JP2004516858A - マイクロ注入投薬装置 - Google Patents

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Abstract

注入ポンプは複数個の突起を有し、これら突起は、患者の皮膚の皮下領域に突入し、各突入部を包囲する皮膚によって漏れを封鎖する角質層に裂傷を生じさせる無痛手段をなし、薬剤の基底注入及び濃縮塊注入のための流路を形成するよう構成する。ポンプは、薬物を収容する薬物リザーバを有する。ポンプはマイクロアクチュエータ(3010)と、開閉して薬剤容器を投薬モード位置に挿入及び支持することができる基台又は蓋を有するハウジングとを有する。マイクロアクチュエータを使用してローラ又はピストン(25)を薬剤容器(10)に連通するよう前進させる。マイクロアクチュエータには、薬剤容器へのアクセスにともなって移動する装置を取り付ける。この装置は、薬剤を分注するのに使用する薬剤容器の割り出しを行う。

Description

【0001】
[発明の分野]
本発明は、患者に薬剤を皮下に注入する方法及び装置に関するものである。特に、本発明は、薬剤を患者に投与するための予めパッケージにした容器に使用し、容器から患者の皮下領域にカテーテル又はニードルによって送給し、またニードルアレイ装置に注入する注入ポンプに関する。
【0002】
[関連技術の簡単な説明]
注入セット及びポンプは種々の溶液を患者の皮下に投与するのに使用される。経皮的に(皮膚を通して)液状薬剤を投与し、長い期間皮下に存在させるには多くの医療条件がある。例えば、糖尿病は、毎日、又はより頻繁にインスリンを注射することによって管理する。ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルス(NIH)は、糖尿病合併症及び管理トライアル(DCCT)として知られている糖尿病患者に対して長期間の研究を行い、糖尿病の適正な管理は、1日あたり4回以上のインスリン注射を必要とすると結論している。しかし、現行の装置では、患者にとって便利ではなく、無痛ではなく、取り扱いが容易でもない。シリンジ及びインスリンペンはすべて、患者自身が注射することを必要とし、便利ではなく、薬剤投与を行うのに周囲に対して目立つ機構である。
【0003】
経皮注射は痛みを伴いかつ面倒であるため、また各注射毎に感染症を招く恐れがあり、注射はできるだけ人から距離をおいて行い、血流における薬剤のピーク(山)濃度及びバレー(谷)濃度に影響し、又は薬剤を要求する人体部位において薬剤投与直後にピーク濃度があり、次の注射の投与直前に低(即ち、バレー)濃度がくるようにする。この投与方法は患者に対してピークレベルにおける過剰投与、またバレーレベルでの投与不足を生ずる可能性があったが、よりよい代替案がないため長年標準的方法とされていた。
【0004】
近年、カテーテルを半永久的に患者に埋め込み、患者の人体の経皮部位にアクセスするシステムが開発され、これは液状薬剤をカテーテルからリザーバに供給するものである。しかし、多くの患者は、単独のポイントで注入することから炎症を引き起こし、注入部位に赤い注入斑ができることを確認している。濃縮塊注入又は任意の特定部位に注入する薬剤量を減らすことによる薬剤注入はこのような炎症を軽減する。
【0005】
インシグラー(Insigler)氏及びカーツ(Kirtz)氏は(ディアベティクス,28号,p.196〜203,1979年において)、携帯用インスリン投与調整装置について記載しており、この装置は電気的駆動のインスリンリザーバを有するミニボンプを使用し、定期的に所定単位(U)のインスリンを分注するものである。小さい電子的制御ボックスを使用し、0.2Uステージに対して0.4U/時間の基本量にセットする。スイッチを使用し、1時間の期間中により高い投与量の注入を行うプログラムをトリガし、この後システムは基本量に自動的に戻るようにしている。
【0006】
1976年6月15日に発行されたトーマス(Thomas)氏らの米国特許第3,963,380号には、圧電ディスクブレンダにより駆動するマイクロポンプが記載されている。このポンプは僅かな流れのみを吸引するが、ポンプを駆動するのに約100ボルトの電圧を必要とする。
【0007】
タンボーラン(Tamborlane)氏らは、[ザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine),300巻,p.573〜578,第11号,1979年3月15日発行]において、携帯用皮下インスリン投与システムについて記載しており、このシステムはバッテリ駆動のシリンジポンプを使用するものである。この装置は容積が大きくかつ重量が重たいものである。
【0008】
蠕動モータ駆動ポンプはアルビッサー(Albisser)氏らにより記載された(Med.Progr.Technol. 5:187〜193[1978年])。このポンプは524gの重さがあり、最大ポンプ吐出量で60ミリワットの電力を消費する。このシステムは連続したデューティーサイクルを有する。しかし、容積が大きくかつ重量が重く、相当大きな電力を消費する。
【0009】
更に、インスリン、薬物又は他の物質を人及び動物に投与するための数多くの装置が開発された。或る物質、例えばインスリンの自己投与に関して共通することは、操作が簡単であり、信頼性が高く、しかも正確に自己投与できるよう設計することが重要である。患者が入手できる現行装置としては、シリンジ、ポンプ又は注射ペンがある。しかし、これらの各装置は、使用に便利で容易であり、薬剤注入に目立たない手段であるとはいえない。患者は公衆の面前で自分自身で注射したり、効果でかさばる装置を使用しなければならない。
【0010】
従来技術における注入ポンプの異なるタイプとしては、溶液を可撓性容器、例えば、バルーンから患者投与のためのチューブに絞り出す弾性ポンプがある。シリンジで負荷をかけるポンプによって溶液容器又はリザーバを加圧するものも提案された。米国特許第4,741,736号に記載されたポンプのように、注入ポンプには可撓性コンパートメントを内蔵するカートリッジが設けられ、溶液を排出する圧力ローラによって絞り出すものも提案された。しかし、これらのタイプの注入ポンプは特別な容器を必要とし、溶液を収容する標準の予充填単一投与容器に適用できない。
【0011】
注入ポンプが標準の予充填単一投与容器を使用できない場合、大きなびんから薬剤を個別に容器に詰める必要がある。薬剤をカートリッジ、バルーン、リザーバ、及び他の特製容器に移し替えるのは、糖尿病のような慢性疾患をかかえてブドウ糖を適正に処理するためインスリンを摂取しなければならない人々にとっては困難で問題のあるプロセスである。従って、このタイプの既存ポンプの限界及び欠点を克服し、また肘の予充填単一投与容器に適用できる注入ポンプシステムに対する必要性が認識されていた。
【0012】
更に、薬剤を皮下注入する現行の入手可能な装置は、患者にとって皮膚から皮下領域にニードル又は可撓性カテーテルを挿入する必要がある。このことは、患者にとって痛みを伴い、不便であり、又は極めて侵襲性が高いものである。この結果、大部分の患者は、シリンジによって定期的に注射することよりなる従来の注射治療よりも大きな利点があるポンプ及び注入セットを使用しない結果となった。
【0013】
形態学的に見て、皮膚の複合的なエピセリウム層、いわゆる表皮は、異物貫入に対するバリヤを付与された皮膚部分であり、4層からなっている。これらの層は角質層と称される最外層と、3つの下層即ち、表皮顆粒層、表皮マルピギー層及び表皮胚芽層である。角質層は、平坦で、比較的乾燥しており、ケラチン状の細胞の不均一な層であり、この下層には稠密ないわゆるハニー層がある。過去において、このハニー層は外部の異物が人体内に侵入するのを防ぐバリヤとして作用すると一般的に考えられていた。例えば、インベスト・ダーマット(Invest.Dermat.),第50巻,p.19〜26,1968年を参照されたい。現在は、角質層及び個別ではない細胞層が人体への異物侵入のバリヤとして機能すると考えられている。角質層全体は、それに含まれている化学的にケラチン状の燐脂質複合体であり、人体への異物侵入に対するバリヤとしてのハニー層と一緒に作用するため、バリヤとしてみなされる。本発明の目的にとっては、角質層全体は、異物侵入に対する天然バリヤとしてみなす。インベスト・ダーマット(Invest.Dermat.),第50巻,p.371〜379,1968年、及びイビッド(ibid),第56巻,p.72〜78,1971年を参照されたい。
【0014】
乾燥しているときには約15ミクロン、完全に含水したときには約48ミクロンの厚さを有する角質層は、極めて多種多様な化合物に対するバリヤとして作用する。このバリヤは高分子化合物、機能グループで代用される化合物、難溶解性分子、非電解質等で維持される。インベスト・ダーマット(Invest.Dermat.),第52巻,p.63〜70,1969年を参照されたい。化合物が、例えば、外科的に角質層を剥がすことによって角質層を通過できるようにしたとき、残存する表皮又は真皮への侵入に対する大きな防御にはならない。この後には、化合物は毛細管現象によって循環系統に侵入する。プログレス・イン・ザ・バイオロジカル・サイエンシズ・イン・リレーション・トゥ・ダーマトロジー(Progress in the Biological Sciences in Relation to Dermatology),第2版、p.245,1964年,ケンブリッジ大学出版、及びジャーナル・オブ・ドラッグ・アンド・コズメティック・インダストリーズ(J. of Drug and Cosmetic Industries),第108巻,第2号,p.152〜154,1971年を参照されたい。
【0015】
上述のことからみて、例えば、本発明薬物投与装置を使用して薬物を角質層に貫通させた後には、皮膚の残りの層への侵入は容易に進行する。しかし、インスリンのような薬物は、皮膚領域、即ち、表層管状網構造及び深層管状網構造との間に投与して、人体への均一で一定の吸収を確実にしなければならない。角質層以外への侵入なしに薬物を角質層に吸収させるのは保留とされ、経皮的な侵入ではない。
【0016】
他の従来装置及び方法としては、米国特許第3,964,484号、同第4,235,234号、同第4,969,871号、同第6,083,196号,同第6,050,988号、同第5,587,326号、同第6,022,316号、同第4,883,472号、同第4,865,591号、同第4,973,318号、同第5,017,190号、同第5,279,586号、同第4,856,340号、同第4,313,439号、同第5,640,995号、同第5,327,033号に記載のものがあり、これらを参考のために本明細書に掲げた。
【0017】
ポンプ及びリニア運動装置を含む種々の機構を駆動するための種々のマイクロアクチュエータが開発された。これらの装置の開発は、薬剤投与のための小型、低コスト、かつ目立たない解決法をもたらすものではない。薬剤を予充填カートリッジから押し出す現行技術を見渡しても、これら装置は大型でかさばるものであることがはっきりしている。
【0018】
米国特許第5,644,177号には、微細機械加工技術を使用して1又は2ミリメートルの範囲の物質で形成される流体の流れを制御する目的で動作することができる微細加工構造について記載している。この米国特許には、ギャップを有する磁気コアをサブストレートに固定し、プランジャを、固定コアのギャップに生ずる磁束に応答してサブストレートに平行に移動させるようばねによって取り付けている。微細機械的流体制御ユニットとしては、サブストレート上に電気的堆積によって形成した金属フレーム構造があり、このフレームの内壁には隔壁を収容するよう形成した溝孔を設け、この隔壁によってフレーム内部を個別のチャンバに分割し、フレーム及び隔壁の頂部にカバーを取り付けてチャンバをシールしている。プランジャアクチュエータはフレーム内に取り付け、固定コア部分をこのフレームの壁に貫通させ、マンドレル及びコイルをフレームの外側で固定コア部分に掛合させ、ギャップに磁束を発生させ、シールしたエンクロージャ内でプランジャを動作させる。
【0019】
米国特許第5,914,507号は、強誘電性薄フィルムセラミック材料、例えば、PZTの圧電特性、焦電気特性、電気ひずみ特性に基づく微細機械的装置又はマイクロアクチュエータについて記載している。マイクロ装置は、デバイスサブストレートと偏向可能コンポーネントとを有する。偏向可能コンポーネントはデバイスサブストレート上に偏向させるために取り付け、センサ/アクチュエータを有する。センサ/アクチュエータは、第1電極及び第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置した圧電薄フィルムとを有する。薄フィルムはPZTとすると好適である。センサ/アクチュエータはセンサ/アクチュエータサブストレート上に配置する。センサ/アクチュエータサブストレートは、フッ化水素酸蒸気による浸食に抵抗性を示すものから選択した材料により形成する。
【0020】
[発明の概要]
本発明の第1の発明によれば、薬剤を分注するための装置において、基礎と、第1部分及びこの第1部分から離れた第2部分を有し、第1部分を第2部分に対して接近しまた離れるよう把持方向に移動自在にしたグリッパと、励起信号に応答して長さを変化する第1アクチュエータであって、部分的に前記基礎に固定し、かつ前記グリッパの第1部分に隣接配置し、把持方向に指向させて前記グリッパの第1部分に配置し、第1アクチュエータに対する励起信号に応答して長さが変化するとき把持方向に沿って前記グリッパの第1部分を移動させる第1アクチュエータと、励起信号に応答して長さを変化する第2アクチュエータであって、部分的に前記基礎に固定し、かつ前記グリッパの双方の部分のうちの一方に隣接配置し、把持方向に指向させて前記グリッパの前記一方の部分に配置し、第2アクチュエータに対する励起信号に応答して長さが変化するとき把持方向とは異なる方向に沿って前記グリッパの前記一方の部分を移動させる第2アクチュエータとを具えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の発明によれば、薬剤を分注するために使用する装置において、中空バレル、開放端部、この開放端部とは反対側の出口を有する薬剤カートリッジと、前記バレル内に摺動自在に配置したプランジャと、前記プランジャに隣接させて前記バレルに配置し、また前記摺動方向に沿って前記バレル内を移動自在のスライドと、励起信号に応答して長さが変化する第1アクチュエータであって、前記スライドに部分的に固定し、前記スライド方向に指向させ、励起信号に応答して長さが変化するとき、前記スライド方向に沿ってスライドを移動させる第1アクチュエータと、励起信号に応答して長さが変化する第2アクチュエータであって、前記スライドに部分的に固定し、前記スライド方向に指向させ、励起信号に応答して長さが変化するとき、バレルの内面に掛合しかつバレル内で前記スライドを保持する第2アクチュエータとを具えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の第3の発明によれば、薬剤を分注するのに有用な薬剤分注装置において、U字状の可撓性シャフトと、第1位置と第2位置との間で移動自在のソレノイドと、前記ソレノイドに連結したつめと、歯を有するピニオンであって、ピニオンの歯間に前記つめを配置したピニオンと、このピニオン上のベルトと、前記ベルト及び前記可撓性シャフトに取り付けたアームとを具え、前記第1位置と前記第2位置との間でソレノイドが移動することによってつめを移動させ、このつめが前記ピニオンを回転させ、このピニオンが前記ベルトを移動させ、このベルトがアームを移動させ、このアームが前記可撓性シャフトを移動させる構成としたことを特徴とする。
【0023】
本発明の第4の発明によれば、液体を分注するための装置において、複数個のニードルであって、各ニードルには鋭利端部と、この鋭利端部に隣接する湾曲部を設けたニードルと、ニードルを少なくとも部分的に挿入する孔を有し、これら孔が貫通する環状空間を設けたベースと、前記ベースに封鎖可能に取り付け、かつ前記ベースとともにプレナム空間を形成するキャップであって、前記プレナム空間には前記ベースの環状空間の一部を設け、前記キャップには前記プレナム空間に流体連通する流路を設けたキャップとを具えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の目的は、予充填単一投与容器に適用でき、また複数個のマイクロ突起からなるカテーテル又は一体構成皮膚インターフェイス装置を直接ポンプに取り付けて使用することができる新規で改良した注入ポンプを得るにある。
【0025】
本発明の他の目的は、多数の中空突起によって角質層に裂け目を付け、表皮管状網構造を越える深さに達するが、深層管状網構造までは達しない深さで皮膚に貫入する一体構造皮膚インターフェイス装置を有するポンプを得るにあり、このインターフェイス装置は、薬剤をほぼ一定に注入し、又は要求に応じて濃縮塊注射をすることができるマイクロ注入装置に連結するものとする。この装置によれば、患者は、注入が一層快適になり、また注入プロセスにおける刺激を軽減することができる。
【0026】
更に、本発明の他の目的は、カテーテルに取り付けるとき個別に薬剤を注入又は注射することができる注入及び注射装置を小型かつコンパクトにすることにある。
【0027】
本発明の他の目的は、ポンプに使用する容器に薬剤を個別に移し替える必要性を排除し、またこれによりコストがかかり困難な準備ステップを軽減する注入ポンプを得るにある。
【0028】
また、本発明の他の目的は、制御した圧力でかつ制御した時間にわたり、薬剤を正確に分注し、またマイクロ突起皮膚インターフェイス装置を使用することができる注入ポンプを得るにある。
【0029】
更に本発明の他の目的は、安全性が高く、低コストであり、かつ寸法がコンパクトな機械的駆動装置を設けることができる注入ポンプを得るにある。
【0030】
更にまた本発明の他の目的は、薬剤を一次容器から移し替えることによる薬剤汚染の危険性を低減又は回避し、ポンプと共存でき、また溶液が完全に患者に投与できない場合にはアラームを発生することができ、健康に役立つ注入ポンプを得るにある。
【0031】
本発明の目的は、目立つことなく薬剤注入を行えるよう寸法が小さい注入ポンプを得るにある。
【0032】
また、本発明の他の目的は、制御した圧力で、また制御した時間にわたり薬剤を正確に分注する注入ポンプを得るにある。
【0033】
更に、本発明の他の目的は、基礎量投与及び濃縮塊投与の双方を行うことができる制御システムを有する注入ポンプを得るにある。
【0034】
本発明の更に他の目的、特徴、及び付随する利点は、当業者であれば、添付図面につき詳細に説明したところから明らかであろう。
【0035】
[好適な実施例の説明]
図面において同一素子又は対応素子には同一の参照符号を付して説明する。
【0036】
本発明によるポンプは、標準のカテーテルに使用するか、又は皮膚の角質層に貫入する複数個の突起を有する投薬機構に一体に組み込んで使用することができる。
【0037】
第1の実施例においては、ポンプは一体型注入装置として構成し、多くの事例において複数個の突起によって角質層に裂傷を形成するように構成する。これら突起は、患者の皮膚の皮下領域に突入し、各突入部を包囲する皮膚によって漏れを封鎖する角質層に裂傷を形成する無痛手段をなし、薬剤の基底注入及び濃縮塊注入のための流路を形成する。
【0038】
第2の他の実施例においては、ポンプを通常のカテーテルに取り付け、このカテーテルを患者の皮膚の皮下領域に挿入し、ポンプを患者に装着又は取り付けて薬剤の基底注入及び濃縮塊注入を行うようにする。代案として、ポンプを接続チューブに取り付け、本発明の投薬装置を使用して患者内に薬剤を注入する。
【0039】
本発明の第3の実施例においては、ポンプ駆動装置に、ラックと2個のピニオンギヤとを使用してポンプピストンを割り出すソレノイドを設ける。割り出し距離は、1時間以下とすることができる時間間隔にわたり分散させる場合に1時間あたりの最小投与に対応する割り出しを行うよう選択する。この実施例は、上述の同時継続出願第09/672,103号に記載のU字状駆動ピストンを使用する。
【0040】
局部的な又は系統的な循環システムに薬物を通過させることは、本発明で投与した薬物経皮的貫入の継続的な結果と見なすことができる。本明細書で使用される用語「経皮的」は、刺入、擦過、又は角質層の切り込みによって局部的又は系統的な循環系統に皮膚から貫入することを意味し、皮膚の内部層まで達する刺入、擦過又は切り込みを意味するものではない。
【0041】
本発明の他の発明の第1実施例は、多数のルーメンを有する突起により角質層に裂傷を生ぜしめる皮膚インターフェイス装置を使用し、好適には、要求に応じて比較的一定量の薬剤注入又は濃縮塊注入を行うことができるマイクロ注入装置に接続する。このような装置としては、上述の同時継続出願第09/672,103号に記載されている。本発明の皮膚インターフェイス装置は、酸化珪素、金属、若しくはプラスチック製のサブストレート、又はステンレス鋼製の小さいニードルのアレイを使用した微細機械加工(micro−machined)コンポーネントから形成する。ニードル又はマイクロ突起は、僅かな曲がり又は湾曲を設けると好適である。皮膚内に挿入するとき、湾曲した又は曲がった突起は、この突起が挿入された皮膚に小さいポケットを形成する。このポケットは、注入した薬剤の予形成した間質性リザーバをなし、薬剤注入による皮膚の刺激を軽減する。突起は、ニードル先端で曲げるか、又はニードルのシャフトに沿って曲げるか、両者の組み合わせにし、突起の周囲に適当なポケットを生ずるようにする。このようにして形成される代表的なポケットは、容積が0.00001〜0.001ミリリットルの範囲である。このポケットは、注入される薬剤に対して抵抗が少なく、通常の注入カテーテルの周囲に生ずる赤い刺入斑が少なくなる。
【0042】
突起は短く、しかも流体送給圧力が小さいため、装置は、寸法に起因する患者の痛み、侵襲性の貫入又はうっとうしさを排除する。更に、角質層の表面から1〜3ミリメートル程度のみ人体内に進入するため、挿入するときの痛みはほとんどない。人体の腹部に最低で1ミリメートルかつ3ミリメートルを越えない深さまで進入することにより、突起は痛みを生ずることがない。即ち、人体のこの領域の皮膚内には圧力感知神経のみが存在するだけであるからである。更に、貫入深さは、現行の注入プロセス及び注射プロセスで人体の薬剤吸収を一定にする上で十分な深さであり、患者及び病状を管理する健康管理専門家は通常の治療を再調整する必要はない。
【0043】
本発明においては、マイクロ突起システムと一体ポンプ又は注射投薬装置とを組み合わせることにより、患者の体の皮下に薬剤を注射又は注入する、目立たず利便性のよい手段をもたらし、現行の装置に関連する問題を解決する。ポンプ機構と、薬剤容器と、マイクロ突起との間で開閉する連通路を設けることによって、患者は、痛みがない深さに皮膚内に薬剤を投与することができる極めて小さい、また目立たない注入又は注射システムをもたらし、又は現行の注入治療に対して新しい注入方法の標準をもたらす。
【0044】
マイクロ突起は、流体送給通路に連通する小さい突起を形成することによって皮膚の天然バリヤに打ち勝つことができる。これら突起の貫入は、皮膚の天然バリヤに裂傷を付けて貫入する。これら天然バリヤには、形態学的組織及び巨大分子組織の双方がある。曲がったニードルによって生ずる小さいポケットは、周囲の皮膚に対する注入刺激を減少する。本発明装置の小さい寸法で目立たない性質は、患者に対する薬剤をより頻繁にかつより僅かな投与量で投与することを容易にすることによって改善した治療法をもたらす。
【0045】
本発明によるマイクロ突起は多くの方法で形成することができる。例えば、これに限定するものではないが、以下の特許文献に記載のプロセスを使用して本発明のマイクロ突起を形成することができる。(例えば、特許文献1、及び特許文献2及び非特許文献1参照)。
【0046】
【特許文献1】
米国特許第5,391,250号明細書
【特許文献2】
米国特許第5,437,999号明細書
【0047】
マイクロ突起の形成に関しては、チェニー(Cheney)II氏らの米国特許第5,391,250号明細書である特許文献1において、皮下的に又は経皮的にブドウ糖を測定するのに使用するため、薄いフィルム状の電気化学的センサを製造する方法について教示している。このようなセンサを製造するには、剛性サブストレート上に絶縁材料を薄いフィルム状のベース層として堆積する。次に、接触マスクによるフォトリソグラフィー及び薄フィルムカバー層を使用してベース層上にセンサのための導体素子を形成する。
【0048】
ディーボルド(Diebold)氏らの米国特許第5,437,999号明細書である特許文献2は、生物学的用途に好適である薄フィルム電気化学的装置を、電極領域の画定するのにフォトリソグラフィを使用して製造する方法について記載している。上述の各特許文献の明細書を電気加工方法に関して参考として掲げた。
【0049】
電子的コンポーネントを製造するための材料及びプロセスに関する優れた文献として非特許文献1がある。
【0050】
【非特許文献1】
チャールズ・A・ハーパー(Charles A. Harpre)著,「ハンドブック・オブ・マテリアル&プロセス・フォー・エレクトロニクス(Handbook of Materials and Processes for Electronics)」,(米国),1984年ライブラリー・オブ・コングレス(議会図書館)蔵カードNo.76‐95803
【0051】
この非特許文献1は、本発明に利用できる厚いフィルム、薄いフィルム、及びフォトレジストプロセスに関する詳細なプロセス情報について記載している。
【0052】
センサのための半導体プロセスの使用は文献に共通しているが、注入カニューレ又は皮膚を突き破るマイクロ突起を形成するのには使用されなかった。特許文献1及び2の双方に記載されている技術は、本発明に記載の注入カニューレ又は微細加工素子を形成するのに使用することができる。
【0053】
上述の同時継続出願第09/672,103号に記載されている機械的注射又は注入装置のためU字状駆動ピストンは、このU字状ピストンを小型のソレノイドに連結し、またラック&ピニオンドライブで割り出し操作をすることによって注入及び注射を自動化することもできる。この同時継続出願第09/672,103号に記載の駆動機構のコンパクトな形状は、パルス状の又は濃縮塊状の投薬に極めて好適である。U字状ピストンは占有面積が小さく、また可撓性シャフトの設計も仕上がり装置の厚さを減少することができる。
【0054】
本発明によれば、従来技術に対する多くの改良をもたらす。湾曲したニードルから形成した小さいマイクロ突起及び本発明のマイクロポンプを使用することにより、連続的にする必要なく、又は苦痛と不快感を与えることなく、集中治療計画に従うのを確実にする患者用の分離手段をももたらす。
【0055】
微細加工ニードル又はマイクロニードルは、流体送給通路に連通する小さい突起を形成することによって皮膚の天然バリヤに打ち勝つことができる突起を形成する。これらの突起の貫入は、皮膚の天然バリヤに裂傷を付けて貫入し、また集中した一つの部位にすべての薬剤を注射することなく、制御した状態でかつ均等な薬剤注入を行うことができる。本発明によれば、更に、制御した状態でインスリン吸収を確実にするため十分な深さまで達し、かつ角質層のみに裂傷を付ける現行の皮下プロセスにする従来技術に比較して改善した注入プロセスをもたらすことができる。このことは、患者に対してより快適な注入を与え、また注入プロセスからくる刺激を軽減する。
【0056】
以下、図面を参照して本発明の特徴を説明する。
【0057】
図1〜図5には、本発明の3つの実施例を示す。図5は、本発明の好適な実施例の注入ポンプを示す。
【0058】
図1には、注入ポンプ1の実施例を示し、この注入ポンプ1は標準的な予充填カートリッジ10を使用し、小さい輪郭のポンプ1で薬剤を患者に注入することができる注入システムをもたらす。この注入ポンプ1は、ピストン案内85内で案内されるピストン80を有する。ピストン80は、マイクロアクチュエータ36,60,70に取り付けた割り出しグリッパ35,30によって把持する。予充填カートリッジ10はホルダ15,20に保持し、また出口/ニードル/カニューレ90をカートリッジに取り付ける。予充填カートリッジ10は、カートリッジ10のバレル内に配置したプランジャ25を有する。マイクロアクチュエータ36を、基礎50に摺動自在に保持したスライド45上に配置する。マイクロアクチュエータ60は基礎50に配置し、マイクロアクチュエータ70を基礎2に配置する。基礎2には閉鎖可能な蓋を設け、装置1の内部素子を保護し、またアクセスされないよう遮蔽するとともに、カートリッジ交換のためにアクセスできるようにする。
【0059】
本発明の幾つかの実施例によるマイクロアクチュエータは、米国特許第5,644,177号及び同第5,914,507号に記載されている。
【0060】
割り出しグリッパ30,35は本発明の多くの実施例のうちの一つの形式とすることができる。例えば、これに限定しないが、上方グリッパ35は、ピストン80に対して上下動するクランプのジョーの形式とすることができる。この上方グリッパ35が下方位置にあるとき、グリッパ35はピストン80の外面に掛合する。下方グリッパ30は静止グリッパとし、上方グリッパ35によって保持されるピストンのベースとして作用する。本発明の他の実施例によれば、双方のグリッパ30,35は、ピストン80のほぼ両側に掛合する可動のクランプジョーとして形成することができる。双方のグリッパ30,35が可動である場合、個別のマイクロアクチュエータ36によって、これらマイクロアクチュエータ36にコントローラ200からの同一の制御信号が相互に作用して移動することができるようにする。代案として、単独のマイクロアクチュエータ36を使用し、双方のグリッパ30,35を互いにクランプする構体により結合し、どちらか一方を移動させることができる。当業者であれば、このようなグリッパ30,35を互いに連結するのに有用な構体は容易に気づくであろう。
【0061】
流体は、予充填カートリッジ10から、図2に示すようにして押し出される。このプロセスは、ステップ&リピートプロセスであり、従って、薬剤の脈動的注入を行うことができる。この脈動は、用途に応じて必要であれば、種々の流れ減衰技術を使用して滑らかに行われるようにすることができる。ステップ&リピートプロセスは制御プロセッサ200によって開始し、刺激、好適には、電気的刺激をマイクロアクチュエータ36に与え、アクチュエータの長さを変化させ、割り出しグリッパ35,30を開閉させる。刺激は圧電変化又は磁気変化のいずれかとすることができる。この刺激によって、マイクロアクチュエータ36は端部37が固定されており、またマイクロアクチュエータを動作させるとき端部38が移動するため、割り出しグリッパは閉じる。これにより、グリッパ35を押しやってカートリッジ10及び下方グリッパ30に圧着して閉じる。
【0062】
制御プロセッサ200は、次に励起信号をマイクロアクチュエータ60,70に送り、これらアクチュエータが長さを変更してピストン80を前方に押しやる。マイクロアクチュエータを伸縮させるこの励起信号によりは、圧電変化、電気的変化、又は磁気変化のいずれかとすることができる。この励起信号はピストン80を前方に移動させ、これはマイクロアクチュエータ60,70が端部62,71で固定されており、マイクロアクチュエータが動作するとき端部63,72が移動するからである。端部63,72は割り出しグリッパに取り付け、この割り出しグリッパを長手方向に前後に移動させる。アクチュエータ60,70の前進移動によりピストン80をプランジャ24に押し付け、これにより距離100にわたり移動させ、流体を出口90から押し出す。次に、制御プロセッサはマイクロアクチュエータ36を不作動にし、このマイクロアクチュエータ36を距離101にわたり移動させて通常の長さに復帰させ、これにより、割り出しグリッパ35,30を開放する。次に、制御プロセッサはマイクロアクチュエータ60,70を不作動にし、通常の長さに復帰させ、割り出しグリッパ35,30を後方移動するよう押し戻す。このプロセスは薬剤を出口90から前方押し出すようピストンを割り出すに必要なだけ繰り返す。マイクロアクチュエータは、センサを組み込んだり、又はセンサとして使用するよう構成し、例えば、制御信号をフィードバックすることによってプロセスの適正な制御を確実にするようにすることもできる。
【0063】
マイクロアクチュエータは、マイクロ素子マシニングを含む種々のプロセスから製造することができ、圧電励起、電気励起、又は温度励起のいずれかでオン・オフするときに伸縮することができるマイクロ・エレクトロ‐メカニカル・システム(MEMs)構造を形成する。更に、本発明は、適当な電気的又は磁気的又は圧電的励起を加えることによって動作するミニチュア電気‐機械的ソレノイドを使用するよう構成することもできる。これらのうちの任意のものによって、1サイクルで割り出しを完了する必要性に応じた安全な作動装置を得ることができる。
【0064】
薬剤投与の用途に関連する問題点は、注入/注射プロセスを制御することができないという問題に集約される。本発明の実施例においては、1サイクルを達成するオン・オフ個別信号を必要とすることによって、この問題を解決する。装置を制御するプロセッサ又は機械的手段が1個の信号モードでロックしたら、最悪の場合、1回の割り出し量に対応する1回の注入サイクルのみを行う。
【0065】
図3及び図4は、注入ポンプ1の他の実施例を示し、この実施例はポンプ1で薬剤を患者に注入することができる注入システムであり、側壁11a、11bを有し、また小さい輪郭を有する標準的な予充填バッグ11を使用する。注入ポンプ1はピストン案内85内で案内されるピストン80を有し、このピストン80をローラ25に取り付ける。ピストン80は割り出しグリップ35,30によって把持され、これら割り出しグリップ35,30はマイクロアクチュエータ36,60,70に取り付ける。予充填バッグ11はホルダ15,20に保持し、出口91をバッグに取り付ける。マイクロアクチュエータ36をスライド45に配置し、このスライド45を基礎50に保持する。マイクロアクチュエータ60はプラテン又は基礎50に配置し、マイクロアクチュエータ70はプラテン又は基礎2に配置する。
【0066】
流体は、図4に示すように、予充填バッグ11から押し出される。プロセスはステップ&リピートプロセスであり、薬剤の脈動注入を行う。脈動は用途の必要性に応じて種々の流れ減衰技術を使用して円滑に行われるようにすることができる。ステップ&リピートプロセスは制御プロセッサ200によって開始し、マイクロアクチュエータ36に励起信号を供給し、アクチュエータが長さを変化し、ピース35,30よりなる割り出しグリッパを閉じる。この励起信号は、圧電的、電気的又は磁気的変化とすることができる。制御プロセスは図1に示した実施例で使用したものと同一とすることができる。ローラはバッグ11の長さに沿って一方の側壁に沿って押されて出口80からバッグの内容物を押し出す。
【0067】
図5は、注入ポンプ1の好適な実施例であり、この実施例はポンプ1で薬剤を患者に注入することができる注入システムであり、小さい輪郭の標準的な予充填カートリッジ10を使用する。注入ポンプ1は、ピストン案内85内で案内されるピストン80を有する。ピストン80はマイクロアクチュエータ60,70によって形成される割り出しグリッパ、及びピストン80内に配置した割り出しアクチュエータ36によって割り出しを行う。マイクロアクチュエータ36,60,70は電気的に制御プロセッサ200に接続する。予充填カートリッジ10をホルダ15,20に保持し、出口90をカートリッジに取り付ける。予充填カートリッジ10は、このカートリッジ10内に配置したプランジャ25を有する。マイクロアクチュエータ36は、ピストン30の内不に保持したスライド45に配置する。マイクロアクチュエータ60及びマイクロアクチュエータ70は、これらアクチュエータの遊端が予充填カートリッジ10のバレルの内面の内側寸法に掛合して把持することができるように配置する。
【0068】
マイクロアクチュエータ70,60,36を交互に動作させることによって、予充填カートリッジ10から流体を押し出す。このプロセスはステップ&リピートプロセスであり、これにより薬剤の脈動注入を行う。脈動は用途の必要性に応じて種々の流れ減衰技術を使用することにより円滑に行われるようにすることができる。ステップ&リピートプロセスは制御プロセッサ200によって開始し、マイクロアクチュエータ60に励起信号を供給し、アクチュエータが長さを変化してマイクロアクチュエータ60とともにピストン80の端部を膨張させ、カートリッジ10の内側寸法を把持するようにする。励起信号は、圧電的又は磁気的変化とすることができる。励起信号は割り出しグリッパを開放し、これは、マイクロアクチュエータ60の中心が固定されており、マイクロアクチュエータが動作するとき端部63及び62が移動するからである。このことにより、圧はカートリッジ10を把持することができる。制御プロセッサ200は次に励起信号をマイクロアクチュエータ36に供給し、アクチュエータの長さを変化させて内部のスライド45をピストン80内で前方に押しやる。この励起信号は圧電的、電気的、又は磁気的変化とすることができる。この励起信号によりピストン80を前方に移動し、これはマイクロアクチュエータ36の中心を固定し、マイクロアクチュエータが動作するとき端部35,37を移動するからである。このことにより、ピストン80をプランジャ25に押し付け、このプランジャ25が流体を出口90から押し出す。
【0069】
この後、制御プロセッサ200は励起信号をマイクロアクチュエータ70に供給し、アクチュエータの長さを変化させ、マイクロアクチュエータ70とともにピストン80を膨張させ、カートリッジ10の内部寸法に掛合させる。この励起信号は圧電的又は磁気的変化とすることができる。この励起信号により割り出しグリッパを開放させ、これはマイクロアクチュエータ70の中心を固定し、マイクロアクチュエータが動作するとき端部71,71を移動するからである。このことによりアクチュエータはカートリッジ10のバレルの内面を把持することができる。次に、制御プロセッサ200がマイクロアクチュエータ60を不作動にし、このマイクロアクチュエータを通常の長さに復帰させ、カートリッジ10からグリッパを離脱させる。次に制御プロセッサはマイクロアクチュエータ36を不作動にし、このマイクロアクチュエータを通常の長さに復帰させ、ピストン80の後方端部を前方に押しやる。このプロセスは、出口80から薬剤を押し出すピストンの前方に割り出すのに必要なだけ繰り返すことができる。マイクロアクチュエータは、図示しないセンサを組み込み、プロセスの適正な制御を確実にするようにすることもできる。更に、随意に、アクチュエータからのフィードバック電圧、電流等を使用し、アクチュエータの制御のためのアクチュエータ状態を表示するようにすることができる。薬剤がカートリッジ10から空になったとき患者がケーブル50を引っ張ってピストンを後退させる。
【0070】
すべての実施例におけるポンプは、加圧状態で溶液をほぼ一定流量で、指定された時間にわたり分注し、また既存のポンプよりも一層無菌状態の環境をもたらす。更に視覚的表示及び音声アラームを設け、プロセスをモニタすることができる。注入ポンプは、患者が使用できる比較的コンパクトかつ軽量なものにすることができる。
【0071】
図6は、皮膚インターフェイス装置の微細加工突起の側面図を示す。突起は半導体材料又は微小なステンレス鋼製ニードルから形成する。ニードルを半導体材料から製造するとき、フォトレジストを適用し、ウェハを形状エッチングするか、又は図11に示すように小さいステンレス鋼ニードルのアレイを使用することによって製造する。微細加工突起は、ガス放電メッキ又はスパッタリング操作を行い、またフォトレジストを加えて層に対してジオメトリエッチングを行って突起に材料を付加し、任意の長さに形成することができる。
【0072】
微細機械加工(マイクロマシン)突起2000は、一連のエッチング及び堆積ステップによって形成し、流体送給孔2001を有するカニューレ形状のマイクロ突起2000を形成する。プレナム空間2002は、プレナム空間2015及び供給ポート2020を有するエッチング部分2010を取り付け、またカニューレホルダ2025に例えば、接着剤2030で取り付けることによって形成する。供給ポートは、カテーテル接続チューブ2035に取り付け、又は直接ポンプ2040に取り付ける。皮膚インターフェイス装置2050を製造するのに使用することができる材料としては、これに限定されるものではないが、酸化珪素(シリコンオキサイド)、金、銀、カーボン、又は半導体方法又は化学的方法で堆積したり、加工したりすることができる他の任意の材料がある。
【0073】
図7は、本発明ポンプ2100を示し、このポンプに直接連通する皮膚インターフェイス装置2105を設ける。
【0074】
図8は、可撓性シャフト3000、及び薬剤カートリッジ10内に配置したプランジャ25を駆動するミニチュアソレノイド3010を使用した本発明によるポンプを示す。可撓性シャフト3000は上述の同時継続出願第09/672,103号に記載した可撓性シャフトとすることができる。ミニチュアソレノイド3010は、ソレノイドプッシュロッド3015を有し、アーム3030を割り出すラック3020を押圧する。ラック3020の底部に取り付けたつめ3025は、ラック3020に取り付けたつめ3025に加わる力によって生ずるオーバーランニングモーメントによってロックされる。このことにより、ピニオンギヤ3050(図8では反時計方向に)割り出し、支持体3061上を通過する割り出しベルト3060を駆動し、可撓性シャフト3000を押しやり、この可撓性シャフト3000がプランジャ25を押す。
【0075】
ソレノイド3010が動作するとき、プッシュロッド3015を伸張させ、割り出しベルト3060を駆動する。つめ3025は可撓性を有するものとするか、又はラック3020にヒンジ連結する。ソレノイド3010が不作動状態になることによってつめが引き戻されるとき、つめは後退し、ギヤ(ピニオン)3050の一部であるカム3026上で曲がったり、又は撓んだり、又は回動したりする。本発明の実施例によれば、カム3026は溝孔付きプレートによって形成することができ、このプレートにつめ3025を貫通させ、ラック3020がプレートと一緒に移動するようにする。ラックの移動方向に延在する溝孔、及び溝孔の一方の端部で溝孔に貫通するつめによって、つめは一方向に撓むのを阻止され、他方向(長手方向)に自由に撓みかつ移動する。ソレノイド3010が不作動状態になるとき、プッシュロッド3015はばね3070によって逆方向に駆動され、ラック3020に取り付けたつめ3025は撓んで、ピニオン3050の歯上に乗って移動し、従って、ピニオンギヤ3050はラック3020の逆方向移動の際には回転しない。つめの後退力は摩擦ブレーキ3080によって反作用を受ける。ソレノイド3010の各割り出しは、所要の時間あたり最小量の薬剤を押し出すのに等しい。ポンプソレノイド3010はマイクロプロセッサ3200によって、タイマー設定に基づいて作動し、ソレノイドの行程あたり送給される量によって分割される選択して投与量の送給を行う。これに限定されるものではないが、ある実施例においては、1時間あたり最小で0.5単位また最大で30単位のインスリン投与を行うよう設計したポンプの場合、ソレノイド3010の行程は、各行程につきカートリッジ10から0.5単位を押し出すようにする。ソレノイドは、1時間あたり0.5単位の注入を行うには1時間あたり1回作動し、また、1時間あたり30単位の注入を行うには1時間あたり60回作動する。
【0076】
多くの患者は、注入部位に赤い刺入斑を生じ、単独ポイントにおける注入は炎症を生ずることを経験する。濃縮塊注射をするか、又は任意の特定部位に注入する薬剤量を減少するかのいずれかによる薬剤注入は、この炎症を軽減する。本発明によれば、多数のマイクロ突起によって形成した注射装置を提供し、これにより、従来技術よりも大幅に改善された3つの効果が得られる。第1に、1箇所への薬剤注入による炎症斑を生ずる患者の減少及び排除という効果。第2に、患者の皮膚における注入部の腫れを減少するという効果。この効果により、患者にはより快適で個別のパッケージをもたらす。第3の効果は、注入装置を挿入するときに患者が感ずる苦痛を減少するという効果である。
【0077】
小さいマイクロ突起2500は、貫入方向に僅かに湾曲させて形成することができる(図9参照)。このことは、注入による炎症量を減少するという利点が付加され、これは、図9及び図10に示すようにカニューレにおける湾曲によって小さいポケットが皮膚内に形成されるからである。同様の有利な効果は、通常のニードルを使用し、この通常ニードルに湾曲部を設けるか、又は先端2505を調整し、シャフトに対して1゜〜25゜、好適には、10゜の角度を形成することによっても得られる。
【0078】
図11〜図17には、マイクロ(例えば、ステンレス鋼製の)ニードル4001のアレイ4000を使用する本発明装置を示し、このアレイ4000は図11に示すように直接的に、又は図16及び図17に示すように接続チューブ4021を介してポンプ/注入装置4020に接続するハブ4010に固定する。ニードル4001は、装置の使用する挿入部位に基づいて0.5〜3mmの挿入長さを有する。ニードルに湾曲部を設ける場合には、この湾曲は、やはり、微細機械加工技術によってシャフトが曲がったもの、又は曲がった先端を有するように設計し、図14及び図15に示すように、皮膚内に内部ポケットを形成するようにする。ニードル4001はアレイ内に配置し、全体の占有面積を小さく、従って、サイズが小さくなるようにする。アレイに使用するニードル4001の数は、注入する薬剤の量、湾曲ニードル4001で皮膚内に形成する内部ポケットの大きさに依存する。
【0079】
プレナム空間4030は、円錐形のキャップ4040及びディスク状のベース4045を有する円錐形パターンに形成することにより、流出ニードル4001に均一な流れを生ずるよう設計する。薄い断面のプレナム空間4030及び円錐形形状は流れの均衡をとり、従って、プレナム空間4030に連通する各ニードル4001の流れはほぼ均一になる。ベース4045は、半径方向に延在する複数個の孔4047をモータ、これら孔4047にニードル4001の鋭利ではない端部をすく部分的に挿入する。孔4047は、半径方向内方の端部で環状空間4051に開口させ、この環状空間4051の中心にコーン又は截頭円錐体4049を配置する。ベース4045をキャップ4040に組み合わせたとき、コーン4049はキャップの底部の突起に掛合し、上述したように、シールしたプレナム空間を形成する。
【0080】
ニードル4001は環状部材4065の底面側から0.5〜3mm突出する。本発明の実施例によれば、各ニードル4001は直径0.005〜0.030インチ(0.127〜0.762mm)とし、流体を分注することができる設計とする。ニードル4001は、ベース4045を環状部材4065のホールド4069に配置した状態でリング4060を環状部材4065に配置することにより曲がることができる。リング4060は、リング4060の外面に形成した湾曲チャンネル4005の周りでニードル4001の端部を移動又は曲げ、これらチャンネル4005はニードル4001を保持する。ポンプ4020は流路貫通キャップ4040によってアレイ4000に直接連通させ、ポンプ4020の出口からの薬剤の流れが接続チューブ(図示せず)を介してプレナム空間4030に直接流入するようにする。接着テープ4100を設け、ポンプ4020及びニードルアレイ4000を患者に確実に取り付けるようにする。
【0081】
図14にはシャフト4003に曲げ部4002を形成したステンレス鋼製のニードル4001を示し、このニードルはアレイ4000に組み込んで注入装置を形成するようにする。図15は、先端4005が患者の皮膚に注入ポケットを形成するよう曲げ部4004を形成したニードル4001の実施例を示す。
【0082】
上述の実施例につき本発明を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変更を加えたり、等価のものを使用することができることは当業者には明らかであろう。本明細書に記載した各刊行文献は参考として説明したに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるピストン型注入ポンプの実施例の側面図である。
【図2】図1に示す本発明によるピストン型注入ポンプの実施例の液体を出口から押し出す動作を行う状態の側面図である。
【図3】本発明によるローラ型注入ポンプの側面図である。
【図4】図3に示す本発明によるローラ型注入ポンプの液体を出口から押し出す動作を行う状態の側面図である。
【図5】本発明による割り出しピストン型注入ポンプの側面図である。
【図6】皮膚インターフェイス装置のマイクロ機械加工突起列の縦断面図である。
【図7】皮膚インターフェイス装置に直接連通するよう取り付けた本発明ポンプの説明図である。
【図8】本発明注入装置の小型ソレノイド駆動機構の説明図である。
【図9】シャフトが湾曲したカニューレの説明図である。
【図10】ニードル先端に注入ポケットを形成する湾曲部の説明図である。
【図11】マイクロ突入装置として構成した小さいステンレス鋼製ニードルアレイの斜視図である。
【図12】マイクロ突入装置として構成した小さいステンレス鋼製ニードルアレイの分解斜視図である。
【図13】マイクロ突入装置として構成した小さいステンレス鋼製ニードルアレイの断面図である。
【図14】シャフトが湾曲した状態を示すカニューレの説明図である。
【図15】注入ポケットを形成するよう設計したニードル先端の湾曲部を示す説明図である。
【図16】マイクロ突入装置として構成した小さいステンレス鋼製ニードルアレンの斜視図である。
【図17】マイクロ突入装置として構成した小さいステンレス鋼製ニードルアレンの断面図である。

Claims (15)

  1. 薬剤を分注するための装置において、
    基礎と、
    第1部分及びこの第1部分から離れた第2部分を有し、第1部分を第2部分に対して接近しまた離れるよう把持方向に移動自在にしたグリッパと、
    励起信号に応答して長さを変化する第1アクチュエータであって、部分的に前記基礎に固定し、かつ前記グリッパの第1部分に隣接配置し、把持方向に指向させて前記グリッパの第1部分に配置し、第1アクチュエータに対する励起信号に応答して長さが変化するとき把持方向に沿って前記グリッパの第1部分を移動させる第1アクチュエータと、
    励起信号に応答して長さを変化する第2アクチュエータであって、部分的に前記基礎に固定し、かつ前記グリッパの双方の部分のうちの一方に隣接配置し、把持方向に指向させて前記グリッパの前記一方の部分に配置し、第2アクチュエータに対する励起信号に応答して長さが変化するとき把持方向とは異なる方向に沿って前記グリッパの前記一方の部分を移動させる第2アクチュエータと
    を具えたことを特徴とする薬剤分注装置。
  2. 前記第1アクチュエータ及び第2アクチュエータのうちの少なくとも一方を圧電アクチュエータとした請求項1記載の装置。
  3. 前記第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを圧電アクチュエータとした請求項1記載の装置。
  4. 励起信号に応答して長さが変化する第3アクチュエータを設け、この第3アクチュエータは、部分的に前記基礎に固定し、かつ前記グリッパの双方の部分のうちの他方に隣接配置し、把持方向に指向させて前記グリッパの前記他方の部分に配置し、第2アクチュエータに対する励起信号に応答して長さが変化するとき把持方向とは異なる方向に沿って前記グリッパの前記他方の部分を移動させるものとして構成した請求項1記載の装置。
  5. 前記基礎に釈放自在に取り付け、中空バレルと、開放端部と、この開放端部とは反対側の出口を有する薬剤カートリッジと、
    前記バレルに摺動自在に配置したプランジャと、
    前記プランジャに隣接させて前記バレル内に摺動自在に配置し、前記グリッパの前記第1部分と第2部分との間に延在する部分を有するピストンと
    を具え、前記グリッパの前記第1部分が前記把持方向に沿って前記グリッパの第2部分に向かって移動するとき前記グリッパの第1部分が前記ピストンに掛合するよう前記ピストン及び前記グリッパの第1部分を寸法決め、位置決め、また形状形成した請求項1記載の装置。
  6. 基礎に釈放自在に取り付け、第1側壁及び出口を有する薬剤バッグと、
    前記基礎に摺動自在に取り付けたピストンであって、前記グリッパの第1部分と第2部分との間に延在する部分を有するピストンと、
    前記ピストンに取り付け、また前記薬剤バッグの側壁に直ぐ隣接して配置したローラと
    あ具え、前記グリッパの前記第1部分が前記把持方向に沿って前記グリッパの第2部分に向かって移動するとき前記グリッパの第1部分が前記ピストンに掛合するよう前記ピストン及び前記グリッパの第1部分を寸法決め、位置決め、また形状形成した請求項1記載の装置。
  7. 薬剤を分注するために使用する装置において、
    中空バレル、開放端部、この開放端部とは反対側の出口を有する薬剤カートリッジと、
    前記バレル内に摺動自在に配置したプランジャと、
    前記プランジャに隣接させて前記バレルに配置し、また前記摺動方向に沿って前記バレル内を移動自在のスライドと、
    励起信号に応答して長さが変化する第1アクチュエータであって、前記スライドに部分的に固定し、前記スライド方向に指向させ、励起信号に応答して長さが変化するとき、前記スライド方向に沿ってスライドを移動させる第1アクチュエータと、
    励起信号に応答して長さが変化する第2アクチュエータであって、前記スライドに部分的に固定し、前記スライド方向に指向させ、励起信号に応答して長さが変化するとき、バレルの内面に掛合しかつバレル内で前記スライドを保持する第2アクチュエータと
    を具えたことを特徴とする薬剤分注装置。
  8. 前記スライドは、前記第アクチュエータ及び第アクチュエータを部分的に取り付けた第1部分と、前記スライドの第1部分に対して摺動方向に移動自在の第2部分を設け、更に、
    励起信号に応答して長さが変化する第3アクチュエータを設け、この第3アクチュエータは、前記スライドの第2部分に部分的に固定し、また摺動方向に指向させて、励起信号に応答して長さが変化するとき、バレルの内面に掛合しかつバレル内で前記スライドの第2部分を保持するものとして構成した請求項7記載の装置。
  9. 薬剤を分注するのに有用な薬剤分注装置において、
    U字状の可撓性シャフトと、
    第1位置と第2位置との間で移動自在のソレノイドと、
    前記ソレノイドに連結したつめと、
    歯を有するピニオンであって、ピニオンの歯間に前記つめを配置したピニオンと、
    このピニオン上のベルトと、
    前記ベルト及び前記可撓性シャフトに取り付けたアームと
    を具え、前記第1位置と前記第2位置との間でソレノイドが移動することによってつめを移動させ、このつめが前記ピニオンを回転させ、このピニオンが前記ベルトを移動させ、このベルトがアームを移動させ、このアームが前記可撓性シャフトを移動させる構成としたことを特徴とする薬剤分注装置。
  10. 中空バレル、開放端部、この開放端部とは反対側の出口を有する薬剤カートリッジと、
    前記カートリッジのバレル内のプランジャと
    を具え、前記可撓性シャフトを前記カートリッジのバレル内に突入させ、かつ前記プランジャに掛合させる構成とした請求項9記載の装置。
  11. 液体を分注するための装置において、
    複数個のニードルであって、各ニードルには鋭利端部と、この鋭利端部に隣接する湾曲部を設けたニードルと、
    ニードルを少なくとも部分的に挿入する孔を有し、これら孔が貫通する環状空間を設けたベースと、
    前記ベースに封鎖可能に取り付け、かつ前記ベースとともにプレナム空間を形成するキャップであって、前記プレナム空間には前記ベースの環状空間の一部を設け、前記キャップには前記プレナム空間に流体連通する流路を設けたキャップと
    を具えたことを特徴とする液体分注装置。
  12. 更に、中心孔を有する環状部材を設け、前記中心孔に前記ベースを位置決めした請求項11記載の装置。
  13. 更に、前記ニードルの湾曲部に位置決めするリングを設け、前記ニードルを前記リングと前記環状部材との間に位置決めし、前記ニードルの鋭利端部を前記リングに通過させた請求項12記載の装置。
  14. 前記ニードルの鋭利端部を約0.5〜約3.0mmの間の距離にわたり前記リングに通過させた請求項13記載の装置。
  15. 前記ニードルの鋭利端部を、約1゜〜約25゜の範囲の角度にわたり曲げた請求項11記載の装置。
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