JP2004276411A - 積層体、プリント配線板、およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子フィルムとその片面若しくは両面に特定の構造を有するポリイミド樹脂と熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物層を設けてなる積層体を用いて、該ポリイミド樹脂組成物層と金属箔とが対向するように積層し、該ポリイミド樹脂組成物層に金属箔の微細な凹凸を転写させた後にセミアディティブ法によって回路形成を行なうことによりに上記課題を解決しうる。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器等に広く使用されるプリント配線板に用いる積層体、プリント配線板およびプリント配線板の製造方法に関し、さらに詳しくはセミアディティブ工法により製造される高密度プリント配線板の製造方法、および該工法を適用しうるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に回路を形成したプリント配線板が、電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられ、近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、その様なプリント配線板には、回路の高密度化や薄型化が強く望まれている。特にライン/スペースの間隔が25μm/25μm以下であるような微細回路形成方法の確立はプリント配線板分野の重要な課題である。
【0003】
通常プリント配線板においては、基板となる高分子フィルムと回路との間の接着はアンカー効果と呼ばれる表面の凹凸によって達成されている。そのため一般にフィルム表面を粗化する工程が設けられ、通常その表面にはRz値換算で3〜5μm程度の凹凸がつけられる。この様な基板表面の凹凸は形成される回路のライン/スペースの値が30/30μm以上である場合には問題とならないが、30/30μm以下、特に25/25μm以下の線幅の回路形成には重大な問題となる。その理由はこの様な高密度の細線である回路線が基盤表面の凹凸の影響をうけるためである。従って、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路の形成には、表面平滑性の高い高分子基板への回路形成技術が必要となり、その平面性はRz値換算で3μm以下、さらに望ましくは1.5μm以下である必要がある。しかし、一般的に、この場合には、接着力として上記アンカー効果は期待出来なくなり、接着強度の向上は見込めないと考えられている。例えば、樹脂表面を粗化する方法として、エポキシ系樹脂表面の粗化表面に無電解めっきさせる方法が開示されている。しかし、表面粗度Rzが3μm以上であれば良好に接着するが、3μm以下、特に1μm程度では3N/cm程度の接着性を示すのみであり、従来のフィルム表面を粗化する方法では、アンカー効果を期待するには、表面粗度が大きいことが必要と考えられてきた。そこで、別の接着方法の開発が必要となった。
【0004】
例えば、表面粗度が小さい樹脂表面に形成した回路配線との接着性改善について、ポリイミドフィルムにチタン系の有機化合物を添加することにより接着性を改善する技術、あるいは、Sn、Cu、Zn、Fe、Co、MnまたはPdからなる金属塩によってコートされた表面接着力の改善されたポリイミドなどが開示されている。また、ポリアミド酸重合体固化フィルムに耐熱性表面処理剤を塗布した後イミド化したポリイミドフィルムをメタライズする方法が開示されている。さらに、ポリイミドフィルムの表面にチタン元素を存在させる手法が開示されている。さらに、樹脂成形体の表面でポリイミドの原料となるピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンを気相重合させた中間層を形成した後、真空蒸着法によりメタライジングする方法が開示されている。また、本発明者らによって熱可塑性ポリイミド表面に乾式鍍金法により導体層を形成しそれを加圧および熱処理して融着せしめポリイミドと接着層との密着強度を強化する手法が開示されている。
【0005】
これらのポリイミドフィルム表面に蒸着、スパッタリング等の物理的方法で形成した銅金属層は、通常のポリイミドフィルム表面に形成した銅金属層に比較して優れた接着強度を有している。しかし、真空プロセスを用いる為、コストが高くなるという欠点を有している。
【0006】
一方、回路基板にはより高密度の微細配線が求められると同時に、高分子フィルムとそのような微細回路配線との接着性の向上についても要求されている。
【0007】
さらに、両面に回路を形成するようなプリント配線板の場合には、配線板の両面を導通させるビアホールの形成が不可欠である。そのため、その様なプリント配線板は通常、レーザーによるビアホール形成工程、デスミア工程、触媒付与工程、無電解めっき銅を施す工程、等を経て回路形成がおこなわれる。
【0008】
さらに、通常、微細回路形成はレジスト膜を形成する工程、無電解めっき膜が露出している部分への電解銅めっき工程、レジスト被膜の除去工程、余分な無電解銅めっき皮膜のエッチング工程から成る、いわゆるセミアディティブ法により製造される。したがって、配線回路と高分子フィルム間の接着性はこれらのプロセスに耐えるものである必要がある事は言うまでもない。
【0009】
このように、フィルムの表面粗度の小さい場合において、高コストな方法、煩雑な方法をとらないでも充分な接着強度が得られ、かつ配線板の製造工程に耐えうる材料として、我々は特定の構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分からなるポリイミド樹脂シートを開示している。この中で、樹脂シートに銅箔を積層し、該シート表面に金属箔の微細な凹凸を転写する方法も開示されているが、比較的高い圧力にて積層する必要がある場合があった。
【0010】
【特許文献1】
特許第1,948,445号(米国特許第4,742,099号)
【0011】
【特許文献2】
特開平6−73209号公報(米国特許第5,227,224号)
【0012】
【特許文献3】
米国特許第5,130,192号
【0013】
【特許文献4】
特開平11−71474
【0014】
【特許文献5】
特開2002−113812
【0015】
【特許文献6】
特開平08−230103
【0016】
【特許文献7】
特開2000−198907
【0017】
【特許文献8】
特開2002−192651
【0018】
【特許文献9】
WO03/006553
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、(1)絶縁層上に形成した、従来よりも小さな表面粗度を有する粗化表面に無電解めっきを形成した場合、充分な接着強度を発現出来る事、(2)表面粗度が小さいことに由来し、微細な回路配線を形成できる事、(3)充分な接着性を有するプリント配線板を安価に提供する事(4)積層加工する際の加工条件の自由度を上げる事、にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、上記課題を解決できる積層体、プリント配線板およびプリント配線板の製造方法を発明するに至った。
すなわち、本発明は、高分子フィルムとその片方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が下記一般式(1)であらわされる構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂であることを特徴とする積層体である。
【0021】
【化5】
(式中、 mは1以上の整数、nは0以上の整数、Vは、−O−または−O−T−O−、または−C(=O)−O−T−O(C=O)−で、Tは二価の有機基を表わす。Yは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)b−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。aおよびbは独立に0以上5以下の整数である。またZは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)d−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。cおよびdは独立に0以上5以下の整数であり、またXは独立の官能基であり、−OH、−COOH、−OCN、−CNから選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
前記熱可塑性ポリイミド樹脂が、下記一般式(2)で表わされる酸二無水物成分を含む酸二無水物成分と、下記一般式(3)で表わされるジアミン成分を含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミド酸重合体を脱水閉環した熱可塑性ポリイミド樹脂であることを特徴とする積層体である。
【0022】
【化6】
(式中Vは、−O−または−O−T−O−、または−C(=O)−O−T−O(C=O)−で、Tは二価の有機基を表わす。)
【0023】
【化7】
(式中、Yは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)b−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。aおよびbは独立に0以上5以下の整数である。)
前記熱可塑性ポリイミド樹脂が、ジアミン成分としてさらに下記一般式(4)で表わされるジアミン成分を含むことを特徴とする積層体である。
【0024】
【化8】
(式中、Zは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)d−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。cおよびdは独立に0以上5以下の整数であり、またXは独立の官能基であり、−OH、−COOH、−OCN、−CNから選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
前記積層体において、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた面と反対の面に、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層を設けてなることを特徴とする積層体である。
【0025】
前記積層体において、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた面と反対の面に、接着剤層を設けてなることを特徴とする積層体である。
【0026】
前記積層体を用いることを特徴とするプリント配線板である。
前記積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
【0027】
前記積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、一方の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
【0028】
前記積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、接着剤層の面に内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
【0029】
前記積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程と、露出したポリイミド樹脂組成物表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工工程と、化学めっきによるパネルめっき工程と、感光性めっきレジストによるレジストパターン形成工程と、電気めっきによる回路パターン形成工程と、レジストパターン剥離工程と、レジストパターン剥離により露出した化学めっき層を除去する工程、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0030】
前記積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、一方の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程と、露出したポリイミド樹脂組成物表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工工程と、化学めっきによるパネルめっき工程と、感光性めっきレジストによるレジストパターン形成工程と、電気めっきによる回路パターン形成工程と、レジストパターン剥離工程と、レジストパターン剥離により露出した化学めっき層を除去する工程、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0031】
前記積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、接着剤層の面に内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程と、露出したポリイミド樹脂組成物表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工工程と、化学めっきによるパネルめっき工程と、感光性めっきレジストによるレジストパターン形成工程と、電気めっきによる回路パターン形成工程と、レジストパターン剥離工程と、レジストパターン剥離により露出した化学めっき層を除去する工程、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明は、高分子フィルムと少なくともその片方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層を有する積層体である。このうち、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層は、表面に形成される金属層と強固に接着させることを可能にする。高分子フィルムを有することにより、プリント配線板の製造工程で、金属箔や内層配線板と積層し、積層体の表面の金属箔を除去する場合、低圧での積層を行った場合でも、金属箔の転写を良好に行うことができ、積層加工条件の自由度を上げることが可能である。
【0033】
(熱可塑性ポリイミド樹脂)
本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂は、可溶性であることが好ましい。本発明において、「可溶性」とは、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等から選択される少なくとも1種の溶媒に、室温〜100℃の温度範囲において1重量%以上溶解することをいう。
【0034】
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される構造を有するポリイミド樹脂である。一般式(1)であらわされる構造は50モル%含まれていることが好ましい。
【0035】
【化9】
前記熱可塑性ポリイミド樹脂は下記一般式(2)で表わされる酸二無水物成分と、下記一般式(3)で表わされるジアミン成分を含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミド酸重合体を脱水閉環することによって得ることができる。
【0036】
【化10】
(式中Vは、−O−または−O−T−O−、または−C(=O)−O−T−O(C=O)−で、Tは二価の有機基を表わす。)
【0037】
【化11】
(式中、Yは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)b−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。aおよびbは独立に0以上5以下の整数である。)
一般式(2)で表される酸二無水物は、全酸二無水物中50モル%以上であることが好ましい。このような構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂を用いると、熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分からなるポリイミド樹脂組成物層の表面粗度Rzが3μm以下の場合でも、セミアディティブ工法により形成された微細回路と該樹脂組成物層との接着強度が充分高いという効果が得られる。
【0038】
また、蒸着、スパッタリング等の高コストな工程を経る必要が無い。
一般式(2)におけるTの例としては、
【0039】
【化12】
を挙げることができる。
【0040】
一般式(2)で表される酸二無水物は、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、一般式(2)において、各ベンゼン環には、メチル基やエチル基などの炭化水素基やBrやClなどのハロゲン基が導入されていても良い。
【0041】
一般式(2)の具体例としては、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、4,4’−ハイドロキノンビス(無水フタル酸)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)を挙げることができる。これらの一種または二種以上を組み合わせて用いることも可能である。この中で溶解性・耐熱性に優れた熱可塑性ポリイミド樹脂を与える酸二無水物として、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、4,4’−ハイドロキノンビス(無水フタル酸)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)が好ましく使用される。
【0042】
また、一般式(2)で表わされる酸二無水物以外を本発明の効果を損なわない程度に一般式(2)の酸二無水物と組み合わせることも可能である。具体的には公知のテトラカルボン酸二無水物類を使用することができ、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンジフタル酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物等が例示される。
【0043】
次にジアミン成分について説明する。本発明においては一般式(3)で表わされるジアミン成分を用いることを必須とする。
【0044】
【化13】
(式中、Yは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)b−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。aおよびbは独立に0以上5以下の整数である。)
一般式(3)で表されるジアミンは、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、一般式(3)において、複数個のYは各繰り返し単位間で同一であっても異なっていても良く、各ベンゼン環には、メチル基やエチル基などの炭化水素基やBrやClなどのハロゲン基が導入されていても良い。
【0045】
さらに、一般式(3)で表されるジアミン化合物中、メタ位にアミノ基を有するジアミン化合物は、パラ位にアミノ基を有するジアミン化合物よりも溶解性に優れた熱可塑性ポリイミド樹脂を与えるので好ましい。
【0046】
以上の説明の通り、本発明において、メタ位にアミノ基を有するジアミン化合物を用いると、本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂の溶解性を向上させる効果が期待できるが、これを用いる場合は全ジアミン成分に対して50〜100モル%がより好ましく、特に好ましくは80〜100モル%である。
【0047】
ここで一般式(3)で表されるジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2, 2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プ ロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ シ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ ン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、 1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン等が挙げられ、さらに一般式(3)で表されるジアミン化合物中、メタ位にアミノ基を有するジアミン化合物としては、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル等が挙げられる。また、一般式(3)で表されるジアミン化合物以外にもm−フェニレンジアミン、o−フェニレン ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン等を用いることも可能である。
【0048】
一方、一般式(4)で表わされる反応性を有するジアミンの使用も好ましい。
【0049】
【化14】
(式中、Zは、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)d−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、または単結合を表わす。cおよびdは独立に0以上5以下の整数であり、またXは独立の官能基であり、−OH、−COOH、−OCN、−CNから選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
一般式(4)で表されるジアミンは、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、一般式(3)において、ベンゼン環に結合した反応性を有する官能基を必須成分とするが、これ以外に、メチル基やエチル基などの炭化水素基やBrやClなどのハロゲン基が導入されていても良い。
【0050】
一般式(4)で表されるジアミンとしては、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸等を挙げることができる。例えば3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いた熱可塑性ポリイミド樹脂には水酸基が導入されているので、熱硬化成分であるエポキシ化合物、シアナートエステル化合物等との反応性を有する。従って本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂と熱硬化成分とを含有するポリイミド樹脂組成物においては、架橋が進行し、耐熱性に優れたポリイミド樹脂組成物の提供を可能にする。反応性を有するジアミンを多く用いると得られるポリイミド樹脂の溶解性を損なうおそれがあるので、好ましくは0〜50モル%、更に好ましくは0〜20モル%である。
【0051】
また、水酸基を有するジアミン成分と酸二無水物を反応させ熱可塑性ポリイミド樹脂を得た後に、熱可塑性ポリイミドの側鎖の水酸基を例えば臭化シアンと反応せしめシアナートエステル基に変性したシアナートエステル変性ポリイミド樹脂とし、反応性を付与することも可能である。
【0052】
熱可塑性ポリイミド樹脂は、対応するポリアミド酸重合体を脱水閉環して得られる。ポリアミド酸重合体は、酸二無水物成分とジアミン成分とを実質的に等モル反応させて得られる。ポリアミド酸重合体溶液の生成反応に用いられる有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。更に必要に応じて、これらの有機極性溶媒とはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。溶媒中で酸二無水物成分、ジアミン成分を混合撹拌することによりポリアミド酸重合体溶液を得る。この反応の際の原料の添加順序、反応時間、反応温度は特に限定されない。
【0053】
上記で得られたポリアミド酸重合体を、熱的または化学的方法により脱水閉環し、熱可塑性ポリイミドを得るが、ポリアミド酸重合体溶液を熱処理して脱水する熱的方法、脱水剤を用いて脱水する化学的方法のいずれも用いられる。また、減圧下で加熱してイミド化する方法も用いることができる。以下に各方法について説明する。
【0054】
熱的に脱水閉環する方法として、上記ポリアミド酸重合体溶液を加熱処理によりイミド化反応を進行させると同時に、溶媒を蒸発させる等により行う方法を例示することができる。この方法により、固形の熱可塑性ポリイミド樹脂を得ることができる。加熱の条件は特に限定されないが、300℃以下の温度で約5分〜200分の時間の範囲で行うのが好ましい。
【0055】
また化学的に脱水閉環する方法として、上記ポリアミド酸重合体溶液に化学量論以上の脱水剤を加えることで脱水反応と有機溶媒を蒸発させる等により行う方法を例示することができる。これにより、固形の熱可塑性ポリイミド樹脂を得ることができる。化学的方法による脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが挙げられる。上記化学的に脱水閉環する方法において、触媒を併用することも可能である。触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。化学的に脱水閉環する際の条件は100℃以下の温度が好ましく、有機溶媒の蒸発は、200℃以下の温度で約5分〜120分の時間の範囲で行うのが好ましい。また、ポリイミド樹脂を得るための別の方法として、上記の熱的または化学的に脱水閉環する方法において溶媒の蒸発を行わない方法もある。具体的には、熱的イミド化処理または脱水剤による化学的イミド化処理を行って得られる熱可塑性ポリイミド樹脂溶液を貧溶媒中に投入して、熱可塑性ポリイミド樹脂を析出させ、未反応モノマーを取り除いて精製、乾燥させ固形熱可塑性のポリイミド樹脂を得る方法である。貧溶媒としては、溶媒とは良好に混合するがポリイミドは溶解しにくい性質のものを選択し、例示すると、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ、メチルエチルケトン等が挙げられるがこれに限定されない。
【0056】
また、減圧下で加熱してイミド化する方法も挙げられる。このイミド化の方法によれば、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去できるので、ポリアミド酸重合体の加水分解を抑えることが可能で高分子量の熱可塑性ポリイミドが得られる。
【0057】
減圧下で加熱イミド化する方法の加熱条件は80〜400℃が好ましいが、イミド化が効率よく行われ、しかも水が効率よく除かれる100℃以上がより好ましく、更に好ましくは120℃以上である。
減圧する圧力の条件は、小さいほうが好ましいが、具体的には9×104〜1×102Pa、好ましくは9×104〜1×102Pa、より好ましくは7×104〜1×102Paである。
【0058】
このようにして得られた熱可塑性ポリイミド樹脂はガラス転移温度を比較的低温において有するが、本発明において、樹脂組成物が特に良好な加工特性を得るためには熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移温度は350℃以下が好ましく、より好ましくは320℃以下、特に好ましくは280℃以下である。
【0059】
(熱硬化成分)
次に本発明に係る熱硬化成分に関して説明する。熱硬化成分を前述の熱可塑性ポリイミド樹脂に適量添加することにより、金属箔、本発明の積層体および内層配線板の積層工程において、金属箔の表面を良好に転写でき、セミアディティブ工法により形成された微細回路との接着強度を向上できるという効果が得られる。また、一旦硬化せしめると、この転写は後の工程でも形状を保持できるため、セミアディティブ工法により形成された微細回路との接着強度を保持できるという効果が得られる。具体的に熱硬化成分に関して説明する。熱硬化成分としてはビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独または適宜組み合わせて用いることができる。この中で、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂がバランスの良い樹脂組成物を与える為好ましい。
【0060】
次にエポキシ樹脂について説明する。エポキシ樹脂としては、任意のエポキシ樹脂が本発明に使用可能である。例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック系エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック系エポキシ樹脂、ポリフェノール系エポキシ樹脂、ポリグリコール系エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリシロキサン等を用いることができる。
【0061】
次にシアン酸エステル樹脂について説明する。シアナートエステル樹脂としては、任意のシアン酸エステル樹脂が本発明に使用可能である。例えば、2,2’−ジシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)プロパン、4,4’−ジシアナトジフェニルエーテル、4,4’−ジシアナトジフェニルチオエーテル、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)パーフルオロプロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナトフェニル)プロパン、あるいは、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパンである。この中で好ましくは、4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、4,4’−ジシアナトジフェニルチオエーテル、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)パーフルオロプロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、あるいは、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパンである。さらに好ましくは、4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、あるいは、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0062】
また、硬化触媒を使用することが好ましいが必ずしも必要ではない。硬化触媒としては、イミダゾール類、第3級アミン、有機金属化合物等が用いられる。有機金属化合物が好ましく、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等が用いられる。また、硬化反応の促進のために不揮発性のフェノール類を併用することが好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の各種ビスフェノール類やノニルフェノール等が使用される。
【0063】
(ポリイミド樹脂組成物)
本発明に係るポリイミド樹脂組成物中の熱可塑性ポリイミド樹脂と熱硬化成分の混合割合は、熱可塑性ポリイミド樹脂:熱硬化成分=100重量部:1〜10000重量部、より好ましくは100重量部:5〜2000重量部である。熱硬化成分が少なすぎると、金属箔による転写の形状を保持できないため、後の工程で形状を保持できずに、セミアディティブ工法により形成された微細回路との接着強度を保持できない恐れがある。逆に多すぎると、ポリイミド樹脂組成物層とセミアディティブ工法により形成された微細回路との接着強度自体が低下する恐れがある。
【0064】
本発明者らは、本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分とを含むポリイミド樹脂組成物は、高い電気絶縁性を有していることを見出した。プリント配線板の回路幅、スペースの微細化が進行しているが、従来材料では絶縁抵抗が小さく、充分な絶縁性を保つことが困難であった。本発明のポリイミド樹脂組成物は絶縁抵抗が高く、好ましい実施態様において体積抵抗率は5×1012Ω・cm以上、より好ましくは1×1015Ω・cm以上である。尚、測定はASTM D−257に準拠し測定した。また、本発明のポリイミド樹脂組成物は低誘電率、低誘電正接を有していることも見出した。半導体のクロック周波数の増大に伴い、配線板材料にはGHz帯での信号遅延が小さいこと、伝送損失が小さいこと、即ち、低誘電率、低誘電正接を有していることが求められている。好ましい実施態様において、比誘電率は3.5以下、誘電正接は0.015以下である。
【0065】
(高分子フィルム)
次に本発明の積層体に用いられる高分子フィルムについて説明する。本発明に係る高分子フィルム上には、上述の熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分からなるポリイミド樹脂組成物層が形成されており、該ポリイミド樹脂組成物層の表面粗度Rzが3μm以下の場合でも、セミアディティブ工法により形成された微細回路と該樹脂組成物層との接着強度が充分高いという効果を持ち、本発明に係る高分子フィルム上に直接微細回路が形成されることはないので、本発明に係る高分子フィルムと微細回路との接着力は求められない。また、本発明に係る高分子フィルムに直接蒸着、スパッタリング等の高コストな工程を経る必要がない。さらには、本発明の積層体は、剛性の高い高分子フィルムを有することにより、低圧での積層を行った場合でも、金属箔の転写を良好に行うことができるため、積層加工条件の自由度を上げることが可能である。
【0066】
本発明に用いる高分子フィルムとしては、寸法安定性、耐熱性並びに機械的特性に優れた材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン;エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル;さらに、ナイロン−6、ナイロン−11、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などのフィルムがあげられる。
【0067】
ここで、高分子フィルムは、本発明の積層体に十分な剛性を付与するために、引張弾性率が5GPa以上であることが好ましく、6GPa以上であることがより好ましい。
【0068】
更に、プリント配線板加工時には熱的な安定性が求められるので、高分子フィルムには寸法安定性が望まれる。したがって、2.0×10−5/℃以下、より好ましくは1.5×10−5/℃以下、更に好ましくは1.0×10−5/℃以下の線膨張係数を有する高分子フィルムが望ましい。
【0069】
また、上述の熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分からなるポリイミド樹脂組成物層と高分子フィルムが充分な接着力を有することが求められる。
【0070】
上記の諸特性を満足するフィルムとしてポリイミドフィルムが挙げられる。以下、ポリイミド及びポリイミドフィルムについて説明する。
本発明に用いられるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸重合体は、基本的には、公知のあらゆるポリアミド酸重合体を適用することができる。本発明に用いられるポリアミド酸重合体は、通常、酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解、反応させて得ることができる。ポリイミドは前駆体であるポリアミド酸重合体をイミド化して得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸重合体有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。無論、ケミカルキュア法に熱キュア法を併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸重合体の種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。
【0071】
本発明に係るポリイミドに合成のための適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物 )、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物及びそれらの類似物を含む。
【0072】
本発明に係るポリイミド合成のために用いられるな酸二無水物において、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)であり、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用いられる。
本発明に係るポリイミド合成のために使用しうるジアミンとしては、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2, 2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキ シ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ ン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、 1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、等及びそれらの類似物を含む。
【0073】
本発明に係るポリイミドに用いられるこれらジアミンにおいて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド及びp−フェニレンジアミン、またはこれらの混合物は特に好ましく用いる事ができる。
【0074】
本発明に係るポリイミドフィルムに好ましい酸二無水物とジアミン類の組み合わせは、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせ、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンの組み合わせ、あるいはピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンの組み合わせ、p−フェニレンジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらのモノマーを組み合わせて合成したポリイミドは適度な弾性率、寸法安定性、低吸水率等の優れた特性を発現し、本発明の各種積層体に用いるのに好適である。
【0075】
ポリアミド酸重合体を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましく用いられる。
【0076】
また、イミド化をケミカルキュア法により行なう場合、本発明に係るポリアミド酸重合体に添加する化学的転化剤は、例えば脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N ’ − ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。それらのうち、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物またはそれらの2種以上の混合物が、好ましく用い得る。これらの化学的転化剤はポリアミド酸重合体溶液中のポリアミド酸重合体部位のモル数に対して1〜10倍量、好ましくは1〜7倍量、より好ましくは1〜5倍量を添加するのが好ましい。また、イミド化を効果的に行うためには、化学的転化剤に触媒を同時に用いることが好ましい。触媒としては脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。それらのうち複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用い得る。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。これらの触媒は化学的転化剤のモル数に対して1/20〜10倍量、好ましくは1/15〜5倍量、より好ましくは1/10〜2倍量のモル数を添加する。これらの、化学的転化剤及び触媒は、量が少ないとイミド化が効果的に進行せず、逆に多すぎるとイミド化が早くなり取り扱いが困難となる。
【0077】
上記種々の方法で得られるポリイミドフィルムは、公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理、等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施し、さらに良好な特性を付与し得る事が出来る。
【0078】
ポリイミドフィルムの厚みは、2μm以上、125μm以下であることが好ましく、5μm以上、75μm以下であることがより好ましい。この範囲より薄いと積層体の剛性が不足するばかりでなく、フィルムの取り扱いが困難となり、さらにその表面へのポリイミド樹脂組成物層の形成も困難となる。一方、フィルムが厚すぎると、インピーダンス制御の点から絶縁層厚みが厚くなると回路幅を広くする必要があるので、プリント配線板の小型化、高密度化の要請に逆行するものである。
【0079】
(接着剤層)
次に本発明の積層体を構成する接着剤層について説明する。接着剤層は、前記ポリイミド樹脂組成物からなる層と反対の面に積層されている。
【0080】
接着層には通常の接着性樹脂が用いられ、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤、の二種類に分けることができる。
【0081】
接着剤に熱融着性を与える熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組合せて本発明の積層体の接着層として用いることができる。中でも優れた耐熱性、電気信頼性等の観点より熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性ポリイミド樹脂としては公知の酸二無水物成分の1種を、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0082】
特に優れた熱融着性の発現のためには、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、2,3,3’,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を用いるのが好ましい。
【0083】
また、ジアミン成分としては公知のジアミンを用いる事ができ、これらを単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。本発明の積層体に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂の材料としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン等をそれぞれ単独または任意の割合で混合して用いることが好ましい。
【0084】
次に熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型の接着剤に関して説明する。熱硬化型樹脂としてはビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独、または適宜組み合わせて用いることができる。また、上記熱硬化成分以外に高分子鎖の側鎖または末端にエポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基,水酸基等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を熱硬化成分として使用することも可能である。加熱接着時の接着剤の流れ性を制御する目的で、前記熱可塑性樹脂に熱硬化成分を混合することも可能である。このためには、熱可塑性樹脂100重量部に対して熱硬化成分1〜10000重量部、好ましくは5〜2000重量部加えるのが望ましい。熱硬化成分が多すぎると接着層が脆くなるおそれがあり、逆に少なすぎると接着剤の流れ性が低下したり、接着性が低下するおそれがある。
【0085】
本発明の積層体に用いる接着剤層としては、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格、等の観点からポリイミド樹脂やエポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系、あるいはこれらをブレンドして用いたものも好ましく使用できる。
【0086】
(積層体)
本発明の積層体は、高分子フィルムとその片方の面に前記熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた積層体である。また、本発明の積層体は、高分子フィルムの両面に該ポリイミド樹脂組成物からなる層が設けられた積層体であってもよい。この場合、両面のポリイミド樹脂組成物からなる層の組成は同じでも、異なっていてもよい。また、本発明の積層体は、片方の面が該ポリイミド樹脂組成物からなる層、他方の面が接着剤層である積層体であってもよい。
【0087】
本発明の積層体は、前述のポリイミド樹脂組成物を用いることで、セミアディティブ工法により形成された微細回路とポリイミド樹脂組成物層とが、該樹脂組成物層の表面粗度Rzが3μm以下の場合でも強固に接着するいう特徴を持つ。よって、蒸着、スパッタリング等の高コストな工程を経る必要が無い。
【0088】
また、本発明の積層体は、剛性の高い高分子フィルムを有することにより、低圧での積層を行った場合でも、金属箔の転写を良好に行うことができるため、積層加工条件の自由度を上げることが可能である。
本発明の積層体には積層体のカールや表面の汚染、傷等を防ぐ目的で、片面若しくは両面に保護フィルムを設けることも可能である。
本発明の積層体を用いて積層する場合、金属箔を用いる。金属箔の種類は特に制限されない。具体的には、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔等が好ましく使用されるが、プリント配線板製造において一般的な銅箔がより好ましい。また、積層後に全面の金属箔をエッチングすることにより露出するポリイミド樹脂表面にはこの金属箔の表面が転写されており、この表面に化学めっきを施す。先述したように強固な接着強度と、微細回路形成のためには、この金属箔の表面粗度Rzは3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。尚、形成する回路幅の0.1倍程度以下の表面粗度Rzであることが良好な回路形状を得る為に好ましい。
【0089】
本発明の積層体のポリイミド樹脂組成物からなる層は、半硬化状態であっても硬化していても良く、また、該層にはエンボス加工、サンドブラスト加工、研磨加工などの方法により表面処理が施され凹凸が形成されていても良いが、本発明のプリント配線板の製造方法においては、加熱及び/または加圧を伴った方法で積層する工程で、本発明の積層体と金属箔との積層により、該層表面に金属箔の表面を転写することで、該層上に形成した回路と該層とを強固に接着せしめることが可能であるため、該層は半硬化状態であり、且つ特に凹凸が形成されていないことが好ましい。
【0090】
本発明の積層体は何れも、高分子フィルムに熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分からなるポリイミド樹脂組成物層を形成する。本発明の積層体のポリイミド樹脂組成物層の厚さは、回路基板として低熱膨張性、耐熱性、電気特性等種々の優れた特性を持つ高分子フィルムの物性を生かすためにはできるだけ薄いことが好ましく、ポリイミド樹脂組成物層の厚さは高分子フィルムより薄い事が好ましく、更にはポリイミド樹脂組成物層の厚さは高分子フィルムの1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下である。
【0091】
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、本発明に係る熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物を、少なくとも1種の溶媒を用いて溶解せしめたポリイミド樹脂組成物溶液を、例えば一般に知られているダイコート法、ナイフコート法、グラビアコート法等各種塗布法により本発明の高分子フィルム上に形成し、硬化反応が極端に進行しない程度の温度下で乾燥させ、得ることができる。溶媒は熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分を溶解するものであれば特に限定されないが、形成したポリイミド樹脂組成物層の残揮発成分量を10重量%以下、より好ましくは7%以下に抑えることができる種類および量が好ましい。また、乾燥の際の温度、時間を適切な条件に設定することも必要である。残揮発成分量が10%より大きいとプリント配線板製造の際の加熱を伴う工程、あるいは製造されたプリント配線板に部品実装する際の半田リフロー工程において発泡の原因となり好ましくない。また、経済性および作業性の点を考えて沸点が160℃以下の低沸点溶媒が好ましい。130℃以下の沸点を有する溶媒がより好ましく、さらに好ましくは、105℃以下の沸点を有する溶媒である。このような低沸点溶媒としては、好適には、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す。沸点66℃)、1,4−ジオキサン(以下、ジオキサンと略す。沸点103℃)、モノグライム(沸点84℃)、ジオキソラン(沸点76℃)、ジメトキシエタン(沸点85℃)を使用することができる。これらは1種で使用しても良いし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
さらに、前記ポリイミド樹脂組成物溶液には吸水性、耐熱性、接着性等を改善する目的に応じて、酸二無水物などの酸無水物系、アミン系、イミダゾール系等の一般に用いられるエポキシ硬化剤、促進剤や種々のカップリング剤を併用し得る。
【0092】
本発明の高分子フィルムの両面に該ポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた積層体を製造する場合は、前記の方法にて両面を形成し、硬化反応が極端に進行しない程度の温度下で乾燥させて得ることもできるし、前記の方法にて片面を形成した後、表面処理し、硬化した後、もう片方の面を形成し、硬化反応が極端に進行しない程度の温度下で乾燥させ、得ることもできる。この場合、両面のポリイミド樹脂組成物からなる層の組成は同じでも、異なっていてもよい。また、本発明の片方の面が該ポリイミド樹脂組成物からなる層、他方の面が接着剤層である積層体を製造する場合は、該ポリイミド樹脂組成物からなる層、接着剤層のいずれを先に形成しても良いが、接着剤層を半硬化状態に保つことが重要であり、注意を要する。
【0093】
その他、熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物のシートを作製し、高分子フィルムと貼り合わせる方法等を挙げることができるが、これらの方法に限定されない。
【0094】
(プリント配線板)
本発明のプリント配線板は本発明の積層体からなり、金属箔、本発明の積層体及び内層配線板を積層した後、該金属箔を除去した後に、セミアディティブ法による回路形成を行うことで製造される。本発明のプリント配線板は、優れた絶縁信頼性を有するという特徴を持つ。また、本発明の積層体を用いてなるプリント配線板は、セミアディティブ工法により形成された微細回路とポリイミド樹脂組成物層とが強固に接着するいう特徴を持つ。
【0095】
本発明の積層体が、高分子フィルムとその片方の面に前記熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた積層体、若しくは高分子フィルムの両面に該ポリイミド樹脂組成物からなる層が設けられた積層体の場合、積層体と内層配線板とは接着剤を介して強固に固定せしめる必要がある。該接着剤としては、通常の接着性樹脂が用いられ、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤、の二種類に分けることができる。
【0096】
接着剤に熱融着性を与える熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組合せて本発明の積層体の接着層として用いることができる。中でも優れた耐熱性、電気信頼性等の観点より熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性ポリイミド樹脂としては公知の酸二無水物成分の1種を、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0097】
特に優れた熱融着性の発現のためには、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、2,3,3’,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を用いるのが好ましい。
【0098】
また、ジアミン成分としては公知のジアミンを用いる事ができ、これらを単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。本発明の積層体に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂の材料としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン等をそれぞれ単独または任意の割合で混合して用いることが好ましい。
【0099】
次に熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型の接着剤に関して説明する。熱硬化型樹脂としてはビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独、または適宜組み合わせて用いることができる。また、上記熱硬化成分以外に高分子鎖の側鎖または末端にエポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基,水酸基等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を熱硬化成分として使用することも可能である。加熱接着時の接着剤の流れ性を制御する目的で、前記熱可塑性樹脂に熱硬化成分を混合することも可能である。このためには、熱可塑性樹脂100重量部に対して、熱硬化成分を1〜10000重量部、好ましくは5〜2000重量部加えるのが望ましい。熱硬化成分が多すぎると接着層が脆くなるおそれがあり、逆に少なすぎると接着剤の流れ性が低下したり、接着性が低下するおそれがある。
【0100】
本発明の積層体と内層配線板を積層する際に用いる接着剤としては、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格、等の観点からポリイミド樹脂やエポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系、あるいはこれらをブレンドして用いたものも好ましく使用できる。該接着剤の厚みに特に制限はないが、内層配線板の回路を充分に埋め込める厚さを有することが好ましい。また、該接着剤の形態に特に制限はないが、取扱いやすいシート状であることが好ましい。
【0101】
本発明の、高分子フィルムの両面にポリイミド樹脂組成物からなる層が設けられた積層体では、該ポリイミド樹脂組成物層と上述の接着剤が強固に接着する必要があり、接着剤の選択には注意を要する。尚、該積層体の接着剤と接着する面のポリイミド樹脂組成物層は、いずれの面のポリイミド樹脂組成物層でも良い。また、該積層体の接着剤と接着する面のポリイミド樹脂組成物層の厚みは特に制限はなく、接着剤と強固に接着せしめるため、各種表面処理を行うことも可能である。一方、本発明のプリント配線板の製造方法においては、加熱及び/または加圧を伴った方法で積層する工程で、本発明の積層体と金属箔との積層により、該層表面に金属箔の表面を転写することで、該層上に形成した回路と該層とを強固に接着せしめることが可能であるため、該積層体の金属層と接して積層する方のポリイミド樹脂組成物層は半硬化状態であり、且つ特に凹凸が形成されていないことが好ましい。
【0102】
一方、本発明の積層体が、片方の面が該ポリイミド樹脂組成物からなる層、他方の面が接着剤層である積層体である場合は、積層体と内層配線板とは、前述した接着剤層を用いることで強固に固定される。
【0103】
(プリント配線板の製造方法)
本発明の、高分子フィルムとその片方の面に前記熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた積層体、若しくは高分子フィルムの両面に該ポリイミド樹脂組成物からなる層が設けられた積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、他方の面に接着剤層を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含む。
【0104】
また、本発明の、片方の面が該ポリイミド樹脂組成物からなる層、他方の面が接着剤層である積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、接着剤層の面に内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含む。
加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程について説明する。
【0105】
本発明の積層体を用いて加熱および/または加圧を伴った方法で積層する場合、金属箔を用いる。金属箔の種類は特に制限されない。具体的には、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔等が好ましく使用されるが、プリント配線板製造において一般的な銅箔がより好ましい。また、積層後に全面の金属箔をエッチングすることにより露出するポリイミド樹脂組成物表面にはこの金属箔の表面が転写されており、この表面に化学めっきを施す。先述したように強固な接着強度と微細回路形成のためには、この金属箔の表面粗度Rzは3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。尚、形成する回路幅の0.1倍程度以下の表面粗度Rzであることが良好な回路形状を得る為に好ましい。金属箔が銅箔の場合、電解銅箔と圧延銅箔が入手可能であるが、圧延銅箔の方が表面粗度の小さなものが入手可能であり、好ましく使用される。
【0106】
積層加工は油圧プレスの他、真空プレス、真空ラミネートも適用でき、積層時の泡の咬み込み、内層回路の埋め込み性の観点から、真空プレス、真空ラミネートが好ましく使用される。最高積層温度は300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。また、積層時間は1分〜3時間程度、好ましくは1分〜2時間である。真空プレス、真空ラミネートの場合チャンバー内圧力は10kPa以下、更に好ましくは1kPa以下である。本発明の積層体は、剛性の高い高分子フィルムを有することにより、低圧での積層を行った場合でも、金属箔の転写を良好に行うことができるため、積層加工条件の自由度を上げることが可能である。積層する際の圧力は、好ましくは0.5MPa以上、更に好ましくは0.7MPa以上である。0.5MPaよりも低圧であると、金属箔の転写が充分に行われず、化学めっきとの接着強度が低下する恐れがある。また、積層した後、熱風オーブン等の硬化炉に投入することも可能である。これによりポリイミド樹脂組成物の熱硬化反応を硬化炉中で促進させることができ、特に積層時間を短くした場合、好ましくは20分以下にした場合、生産性向上の観点より好ましい。また、セミアディティブ法でプリント配線板を製造する場合、生産性を考慮し、20分以下の積層時間とし、完全にポリイミド樹脂組成物の硬化反応が終わっていない段階で、全面の銅箔を除去した後、硬化炉中で熱硬化反応を促進させることも可能である。この方法ではポリイミド樹脂組成物中の残溶媒量が多い場合、発泡させること無く硬化炉中での硬化反応を行える為、好ましい。
【0107】
次に表面の金属箔を除去する工程について説明する。表面の金属箔を除去する方法としては、特に制限はないが、エッチングによる方法が好ましい。金属箔のエッチングには金属箔に応じたエッチャントを用いれば好ましく用いられる。好ましい金属箔として挙げた銅箔、アルミ箔、ニッケル箔等であれば一般に入手可能な塩化第二鉄系エッチャント、塩化第二銅系エッチャント等が好ましく使用される。エッチング時間、エッチング温度について特に限定はないが、生産性を考慮すると、エッチング温度は10℃以上であることが好ましい。また、表面の金属箔を除去した後に、熱風オーブンなどの硬化炉に投入することも可能であり、前記したように、ポリイミド樹脂組成物中の残溶媒量が多い場合、発泡させること無く硬化炉中での硬化反応を行うことも可能である。
【0108】
本発明のプリント配線板の製造方法におけるセミアディティブ工法は、本発明の積層体のポリイミド樹脂組成物面と回路形成した内層配線板を対向させ加熱および/または加圧を伴った方法で積層し、硬化せしめる。得られた積層体の金属箔をエッチング等の方法で除去した後、レーザー等のヴィア穴あけ加工を施し、続いてエッチングにより金属箔を除去したポリイミド樹脂組成物表面に化学めっきを施し、続いてめっきレジストの形成、電解めっきによるパターンめっき、レジスト剥離を行い、給電層として機能した化学めっき層をクイックエッチングすることにより回路を形成する。この場合、金属箔をエッチング等の方法で除去したポリイミド樹脂組成物表面は金属箔の粗化面が転写している。化学めっきはこの転写された粗化面に対するアンカー効果により主に接着強度が発現すると考えられる。高い接着強度を得る為には、粗化面の表面粗度を大きくする、即ち金属箔の粗化面の表面粗度が大きいものを用いることが有効であるが、既述したように表面粗度Rzが3〜5μm程度である場合、形成される回路のライン/スペースの値が30/30μm以上である場合には問題とならないが、30/30μm以下、特に25/25μm以下の線幅の回路形成には表面の凹凸の影響をうけ、良好な回路形成が困難となり重大な問題となる。従って、本発明の積層体のポリイミド樹脂組成物が形成される金属箔表面の表面粗度が小さいことが、微細回路の形成に有利であり、同時に強固に接着している必要がある。強固な接着強度発現と微細回路形成のためには、この金属箔の表面粗度Rzは3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。尚、形成する回路幅の0.1倍程度以下の表面粗さを金属箔が有することが良好な回路形状を得る為に好ましい。金属箔が銅箔の場合、電解銅箔と圧延銅箔が入手可能であるが、圧延銅箔の方が表面粗度の小さなものが入手可能であり、好ましく使用される。
【0109】
本発明者らは検討の結果、本発明に係るポリイミド樹脂組成物層はその表面粗度が3μm以下である場合にも、化学めっきと強固に接着することを見出すに至った。即ち、良好な接着性と微細な回路形成の両立を可能とした。更に表面粗度が小さいとセミアディティブ工法におけるエッチング工程において給電電極の除去が表面粗度が大きい場合と比較し、短時間の内に行うことが可能であり、微細回路の形成にとって好ましい。即ち、短時間の内にエッチングが完了するため、電気めっきで形成する回路パターンのエッチング量が少なく、回路幅、厚みが設計値通りに形成が可能となり、特に微細回路形成にとって好ましい。
このようにして得られた本発明の積層体は高絶縁抵抗、良好な接着強度、微細な回路形成が可能であり、微細な配線を有するプリント配線板用材料、更にはビルドアップ配線板用材料として好ましく使用できる。
尚、表面粗度RzはJIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計やB0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて高分子フィルムの10点平均粗さを測定した。
【0110】
本発明のプリント配線板の製造方法では積層工程の後、全面の金属箔をエッチング等の方法により剥離したポリイミド樹脂表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工を行う。穴あけ加工方法としては公知のドリルマシン、ドライプラズマ装置、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、エキシマレーザー等を用いることができるが、UV−YAGレーザー、エキシマレーザーが小径特に50μm以下のビア形成の為に好ましく、特に好ましくは30μm以下である。また良好な形状のビアを形成でき、好ましい。言うまでも無くドリルマシンによる貫通スルーホールを形成した後、化学めっきによるパネルめっきを行っても良い。また、穴あけ加工の後、公知の技術でデスミアすることも可能である。
【0111】
本発明のプリント配線板の製造方法に用いる化学めっきの種類としては無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解銀めっき、無電解錫めっき、等を挙げる事ができ本発明に使用可能であるが、工業的観点、耐マイグレーション性等の電気特性の観点より、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっきが好ましく、特に好ましくは無電解銅めっきである。
【0112】
また、本発明のプリント配線板の製造方法における化学めっきの厚みはレーザードリリング等の方法により形成されたビアの内面および/または貫通スルーホールの内面にめっき皮膜を形成し、給電電極となる必要がある。したがって、その厚さは100nm〜1000nmであることが好ましく、更には200nm〜800nmであることが好ましい。100nmより薄いと給電電極とした際の面内の電気めっきの厚みばらつきとなり、逆に1000nm以上の場合、本発明のプリント配線板の製造方法におけるエッチング工程で余分にエッチングを行う必要があり、回路設計値よりも回路厚みが薄くなったり、回路幅が狭くなったりする。さらに、アンダーカット等が発生し、回路形状が劣化するという問題が生じる。
【0113】
また、本発明のプリント配線板の製造方法に用いる感光性めっきレジストとしては広く市販されている公知の材料を用いることができる。本発明の製造方法では狭ピッチ化に対応するためには50μmピッチ以下の解像度を有する感光性めっきレジストを用いることが好ましい。無論、本発明の製造方法で得られるプリント配線板の配線ピッチに、50μm以下のピッチを有する回路とそれ以上のピッチを有する回路が混在しても良い。
【0114】
本発明のプリント配線板の製造方法に用いる電気めっきは公知の多くの方法を適用することができる。具体的には電解銅めっき、電解はんだめっき、電解錫めっき、電解ニッケルめっき、電解金めっき等を挙げる事ができる。工業的観点、耐マイグレーション性等の電気特性の観点より、電解銅めっき、電解ニッケルめっきが好ましく、特に好ましくは電解銅めっきである。
【0115】
本発明のプリント配線板の製造方法における化学めっき層を除去する工程においては、公知のクイックエッチャントを用いることができる。例えば、硫酸・過酸化水素系エッチャント、過硫酸アンモニウム系エッチャント、過硫酸ナトリウム系エッチャントや希釈した塩化第二鉄系エッチャント、希釈した塩化第二銅系エッチャント等を好ましく用いることができる。
【0116】
本発明のプリント配線板の製造方法においては、比較的低圧の積層加工条件でも、本発明に係るポリイミド樹脂組成物上の微細な表面凹凸に微細回路パターンを良好に形成でき、かつ高い接着強度を有している。また、微細な表面凹凸上の給電層をエッチング残り無く良好にエッチングできること、および本発明に係るのポリイミド樹脂組成物は絶縁抵抗が大きいこと、以上2つの理由により今後益々狭ピッチ化する微細回路スペース部に求められる高い絶縁性を実現できるものである。また、本発明の各種積層体は本発明のプリント配線板およびプリント配線板の製造方法に好ましく用いることできる。
【0117】
【実施例】
(実施例1)
(1)窒素雰囲気下で容量2000mlのガラス製フラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)に1当量のビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン(以下BAPS−Mという)を溶解した。溶液を氷水で冷却しつつ撹拌し、1当量の4、4´―(4、4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(以下、BPADAという)を溶解、重合し固形分濃度30重量%のポリアミド酸重合体溶液を得た。
このポリアミド酸重合体溶液を、665Paの減圧下で200℃3時間で減圧加熱し、固形の熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。
上記で得た熱可塑性ポリイミド樹脂とノボラック型のエポキシ樹脂(エピコート1032H60:油化シェル社製)、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(以下、4,4’−DDSとする)を重量比が90/10/3になるように混合し、ジオキソランに固形分濃度が20重量%になるように溶解してポリイミド樹脂組成物溶液(a)を得た。
一方、以下の方法でポリイミドフィルムを作製した。ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の17wt%のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液90gに無水酢酸17gとイソキノリン2gからなる転化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に厚さ700μmで流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30wt%であり、イミド化率は90%であった。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して厚さ25μmのポリイミドフィルム(p)を製造した。
また、上記で得た熱可塑性ポリイミド樹脂とノボラック型のエポキシ樹脂(エピコート1032H60:油化シェル社製)、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(以下、4,4’−DDSとする)を重量比が50/50/15になるように混合し、ジオキソランに固形分濃度が30重量%になるように溶解してポリイミド樹脂組成物溶液(a2)を得、支持体である125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、60℃で2分間、170℃で5分間乾燥した。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して、接着剤シート(x)を得た。
得られたポリイミド樹脂組成物溶液(a)を25μmのポリイミドフィルム(p)の片面に、乾燥後の厚みが4μmになるように塗布し、60℃で2分間、170℃で5分間乾燥して積層体を得た。接着剤シート(x)を、積層体のポリイミドフィルムの面と(x)とが対向するように重ね、2枚の銅箔粗化面(圧延銅箔;株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)で挟み、真空プレスにより温度200℃、熱板圧力1MPa、プレス時間1時間、真空条件1KPaの条件で硬化させた硬化後積層体を得た。積層体の(a)層上の圧延銅箔を塩化第二鉄エッチャントでエッチングした後の(a)層の粗化面に対する無電解めっき銅の接着強度は8N/cm、体積抵抗率は2.0×1016Ω・cm、比誘電率は3.0、誘電正接は0.011であった。尚、誘電特性評価は関東電子応用株式会社製の空洞共振器摂動法複素誘電率評価装置を用いて1〜10GHzの範囲で評価を行った。また、無電解めっき銅の接着強度は、以下のようにして測定した。まず、圧延銅箔エッチング後に無電解銅めっきを行った。無電解めっき層の形成方法は次の通りである。まずアルカリクリーナー液で積層体を洗浄し、次に酸での短時間プレディップを行った。さらに、アルカリ溶液中でパラジウム触媒付加とアルカリによる還元を行なった。次にアルカリ中での化学銅めっきを行なった。めっき温度は室温、めっき時間は10分間であり、この方法で300nmの厚さの無電解銅めっき層を形成した。続いて、硫酸銅めっき液によって無電解銅めっき層上に電解めっき銅層を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2であり、膜厚は20μmとした。この銅層にマスキングした後エッチングし、3mm幅の導体層を形成した。JIS C6481に従って、導体層と(a)層との接着強度(引き剥がし角度が180°)を測定した。
【0118】
(2)銅箔9μmのガラスエポキシ銅張積層板から内層回路板を作製し、回路面、(x)、(1)で得た(p)/(a)層からなる積層体、圧延銅箔(株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)の粗化面を対向させ、真空プレスにより温度200℃、熱板圧力1MPa、プレス時間1時間、真空条件1KPaの条件で内層回路板に積層、硬化した。尚、積層体の(a)層と圧延銅箔とが接するように積層した。
【0119】
(3)(2)で得られた積層体の全面の銅箔を塩化第二鉄エッチャントでエッチングした。
【0120】
(4)UV−YAGレーザーにより内層板の電極直上に該電極に至る内径30μmのビアホールを開けた。
【0121】
(5)続いて基板全面に無電解銅めっきを行った。無電解めっき層の形成方法は次の通りである。まずアルカリクリーナー液で積層体を洗浄し、次に酸での短時間プレディップを行った。さらに、アルカリ溶液中でパラジウム触媒付加とアルカリによる還元を行なった。次にアルカリ中での化学銅めっきを行なった。めっき温度は室温、めっき時間は10分間であり、この方法で300nmの厚さの無電解銅めっき層を形成した。
【0122】
(6)液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、110℃10分間乾燥して20μm厚みのレジスト層を形成した。レジスト層にライン/スペース=15/15μmのガラスマスクを密着して超高圧水銀灯の紫外線露光機で1分間露光した後、現像液(日本合成ゴム(株)社製、PD523AD)に3分間浸漬して感光した部分を除去し、ライン/スペース=15/15μmのめっきレジストパターンを形成した。
【0123】
(7)続いて、硫酸銅めっき液によって無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、厚み10μmの銅製パターンを形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で20分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2であり、膜厚は10μmとした。
【0124】
(8)アセトンを用いてめっきレジストを剥離した。
【0125】
(9)硫酸過酸化水素エッチャントに5分間浸漬し、回路以外の部分の無電解銅めっき層を除去してプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.0μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0126】
(実施例2)
実施例1(1)のBAPS−Mを1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下APB)とし、ポリイミド樹脂組成物溶液(b)を得た以外は実施例(1)と同様の操作を行い、硬化後積層体とプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は7N/cm、体積抵抗率は1.7×1016Ω・cm、比誘電率は3.0、誘電正接は0.010であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.1μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0127】
(実施例3)
実施例1(1)の1当量のBAPS−Mを0.95当量のAPBと0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’ジアミノビフェニルとし、ポリイミド樹脂組成物溶液(c)を得た以外は実施例(1)と同様の操作を行い、硬化後積層体とプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は8N/cm、体積抵抗率は1.9×1016Ω・cm、比誘電率は3.1、誘電正接は0.010であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.1μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0128】
(実施例4)
実施例1(1)で、ポリイミド樹脂組成物溶液(a)をポリイミドフィルムの両面に乾燥後の厚みがそれぞれ4μmになるように塗布した以外は実施例(1)と同様の操作を行い、硬化後積層体とプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は8N/cm、体積抵抗率は2.1×1016Ω・cm、比誘電率は3.0、誘電正接は0.011であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.0μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0129】
(実施例5)
実施例1(1)で得た、(p)/(a)層からなる積層体の(a)層と反対の面に、ポリイミド樹脂組成物溶液(a2)を乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、60℃で2分間、170℃で5分間乾燥して(s)層を形成し、(s)層/(p)/(a)層からなる積層体を得た。
該積層体を2枚の銅箔粗化面(圧延銅箔;株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)で挟み、積層した以外は実施例1(1)と同様の操作を行い、硬化後積層体を得た。また、内層回路板の回路面、(s)層/(p)/(a)層からなる積層体、圧延銅箔(株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)の粗化面を対向させて積層した以外は実施例1(2)と同様の操作を行い、プリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は8N/cm、体積抵抗率は2.0×1016Ω・cm、比誘電率は3.0、誘電正接は0.011であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.0μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0130】
(実施例6)
実施例1(1)で、ノボラック型のエポキシ樹脂(エピコート1032H60:油化シェル社製)、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(以下、4,4’−DDSとする)を重量比が90/10/3になるように混合したところを、シアン酸エステル PRIMASET BADCY(商品名、ロンザ社製)のオリゴマー BA200(商品名、ロンザ社製)、および亜鉛(II)アセチルアセトナートを重量比が90/10/0.004になるように混合し、ポリイミド樹脂組成物溶液(d)を得た以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化後積層体とプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は7N/cm、体積抵抗率は2.0×1016Ω・cm、比誘電率は2.9、誘電正接は0.009であった。また得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=0.9μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0131】
(実施例7)
実施例1(1)で、ポリイミド樹脂組成物溶液(a)を25μmのポリイミドフィルム(p)の片面に乾燥後の厚みが4μmになるように塗布したところを、ポリイミド樹脂組成物溶液(a)を12.5μmのポリイミドフィルム(p)の片面に乾燥後の厚みが1μmになるように塗布した以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化後積層体とプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は7N/cm、体積抵抗率は1.8×1016Ω・cm、比誘電率は3.0、誘電正接は0.011であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.0μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0132】
(実施例8)
25μmの接着剤シート(x)を、25μmのビルドアップ基板用エポキシ樹脂シート(y)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化後積層体とプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は8N/cm、体積抵抗率は1.5×1015Ω・cm、比誘電率は3.2、誘電正接は0.014であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.0μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【0133】
(比較例1)
銅箔9μmのガラスエポキシ銅張積層板から内層回路板を作製し、次に50μmのビルドアップ基板用エポキシ樹脂シート(y)をラミネートし、170℃で30分間硬化した。次いで、上記絶縁基板を、過マンガン酸カリウム溶液に10分浸漬して、樹脂層の表面を粗面化して、無電解めっきの密着性を向上させる処理を行った。次いで、実施例1(4)以降と同様の手順で、硬化後積層体及びプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は7N/cm、体積抵抗率は4.0×1013Ω・cm、比誘電率は3.5、誘電正接は0.040であった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=3.5μmであり、回路パターンは強固に接着していたが、得られた多層プリント配線板は樹脂表面の凹凸が大きい為に、回路幅が安定しなかった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったところ、銅の存在が認められた。
【0134】
(比較例2)
銅箔9μmのガラスエポキシ銅張積層板から内層回路板を作製し、次に45μmのビルドアップ基板用エポキシ樹脂シート(z)をラミネートし、160℃で60分間硬化した。次いで、上記絶縁基板を、過マンガン酸カリウム溶液に2分浸漬して、樹脂層の表面を粗面化して、無電解めっきの密着性を向上させる処理を行った。次いで、実施例1(4)以降と同様の手順で、硬化後積層体及びプリント配線板を得た。硬化後積層体の無電解めっき銅の接着強度は2N/cm、体積抵抗率は5.0×1013Ω・cm、比誘電率は3.7、誘電正接は0.042であった。また、得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であったが、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったところ、残存金属の存在は認められ無かったが、得られたプリント配線板の回路パターンは容易に剥がれた。表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.2μmであった。
【0135】
(比較例3)
ポリイミド樹脂組成物溶液(a)を、支持体である125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、80℃で2分間、120℃で2分間、170℃で2分間乾燥してポリイミド樹脂シートを得た。該シートから支持体を剥離した単層シートを、2枚の銅箔粗化面(圧延銅箔;株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)で挟み、真空プレスにより温度200℃、熱板圧力1MPa、プレス時間1時間、真空条件1KPaの条件で硬化させた硬化後積層体を得た。圧延銅箔エッチング後の(a)層の粗化面に対する無電解めっき銅の接着強度は3N/cm、体積抵抗率は1.7×1016Ω・cm、比誘電率は3.1、誘電正接は0.012であった。次いで、回路面、該単層シート、圧延銅箔(株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)の粗化面を対向させて積層した以外は実施例1(2)と同様の操作を行い、プリント配線板を得た。得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であり、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったところ、残存金属の存在は認められ無かったが、得られたプリント配線板の回路パターンは容易に剥がれた。表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=0.5μmであった。
【0136】
(参考例1)
ポリイミド樹脂組成物溶液(a)を、支持体である125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、80℃で2分間、120℃で2分間、170℃で2分間乾燥してポリイミド樹脂シートを得た。該シートから支持体を剥離した単層シートを、2枚の銅箔粗化面(圧延銅箔;株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)で挟み、真空プレスにより温度200℃、熱板圧力3MPa、プレス時間1時間、真空条件1KPaの条件で硬化させた硬化後積層体を得た。圧延銅箔エッチング後の(a)層の粗化面に対する無電解めっき銅の接着強度は8N/cm、体積抵抗率は1.7×1016Ω・cm、比誘電率は3.1、誘電正接は0.012であった。次いで、回路面、該単層シート、圧延銅箔(株式会社ジャパンエナジー製BHY−22B−T、Rz=1.97μm)の粗化面を対向させ、真空プレスにより温度200℃、熱板圧力3MPa、プレス時間1時間、真空条件1KPaの条件で内層配線板に積層、硬化した以外は実施例1(2)と同様の操作を行い、プリント配線板を得た。得られたプリント配線板はほぼ設計値通りのライン/スペースを有し、回路形状は良好であった。また、給電層剥離部分のEPMA分析による残留金属の有無の測定を行なったが残存金属の存在は認められ無かった。また、表面粗化後のポリイミド樹脂組成物層表面のRz値=1.0μmであり、回路パターンは強固に接着していた。
【表1】
【表2】
【0137】
【発明の効果】
本発明の積層体、プリント配線板、プリント配線板の製造方法においては、本発明に係るポリイミド樹脂組成物上の微細な表面凹凸に微細回路パターンを良好に形成でき、かつ高い接着強度を有している。また、微細な表面凹凸上の給電層をエッチング残り無く良好にエッチングできること、および本発明に係るポリイミド樹脂組成物は絶縁抵抗が大きいこと、以上2つの理由により今後益々狭ピッチ化する微細回路スペース部に求められる高い絶縁性を実現できるものである。また、本発明の積層体は、積層加工する際の加工条件の自由度を上げることが可能である。また、本発明の積層体は本発明のプリント配線板およびプリント配線板の製造方法に好ましく用いることできる。
Claims (12)
- 高分子フィルムとその片方の面に熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた積層体であって、該熱可塑性ポリイミド樹脂が下記一般式(1)であらわされる構造を有する熱可塑性ポリイミド樹脂であることを特徴とする積層体。
- 前記熱可塑性ポリイミド樹脂が、下記一般式(2)で表わされる酸二無水物成分を含む酸二無水物成分と、下記一般式(3)で表わされるジアミン成分を含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミド酸重合体を脱水閉環した熱可塑性ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 請求項1〜3いずれか一項に記載の積層体において、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた面と反対の面に、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層を設けてなることを特徴とする積層体。
- 請求1〜3いずれか一項に記載の積層体において、熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の設けられた面と反対の面に、接着剤層を設けてなることを特徴とする積層体。
- 請求項1〜5いずれか一項に記載の積層体を用いることを特徴とするプリント配線板。
- 請求項1〜3いずれか一項に記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含むプリント配線板の製造方法。
- 請求項4記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、一方の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含むプリント配線板の製造方法。
- 請求項5記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、接着剤層の面に内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程を含むプリント配線板の製造方法。
- 請求項1〜3いずれか一項に記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程と、露出したポリイミド樹脂組成物表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工工程と、化学めっきによるパネルめっき工程と、感光性めっきレジストによるレジストパターン形成工程と、電気めっきによる回路パターン形成工程と、レジストパターン剥離工程と、レジストパターン剥離により露出した化学めっき層を除去する工程、を含むプリント配線板の製造方法。
- 請求項4記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、一方の面に金属箔を、他方の面に接着剤を介して内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程と、露出したポリイミド樹脂組成物表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工工程と、化学めっきによるパネルめっき工程と、感光性めっきレジストによるレジストパターン形成工程と、電気めっきによる回路パターン形成工程と、レジストパターン剥離工程と、レジストパターン剥離により露出した化学めっき層を除去する工程、を含むプリント配線板の製造方法。
- 請求項5記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法において、該積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂及び熱硬化成分を含むポリイミド樹脂組成物からなる層の面に金属箔を、接着剤層の面に内層配線板の回路面を対向させ、加熱および/または加圧を伴った方法で積層する工程と、該積層体の表面の金属箔を除去する工程と、露出したポリイミド樹脂組成物表面から内層配線板の電極に至る穴あけ加工工程と、化学めっきによるパネルめっき工程と、感光性めっきレジストによるレジストパターン形成工程と、電気めっきによる回路パターン形成工程と、レジストパターン剥離工程と、レジストパターン剥離により露出した化学めっき層を除去する工程、を含むプリント配線板の製造方法。
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- 2003-03-14 JP JP2003071058A patent/JP2004276411A/ja active Pending
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