1は、第1段付き部214aと第2段付き部214bとの距離L2、即ちプランジャ21Aの中径部212aの軸方向の長さL2と等しくなっている。
本発明の第6実施形態による高圧ポンプを図16に示す
先ず、本実施形態による高圧ポンプ6について、図16を用いて説明する。
高圧ポンプ6は、シリンダ孔がポンプボディ10とは別の部材で形成されているシリンダ別体型の高圧ポンプである。即ち、シリンダ形成部材90は、ポンプボディ10と連結しているものの、ポンプボディ10とは別体をなす部材である。そして、このシリンダ形成部材90には、円筒状のシリンダ孔91及びこのシリンダ孔91に連通する加圧室92が一体として形成されている。
即ち、プランジャストッパ23は、その折れ曲がり部234がシリンダ形成部材90の外リセス93に着脱可能に係止してポンプボディ10に固定されている。また、プランジャストッパ23のストッパ部232は、シリンダ形成部材90の加圧室92側と反対側の端部の位置においてプランジャ21の段付き部214に相対している。
上記第1実施形態の高圧ポンプ1がシリンダ一体型ポンプボディを用いているのに対して、本実施形態の高圧ポンプ6はポンプボディ10とシリンダ形成部材90とが別体であるシリンダ別体型ポンプボディを用いている。また、上記第1実施形態における外リセス15がポンプボディ10のシリンダ孔形成部14の凹部13側の壁面に形成されているのに対して、本実施形態においては外リセス93がシリンダ形成部材90の外壁部に形成されている点で異なる。
上記第3、第4実施形態では、プランジャストッパ34、37の係合部351、371等は径内方向への弾性力を有しているため、シリンダ孔形成部14の外壁面142に外リセスを形成しなくても、弾性力によって押圧されることにより外壁面142に係合することができる。しかし、シリンダ孔形成部14の外壁面142に外リセスを形成し、この外リセスに係合部が係合するようにしてもよい。
10 ・・・ポンプボディ(シリンダ形成部材)
11、91 ・・・シリンダ孔
12、92 ・・・加圧室
13 ・・・凹部
14 ・・・シリンダ孔形成部
141 ・・・シリンダ端部
142 ・・・外壁面
15、93 ・・・外リセス(第1、第6実施形態)
20、20A ・・・プランジャ部
21、21A ・・・プランジャ
211、211a ・・・大径部
212a ・・・中径部
213、213a ・・・小径部
214 ・・・段付き部
214a ・・・第1段付き部(第5実施形態)
214b ・・・第2段付き部(第5実施形態)
23、23A ・・・プランジャストッパ(第1実施形態)
231 ・・・底面部
232、232a ・・・ストッパ部
233 ・・・外壁部
234 ・・・折れ曲がり部
24 ・・・燃料シール部材
25、25A ・・・シールエレメント
34、34A〜34E、37 ・・・プランジャストッパ(第3、第4実施形態)
35、35A〜35E ・・・第1リング
351、351a〜351e、371 ・・・係合部
36、36D、36E ・・・第2リング
363、363e、373、373a ・・・凸部
366、376 ・・・連通路
367 ・・・切り欠き部
368、377、378・・・ストッパ部
38 ・・・プランジャストッパ(第5実施形態)
382 ・・・ストッパ部
90 ・・・シリンダ形成部材(第6実施形態)
Claims (2)
- シリンダ孔、及び前記シリンダ孔に連通する加圧室を有するシリンダ形成部材と、
前記シリンダ孔の内壁面に沿って摺動する摺動面を有し、前記シリンダ孔内を軸方向に往復移動することにより前記加圧室内に燃料を吸入し加圧するプランジャと、
前記シリンダ形成部材の前記加圧室と反対側のシリンダ端部を含み前記加圧室と反対側に突出する筒状のシリンダ孔形成部に着脱可能に取り付けられ、前記プランジャの所定の位置に形成された段付き部と協働し、前記プランジャの前記摺動面を前記シリンダ孔の内壁面に接触させた状態で前記プランジャの移動を規制するプランジャストッパと、
を備え、
前記プランジャは、端部が前記加圧室に臨み前記摺動面を有する大径部と、前記大径部から前記加圧室と反対側に延伸し前記大径部よりも外径の小さい小径部と、前記大径部と前記小径部との境界をなす第1段付き部と、を有し、前記第1段付き部が、前記プランジャストッパと協働する前記段付き部をなし、
前記プランジャストッパは、前記シリンダ孔の軸方向において、前記シリンダ形成部材の前記シリンダ端部と同じ位置又は前記シリンダ端部から前記加圧室側寄りの位置にあり前記プランジャの前記シリンダ孔内での移動に伴って前記段付き部が当接するストッパ部を有し、
前記シリンダ形成部材の前記シリンダ孔形成部は、外壁面に外リセスが形成され、
前記プランジャストッパは、前記外リセスに係止して取り付けられていることを特徴とする高圧ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧ポンプであって、
前記シリンダ形成部材が、当該高圧ポンプの外郭をなすポンプボディと連続的な一体をなしていることを特徴とする高圧ポンプ。
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