地方債とは、地方政府の発行する債券のことである。当記事においては主に日本国の地方公共団体の発行する地方債について説明する。関連する地方公共団体金融機構については該当記事を参照。
概要
都、道、府、県や市町村などの債権で公債の一種である。総務省の定義においては「地方公共団体が1会計年度を超えて行う借入れ」となっている。
地方債は、原則、投資的経費(建設事業関係の経費)に使うとなっており、返済については歳出の公債費に計上される。
種類
国債と同様に金融商品のひとつという側面を持ち、購入する側から見た場合には資産に該当する。
財政投融資の改革により民間からの借り入れが中心となった他、2007年以降は繰上げ償還が認められるようになったことから金利の高い日本国政府からの借り入れを繰上げ償還し民間からの借り入れに切り替えるようにもなっている。
特別な地方債
特例規定にて定義されている特別な目的を持つ地方債がいくつかある。
- 第三セクター等改革推進債
- 第三セクターなどを抜本的な改革する地方債
- 臨時財政対策債
- (所得税や酒税などの)原資不足により地方交付税が減少した場合に発行できる地方債。
- 過疎対策事業債
- 通称、辺地債。過疎の対策として発行できる地方債。公共施設や情報通信基盤等整備、自然エネルギーを利用する設備やソフトにも使用できる。なお、償還期間は10年以下の制限がある。
- 退職手当債
- 職員の退職金の為に発行する地方債。発行時には将来の見通し計画を立ててた上で総務省の許可が必要。
- 補助災害復旧事業債
- 災害時の復旧のために発行する地方債。元利償還金の95.0%が国の負担になるように返済時の元利償還金に補助が付く。なお一時的には地方債として自力で発行する必要があり、その際に国家補償はつかない。
- 単独災害復旧事業債
- 災害時の復旧のために発行する地方債。元利償還金の47.5〜85.5%が国の負担になるように返済時の元利償還金に補助が付く。なおこちらも一時的には地方債として自力で発行する必要があり、その際に国家補償はつかない。
残高推移
年度 | 残高 | 対GDP比 |
---|---|---|
1998年 | 163兆円 | 32% |
2003年 | 198兆円 | 40% |
2008年 | 197兆円 | 40% |
2009年 | 199兆円 | 42% |
2010年 | 200兆円 | 42% |
2011年 | 200兆円 | 42% |
2012年 | 201兆円 | 42% |
2013年 | 201兆円 | 42% |
2014年 | 201兆円 | 41% |
2015年 | 199兆円 | 40% |
2016年 | 198兆円 | 37% |
2017年 | 195兆円 | 35% |
財務省資料<国及び地方の長期債務残高>より抜粋。
2016年名目GDPが537兆円にて確定の為、対GDP比をデータ補正。2017年データは年度末見込み。
傾向として2015年以降は残高は減少傾向にある。
地方債協会
全国知事会・全国市長会・全国町村会の地方公共団体代表三団体が協同して設立した一般財団法人である。
地方債に関する情報収集や地方債関連の調査研究、講演会等の開催、地方債のIR補助、その他「地方債」「市町村への地方債情報」「地方債速報」「地方債統計年報」等の情報誌の作成を行っている。
地方公共団体金融機構
詳細は地方公共団体金融機構を参照
関連動画
関連リンク
関連項目
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