YOUR ROMANCE、Yogee New Waves、OBKRに訊く、2015年東京インディーの現在地
またロックが求心力を取り戻しつつあるんだろうか。なんとなくそんなことが気になりはじめたのは、ここ1年くらいのことだ。というのも、ここ最近のインディー界隈を賑わしている20代前半のバンドーーもちろんそれは本稿に登場する3組であり、その同世代にあたるSuchmosやLucky Tapesといった面々だーーに取材するたび、彼らが積極的に自分たちを「ロック・バンド」と自称していたのが、とても印象深かったのだ。これは彼らよりもひとつ上の世代にはなかった傾向だし、むしろ2010年代の東京インディーには、旧態然としたロック音楽への斜に構えた姿勢が通底していたような気もする。そこにきて、20代前半の彼らが率先して「ロック・バンド」を名乗りはじめたことには、やはり時代の流れを感じずにはいられなかったのだ。しかも、その若手インディー・バンドが大文字のロックを鳴らしているのかというと、実際はまったくそうじゃないわけで…。
ということで、今回はその世代観を紐解くべく、3名のキーマンをお招きしてみた。ひとりは、今年9月にファースト・ミニ・アルバム『BUSINESS』をリリースしたYOUR ROMANCEのShinji。そして、新作『SUNSET TOWN e.p.』のリリースを控え、今まさに同世代の先頭を走っているYogee New Wavesの角館健悟。そしてもうひとりが、つい先日解散を発表したN.O.R.K.のヴォーカリストで、現在はレーベル〈Tokyo Recordings〉の主宰者としても奮闘中のOBKRこと小袋成彬。彼らとの会話から、東京インディーの現在地を探ってみたい。
インタヴュー&文 : 渡辺裕也
YOUR ROMANCE
<<<1stミニ・アルバム『BUSINESS』
※歌詞ブックレット、セルフ・ライナーノーツ付き!!
Yogee New Waves
<<<7インチ&配信限定リリース 『Fantastic Show』
2015年12月2日 New E.P.『SUNSET TOWN e.p.』リリース予定!!
OBKR
2013年、大学在学時にトラックメイカーの國本怜とともにN.O.R.K.を結成。2014年5月、ミックスにキエるマキュウのIllicit Tsuboiを迎えて1stミニ・アルバム『ADSR』をリリースし、翌年9月に活動を休止。現在は2014年7月に設立した、平成生まれのクリエイターのみで構成した音楽レーベル〈TOKYO RECORDINGS〉の主催者として活動中。
<<<1stミニ・アルバム『ADSR』
>>TOKYO RECORDINGS Official HP
YOUR ROMANCE × Yogee New Waves × OBKR
かっこいい先輩たちがいたってことはすごく大きかった
――今日はまず、みなさんが「インディー」という言葉をどう捉えているのかを、ぜひ教えてほしいと思ってて。というのも、この言葉ってポジティヴな意味合いで使っている人もいれば、徐々に形骸化しつつある価値観として受け止めている人もいると思うんですよね。そこで、今まさに「インディー・バンド」と呼ばれているみなさんの場合はどうなのかなと。
小袋成彬(以下、小袋) : (角舘にむかって)ここはリーダーからいこうぜ! いま俺らの先頭を走っているのはあんたなんだからさ。
角舘健悟(以下、角舘) : なに言ってんだよ(笑)。でも、そうだなぁ。たしかに僕らは「インディー」の一言にまとめられがちなんですけど、僕自身はメジャーもインディーもそんなに関係ないと思っていて。というのも、いまやメジャー所属のアーティストより売れてるインディーの人たちがいるっていう現状も、ちらほらあったりするじゃないですか。
――単純にセールスを見ると、いまやメジャーもインディーも大差ないだろうと。
角舘 : うん。ただ、逆に「じつはけっこう違うのかも」と思うこともあって。それはなにかっていうと、僕らは今、フィジカルを買う人たちと一緒に戦ってるんですよね。つまり、フィジカルに対してものすごくラヴな人たちと音楽を共有できている。でも、メジャーの人たちは案外そうでもなさそうというか。あまりフィジカルを買わないような層に向かってるようにも見えるから。
――じゃあ、訊き方を変えてみますね。みなさんが音楽活動を始めた頃、当時のインディー・シーンはどんなふうに見えていましたか。というのも、昔はバンドのステップアップにもちょっとした紋切り型があったと思うんです。平たくいうと、インディーで人気が出たらメジャーに移って、徐々に会場の規模が大きくなって、「次はいよいよ武道館だ!」みたいなやつ。で、それとはまた違ったやり方を模索していたのが、たとえばシャムキャッツやceroみたいな、皆さんよりもひとつ上の世代にあたるインディー・バンドだったと思うんですが。
角舘 : うん。僕はその人たちのおかげで、今こうしてやれてるんだと思ってます。それこそ僕は高校時代の頃からバンドをやっていて、当時はドラムだったんですけど、その頃によく思ってたのが、「こんだけみんな頑張ってるのに、なんで見向きもされないんだろう?」ってことで。それで、俺もいちどは音楽活動をやめようと思ってたんですけど、そんなときにミツメやシャムキャッツみたいなバンドが、ある一定の層から熱狂的に受け入れられているところを見て、僕は希望をもらったんですよね。それで始めたバンドが、ヨギーなんです。だから、そういう先輩たちがあっての僕らだと思ってる。
Shinji : そこは俺も同じで、かっこいい先輩たちがいたってことはすごく大きかったですね。高校の頃は、それこそQUATTROとか、Lillies and Remainsとか、Psysalia Psysalis Psycheとか、そういう人たちに憧れてるキッズだったんで、自分がそこでバンドを始めたのはものすごく自然なことだったと思う
――いまふたりがしてくれた話に共通しているのは、憧れたバンドがひとつだけでなく、複数あったってことですよね。つまり、そこでは横につながるシーンが存在していたと。みんなの中にも、これからそういう土壌を築いていかなきゃっていう意識はあるのかな?
角舘 : もちろん。絶対にそこは自分たちも続かなきゃいけないところだと思う。そういえば、じつはつい最近、初めてストーン・ローゼズを聴いたんですけど、それがもう、めっちゃかっこよくて。で、あの頃のハシエンダの空気感とかって、それこそ当時のティーンにしかつくれなかったものじゃないですか。ああいうことを俺たちが今やれたら、ホント最高だなって。まあ、最近はよくシティ・ポップって言葉が使われてるけど…。
――アハハハ(笑)。
角舘 : そこはもっといい言葉が他にもあると思うんですよね。
Shinji : もっと新しい言葉を誰かが考えてくれたらいいんだけどね。
小袋 : 「91's(ナインティー・ワンズ)」でいいじゃん。僕らはみんな、91年生まれなんですよ。この世代のバンド、他にもけっこう多いし。
時間をかけることって、けっこう大きな挑戦でもあるよね。でも、その挑戦している感じが楽しい
――今は同世代のバンドが続々と出てきている状況だと。ただ、その一方でポップ・カルチャーにとっては縦軸の関係性もすごく重要じゃないですか。つまり、過去と今をどうつなげるかってこと。そのあたりはどう意識されていますか。
小袋 : 音楽の文脈を整理するっていう作業は、絶対にやらなきゃいけないことだと思ってます。特に僕はレーベルの代表としてアーティストを売る立場にもいるから、それこそ自分たちが納得できないような括られ方をしないためにも、そこはちゃんと意識しなきゃなって。
――歴史的な位置づけや文脈を伝える作業は、僕もすごく重要だと思います。というか、その文脈をただしく伝えるのが俺みたいな人間の仕事なんだけど。
小袋 : でも、そこは俺らみたいな立場からもしっかりと発信するべきだと思いますよ。たとえば、Suchmosが「和製ジャミロクワイ」と謳われてたのって、それこそバンドの文脈も伝えられるし、戦略的にも勝ちだと思うんですよね。ヨギーにもそういう売り出し文句みたいなものってあるの?
角舘 : 特にそういうのはないかな。ただ、俺らは過去から伝わってきた音楽の恩恵を授かりながら、この世代にしかできないポップ・ミュージックを作っているんだってことは、常に伝えてきたつもりだよ。
――バンドのバックグラウンドをリスナーにどう伝えるかによって、バンドの歩み方もけっこう変わってきますよね。そのへんも踏まえつつ、みなさんはここから3年後、あるいは5年後、どんなカタチで活動できたら理想的だと考えていますか。
角舘 : とりあえず、いま俺らはすごく真摯に音楽をやっているつもりだし、現状としてはそれが受け入れてもらっていると感じていて。だから、こういう活動を続けていく流れでお客さんが増えていったら、10年かかろうが、20年かかろうが、それがベストだと思う。というか、その過程そのものが大事なんじゃないかな。逆にそういう過程をまったく踏まずに、レーベルから出してもらったお金でお立ち台に登っているようなアーティストの音楽には、僕はあんまり興味がないから。そういうのってファスト・ファッションみたいなものですよね。ジャンク・フードにも程があるっていうか。とにかく、そういう売れ方は絶対にしたくない。
Shinji : そうやって時間をかけることって、けっこう大きな挑戦でもあるよね。でも、その挑戦している感じが楽しいっていうか。
角舘 : そうだね。それに、僕はこうやって真摯に音楽と向き合ってる人たちがいるってことを、お金を持っている人たちにもちゃんと認識してほしいんです。無理矢理つくりあげたアイドルにお金をかけるよりも、俺らに賭けた方が、絶対に時代はよくなると思う。
Shinji : そういう人たちが気づけるくらいに今のシーンが大きくなれば、そのときが俺たちの勝ちだね(笑)。
――たしかに。でも、とりあえず現状はまだそうなってないよね。それはなぜだと思ってる?
角舘 : そこはシンプルな話で。俺らは自分たちの音楽を「間違いない」と思ってるけど、現実はそう思ってない人がまだまだ多いってことですよね。それは僕らもわかってるんです。あと、僕が思うのは、俺らみたいなバンドはもっと社交性を持つべきだよなってことで。
――(笑)。どういうこと?
角舘 : たとえば、水戸なつめがMCの番組とかを観ていると、しゃべりがすごく上手いじゃないですか。それに比べて、俺らの頼りなさといったら(笑)。MCなんて、とても任せられたもんじゃない。そうなると、健全で危険印の付いていない女の子の方がいいってことになっちゃうんだろうなと。
――なるほど(笑)。でも、今のインディー・バンドの活路って、必ずしもそういう路線ばかりじゃないと思うんですよね。というのは、それこそヨギーの台湾ツアーが象徴的なように、今は海外、特にアジアに日本のインディー音楽の熱狂的なリスナーがたくさんいるじゃないですか。可能性はそういうところにもあると思うんだけど、どうかな。
小袋 : それはめちゃくちゃありますよ。むしろ今はそこにしかないと思ってるくらい(笑)。実際に僕は海外のことをずっと意識してきたっていうのもあるし。
この世代の人たちがみんな大好きなんです。嫌いな人がひとりもいないからさ(笑)
――そういえば、N.O.R.K.とYOUR ROMANCEは英語詞ですよね。基本的なことを訊くようだけど、そもそもなぜ英語詞を選んでいるんでしょう。きっとそこにもバンドのスタンスが表れていると思うんだけど。
小袋 : それは、たとえばオアシスのライヴで7万人くらいのお客さんがひとつの曲を歌ってユナイトしている光景なんかを見ちゃうと、やっぱり憧れるじゃないですか。あれは日本語の音楽じゃ絶対に無理だし、どう考えても英語で歌ったほうがいいなって。
Shinji : うん。僕らが英語詞でやってることに大したこだわりはないんですけど、あえてその意味を挙げるとするなら、やっぱりそれはいま小袋が言ったことに近いかな。英語詞の方が、聴いている人たちの絶対数は多いってこと。それってとんでもなく先のことを見据えた話なのかもしれないし、今はそんなに大きなことを言える立場でもないんですけど。
――英語詞で歌うことは、自分が想定しているリスナーのスケールを示すことにもなってるわけだ。
Shinji : うん。それはあると思う。
角舘 : なるほどね。僕は… とりあえず現状としては、日本でやりたいっていう気持ちがすごく強いですね。日本を拠点としていくなかで、もし海外でも自分たちの音楽を受け入れてもらえるのであれば、絶対そこに行きたいっていうか。それこそ台湾ツアーに行くのもそうだし。
小袋 : そうだね。そのうえで話が戻っちゃうんですけど、俺はやっぱりメジャーになりたいんですよ。というか、俺が今やってるレーベルがメジャー傘下に入ったら、みんなにもちゃんとお金がまわるじゃん? そのためのしたたかさは絶対に必要だと俺は思うし、俺はみんなと一緒に成り上がりたいんですよ(笑)。というか俺、この世代の人たちがみんな大好きなんです。嫌いな人がひとりもいないからさ(笑)。
Shinji : 小袋はそのへん、すごく考えてるよね。
角舘 : うん。俺もそこは小袋くんに任せたい。むしろ自分はそういうことを気にする必要はあまりないとも思ってて。
小袋 : そうだね。逆に俺は、ひたすら音楽をつくって「これでいくぜ!」みたいなやり方が出来ないんですよ。ついこういうことを考えちゃう。だから、みんなみたいに音楽をやることだけに集中できるやつらがすごく羨ましいし、同時に今は「これが自分の役割なんだ!」とも思ってる。なぜなら、俺はこの世代をマジで愛してるから(笑)。だから、俺はまずメジャーでやれるレーベルをつくって、いろんな戦略を練っていきたいんです。
角舘 : 小袋くんとは1年くらい前からの友達なんですけど、その頃からずっとこういう話をしてるよね。それで俺とぶつかることもあったし。
小袋 : あったねぇ(笑)。
角舘 : 俺、彼にむかって「まずはお前もアーティストとしてやれよ。じゃないと、誰もついてこないぞ」と言ったんですよね。それで彼も納得してくれたから、こうしてさらに仲良くなれたというか。
小袋 : でも、結局俺はあれから1曲もリリースできてないからね(笑)。そこについては今でも悩んでいるし、ぶっちゃけ他のバンドを見ながら「本当は俺だって歌えるのに」と思ってる。だから、何が正解なのかはまだわからないけど、少なくとも今は自分がやってることに対して「俺が力を発揮できるのはこれだ!」って気持ちはあるんです。だから、とりあえず今はやれることをぜんぶやろうと思ってる。もちろん曲もどんどんつくるし、とにかく寝ないで頑張ろうと。
角舘 : うん。俺、彼のつくる音楽はしっかり時間をかければちゃんと世の中に受け入れられるものだと思ってるからさ。
――でも、小袋くんにはそれだけで満足できないところもあるんでしょ?
小袋 : そう。僕はいま、メジャー・アーティストのグッズをつくったりとか、そういう仕事もしていて。だから、彼らが小さなライヴハウスからじっくりと積み上げてきているように、俺も下っ端のアシスタントをやりながら、いまはぐっと機会を狙ってるんです。そういう意味では、自分もこのふたりと同じようなエネルギーでやれてると思う。
――でも、同い年でここまで連帯感が強いのはすごいね。
Shinji : でも、別に年齢で区切ってるつもりはぜんぜんないよね?
角舘 : うん。自分たちより年下だと、たとえば俺はラッキーオールドサンがポップで良いメロディを紡いでると思ってるし、それこそYOUR ROMANCEとかと同じように、彼らとはなにかしら共有できる感覚があるような気もする。それに、あと3年後くらい経てば、多分クソ生意気なやつらが出てくると思うんですよ。
小袋 : というか、俺はロック・ミュージシャンにもっとワルいやつが出てきてほしいわ。今ロックやってるやつって、みんないい人ばっかりなんだもん。
Shinji : たしかに、不良はみんなヒップホップなんだよね。
小袋 : 今は最初に買うものがギターじゃなくてパソコンだから、おのずとビート・ミュージックに向かっちゃうんだよね。
やっぱりロック・バンドが1番かっこいいよ
――じゃあ、なんでみんなはロック・バンドみたいなやり方を選んだの?
小袋 : おお! それはおもしろい質問。
角舘 : それはちょっと聞かれると思ってなかったな。
Shinji : そうだなぁ。でも、バンドをやっている人のなかには、バンドじゃなきゃ音楽やれないって人もいれば、そうじゃない人もいるよね?
角舘 : たしかに。俺、じつはバンドじゃなくていいとも思ってるんだよね。
Shinji : うん。俺もそう。
角舘 : それこそパソコンをゲットした頃は、俺も打ち込みで音楽をつくってたし。当時はギターやベースも今よりずっと下手くそだったからさ。ただ、ひとつわかってるのは、自分には音楽活動という行為そのものが合ってたってこと。だから、俺はバンドマンというより、音楽家として人生を終われたらいいな、とは思ってるのかもしれない。それははっぴいえんどの記事とかを読んだりしながら思ったことなんです。それこそ細野さんのさまざまな音楽をどんどん横断していくような活動って、ホントに素晴らしいじゃないですか。そういう一個人が放つエネルギーに、俺はものすごく憧れてるから。
Shinji : だったら、俺はロック・バンドの人間としてそのまま死にたいな(笑)。別に音楽は自分ひとりでもやれるんですけど、俺はバンドで音楽をつくるのが、いちばんかっこいいやり方だと思うから。ブラック・ミュージックとかもめちゃくちゃ聴くんだけど、それとロック・バンドへの憧れは、ベクトルがまた違うっていうか。とにかく俺はロック・バンドにずっと憧れてるんですよ(笑)。
小袋 : ホントそうだよな。やっぱりロック・バンドが1番かっこいいよ。
――なんでそう思うの?
小袋 : 俺、ロック・バンドっていわば反知性主義の権化みたいなものだと思ってるんですよ。たとえばジャズとかファンクには、その音楽特有のルールみたいなものがあって、そこで被らないようにいろいろ考えるじゃないですか。つまり、それってすごく知性主義的な音楽だと思うんです。でも、ロック・バンドはただがむしゃらにやってるのが、めちゃくちゃかっこよかったりするでしょ? それって俺には絶対にできないことなんですよ。
角舘 : あぁ、だったら俺も小袋と同じだわ。俺も、アカデミックな精神を持ちながら音楽をやりたいと思ってるから。
小袋 : そこがまたおもしろいよね。それこそオアシスが反知性だとしたら、ブラーは知性だったわけでさ。ここは誤解しないでほしいんだけど、反知性主義っていうのは、アホとかそういうことじゃないですからね。俺はアカデミズムが大事だと思う一方で、「そんなの関係ねえよ!」みたいにやれちゃう人たちがいる。そういうロック・バンドに、俺はめちゃくちゃ憧れるんです。民衆と世論を動かすのはいつも、反知性主義の人たちだから。
角舘 : たぶん今って、好きな音楽を好きなようにやるスタイルが、そのまま「ロック」っていう言葉に置き換わってるのかもしれないですね。実際、俺らにもそういう精神があると思う。だから、ライヴではやっぱりロック・バンドになっちゃうんですよ。でも、それが音源で聴くと、いわゆるロックとはちょっと違う感じになるというか。
――そういえば、Suchmosも同じようなことを言ってましたね。「アーバンなんたらじゃなくて、ふつうに最強のロック・バンドと言われたい」って。
角舘 : うん。やっぱロック・バンドだね。
Shinji : だね。野郎が徒党を組んで、勝手に楽しくやってるっていう(笑)。
角舘 : 俺がおもしろいと思ってるのは、たとえばボアダムスみたいな、それこそなんでもやっちゃうような混沌とした音楽をやっていた人たちは、「インディー」ではなくて「アンダーグラウンド」と呼ばれてきたじゃないですか。俺、そういう人たちをものすごくリスペクトしているんですけど、一方でうちらみたいなバンドは今「インディー」と呼ばれていて。でも、たしかにそこには違いがあるとも思うんです。
――自分たちはアングラじゃないと。
角舘 : そう。俺たちはアングラじゃない。
Shinji : そうだね。
――おもしろいなぁ。じつはついこの前、いま20歳くらいのバンドに話を訊いたら、それと正反対のことを言ってたんだよね。「自分たちはインディーじゃないです。どちらかというとアングラです」って。
Shinji : へえ! それはおもしろいな。
――つまり、わずか4、5歳の年齢差で、まったく異なる価値観をもつバンドがすでに出てきているわけで。そのへんがみんなに噛み付いてきたら、おもしろいことになりそう。
角舘 : いいっすね! そしたら俺はそいつらを対バンでぶっ飛ばしたいですね。実際、アングラ界隈で俺らみたいな東京インディーに反感をもつ人もけっこういると思います。でも、俺はそういうやつらに対して「対バンしようぜ! なめんな!」と言いたい。
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