JP3931218B2 - 拡張不全型心不全予防薬 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡張不全型心不全予防薬に関する。特に、本発明は、N−メチルエタノールアミンまたはその薬学的に許容される塩を有効量含有する拡張不全型心不全予防薬に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
心不全には駆出率低下を示す「収縮不全型」と、収縮性の低下が見られない「拡張不全型」があり、後者は、心不全の3〜5割を占める。今までのところ、前者には臨床的に予後改善作用を認める薬剤が提案されているものの、しかし、後者には臨床上の有用性が確立した薬剤は無く(Circulation 1995;92:2764-2784, Eur. Heart J. 1998;19:990-1003)、予後不良であることから、後者の心不全に有用な治療薬の開発が望まれている。本発明は、かかる拡張不全型心不全予防薬を提供する。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、N−メチルエタノールアミンまたはその薬学的に許容される塩を有効量含有する拡張不全型心不全予防薬にある。
【0004】
拡張不全型心不全を有する患者における最も一般的な心臓血管系基礎疾患は高血圧であり、この種の患者では心室線維症と心室肥大が拡張不全型心不全の原因となる可能性が高い。本発明者らの研究でも、高食塩飼料で飼育したDahl-Iwai食塩感受性(Dahl-S)ラットは7週から高血圧を発現し、13週前後で代償性左心室(LV)肥大を示し、19週前後で拡張不全型心不全に移行することが実証された。このモデルは、頻呼吸、労作性呼吸、ならびにLV拡張末期径の増大または内径短縮率の低下を欠いたLV拡張末期圧および肺うっ血に基づく肺重量の増加による活動性の喪失といった明白な心不全の兆候を示した。この兆候は進行性LV肥大と線維化に関係し、これらは硬化したLV腔と拡張機能不全の最も主要な原因になりうる。従って、拡張不全に対する治療目標は、LV肥大および線維化の抑制と退行に焦点を合わせなければならない。
【0005】
本発明者らのインビトロ(in vitro)研究において、N−メチルエタノールアミン(MEA)がヒト線維芽細胞の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などの増殖因子系サイトカインに対する細胞応答性を促進することが実証されている。そこで、本発明者らは、心不全におけるサイトカイン類の関与を想定し、MEAの適用を試み、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、高血圧に伴う代償性心肥大から心不全への変化に際し、MEAまたはその薬学的に許容される塩が投与される。
【0007】
薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、および酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。
【0008】
本発明の予防薬は、経口または非経口(静脈内注射、輸液等)でヒトに投与される。
【0009】
経口投与の剤形としては、錠剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、硬カプセル剤等の固形製剤の他、シロップ剤、エリキシル剤、軟カプセル剤等の液剤が含まれる。かかる製剤は常法によって製造され、錠剤、顆粒剤、散剤、細粒剤は、MEAまたはその薬学的に許容される塩と、例えば、乳糖、でんぷん、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク等の通常の医薬添加物とを混合して製造され、硬カプセル剤は上記の細粒剤、散剤を適宜カプセルに充填して製造される。
【0010】
また、シロップ剤は、白糖、D−ソルビトール、カルボキシメチルセルロース等を含む水溶液にパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤と共にMEAまたはその薬学的に許容される塩を溶解または懸諾して製造され、エリキシル剤はMEAまたはその薬学的に許容される塩のエタノール溶液にグリセリン、オレンジ油、レモン油、コリアンダー油、アニス油、タルク等を混合して製造される。
【0011】
軟カプセル剤は、脂質賦形剤、例えば、植物油、油性エマルジョン、グリコール類等にMEAまたはその薬学的に許容される塩を溶解または懸濁し、軟カプセルに充填して製造される。
【0012】
注射剤は、MEAまたはその薬学的に許容される塩を生理食塩水あるいは例えば、植物油、油性エマルジョン、グリコール類等の脂質賦形剤に溶解または乳化させ無菌的にアンプルあるいはバイヤルに封入することによって製造される。
【0013】
投与量は、患者の年齢、体重、症状、あるいは投与方法等により異なるが、一般に10〜1000mg/kg体重/日である。
【0014】
【発明の効果】
MEAまたはその薬学的に許容される塩を投与することにより、左心室の過剰な肥大と線維化が抑制され、心臓の柔らかさが増し、心臓の拡張性が良好となるため、拡張不全型心不全への移行が阻害され、拡張不全型心不全の症状が軽減される。
【0015】
【実施例】
本発明を以下の試験例、実施例および図面を参照してさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0016】
試験例1:急性毒性試験
塩酸でpH7に調整したMEA(和光純薬工業(株)製)の水溶液を0.2ml/kg体重(検体として2g/kg体重)の割合でICR系雄性マウス(5週齢、体重24〜28g、一群5匹)に経口投与した。その後7日間マウスを観察したが、いずれの検体投与群においても全く死亡例は認められなかった。
【0017】
試験例2:皮膚刺激性試験
日本在来種雄性家兎(体重約3kg)を用い、ドレイツ法(APPRAISAL OF THE SAFETY OF CHEMICALS IN FOODS, DRAGS AND COSMETOCS, p.46, 1959, Edited and Published by THE EDITORIAL COMMITTEE, ASSOCIATION OF FOOD & DRUG OFFICIALS OF U.S.A.)に準じて試験した。すなわち、毛を刈り取った家兎背部に擦傷部位(損傷皮膚)を作成し、損傷皮膚と正常皮膚のそれぞれに、塩酸にてpH7に調整したMEA(和光純薬工業(株)製)の1w/v%水溶液0.1mlをパッチテスト用絆創膏(1.2x1.6cm、リボンエイド(商標)、リバーテープ製薬株式会社製)に浸潤させて貼付した。24時間後、絆創膏を剥離し、皮膚の紅斑および浮腫状態を観察し、さらに絆創膏剥離の48時間後も同様に観察した。そして以下の評価基準にてそれぞれ紅斑スコアおよび浮腫スコアを付けた。
【0018】
【表1】
Figure 0003931218
【0019】
このスコアと下式に基づき、一次刺激スコアを計算した。
一次刺激スコア=1/2(A24+A48)+1/2(X24+X48)+1/2(B24+B48)+1/2(Y24+Y48
ここで、
24:正常皮膚に絆創膏貼付24時間後の紅斑スコア
48:正常皮膚から絆創膏剥離48時間後の紅斑スコア
24:損傷皮膚に絆創膏貼付24時間後の紅斑スコア
48:損傷皮膚から絆創膏剥離48時間後の紅斑スコア
24:正常皮膚に絆創膏貼付24時間後の浮腫スコア
48:正常皮膚から絆創膏剥離48時間後の浮腫スコア
24:損傷皮膚に絆創膏貼付24時間後の浮腫スコア
48:損傷皮膚から絆創膏剥離48時間後の浮腫スコア
次に、一次刺激スコアと下記の基準に基づき、試験化合物の刺激度を判定した。
軽度刺激 :一次刺激スコア0〜2未満
中程度刺激:一次刺激スコア2〜5未満
強度刺激 :一次刺激スコア5以上
その結果、MEAの一次刺激スコアは0.25であり、刺激度は軽度であった。
【0020】
実施例
試料と方法
対象:離乳中の雄Dahl-S(DIS/Eis、Eisai、東京、日本)を0.3%のNaClを含む研究室固形試料で飼育し、7週齢で8%のNaClを含む研究室固形試料に切り換えた。これらのラットを次の2つの群に分けた。第一群は8週齢から200mg/kg/日の割合でMEA(和光純薬工業(株)製)の塩酸塩を経口投与したグループ(n=7)であり、第二群は無処置グループ(n=6)である。さらに、0.3%のNaClを含む研究室固形試料を連続的に与えられた雄Dahl-Sラットを年齢対応対照とした(n=5)。高食塩飼料によるラットの8週齢における収縮期血圧の平均値は161mmHgであり、年齢対応対照ラットのそれは130mmHgであった。
【0021】
13および19週齢で心エコー図的研究を行った。19週齢では心エコー図検討のあとで、血行動態調査と心臓の回収を行った。著者らの先の研究結果に従ってこれらのスケジュールを決定した。実験中、飼料と水道水を自由に摂取できるようにした。尾部カフシステム(BP-98A、Softron、東京、日本)を用いて7、13、および19週齢で収縮期血圧を測定した。
【0022】
心エコー図的研究:13および19週齢で経胸部心エコー図を記録した(Doi R.ら、J. Hypertens, 2000;18:111-120)。すなわち、ケタミンHCl(50mg/kg)およびキシラジンHCl(10mg/kg)の腹腔内投与によってラットを麻酔し、自発呼吸を伴う半左側位置にラットを保持した。7.5MHz探触子(SONOS 2000、Hewlett-Packard、アンドーバ、マサチューセッツ)を装着した市販の心エコー図装置を用いて記録を行い、左心室(LV)の内径と壁厚を測定した。また、下記式に従って、LV重量およびLV内径短縮率を計算した。
LV重量(g)= 1.04 x [(LVDd + PWd + AWd)3 − LVDd3] x 0.8 +0.14
LV内径短縮率(%)= (LVDd − LVDs)/LVDd x 100
ここで、LVDd:左心室拡張末期径
PWd :拡張前壁厚
AWd :拡張後壁厚
LVDs:左心室収縮末期径
なお、統計解析値には、LV重量を体重に対して補正した「LV重量/体重」を用いた。肥大心における収縮機能の過大推定を回避するため、Shimizuモデルを用いてLV壁中央部での短縮率も計算した。
【0023】
血行動態的研究:19週齢における心エコー図的研究の後で、大気圧に対して校正したチップ先端装着型1.5Fカテーテル(SPR-407、Millar Instruments、ヒューストン、テキサス)を右頚動脈を介して左心室に挿入した。LV圧のトレーシングと心電図をディジタル化してLV拡張末期圧を決定し、非−零漸近線手法(Yamamoto K.ら、Circulation, 1995;91:192-200)を用いて等容積LV圧降下の時定数(τ)を計算した。Douglas法(Douglas PSら、J Am Coll Cardiol. 1987;9:945−951)を用いてLV収縮末期壁応力を計算した。
【0024】
組織採取:血動態的研究のあと、直ちに心臓を回収した。乳頭筋下左心室心尖部を除去し、重量を測定し、直ちに液体窒素中に入れ、StegmannとStalderの方法に従ってヒドロキシプロリン含有量を測定するため、-80℃で保存した。結果は組織の湿潤重量当りのヒドロキシプロリン含有量として計算した。mRNA量測定用左心室試料の重量を測定し、直ちに液体窒素中に入れ、-80℃で保存した。他の部分の重量を測定したあと、それを4%の冷パラホルムアルデヒド溶液中に16〜24時間浸した。肺も回収し、重量を測定した。
【0025】
病理学的検討:4%のパラホルムアルデヒド溶液中に浸した検体をパラフィンに埋め込んだ。Azan Mallory染色法を用いて乳頭筋レベルのLV自由壁の2μm厚横断面切片を100倍の倍率の顕微鏡で調べた。
【0026】
統計値:平均値±標準偏差値として結果を表現した。一方向ANOVAとFisherの保護最小有意差検定を用いて特異段階における群間差異を評価した。p<0.05の確率値を統計的に有意であると考えた。なお、図1〜6のグラフにおいて、*はp<0.05対年齢対応対照ラットであり、#はp<0.05対未処置ラットである。
【0027】
結果
本モデルにおける拡張不全型心不全への移行:未処置ラットの収縮期圧は年齢対応対照ラットに比べて13および19週で有意に上昇した(図1)。13週では、未処置ラットの拡張末期および収縮末期LV径は対照ラットのそれに比べて有意に小さかった(図1)。それゆえ、未処置ラットのLV収縮末期壁応力は対照ラットのそれよりも有意に低かった(47.5±4.4対103.0±9.4 103dynes/cm2、p<0.05)。未処置ラットのLV重量/体重は対照ラットのそれよりも有意に大きかった(図6)。19週では、未処置ラットは頻呼吸、労作性呼吸、および活動度の喪失といった明白な心不全の兆候を示した。未処置ラットでは、13週から19週にかけてLV重量/体重は進行的に増加した。このとき、LV収縮末期径および拡張末期径(図2、3)または左室壁中央部で評価した短縮率(図5)は19週でのそれと変わらなかった。19週では、未処置ラットと年齢対応対照ラットとの間でLV収縮末期圧の差はなかった(62.3±9.4対80.0±7.5 103dynes/cm2)。対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置ラットの19週での各定量値を示す下記表2から分かるように、対照ラットに比べて、未処置ラットのLV拡張末期圧(図2)および肺重量の体重に対する比率(肺/体重)は高く、τは長く、左心室のヒドロキシプロリン量は高かった。
【0028】
【表2】
Figure 0003931218
各値は、平均値±標準偏差値で示した。*p<0.05対対照;#p<0.05対未処置
LVEDP=左心室拡張末期圧;Pro-OH=ヒドロキシプロリン濃度;τ=LV弛緩の時定数
【0029】
MEAの効果:MEAの投与は13週または19週における収縮期圧を低下させなかった。にもかかわらず、図2〜6に示すように13週で形態的変化が生じた。すなわち、LV重量/体重は未処置ラットのそれと匹敵するレベルまで増加し、LV拡張末期径は対照ラットのレベルまで拡大し、これによってLV収縮末期壁応力の正常化(116.1±12.5 103dynes/cm2)が導かれた。内径短縮率は対照ラットに比し有意差なく、未処置ラットのそれよりも低かったが、左室壁中央部で評価した短縮率はMEAの影響を受けなかった。
【0030】
19週では、MEA処置ラットは明白な心不全の兆候を示さなかった。MEAで処置したラットのLV拡張末期圧と肺/体重は未処置ラットのそれよりも有意に低く、対照群のそれと違わなかった(表2)。病理学調査(図7)が示すように、未処置ラットでは進行性の間質線維化が観察されたが、MEAで処置したラットでは観察されず、MEAは左心室中のヒドロキシプロリン量を正常化した(表2)。MEAは、未処置ラットで観察される13週から19週にかけてのLV重量/体重のさらなる増加を阻止した(図6)。MEAは、対照ラットと未処置ラットに比べて19週におけるLV拡張末期径を特徴的に拡大させたが、LV収縮末期壁応力は上昇しなかった(98.6士8.4 103dyne/cm2)。未処置ラットに比較して、τはMEAによって変化しなかった(表2)。19週における左室壁中央部で評価した短縮率はMEA投与の影響を受けなかった(図5)。
【0031】
高血圧発症後にMEAを長期投与した場合、MEAは、高血圧心モデルにおいて、降圧効果なしで明白な拡張不全型心不全への移行を阻止した。これはLV拡張末期圧よび肺重量に対するMEAの効果によって証明された。内径短縮率と左室壁中央部で評価した短縮率によって評価したように、このような阻止効果はMEAのLV収縮機能に対する効果によってもたらされたものではない。MEAは13週でのLV肥大の代償性変化を阻止しなかったが、13週から19週にかけてのLV肥大のさらなる進行と心筋線維化を阻止した。MEAは13週でのLV径の減少を完全に阻止し、これがLV収縮末期壁応力の正常化を導いた。対照および未処置ラットに比べて、MEAは19週でのLV径を特徴的に拡張したが、このLV拡張はLV収縮末期壁応力を正常範囲以上には増大しなかった。
【0032】
MEAは予想通りにLV線維化の抑制に効果的であった。また、予期しなかったことに、MEAは代償性肥大に続くさらなるLV肥大の進行をも妨げ、その結果、拡張不全型心不全への進行を阻止した。
【0033】
MEAはLV形状に対する独特の効果を示した。代償性肥大段階(13週)で、未処置ラットのLV径は対照ラットのそれに比べて減少したが、MEAはこのような減少を阻止しLV径を対照ラットレベルに維持した。本研究では、未処置ラットのLV径が小さくなるほどLV収縮末期壁応力は亜正常となり、MEAはそれを正常化した。LV腔が比較的小さいことに起因する亜正常LV収縮末期壁応力を有する高血圧患者では、降圧治療はLV肥大の退行に有効でない。従って、この段階におけるLV径のMEA誘導による正常化は亜正常左室収縮末期壁応力を有する患者のLV肥大を退行させる上で降圧治療を補完できる。心不全段階(19週)において、MEAは、対照ラットや未処置ラットに比べてLV径を拡張した。LVの拡張は通常LV収縮末期壁応力とLV拡張末期圧の増大によって心不全を悪化させると考えられるが、MEAによって誘導されたLV径の拡張はLV収縮末期壁応力もLV拡張末期圧をも正常レベル以上に増大させなかった。LV拡張末期圧が同様であるならば、左心室が大きくなるほど左心室の硬さは小さくなる。従って、MEAによって処置したラットの左心室は対照ラットのそれよりも硬くないように思われた。LV硬度の増強は心不全進行の主要な原因である。MEAによって処置したラットのLV重量は対照ラットのそれよりも重く、LVヒドロキシプロリン量はこの二つの群間で差異はなかった。これらの結果から、MEAは、LV肥大とLV線維化を抑制するだけでなく、LV肥大とLV線維化に無関係なメカニズムで心室硬度を低下することでも、高血圧心における拡張不全型心不全の阻止に有益であることが示唆された。
【0034】
以上より、MEAは降圧効果なしでLV線維化とLV肥大を抑制することによって高血圧心における拡張不全型心不全を有効に阻止することが実証された。拡張不全型心不全のMEA誘導型阻止に関するさらなる薬理学的調査は必要であるが、MEAは、臨床的頻度にもかかわらず治療戦略が未だ確立されていない拡張不全型心不全の治療方式としての可能性を有する。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットにおける収縮期血圧の変化を示すグラフ。
【図2】年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットにおけるLV拡張末期径の変化を示すグラフ。
【図3】年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットにおけるLV収縮末期径の変化を示すグラフ。
【図4】年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットにおけるLV内径短縮率の変化を示すグラフ。
【図5】年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットにおける左室壁中央部で評価した短縮率の変化を示すグラフ。
【図6】年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットにおけるLV重量/体重の変化を示すグラフ。
【図7】19週での年齢対応対照ラット、未処置ラットおよびMEA処置済みラットの左心室Azan Mallory染色の顕微鏡写真。

Claims (1)

  1. N−メチルエタノールアミンまたはその薬学的に許容される塩を有効量含有する拡張不全型心不全予防薬。
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