JP2007076231A - 積層ポリイミドフィルム - Google Patents

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奥山哲雄
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武史 吉田
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Keizo Kawahara
恵造 河原
Akinori Ejima
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Abstract

【課題】フレキシブルプリント回路などの加工・製造時に適度な強度、熱変形による寸法安定性、剥離性を有する補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムであって、当該ポリイミドフィルムが厚さ0.5μm〜10μmのテトラカルボン酸無水物とベンゾオキサゾール構造を有するジアミンとの縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするフィルムであることを特徴とする積層ポリイミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルプリント回路(以降、FPCと記す)などの加工・製造時に用いられる極薄のポリイミドフィルムの取扱いに好適な、適度な剛性、熱寸法安定性、剥離性を有する補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムに関するものである。
携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、FPC(可撓性印刷回路)の需要が急激に伸びており、更にこうした機器の小型化、軽量化に対応してFPCの薄膜化が進んでいる。そのため、FPC用の銅貼ポリイミドフィルムの薄膜化も同時に進行しているが、これによってフィルム自体の剛性が低下し、FPCを製造する際の加工が困難になってきている。
FPCを製造する際の加工性を改良する方法としては、FPC補強用フィルムを予め貼り付けることにより保持して全体として剛性を持たせる方法が用いられている。その際、加工時の取り扱いを簡便にし、かつ加工終了後には剥離・除去できるような微粘着性の補強フィルムが用いられるようになっている。従来は、この目的で、アクリル系やゴム系の粘着シートが使用されていたが、これらのシートは粘着力が大きく、またその粘着力が温度、圧力により著しく変化するため、FPC製造工程の加工条件によっては使用できないことがあった。
例えば、片面のみに金属箔を配したフレキシブル積層板において、反りの発生防止と製造効率の低下防止のために、金属箔、熱可塑性ポリイミド 層、非熱可塑性ポリイミド層、およびイミド化促進剤の共存下においてポリアミド酸を転化することにより得られるポリイミド樹脂裏打ち層をこの順で積層してなるフレキシブル積層板(特許文献1参照)、フレキシブルプリント回路基板の加工時に用いられる、ポリエステル(A)とポリイミド (B)を含有し、かつ熱収縮率が0.25%以下、熱膨張係数が13×10-6/℃以上50×10-6/℃以下の補強用ポリエステルフィルム(特許文献2参照)などが提案されている。
特開2005−186274号公報 特開2003−101166号公報
本発明は、フレキシブルプリント回路(以降、FPCと記す)などの加工・製造時に用いられる極薄のポリイミドフィルムの取扱いに好適な、適度な剛性、熱寸法安定性、剥離性を有する補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムを提供せんとするものであり、特定の引張弾性率や引張破断強度を保有し、特定の線膨張係数を有するテトラカルボン酸無水物とベンゾオキサゾール構造を有するジアミンとの縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とする極薄フィルムをその特性を保持してかつ皺の発生などのない取扱いに容易な補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムを提供するものである。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1.芳香族テトラカルボン類とベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類との縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とする厚さ0.5μm〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片方の面に補強用裏打フィルムが積層されたことを特徴とする積層ポリイミドフィルム。
2.ポリイミドフィルムの引張弾性率が6GPa以上である前記1.記載の積層ポリイミドフィルム。
3.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)が、0〜10ppm/℃である前記1.又は2.記載の積層ポリイミドフィルム。
4.補強用裏打フィルムとポリイミドフィルムとの間における粘着力が、1.0N/20mm以下である前記1.〜3.いずれかに記載の積層ポリイミドフィルム。
5.ポリイミドフィルムの補強用裏打フィルムが積層されている面とは反対側の面に、薄膜が形成されたことを特徴とする前記1.〜4.いずれかに記載の積層ポリイミドフィルム。
6.薄膜が銅からなる薄膜である前記1.〜5.いずれかに記載の積層ポリイミドフィルム。
本発明の、補強用裏打フィルムが積層された積層ポリイミドフィルムは、銅薄膜などの薄膜を当該積層ポリイミドフィルムの補強用裏打フィルムが積層されている面の反対面に積層形成するときなどの本発明フィルムを種々工程で取扱う際に、皺や歪みが発生し難く、さらに必要に応じて補強用裏打フィルムを積層ポリイミドフィルムから剥がす時にもポリイミドフィルムに皺や歪みが発生し難く、耐熱性、フレキシブル性、機械的強度をより高いレベルで具備し、かつ一定厚さ以下の厚さを有するポリイミドを絶縁層として用いて絶縁性の信頼性と軽少(軽薄)化をも達成し得るものであり、薄いFPCなどの細密かつ軽少短薄電気部品に対応し得る絶縁性フィルムとして工業的に極めて有意義である。
本発明の積層ポリイミドフィルムは、主たる構成成分であるポリイミドフィルムが厚さ0.5μm〜10μmの芳香族テトラカルボン酸類(無水物など)とベンゾオキサゾール構造を有するジアミンとの縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするフィルムであり、より好適には引張弾性率が6GPa以上、線膨張係数(CTE)が0〜10ppm/℃のポリイミドフィルムであり、厚さが10μm以下で0.5μm以上の必要があり、0.5μmに満たない場合は、補強用裏打フィルムを貼り合わせて本発明の積層ポリイミドフィルム製造する際の皺の発生や歪み発生などの取り扱い上の困難さと絶縁性保障の点から課題が多くなる、また10μmを超える場合は軽少化に効果が少ない。
本発明のポリイミドフィルムは、引張弾性率が6GPa以上であることが好ましく、所定範囲の薄いフィルムを製造し、補強用裏打フィルムを貼り合わせてを積層する工程などでの薄いフィルムを取り扱うなどの点からして6GPaに満たない場合は、取り扱い上困難となる。
本発明におけるポリイミドフィルムの引張弾性率は、6GPa以上より好ましくは7GPa以上さらに好ましくは8GPa以上である。本発明におけるポリイミドフィルムの引張弾性率の上限は特に限定されるものではないが、取り扱い上最低限の柔軟性を維持しておく点から30GPa程度である。
本発明のポリイミドフィルムは、線膨張係数(CTE)が0〜10ppm/℃であることが好ましく、半田付けなどの高温暴露において歪みや皺の発生がなく、かつ薄膜の線膨張係数との乖離が小さいことで薄膜剥がれなどが発生しない効果を有している、この範囲を逸脱したときは前記の効果低減が大きくなる。
本発明で使用されるポリイミドフィルムは、ベンゾオキサゾール構造を有する(芳香族)ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするものである。
本発明で使用されるポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することにより得ることができる。
本発明に使用されるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2007076231
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で使用される芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2007076231
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、これらの還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)と制御し易くなる。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
本発明に使用される補強用裏打フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、アセテートフィルム、ポリオレフィンやアルミ箔など耐熱性、機械的強度などが一定水準以上のものであれば特に限定されるものではない。
これらのフィルムの中で、ポリイミドフィルムとの間における粘着力が接着剤層を介して、1.0N/20mm以下であるように、当該補強用裏打フィルムには高接着力で接着し、ポリイミドフィルムには上記粘着力となるような接着剤層が機能するフィルムが好ましいものである。
本発明で使用される補強用裏打フィルムは、その厚さは限定されるものではないが、本発明の主旨からして、厚さ12μm〜200μm程度のポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムなどが好ましい。更に好ましくはこれらのフィルムに耐熱性の高い前記粘着機能を有する接着剤。例えば塩化ビニル系やアクリル系やウレタン系の接着剤の層が形成されたものが好ましい。
例えば、圧接や熱圧着でこの接着剤層を介してポリイミドフィルムに補強用裏打フィルムが積層されるように積層ポリイミドフィルムを作製することができる。
本発明における薄膜としては、ITO(インジウム・錫系酸化物)などの酸化物薄膜、銅、金、銀、クロム、チタニウム、アルミニウムなどの金属薄膜、珪素、ゲルマニウムなどの半導体薄膜や、これらの複合膜や積層膜などが挙げられるが、中でも銅薄膜が好ましく適用できる。薄膜形成方法は特に限定されるものではないが、蒸着、スパッタリングなどの乾式薄膜形成法が好ましく適用できる。
(ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度)
本発明においては、ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度は以下の方法で測定した。
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(以下MD方向とも記す)および幅方向(以下TD方向とも記す)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
(ポリイミドフィルムの融点、ガラス転移温度)
また、ポリイミドフィルムの融点、ガラス転移温度は以下の方法で測定した。
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温終了温度 ; 600℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
雰囲気 ; アルゴン
(ポリイミドフィルムの線膨張係数)
ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)は以下の方法で測定した。
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90℃〜100℃、100℃〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(平均値)として算出した。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
(フィルムの吸水率)
フィルムの吸水率は、フィルムを約10cm×10cmにカットして試験とし、試験片を150℃のドライオーブンにて1時間乾燥し、直後にその質量を測定し初期値とし、ついで25℃のイオン交換水に試験片を24時間入れ、その後に表面の水滴を十分に拭き取って再秤量し吸水値とした。下記式より吸水率を求めた。
吸水率=100×(吸水値−初期値)/(初期値) [質量%]
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は、前記したもの以外は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムおよび積層ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.フィルム膨れの判定
補強用裏打フィルムの粘着層とポリイミドフィルムとの間に気泡、空洞があるか目視確認しそれらの殆ど見られないものを○、多く見られるものを×とした。
4.粘着層移りの判定
補強用裏打フィルムを剥がした後に粘着層が補強用裏打フィルム側に完全に移っている
か否かを目視判定し、粘着層が補強用裏打フィルム側に完全に移っているものを○、粘
着層が補強用裏打フィルム側に完全に移っていなくポリイミドフィルム側に残った場合
を×とした。
5.剥がし状態の判定
補強用裏打フィルムを剥がした時にポリイミドフィルムに皺、歪などの異常が起きてい
ないか目視確認判定し、皺、歪などの異常が殆ど見られないものを○、皺、歪などの異
常が多く見られるものを×とした。
6.粘着力
JIS Z−0237に準じて引張速度300mm/min、剥離角度180°で測定した。
〔参考例1〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を2.23質量部、N−メチル−2−ピロリドン1000質量部を容器に入れ、ホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数10000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500質量部の十分に乾燥した5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、上述の無機粒子を分散してなる予備分散液を1000質量部加え、さらに485質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.2dl/gであった。
(ポリイミドフィルムの作製)
得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、250μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ15μmのグリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する参考例1のポリイミドフィルムAを得た。結果は表1に示す。
〔参考例2〕
(ポリイミドフィルムの作製)
参考例1と同様にして厚さ5μmのポリイミドフィルムBを得た。結果は表1に示す。
〔参考例3〕
参考例1と同様にして厚さ7μmのポリイミドフィルムCを得た。結果は表1に示す。
〔参考例4〕
参考例1と同様にして厚さ3μmのポリイミドフィルムDを得た。結果は表1に示す。
〔参考例5〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
ジアミンとして3,3’−ジアミノジフェニルエーテルを216質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを216質量部、テトラカルボン酸としてピロメリット酸二無水物を436質量部、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン4340質量部を使用し、先に得た予備分散液を加えて、褐色の粘調なポリアミド酸溶液を得た。この還元粘度(ηsp/C)は2.5dl/gであった。
(ポリイミドフィルムの作製)
得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、100μm)、110℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ11μmのグリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する参考例5のポリイミドフィルムEを得た。結果は表1に示す。
Figure 2007076231
〔実施例1〜4、比較例1〕
各参考例のポリイミドフィルムA〜Eを使用して、補強用裏打フィルムとしてアクリル系粘着剤層を使用したポリエステルフィルム43μmの剥離シート付きのもの(吸水率0.35%、線膨張係数が14ppm/℃)を使用し、クリーンルーム内で剥離シートを剥がしながら、粘着剤層とポリイミドフィルムの一面とを貼り合わせた。この貼り合わせ時に実施例各例においてはなんら問題が生じなかったが、比較例においてはポリイミドフィルムに皺と歪が多発した。
得られた各補強用裏打フィルム積層ポリイミドフィルムを、ロールtoロールでのスパッタリング機に入れ、補強用裏打フィルムのついていない側にスパッタリングを実施した。スパッタリングにおいて、下地層としてNiCr薄膜を20nm、その上に銅薄膜200nmを形成させた。得られた各金属化積層ポリイミドフィルムについて評価した結果を表2に示す。
Figure 2007076231
〔実施例5〜8、比較例2〕
各参考例のポリイミドフィルムA〜Eを使用して、補強用裏打フィルムとして各種粘着剤層を使用したポリエステルフィルムの剥離シート付きのもの(厚さ30〜50μm、粘着力0.1〜0.5N/20mm、吸水率0.35〜0.45%、線膨張係数が13〜18ppm/℃)の各種市販品を使用し、クリーンルーム内で剥離シートを剥がしながら、粘着剤層とポリイミドフィルムの一面とを貼り合わせた。この貼り合わせ時に実施例各例においてはなんら問題が生じなかったが、比較例においてはポリイミドフィルムに皺と歪が多発した。
得られた各補強用裏打フィルム積層ポリイミドフィルムを、ロールtoロールでのスパッタリング機に入れ、補強用裏打フィルムのついていない側にスパッタリングを実施した。スパッタリングにおいて、下地層としてNiCr薄膜を20nm、その上に銅薄膜200nmを形成させた。得られた各金属化積層ポリイミドフィルムについて評価した。結果は表3に示す。
Figure 2007076231
以上述べてきたように、本発明の補強用裏打フィルムが積層されたポリイミドフィルムは、極薄のポリイミドフィルムであっても、薄膜形成時などの取扱い時に皺や歪が発生し難く、高い弾性率と実用上十分な機械的強度を有するのでし、耐久性、絶縁性の高い極薄の多層配線板の基板材料などに広く応用でき、工業的価値が大きいものである。

Claims (6)

  1. 芳香族テトラカルボン類とベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類との縮合から得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とする厚さ0.5μm〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片方の面に補強用裏打フィルムが積層されたことを特徴とする積層ポリイミドフィルム。
  2. ポリイミドフィルムの引張弾性率が6GPa以上である請求項1記載の積層ポリイミドフィルム。
  3. ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)が、0〜10ppm/℃である請求項1又は2記載の積層ポリイミドフィルム。
  4. 補強用裏打フィルムとポリイミドフィルムとの間における粘着力が、1.0N/20mm以下である請求項1〜3いずれかに記載の積層ポリイミドフィルム。
  5. ポリイミドフィルムの補強用裏打フィルムが積層されている面とは反対側の面に、薄膜が形成されたことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の積層ポリイミドフィルム。
  6. 薄膜が銅からなる薄膜である請求項1〜5いずれかに記載の積層ポリイミドフィルム。
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