JP2953996B2 - 金属被覆カーボンナノチューブおよびその製造方法 - Google Patents

金属被覆カーボンナノチューブおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】カーボンナノチューブと金属の複
合材料の中間物質として、また固体触媒として利用でき
る金属被覆カーボンナノチューブおよびその製造方法に
関するものである。化学からエレクトロニクスに渡る次
世代の産業分野、特に化学、触媒、金属、電子デバイス
を扱うエレクトロニクスの分野での応用が期待される。
【0002】
【従来の技術】カーボンナノチューブは、厚さ数原子層
のグラファイト状炭素原子面を丸めた円筒が1個あるい
は複数個入れ子になったものであり、外径がnmオーダ
ーの極めて微小な物質である。カーボンナノチューブ
は、炭素棒を電極としたアーク放電により得られ、その
大量合成法は特開平6−280116号公報、特開平6
−157016号公報により知られている。また、高収
率精製法も開発(特願平6−153192号出願明細
書)され、グラムオーダー以上の比較的純粋なカーボン
ナノチューブの利用が可能となっている。カーボンナノ
チューブは、理論上特異な電気的物性を持つこと、ま
た、微小で表面積が大きい、アスペクト比(長さ/直径
比)が大きい、中空であるといった独特の形状を有する
こと、さらに形状に由来する特殊な表面の性質を持つこ
とから、新しい炭素材料として産業上への適用が期待さ
れている。しかしながら、ナノチューブの表面を他物質
で覆う簡単な方法は知られておらず、特に、金属でナノ
チューブ被覆する技術の報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属でナノチューブを
被覆する方法として、溶融した金属でナノチューブを濡
らして、被覆する方法が容易に類推される。しかしなが
ら、溶融金属は高い表面張力を持つため、ナノチューブ
を濡らすことができず、大きな粒となって弾かれてしま
うことが、論文(サイエンス(Science)、Vo
l.265、1850−1852、(1994年))か
ら明らかになっている。また、一般に金属は高融点であ
るため、溶融金属とナノチューブを接触させると化学反
応が起こり、ナノチューブの構造を破壊してしまう可能
性が高い。さらに、被覆された金属以外の余分な金属を
取り除くのが困難である。このように、金属を直接利用
する方法には幾つかの欠点がある。
【0004】本発明の目的は、このような欠点を回避す
るため、金属自体をそのまま利用するのではなく、液相
中、穏和な条件下で製造された金属で被覆されたカーボ
ンナノチューブとその製法を提供することである。別の
面から見ると、非常に微細で、細長いという特異な形状
を持つナノチューブを鋳型とした金属ナノワイヤー(量
子細線)を作ることである。本発明により、固体触媒機
能を有するカーボンナノチューブや、カーボンナノチュ
ーブと金属の複合材料の中間物質として利用できるカー
ボンナノチューブが得られる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1の発明は、金属で表面が被覆されてい
ることを特徴とするカーボンナノチューブである。第2
の発明は、液相中で酸化剤またはニトロ化剤またはスル
フォン化剤より選ばれた反応試薬とカーボンナノチュー
ブとを化学反応させることにより、前記チューブ表面に
官能基が導入されたカーボンナノチューブを作製する工
程と、官能基が導入されたカーボンナノチューブを金属
塩を含有する溶液と接触させ、前記官能基によりイオン
交換反応または求酸素反応または還元反応を行わせる工
程からなることを特徴とする金属被覆カーボンナノチュ
ーブの製造方法である。
【0006】本発明は、液相中の穏和な条件下、イオン
交換反応、求酸素反応、還元反応などの化学反応を利用
して、金属を含むイオンを金属もしくは金属塩として析
出させ、金属でナノチューブを被覆することを特徴とし
ている。被覆する金属としては、ウラン(U)に代表さ
れるアクチノイド、イットリウム(Y)に代表されるラ
ンタノイド、ルテニウム(Ru)や銀(Ag)に代表さ
れる遷移金属、錫(Sn)に代表される典型元素金属で
ある。
【0007】
【作用】カーボンナノチューブは、その直径が数〜十数
nm、長さが数μmという、極微のグラファイトの針状
結晶であり、また、アスペクト比が数百から数千とい
う、擬1次元的構造を持つ新しい炭素材料として知られ
ている。その特異的な構造から、触媒、構造強化剤など
様々な用途が考案されている。また、ナノチューブはそ
の直径と螺旋度に依存して半導体から金属に変化すると
いう特異な電気的物性を持つため、電子デバイスとして
の利用も検討されている。ナノチューブを利用するにあ
たって、ナノチューブの表面の性質は重要な意味を持
つ。とりわけ、ナノチューブ表面を様々な反応の場とし
て用いる場合、表面の化学状態は反応に直接影響を与え
る。
【0008】カーボンナノチューブの表面を覆うグラフ
ァイト面を化学修飾し、基本的な官能基を導入したカー
ボンナノチューブの製造方法が、特願平6−15319
2号出願明細書で報告されている。これは、液層中で酸
化剤またはニトロ化剤またはスルフォン化剤より選ばれ
た反応試薬とカーボンナノチューブとを化学反応させ、
カーボンナノチューブを酸化処理することにより、チュ
ーブ表面にニトロ基(−NO)、スルホン基(−SO
H)、カルボキシル基(−COOH)、カルボニル基
(>C=O)、エーテル基(C−O−C)、フェノール
性水酸基(−OH)などの種々の官能基を導入したもの
である。反応試薬としては、例えば、硫酸、硝酸、硫酸
−硝酸混合溶液、過マンガン酸カリウム希硫酸溶液など
が用いられる。これらの表面官能基は、ナノチューブを
液体に対して濡れ易くする働きがあり、ナノチューブの
懸濁水溶液を酸性にする。本発明では、液相中で、これ
らナノチューブの表面官能基と金属を含むイオンとのイ
オン交換反応、求酸素反応、還元反応などの化学反応を
行うことにより、カーボンナノチューブを金属で被覆す
る。
【0009】イオン交換反応を利用するカーボンナノチ
ューブの被覆例について述べる。まず、ナノチューブの
表面官能基のカルボキシル基(NT−COOH)のプロ
トン(H)を他の金属を含むイオン(M)で置換す
る。
【0010】 NT−COOH+M→NT−COO+H (1) 例えば、酢酸ウラニル(UO(CHCOO))を
ナノチューブに作用させると、プロトン(H)はウラ
ニルイオン(UO 2+)に置き替わり、ナノチューブ
表面にウラニルイオン(UO 2+)が固定される。次
に、加熱や電子線照射によりウラニルイオン(UO
2+)中の酸素を取り除くと、金属ウラン(U)がナノ
チューブ表面に析出し、結果として、ナノチューブは金
属ウランで被覆される。この反応は酸化反応などの化学
処理をしていないナノチューブでは起こらない。この事
実は、イオン交換反応に対して、ナノチューブの表面官
能基の存在が必要条件であることを示している。ナノチ
ューブの表面官能基であるカルボキシル基(−COO
H)のイオン交換は様々な陽イオンに対して行うことが
できるため、陽イオン交換された様々なナノチューブを
得ることができる。
【0011】ランタノイド(Ln)でナノチューブを被
覆する場合は、シクロペンタジエニルランタノイド(L
n(C2or3)とナノチューブ表面に存在す
るすべての表面官能基の反応を用いる。トリシクロペン
タジエニルイットリウム(Y(C)の場合、
表面官能基に対して求酸素的反応(oxophili
c)を行い、分解してイットリウム(Y)を放出し、ナ
ノチューブを被覆する。同様の反応を表面官能基が存在
しないナノチューブに対して行っても金属による被覆は
見られない。この反応の場合も、イオン交換反応同様、
ナノチューブの表面官能基が必要である。
【0012】遷移金属でナノチューブを被覆する場合
は、ナノチューブの表面官能基の1つであるアルデヒド
基(−CHO)による金属イオンから0価の金属への還
元反応を利用する。例えば、銀(Ag)の場合は下記の
反応式(2)で表される。
【0013】 Ag+ −CHO+HO→Ag↓+ −COOH+OH (2) 上記反応を起こす前に、ナノチューブをホルムアルデヒ
ド水溶液(HCHOaq.)で前処理することにより、
ナノチューブをより多くの銀(Ag)で被覆することが
できる。前処理による析出銀の増大効果は、ナノチュー
ブ表面に吸着したホルムアルデヒド(HCHO)が、さ
らに銀イオン(Ag)を銀(Ag)に還元するためと
考えられる。一方、酸化処理していない、すなわち、ナ
ノチューブの表面に官能基が存在しないナノチューブに
対して、銀イオン(Ag)の還元反応およびホルムア
ルデヒド水溶液(HCHOaq.)による前処理の反応
を行っても、銀によるナノチューブの被覆が見られな
い。このことは、ナノチューブの表面官能基が銀イオン
(Ag)から銀(Ag)への還元反応に不可欠であ
り、表面官能基が銀析出の核形成の活性点として働くこ
とを示している。
【0014】白金族元素のルテニウム(Ru)の場合、
以下の反応式(3)で表される酸化還元反応を用いる。 2RuCl+3CHOH→2Ru↓+3HCHO+6HCl (3)
【0015】ここで、ルテニウムイオン(Ru3+)は
メタノール(CHOH)により還元され、金属ルテニ
ウム(Ru)として析出する。ただし、この反応によ
る被覆は、ナノチューブに表面官能基が存在する場合に
起こるが、表面官能基がない場合には起こらない。従っ
て、ナノチューブの表面官能基(例えば、水酸基:−O
H)によって、直接、ルテニウムイオン(Ru3+)が
還元されたか、表面官能基が金属粒子の核形成の活性点
になり、メタノールによって還元された金属ルテニウム
(Ru)が析出した可能性が高い。
【0016】スズ(Sn)に代表される典型元素の場
合、以下の反応式(4)で表される還元反応を用いる。 Sn2++2e→Sn↓ (4) ここで、スズイオン(Sn2+)はナノチューブの表面
官能基により還元され、金属スズとして析出し、これが
ナノチューブを被覆する。この反応は表面官能基がない
ナノチューブでは起こらないことから、スズ(Sn)に
よる被覆に表面官能基が不可欠である。
【0017】
【実施例】本発明の一実施例を以下に示す。得られたカ
ーボンナノチューブのサンプルの被覆状態を調べるた
め、TEM(透過型電子顕微鏡)により観察を行った。
また、ナノチューブ被覆物の元素を同定するために、E
DX(エネルギー分散X線マイクロ分析)スペクトルを
測定した。
【0018】(実施例1) ウラン(U)によるカーボ
ンナノチューブの被覆 まず、炭素アーク放電法(特開平6−280116号公
報、特開平6−157016号公報)で合成されたカー
ボンナノチューブを、特願平6−153192号出願明
細書に記載のように、硫酸、硝酸、硫酸−硝酸混合溶
液、過マンガン酸カリウム希硫酸溶液等の試薬と反応さ
せて、酸化処理することにより、カーボンナノチューブ
表面に例えばカルボキシル基(−COOH)のような官
能基を導入したカーボンナノチューブを、原料カーボン
ナノチューブとして用意した。
【0019】この原料ナノチューブを1mol/1程度
の濃度の酢酸ウラニル(UO(CHCOO))の
水溶液に浸す。超音波分散させ、大部分の反応したナノ
チューブが沈澱したら、ガラスフィルターで濾過後、真
空下、乾燥する。金属ウラン(U)をナノチューブに折
出させるためには、上記で得られたサンプルに対して、
加熱もしくは電子線の照射を行う。
【0020】本実施例(ウラン(U)によるナノチュー
ブの被覆)で得られたサンプルのTEM写真を図1に示
す。比較のため、酸化処理などの化学処理をしていない
ナノチューブ、すなわち、表面官能基がないナノチュー
ブに対して、実施例1と同様の処理を施したサンプルの
TEM写真を図2に示す。図3はEDXスペクトルを表
し、(a)が図1に対応するナノチューブのスペクト
ル、(b)が図2に対応するナノチューブに対するスペ
クトルである。図1のTEM写真ではナノチューブの表
面に被覆が見られるのに対して、図2のTEM写真では
被覆は見られない。図3のEDXスペクトルから明らか
なように、図1のナノチューブの被覆物は、ウラン
(U)(エネルギー値:約3.3keV)を含む。以上
の結果から、酸化処理されたナノチューブに対して実施
例2で示される処理を行った場合、表面官能基のカルボ
キシル基(−COOH)のプロトン(H)とウラニル
イオン(UO 2+)のイオン交換反応が起こり、ナノ
チューブが被覆されていることが確認された。また、図
1のナノチューブの観察を続けると、表面上の皮膜が数
多くの液滴に変化する様子が観察される。液滴生成は、
電子線照射により、ナノチューブ表面にイオン交換で生
成した−COOUO 2+中のウラン(U)が金属と
して析出溶融したためであり、結果としてナノチューブ
はウラン(U)で被覆されることが確認された。また、
他のアクチノイドも同様な方法でナノチューブに被覆が
可能である。
【0021】(実施例2) イットリウム(Y)による
ナノチューブの被覆 実施例1と同様の原料ナノチューブとシクロペンタジエ
ニルランタノイド(Y(C)を乾燥トルエン
中に分散させる。水分、酸素の影響を除外するため、操
作はすべて、不活性気体で置換されたグローブボックス
の中で行う。反応したナノチューブを溶液から分離し、
新しく用意した乾燥トルエンで洗い、乾燥させる。
【0022】実施例2(イットリウム(Y)によるナノ
チューブの被覆)で得られたナノチューブのTEM写真
を図4に示す。比較のため、酸化処理などの化学処理を
していないナノチューブ、すなわち、表面官能基がない
ナノチューブに対して、実施例2と同様の処理を施した
サンプルのTEM写真を図5に示す。図4のTEM写真
ではナノチューブの表面に被覆が見られるのに対して、
図5のTEM写真では被覆は見られない。また、EDX
スペクトルの測定から、図4のサンプルからはY(イッ
トリウム)が検出されるのに対して、図5のサンプルは
Y(イットリウム)は全く検出されなかった。以上の結
果から、酸化処理されたナノチューブを用いて実施例2
で示される処理を行った場合、表面官能基が関与する反
応が起こり、結果としてナノチューブがY(イットリウ
ム)で被覆されていることが確認された。なお、他のラ
ンタノイドも同様な方法で被覆可能である。
【0023】(実施例3) 銀(Ag)によるナノチュ
ーブの被覆 実施例1と同様の原料ナノチューブ0.100g、硝酸
銀(AgNO)4.00gを純水10mlに超音波分
散させ、懸濁液を得る。次に、この懸濁液を撹拌させな
がら、1.5時間穏やかに沸騰させる。反応終了後、室
温まで冷却、ガラスフィルターで濾過し、フィルター上
の残留物を純水で洗浄する。その後、約80℃で真空乾
燥させる。なお、上述の通り、前処理として、ナノチュ
ーブをホルムアルデヒド水溶液(HCHOaq.)で処
理すると、還元反応が増幅され、多数のAg超微粒子で
ナノチューブを被覆することが可能となる。
【0024】実施例3(銀(Ag)によるナノチューブ
の被覆)で得られたナノチューブのTEM写真を図6に
示す。比較のため、酸化処理などの化学処理をしていな
いナノチューブ、すなわち、表面官能基がないナノチュ
ーブに対して、実施例3と同様の処理を施したサンプル
のTEM写真を図7に示す。図6では、直径5〜10n
m程度のAgの超微粒子がマシュマロ状にナノチューブ
に担持されているのに対して、図7では、ナノチューブ
が全く被覆されていない。EDXスペクトルの測定結果
から、被覆物は銀(Ag)と同定された。以上の結果か
ら、銀(Ag)によるナノチューブの被覆が確認され
た。なお、ホルムアルデヒド(HCHO)で金属イオン
から還元可能な金属、例えば、銅(Cu)、ニッケル
(Ni)、水銀(Hg)、金(Au)、白金(Pt)
(以上遷移元素に属する金属)、ビスマス(Bi)(典
型元素に属する金属)なども、実施例3と同様な処理を
用いることにより、ナノチューブに被覆可能である。
【0025】(実施例4) ルテニウム(Ru)による
ナノチューブの被覆 実施例1と同様の原料ナノチューブ0.100g、塩化
ルテニウム(RuCl nHO)0.500gを5
0mlのメタノールに超音波分散させた懸濁液を用意す
る。次に、この懸濁液を撹拌下、110℃で1時間還流
する。反応終了後、室温まで冷却し、ガラスフィルター
で濾過を行い、メタノール、次いで純水で洗浄する。フ
ィルター上の残留物である金属で被覆されたナノチュー
ブを真空下、80℃で乾燥する。乾燥重量は0.140
gで、使用した全ルテニウムの約10%がナノチューブ
を被覆する。
【0026】実施例4(ルテニウム(Ru)によるナノ
チューブの被覆)で得られたナノチューブのTEM写真
を図8に示す。比較のため、酸化処理などの化学処理を
していないナノチューブ、すなわち、表面官能基がない
ナノチューブに対して、実施例4と同様の処理を施した
サンプルのTEM写真を図9に示す。図8のナノチュー
ブは直径数nmの微粒子で覆われているが、図9のナノ
チューブは何も付着していない。EDXの結果、図8の
微粒子はルテニウム(Ru)であることが同定された。
従って、ルテニウム(Ru)でナノチューブを被覆する
ことができることが確認された。実施例4と同様な方法
で、ルテニウム(Ru)と性質が似通った白金族元素
(ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム
(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))もナノ
チューブに被覆可能である。
【0027】(実施例5) スズ(Sn)によるナノチ
ューブの被覆 0.5mlの濃塩酸(HCl:36%)を25mlの純
水に加え酸性とし、それに1.00gの塩化スズ(Sn
Cl)を溶解させる。実施例1と同様の原料ナノチュ
ーブ0.100gを前述の塩化スズ塩酸酸性水溶液に超
音波分散させる。大部分の反応したナノチューブが沈澱
したら、ガラスフィルターで濾過し、純水で十分洗浄
後、真空下、80℃で乾燥させる。
【0028】実施例5(スズ(Sn)によるナノチュー
ブの被覆)で得られたナノチューブのTEM写真を図1
0に示す。この図から、ナノチューブ表面に直径が2n
m前後の非常に細かい微粒子が多数付着していることが
分かる。EDXスペクトルの測定からこの付着物はSn
であることが同定された。以上から、スズ(Sn)でナ
ノチューブを被覆することが可能であることが確認され
た。
【0029】以上の方法で得られる金属で被覆されたナ
ノチューブの利用方法を述べる。まず、ナノチューブと
金属の複合材料の中間物質として利用できる。金属でナ
ノチューブを本発明の方法で覆うことにより、複合化す
る金属となじみ易くなり、また、ナノチューブ単体では
反応が起こってしまうような金属でも、金属の被覆を施
すことにより、それを防ぐことができる。さらに、本発
明で得られる金属で被覆されたナノチューブに、電気化
学的方法を用いることにより、別の金属をめっきするこ
ともできる。
【0030】次に、固体触媒としての利用が挙げられ
る。この場合、ナノチューブ自体は触媒である金属微粒
子のシンタリング(溶融)を防ぎ、高分散状態を保つ担
体媒体の役割を持つ。ルテニウム(Ru)で被覆された
ナノチューブは、一酸化炭素(CO)の水素によるメタ
ン化(CH)、銀(Ag)で被覆されたナノチューブ
は、エチレン(C)の酸素によるエポキシ化(エ
チレンオキサイド)などの触媒として利用できる。ま
た、他の金属をナノチューブに被覆させた場合、下記の
触媒に利用例が挙げられる。
【0031】 (触媒の例) Pt:CO+1/2O→CO (排ガスの完全燃焼) Pd:C12→C+3H(ガソリンの改質(リフォーミング)) Ni:C12→C+3H(ガソリンの改質(リフォーミング)) CO+3H→CH+HO (一酸化炭素のメタン化) Ru:CO+3H→CH+HO (一酸化炭素のメタン化) Fe:CO+(n/2m)H→1/mC+HO (一酸化炭素の炭化水素化) Rh:CO+2H→1/2COH+1/2HO (一酸化炭素のメタノール化) Ir:C+H→2CH (炭化水素のクラッキング)
【0032】また、金属で被覆されたナノチューブはナ
ノワイヤー(量子細線)と見なすことができるため、電
子デバイスへの応用が考えられる。金属で覆われている
ため擬1次元的電気伝導体として働くほか、強磁性を示
す金属(Fe,Co,Ni)で被覆すれば、非常に微細
でしかも細長い磁性材料として用いることができる。こ
の磁性体で覆われたナノチューブを液体に分散させれば
磁性流体として利用できる。通常の磁性流体はほぼ球形
の金属微粒子が分散したものであるが、ナノチューブは
非常に大きいアスペクト比を持つため、特異な磁性を示
すことが期待される。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ナノチューブの構造を
破壊することなく、液相中穏和な条件下でカーボンナノ
チューブ表面を金属で被覆することができ、これにより
固体触媒や、カーボンナノチューブと金属の複合材料の
中間物質、磁性材料として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化されたナノチューブに対して実施例1の処
理を行った場合のTEM写真(倍率:500,000
倍)をイメージ化した図。
【図2】酸化されていないナノチューブに対して実施例
1の処理を行った場合のTEM写真(倍率:500,0
00倍)をイメージ化した図。
【図3】EDX(エネルギー分散X線マイクロ分析)ス
ペクトル (a)酸化処理されたナノチューブを使用した場合 (b)酸化処理されていないナノチューブを使用した場
【図4】酸化されたナノチューブに対して実施例2の処
理を行った場合のTEM写真(倍率:61,600倍)
をイメージ化した図。
【図5】酸化されていないナノチューブに対して実施例
2の処理を行った場合のTEM写真(倍率:61,60
0倍)をイメージ化した図。
【図6】酸化されたナノチューブに対して実施例3の処
理を行った場合のTEM写真(倍率:234,000
倍)をイメージ化した図。
【図7】酸化されていないナノチューブに対して実施例
3の処理を行った場合のTEM写真(倍率:234,0
00倍)をイメージ化した図。
【図8】酸化されたナノチューブに対して実施例4の処
理を行った場合のTEM写真(倍率:234,000
倍)をイメージ化した図。
【図9】酸化されていないナノチューブに対して実施例
4の処理を行った場合のTEM写真(倍率:234,0
00倍)をイメージ化した図。
【図10】酸化されたナノチューブに対して実施例5の
処理を行った場合のTEM写真(倍率:234,000
倍)をイメージ化した図。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面
    を丸めた円筒が1個あるいは複数個入れ子になったカー
    ボンナノチューブの表面に金属が被覆されていることを
    特徴とするカーボンナノチューブ。
  2. 【請求項2】 液相中で酸化剤またはニトロ化剤または
    スルフォン化剤より選ばれた反応試薬とカーボンナノチ
    ューブとを化学反応させることにより、前記チューブ表
    面に官能基が導入されたカーボンナノチューブを作製す
    る工程と、前記官能基が導入されたカーボンナノチュー
    ブを金属塩を含有する溶液と接触させ、前記官能基によ
    りイオン交換反応または求酸素反応または還元反応を行
    わせる工程からなることを特徴とする金属被覆カーボン
    ナノチューブの製造方法。
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