不老不死とは、老いることも死ぬこともない状態である。古代の中国で生まれた物の考え方の一つ。
概要
古代より語られ続けてきた人類の夢。老衰することもなければ寿命や病気などといった要因で死ぬこともなく、若々しさを保ったまま永遠の時を生きる存在。
「老化」と「死」は人間を始めとする全ての生物が生まれながらにして背負っている宿命であり、それ故に避けられることなく付き纏う絶対的な恐怖である。いずれも手段を尽くし遅らせることはできても、完全に止めることは不可能とされている。
昔から多くの者が研究し、追い求め続けたテーマであり、歴史上で不老不死を求めた人物では秦の始皇帝などが有名だろう。錬金術や薬、あらゆる分野から不老不死への可能性が模索されてきたが、現在もそれが見つかっていないのはご存知の通りである。しかし一方、不老不死に近いと思われる生態を持つ生物は、自然界にいくつか存在する。
ちなみにある研究では、「人間の脳が記憶できる限界容量はおよそ180年分」という研究結果もあるとか。不老不死が実現しても、この研究結果が本当ならば180年以上先は脳が記憶できない……?
比喩としての不老不死
近年では、「日本人の平均寿命は世界各国と比較しても、トップクラスの長寿命である」と言われるようになって久しい。
医療技術の発達が海外と見比べて顕著であるため、それと衛生面で整った生活環境が大きな要因と言われる。
これについて、人体がなぜ老化するのか?という、不老不死を実現する上で避けて通れないテーマを扱った研究が現在も同じく進められており、様々な仮説などがある。詳細はここでは割愛。
ちなみに医療や環境がいくら発達・向上しても、人間の寿命は120歳前後が限度と言われているらしい。
フィクション作品における不老不死
不老不死を扱った作品や不老不死のキャラクターが登場する作品は現在では数え切れないほど存在するので、誰でも一度は見たことがあると思われる。いずれも神や悪魔(及びそれらの化身)、宇宙人や魔法使いなど普通の人間ではない場合が多いものの、普通の人間が呪いなどで不老不死となった場合も少なくない。
「人魚の肉や肝を食べると不老不死になる」という設定がメジャーなためか、人魚が出てくる作品では人魚達は総じて不老不死である場合も。
もっともケガや病気でも死ぬことのない、永劫不変の肉体が幸せであるかというとそうでもなく、寧ろそのような内容を描いた作品の方が少数派と思われ、不老不死を扱った作品の大半は、「不老不死を得たことの悲しみ」について扱われているためだ。詳しくは後述。
また、最初から不老不死じゃない場合は悪魔や魔神と契約して(願い事を叶えてもらう、とも言う)不老不死を手に入れたり、またはその企てを阻止するべく主人公達が奮闘したり、というものが多いか。
フィクション作品における主な不老不死の特徴
- 主に10代~20代を思わせる容姿(多くは美男美女のそれ)を持つが、年齢は数百歳~数千歳という超高齢。数万歳を超える人もいる。
- 永遠の時を生きる肉体を持っていても、何らかの原因やアイテムなどで死ぬ場合もある。生命維持に必要な道具(アイテム)を破壊されると死ぬ、吸血鬼の場合は日光や日光と同じ波紋を浴びて消滅する、など。
- 不老不死と称される中には、長い時を封印されていたり眠りについていた者が何かのきっかけで現代に目覚めたなどのケースもある。
- 人間と変わらぬ生活を長きに渡って過ごしてきた場合は大抵、普通の人間と関わりを持ちたがらないが、それは自分が人間よりも遥かに長く生きるから。即ち、思い入れの強い相手を見つけても必ず先立たれてしまう運命から逃れられないためである。結婚して子供や孫を儲けても、夫(妻)や子供・孫の方が自分より先に老いていき、やがて死んでいく……。
- 上記の理由から、世俗を捨てて人里離れた場所で仙人のように暮らしているか、同じ場所に留まらない放浪生活を送っている。前者の場合、付近の村や集落にて伝説の存在として語り継がれていることもある。
- あらゆるケガやダメージが瞬時に回復する、本当の意味での「不死身」の肉体を持っているので(全身をバラバラに粉砕されても髪の毛1本から再生できる、という事例も多い)、上記のケースと合わせて人類が滅んだ後も誰もいない世界(地上)で永遠の孤独に陥るという耐え難いような地獄の苦痛を味わう事例もある。そのため不老不死という存在を羨んでいるような「普通の人間」に羨望を抱き、「死ぬこと」を強く渇望している。
- 上記を統合して、「自分の死に場所」「自分を葬ってくれる強者」を求めてさすらっていることも多い。
「お前は……俺を殺してくれるのか?」 - 不死身とはいえ痛みを感じないわけではないことも多いので、普通の人間なら確実に絶命するようなダメージを負っても死ぬことができないのは、まさに死よりも恐ろしいというべきか。
- 不老不死の人物が「死」を迎え、物語が終幕となる場合もある。その場合は死に際に「あなたはこんな顔で死ねますか?」的な満足しきった表情を浮かべていたりすることも。
不老不死は作れるか?
地球で生まれた生命はその多くが、数年~数十年程度の期間で老いてしまう。長くても100年程度でほとんどの生命は死んでいることの方が多い。(主に動物の寿命が短い)
しかし、何事にも例外が存在するように、死なない生命体というものも存在する。
サンゴイソギンなどは細胞の分裂限界が存在しないため、いくらでも分裂を行うことができる。
つまり、外的要因がない限り老いも死もないのだ。
また、ベニクラゲも老いても再びポリプに新生することでやはり外的要因以外で死ぬことがない。
無論、これらは極めて珍しい例であり、我々人間にとって死は免れない事象である。しかし、それに対する挑戦は常に続けられてきた。
現にサイボーグや人工細胞などの技術により、世界中で不老不死の研究が進められている。
体の細胞・臓器などが機能しなくなれば、新しいものと交換するように人工臓器と交換したり、また体を機械で補うなどその方法は様々である。
現在の科学では、脳までも古くなれば交換し生命を長らえる方法が研究されている。それの研究が進めば理論上は500年以上生きることも可能と主張する学者も存在する。
また、ロボットのように初めから強固な素材で生命を作る方法も研究されている。(ただし生命の定義と少しズレる可能性もある)
不老不死で知られる人物一覧
キャラ名 | 作品名 | 解説 |
---|---|---|
ティトォ | マテリアル・パズル | 元人間。呪いによる不老不死。 3人で一つの肉体を共有している。 死にはするが死んでも即座に別の魂に置き換わって再生する。 他の人物に入れ替わるためにわざと死ぬことも。 |
アクア | ||
プリセラ | ||
アーカード | HELLSING | 吸血鬼。元人間。命のストック。 体内に数百万に及ぶ吸血した人間の命をストックしており、それを全て殺しきらないと倒せない |
間抜作 | ついでにとんちんかん ミラクルとんちんかん |
|
荒木飛呂彦 | 現実 | 元人間。ただし元から人間によく似た別の生物であった可能性もある。 謎が多く外傷で死ぬのか等は確認されていないが、不老であることは数百年前から全く外見が変わっていないため確実視されている。 漫画を手がけており、DIOやカーズなどの登場人物は自身をモデルにしたのではないかとも言われている。 |
アルクェイド・ブリュンスタッド | 月姫 | 真祖と呼ばれる吸血鬼。 吸血鬼とは言うものの「人間の血を吸う」などのいくつかの特徴が合致するだけであり、母なる星に生み出された精霊のようなものと言った方が近い。 作中では本来あり得ないはずの「死」を一度主人公によって与えられているが、すぐに復活している。 |
ヴァンプ | メタルギアソリッドシリーズ | 名前や出身地、嗜好などがバンパイアを連想させるが、れっきとした人間。体内に宿したナノマシンによってどんな傷もすぐに修復されるため、銃で撃たれても剣で突かれても死なない。 |
ヴァン・ホーエンハイム | 鋼の錬金術師 | 元人間。命のストック。 厳密には完全な不老不死ではない。 「賢者の石」と呼ばれる凄まじい高エネルギー体を体に宿しているため、それが尽きない限りは再生し続ける。 |
エシディシ | ジョジョの奇妙な冒険 | 「柱の男」と呼ばれる、人間とは別の生物の一族。 数万年単位で生き(寿命があるか不明)、通常のダメージは受けてもまず死なないが、太陽の光に弱い体質で、強力な波紋の力を受ければ死ぬこともある。ただし究極生命体となった後のカーズは別で、何があっても死なない。死ぬことができない。 |
サンタナ | ||
ワムウ | ||
カーズ(ジョジョ) | ||
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル | 魔法先生ネギま! | 吸血鬼の真祖(ハイ・デライトウォーカー)であり、幼少期になってしまったがために幼女体系のまま。 ロリババア。 |
ネギ・スプリングフィールド | 師匠(↑)が昔会得しようとした闇の魔術を取り入れたことにより不老不死となった。 なおある世界線では死んでしまっている。 |
|
ガーリックJr. | ドラゴンボールZ | ドラゴンボールで不老不死の命を得ようとした悪役は多数いたものの、実現させたのは現状彼ただ一人。 |
ザマス | ドラゴンボール超 | 第10宇宙の次期界王神である界王。人間嫌いな性格から別次元の自分であるゴクウブラックと手を組み、「人間ゼロ計画」を実現すべく超ドラゴンボールによって不死身の肉体を得た。いかなる攻撃を受けても即座に肉体の欠損した部位を再生させることができる。 |
陽炎 | 烈火の炎 | 元人間。呪いによる不老不死。 作中終盤で呪いの解除に成功した描写があり、「死にたい・老いたいと願った不老不死」の人物の中では珍しくハッピーエンドを迎えている。 |
狩谷神 | BREACH(アニメ) | 狩谷神自身を含めたバウントと呼ばれる種族全て。 人間の突然変異とされている。吸血鬼ならぬ吸霊鬼のようなもので、霊魂を喰らい続ければ不老不死。ただし食べすぎで逆に老化するなど弱点も。 また外的要因では普通に死ぬ。 |
倉橋時深 | 永遠のアセリア | 倉橋時深を含めたエターナルと呼ばれる人物全て。 「永遠神剣」と呼ばれる武器のうち高位の物の所有者になった者。 武器本体を手に持っていない状態で外的要因によって殺された時のみ死ぬ。 |
シエル(月姫) | 月姫 | 元人間。呪いによる不老不死に近いか。 転生者の肉体にされ、それが滅ぼされたにも関わらず魂が残ってしまい、世界からは「元凶となった転生者の魂と同一のもの」と認識されているがために、元凶が存在している限りは何があっても「死んでいないこと」にされてしまう。 |
C.C. | コードギアス | 元人間。呪いによる不老不死に近い。 本人の回想によるとギロチンにかけられた経験さえあるようなので、 何をしても死なない本物の不死。限られた条件でこの不死を他人に引き継がせ、 人間に戻ることが可能。C.C.自身も押し付けられて不死になった。 |
須田恭也(SDK) | SIREN | 元人間。呪いによる不老不死。 異界の生物に纏わる儀式を行う巫女と交わった(血液的に)ために呪いを受ける。 さらに他人に呪いを引き受けさせる方法があるのかは不明。 |
ダーク・シュナイダー(D.S) | BASTARD!! | 肉体は人間だが人間ではない存在と共有しているための不老不死。 |
DIO | ジョジョの奇妙な冒険 | 元人間。石仮面の力により吸血鬼となる。 不老で、血液さえ摂取できれば大ダメージも瞬時に回復可能で実質不死。 ただし太陽の光や波紋の力を受けると致命傷になる(柱の男と違い、ただの太陽光でも致命的)他、血液を摂取できなければダメージで死ぬこともある。 |
デーモン小暮閣下 | 魔界 | 齢10万と少し。 |
戸愚呂兄 | 幽☆遊☆白書 | 元人間。人為的な手段で妖怪に転生。 人間としての寿命を克服して不老であることに加え、能力で限りない再生能力を持つため実質的な不死。不老だけなら弟も該当。 |
ハワード・ライト(USDK) | SIREN:NT | 元人間。 SIREN:NTがSIRENのパラレルワールド的な作品であるためか、経緯からして須田恭也とだいたい同じ。 |
橋沢育郎 | バオー来訪者 | 人間。「バオー」と言う寄生生物による不老不死化。 育郎以外にもバオーに寄生された者(作中ではイヌがいた)も同様。 |
飛段 | NARUTO | 元人間。人体改造によって不老不死化したタイプ。 バラバラになっても死なない本物の不死だが、自力で動けないまでバラバラにされると元に戻るのに手間取る。また不死を維持する努力が必要であり、人間同様栄養が必要。 自身の不死能力を生かした技「死司憑血」で人間を殺し続ける必要もある。 |
藤井八雲 | 3×3 EYES | 元人間。不死の妖怪の肉体を与えられた人為的な不死。 不老に加えどんなダメージもすぐ回復する完全な不死。 |
不死者 | バッカーノ! | 人間に限らずあらゆる生物がなる。「不死の酒」を飲むことによる人為的な不死。 不老に加えどんなダメージも再生する完全な不死だが、行動にいくらかの制約がかかる他、能動的に死ぬ方法が用意されている。 |
藤原妹紅 | 東方Project | 妹紅のみ元人間。蓬莱の薬による人為的な不死。 不老に加えどんなダメージも再生する完全な不死。解除する方法もない。 昔話「かぐや姫」にて、かぐや姫が帝に送った不死の薬が元ネタ。 なお輝夜と永琳の2人は月人であるため、「穢れ」に接触しなければほぼ無限の寿命を持つため元から不老ではある。 |
蓬莱山輝夜 | ||
八意永琳 | ||
ベナレス | 3×3 EYES | 人間ではない生物で、龍神。不死の妖怪の肉体を与えられた人為的な不死。 不老に加えどんなダメージもすぐ回復する完全な不死。 |
無道 | 結界師 | 魂蔵(力を無尽蔵に蓄えられる体質)ゆえの不死。ただし、魂蔵持ちは必ずしも不老ではない。無道は能力による黒い玉によって他人の力や生命を吸収でき、そうして蓄えた力を利用することで自身の体を若返らせることができる。 |
薬師寺天膳 | バジリスク~甲賀忍法帖~ | |
由美かおる | 現実 | 人間だと思われる。 詳細は荒木飛呂彦以上に不明だが、断片的な情報から推測するに不老の技術を発見した結果、人間のまま不死を実現したのではと目されている。 |
レオニード伯爵 | ロマンシング サ・ガ3 | 吸血鬼。ステレオタイプな吸血鬼そのもので、外傷を受けると一時的に灰になるがすぐに復活する。 ただしゲーム中では日光の下も川の上も平気だし、主人公らと一緒に見知らぬ他人のお宅にお邪魔をすることも可能。 |
マーリン | Fateシリーズ | アーサー王伝説に登場する花の魔術師にしてグランドクソ野郎。かの伝説によって妖精郷アヴァロンに自ら幽閉された結果として、惑星が終わる時まで死ななくなったという後天的不死性を獲得している。 死なない為「死後の英霊を召喚する」サーヴァントシステムで召喚出来ない。 本来は外の世界に関わりを持たなくなった存在だが、Fate/Grandorderにおいては緊急事態に対処するためアヴァロンから歩いて出てきた。 |
ティアマト | Fateシリーズ | メソポタミア神話に登場する創生の神の一柱。全ての生命を生んだ母なる海であり、死という概念がなく、地球の全生命体が死亡した時初めて滅びるという。 |
虞美人 | Fateシリーズ | 周囲から常時微量のエナジードレインをして生きている精霊・仙人のような人。不老不死で少なくとも紀元前中国から2000年以上生きていたが、不老不死ゆえの迫害を受けたこともあり、死に方を探していた時期もあった。 どのようにして英霊として登録されたのかはイマイチ不明である。 必殺技は自爆して即再生。大雑把な性格のせいで再生の時に体格が変わったりする。 なお、不老不死ゆえに蓄積する体の凝りが酷いらしく、英霊召喚以後は按摩の達人のお世話になっている模様。 |
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