JP2009025159A - レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多周波発信器で生成したCW波を、送信機でパルス繰返し時間毎に切替えてパルス出力し、送信アンテナから放射され、目標で反射して、受信アレーアンテナに入射した受信信号を受信機で周波数変換し、A/D変換器でデジタル信号に変換して計測信号を得、周波数分析器で計測信号をフーリエ変換してドップラ周波数分析を行い、目標速度検出器で、振幅がしきい値を超える周波数チャンネル番号を検出して目標ドップラ周波数を得、目標の相対速度を推定し、目標角度距離・推定器で先の周波数チャンネル番号を用いて、位相回転を補正し、各周波数と各アレーアンテナの2次元補正後の検出信号を2次元周波数分析処理し目標の角度と距離を同時推定する。
【選択図】図2
Description
パルス圧縮方式は、クラッタ抑圧性能や干渉抑圧性能に優れるが、高速の相関処理演算が必要であり高い距離分解能を必要とする場合には、信号処理系の規模が大きくなるという課題がある。
FMCW方式は、比較的低速の信号処理で高い距離分解能が得られる方式であり低コスト化が必要な車載レーダ装置などにおいて多く採用されている。しかしFMCW方式は、送信波がCWであるがゆえに送受のアイソレーション問題、伝播損失の小さい近距離の不要反射物からの不要波(クラッタと呼ぶ)問題がある。
FMCWレーダにおいて、これらの問題を回避する一つの有効な手段が送受信を切替えるFMICW(FM Interrupted CW)方式であるが、この方式での所要周波数占有帯域はパルス圧縮レーダと同様であり、δRの距離分解能を得るには帯域幅B=c/(2δR) (但しcは光速) に亘る高精度なリニアFM変調波を発生させることが必要である。
このような課題を解決する手段として、例えば特許文献1や非特許文献1の多周波ステップICW(Interrupted Continuous Wave)レーダがある。
角度計測に超分解能法を用いることで、アンテナビーム幅を超える高分解能化が期待される。
さらに、時間軸の信号処理と角度計測を同時に行うことで分解能をさらに高める方法も非特許文献3に提案されている。
多周波発信器で生成されたCW波をパルス繰り返し時間毎に逐次切替えて、パルス出力した送信波を送信アンテナから空間に放射する送信機と、
送信アンテナから放射され、目標で反射して、受信アレーアンテナに入射した受信信号を送信波とミキシングしてベースバンド周波数に変換する受信機と、
受信機の出力をデジタル信号に変換し計測信号を得るA/D変換器と、
A/D変換器で計測された計測信号に対しフーリエ変換にてドップラ周波数分析を行う周波数分析器と、
周波数分析器の出力を閾値処理して出力振幅がピークとなる周波数チャンネル番号を検出し、目標ドップラ周波数を得て、目標の相対速度を推定する目標速度検出器と、
目標速度検出器が検出した周波数チャンネル番号を用いて、周波数ステップの時間差に起因する位相回転を補正し、各周波数と各アレーアンテナとの2次元補正後の検出信号を用いて、2次元周波数分析処理を行い目標の角度と距離を同時に推定する目標角度距離・推定器とを備えたものである。
図1に実施の形態1における、送受信シーケンス図を示す。図1に示すように、各周波数での送信波はパルス化されている。パルスとパルスの間隔をパルス繰り返し時間 TPRI と呼ぶ。図1の例では、パルス毎に周波数を昇順に変化させている。この周波数ステップを観測時間Tcの間で複数回(M回)繰り返す動作を行う。
多周波発信器1は、観測時間Tc内でコヒーレント(観測時間内で位相が一定)なCW波 fn (n=0,1,・・・,N-1)を発生する。次に送信機2は、それらを図1に示したシーケンスに従いパルス繰り返し時間TPRI 毎に逐次切替え、パルス出力(パルス幅 TW)する。パルス波は送信アンテナ3から空間に放射される。目標で反射した信号は受信アレーアンテナ4に入射し、受信機5で増幅と周波数変換され、A/D変換器6でデジタル信号に変換される。
以下で、A/D変換器6で計測される信号モデル式を説明するにあたり、まずパルス化していない状況における送受信信号について説明する。簡単のため振幅を1とすると送信波Tn(t)は、
このとき、受信波Rn,l(t)は受信アレーアンテナの素子番号を l(=0,・・・,N-1)とすると、
この受信波は、受信機5で、送信波 fn (n=0,1,・・・,N-1) とミキシングされてベースバンドに変換され計測信号xn,l(t) として
以上が、図1に示す実施の形態1のA/D変換器6で計測される信号モデルである。
周波数分析器7では、式(7)の計測信号に対し、まず各n,lに対するm方向のサンプリング信号をフーリエ変換する。
すなわち、周波数分析器7では受信サンプリング毎に式(7)で求められた計測信号を各n,lに対し下記式(8)に示すm方向のフーリエ変換処理を行う。
まず、目標角度距離・推定器9では、目標速度検出器8が検出した周波数チャンネル番号kpeakを用いて周波数ステップの時間差に起因する位相回転を以下のように補正する。
各周波数と各アレーアンテナという2次元補正後の式(13)の検出信号を用いて、2次元の周波数分析処理を行うことで、アレーアンテナ開口と周波数帯域を越える超分解能な角度・距離の同時推定が可能となる。2次元周波数分析処理の例として、最尤推定法、固有値分解に基づくMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法、あるいはCAPON法などが知られている。以下では、固有値分解に基づく方法の一例としてMUSIC法を採用した時の距離推定法を説明する。周波数ステップ幅Δfを等間隔に限定した場合、より計算量の小さいESPRIT法を採用することも可能である。
MUSIC法では、式(16)に示す周波数平均処理後の相関行列Rの固有展開を行い雑音の固有値に対応する固有ベクトル eα(α=1,・・・,NS-J) からなる雑音空間E=[e1, ・・・,e,NS-J]を求める。ここで、Jは信号数であり、例えば雑音の固有値より大きな固有値の数から得られる。
ステアリング(モード)ベクトルa(R,θ)に含まれる未知数は推定対象である距離Rと角度θである。MUSIC法ではこのステアリングベクトルa(R,θ)と前記雑音空間Eを用いて、
図3の下二つの図が目標角度・距離推定器9で、MUSIC法を用いたときのMUSICスペクトルのコンター図と3次元図である。それぞれ、設定した目標の角度・距離にピークが6個得られていることがわかる。この例では、受信アレーアンテナ数を8のミリ波としており、ビーム幅は約12degである。図3からビーム幅(±6deg)内の6目標の角度・距離がそれぞれ推定できていることが分かる。
図4は、実施の形態2のレーダ構成図である。この実施の形態2で多周波発信器1から目標速度検出器8までの構成と動作は、実施の形態1と同じであり、説明を省略する。
フーリエ変換による周波数分析器7の周波数分析結果が微細には送信周波数依存性を有しており、実施の形態2では周波数依存に基づく誤差を補償するために、目標角度・距離推定器9の代わりに目標速度誤差補償型角度・離推定器10を用いる。
以下、目標速度誤差補償型角度・距離推定器10の原理と動作を説明する。目標速度検出器8のフーリエ変換にてしきい値を超えるピークが得られる整数値kpeakを、変数xを用いて、
このとき、正確な周波数チャンネルkpeak出力は、
次に、式(13)と同様に位相回転補正を行うと、
よって、この実施の形態2にける目標速度誤差補償型角度・距離推定器10で用いる、MUSIC適用時のモードベクトルa(R,θ,x) は、距離Rと角度θと変数xをパラメータとして、
実施の形態2では未知パラメータ数が増えこととなるが、実施の形態1の効果を有する共により誤差の小さい角度・距離推定を行うことが期待される。なお、最尤推定法を用いる場合は、実施の形態1と同様に空間平均は適用しなくて良い。
Claims (2)
- 複数の周波数のCW波を生成する多周波発信器と、
多周波発信器で生成されたCW波をパルス繰り返し時間毎に逐次切替えて、パルス出力した送信波を送信アンテナから空間に放射する送信機と、
送信アンテナから放射され、目標で反射して、受信アレーアンテナに入射した受信信号を送信波とミキシングしてベースバンド周波数に変換する受信機と、
受信機の出力をデジタル信号に変換し計測信号を得るA/D変換器と、
A/D変換器で計測された計測信号に対しフーリエ変換にてドップラ周波数分析を行う周波数分析器と、
周波数分析器の出力を閾値処理して出力振幅がピークとなる周波数チャンネル番号を検出し、目標ドップラ周波数を得て、目標の相対速度を推定する目標速度検出器と、
目標速度検出器が検出した周波数チャンネル番号を用いて、ドップラ周波数に起因するパルス繰り返し時間間隔での位相回転を補正し、各周波数と各アレーアンテナとの2次元補正後の検出信号を用いて、2次元周波数分析処理を行い目標の角度と距離を同時に推定する目標角度距離・推定器とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 目標角度距離・推定器に代え、送信波の周波数番号nと、目標速度検出器が検出する出力振幅がしきい値を超えた周波数チャンネル番号が目標速度検出器の周波数分解能以下の周波数を表現する変数xを用いて表わされたとき、nとxを考慮して、周波数ステップの時間差に起因する位相回転の補正をし、目標の角度と距離を同時に推定する目標速度誤差補償型角度・距離推定器を用いることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
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