JP3065734B2 - 桂皮酸誘導体 - Google Patents

桂皮酸誘導体

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JP3065734B2
JP3065734B2 JP3240488A JP24048891A JP3065734B2 JP 3065734 B2 JP3065734 B2 JP 3065734B2 JP 3240488 A JP3240488 A JP 3240488A JP 24048891 A JP24048891 A JP 24048891A JP 3065734 B2 JP3065734 B2 JP 3065734B2
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彩子 松川
綾子 黒滝
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規な液晶を呈する
化合物、その製造法、その化合物を含有する組成物なら
びにこれらを使用した液晶素子を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶化合物として数多く知られているも
のに、ネマチック液晶と呼ばれているものがある。この
ものは、現在液晶表示装置に使用される化合物または組
成物の主流をなしているけれども、応答速度が遅く、数
msecのオーダーの応答速度しか得られないという問
題があり、そのため表示の大型化に対して性能的には限
界に近づいていると言われている。
【0003】このような従来型の液晶表示素子の欠点を
改善するものとして、双安定性を有する液晶の使用がク
ラーク及びラガウェルにより提案されている(特開昭5
6−107216号)。この双安定性を有する液晶は、
強誘電性液晶と呼ばれ、高速応答性とメモリ性が得られ
ることが注目され、特に近年においてその実用化の検討
が活発であり、実用強誘電性液晶物質の開発が急務にな
っている。
【0004】一般に、強誘電性液晶は光学活性部位を有
する化合物で、かつその分子長軸が層の法線方向からチ
ルトした分子配向を有する一連のスメクチック相におい
て発現される。中でもキラルスメクチックC(以下、S
C *と略記する。)相は、比較的低電圧動作性のため実用
上優れた性質を有している。
【0005】このように強誘電性液晶は、自発分極を有
するために非常に速い応答速度を有する上に、メモリ性
のある双安定状態を発現させることができ、さらに視野
角が優れていることから、大容量大画面のディスプレイ
用材料として適している。
【0006】このような強誘電性液晶として1975
年、R.B.Meyerらにより合成された4−(4−
n−デシルオキシベンジリデンアミノ)桂皮酸−2−メ
チルブチルエステル(以下DOBAMBCと略記す
る。)が知られている(J.Physique 36
L−69(1975))。
【0007】しかし、このDOBAMBCはシッフベー
スを構造内に含むため、その化学的安定性に難がある。
そこで、強誘電性液晶材料として物理的、化学的に安定
な種々の化合物が探索され、現在4−(4−nアルキル
オキシフェニル)−1−カルボン酸−2−メチルブチル
エステルをはじめとするエステル系化合物の探索にその
主力が移ってきている。しかし、これらのエステル系化
合物は、SC *相を示さないか、示したとしてもSC *相を
示す温度範囲が狭く、しかも液晶を加熱、冷却したとき
で異なる相系列を示すモノトロピック液晶であるため、
実際の使用に耐えるものは少ない(LiquidCry
stals and OrderedFluids 4
(1984))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来強誘電性液晶とし
て用いられている化合物は、光学活性部位の原料として
光学活性アルコール、具体的には2−メチルブタノー
ル、2−オクタノール、3−メチルペンタノールなどを
用いている。しかし、これらのアルコールは高価であ
り、生産コストの面で問題がある。
【0009】そこで我々はより安価で、入手しやすいア
ミノ酸を光学活性体原料として使用したアミノ酸誘導体
をすでに開発した(特開平3−109366号参照)。
この化合物は、光学活性体原料として安価で入手しやす
いアミノ酸を用いても従来の液晶化合物より更に低温
で、しかも広い温度範囲で、スメクチック液晶、特に強
誘電性のSC *相を含むスメクチック相を示す化合物が得
られている。しかし、このアミノ酸誘導体のSC *相を示
す温度は100℃付近であり、自発分極で最大で約20
nC/cm2 と小さいため、液晶材料としてはより低温
で自発分極の大きな化合物の開発が望まれていた。
【0010】本発明は常温に近い温度で、スメクチック
相を示し、光学活性な化合物の場合より大きな自発分極
を示し、特に強誘電性のSC *相を含むスメクチックC相
を示す新規な化合物およびそれらを含有する組成物を提
供することを目的とする。
【0011】本発明によって提供される液晶を呈する光
学活性な化合物は、単独であるいは少なくともそれらの
化合物の1種を含有する液晶組成物として強誘電性、特
にSC *相を呈し、電気光学的スイッチング素子として使
用される強誘電性液晶表示素子の構成成分となり得る新
規液晶化合物を提供するものである。
【0012】また、本発明によって提供される化合物の
うち、光学活性な炭素を含まない化合物であっても、他
の光学活性な液晶化合物と混合することにより、液晶組
成物として強誘電性液晶組成物となり、低温で広い温度
範囲にわたりスメクチックC* 相を呈する組成物を形成
する混合用成分として有用な化合物の提供をすることを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、液晶化合物の高温化の原因としてアミノ酸
のペプチド結合が関与していると考え、アミノ酸に代え
てα−ヒドロキシ酸を用いれば低温化が可能であること
を見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至っ
た。
【0014】本発明によって提供される化合物は、一般
式(1)
【化13】 (式中Rは炭素数6〜16の直鎖のアルキル基、Xは炭
素数1〜6のアルキル基、YはCH3 、CH2 CH(C
32 、CH(CH32 およびCH(CH3)CH2
CH3 から選ばれる一種の基、ZはCN、CH3 及び
Hから選ばれる1種の基を表す。)で表される桂皮酸誘
導体である。
【0015】本発明の桂皮酸誘導体の構造は一般式(1
4)で表されるα−ヒドロキシ酸エステル部分
【化14】 とコア部分としての一般式(15)で表される桂皮酸誘
導体部分
【化15】 の2つに分けられ、この2つがエステル結合により結び
ついている。
【0016】まずα−ヒドロキシ酸エステル部分は、炭
素Cに、水素、Y、−COOXが結合しており、ヒドロ
キシル基部分がエステル結合を形成している。Xは炭素
数1〜6のアルキル基を表し、特に炭素数1〜3が好ま
しい。炭素数が7以上であると原料入手が困難であり、
合成も困難になる。
【0017】YはCH3 、CH2 CH(CH32 、C
H(CH32 およびCH(CH3)CH2 CHから選
ばれる一種の基を表す。α−ヒドロキシ酸エステル部分
を形成する原料としては、α位にヒドロキシル基を有す
るヒドロキシ酸エステルであればよく、具体的には乳酸
またはアミノ酸のNH2 基を常法により低温で亜硝酸と
反応させることにより導いたものが使用される。原料の
アミノ酸は、具体的にはL−アラニン、L−ロイシン、
L−バリン、L−イソロイシン等が挙げられ、D体、L
体、ラセミ体のいずれでもよく、光学活性部位を有する
アミノ酸が使用される。
【0018】桂皮酸誘導体部分は、まず桂皮酸の不飽和
炭化水素基のα位の炭素にZが結合し、カルボン酸部分
はα−ヒドロキシ酸エステルのヒドロキシル基とエステ
ル結合を形成している。ZはCN、CH3 、Hから選ば
れる1種を表す。桂皮酸のベンゼン環のパラ位にはエス
テル結合を介してビフェニル基が結合し、そのビフェニ
ル基の4’位にはエーテル結合を介してRが結合してい
る。
【0019】ここでビフェニル基を導入したことにより
液晶相が安定化する。また、α−ヒドロキシ酸エステル
部分の炭素が不斉炭素であるときは液晶は強誘電性を示
すという効果が得られる。Rは炭素数6〜16の直鎖ア
ルキル基を表し、特に炭素数12〜14が好ましい。炭
素数が6未満であると、液晶相を示す温度範囲が狭くな
る。炭素数が17以上であると液晶性が低下し、かつ原
料入手が困難なものが多い。
【0020】以上のように本発明はスメクチック液晶の
側鎖部分にα−ヒドロキシ酸エステルを用いると共に、
コア部分として桂皮酸誘導体を導入し、更にビフェニル
基を結合させたことが特徴である。
【0021】即ち、α−ヒドロキシ酸エステルを用いる
ことにより、桂皮酸誘導体との組み合わせで室温でも高
次のスメクチック相を示し、また常温に近い広い温度範
囲においてSC 相、特に光学活性な化合物ではSc *相、
即ち強誘電性を発現することが可能となった。。
【0022】本発明によって提供される液晶を呈する化
合物は、応答性、メモリ性に優れた液晶表示素子に利用
可能性を有する新規な桂皮酸誘導体であり、特にSC *
を呈する化合物を含む強誘電性液晶表示素子の構成成分
として電気的光学的スイッチング素子の分野に使用し得
る新規液晶化合物である。
【0023】本発明の化合物で強誘電性を示すものは強
誘電性液晶素子として使用できる。また本発明の化合物
は、強誘電性を示すものも示さないものもすでに知られ
ている強誘電性液晶と配合して強誘電性を示す温度領域
を上下に広げたり、応答性を改善したりすることがで
き、また光学活性でない液晶に配合して強誘電性を持た
せたりすることができる。本発明の化合物は室温でもス
メクチック相を示すので他の液晶化合物との混合用材料
としても有効である。
【0024】本発明に係る化合物は次の製造法に従って
製造することができる。一般式(2)で示されるα−置
換−4−オキシ桂皮酸を無水酢酸−ピリジンにより保護
のためアセチル化して一般式(3)の化合物を得、これ
に一般式(4)で示されるα−ヒドロキシ酸と反応さ
せ、一般式(5)で示されるエステルを製造し、これの
アセチル基を除き、一般式(6)のα−置換−4−オキ
シ桂皮酸エステルとする。
【化16】 この化合物に一般式(7)で示されるカルボン酸
【化17】 を反応させることにより、一般式(1)で表される桂皮
酸誘導体を製造することができる。
【化18】
【0025】本発明に係る化合物の製造法は2段階に分
けて考えることができる。即ち、 まず、一般式(2)で表される化合物より一般式
(3)で表される化合物を得、これと一般式(4)で表
される化合物を反応させて一般式(5)で表される化合
物を得、これより一般式(6)で表される化合物に至る
経路(以下、反応Aと呼ぶ。)と、 一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表
される化合物を反応させて、一般式(1)で表される化
合物に至る経過(以下反応Bと呼ぶ。)の2段階からな
る。
【0026】《反応Aについて》
【化19】 (式中ZはCN、CH3 及びHのうちの1種を表す。)
で示される化合物は、ZがCNかあるいはHの場合市販
のものを使用することができる。ZがCH3 の場合は、
従来公知の以下に示される方法により合成することがで
きる。即ち、4−ヒドロキシベンズアルデヒドとプロピ
オン酸無水物にプロピオン酸カリウムを反応させること
により得ることができる。
【0027】一般式(2)の化合物は無水酢酸−ピリジ
ンと反応させることによりヒドロキシル基をアセチル化
して一般式(3)の化合物とする。
【0028】一般式(3)の化合物は一般式(4)で示
されるα−ヒドロキシ酸エステルと塩化チオニルを用い
てエステル化して一般式(5)とする。ここで使用する
α−ヒドロキシ酸エステルは、市販の乳酸、グリコール
酸または市販のアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシン等)のアミノ基を亜硝酸と硫酸を用い
る方法でアミノ基をヒドロキシ基に変換したα−ヒドロ
キシ酸と置換基Xに相当する炭素鎖を持つアルコールを
硫酸存在下、脱水縮合することにより得られる。
【0029】上記一般式(5)で示される化合物の保護
基を1NのLiOH水溶液を用いて除去し、一般式
(6)で示される化合物が得られる。
【0030】《反応Bについて》一般式(7)で示され
る化合物は、p−ヒドロキシビフェニルカルボン酸とア
ルキルブロマイドをアルカリ溶液中で反応させることに
より目的とするp−アルコキシビフェニルカルボン酸を
得ることができる。
【0031】この化合物を反応Aによって得た一般式
(6)によって表される化合物と反応に先立ち、まず塩
化チオニルと加熱還流して酸クロライド化したのち、一
般式(6)で表される化合物と溶媒中(ベンゼン、エー
テル等)ピリジンと加熱還流を行うことにより目的とす
る化合物、一般式(1)で示される桂皮酸誘導体が得ら
れる。
【0032】ここで得られた桂皮酸誘導体は、光学活性
な化合物の場合単独で応答性、メモリ性に優れた強誘電
性液晶化合物としても使用できるが、他の少なくとも1
種の液晶性化合物に混合して液晶組成物としたときは、
c *相を呈する強誘電性液晶表示として使用できる。
【0033】ここで好ましい他の液晶性化合物として
は、下記一般式(8)で示される化合物を挙げることが
できる。
【化20】
【0034】この一般式(8)で示される化合物を例示
すると、下記一般式(9)(特願平1−158993)
で表されるトラネキサム酸誘導体、
【化21】 下記一般式(10)(特願平2−86948)で表され
るアミン誘導体、
【化22】 下記一般式(11)(特願平2−149487)で表さ
れるトラネキサム酸誘導体、
【化23】 下記一般式(12)で表されるアミン誘導体、
【化24】 などを挙げることができる。
【0035】これらほかの液晶化合物またはそれらの混
合物に対し、本発明の桂皮酸誘導体の配合割合は、液晶
組成物全体に対し少なくとも約2%以上配合することが
好ましい。
【0036】なお、本発明の桂皮酸誘導体において、一
般式(1)におけるRまたはXのアルキル基の炭素数は
多少増減しても液晶性に与える影響はさほど大きいもの
ではない。
【0037】
【作用】本発明における一般式(1)で示される化合物
は、コア部分としてビフェニル基と桂皮酸を用い、側鎖
部分にα−ヒドロキシ酸を用いたスメクチック液晶化合
物であって、液晶として有用な新規な桂皮酸誘導体であ
る。
【0038】桂皮酸誘導体としてアミノ酸を直接用いた
場合は高温で、自発分極も小さかったが、乳酸、アミノ
酸から誘導したα−ヒドロキシ酸を用いることにより低
温化し、光学活性な化合物では光学不活性化合物に比し
自発分極も2倍近くになった。
【0039】また、桂皮酸誘導体部分にビフェニル基を
導入することにより液晶層が安定化してスメクチックX
相(SX )、スメクチックC相(SC )が出現し、光学
活性な化合物の場合強誘電性を示すようになった。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明の化合物について
更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により
限定されるものではない。
【0041】以下I、N* 、A、C、C* 、X、X*
Kはそれぞれ等方相、コレステリック相(光学活性)、
スメクチックA相、スメクチックC相、キラルスメクチ
ックC相、スメクチックX相、キラルスメクチックX
相、結晶を示す。
【0042】本発明の化合物の精製は、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーおよび酢酸エチル、ヘキサンによ
る再結晶にて行った。以下に示す相転移点の測定値は物
質の純度により若干の影響を受けることもある。
【0043】(実施例1) [1−1]α−シアノ−4−アセトキシ桂皮酸の合成 市販のα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸9.5gをピ
リジン50mlに溶解し、これに無水酢酸10mlを滴
加して室温で3時間撹拌反応させた。次いで、反応液を
5wt%塩酸水溶液中に滴下し、析出した反応物を濾
別、水洗、乾燥して4−アセトキシ−α−シアノ桂皮酸
10gを得た。
【0044】[1−2]2−(S)−ヒドロキシ−3−
メチル−ブタン酸エチルの合成 0.5モル硫酸200ml中にL−バリン15gを溶解
させる。0〜−2℃に維持しながら1.5時間かけて水
50ml中の亜硝酸ナトリウム13gの冷たい溶液を滴
加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し続け、次に固体
の重炭酸ナトリウムを加えてpHを6に調整した。50
℃減圧下で溶液を約70mlまで濃縮した。40%H3
PO4 で溶液をpH3に酸性化し、粗生成物をTHF中
に抽出した。THF溶液を食塩水で洗い、MgSO4
乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色油状物13gを得た。
【0045】上記の油状物13gをエタノール80ml
に溶解し、濃硫酸3mlを加え70℃で3時間加熱還流
する。反応終了後、減圧でエタノールを留去し、残渣を
氷冷水80mlに注ぎ、エーテル(50ml×3)で抽
出する。エーテル抽出物を水(50ml×2)、食塩水
で順次洗浄し、Na2 SO4 で乾燥後、溶媒を減圧で留
去し、2−(S)−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸エ
チル7.25gを得た。
【0046】[1−3]α−シアノ−4−アセトキシ桂
皮酸−1−(S)−エトキシカルボニル−2−メチルプ
ロピルエステルの合成 α−シアノ−4−アセトキシ桂皮酸2.31g、塩化チ
オニル7.21ml、DMF1dropを約2時間加熱
還流し、酸クロライド化する。塩化チオニルを留去し、
(1−2)で合成した化合物1.46g、ピリジン4.
04ml、エーテル25ml、DMF1dropを加
え、約5時間加熱還流し、エステル化を終了した。
【0047】後処理後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより精製し、α−シアノ−4−アセトキシ桂皮
酸−1(S)−エトキシカルボニル−2−メチルプロピ
ルエステル1.91gを得た。
【0048】[1−4]α−シアノ−4−ヒドロキシ桂
皮酸−1(S)−エトキシカルボニル−2−メチルプロ
ピルエステルの合成 [1−3]で合成した化合物0.95gをTHF10m
lに溶解し、1NLiOH5mlを滴加する。室温で約
5時間撹拌し、アセトキシ基を選択的に加水分解して脱
離させる。カラムクロマトグラフィーによる精製後、目
的のα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸−1−エトキシ
カルボニル−2−メチルプロピルエステル0.23gを
得た。
【0049】[1−5]4−オキシカルボニル(4’−
n−ラウリルオキシビフェニル)α−シアノ桂皮酸−1
(S)−エトキシカルボニル−2−メチルプロピルエス
テルの合成 ラウリルオキシビフェニルカルボン酸0.30g、塩化
チオニル0.57ml、DMF1dropを約2時間加
熱還流し、酸クロライド化する。塩化チオニルを留去
し、(1−4)で合成した化合物0.23g、ピリジン
0.26ml、トルエン12ml、DMF1dropを
加え、約5時間加熱還流し、エステル化を終了した。後
処理後カラムクロマトグラフィー再結晶により精製し、
目的の化合物0.3gを得た。
【0050】取得物について赤外線吸収スペクトル、元
素分析 'H−NMRの測定により構造を確認した。次
に、この物質の相転移温度を測定した結果を表1に示
す。相転移温度は偏光顕微鏡による目視観察と示差走査
熱量計を併用して判定した。また図1に自発分極の温度
依存性を示した。更に表1に応答速度を示した。自発分
極と応答速度の測定は、以下の方法によった。
【0051】〈自発分極の測定〉化合物を加熱して等方
性液体とした後、厚さ3.3μmのポリエチレンテレフ
タレートフィルムを介した2枚のガラス基板(ITO透
明電極付き)間に真空注入法により注入し、薄膜液晶セ
ルを作製した。然る後、スペーサエッジ法(Ishik
awa et al.,JapaneseJourna
l of Applied Physics,Vol.
23,No.4,p.L211,1984)により温度
勾配をかけながら徐冷することによりSA 相を配向さ
せ、更にSA −SC *転移温度まで低下させた。
【0052】この状態から温度を低下させながら、三角
波電圧印加法(Miyasatoet al.,Jap
anese Journal of Applied
Physics,Vol.22,No.10,p.L6
61,1983)により自発分極値を測定し、図1曲線
1に示すような自発分極の温度変化を得た。
【0053】〈応答速度の測定〉上記と同じ薄膜液晶セ
ルにSA −SC *転移以下の温度で矩形波電圧(10〜5
0Vp−p、50Hz)を印加し、このとき得られた分
極反転電流ピークの半値幅twから(I)式により応答
速度τを求め、 τ=tw/1.75 (I) これを(II)式により印加電圧50Vの場合に換算した
応答速度τ’とし(印加電圧をE(V)とする。)、 τ’=(E/50)τ (II) この値を表1に併記して示す。
【0054】(実施例2)一般式(1)においてRはC
1225、XはC25 、YはCH(CH3 )CH2 CH
3 、ZはCNである化合物を実施例1と同様にしてそれ
ぞれ合成した。また得られた化合物が目的の構造を持つ
化合物であることは実施例1と同様に赤外線吸収スペク
トル及び 'H−NMRによって確認した。これらの物質
について実施例1と同様にして相転移温度、自発分極の
温度依存性及び応答速度を測定した。
【0055】表1に実施例2で得た化合物の相転移温度
と応答速度の例を併記して示す。図1に自発分極の温度
依存性を示す。これらの結果から本発明による桂皮酸誘
導体は室温〜120℃という比較的低温でしかも広い温
度範囲でスメクチック相を示すことがわかる。これらの
スメクチック相のうち強誘電性を示し、特に有用なキラ
ルスメクチックC相(SC *相)はより低温で高い自発分
極値を示すものほど有利である。
【0056】
【表1】
【0057】(実施例3)実施例1で合成した化合物を
下記に示すノンキラルアミン系液晶(A)と種々の割合
で混合し、相転移温度を測定して図2に示すような相図
を得た。これらの液晶組成物は広い温度範囲で強誘電性
を示した。
【化25】 実施例1で合成した化合物を(A)80重量%部に対し
20重量%部添加して作製した液晶組成物について、ポ
リイミドを塗布し、ラビング処理を施した透明電極付き
ガラス板からなる厚さ3.3μmのセルに注入し、矩形
波電圧(30VP-P ,50Hz)を印加したところ、明
瞭な明暗のスイッチングを示した。透明光強度の変化
(10〜90%)により求めた応答速度は50℃で約3
00μsecであった。
【0058】(実施例4)実施例1で合成した化合物を
下記に示すノンキラルアミン系液晶(B)80重量%部
に対し、20重量%部添加して強誘電性液晶組成物を作
製した。
【化26】 この液晶組成物は広い温度範囲で強誘電性を呈し、その
相転移は、 であった。次に実施例3と同様にセルに組成物を注入
し、矩形波電圧(30VP-P ,50Hz)を印加したと
ころ、明瞭な明暗のスイッチングを示し、透過光強度の
変化(10〜90%)により求めた応答速度は60℃で
約500μsecであった。
【0059】
【発明の効果】以上例示したように、本発明の化合物は
安価で入手しやすい乳酸、アミノ酸などを用い、比較的
常温に近く広い温度範囲においてスメクチック相及び、
光学活性な化合物の場合特に有用なSC *相を呈する。
【0060】特に本発明の化合物の特徴として、それ自
身が光学活性炭素を含む化合物である場合は種々の他の
スメクチックC相を有する(キラルであってもなくとも
よい。)液晶に混合して、Sc *相を有する液晶組成物の
混合用成分として、またそれ自身光学活性炭素を含まな
い化合物の場合は光学活性を有する化合物と混合してS
c *相を有する液晶組成物の混合用成分として有用であ
り、強誘電性を示す温度領域、自発分極、応答性を改善
するに適合性ある化合物である。
【0061】従って、単独にあるいは他のネマチック、
スメクチックあるいは強誘電性液晶と適切に配合させる
ことにより実用温度領域において電気光学的効果を応用
した液晶表示素子の材料として有用な新規な化合物を簡
単に廉価に提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自発分極の温度依存性を示し、図中曲線1,
2はそれぞれ実施例1,2の化合物に対応する。
【図2】 4−(N−ヘプチル−N−メチルアミノメチ
ル)安息香酸4”−ノニルオキシカルボニル−4’−ビ
フェニルエステル及び実施例1で得られた化合物の混合
物の相転移温度曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−239250(JP,A) 特開 昭62−174046(JP,A) 特開 平3−109366(JP,A) 特開 平4−316545(JP,A) 特開 平3−218338(JP,A) 特開 平3−284656(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/94 C07C 255/38 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中Rは炭素数6〜16の直鎖のアルキル基、Xは炭
    素数1〜6のアルキル基、YはCH3 、CH2 CH(C
    32 、CH(CH32 およびCH(CH3)CH2
    CH3 から選ばれる一種の基、ZはCN、CH3 及び
    Hから選ばれる1種の基を表す。)で表される桂皮酸誘
    導体。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 (式中ZはCN、CH3 及びHから選ばれる一種の基を
    表す。)で表される化合物をピリジン中の無水酢酸と反
    応させて保護基をつけ、一般式(3) 【化3】 (式中Zは一般式(2)と同じ。)で表される化合物を
    得た後、一般式(4) 【化4】 (式中Xは炭素数1〜6のアルキル基、YはCH3 、C
    2 CH(CH32 、CH(CH32 およびCH
    (CH3 )CH2 CH3 から選ばれる一種の基またはZ
    はCN、CH3 およびHから選ばれる一種の基を表
    す。)で表されるα−ヒドロキシ酸と反応させ、一般式
    (5) 【化5】 (式中Xは炭素数1〜6のアルキル基、YはCH3 、C
    2 CH(CH32 、CH(CH32 およびCH
    (CH3 )CH2 CH3 から選ばれる一種の基、ZはC
    N、CH3 およびHから選ばれる一種の基を表す。)の
    化合物とした後、保護基を除き、一般式(6) 【化6】 (式中X,Y及びZは一般式(5)と同じ。)としたの
    ち、一般式(7) 【化7】 (式中Rは炭素数6〜16の直鎖アルキル基を表す。)
    で表される化合物と反応させることを特徴とする一般式
    (1)で表される桂皮酸誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の桂皮酸誘導体を配合成分
    として含有する液晶組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の桂皮酸誘導体と一般式
    (8)で表される化合物の少なくとも一種を配合成分と
    して含有する液晶組成物。 【化8】
  5. 【請求項5】 請求項1記載の桂皮酸誘導体と一般式
    (9)で表される化合物の少なくとも一種を配合成分と
    して含有する請求項3または4記載の液晶組成物。 【化9】
  6. 【請求項6】 請求項1記載の桂皮酸誘導体と一般式
    (10)で表される化合物の少なくとも一種を配合成分
    として含有する請求項3または4記載の液晶組成物。 【化10】
  7. 【請求項7】 請求項1記載の桂皮酸誘導体と一般式
    (11)で表される化合物の少なくとも一種を配合成分
    として含有する請求項3または4記載の液晶組成物。 【化11】
  8. 【請求項8】 請求項1記載の桂皮酸誘導体と一般式
    (12)で表される化合物の少なくとも一種を配合成分
    として含有する請求項3または4記載の液晶組成物。 【化12】
  9. 【請求項9】 請求項1記載の誘導体または請求項3記
    載の液晶組成物の少なくとも一種を使用して構成された
    液晶素子。
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