JP2004189981A - 熱可塑性ポリイミド樹脂材料および積層体およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高密度回路の形成が可能で、優れた接着性、高温高湿環境下での接着信頼性にすぐれたプリント配線板板を提供する。
【解決手段】表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料と、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いて作製したプリント配線板により上記課題を解決する。
【解決手段】表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料と、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いて作製したプリント配線板により上記課題を解決する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器等に広く使用される、表面粗化された熱可塑性ポリイミド樹脂材料を用いてなるプリント配線板の製造法に関係しており、特に熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に無電解めっき皮膜を形成した場合、表面粗度の小さい表面であるにも関わらず、5N/cm以上の接着強度を発現する表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料とプリント配線板製造に適切な、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、およびそれらを用いたプリント配線板の製造方法に関係する。さらに詳しくはビアホール形成工程、デスミヤ工程など、通常のプリント配線板の製造プロセスが適用可能であり、さらに接着性、環境安定性に優れた高密度フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB(Tape Automated Bonding)用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF(Chip On Film)基板、MCM(Multi Chip Module)基板、等の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に回路を形成したプリント配線板が、電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられ、近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、その様なプリント配線板には、回路の高密度化や薄型化が強く望まれている。特にライン/スペースの間隔が25μm/25μm以下であるような微細回路形成方法の確立はプリント配線板分野の重要な課題である。
【0003】
通常プリント配線板においては、基板となる高分子フィルムと回路との間の接着はアンカー効果と呼ばれる表面の凹凸によって達成されている。そのため一般にフィルム表面を粗化する工程が設けられ、通常その表面にはRz値換算で3〜5μm程度の凹凸がつけられる。この様な基板表面の凹凸は形成される回路のライン/スペースの値が30/30μm以上である場合には問題とならないが、30/30μm以下、特に25/25μm以下の線幅の回路形成には重大な問題となる。その理由はこの様な高密度の細線である回路線が基盤表面の凹凸の影響をうけるためである。従って、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路の形成には、表面平滑性の高い高分子基板への回路形成技術が必要となり、その平面性はRz値換算で3μm以下、さらに望ましくは1.5μm以下である必要がある。しかし、一般的に、この場合には、接着力として上記アンカー効果は期待出来なり、接着強度の向上は見込めないと考えられている。例えば、樹脂表面を粗化する方法として、エポキシ系樹脂表面の粗化表面に無電解めっきさせる方法が開示されている。しかし、表面粗度Rzが3μm以上であれば良好に接着するが、3μm以下、特に1μm程度では3N/cm程度の接着性を示すのみであり、従来のフィルム表面を粗化する方法では、アンカー効果を期待するには、表面粗度が大きいことが必要と考えられてきた。そこで、別の接着方法の開発が必要となった。
【0004】
例えば、表面粗度が小さい樹脂表面に形成した回路配線との接着性改善について、ポリイミドフィルムにチタン系の有機化合物を添加することにより接着性を改善する技術、あるいは、Sn、Cu、Zn、Fe、Co、MnまたはPdからなる金属塩によってコートされた表面接着力の改善されたポリイミドなどが開示されている。また、ポリアミド酸固化フィルムに耐熱性表面処理剤を塗布した後イミド化したポリイミドフィルムをメタライズする方法が開示されている。さらに、ポリイミドフィルムの表面にチタン元素を存在させる手法が開示されている。さらに、樹脂成形体の表面でポリイミドの原料となるピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンを気相重合させた中間層を形成した後、真空蒸着法によりメタライジングする方法が開示されている。また、本発明者らによって熱可塑性ポリイミド表面に乾式鍍金法により導体層を形成しそれを加圧および熱処理して融着せしめポリイミドと接着層との密着強度を強化する手法が開示されている。 また、金属箔の接着性向上の取り組みとしては金属箔と熱可塑性ポリイミドを接着させる方法が開示されている。
【0005】
これらのポリイミドフィルム表面に蒸着、スパッタリング等の物理的方法で形成した銅金属層は、通常のポリイミドフィルム表面に形成した銅金属層に比較して優れた接着強度を有している。しかし、真空プロセスを用いる為、コストが高くなるという欠点を有している。
一方、回路基板にはより高密度の微細配線が求められると同時に、高温高湿などのより厳しい環境下での安定性が求められるようになってきており、特に高分子フィルムと回路配線の接着性についても高温・高湿の環境に耐えることが要求されている。
【0006】
さらに、両面に回路を形成するようなプリント配線板の場合には、配線板の両面を導通させるビアホールの形成が不可欠である。そのため、その様なプリント配線板は通常、レーザーによるビアホール形成工程、デスミヤ工程、触媒付与工程、無電解めっき銅を施す工程、等を経て回路形成がおこなわれる。
【0007】
さらに、回路形成はエッチングによるいわゆるサブトラクティブ法により行われる場合や、レジスト膜を形成する工程、無電解めっき膜が露出している部分への電解銅めっき工程、レジスト被膜の除去工程、余分な無電解銅めっき皮膜のエッチング工程から成る、いわゆるセミアディティブ法により製造される場合もある。したがって、配線回路と高分子フィルム間の接着性はこれらのプロセスに耐えるものである必要がある事は言うまでもない。
【0008】
このように、フィルムの表面粗度の小さい場合において、煩雑な方法をとらないでも充分な接着強度が得られ、しかも、高温・高湿の環境においても接着強度を維持することができ、かつ配線板の製造工程に耐えうる材料はこれまで見出されていない。
【0009】
【特許文献1】
特許第1,948,445号(米国特許第4,742,099号)
【0010】
【特許文献2】
特開平6−73209号公報(米国特許第5,227,224号)
【0011】
【特許文献3】
米国特許第5,130,192号
【0012】
【特許文献4】
特開平11−71474
【0013】
【特許文献5】
特開2002−113812
【0014】
【特許文献6】
特開平08−230103
【0015】
【特許文献7】
特開2000−198907
【0016】
【特許文献8】
特開2002−192651
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、(1)熱可塑性ポリイミド樹脂上に形成した、従来よりも小さな表面粗度を有する粗化表面に無電解めっきを形成した場合、5N/cm以上の接着強度を発現出来る事、(2)表面粗度が小さいことに由来し、微細な回路配線を形成できる事、(3)常態および高温・高湿下での接着安定性に優れたプリント配線板を安価に提供する事、にある。
【0018】
本発明者らは、上記した問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの条件を満足する、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料とプリント配線板製造に適切な、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、およびそれらを用いたプリント配線板の製造方法を開発し、本発明に至った。本発明の積層体を用いる事により、高密度で耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の第一は、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる材料であり、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合5N/cm以上の接着強度を有する表面処理を施されたことを特徴とする熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(2)本発明の第二は、前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(3)本発明の第三は、前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理であることを特徴とする(2)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(4)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(5)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面を過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物、有機溶剤の内少なくとも一つを含む溶液で処理することを特徴とする(4)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(6)前記表面処理が、(2)記載の表面処理と(4)記載の表面処理を併用することを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(7)前記表面処理を施した熱可塑性ポリイミド表面の十点平均表面粗さRzが3μm以下であることを特徴とする(1)〜(6)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(8)前記熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移温度が170℃以上であることを特徴とする(1)〜(7)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(9)前記熱可塑性ポリイミド樹脂が下記一般式(1)
【0020】
【化4】
(式中、Aは4価の有機基、Xは2価の有機基を示す)、で表されるポリアミド酸を脱水閉環して得られる熱可塑性ポリイミドである(1)〜(8)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(ただし、一般式(1)中のAは下記式群(1)
【0021】
【化5】
から選択された一種または二種以上であり、一般式(1)中のXは下記式群(2)
【0022】
【化6】
から選択された一種または二種以上である。)
(10)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその片方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第一図に示す。
(11)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその両面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第二図に示す。
(12)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその一方の面が熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層、他方の面が銅箔からなる積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第三図に示す。
(13)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその一方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層、他方の面に接着層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第四図に示す。
(14)非熱可塑性ポリイミド上に形成された熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の厚さが10μm以下であり、非熱可塑性ポリイミド層の厚さより薄い事を特徴とする(10)〜(13)記載の積層体である。
(15)(1)〜(14)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料または積層体を用いてなるプリント配線板の製造方法である。
(16)(10)記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも無電解めっき銅を施す工程を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(17)(11)記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも積層体を貫通するビアホールを形成する工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(18)(12)記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも非熱可塑性ポリイミドフィルム層および熱可塑性高分子層を貫通し銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホール内部をデスミヤする工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(19)(13)記載の積層体を用いた配線板の製造方法において、少なくとも該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面から内層配線板の電極に至るビアホール形成工程と、ビアホール内部をデスミヤする工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(20)(16)〜(19)記載のプリント配線板の製造法において、回路形成をサブトラクティブ法により行うプリント配線板の製造方法である。
(21)(16)〜(19)記載のプリント配線板の製造法において、回路形成をセミアディティブ法により行うプリント配線板の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。本発明においては、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる材料の表面に、特定の表面処理を施すことによって、エポキシ樹脂など、従来の材料に比較して、その表面粗度が小さいにも関わらず、接着強度が向上し、アンカー効果として期待される以上の充分な接着強度を発現する。
【0024】
まず、本発明に係る、熱可塑性ポリイミド樹脂について説明する。ここで言う熱可塑性ポリイミドは例えばピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンとから合成されるいわゆる非熱可塑性ポリイミドとは異なり、ガラス転移温度を有する。この熱可塑性ポリイミド樹脂は、原料となる酸二無水物化合物とジアミン化合物から合成される。これらの熱可塑性ポリイミドを得るための酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種または2種以上の酸二無水物を用いることが好ましい。
【0025】
また、同じくこれらの熱可塑性ポリイミドを得るためのジアミンとして、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2, 2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、 1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシドから選ばれる1種または2種以上のジアミンを用いることが好ましい。
【0026】
本発明の熱可塑性ポリイミドとしては下記一般式(1)
【0027】
【化7】
(式中、Aは4価の有機基、Xは2価の有機基を示す)、で表されるポリアミド酸を脱水閉環して得られる熱可塑性ポリイミドが好ましく、一般式(1)中のAが下記群(1)に示す4価の有機基から選択される一種類または二種類以上であること
【0028】
【化8】
がより好ましく、また、前記一般式(1)中のXは下記群(2)
【0029】
【化9】
に示す有機群から選択される一種または二種以上であることがより好ましい。
【0030】
本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂を得る為のこれら酸二無水物とジアミンの組み合わせの中で、群(2)に挙げた酸二無水物残基を与える酸二無水物から選ばれた少なくとも一種の酸二無水物と、群(3)に挙げたジアミン残基を与えるジアミンから選ばれた少なくとも一種のジアミンの組み合わせが好ましく、またその中でも酸二無水物として2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物 )、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、またジアミンとして1,3−ジアミノベンゼン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンは工業的に入手可能であり、また得られる熱可塑性ポリイミドの吸水率が低くなる、誘電率が小さい、誘電正接が小さい等の優れた特性を有し、また本発明の効果である無電解めっき皮膜との接着強度を上げる効果を発現するため特に好ましく使用可能である。
【0031】
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、上記の酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解、反応させて、前駆体であるポリアミド酸有機溶媒溶液を得る。
【0032】
熱可塑性ポリイミド樹脂は前駆体であるポリアミド酸をイミド化して得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。脱水剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物を用いることも可能である。無論、ケミカルキュア法に熱キュア法を併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、得られる樹脂の形態、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。
【0033】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。
【0034】
本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料は種々形態をとることができ、成形体、単層フィルム、または支持体上に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成した積層体等を取ることができるが、本発明の一つであるプリント配線板に適用する為には熱可塑性ポリイミド樹脂からなる単層フィルムまたは積層体であることが好ましい。積層体の場合、支持体は非熱可塑性ポリイミドフィルムであることが耐熱性、寸法安定性、界面の密着性等の観点より好ましく使用される。フィルム状熱可塑性ポリイミド樹脂を製造する為には幾つかの方法が考えられる。熱可塑性ポリイミドが溶媒に不溶性である場合は、前駆体のポリアミド酸の溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布し、上記のイミド化法、即ち熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行いフィルム状の材料にすることが好ましい。熱可塑性ポリイミドが溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性ポリイミド樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性ポリイミド溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布することも可能であるが、不溶性である場合と同様の方法でフィルム状にすることも可能である。上記支持体に銅箔を用いた場合、銅箔は、支持対として利用できるとともに、その後、後述する、表面処理を熱可塑性ポリイミド樹脂施す際にも利用することができるので、好ましく実施可能である。
【0035】
本発明の一つである非熱可塑性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成した各種の積層体に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成する為の方法としては各種方法が適用できる。
例えば、熱可塑性ポリイミドが溶媒に不溶性である場合は、前駆体のポリアミド酸の溶液を非熱可塑性ポリイミドフィルム上に流延塗布し、上記のイミド化法、即ち熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行い熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成することが好ましい。熱可塑性ポリイミドが溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性ポリイミド樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性ポリイミド溶液を非熱可塑性ポリイミドフィルム上に流延塗布し溶媒乾燥させ、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成することも可能であるが、不溶性である場合と同様に前駆体のポリアミド酸を非熱可塑性ポリイミドフィルム上に流延塗布する方法も適用可能である。また、非熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液と熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液または熱可塑性ポリイミド溶液を共押し出しし、熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行い熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と非熱可塑性ポリイミドフィルムからなる層を有する積層体を得る方法も適用可能である。積層体を形成する為の別の方法としては、予め熱可塑性ポリイミド樹脂のフィルムを製造した後、非熱可塑性ポリイミドフィルムにプレス加工、ラミネート加工等の公知の積層方法で積層体を得ることも可能である。
【0036】
次に本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、に用いる非熱可塑性ポリイミドフィルムについて説明する。
【0037】
本発明において使用される非熱可塑性ポリイミドフィルムは公知の方法で製造することができる。即ちポリアミド酸を支持体に流延、塗布し、化学的にあるいは熱的にイミド化することで得られる。好ましくは化学的にイミド化することがフィルムの靭性、破断強度、及び生産性の観点から好ましい。
【0038】
本発明に用いられる非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、基本的には、公知のあらゆるポリアミド酸を適用することができる。本発明に係るポリアミド酸は、通常、酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解、反応させて得ることができる。非熱可塑性ポリイミドは前駆体であるポリアミド酸をイミド化して得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。無論、ケミカルキュア法に熱キュア法を併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。
【0039】
本発明になる非熱可塑性ポリイミドに合成のための適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物 )、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物及びそれらの類似物を含む。
本発明に係る非熱可塑性ポリイミド合成ために用いられるな酸二無水物において、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)であり、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用いられる。
【0040】
本発明に係る非熱可塑性ポリイミド合成のために使用しうるジアミンとしては、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2, 2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、 1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、等及びそれらの類似物を含む。
【0041】
本発明に係る非熱可塑性ポリイミドフィルムに用いられるこれらジアミンにおいて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド及びp−フェニレンジアミン、またはこれらの混合物は特に好ましく用いる事ができる。
【0042】
本発明に係る非熱可塑性ポリイミドフィルムに好ましい酸二無水物とジアミン類の組み合わせは、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせ、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンの組み合わせ、あるいはピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンの組み合わせ、p−フェニレンジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらのモノマーを組み合わせて合成した非熱可塑性ポリイミドは適度な弾性率、寸法安定性、低吸水率等の優れた特性を発現し、本発明の各種積層体に用いるのに好適である。
【0043】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。
【0044】
また、イミド化をケミカルキュア法により行なう場合、本発明に係るポリアミド酸組成物に添加する化学的転化剤は、例えば脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N ' - ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。それらのうち、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物またはそれらの2種以上の混合物が、好ましく用い得る。これらの化学的転化剤はポリアミド酸溶液中のポリアミド酸部位のモル数に対して1〜10倍量、好ましくは1〜7倍量、より好ましくは1〜5倍量を添加するのが好ましい。また、イミド化を効果的に行うためには、化学的転化剤に触媒を同時に用いることが好ましい。触媒としては脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。それらのうち複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用い得る。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。これらの触媒は化学的転化剤のモル数に対して1/20〜10倍量、好ましくは1/15〜5倍量、より好ましくは1/10〜2倍量のモル数を添加する。これらの、化学的転化剤及び触媒は、量が少ないとイミド化が効果的に進行せず、逆に多すぎるとイミド化が早くなり取り扱いが困難となる。
【0045】
上記種々の方法で得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムは、公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理、等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施し、さらに良好な特性を付与し得る事が出来る。
【0046】
非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは、2μm以上、125μm以下であることが好ましく、5μm以上、75μm以下であることがより好ましい。この範囲より薄いと積層体の剛性が不足するばかりでなく、フィルムの取り扱いが困難となり、さらにその表面への熱可塑性ポリイミド層の形成も困難となる。一方、フィルムが厚すぎると、インピーダンス制御の点から絶縁層厚みが厚くなると回路幅を広くする必要があるので、プリント配線板の小型化、高密度化の要請に逆行するものである。
【0047】
次に本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理の方法について説明する。本発明の表面処理を行った熱可塑性ポリイミド樹脂はその表面に形成した無電解めっき皮膜と強固に接着し、具体的には5N/cm以上の接着強度を有するものであり、熱可塑性ポリイミドと適切な表面処理方法を組み合わせることにより、従来よりも表面粗度の小さな樹脂表面であるにもかかわらず強固に無電解めっき銅皮膜を接着させることを可能とした。ここで無電解めっき皮膜は公知の方法で形成することができ、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきが好ましく使用され、無電解銅めっきが好ましく使用可能である。
【0048】
本発明の表面処理の方法は種々検討の結果、幾つかの適切な方法があることを見出した。それらを具体的に説明する。
先ず、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に凹凸を形成する表面処理が挙げられる。凹凸面の粗度を大きくするほど無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向にあることが知られているが、一方、形成できる配線ピッチは配線形成をサブトラクティブ法、セミアディティブ法のどちらの方法で行っても大きくなる傾向があり、配線の高密度化には好ましくない。本発明においては、表面処理を施す材料として、熱可塑性ポリイミドを選択することによって、従来よりも小さな表面粗度を有する粗化表面であるにもかかわらず無電解めっき皮膜を強固に接着できるものである。従って、配線を強固に接着することと配線の微細化を同時に実現できるものであり、プリント配線板の高密度化要求に応えられるものである。
【0049】
具体的方法として、熱可塑性ポリイミド樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理方法が挙げられる。金属箔は公知の金属箔を用いることができ、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔等が挙げられるが工業的に広く一般的に用いられている銅箔はコスト的にも種類の豊富さの面でも有利であり、好ましく使用できる。本金属箔は熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に粗化表面を形成する目的で使用され、熱可塑性ポリイミドと金属箔を熱プレス加工、熱ラミネート加工等公知の方法で積層し、該金属箔を物理的に引き剥がす、金属箔を溶解させる等の方法により除去することにより熱可塑性ポリイミド樹脂表面に粗化表面が形成される。従って、金属箔の少なくとも一方の表面に粗化表面を有することが好ましい。金属箔の粗化表面の粗度は熱可塑性ポリイミドと無電解めっき皮膜との接着強度の大きさと、熱可塑性ポリイミド樹脂上に形成できる配線のピッチの細かさに影響を与える。即ち、金属箔の粗度が大きいと、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に形成される凹凸面の粗度も大きくなる傾向があり、無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向があるが、一方、形成できる配線ピッチは配線形成をサブトラクティブ法、セミアディティブ法のどちらの方法で行っても大きくなる傾向があり、配線の高密度化には好ましくない。具体的には金属箔の粗化表面の表面粗度Rz(十点平均表面粗さ)が3μm以下、好ましくは1.5μm以下であることが好ましく、これにより熱可塑性ポリイミド樹脂表面に形成された凹凸面の表面粗度Rzも3μm以下となり、更にはライン/スペースが25μm/25μm以下の微細な配線形成が可能であり、接着強度は5N/cm以上となり好ましい。銅箔の種類には電解銅箔と圧延銅箔が広く利用されており、何れも樹脂との接着強度を上げる目的で少なくとも片面に粗化表面、即ちマット面を有する。このマット面の大きさは銅箔の製品により各種入手可能であるが、圧延銅箔のマット面は比較的表面粗度Rzが小さく好ましく使用可能である。
【0050】
熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する別の方法として、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面をエンボス加工、サンドブラスト加工、研磨加工も好ましく使用できる。エンボス加工は表面に凹凸を形成した金属材料に熱可塑性ポリイミド樹脂を接触させることにより、樹脂表面に凹凸を形成することが可能となる。この際、加熱、加圧を伴なうことが好ましく、適切な凹凸が形成できる条件で加工することが好ましい。サンドブラスト加工、研磨加工も適切な凹凸が形成できる条件で加工することが好ましい。
【0051】
また、本発明の表面処理として、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理も好ましく適用できる。この表面処理方法は熱可塑性樹脂の表面の適度な厚みを溶解させることを目的としており、それにより無電解めっき皮膜との接着性を高めることが可能である。このことは、理由は定かでないが、この表面処理により、樹脂表面に凹凸が形成されるか、および/または、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を溶解により除去することにより化学構造の変化が生じ、無電解めっきとの接着性に良い影響を与えると推察している。ここで「一部除去する」とは熱可塑性ポリイミド樹脂の表層全体が均一に除去される状態、または表層が不均一に、即ち島状に除去されるまたは島状に表層が残る状態を表わす。
【0052】
具体的に熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する表面処理としては、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線、レーザー、RIE等の気相で処理する方法、また熱可塑性ポリイミドを溶解する液体により処理する液相処理が挙げられる。これらの処理には、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に微小な凹凸面を形成し強固に無電解めっき皮膜を接着する効果があるとともに、樹脂表面を化学的に活性化させる効果があると考えている。これらの処理のうち、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線の気相で処理する方法、および液相処理する方法が工業的に簡便であり好ましく実施される。また、液相処理は熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解させ、本発明の目的を達成するものであれば特に限定されない。具体的には広く工業的に、特にプリント配線板製造におけるデスミア工程やポリイミドのエッチングに使用されている過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物を含む水溶性液体、あるいは有機溶剤等が好ましく使用される。熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解する有機溶剤としてはアミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。以上、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理方法について、「熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」、「熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する表面処理」に分けて、その具体的方法とともに説明したが、これらを組み合わせることも効果があることも見出した。具体的には「熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と「熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する表面処理」を併用することであり、種々組み合わせに効果がある。この中で「熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解させる液相処理を併用することに特に効果があり、その中でも金属箔を用いた表面処理を行った熱可塑性ポリイミド樹脂表面を過マンガン酸塩または有機アルカリ化合物、有機溶剤で処理することは特に効果的である。
【0053】
これらの処理により得られる熱可塑性ポリイミド樹脂の表面粗度は微細配線を形成する観点より、表面粗度Rzが3μm以下であることが好ましい。表面が平滑であることはライン/スペース25/25μm以下の高密度回路を形成するのに好適であり、エッチング工程において樹脂表面の凹凸にエッチング残りが生じない点からも好適である。RzはJIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計やB0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0054】
この様な熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理を用いることにより、従来よりも小さな粗化表面に強固に無電解めっき皮膜を接着することを実現でき、またプレッシャークッカーテスト後にも優れた接着強度を有している事が分った。これによりプリント配線板の高密度化、即ち微細配線形成が可能になった。
【0055】
次に本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体について説明する。
【0056】
本発明の積層体は何れも、非熱可塑性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成する。非熱可塑性ポリイミドフィルム、熱可塑性ポリイミドおよび積層の方法は既に説明した通りである。本発明の積層体の熱可塑性ポリイミド層の厚さは、回路基板として低熱膨張性、耐熱性、電気特性等種々の優れた特性を持つ非熱可塑性ポリイミドフィルムの物性を生かすためにはできるだけ薄いことが好ましく、熱可塑性ポリイミド層の厚さは非熱可塑性ポリイミドフィルムより薄い事が好ましく、更には熱可塑性ポリイミド層の厚さは非熱可塑性ポリイミド層の1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下である。一方、本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理は表面に凹凸を形成する場合があり、この場合、少なくとも表面処理により形成される熱可塑性ポリイミド樹脂の粗化表面の表面粗度Rzよりも熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みが厚いことが好ましく、より好ましくは2倍以上である。例えば、非熱可塑性ポリイミドフィルムが25μmで、その片面に形成した熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面粗度Rzを3μmにする場合、熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みは25μmが好ましく、より好ましくは12.5μm、特に好ましくは6μm程度となる。非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚み、形成する熱可塑性ポリイミド層の表面粗度Rzの大きさ、熱可塑性ポリイミド層の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整可能である。
【0057】
次に、本発明に係る「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」からなる積層体の銅箔層について説明する。
【0058】
本発明の「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」積層体の銅箔層は、凹凸の形成された銅箔の直接接着された物でも良く、あるいは適当な接着剤を介して銅箔と張り合わされた様な形態でも良い。また、銅箔層の変わりに湿式めっき法で形成された銅層を用いてもよい。接着剤を介してポリイミドフィルムと銅箔を積層する方法は、熱ラミネート、熱プレス等公知の方法が使用できる。
【0059】
次に「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる積層体における接着層について説明する。接着層には通常の接着性樹脂が用いられ、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤、の二種類に分けることができる。
【0060】
接着剤に熱融着性を与える熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組合せて本発明の積層体の接着層として用いることができる。中でも優れた耐熱性、電気信頼性等の観点より熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。ポリイミド樹脂、としては公知の酸二無水物成分の1種を、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0061】
特に優れた熱融着性の発現のためには、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、2,3,3’,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を用いるのが好ましい。
【0062】
また、ジアミン成分としては公知のジアミンを用いる事ができ、これらを単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。本発明の積層体に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂の材料としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン等をそれぞれ単独または任意の割合で混合して用いることが好ましい。
【0063】
次に熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型の接着剤に関して説明する。熱硬化型樹脂としてはビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独、または適宜組み合わせて用いることができる。また、上記熱硬化性樹脂以外に高分子鎖の側鎖または末端にエポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基,水酸基等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を熱硬化成分として使用することも可能である。加熱接着時の接着剤の流れ性を制御する目的で、前記熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を混合することも可能である。このためには、熱可塑性樹脂100重量部に対して、熱硬化性樹脂を1〜10000重量部、好ましくは5〜2000重量部加えるのが望ましい。熱硬化性樹脂が多すぎると接着層が脆くなるおそれがあり、逆に少なすぎると接着剤の流れ性が低下したり、接着性が低下するおそれがある。
【0064】
本発明の積層体に用いる接着剤として、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格、等の観点からポリイミド樹脂やエポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系、あるいはこれらをブレンドして用いたものも好ましく使用できる。
【0065】
これら本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料及び各種の形態の積層体は何れも表面処理を施されたことを特徴とする熱可塑性ポリイミド樹脂を有するが、これらの表面処理は熱可塑性ポリイミド樹脂材料の形態または各種積層体の形態において予め行ってもよく、またプリント配線板製造工程中で該表面処理を行っても良い。例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂材料または各種積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂に表面処理、具体的には「表面に凹凸を形成する表面処理」および/または「表層を一部除去する表面処理」を実施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料、または各種積層体であっても、または本発明に係る表面処理を行う前の熱可塑性ポリイミド樹脂材料、または本発明に係る表面処理を行う前の熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する各種積層体を例えばプリント配線板の製造に供し、その製造途中段階で表面処理が実施される場合も、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料及び各種の積層体の範疇に属すると解釈される。より具体的には例えば、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、表面凹凸を有する金属箔が積層された「金属箔/熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」なる構成の積層体は本発明の積層体の範疇に属する事を意味する。この場合、「金属箔/熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」なる構成の積層体を接着層を内層回路を有する内層基板と対向させ、積層した後、金属箔をエッチング等の方法で除去し、熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が行われることとなる。また、別の具体例としては、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、表面処理を施していない熱可塑性ポリイミド樹脂層を積層した状態、即ち「表面処理を行っていない熱可塑性ポリイミド樹脂層/表面処理を行っていない非熱可塑性ポリイミドフィルム層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」なる構成の積層体は本発明の積層体の範疇に属する事を意味する。この場合、「表面処理を行っていない熱可塑性ポリイミド樹脂層/表面処理を行っていない非熱可塑性ポリイミドフィルム層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」なる構成の積層体に対し、レーザー、パンチング、ドリリング等の方法で積層体を貫通するヴィアホールを形成した後、例えば過マンガン酸溶液による表面処理を実施し、熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が行われることとなる。この場合、ヴィアホールのデスミアが表面処理と同時に行われることとなり好ましく実施される。
【0066】
以上、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料および各種積層体が有する「表面処理を施された熱可塑性ポリイミド樹脂」の表面処理が実施されるタイミングについて説明した。繰り返しになるが表面処理実施のタイミングは本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料および各種形態の積層体の権利の範囲を限定するものではなく、いずれかのタイミングで熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が実施される事が重要であり、このことにより、良好な接着強度が発現する事が本発明にとってより重要である。
【0067】
次に本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いたプリント配線板の製造方法について説明するが本発明の製造方法はこれらに限定されるものではなく、その他の技術・プロセスを組み合わせることも可能である。
【0068】
「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」積層体における配線板の製造法を説明する。第一のプリント配線板の製造方法では、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に無電解めっき銅を施す。この無電解めっきは、パラジュウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらに無電解めっき銅上にレジスト膜を形成し、露光、エッチングにより回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっき法により回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。この方法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。
【0069】
第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。まず上記と同様に、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅を施し、電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光工程、現像により回路の形成しない部分のレジスト膜を除去し、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0070】
「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」積層体の場合について説明する。
【0071】
第一のプリント配線板の製造方法では、まず積層体を貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いた穴開け法によって行う。小さなビアホールを形成する場合レーザーを用いた穴開け法が好ましく使用される。ビアホールを形成後、ビアホール内部および周辺に出来たポリイミド分解物や熱による炭化物を主成分とするスミヤを除去するデスミア工程を実施する。このデスミア工程は公知の方法を利用でき過マンガン酸塩を用いるウェットプロセスやプラズマ等のドライデスミアを用いることも可能である。本発明の各種積層体はプリント配線板製造において広く用いられている過マンガン酸塩系デスミアプロセスに対する耐久性を有しており好ましく使用できる。次に、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。上記と同様にこの無電解めっきは、パラジュウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらにレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき層が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。この回路形成法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。
【0072】
第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。すなわち、まず、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」積層体を貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ工程を経て、熱可塑性ポリイミド樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅によりパネルめっきを施して、両面をビアホールによって電気的に接続し、次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0073】
次に、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」積層体を用いた場合のプリント配線板の製造法についてのべる。
【0074】
第一のプリント配線板の製造方法では、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルムフィルム層を貫通して金属銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いる。ビアホール形成後、熱可塑性ポリイミド樹脂表面およびビアホール内部をデスミアする。次に熱可塑性ポリイミド樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。次に無電解めっき銅上にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。
【0075】
第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。すなわち、まず、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルムフィルム層を貫通して金属銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ、無電解めっき銅層を形成する。次に無電解めっき銅層に電解めっき銅を施して、両面がビアホールによって電気的に接続された積層体を作製する。次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0076】
次に、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる積層体を用いた配線板の製造方法についてのべる第一のプリント配線板の製造方法では、まず該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ加熱および/または加圧を伴った方法で積層する。次に、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層を貫通して配線板回路にいたるビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーを用いたレーザーによる穴開け法を用いる。ビア穴を形成後、少なくともビアホール内部に出来たポリイミド融着物、分解物、熱による炭化物などを主成分とするスミヤを除去する工程を実施する。ビアホールを形成後、無電解めっき銅を施す。次にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。
【0077】
第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。すなわち、まず、まず該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ加熱、および/または加圧を伴った方法で積層する。表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層を貫通して配線板回路にいたるビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ、無電解めっき銅を施す。次に無電解めっき銅上に電解パネルめっき銅を施す。次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0078】
繰り返しになるが本発明のプリント配線板の製造方法において、所望するプリント配線板の仕様等から要請される必要性に応じ工法、プロセス条件を適宜選択することは可能であり、またその他の公知の技術を組み合わせることも可能であり、全て本発明のプリント配線板の製造方法の範疇に含まれる。
【0079】
即ち、ビアホール形成は公知の炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーやエキシマレーザー、パンチング、ドリリング等を用いることが可能であり、また、デスミア工程は過マンガン酸塩、有機アルカリ溶液等を用いたウェットプロセス、プラズマを利用したドライプロセス等が適用可能であるが、本発明の各種積層体はプリント配線板製造プロセスにおいて一般的な過マンガン酸塩を用いたデスミアプロセスに対する耐久性を有しており好ましく使用でき、また無電解めっきの種類としてはパラジウム等の貴金属の触媒作用を利用した化学めっき、更には析出する金属の種類としては銅、ニッケル、金等が使用可能である、あるいはパラジウム、カーボン、有機マンガン導電皮膜、導電性高分子を用いたダイレクトプレーティング等を適用可能であり、またレジストは液状レジストやドライフィルムレジスト等が適用可能であり、特に取扱い性に優れたドライフィルムレジストは好ましく使用可能であり、また、セミアディティブ法で回路形成する場合の給電層除去為のエッチングにはプロセスで用いる無電解めっきの種類により適宜選択され、無電解めっきが銅である場合、硫酸/過酸化水素、過硫酸アンモニウム/硫酸系エッチャントが好ましく使用され、また、無電解めっきがニッケル、金等の場合、それらを選択的にエッチングできるエッチャントの使用も好ましい。
【0080】
以上、本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いたプリント配線板の製造方法について述べたが、これら積層体を用いることにより、デスミヤ工程や無電解めっき工程などの通常の製造工程が適用出来、ライン/スペースが20μm/20μm以下であるような高密度回路形成が可能で、優れた接着性と高温・高湿、等の厳しい環境における高い接着信頼性を持つプリント配線板を得る事ができる。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、及び改変を行い得る。なお、実施例中の種々の非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製、熱可塑性ポリイミド樹脂の作製、積層体の作製、接着層の合成・作製、積層、無電解めっき、各種測定・評価は以下の方法で行った。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製法−A)
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の17wt%のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gからなる転化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に厚さ700μmで流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30wt%であり、イミド化率は90%であった。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して厚さ25μmのポリイミドフィルムを製造した。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製法−B)
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルモル比で1/1の割合で合成する以外は作製法−Aと同様の方法でポリイミドフィルムを作製した。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製法−C)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で4/5/7/2の割合で合成したポリアミド酸の17wt%のDMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)溶液を用いる以外は作製法−Aと同様の方法でポリイミドフィルムを作製した。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の作製法−X)
1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(以下、DA3EGと言う)と、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと言う)をモル比3:7でDMFに溶解し、撹拌しながら3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下TMEGと言う)及び3,3’,4,4‘−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと言う)をモル比5:1で加え、約1時間攪拌し固形分濃度が20wt%ポリアミド酸DMF溶液を得た。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の作製法−Y)
BAPPをDMFに均一に溶解し、撹拌しながら3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)のモル比4:1でかつ酸二無水物とジアミンが等モルになるように添加し、約1時間撹拌し、固形分濃度20wt%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の作製法−Z)
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’−ジヒドロキシベンジジンをモル比4:1でDMFに溶解し、撹拌しながら4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を酸二無水物とジアミンが等モルになるように添加、約1時間撹拌し、固形分濃度20wt%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(積層体の作製)
以上のべた、製造法―A、B、Cで作製した非熱可塑性ポリイミドフィルムをコアフィルムとして用い、その両面あるいは片面に製造法−X、Y、Zで作製した熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のDMF溶液をグラビヤコーターを用いて塗布した。
塗布後、加熱処理により溶媒乾燥、あるいはポリアミド酸のイミド化を行い、最終加熱温度390℃で非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層からなる積層ポリイミドフィルムを作製した。塗布量を変えて熱可塑性ポリイミド層の厚さの異なるフィルムを得た。これらのフィルムを、例えば非熱可塑ポリイミドフィルムがA法で作製したものであり、片面のみにX法で作製した熱可塑性ポリイミド層を設けた場合、X/A、両面がX法で作製した熱可塑ポリイミド層を設けた場合、X/A/X、片面が熱可塑ポリイミド層で他の面が銅箔である場合にはX/A/Cu、等と記載してある。
(接着層の合成・作製)
窒素雰囲気下で、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)に1当量のビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン(以下BAPS−Mという)を溶解した。溶液を冷却しつつ撹拌し、1当量の4、4´―(4、4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(以下、BPADAという)を溶解、重合し固形分濃度30重量%のポリアミド酸重合体溶液を得た。このポリアミド酸溶液を200℃、180分、665Paの減圧下で加熱し、固形の熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。上記で得たポリイミド樹脂とノボラック型のエポキシ樹脂(エピコート1032H60:油化シェル社製)、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(以下、4,4’−DDSとする)を重量比が70/30/9になるように混合し、ジオキソランに固形分濃度が20重量%になるように溶解して接着剤溶液を得た。得られた接着剤溶液を上記手法で得た積層体のポリイミドフィルム面に乾燥後の厚みが12.5μmになるように塗布し、170℃で2分間乾燥して接着層を形成し積層体を得た。
(積層工程)
銅箔12μmのガラスエポキシ銅張積層板から内層回路板を作製し、次いでで得た積層体を真空プレスにより温度200℃、熱板圧力3MPa、プレス時間2時間、真空条件1KPaの条件で内層回路板に積層、硬化した。
(無電解めっき)
下表に示すアトテック社製無電解めっきプロセスを用いて行った。
<無電解めっき条件>
【0082】
【表1】
(接着強度の測定)
IPC―TM−650−method.2.4.9に従い、パターン幅3mm、剥離角度90度、剥離速度50mm/minで測定した。
(プレッシャークッカー試験)
121℃、100%RH、96時間、の条件下で試験を行った。
(表面粗さの測定)
光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0083】
(実施例1〜9)
ポリイミドフィルム作製法A、B、C、で製造した厚み25μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法X、Y、Zで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の製造を行った。熱可塑性ポリイミド層の厚さは3μmとした。銅箔を熱可塑性ポリイミド層に重ね合わせ、温度340℃、線圧20kgf/cm、線速1.5m/minの条件で熱ロールラミネートした。銅箔にはジャパンエナジー製18μm(Rz=1.5μm)圧延銅箔BHY−22B−Tを使用した。続いてラミネートした銅箔を塩酸/塩化第二鉄系エッチャントで完全に除去し、表面処理された熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する本発明の積層体を得た。表面処理された表面粗度の測定を行った。
続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表2にしめす。
【0084】
(比較例1〜3)
実施例1〜9において銅箔をラミネートし、除去することによる表面処理を行わない以外は同じにして実験したところ接着性は1N/cm以下となり、非常に低かった。その結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
この結果から、本発明の積層体では適度に小さな粗化表面上に5N/cm以上の高い接着性を有する無電解めっき層を形成できる事がわかった。
【0086】
(実施例10〜26)
各種表面処理の効果を確認する為実験を行った。ポリイミドフィルム作製法Bで製造した厚み25μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の製造を行った。熱可塑性ポリイミド層の厚さは1、3、5μmとした。
(1)電解銅箔を用いた表面処理は三井金属製電解銅箔3EC−VLP箔(厚み18μm、Rz=4.6μm)を実施例1〜9と同様の方法で積層した。
(2)過マンガン酸塩を用いた表面処理は、下表に示すアトテック株式会社製過マンガン酸デスミアシステムを用いて行った。
<過マンガン酸デスミア条件>
【0087】
【表3】
(3)有機アルカリ化合物を用いた表面処理は、水酸化カリウム/エタノールアミン/水を重量比2/5/1で混合した混合液に30℃5分間浸漬し、十分水洗することにより行った。
(4)有機溶剤を用いる表面処理は、溶剤としてDMFを用い、40℃5分間浸漬し、十分に水洗することにより行った。
これら表面処理を実施した積層体を用い、実施例1〜9と同様の方法で評価を行った。尚、2種の表面処理を併用した場合、表4記載の順序で逐次表面処理を行った。(圧延銅箔+過マンガン酸と記載された場合、圧延銅箔による処理を行った後、過マンガン酸塩による処理を行ったことを表わす。)その結果を表4に示す。
【0088】
(比較例4)
比較のために実施例10〜26で用いた積層体に表面処理は行わずに同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0089】
(比較例5)
比較の為、エポキシ樹脂で同様の評価を行った。油化シェルエポキシ社製EP−1001 80部、油化シェルエポキシ社製EP−828 10部、油化シェルエポキシ社製EP−154 10部、四国化成社製イミダゾール系硬化促進剤 2E4MZ 0.4部、ジシアンジアミド 3.5部を均一に混合/分散させ、メチルエチルケトンに溶解した後、ガラスエポキシ基板に均一の厚みで塗布し、120℃×15分、150℃×30分の温度条件で乾燥と硬化反応を行いエポキシ樹脂の塗膜を得た。続いて、実施例1〜9と同一のデスミア処理を行い、表面粗さの評価を行った。次に、実施例1〜9と同様の操作で無電解めっき、電気めっきを行い、接着強度の評価を行った。
【0090】
【表4】
表4より、適切な熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みは処理の種類により異なり、良好な接着性発現の為には、表面処理により形成される熱可塑性ポリイミド樹脂の粗化表面の表面粗度Rzよりも熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みが厚いことが好ましく、より好ましくは2倍以上であることが判った。また、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂は同程度の表面粗さを有するエポキシ樹脂と比較して、高い接着強度を有することが判った。
【0091】
(実施例27〜38)
ポリイミドフィルム作製法Cで製造した厚み7.5μm、12.5μm、25μm、50μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で、厚さの異なる熱可塑性ポリイミド層を形成した積層体を作製した。その熱可塑性ポリイミド層に実施例1〜9記載の銅箔を用いる表面処理を行い、熱膨張係数を測定した。続いて実施例1〜9と同様の方法で無電解めっき、電解めっき法により厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表5にしめす。なお熱膨張率は非熱可塑性フィルムCの熱膨張率が今回の実験では12ppm/℃であり、熱可塑性層を形成後の熱膨張係数を測定し、その値が20ppm/℃以下の場合を◎、25ppm/℃以下の場合を○、30ppm/℃以下の場合を△、30ppm/℃以上の場合を×と評価した。
【0092】
【表5】
この結果から、非熱可塑性ポリイミドフィルムの優れた特性を発現させる、具体的には低熱膨張性を発現させる為には両面に形成した熱可塑性ポリイミド樹脂層の各面の厚みの合計は非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みより薄いことが好ましく、更には1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下であることが判った。この結果と実施例1〜9において判った表面処理に応じた適切な熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みを併せて適切な厚み構成を決定することが重要である。
【0093】
(実施例39)
Y/B/Y(Yは3μm、Bは25μm)の構成を有する積層体に実施例1〜9と同様の方法で両面に圧延銅箔をラミネートし、続いて両面の銅箔を完全に除去し、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する積層体を得た。この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
まず、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの積層体を貫通するビアホールを形成し、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に銅めっき層を形成した。次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが15/15のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有していた。また、回路パターンは8N/cmの強さで強固に接着していた。
【0094】
(実施例40)
まず、X/A/Cu(Xは1μm、Aは25μm、銅箔は15μm)の構成の積層体を準備した。この段階ではX層、即ち熱可塑性ポリイミド樹脂層は表面処理は実施されていない。この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
熱可塑性ポリイミド樹脂層側からUVレーザーを用い、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルム層を貫通し、銅箔に至るビアホールを形成した。続いて、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に無電解銅めっき、電解銅めっきを行った。次に両面の銅層上にドライフィルムレジスト(旭化成ドライレジストAQ)を貼り付け、露光、現像を行い、通常のサブトラクティブ法で熱可塑性ポリイミド樹脂表面側はL/S=25/25μmの回路を、銅箔側は100/100μmの回路を形成した。エッチング液には塩化第二鉄水溶液を用いた。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有しており、また、回路パターンは7N/cmの強度で強固に接着していた。
【0095】
(実施例41)
X/B/X(Xは3μm、Bは25μm)の構成を有する積層体に実施例1〜9と同様の方法で両面に圧延銅箔を積層し、続いて銅箔を完全に除去し、両面に表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する積層体を得た。この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。まず、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの積層体を貫通するビアホールを形成した。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に銅めっき層を形成した。続いて、電解銅めっきを行って10μmの厚さの銅めっき層を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行った。電流密度は2A/dm2である。
次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが20/20のレジストパターンを形成した。こうして作製したパターンをもちいて通常のサブトラクティブ法(薬品名:塩化第二鉄)により回路を形成した。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有していた。また、回路パターンは8N/cmの強度で強固に接着していた。
【0096】
(実施例42)
ポリイミドフィルム作製法Cで製造した厚み12.5μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の作製を行った。熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さは3μmである。次に実施例1〜9と同様の方法で積層体の片面に圧延銅箔を積層した。次に非熱可塑性ポリイミドフィルム側に接着層(12μm)を塗布し「銅箔層/熱可塑性ポリイミド樹脂層/ポリイミドフィルム層/接着層」なる構成の積層体を得た。この積層体をガラスエポキシ銅張積層板から作製した内層回路板上に積層硬化させた。積層法はすでに述べた通りである。
次に、銅箔を塩化第二鉄系エッチャントで溶解除去し、熱可塑性ポリイミド樹脂層に表面凹凸を形成された表面処理を施した。UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの内層回路に至るビアホールを形成し、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっき法で熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に無電解銅めっき層を形成した。
次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが15/15のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有しており、また、回路パターンは8N/cmの強さで強固に接着していた。
【0097】
(実施例43)
ポリイミドフィルム作製法Cで製造した厚み12.5μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の作製を行った。熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さは1μmである。次に非熱可塑性ポリイミドフィルム側に接着層(12μm)を塗布し「熱可塑性ポリイミド樹脂層Y/ポリイミドフィルム層C/接着層」なる構成の積層体を得た。次にこの積層体をガラスエポキシ銅張積層板から作製した内層回路板上に積層硬化させた。
次に、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの内層回路に至るビアホールを形成し、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に無電解銅めっき層を形成した。次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが10/10のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有しており、また、回路パターンは7N/cmの強さで強固に接着していた。
【0098】
【発明の効果】
本発明の、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料と、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いて作製したプリント配線板は高密度配線が可能で、接着性とその耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【0099】
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の構成例を示す図。
【0101】
【図2】本発明の構成例を示す図。
【0102】
【図3】本発明の構成例を示す図。
【0103】
【図4】本発明の構成例を示す図。
【0104】
【符号の説明】
(a)表面処理された熱可塑性ポリイミド樹脂層
(b)非熱可塑性ポリイミド層。
(c)銅箔層。
(d)接着層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器等に広く使用される、表面粗化された熱可塑性ポリイミド樹脂材料を用いてなるプリント配線板の製造法に関係しており、特に熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に無電解めっき皮膜を形成した場合、表面粗度の小さい表面であるにも関わらず、5N/cm以上の接着強度を発現する表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料とプリント配線板製造に適切な、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、およびそれらを用いたプリント配線板の製造方法に関係する。さらに詳しくはビアホール形成工程、デスミヤ工程など、通常のプリント配線板の製造プロセスが適用可能であり、さらに接着性、環境安定性に優れた高密度フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB(Tape Automated Bonding)用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF(Chip On Film)基板、MCM(Multi Chip Module)基板、等の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に回路を形成したプリント配線板が、電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられ、近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、その様なプリント配線板には、回路の高密度化や薄型化が強く望まれている。特にライン/スペースの間隔が25μm/25μm以下であるような微細回路形成方法の確立はプリント配線板分野の重要な課題である。
【0003】
通常プリント配線板においては、基板となる高分子フィルムと回路との間の接着はアンカー効果と呼ばれる表面の凹凸によって達成されている。そのため一般にフィルム表面を粗化する工程が設けられ、通常その表面にはRz値換算で3〜5μm程度の凹凸がつけられる。この様な基板表面の凹凸は形成される回路のライン/スペースの値が30/30μm以上である場合には問題とならないが、30/30μm以下、特に25/25μm以下の線幅の回路形成には重大な問題となる。その理由はこの様な高密度の細線である回路線が基盤表面の凹凸の影響をうけるためである。従って、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路の形成には、表面平滑性の高い高分子基板への回路形成技術が必要となり、その平面性はRz値換算で3μm以下、さらに望ましくは1.5μm以下である必要がある。しかし、一般的に、この場合には、接着力として上記アンカー効果は期待出来なり、接着強度の向上は見込めないと考えられている。例えば、樹脂表面を粗化する方法として、エポキシ系樹脂表面の粗化表面に無電解めっきさせる方法が開示されている。しかし、表面粗度Rzが3μm以上であれば良好に接着するが、3μm以下、特に1μm程度では3N/cm程度の接着性を示すのみであり、従来のフィルム表面を粗化する方法では、アンカー効果を期待するには、表面粗度が大きいことが必要と考えられてきた。そこで、別の接着方法の開発が必要となった。
【0004】
例えば、表面粗度が小さい樹脂表面に形成した回路配線との接着性改善について、ポリイミドフィルムにチタン系の有機化合物を添加することにより接着性を改善する技術、あるいは、Sn、Cu、Zn、Fe、Co、MnまたはPdからなる金属塩によってコートされた表面接着力の改善されたポリイミドなどが開示されている。また、ポリアミド酸固化フィルムに耐熱性表面処理剤を塗布した後イミド化したポリイミドフィルムをメタライズする方法が開示されている。さらに、ポリイミドフィルムの表面にチタン元素を存在させる手法が開示されている。さらに、樹脂成形体の表面でポリイミドの原料となるピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンを気相重合させた中間層を形成した後、真空蒸着法によりメタライジングする方法が開示されている。また、本発明者らによって熱可塑性ポリイミド表面に乾式鍍金法により導体層を形成しそれを加圧および熱処理して融着せしめポリイミドと接着層との密着強度を強化する手法が開示されている。 また、金属箔の接着性向上の取り組みとしては金属箔と熱可塑性ポリイミドを接着させる方法が開示されている。
【0005】
これらのポリイミドフィルム表面に蒸着、スパッタリング等の物理的方法で形成した銅金属層は、通常のポリイミドフィルム表面に形成した銅金属層に比較して優れた接着強度を有している。しかし、真空プロセスを用いる為、コストが高くなるという欠点を有している。
一方、回路基板にはより高密度の微細配線が求められると同時に、高温高湿などのより厳しい環境下での安定性が求められるようになってきており、特に高分子フィルムと回路配線の接着性についても高温・高湿の環境に耐えることが要求されている。
【0006】
さらに、両面に回路を形成するようなプリント配線板の場合には、配線板の両面を導通させるビアホールの形成が不可欠である。そのため、その様なプリント配線板は通常、レーザーによるビアホール形成工程、デスミヤ工程、触媒付与工程、無電解めっき銅を施す工程、等を経て回路形成がおこなわれる。
【0007】
さらに、回路形成はエッチングによるいわゆるサブトラクティブ法により行われる場合や、レジスト膜を形成する工程、無電解めっき膜が露出している部分への電解銅めっき工程、レジスト被膜の除去工程、余分な無電解銅めっき皮膜のエッチング工程から成る、いわゆるセミアディティブ法により製造される場合もある。したがって、配線回路と高分子フィルム間の接着性はこれらのプロセスに耐えるものである必要がある事は言うまでもない。
【0008】
このように、フィルムの表面粗度の小さい場合において、煩雑な方法をとらないでも充分な接着強度が得られ、しかも、高温・高湿の環境においても接着強度を維持することができ、かつ配線板の製造工程に耐えうる材料はこれまで見出されていない。
【0009】
【特許文献1】
特許第1,948,445号(米国特許第4,742,099号)
【0010】
【特許文献2】
特開平6−73209号公報(米国特許第5,227,224号)
【0011】
【特許文献3】
米国特許第5,130,192号
【0012】
【特許文献4】
特開平11−71474
【0013】
【特許文献5】
特開2002−113812
【0014】
【特許文献6】
特開平08−230103
【0015】
【特許文献7】
特開2000−198907
【0016】
【特許文献8】
特開2002−192651
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、(1)熱可塑性ポリイミド樹脂上に形成した、従来よりも小さな表面粗度を有する粗化表面に無電解めっきを形成した場合、5N/cm以上の接着強度を発現出来る事、(2)表面粗度が小さいことに由来し、微細な回路配線を形成できる事、(3)常態および高温・高湿下での接着安定性に優れたプリント配線板を安価に提供する事、にある。
【0018】
本発明者らは、上記した問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの条件を満足する、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料とプリント配線板製造に適切な、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、およびそれらを用いたプリント配線板の製造方法を開発し、本発明に至った。本発明の積層体を用いる事により、高密度で耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の第一は、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる材料であり、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合5N/cm以上の接着強度を有する表面処理を施されたことを特徴とする熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(2)本発明の第二は、前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(3)本発明の第三は、前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理であることを特徴とする(2)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(4)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理であることを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(5)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面を過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物、有機溶剤の内少なくとも一つを含む溶液で処理することを特徴とする(4)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(6)前記表面処理が、(2)記載の表面処理と(4)記載の表面処理を併用することを特徴とする(1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(7)前記表面処理を施した熱可塑性ポリイミド表面の十点平均表面粗さRzが3μm以下であることを特徴とする(1)〜(6)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(8)前記熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移温度が170℃以上であることを特徴とする(1)〜(7)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(9)前記熱可塑性ポリイミド樹脂が下記一般式(1)
【0020】
【化4】
(式中、Aは4価の有機基、Xは2価の有機基を示す)、で表されるポリアミド酸を脱水閉環して得られる熱可塑性ポリイミドである(1)〜(8)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料である。
(ただし、一般式(1)中のAは下記式群(1)
【0021】
【化5】
から選択された一種または二種以上であり、一般式(1)中のXは下記式群(2)
【0022】
【化6】
から選択された一種または二種以上である。)
(10)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその片方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第一図に示す。
(11)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその両面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第二図に示す。
(12)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその一方の面が熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層、他方の面が銅箔からなる積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第三図に示す。
(13)非熱可塑性ポリイミドフィルムとその一方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層、他方の面に接着層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が(1)〜(9)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体である。本発明の構成を第四図に示す。
(14)非熱可塑性ポリイミド上に形成された熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の厚さが10μm以下であり、非熱可塑性ポリイミド層の厚さより薄い事を特徴とする(10)〜(13)記載の積層体である。
(15)(1)〜(14)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料または積層体を用いてなるプリント配線板の製造方法である。
(16)(10)記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも無電解めっき銅を施す工程を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(17)(11)記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも積層体を貫通するビアホールを形成する工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(18)(12)記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも非熱可塑性ポリイミドフィルム層および熱可塑性高分子層を貫通し銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホール内部をデスミヤする工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(19)(13)記載の積層体を用いた配線板の製造方法において、少なくとも該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面から内層配線板の電極に至るビアホール形成工程と、ビアホール内部をデスミヤする工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法である。
(20)(16)〜(19)記載のプリント配線板の製造法において、回路形成をサブトラクティブ法により行うプリント配線板の製造方法である。
(21)(16)〜(19)記載のプリント配線板の製造法において、回路形成をセミアディティブ法により行うプリント配線板の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。本発明においては、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる材料の表面に、特定の表面処理を施すことによって、エポキシ樹脂など、従来の材料に比較して、その表面粗度が小さいにも関わらず、接着強度が向上し、アンカー効果として期待される以上の充分な接着強度を発現する。
【0024】
まず、本発明に係る、熱可塑性ポリイミド樹脂について説明する。ここで言う熱可塑性ポリイミドは例えばピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンとから合成されるいわゆる非熱可塑性ポリイミドとは異なり、ガラス転移温度を有する。この熱可塑性ポリイミド樹脂は、原料となる酸二無水物化合物とジアミン化合物から合成される。これらの熱可塑性ポリイミドを得るための酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種または2種以上の酸二無水物を用いることが好ましい。
【0025】
また、同じくこれらの熱可塑性ポリイミドを得るためのジアミンとして、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2, 2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、 1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシドから選ばれる1種または2種以上のジアミンを用いることが好ましい。
【0026】
本発明の熱可塑性ポリイミドとしては下記一般式(1)
【0027】
【化7】
(式中、Aは4価の有機基、Xは2価の有機基を示す)、で表されるポリアミド酸を脱水閉環して得られる熱可塑性ポリイミドが好ましく、一般式(1)中のAが下記群(1)に示す4価の有機基から選択される一種類または二種類以上であること
【0028】
【化8】
がより好ましく、また、前記一般式(1)中のXは下記群(2)
【0029】
【化9】
に示す有機群から選択される一種または二種以上であることがより好ましい。
【0030】
本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂を得る為のこれら酸二無水物とジアミンの組み合わせの中で、群(2)に挙げた酸二無水物残基を与える酸二無水物から選ばれた少なくとも一種の酸二無水物と、群(3)に挙げたジアミン残基を与えるジアミンから選ばれた少なくとも一種のジアミンの組み合わせが好ましく、またその中でも酸二無水物として2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物 )、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、またジアミンとして1,3−ジアミノベンゼン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンは工業的に入手可能であり、また得られる熱可塑性ポリイミドの吸水率が低くなる、誘電率が小さい、誘電正接が小さい等の優れた特性を有し、また本発明の効果である無電解めっき皮膜との接着強度を上げる効果を発現するため特に好ましく使用可能である。
【0031】
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、上記の酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解、反応させて、前駆体であるポリアミド酸有機溶媒溶液を得る。
【0032】
熱可塑性ポリイミド樹脂は前駆体であるポリアミド酸をイミド化して得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。脱水剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物を用いることも可能である。無論、ケミカルキュア法に熱キュア法を併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、得られる樹脂の形態、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。
【0033】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。
【0034】
本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料は種々形態をとることができ、成形体、単層フィルム、または支持体上に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成した積層体等を取ることができるが、本発明の一つであるプリント配線板に適用する為には熱可塑性ポリイミド樹脂からなる単層フィルムまたは積層体であることが好ましい。積層体の場合、支持体は非熱可塑性ポリイミドフィルムであることが耐熱性、寸法安定性、界面の密着性等の観点より好ましく使用される。フィルム状熱可塑性ポリイミド樹脂を製造する為には幾つかの方法が考えられる。熱可塑性ポリイミドが溶媒に不溶性である場合は、前駆体のポリアミド酸の溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布し、上記のイミド化法、即ち熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行いフィルム状の材料にすることが好ましい。熱可塑性ポリイミドが溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性ポリイミド樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性ポリイミド溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布することも可能であるが、不溶性である場合と同様の方法でフィルム状にすることも可能である。上記支持体に銅箔を用いた場合、銅箔は、支持対として利用できるとともに、その後、後述する、表面処理を熱可塑性ポリイミド樹脂施す際にも利用することができるので、好ましく実施可能である。
【0035】
本発明の一つである非熱可塑性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成した各種の積層体に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成する為の方法としては各種方法が適用できる。
例えば、熱可塑性ポリイミドが溶媒に不溶性である場合は、前駆体のポリアミド酸の溶液を非熱可塑性ポリイミドフィルム上に流延塗布し、上記のイミド化法、即ち熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行い熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成することが好ましい。熱可塑性ポリイミドが溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性ポリイミド樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性ポリイミド溶液を非熱可塑性ポリイミドフィルム上に流延塗布し溶媒乾燥させ、熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層を形成することも可能であるが、不溶性である場合と同様に前駆体のポリアミド酸を非熱可塑性ポリイミドフィルム上に流延塗布する方法も適用可能である。また、非熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液と熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液または熱可塑性ポリイミド溶液を共押し出しし、熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行い熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と非熱可塑性ポリイミドフィルムからなる層を有する積層体を得る方法も適用可能である。積層体を形成する為の別の方法としては、予め熱可塑性ポリイミド樹脂のフィルムを製造した後、非熱可塑性ポリイミドフィルムにプレス加工、ラミネート加工等の公知の積層方法で積層体を得ることも可能である。
【0036】
次に本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、に用いる非熱可塑性ポリイミドフィルムについて説明する。
【0037】
本発明において使用される非熱可塑性ポリイミドフィルムは公知の方法で製造することができる。即ちポリアミド酸を支持体に流延、塗布し、化学的にあるいは熱的にイミド化することで得られる。好ましくは化学的にイミド化することがフィルムの靭性、破断強度、及び生産性の観点から好ましい。
【0038】
本発明に用いられる非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、基本的には、公知のあらゆるポリアミド酸を適用することができる。本発明に係るポリアミド酸は、通常、酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解、反応させて得ることができる。非熱可塑性ポリイミドは前駆体であるポリアミド酸をイミド化して得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。無論、ケミカルキュア法に熱キュア法を併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。
【0039】
本発明になる非熱可塑性ポリイミドに合成のための適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物 )、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物及びそれらの類似物を含む。
本発明に係る非熱可塑性ポリイミド合成ために用いられるな酸二無水物において、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)であり、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用いられる。
【0040】
本発明に係る非熱可塑性ポリイミド合成のために使用しうるジアミンとしては、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2, 2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、 1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、等及びそれらの類似物を含む。
【0041】
本発明に係る非熱可塑性ポリイミドフィルムに用いられるこれらジアミンにおいて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド及びp−フェニレンジアミン、またはこれらの混合物は特に好ましく用いる事ができる。
【0042】
本発明に係る非熱可塑性ポリイミドフィルムに好ましい酸二無水物とジアミン類の組み合わせは、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせ、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンの組み合わせ、あるいはピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンの組み合わせ、p−フェニレンジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらのモノマーを組み合わせて合成した非熱可塑性ポリイミドは適度な弾性率、寸法安定性、低吸水率等の優れた特性を発現し、本発明の各種積層体に用いるのに好適である。
【0043】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。
【0044】
また、イミド化をケミカルキュア法により行なう場合、本発明に係るポリアミド酸組成物に添加する化学的転化剤は、例えば脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N ' - ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。それらのうち、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物またはそれらの2種以上の混合物が、好ましく用い得る。これらの化学的転化剤はポリアミド酸溶液中のポリアミド酸部位のモル数に対して1〜10倍量、好ましくは1〜7倍量、より好ましくは1〜5倍量を添加するのが好ましい。また、イミド化を効果的に行うためには、化学的転化剤に触媒を同時に用いることが好ましい。触媒としては脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。それらのうち複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用い得る。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。これらの触媒は化学的転化剤のモル数に対して1/20〜10倍量、好ましくは1/15〜5倍量、より好ましくは1/10〜2倍量のモル数を添加する。これらの、化学的転化剤及び触媒は、量が少ないとイミド化が効果的に進行せず、逆に多すぎるとイミド化が早くなり取り扱いが困難となる。
【0045】
上記種々の方法で得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムは、公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理、等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施し、さらに良好な特性を付与し得る事が出来る。
【0046】
非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは、2μm以上、125μm以下であることが好ましく、5μm以上、75μm以下であることがより好ましい。この範囲より薄いと積層体の剛性が不足するばかりでなく、フィルムの取り扱いが困難となり、さらにその表面への熱可塑性ポリイミド層の形成も困難となる。一方、フィルムが厚すぎると、インピーダンス制御の点から絶縁層厚みが厚くなると回路幅を広くする必要があるので、プリント配線板の小型化、高密度化の要請に逆行するものである。
【0047】
次に本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理の方法について説明する。本発明の表面処理を行った熱可塑性ポリイミド樹脂はその表面に形成した無電解めっき皮膜と強固に接着し、具体的には5N/cm以上の接着強度を有するものであり、熱可塑性ポリイミドと適切な表面処理方法を組み合わせることにより、従来よりも表面粗度の小さな樹脂表面であるにもかかわらず強固に無電解めっき銅皮膜を接着させることを可能とした。ここで無電解めっき皮膜は公知の方法で形成することができ、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきが好ましく使用され、無電解銅めっきが好ましく使用可能である。
【0048】
本発明の表面処理の方法は種々検討の結果、幾つかの適切な方法があることを見出した。それらを具体的に説明する。
先ず、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に凹凸を形成する表面処理が挙げられる。凹凸面の粗度を大きくするほど無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向にあることが知られているが、一方、形成できる配線ピッチは配線形成をサブトラクティブ法、セミアディティブ法のどちらの方法で行っても大きくなる傾向があり、配線の高密度化には好ましくない。本発明においては、表面処理を施す材料として、熱可塑性ポリイミドを選択することによって、従来よりも小さな表面粗度を有する粗化表面であるにもかかわらず無電解めっき皮膜を強固に接着できるものである。従って、配線を強固に接着することと配線の微細化を同時に実現できるものであり、プリント配線板の高密度化要求に応えられるものである。
【0049】
具体的方法として、熱可塑性ポリイミド樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理方法が挙げられる。金属箔は公知の金属箔を用いることができ、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔等が挙げられるが工業的に広く一般的に用いられている銅箔はコスト的にも種類の豊富さの面でも有利であり、好ましく使用できる。本金属箔は熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に粗化表面を形成する目的で使用され、熱可塑性ポリイミドと金属箔を熱プレス加工、熱ラミネート加工等公知の方法で積層し、該金属箔を物理的に引き剥がす、金属箔を溶解させる等の方法により除去することにより熱可塑性ポリイミド樹脂表面に粗化表面が形成される。従って、金属箔の少なくとも一方の表面に粗化表面を有することが好ましい。金属箔の粗化表面の粗度は熱可塑性ポリイミドと無電解めっき皮膜との接着強度の大きさと、熱可塑性ポリイミド樹脂上に形成できる配線のピッチの細かさに影響を与える。即ち、金属箔の粗度が大きいと、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に形成される凹凸面の粗度も大きくなる傾向があり、無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向があるが、一方、形成できる配線ピッチは配線形成をサブトラクティブ法、セミアディティブ法のどちらの方法で行っても大きくなる傾向があり、配線の高密度化には好ましくない。具体的には金属箔の粗化表面の表面粗度Rz(十点平均表面粗さ)が3μm以下、好ましくは1.5μm以下であることが好ましく、これにより熱可塑性ポリイミド樹脂表面に形成された凹凸面の表面粗度Rzも3μm以下となり、更にはライン/スペースが25μm/25μm以下の微細な配線形成が可能であり、接着強度は5N/cm以上となり好ましい。銅箔の種類には電解銅箔と圧延銅箔が広く利用されており、何れも樹脂との接着強度を上げる目的で少なくとも片面に粗化表面、即ちマット面を有する。このマット面の大きさは銅箔の製品により各種入手可能であるが、圧延銅箔のマット面は比較的表面粗度Rzが小さく好ましく使用可能である。
【0050】
熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する別の方法として、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面をエンボス加工、サンドブラスト加工、研磨加工も好ましく使用できる。エンボス加工は表面に凹凸を形成した金属材料に熱可塑性ポリイミド樹脂を接触させることにより、樹脂表面に凹凸を形成することが可能となる。この際、加熱、加圧を伴なうことが好ましく、適切な凹凸が形成できる条件で加工することが好ましい。サンドブラスト加工、研磨加工も適切な凹凸が形成できる条件で加工することが好ましい。
【0051】
また、本発明の表面処理として、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理も好ましく適用できる。この表面処理方法は熱可塑性樹脂の表面の適度な厚みを溶解させることを目的としており、それにより無電解めっき皮膜との接着性を高めることが可能である。このことは、理由は定かでないが、この表面処理により、樹脂表面に凹凸が形成されるか、および/または、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を溶解により除去することにより化学構造の変化が生じ、無電解めっきとの接着性に良い影響を与えると推察している。ここで「一部除去する」とは熱可塑性ポリイミド樹脂の表層全体が均一に除去される状態、または表層が不均一に、即ち島状に除去されるまたは島状に表層が残る状態を表わす。
【0052】
具体的に熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する表面処理としては、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線、レーザー、RIE等の気相で処理する方法、また熱可塑性ポリイミドを溶解する液体により処理する液相処理が挙げられる。これらの処理には、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に微小な凹凸面を形成し強固に無電解めっき皮膜を接着する効果があるとともに、樹脂表面を化学的に活性化させる効果があると考えている。これらの処理のうち、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線の気相で処理する方法、および液相処理する方法が工業的に簡便であり好ましく実施される。また、液相処理は熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解させ、本発明の目的を達成するものであれば特に限定されない。具体的には広く工業的に、特にプリント配線板製造におけるデスミア工程やポリイミドのエッチングに使用されている過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物を含む水溶性液体、あるいは有機溶剤等が好ましく使用される。熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解する有機溶剤としてはアミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。以上、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理方法について、「熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」、「熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する表面処理」に分けて、その具体的方法とともに説明したが、これらを組み合わせることも効果があることも見出した。具体的には「熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と「熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する表面処理」を併用することであり、種々組み合わせに効果がある。この中で「熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解させる液相処理を併用することに特に効果があり、その中でも金属箔を用いた表面処理を行った熱可塑性ポリイミド樹脂表面を過マンガン酸塩または有機アルカリ化合物、有機溶剤で処理することは特に効果的である。
【0053】
これらの処理により得られる熱可塑性ポリイミド樹脂の表面粗度は微細配線を形成する観点より、表面粗度Rzが3μm以下であることが好ましい。表面が平滑であることはライン/スペース25/25μm以下の高密度回路を形成するのに好適であり、エッチング工程において樹脂表面の凹凸にエッチング残りが生じない点からも好適である。RzはJIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計やB0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0054】
この様な熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理を用いることにより、従来よりも小さな粗化表面に強固に無電解めっき皮膜を接着することを実現でき、またプレッシャークッカーテスト後にも優れた接着強度を有している事が分った。これによりプリント配線板の高密度化、即ち微細配線形成が可能になった。
【0055】
次に本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体について説明する。
【0056】
本発明の積層体は何れも、非熱可塑性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成する。非熱可塑性ポリイミドフィルム、熱可塑性ポリイミドおよび積層の方法は既に説明した通りである。本発明の積層体の熱可塑性ポリイミド層の厚さは、回路基板として低熱膨張性、耐熱性、電気特性等種々の優れた特性を持つ非熱可塑性ポリイミドフィルムの物性を生かすためにはできるだけ薄いことが好ましく、熱可塑性ポリイミド層の厚さは非熱可塑性ポリイミドフィルムより薄い事が好ましく、更には熱可塑性ポリイミド層の厚さは非熱可塑性ポリイミド層の1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下である。一方、本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理は表面に凹凸を形成する場合があり、この場合、少なくとも表面処理により形成される熱可塑性ポリイミド樹脂の粗化表面の表面粗度Rzよりも熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みが厚いことが好ましく、より好ましくは2倍以上である。例えば、非熱可塑性ポリイミドフィルムが25μmで、その片面に形成した熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面粗度Rzを3μmにする場合、熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みは25μmが好ましく、より好ましくは12.5μm、特に好ましくは6μm程度となる。非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚み、形成する熱可塑性ポリイミド層の表面粗度Rzの大きさ、熱可塑性ポリイミド層の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整可能である。
【0057】
次に、本発明に係る「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」からなる積層体の銅箔層について説明する。
【0058】
本発明の「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」積層体の銅箔層は、凹凸の形成された銅箔の直接接着された物でも良く、あるいは適当な接着剤を介して銅箔と張り合わされた様な形態でも良い。また、銅箔層の変わりに湿式めっき法で形成された銅層を用いてもよい。接着剤を介してポリイミドフィルムと銅箔を積層する方法は、熱ラミネート、熱プレス等公知の方法が使用できる。
【0059】
次に「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる積層体における接着層について説明する。接着層には通常の接着性樹脂が用いられ、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤、の二種類に分けることができる。
【0060】
接着剤に熱融着性を与える熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組合せて本発明の積層体の接着層として用いることができる。中でも優れた耐熱性、電気信頼性等の観点より熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。ポリイミド樹脂、としては公知の酸二無水物成分の1種を、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0061】
特に優れた熱融着性の発現のためには、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、2,3,3’,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を用いるのが好ましい。
【0062】
また、ジアミン成分としては公知のジアミンを用いる事ができ、これらを単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。本発明の積層体に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂の材料としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン等をそれぞれ単独または任意の割合で混合して用いることが好ましい。
【0063】
次に熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型の接着剤に関して説明する。熱硬化型樹脂としてはビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独、または適宜組み合わせて用いることができる。また、上記熱硬化性樹脂以外に高分子鎖の側鎖または末端にエポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基,水酸基等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を熱硬化成分として使用することも可能である。加熱接着時の接着剤の流れ性を制御する目的で、前記熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を混合することも可能である。このためには、熱可塑性樹脂100重量部に対して、熱硬化性樹脂を1〜10000重量部、好ましくは5〜2000重量部加えるのが望ましい。熱硬化性樹脂が多すぎると接着層が脆くなるおそれがあり、逆に少なすぎると接着剤の流れ性が低下したり、接着性が低下するおそれがある。
【0064】
本発明の積層体に用いる接着剤として、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格、等の観点からポリイミド樹脂やエポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系、あるいはこれらをブレンドして用いたものも好ましく使用できる。
【0065】
これら本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料及び各種の形態の積層体は何れも表面処理を施されたことを特徴とする熱可塑性ポリイミド樹脂を有するが、これらの表面処理は熱可塑性ポリイミド樹脂材料の形態または各種積層体の形態において予め行ってもよく、またプリント配線板製造工程中で該表面処理を行っても良い。例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂材料または各種積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂に表面処理、具体的には「表面に凹凸を形成する表面処理」および/または「表層を一部除去する表面処理」を実施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料、または各種積層体であっても、または本発明に係る表面処理を行う前の熱可塑性ポリイミド樹脂材料、または本発明に係る表面処理を行う前の熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する各種積層体を例えばプリント配線板の製造に供し、その製造途中段階で表面処理が実施される場合も、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料及び各種の積層体の範疇に属すると解釈される。より具体的には例えば、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、表面凹凸を有する金属箔が積層された「金属箔/熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」なる構成の積層体は本発明の積層体の範疇に属する事を意味する。この場合、「金属箔/熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」なる構成の積層体を接着層を内層回路を有する内層基板と対向させ、積層した後、金属箔をエッチング等の方法で除去し、熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が行われることとなる。また、別の具体例としては、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、表面処理を施していない熱可塑性ポリイミド樹脂層を積層した状態、即ち「表面処理を行っていない熱可塑性ポリイミド樹脂層/表面処理を行っていない非熱可塑性ポリイミドフィルム層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」なる構成の積層体は本発明の積層体の範疇に属する事を意味する。この場合、「表面処理を行っていない熱可塑性ポリイミド樹脂層/表面処理を行っていない非熱可塑性ポリイミドフィルム層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」なる構成の積層体に対し、レーザー、パンチング、ドリリング等の方法で積層体を貫通するヴィアホールを形成した後、例えば過マンガン酸溶液による表面処理を実施し、熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が行われることとなる。この場合、ヴィアホールのデスミアが表面処理と同時に行われることとなり好ましく実施される。
【0066】
以上、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料および各種積層体が有する「表面処理を施された熱可塑性ポリイミド樹脂」の表面処理が実施されるタイミングについて説明した。繰り返しになるが表面処理実施のタイミングは本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂材料および各種形態の積層体の権利の範囲を限定するものではなく、いずれかのタイミングで熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が実施される事が重要であり、このことにより、良好な接着強度が発現する事が本発明にとってより重要である。
【0067】
次に本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いたプリント配線板の製造方法について説明するが本発明の製造方法はこれらに限定されるものではなく、その他の技術・プロセスを組み合わせることも可能である。
【0068】
「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」積層体における配線板の製造法を説明する。第一のプリント配線板の製造方法では、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に無電解めっき銅を施す。この無電解めっきは、パラジュウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらに無電解めっき銅上にレジスト膜を形成し、露光、エッチングにより回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっき法により回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。この方法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。
【0069】
第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。まず上記と同様に、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅を施し、電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光工程、現像により回路の形成しない部分のレジスト膜を除去し、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0070】
「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」積層体の場合について説明する。
【0071】
第一のプリント配線板の製造方法では、まず積層体を貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いた穴開け法によって行う。小さなビアホールを形成する場合レーザーを用いた穴開け法が好ましく使用される。ビアホールを形成後、ビアホール内部および周辺に出来たポリイミド分解物や熱による炭化物を主成分とするスミヤを除去するデスミア工程を実施する。このデスミア工程は公知の方法を利用でき過マンガン酸塩を用いるウェットプロセスやプラズマ等のドライデスミアを用いることも可能である。本発明の各種積層体はプリント配線板製造において広く用いられている過マンガン酸塩系デスミアプロセスに対する耐久性を有しており好ましく使用できる。次に、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。上記と同様にこの無電解めっきは、パラジュウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらにレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき層が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。この回路形成法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。
【0072】
第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。すなわち、まず、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」積層体を貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ工程を経て、熱可塑性ポリイミド樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅によりパネルめっきを施して、両面をビアホールによって電気的に接続し、次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0073】
次に、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」積層体を用いた場合のプリント配線板の製造法についてのべる。
【0074】
第一のプリント配線板の製造方法では、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルムフィルム層を貫通して金属銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いる。ビアホール形成後、熱可塑性ポリイミド樹脂表面およびビアホール内部をデスミアする。次に熱可塑性ポリイミド樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。次に無電解めっき銅上にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。
【0075】
第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。すなわち、まず、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルムフィルム層を貫通して金属銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ、無電解めっき銅層を形成する。次に無電解めっき銅層に電解めっき銅を施して、両面がビアホールによって電気的に接続された積層体を作製する。次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0076】
次に、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる積層体を用いた配線板の製造方法についてのべる第一のプリント配線板の製造方法では、まず該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ加熱および/または加圧を伴った方法で積層する。次に、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層を貫通して配線板回路にいたるビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーを用いたレーザーによる穴開け法を用いる。ビア穴を形成後、少なくともビアホール内部に出来たポリイミド融着物、分解物、熱による炭化物などを主成分とするスミヤを除去する工程を実施する。ビアホールを形成後、無電解めっき銅を施す。次にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。
【0077】
第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。すなわち、まず、まず該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ加熱、および/または加圧を伴った方法で積層する。表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層を貫通して配線板回路にいたるビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ、無電解めっき銅を施す。次に無電解めっき銅上に電解パネルめっき銅を施す。次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0078】
繰り返しになるが本発明のプリント配線板の製造方法において、所望するプリント配線板の仕様等から要請される必要性に応じ工法、プロセス条件を適宜選択することは可能であり、またその他の公知の技術を組み合わせることも可能であり、全て本発明のプリント配線板の製造方法の範疇に含まれる。
【0079】
即ち、ビアホール形成は公知の炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーやエキシマレーザー、パンチング、ドリリング等を用いることが可能であり、また、デスミア工程は過マンガン酸塩、有機アルカリ溶液等を用いたウェットプロセス、プラズマを利用したドライプロセス等が適用可能であるが、本発明の各種積層体はプリント配線板製造プロセスにおいて一般的な過マンガン酸塩を用いたデスミアプロセスに対する耐久性を有しており好ましく使用でき、また無電解めっきの種類としてはパラジウム等の貴金属の触媒作用を利用した化学めっき、更には析出する金属の種類としては銅、ニッケル、金等が使用可能である、あるいはパラジウム、カーボン、有機マンガン導電皮膜、導電性高分子を用いたダイレクトプレーティング等を適用可能であり、またレジストは液状レジストやドライフィルムレジスト等が適用可能であり、特に取扱い性に優れたドライフィルムレジストは好ましく使用可能であり、また、セミアディティブ法で回路形成する場合の給電層除去為のエッチングにはプロセスで用いる無電解めっきの種類により適宜選択され、無電解めっきが銅である場合、硫酸/過酸化水素、過硫酸アンモニウム/硫酸系エッチャントが好ましく使用され、また、無電解めっきがニッケル、金等の場合、それらを選択的にエッチングできるエッチャントの使用も好ましい。
【0080】
以上、本発明の積層体、即ち「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いたプリント配線板の製造方法について述べたが、これら積層体を用いることにより、デスミヤ工程や無電解めっき工程などの通常の製造工程が適用出来、ライン/スペースが20μm/20μm以下であるような高密度回路形成が可能で、優れた接着性と高温・高湿、等の厳しい環境における高い接着信頼性を持つプリント配線板を得る事ができる。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、及び改変を行い得る。なお、実施例中の種々の非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製、熱可塑性ポリイミド樹脂の作製、積層体の作製、接着層の合成・作製、積層、無電解めっき、各種測定・評価は以下の方法で行った。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製法−A)
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の17wt%のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gからなる転化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に厚さ700μmで流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30wt%であり、イミド化率は90%であった。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して厚さ25μmのポリイミドフィルムを製造した。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製法−B)
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルモル比で1/1の割合で合成する以外は作製法−Aと同様の方法でポリイミドフィルムを作製した。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製法−C)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で4/5/7/2の割合で合成したポリアミド酸の17wt%のDMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)溶液を用いる以外は作製法−Aと同様の方法でポリイミドフィルムを作製した。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の作製法−X)
1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(以下、DA3EGと言う)と、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと言う)をモル比3:7でDMFに溶解し、撹拌しながら3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下TMEGと言う)及び3,3’,4,4‘−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと言う)をモル比5:1で加え、約1時間攪拌し固形分濃度が20wt%ポリアミド酸DMF溶液を得た。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の作製法−Y)
BAPPをDMFに均一に溶解し、撹拌しながら3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)のモル比4:1でかつ酸二無水物とジアミンが等モルになるように添加し、約1時間撹拌し、固形分濃度20wt%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の作製法−Z)
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’−ジヒドロキシベンジジンをモル比4:1でDMFに溶解し、撹拌しながら4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を酸二無水物とジアミンが等モルになるように添加、約1時間撹拌し、固形分濃度20wt%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(積層体の作製)
以上のべた、製造法―A、B、Cで作製した非熱可塑性ポリイミドフィルムをコアフィルムとして用い、その両面あるいは片面に製造法−X、Y、Zで作製した熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のDMF溶液をグラビヤコーターを用いて塗布した。
塗布後、加熱処理により溶媒乾燥、あるいはポリアミド酸のイミド化を行い、最終加熱温度390℃で非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層からなる積層ポリイミドフィルムを作製した。塗布量を変えて熱可塑性ポリイミド層の厚さの異なるフィルムを得た。これらのフィルムを、例えば非熱可塑ポリイミドフィルムがA法で作製したものであり、片面のみにX法で作製した熱可塑性ポリイミド層を設けた場合、X/A、両面がX法で作製した熱可塑ポリイミド層を設けた場合、X/A/X、片面が熱可塑ポリイミド層で他の面が銅箔である場合にはX/A/Cu、等と記載してある。
(接着層の合成・作製)
窒素雰囲気下で、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)に1当量のビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン(以下BAPS−Mという)を溶解した。溶液を冷却しつつ撹拌し、1当量の4、4´―(4、4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(以下、BPADAという)を溶解、重合し固形分濃度30重量%のポリアミド酸重合体溶液を得た。このポリアミド酸溶液を200℃、180分、665Paの減圧下で加熱し、固形の熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。上記で得たポリイミド樹脂とノボラック型のエポキシ樹脂(エピコート1032H60:油化シェル社製)、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(以下、4,4’−DDSとする)を重量比が70/30/9になるように混合し、ジオキソランに固形分濃度が20重量%になるように溶解して接着剤溶液を得た。得られた接着剤溶液を上記手法で得た積層体のポリイミドフィルム面に乾燥後の厚みが12.5μmになるように塗布し、170℃で2分間乾燥して接着層を形成し積層体を得た。
(積層工程)
銅箔12μmのガラスエポキシ銅張積層板から内層回路板を作製し、次いでで得た積層体を真空プレスにより温度200℃、熱板圧力3MPa、プレス時間2時間、真空条件1KPaの条件で内層回路板に積層、硬化した。
(無電解めっき)
下表に示すアトテック社製無電解めっきプロセスを用いて行った。
<無電解めっき条件>
【0082】
【表1】
(接着強度の測定)
IPC―TM−650−method.2.4.9に従い、パターン幅3mm、剥離角度90度、剥離速度50mm/minで測定した。
(プレッシャークッカー試験)
121℃、100%RH、96時間、の条件下で試験を行った。
(表面粗さの測定)
光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0083】
(実施例1〜9)
ポリイミドフィルム作製法A、B、C、で製造した厚み25μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法X、Y、Zで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の製造を行った。熱可塑性ポリイミド層の厚さは3μmとした。銅箔を熱可塑性ポリイミド層に重ね合わせ、温度340℃、線圧20kgf/cm、線速1.5m/minの条件で熱ロールラミネートした。銅箔にはジャパンエナジー製18μm(Rz=1.5μm)圧延銅箔BHY−22B−Tを使用した。続いてラミネートした銅箔を塩酸/塩化第二鉄系エッチャントで完全に除去し、表面処理された熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する本発明の積層体を得た。表面処理された表面粗度の測定を行った。
続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表2にしめす。
【0084】
(比較例1〜3)
実施例1〜9において銅箔をラミネートし、除去することによる表面処理を行わない以外は同じにして実験したところ接着性は1N/cm以下となり、非常に低かった。その結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
この結果から、本発明の積層体では適度に小さな粗化表面上に5N/cm以上の高い接着性を有する無電解めっき層を形成できる事がわかった。
【0086】
(実施例10〜26)
各種表面処理の効果を確認する為実験を行った。ポリイミドフィルム作製法Bで製造した厚み25μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の製造を行った。熱可塑性ポリイミド層の厚さは1、3、5μmとした。
(1)電解銅箔を用いた表面処理は三井金属製電解銅箔3EC−VLP箔(厚み18μm、Rz=4.6μm)を実施例1〜9と同様の方法で積層した。
(2)過マンガン酸塩を用いた表面処理は、下表に示すアトテック株式会社製過マンガン酸デスミアシステムを用いて行った。
<過マンガン酸デスミア条件>
【0087】
【表3】
(3)有機アルカリ化合物を用いた表面処理は、水酸化カリウム/エタノールアミン/水を重量比2/5/1で混合した混合液に30℃5分間浸漬し、十分水洗することにより行った。
(4)有機溶剤を用いる表面処理は、溶剤としてDMFを用い、40℃5分間浸漬し、十分に水洗することにより行った。
これら表面処理を実施した積層体を用い、実施例1〜9と同様の方法で評価を行った。尚、2種の表面処理を併用した場合、表4記載の順序で逐次表面処理を行った。(圧延銅箔+過マンガン酸と記載された場合、圧延銅箔による処理を行った後、過マンガン酸塩による処理を行ったことを表わす。)その結果を表4に示す。
【0088】
(比較例4)
比較のために実施例10〜26で用いた積層体に表面処理は行わずに同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0089】
(比較例5)
比較の為、エポキシ樹脂で同様の評価を行った。油化シェルエポキシ社製EP−1001 80部、油化シェルエポキシ社製EP−828 10部、油化シェルエポキシ社製EP−154 10部、四国化成社製イミダゾール系硬化促進剤 2E4MZ 0.4部、ジシアンジアミド 3.5部を均一に混合/分散させ、メチルエチルケトンに溶解した後、ガラスエポキシ基板に均一の厚みで塗布し、120℃×15分、150℃×30分の温度条件で乾燥と硬化反応を行いエポキシ樹脂の塗膜を得た。続いて、実施例1〜9と同一のデスミア処理を行い、表面粗さの評価を行った。次に、実施例1〜9と同様の操作で無電解めっき、電気めっきを行い、接着強度の評価を行った。
【0090】
【表4】
表4より、適切な熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みは処理の種類により異なり、良好な接着性発現の為には、表面処理により形成される熱可塑性ポリイミド樹脂の粗化表面の表面粗度Rzよりも熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みが厚いことが好ましく、より好ましくは2倍以上であることが判った。また、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂は同程度の表面粗さを有するエポキシ樹脂と比較して、高い接着強度を有することが判った。
【0091】
(実施例27〜38)
ポリイミドフィルム作製法Cで製造した厚み7.5μm、12.5μm、25μm、50μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で、厚さの異なる熱可塑性ポリイミド層を形成した積層体を作製した。その熱可塑性ポリイミド層に実施例1〜9記載の銅箔を用いる表面処理を行い、熱膨張係数を測定した。続いて実施例1〜9と同様の方法で無電解めっき、電解めっき法により厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表5にしめす。なお熱膨張率は非熱可塑性フィルムCの熱膨張率が今回の実験では12ppm/℃であり、熱可塑性層を形成後の熱膨張係数を測定し、その値が20ppm/℃以下の場合を◎、25ppm/℃以下の場合を○、30ppm/℃以下の場合を△、30ppm/℃以上の場合を×と評価した。
【0092】
【表5】
この結果から、非熱可塑性ポリイミドフィルムの優れた特性を発現させる、具体的には低熱膨張性を発現させる為には両面に形成した熱可塑性ポリイミド樹脂層の各面の厚みの合計は非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みより薄いことが好ましく、更には1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下であることが判った。この結果と実施例1〜9において判った表面処理に応じた適切な熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みを併せて適切な厚み構成を決定することが重要である。
【0093】
(実施例39)
Y/B/Y(Yは3μm、Bは25μm)の構成を有する積層体に実施例1〜9と同様の方法で両面に圧延銅箔をラミネートし、続いて両面の銅箔を完全に除去し、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する積層体を得た。この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
まず、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの積層体を貫通するビアホールを形成し、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に銅めっき層を形成した。次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが15/15のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有していた。また、回路パターンは8N/cmの強さで強固に接着していた。
【0094】
(実施例40)
まず、X/A/Cu(Xは1μm、Aは25μm、銅箔は15μm)の構成の積層体を準備した。この段階ではX層、即ち熱可塑性ポリイミド樹脂層は表面処理は実施されていない。この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
熱可塑性ポリイミド樹脂層側からUVレーザーを用い、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルム層を貫通し、銅箔に至るビアホールを形成した。続いて、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に無電解銅めっき、電解銅めっきを行った。次に両面の銅層上にドライフィルムレジスト(旭化成ドライレジストAQ)を貼り付け、露光、現像を行い、通常のサブトラクティブ法で熱可塑性ポリイミド樹脂表面側はL/S=25/25μmの回路を、銅箔側は100/100μmの回路を形成した。エッチング液には塩化第二鉄水溶液を用いた。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有しており、また、回路パターンは7N/cmの強度で強固に接着していた。
【0095】
(実施例41)
X/B/X(Xは3μm、Bは25μm)の構成を有する積層体に実施例1〜9と同様の方法で両面に圧延銅箔を積層し、続いて銅箔を完全に除去し、両面に表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する積層体を得た。この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。まず、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの積層体を貫通するビアホールを形成した。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に銅めっき層を形成した。続いて、電解銅めっきを行って10μmの厚さの銅めっき層を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行った。電流密度は2A/dm2である。
次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが20/20のレジストパターンを形成した。こうして作製したパターンをもちいて通常のサブトラクティブ法(薬品名:塩化第二鉄)により回路を形成した。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有していた。また、回路パターンは8N/cmの強度で強固に接着していた。
【0096】
(実施例42)
ポリイミドフィルム作製法Cで製造した厚み12.5μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の作製を行った。熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さは3μmである。次に実施例1〜9と同様の方法で積層体の片面に圧延銅箔を積層した。次に非熱可塑性ポリイミドフィルム側に接着層(12μm)を塗布し「銅箔層/熱可塑性ポリイミド樹脂層/ポリイミドフィルム層/接着層」なる構成の積層体を得た。この積層体をガラスエポキシ銅張積層板から作製した内層回路板上に積層硬化させた。積層法はすでに述べた通りである。
次に、銅箔を塩化第二鉄系エッチャントで溶解除去し、熱可塑性ポリイミド樹脂層に表面凹凸を形成された表面処理を施した。UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの内層回路に至るビアホールを形成し、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっき法で熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に無電解銅めっき層を形成した。
次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが15/15のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有しており、また、回路パターンは8N/cmの強さで強固に接着していた。
【0097】
(実施例43)
ポリイミドフィルム作製法Cで製造した厚み12.5μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面に作製法Yで製造したポリアミド酸溶液を塗布する方法で積層体の作製を行った。熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さは1μmである。次に非熱可塑性ポリイミドフィルム側に接着層(12μm)を塗布し「熱可塑性ポリイミド樹脂層Y/ポリイミドフィルム層C/接着層」なる構成の積層体を得た。次にこの積層体をガラスエポキシ銅張積層板から作製した内層回路板上に積層硬化させた。
次に、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmの内層回路に至るビアホールを形成し、実施例1〜9と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に無電解銅めっき層を形成した。次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが10/10のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有しており、また、回路パターンは7N/cmの強さで強固に接着していた。
【0098】
【発明の効果】
本発明の、表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂材料と、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/銅箔層積層体」、「表面処理を施した熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミドフィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いて作製したプリント配線板は高密度配線が可能で、接着性とその耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【0099】
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の構成例を示す図。
【0101】
【図2】本発明の構成例を示す図。
【0102】
【図3】本発明の構成例を示す図。
【0103】
【図4】本発明の構成例を示す図。
【0104】
【符号の説明】
(a)表面処理された熱可塑性ポリイミド樹脂層
(b)非熱可塑性ポリイミド層。
(c)銅箔層。
(d)接着層。
Claims (21)
- 熱可塑性ポリイミド樹脂からなる材料であり、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合5N/cm以上の接着強度を有する表面処理を施されたことを特徴とする熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理であることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面を過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物、有機溶剤の内少なくとも一つを含む溶液で処理することを特徴とする請求項4記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理が、請求項2記載の表面処理と請求項4記載の表面処理を併用することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理を施した熱可塑性ポリイミド表面の十点平均表面粗さRzが3μm以下であることを特徴とする請求項1〜6記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移温度が170℃以上であることを特徴とする請求項1〜7記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 非熱可塑性ポリイミドフィルムとその片方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が請求項1〜9記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体。
- 非熱可塑性ポリイミドフィルムとその両面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が請求項1〜9記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体。
- 非熱可塑性ポリイミドフィルムとその一方の面が熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層、他方の面が銅箔からなる積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が請求項1〜9記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体。
- 非熱可塑性ポリイミドフィルムとその一方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層、他方の面に接着層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が請求項1〜9記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする積層体。
- 非熱可塑性ポリイミド上に形成された熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の厚さが10μm以下であり、非熱可塑性ポリイミド層の厚さより薄い事を特徴とする請求項10〜13記載の積層体。
- 請求項1〜14記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料または積層体を用いてなるプリント配線板の製造方法。
- 請求項10記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも無電解めっき銅を施す工程を含むプリント配線板配線板の製造方法。
- 請求項11記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも積層体を貫通するビアホールを形成する工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法。
- 請求項12記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、少なくとも非熱可塑性ポリイミドフィルム層および熱可塑性高分子層を貫通し銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホール内部をデスミヤする工程と、少なくともビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法。
- 請求項13記載の積層体を用いた配線板の製造方法において、少なくとも該積層体の接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面から内層配線板の電極に至るビアホール形成工程と、ビアホール内部をデスミヤする工程と、ビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含むプリント配線板配線板の製造方法。
- 請求項16〜19記載のプリント配線板の製造法において、回路形成をサブトラクティブ法により行うプリント配線板の製造方法。
- 請求項16〜19記載のプリント配線板の製造法において、回路形成をセミアディティブ法により行うプリント配線板の製造方法。
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