JP2008034302A - 発光装置 - Google Patents

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仁嗣 大阿久
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Abstract

【課題】蛍光体を用いて構成されるPDP等の発光装置において、緑色の残光特性を改善し、動画表示性能を向上させる。
【解決手段】緑蛍光体として発光中心にEu2+を用い残光特性の改善された高輝度のEu賦活珪酸塩系緑蛍光体(Ca1−xM12−e・Mg・Si:Euを使用し、PDP等の発光装置及び表示装置を構成する。前記式中において、M1はSrとBaとからなる群から選択された一種以上の元素であり、成分M1の組成比を示すx、及びEuの組成比を示すeはそれぞれ0.01≦x≦0.5、0.001≦e≦0.2である。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光装置に関し、紫外線、特に真空紫外領域の紫外線により励起され発光する蛍光体、特にEu(ユーロピウム)賦活珪酸塩系緑蛍光体を用いて構成されたプラズマディスプレイパネルなどの発光装置に関するものである。
近年、テレビやパソコンモニターに代表される表示装置に対し、設置スペースを大きく取る必要がない薄型化への要望が高まりを見せている。そして、薄型化対応の可能な装置としてプラズマディスプレイ装置(PDP(Plasma Display Panel)装置)や電界放射型ディスプレイ(FED;Field Emission Display)装置、バックライトと薄い液晶パネルとを組み合わせて表示装置を構成した液晶表示(LCD;Liquid Crystal Display)装置などの開発が盛んに行われている。
その中でPDP装置は、発光装置としてプラズマディスプレイパネル(PDP)を使用した表示装置である。プラズマディスプレイパネル(PDP)は、希ガスを含む微小放電空間での負グロー領域で発生する紫外線(希ガスとしてキセノンを使用した場合は、146nmおよび172nmの波長域にある)を励起源としてその微小放電空間内に配設した蛍光体層中の蛍光体を励起し、その蛍光体から発光を促すことにより可視領域での発光を得る。PDP装置では、この発光の量と色とを制御して表示に使用する。従って、蛍光体はPDP装置を構成する上で非常に重要な主要構成部材となる。この種の材料および技術に関する文献としては、例えば特開2004−176010号公報(特許文献1)及び「蛍光体同学会編「蛍光体ハンドブック」 オーム社1987年 III編 第7章330−335頁(非特許文献1)」が挙げられる。
特開2004−176010号公報 蛍光体同学会編「蛍光体ハンドブック」 オーム社1987年 III編 第7章330−335頁
近年、PDP装置はその高い性能が認められ、ブラウン管を使用するタイプのモニターやテレビ(TV)を代替し、大型のフラットパネルディスプレイおよび薄型TVとしての用途が急速に拡大している。その結果、更なる性能の向上が求められるようになっている。具体的には、TVとしての表示機能を満足するための高輝度化、そして高輝度化を達成するための高発光効率化、映画など動画コンテンツを視聴者が心地よく鑑賞するための動画特性の向上が求められている。
PDP装置の高性能化を進めるにあたり、その特性の改善には装置の設計、構造及びそれらを構成する部材、特に使用される蛍光体の性能向上の果たす役割が大きい。従って、蛍光体に対しては、発光効率の向上、および発光における応答特性の向上が求められる。
従来、面放電型カラー表示AC−PDP装置の蛍光体には、赤(R)、緑(G)および青(B)の各色の蛍光体が使用されているが、緑色蛍光体としては一般にMn賦活の珪酸塩蛍光体ZnSiO:Mn2+が用いられている。このMn賦活の珪酸塩蛍光体ZnSiO:Mn2+は、輝度及び発光効率に優れているのが特徴であるが、残光特性が他の色の蛍光体に比べ劣るという課題を有し、そのことが最近問題点として指摘されるようになっている。
残光特性が良くないとは、すなわち残光の時間が長いこと意味しており、表示を切り替えているにもかかわらず前の画像、その色が表示画面上残ってしまう現象の発生を意味する。よって、TV用途を射程に入れ、動画性能の向上が強く求められるようになると、このような表示品位を低下させる残光の問題は大きな懸念となる可能性がある。
また、現在、蛍光体材料の高性能化検討と併行してPDP装置の技術分野においては、高性能のTV装置としてPDP装置の高発光効率化を目的とするプラズマディスプレイパネル(PDP)構造の改善検討が進められている。
その一つの方法として、Neを主成分とする放電ガス中のXeガスの組成比を増加させ、発生するXe分子線を積極的に利用しようとする検討が盛んになされている。いわゆるPDPパネルにおける「高キセノン濃度化」の技術トレンドであるが、通常、放電ガス中のキセノンガス組成比(4%程度)より多い組成比領域でこうしたPDPパネルの発光高効率化を達成する検討がなされている。
このような技術開発の結果により高効率化が可能となったPDP装置は、単なる薄型の表示装置から、ブラウン管使用によるTV装置を代替するフラットTV装置としての使用形態がますます拡大することとなる。そして画質、特に動画性能向上に対する要求がますます高レベルになっており、従来はそれほど問題視がされなかった蛍光体の残光特性が着目されるようになり、特に上記の緑色蛍光体における残光性能改善が強く求められる状況となっている。
その結果として、PDPパネルにおける「高キセノン濃度化」の技術トレンド、PDP装置のTV用途拡大のトレンドにおいては、残光特性に劣るMn(マンガン)賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+に代替する、もしくはそれと混合して使用することによりMn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+の一部を置換可能である短残光の新しい緑色蛍光体が強く求められるようになっている。
その場合、新しい緑色蛍光体は、放電により発生する波長146nmの紫外線に加え、PDPパネルを高キセノン濃度化した場合に主要な蛍光体励起光源となるXe分子線、すなわち波長172nmの紫外線によって効率良く励起され、発光する蛍光体であることが必要となる。
本発明の目的は、残光特性に優れた緑色蛍光体を備えた発光装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明は、放電により紫外線を発生する放電ガスと、前記放電ガスからの紫外線により励起され発光する蛍光体を含有する蛍光体膜とを用いて構成される発光装置であって、
前記放電ガスは組成比が6%以上、好ましくは10%以上となる量でXeガスを含んで構成されたガスであり、
前記蛍光体は式(I)で表されるEu賦活珪酸塩系の緑色蛍光体であり、
Figure 2008034302
前記式(I)中において、M1はSrとBaとからなる群から選択された一種以上の元素であり、成分M1の組成比を示すx、及びEuの組成比を示すeはそれぞれ0<x<1、0.001≦e≦0.2であり、
プラズマディスプレイパネル構造を備えることを特徴とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明に係る発光装置は、残光特性に劣るMn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+に代替、もしくはそれと混合して一部を置換する使用の形態で、残光の短い新しい緑蛍光体であるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体を用いているため、優れた残光特性を達成できる。
また、本発明に係る発光装置は、波長146nmの紫外線励起条件に加え、「高キセノン濃度化」されたPDPにおいて励起源として主要な役割を果たす波長172nmの紫外線による光励起条件でも発光効率が良好なEu賦活珪酸塩系緑蛍光体を用いているため、優れた発光特性を得ることができる。
また、本発明に係る表示装置は、構成する発光装置が残光特性に優れたEu賦活珪酸塩系緑蛍光体を用いているため、優れた動画表示を実現できる。
従来のPDP用緑色蛍光体はMn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+であり、残光特性が他の色の蛍光体に比べ劣っており、蛍光体発光強度が1/10に低下するまでの時間として定義される残光時間は10ms程度ととても長い。そのため、Mn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+を使用するPDP装置は、放電ガスを高キセノン濃度化して高効率化し、動画表示をメインとするTV用途を射程に入れるようになると、残光特性に懸念が生じることになる。
その結果、Mn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+を使用する発光装置を用いた表示装置の動画表示性能は十分なものではなくなる恐れがある。
一方、他の色の蛍光体については、例えば通常の青蛍光体では残光時間が1ms程度と短く、短残光であり、Mn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+である緑蛍光体と同様の残光の問題は指摘されていない。
このような蛍光体による残光の違いは、その組成、特に発光中心に起因している。つまり、Mn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+では発光中心がMn2+であり、この発光中心Mn2+の特性として残光時間が長く、残光特性が劣ることになってしまう。
一方、一般的なPDP用青色蛍光体であるEu賦活のアルミン酸塩系蛍光体、例えばBaMgAl1017:Eu2+(以下、BAMと称する)においては、発光中心はEu2+であり、この発光中心Eu2+の特性として残光時間が短く、残光特性に特に問題は生じていない。
よって、緑蛍光体においても発光中心をMn2+から他の元素に変える改善ができれば、残光の問題は低減可能であることが分かる。具体的には青色蛍光体と同様Eu2+を発光中心として使用することができれば、残光問題は低減可能であることが分かる。
しかしながら、Eu2+を発光中心としてPDP用として真空紫外線で励起されて緑色に発光する蛍光体の具体例は極めて少ない。例えば、Eu賦活の珪酸塩蛍光体CaMgSi:Eu2+が知られているが、紫外線励起による発光色は緑色というよりも黄色に近く、色味の点でPDP用としては問題がある。すなわち、美しい発色のPDP装置を構成することができない。
そこで、本発明者は、改めてEu賦活の珪酸塩蛍光体CaMgSi:Eu2+に着目し、組成の改善、および新規な組成の蛍光体材料の合成に努めた。
その結果、本発明者は、波長172nmの光励起条件で高輝度の得られる珪酸塩系緑蛍光体を実現し、それを使用して高輝度の発光装置、ひいては高輝度表示の可能な表示装置を実現した。
新規に実現したEu賦活珪酸塩系緑蛍光体は、下式(I)で表されるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体である。
Figure 2008034302
式(I)中において、M1はSrとBaとからなる群から選択された一種以上の元素であり、成分M1の組成比を示すx、及びEuの組成比を示すeはそれぞれ0<x<1、0.001≦e≦0.2である。
本発明者は、Eu賦活の珪酸塩蛍光体CaMgSi:Eu2+をベースとし、その母体骨格成分であるCa元素の一部をSr及びBaのうちの少なくとも一方で置換することにより、主要な蛍光体発光特性である、真空紫外線励起による発光スペクトルを低波長側にシフトさせることに成功し、その結果、真空紫外線励起した場合の発光の色が緑色としてより高色純度化させることができることを見出した。以下で、その検討と考察とについて、より詳細に説明する。
本発明者は、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体の例である(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02と(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02とを新規に合成し、それらを用いて、従来のEu賦活の珪酸塩蛍光体CaMgSi:Eu2+と比較するよう、定法に従い中心発光波長172nmの真空紫外線エキシマランプを光源に用いて発光スペクトルを測定した。
図1は、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体[(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02及び(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02]と従来の蛍光体例であるCa1.98MgSi:Eu0.02の波長172nm真空紫外線励起条件での発光スペクトルである。
結果を検討することにより、図1および図2に示すように、取得した従来蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光スペクトルに比べ、本実施の形態の新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体は、いずれも発光スペクトル全体が低波長側にシフトしていることがわかる。
その結果、図2に示すように、蛍光体の発光色を表すCIE色度座標における色度点は、x値及びy値がそれぞれ、従来の蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02において(x,y)=(0.635,0.585)であるのに対し、(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02のx,y色度値は(x,y)=(0.344,0.579)となり、(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02のx,y色度値は(x,y)=(0.330,0.593)となって、本実施の形態の新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体は、緑色として高色純度化していることが確認できた。
また、新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02の発光ピーク強度は、従来の蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02のそれより大きく、発光効率が向上していることも分かった。
よって、このCaの一部をSr又はBaにて置換した、新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体は、PDP用の緑色蛍光体としてより好ましい蛍光体であることが分かった。
そして、中心発光波長146nmの真空紫外線エキシマランプを光源に用いて同様に発光スペクトルを測定したところ、やはり本実施の形態の新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体は、いずれも発光スペクトル全体が低波長側にシフトしていることがわかった(図2参照)。
そして、この時、発光スペクトルの低波長側へのシフト量については、蛍光体を励起する真空紫外線の波長により違いがあり、波長146nmの真空紫外線より波長172nmの真空紫外線で励起した場合の方が低波長側へのシフト量が大きいこともわかった。
具体的には、波長146nm真空紫外線励起における従来のEu賦活の珪酸塩蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光のピーク波長は536nmであり、新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02のそれは532nmであって、4nm低波側にシフトしている。それに対し、波長172nm真空紫外線励起における従来のEu賦活の珪酸塩蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光のピーク波長は536nmであり、新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02の同条件の発光ピーク波長は528nmであって、より大きく、8nm低波側にシフトしていることがわかった。
以上の発光スペクトルの解析結果は、図2に示すように表としてまとめた。図2は、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体と従来の蛍光体例Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光特性及び発光スペクトルを解析したデータをまとめた表である。
なお、この時、同様の方法で評価したMn賦活の珪酸亜鉛蛍光体ZnSiO:Mn2+の発光ピーク波長は528nmであり、本実施の形態の新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体は同等レベルを達成していることが分かった。
その結果、本発明に係る新規なEu賦活珪酸塩系緑蛍光体は波長146nmに比べ、波長172nmの真空紫外線で励起した場合の方が従来の蛍光体に比べ発光スペクトルのより低波長側へのシフト、ひいてはより高色純度化が可能であることが分かった。
以上の結果については、Eu賦活の珪酸塩蛍光体CaMgSi:Eu2+をベースとし、その母体骨格成分であるCa元素の一部を、Caよりイオン半径の大きいSr及びBaのうちの少なくとも一方で置換することによると本発明者は考察する。すなわち、蛍光体母体結晶内の本来あるべき位置に、あるべき大きさのイオンより大きなイオンが存在する状況が母体結晶内の一部で発生することになり、結果として蛍光体母体結晶内に新たな歪みが発生する。そして、その母体結晶内の新たな歪みが発光中心であるEu2+に影響を与え、その結果、蛍光体の発光特性に影響し、(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02における発光効率の向上もしくは(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02及び(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02における発光スペクトル全体の低波長側へのシフトをもたらしたものと本発明者は考える。
そして、蛍光体母体結晶内で発生した新たな歪みの発生量が適当であり、発光効率の向上もしくはより良好な緑色の発光をもたらしたものと本発明者は考えている。
従って、Eu賦活の珪酸塩蛍光体CaMgSi:Eu2+において、特に真空紫外線励起による発光スペクトルを低波長側にシフトさせる方法として、母体骨格成分であるCa元素をSr及びBaのうちの少なくとも一方で置換する方法が好ましい。
また、このCa元素をSr及びBaのうちの少なくとも一方で置換する方法については、上記したように、母体結晶内に適当な歪みを発生させることを目的としており、Ca元素の一部のみをSr及びBaのうちの少なくとも一方で置換することが好ましい。Ca元素に対するSr及びBaのうちの少なくとも一方による置換量があまりに多くなった場合、発生する歪みの効果が希薄になる懸念がある。また、例えばSrでCa元素を置換すると仮定した場合、Sr元素の置換量がもともとのCa組成量の半分を超え、得られる蛍光体におけるSr成分の組成比がCa成分より大きくなると、その蛍光体は、もはやCaMgSi:Eu2+の特性を喪失してしまう可能性がある。
よって、CaMgSi:Eu2+の特性を維持し、より良好な緑発光を達成する上で、Sr及びBaのうちの少なくとも一方の置換量については、上記式(I)の表記に従うと、成分M1の組成比として表され、半分以下であるx≦0.5であることがより好ましい。
また、Ca成分に対するSr及びBaのうちの少なくとも一方の置換量の下限については、意図しないCa組成の含有、すなわち不純物として蛍光体中にCa成分が含まれる場合と、発光性能の改善を目的としてCa成分の含有を明確に意図する場合とを区別するように規定する。
よって、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体において、例えば純度99.9%以上の高純度の合成原料を使用した場合、不純物としてSrやBaなどの目的組成元素が含有されうる量は多くとも数ppmから数十ppm(1000g中、数mg〜数十mg)のオーダーであると考えられ、また10g程度のいわゆる実験室レベルでの少量の蛍光体合成時においても実質的に制御し得る量の下限が0.1mg程度(10ppm)であること、そしてMg化合物と対応する類似のSrもしくはBa化合物とでは分子量に大きくとも2倍程度の差しか無いことなども併せて考慮してCa成分の含有量の下限を改めて設定することとする。
すなわち、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体においては、SrもしくはBa成分の含有量を100ppm程度もしくはそれ以上とすることを想定し、上記式(I)の表記に従うと蛍光体成分Sr及びBaのうちの少なくとも一方の組成比を示すxを用いて、xの下限は、x=0.0001とすることが可能となる。
そして、意図しないで含有されてしまう場合と明確に区別し、またより純度の低い蛍光体原料を使用した場合にも対応しての排除可能とすることも考慮すると、明確な区別を実現するためには、Sr及びBaのうちの少なくとも一方の含有量の下限を上記値の10倍程度とし、上記式(I)の表記に従うと、Sr及びBaのうちの少なくとも一方の組成比を示すxを用いて、xの下限はx=0.001とすることが好ましい。
そして更に、より純度の低い蛍光体原料を使用した場合に意図しないで含有されうる量を考慮すると、明確な区別を実現するためには、Sr及びBaのうちの少なくとも一方の含有量の下限を上記の100倍程度とし、上記式(I)の表記に従うとSr及びBaのうちの少なくとも一方の組成比を示すxを用いて、xの下限はx=0.01とすることが好ましい。
また、本発明に係る新規なEu賦活珪酸塩系緑蛍光体における賦活剤であるEuの組成比については、発光中心としての効果が十分発揮される量を下限とし、濃度消光による発光効率の低下を回避できる量を上限とした。すなわち、Euの組成比については、上記式(I)の表記に従うと、Euの組成比を示すeは0.001≦e≦0.2であることが好ましい。
なお、プラズマディスプレイパネルにおける放電ガスの組成と放電により発生する紫外線強度の関係に関しては、含有Xe(キセノン)成分の組成比が大きいほど放電により発せられる真空紫外線全体の強度が増すこと、及び発せられる真空紫外線における構成成分の比率が変化することがわかっている。
具体的には、放電ガス中のXe組成比の変化により発生真空紫外線に含まれる波長146nmの紫外線成分と172nmの紫外線(Xe分子線)成分の強度比率(I172/I146)が変化すること、すなわち、Xe組成比の増大に従って強度比率(I172/I146)が大きくなることがわかっている。
図3は、AC型PDPにおける放電ガス中のXe組成比(%)と強度比率(I172/I146)の関係を示すグラフである。
検討の結果、AC型PDPでは、Xe組成比4%ではI172/I146(4%)=1.2であり、Xe組成比が1〜4%である通常仕様のPDPでは、放電によって発生する真空紫外線に含まれる波長146nmの紫外線成分と172nmの紫外線成分との強度比率は172nm成分の強度が若干大きい程度から同等もしくはむしろ172nm成分の強度が小さい傾向にあることがわかっている。そして更なる検討の結果、Xe組成比6%では放電によって発生する真空紫外線強度は増大すると共にI172/I146(6%)=1.9と大幅に大きくなり、Xe組成比10%では放電によって発生する真空紫外線強度は増大すると共にI172/I146(10%)=3.1と大幅に大きくなり、Xe組成比12%では放電によって発生する真空紫外線強度は増大すると共にI172/I146(12%)=3.8と著しく大きくなることがわかった。
従って、通常仕様のPDPより放電ガス中のXe組成比の大きな、例えば6%のXe組成比を持つ高キセノン化対応仕様のPDPにおいては、172nmの真空紫外線に対してより良い特性の発光を示す蛍光体の使用が好ましく、組成比6%を超えてXe組成比がより高い10%以上となった場合などにおいては、係る蛍光体に対する要求はより大きなものとなる。
よって、上記式(I)で表されるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体を、Xe組成を含む放電ガスを用いたプラズマディスプレイパネルに使用した場合、波長172nmの光の励起で蛍光体において良好な発光特性が得られることから、発生するXe分子線を有効に利用できることになり、高性能のPDP装置の提供が可能となる。
更に、上記式(I)のEu賦活珪酸塩系緑蛍光体は、例えばXe組成比が6%以上、より好ましくは更に146nm成分に対する172nmの紫外線成分強度比が強い(Xe分子線を積極的に利用する)Xe組成比10%以上となる量でXeガスを含んで構成された放電ガスを使用する、いわゆる「高キセノン濃度化対応のPDP」の技術にもよく適合し、高キセノン濃度化された放電ガスを使用したPDPにおいてより高性能の発光装置を構成することが可能となる。
以上に基づき、上記式(I)で表されるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体を使用した本発明の実施の形態であるPDPは以下のように構成できる。
図4は本実施の形態であるPDPの構造を示す要部分解斜視図である。図5、図6及び図7は本実施の形態であるPDPの構造を示す要部断面図である。
本発明の実施形態であるPDP100は、いわゆる対向放電に対応するための構造を有しており、離間して対向配置された一対の基板1,6と、その基板6上に設けられてその一対の基板1,6が重ね合わされる時に基板1と基板6との間の間隔を保持する隔壁7と、一対の基板1,6の間に形成された空間内に封入され放電により紫外線を発生する放電ガス(図示せず)と、一対の基板1,6の対向面上に配設された電極2,9とを備える。なお、図5は電極2の延在する方向に沿った一断面を示したものであり、図6は電極2の延在する方向に沿った他の断面を示したものであり、図7は電極9の延在する方向に沿った一断面を示したものである。
そして、上記式(I)で表されるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体が、前記一対の基板の内の一方の基板6の上及び隔壁7の表面で蛍光体層10を構成する。そして、放電により前記放電ガスから発生する波長146nm及び172nmの真空紫外線により蛍光体層10を構成する上記式(I)で表されたEu賦活珪酸塩系緑蛍光体が励起され、可視光を発光するよう構成されたことを特徴とする。
なお、図4、図6及び図7中で示された符合3のラインは、電極2と一体となって電極抵抗を低下させるために設けられた銀もしくはCu−Crからなるバスライン3であり、符合4および8の層は誘電体層4,8であり、符合5の層は電極保護のために設けられた保護膜5である。
以下、本発明を実施するための最良の形態に対応する実施例を説明する。
本発明に係る実施例であるPDPを製作するために、初めに本発明の主要な構成部材であるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体の合成を行った。
第一に合成した蛍光体の組成式は(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02である。
合成は、まず、CaCOを1.784g(17.82mmol)、SrCOを0.292g(1.98mmol)、MgCOを0.962g(10.00mmol)、SiOを1.322g(22.00mmol)、Euを0.0352g(0.100mmol)、そして熔融助剤としてNHClを0.0160g(0.300mmol)それぞれ量り取り、メノウ製の乳鉢中で十分に混合した。
その後、得られた混合物を耐熱容器に充填し、大気中600℃で2時間焼成を行い、更にその後、還元雰囲気下1200℃で3時間焼成を行った。得られた焼成物は粉砕後、水洗及び乾燥を行うことで上記組成の珪酸塩蛍光体を得た。
次に、蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02を合成した。
合成は前記のものと同様であり、CaCOを1.784g(17.82mmol)、BaCOを0.391g(1.98mmol)、MgCOを0.962g(10.00mmol)、SiOを1.322g(22.00mmol)、Euを0.0352g(0.100mmol)、そして熔融助剤としてNHClを0.0160g(0.300mmol)それぞれ量り取り、メノウ製の乳鉢中で十分に混合した。
その後、得られた混合物を耐熱容器に充填し、大気中600℃で2時間焼成を行い、更にその後、還元雰囲気下1200℃で3時間焼成を行った。得られた焼成物は粉砕後、水洗及び乾燥を行うことで上記組成の珪酸塩蛍光体を得た。
次に比較例として、従来の蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02を合成した。
合成は上記のものと同様であり、CaCOを1.982g(19.80mmol)、MgCOを0.962g(10.00mmol)、SiOを1.322g(22.00mmol)、Euを0.0352g(0.100mmol)、そして熔融助剤としてNHClを0.0160g(0.300mmol)それぞれ量り取り、メノウ製の乳鉢中で十分に混合した。その後、得られた混合物を耐熱容器に充填し、大気中600℃で2時間焼成を行い、更にその後、還元雰囲気下1200℃で3時間焼成を行った。得られた焼成物は粉砕後、水洗及び乾燥を行うことで比較例である上記組成の珪酸塩蛍光体を得た。
次に、定法に従い中心発光波長172nmの真空紫外線エキシマランプを光源に用いて、合成した蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02及び蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02の発光スペクトルを測定した。比較例として上記Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光スペクトルも併せて測定した。結果は図1に示した。
上記したように、図1に示した蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02及び蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02の発光スペクトルは、蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光スペクトルに比べ、いずれも発光スペクトル全体が低波長側にシフトしていることがわかった。
同様に、中心発光波長146nmの真空紫外線エキシマランプを光源に用いて、定法に従い蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02、蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02、及び蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02の発光スペクトルを測定した。
発光特性の評価、及び解析結果は図2に示す表にまとめた。発光波長146nm及び172nmの真空紫外線を用いて発光スペクトルを測定したところ、蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02及び蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02は、いずれも発光スペクトル全体が比較例である蛍光体Ca1.98MgSi:Eu0.02に比べ低波長側にシフトしていることがわかった。
そして、発光スペクトルの低波長側へのシフトについては、蛍光体試料を励起する真空紫外線の波長により違いがあり、波長146nmの真空紫外線より波長172nmの真空紫外線で励起した場合の方が低波長側へのシフトが大きいこともわかった。
以上より、蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02及び蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02を、Xe組成を含む放電ガスを用いたPDPに使用した場合、波長146nm及び172nmの紫外光の励起で高い発光が得られることから、放電によるXe分子線も高効率で利用できることになり、高輝度のPDP装置が可能となることがわかった。
更に、蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02及び蛍光体(Ca0.9Ba0.11.98MgSi:Eu0.02は、例えば組成比が6%以上、より好ましくは更にXe分子線を積極的に利用する組成比10%以上となる量でXeガスを含んで構成された放電ガスを使用する、いわゆる「高キセノン化対応のPDP」の技術にもよく適合し、高キセノン化された放電ガスを使用したPDPにおいても良好な緑色を発光可能な発光装置を構成することができることがわかった。
次に、緑の蛍光体層を構成する緑色蛍光体として上記の珪酸塩蛍光体(Ca0.9Sr0.11.98MgSi:Eu0.02を用い、図4に示す発光装置であるPDP100を作製した。
本実施例のような面放電型カラーPDP装置のPDP100では、例えば一対の表示電極(電極2)のうちの一方(一般に、走査電極と呼ぶ)に負の電圧を,アドレス電極(電極9)ともう一方の残りの表示電極(電極2)に正の電圧(前記表示電極に印加される電圧に比して正の電圧)を印加することにより放電が発生し、これにより、一対の表示電極の間で放電を開始するための補助となる壁電荷が形成される(これを書き込みと称する)。この状態で一対の表示電極の間に、適当な逆の電圧を印加すると、誘電体層4(及び保護膜5)を介して、両電極2の間の放電空間で放電が発生する。
放電終了後、前記一対の表示電極(電極2)に印加する電圧を逆にすると、新たに放電が発生する。これを繰り返すことにより継続的に放電が発生する(これを維持放電又は表示放電と呼ぶ)。
本実施例であるPDP100は,背面基板(基板6)上に、銀などで構成されているアドレス電極(電極9)と、ガラス系の材料で構成される誘電体層4を形成した後,同じくガラス系の材料で構成される隔壁材を厚膜印刷し、ブラストマスクを用いたブラスト除去により、隔壁7を形成する。
次に、この隔壁7上に,赤、緑及び青の各蛍光体層10を該当する隔壁7間の溝面を被覆する形で、順次ストライプ状に形成する。
ここで、各蛍光体層10は、赤、緑及び青に対応し、赤蛍光体粒子を40重量部(ビヒクルを60重量部)、緑蛍光体粒子を40重量部(ビヒクルを60重量部)、青蛍光体粒子を35重量部(ビヒクルを65重量部)とし、それぞれビヒクルと混ぜて蛍光体ペーストとし、スクリーン印刷により塗布した後、乾燥及び焼成工程により蛍光体ペースト内の揮発成分の蒸発と有機物の燃焼除去を行って形成する。なお、本実施例で用いた蛍光体層10は、中央粒径が3μm程度の各蛍光体粒子で構成されている。
また、緑色以外の各蛍光体の材料については,赤蛍光体は(Y,Gd)BO:Eu蛍光体とY:Eu蛍光体1:1の混合物であり、青蛍光体はBAM(BaMgAl1017:Eu2+)蛍光体である。
次に、表示電極(電極2)、バスライン3、誘電体層4、及び保護膜5を形成した前面基板(基板1)と、背面基板(基板6)をフリット封着し、パネル内を真空排気した後に放電ガスを注入し封止する。その放電ガスは、組成比が10%となる量でキセノン(Xe)ガスを含んで構成されたガスである。本実施例に係るPDP100は、そのサイズが3型で一画素のピッチが1000μm×1000μmである。
次に、本発明に係る実施例である上記の珪酸塩蛍光体を用いた前記PDPを使用し、前記PDPを駆動する駆動回路と組み合わせて画像表示を行うよう構成された表示装置であるプラズマディスプレイ装置を作製した。
このプラズマディスプレイ装置は、高輝度で表示性能に優れ、高輝度表示が可能であった。そして、緑色の残光特性を評価したところ、残光の時間は1ms程度と短く、同じプラズマディスプレイ装置に用いた青蛍光体(BAM)の特性と同等であった。
その結果、従来のMn賦活の珪酸亜鉛蛍光体(ZnSiO:Mn2+)を使用した従来プラズマディスプレイ装置では問題であった、表示を切り替えているにもかかわらず前の画像、その緑色が表示画面上残ってしまう現象の発生を十分に抑制することができ、優れた動画表示を実現できた。
なお、本発明に係るPDPにおいては、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体を使用し、残光特性に劣るMn賦活の珪酸亜鉛蛍光体(ZnSiO:Mn2+)と混合して緑蛍光体の一部を置換する使用の形態で、優れた残光特性のPDPを構成することも可能である。
その場合、混合比率を(新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体)/(ZnSiO:Mn2+)≧1、すなわち、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体を半分以上とする混合比で使用することが望ましい。ZnSiO:Mn2+の残光時間が10ms程度であり、本発明を構成する新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体が1ms程度であることから、係る組成比にすることにより、残光時間は5ms程度もしくはそれ以下に抑制でき、上記した表示切り替え後に緑色が表示画面上残ってしまう現象を視認者が気にならない程度に低減することができる。
また、本実施例では赤及び青の蛍光体に関して、詳細な検討結果を示していないが、以下に示す各組成の蛍光体でも同様にPDPを作製することができる。
赤蛍光体では、(Y,Gd)BO:Eu,(Y,Gd):Eu、及び(Y,Gd)(P,V)O:Euのいずれか一種以上の蛍光体を含む場合が可能である。また、青蛍光体では、CaMgSi:Eu、CaMgSi:Eu、BaMgSi:Eu、及びSrMgSi:Euからなる群から選ばれた一種以上の青蛍光体を含む場合が可能である。さらに、ここに示していない蛍光体との組合せも適用できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明の発光装置は、高輝度で短残光の蛍光体材料に基づいて、高性能の動画表示が可能であり、より大型の発光装置を構成することにより、高輝度が必要かつ優れた動画特性が不可欠な大型の家庭用平面表示装置用途に適用できる。
本発明の一実施の形態である発光装置の新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体と従来の蛍光体とにおける波長172nm真空紫外線励起条件での発光スペクトルを示す説明図である。 本発明の一実施の形態である発光装置の新規Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体と従来の蛍光体とにおける発光特性及び発光スペクトルを解析したデータをまとめた表である。 AC型PDPにおける放電ガス中のXe組成比(%)と強度比率(I172/I146)の関係を示すグラフである。 本発明の一実施の形態の発光装置であるプラズマディスプレイパネルの構造を示す要部分解斜視図である。 本発明の一実施の形態の発光装置であるプラズマディスプレイパネルの構造を示す要部分解断面図である。 本発明の一実施の形態の発光装置であるプラズマディスプレイパネルの構造を示す要部分解断面図である。 本発明の一実施の形態の発光装置であるプラズマディスプレイパネルの構造を示す要部分解断面図である。
符号の説明
1,6 基板
2,9 電極
3 バスライン
4,8 誘電体層
5 保護膜
7 隔壁
10 蛍光体層
100 PDP

Claims (4)

  1. 放電により紫外線を発生する放電ガスと、前記放電ガスからの紫外線により励起され発光する蛍光体を含有する蛍光体膜とを用いて構成される発光装置であって、
    前記放電ガスは組成比が6%以上となる量でXeガスを含んで構成されたガスであり、
    前記蛍光体は式(I)で表されるEu賦活珪酸塩系緑蛍光体であり、
    Figure 2008034302
    前記式(I)中において、M1はSrとBaとからなる群から選択された一種以上の元素であり、成分M1の組成比を示すx、及びEuの組成比を示すeはそれぞれ0<x<1、0.001≦e≦0.2であり、
    プラズマディスプレイパネル構造を備えることを特徴とする発光装置。
  2. 請求項1記載の発光装置において、
    前記蛍光体膜は前記式(I)で表される前記Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体とともにMn2+で賦活されたZnSiO蛍光体を含有することを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1〜2のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記放電ガスは、組成比が10%以上となる量でXeガスを含んで構成されたガスであることを特徴とする発光装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置において、
    離間して対向配置された一対の基板と、前記一対の基板間に設けられ前記一対の基板間の間隔を保持する隔壁と、前記一対の基板間に形成された空間内に封入され放電により紫外線を発生する放電ガスと、前記一対の基板の対向面の少なくとも一方の上に配置された電極とを備え、
    前記式(I)で表される前記Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体が含有されて、前記一対の基板の内の少なくとも一方の上と、前記隔壁の表面との少なくとも一方で蛍光体層を構成し、
    放電により前記放電ガスから発生する紫外線により前記Eu賦活珪酸塩系緑蛍光体が励起され発光するよう構成されたことを特徴とする発光装置。
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