JPWO2003026661A1 - インスリン分泌促進剤及び新規なピリミジン誘導体 - Google Patents
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Abstract
優れたインスリン分泌促進作用、インスリン含量増加作用及び血糖上昇抑制作用を有し、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、インスリン抵抗性疾患、及び肥満の処置に用いることができるピリミジン誘導体を提供する。
Description
技術分野
本発明は、医薬、殊にインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤又は糖尿病治療剤として有用な新規なピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩、及びピリミジン誘導体を有効成分とする医薬に関する。
背景技術
糖尿病は、慢性的な高血糖を主徴とする疾患であり、インスリン作用の絶対的又は相対的な不足により発症する。臨床においては、その特徴からインスリン依存性糖尿病(以下、「1型糖尿病」という。)とインスリン非依存性糖尿病(以下、「2型糖尿病」という。)に大別される。糖尿病患者の約9割を占める2型糖尿病において、膵β細胞からのインスリン分泌低下は主要な発症原因の一つであり、特に初期のインスリン分泌障害による食後高血糖が認められる。現在、インスリン分泌促進剤としてはスルホニルウレア剤(SU剤)が主流であるが、低血糖を起こしやすく、長期投与においては膵臓の疲弊により二次無効を引き起こすことが知られている。また、SU剤は食間の血糖コントロールには有効であるが、食後の過血糖を抑制することは困難である。最近、大規模臨床試験により、糖尿病性合併症の発症及び進展抑制には食後高血糖の是正が重要であることが確認された(N.Engl.J.Med.,329:977−986,1993)。また、食後高血糖のみの時期に動脈硬化が発症すること、食後軽度高血糖の持続が心血管疾患等の原因による死亡率を高めることが報告されている(Lancet,354:617,1999,Brit.Med.J.,321:405−413,2000)。このことは、食後高血糖はたとえ軽度であっても、心血管死の独立した危険因子であることを示している。以上のような背景により、食後高血糖に対する薬物治療の重要かつ必要性が認識されるようになっている。また、2型糖尿病においては、慢性的な高血糖により膵β細胞の機能低下、即ち膵臓インスリン含量の低下を引き起こすと理解されている(Joslin’s Diabetes Mellitus,Thirteenth Edition,Lea and Febiger,Philadelphia,PA,U.S.A,1994)。従って、インスリン分泌促進作用又はインスリン含量増加作用を有する医薬は、食後高血糖及び/若しくは空腹時血糖の是正、又は膵臓機能亢進に適したプロフィールを有し、1型糖尿病、2型糖尿病の治療及び予防に有用であると考えられる。
一方、日本国特許出願公開特開昭50−88079号には、下記一般式で示される化合物が鎮痛、抗炎症剤等として用いられることが記載されている(文献1)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同特開昭53−12877号には、下記一般式で示される化合物が大脳組織の酸素が不充分なために生じる大脳欠陥に対して用いられることが記載されている(文献2)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同特開昭57−131702号には、下記一般式で示される化合物が除草剤の植物毒性作用からの栽培植物保護剤として用いられることが記載されている(文献3)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同特開2001−139558号及び同特開2001−139560号には、それぞれ下記一般式で示される化合物が抗リウマチ作用を有することが記載されている(文献4及び5)。
(式中の記号はそれぞれの公報参照。)
また、ドイツ国特許出願公開DE4034762号には、下記一般式で示される化合物が植物の殺菌剤として用いられることが記載されている(文献6)。
(式中の記号は公報参照。)
また、国際公開第WO92/04333号には、下記一般式で示される化合物が痴呆等の中枢疾患治療剤として用いられることが記載されている(文献7)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同WO00/09496号には、下記一般式で示される化合物が高血圧等の循環器疾患治療剤として用いられることが記載されている(文献8)。
(式中の記号は公報参照。)
なお、文献8には多彩な疾患の一例として、高血圧等の循環器疾患以外に糖尿病が挙げられているが、データによる裏付けはない。さらに、該公報における一般式のR4については、請求の範囲には「(C2−C5)−アルキル、トリフルオロメチル又はアリール」がクレームされているが、実施例において具体的に開示されているのは、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルの化合物に限られている。
上述の通り、インスリン分泌促進剤及びインスリン含量増加剤は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患、及び肥満の治療及び予防に有用であるため、さらに優れた効果を有するインスリン分泌促進剤及びインスリン含量増加剤の創製が切望されている。
発明の開示
本発明者等は、インスリン分泌促進作用又はインスリン含量増加作用を有する化合物について鋭意研究し、ピリミジン誘導体が上述の文献1〜8のいずれにも記載されていない優れたインスリン分泌促進作用、及びインスリン含量増加作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤が提供される。
[式中の記号は以下の意味を示す。
−R11: 式−A11−D11で示される基。
A11: 単結合、低級アルキレン又は低級アルケニレン。
D11: それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環、若しくは非芳香族ヘテロ環。
R12: アリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
R13: −H、メチル又はフルオロ。
R14: 1つ以上のハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
−R15: 式−A15−D15で示される基。
A15: 単結合又はそれぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン。
D15: −H;−O−低級アルキル;低級アルキル及びアリールからなる群より選択される1つ又は2つの基で置換されていてもよいアミノ;又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環。]
このうち、好ましくはR12がアリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル(但し、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルを除く。)である一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤であり;
さらに好ましくはA11が単結合であり、D11がそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環であり、R12がメチル又はエチルであり、R13が−H又はフルオロであり、R14が−Hであり、D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環である一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤であり;
特に好ましくはA11が単結合であり、R12がメチル又はエチルであり、R13が−H又はフルオロであり、R14が−Hであり、D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環であり、D11がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルである一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤である。
上記一般式(I)で示される本発明の医薬の有効成分である化合物は、インスリン分泌促進作用、インスリン含量増加作用及び血糖上昇抑制作用を有する点に薬理学上の特徴を有する。上記一般式(I)で示される化合物には、新規化合物の他、文献1〜8に開示された公知化合物をも包含する。しかし、上述の文献1〜7には、これらの作用についての開示及び示唆はなく、また、文献8には、これらの作用についての具体的裏付けはない。
さらに、上記一般式(I)で示される本発明の医薬の有効成分である化合物には、表1に示される化合物番号1〜9の試薬カタログ記載の化合物も含まれる。これらの化合物は、医薬用途はもちろんのこと、その他の用途についても全く報告されていない。従って、これらの化合物がインスリン分泌促進作用、又はインスリン含量増加作用を有し、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患及び/又は肥満の治療及び/又は予防に用いられることは全く知られていない。
なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様)。
No:化合物番号、
R、R’:一般式中の置換基(Me:メチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、cHex:シクロヘキシル。なお、置換基の前の数字は置換位置を示す。従って、例えば4−MeO−Phは4−メトキシフェニルを示す。)、
Comp:販売会社名、CN:カタログ番号。
また、本発明によれば、一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩
[式中の記号は以下の意味を示す。
R21: それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。
R22: メチル又はエチル。
R23: −H又はフルオロ。
R24: −H。
R25: それぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキル。
(但し、R22がメチルであり、かつ、R23が−Hである場合、
R25は置換されていない低級アルキル;
ジメチルアミノ若しくはジイソプロピルアミノでそれぞれ置換されているエチル若しくはプロピル;
低級アルキル及びフェニルからなる群より選択される同一又は異なる2つの基で置換されているカルバモイルで置換されているメチル;及び
置換されていてもよいフェニルで置換されているメチルを除く。)
但し、
6−メチル−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−2−フェニルピリミジン−4−アミン、
6−メチル−2−(4−メトキシフェニル)−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−アミン、
2−{[6−メチル−2−(6−メチルピリジン−2−イル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、及び、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](シクロヘキシル)アミンを除く。];
好ましくはR25が置換されていてもよい低級アルキルである一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩;
さらに好ましくはR21がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルであり、R25がピリジル、オキシドピリジル及び−OHからなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキルである一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩;
特に好ましくは
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][2−(ピリジン−3−イル)エチル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](シクロペンチル)アミン、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパニトリル、
2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(3−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(3−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][3−(ピリジン−3−イル)プロピル]アミン、
2−{[6−メチル−2−(3−ニトロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](プロピル)アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル][2−(ピリジン−3−イル)エチル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル][2−(ピリジン−4−イル)エチル]アミン、
(アリル)[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル][(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](2,2−ジメチルプロピル)アミン、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1−オール、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル(3−メトキシプロピル)アミン、
1−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}ブタン−2−オール、
1−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−2−オール、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
(R)−2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1−オール、
(±)−トランス−4−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}シクロヘキサノール、
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](ピリジン−4−イルメチル)アミン、
2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
4−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−メチル−2−(3−ニトロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロピル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ヨードフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
4−({[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}メチル)ピリジン 1−オキシド、
5−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン−2(1H)−オン、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロピル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}−1−メチルエチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(6−クロロピリジン−3−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(6−クロロピリジン−3−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−メチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,5−ジブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、若しくは、
3−(2−{[2−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、又はその製薬学的に許容される塩;
最も好ましくは、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[6−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、若しくは、
3−(2−{[6−メチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、又はその製薬学的に許容される塩;
並びに、これらのいずれかの化合物を有効成分とする医薬組成物、インスリン分泌促進剤及び/又は糖尿病治療剤が提供される。
一般式(II)で示される本発明化合物は、ピリミジン4位のアミノ基にそれぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキルが置換している点、及びピリミジン6位にメチル又はエチルが置換している点に化学構造上の特徴を有する。従って、一般式(II)で示される化合物は、文献1〜5に開示される化合物のようにピリミジン4位のアミノ基が直接芳香環で置換されることはなく、文献8に開示される化合物のようにピリミジン6位がイソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル又はフェニルで置換されることもない。また、一般式(II)で示される化合物には、文献6及び7に具体的に開示された化合物は含まれない。
一般式(I)又は(II)で示される化合物についてさらに説明すると、以下の通りである。
本明細書の一般式の定義において「低級」とは、特に断らない限り、炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。
従って、「低級アルキル」とは、C1−6のアルキルを意味し、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル若しくはヘキシル又はイソプロピル若しくはイソブチル等のこれらの構造異性体であり、好ましくはC1−4アルキルであり、さらに好ましくはメチル、エチルである。
「低級アルキレン」とは、C1−6のアルキルの2価基を意味し、具体的には例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン若しくはヘキシレン又はメチルエチレン等のこれらの構造異性体であり、好ましくはC1−4アルキレンであり、さらに好ましくはメチレン、エチレンである。
「低級アルケニレン」とは、C2−6のアルケニルの2価基を意味し、好ましくはプロパ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、ブタ−2−エン−1,4−ジイルである。
「シクロアルキル」とは、C3−10の炭素環の1価基を意味し、これらの環は架橋されていてもよい。具体的には例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルである。
「アリール」とは、C6−14の単環乃至3環の芳香族炭化水素環の1価基を意味し、好ましくはフェニル、ナフチルであり、さらに好ましくはフェニルである。
「芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有する縮合されていてもよい芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラニル、チオピラニル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾチオピラニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニル、カルバゾリルであり、これらの環を構成する窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよく、また、これらの環は部分的に飽和されていてもよい。好ましくはフリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、オキシドピリジル、ピラジル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、オキシドキノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニルであり、さらに好ましくは、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、オキシドピリジル、オキシドキノリル、ベンゾオキサジアゾリルである。
「非芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有する非芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフリル、テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キヌクリジニルであり、これらの環を構成する硫黄原子は酸化されていてもよい。好ましくはピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルである。
「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが挙げられる。
本明細書において、「置換されていてもよい」若しくは「置換されている」の語の許容される置換基としては、それぞれの基の置換基として通常用いられる置換基であればいずれでもよく、各々の基に1つ以上置換基を有していてもよい。
D11における「それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環」、D15における「それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環」、R21における「それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環」及びR25における「置換されていてもよいシクロアルキル」において許容される置換基としては、以下の(1)乃至(8)に示される基が挙げられる。なお、「RA」は、−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル、アリール、芳香族ヘテロ環及びハロゲンからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキルを示す。
(1)ハロゲン;
(2)−OH、−O−RA、−O−アリール、−OCO−RA、オキソ(=O);
(3)−SH、−S−RA、−S−アリール、−SO−RA、−SO−アリール、−SO2−RA、−SO2−アリール、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいスルファモイル;
(4)1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、−NHCO−RA、−NHCO−アリール、−NHSO2−RA、−NHSO2アリール、ニトロ;
(5)−CHO、−CO−RA、−CO2H、−CO2−RA、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいカルバモイル、シアノ;
(6)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくはシクロアルキル;
(7)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよい芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環;
(8)上記(1)乃至(7)に示される置換基より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル。
A15における「それぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン」及びR25における「置換されていてもよい低級アルキル」において許容される置換基としては、上記(1)乃至(7)に示される基が挙げられる。但し、R25における「置換されていてもよい低級アルキル」において許容される置換基としてオキソ(=O)を除く。
また、本明細書において、「インスリン含量増加」とは、好ましくは「インスリン産生促進に基づくインスリン含量増加」を意味する。
一般式(I)又は(II)で示される化合物には、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を含む場合があり、これに基づく光学活性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものをすべて包含する。また、一般式(I)又は(II)で示される化合物は互変異性体が存在する場合があるが、本発明はこれらの異性体の分離したもの及び混合物が包含される。
また、一般式(I)又は(II)で示される化合物は塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容されうる塩である限りにおいて、本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。なお、「芳香族ヘテロ環」及び「非芳香族ヘテロ環」の環を構成する窒素原子は、四級アンモニウム塩を形成していてもよい。四級アンモニウム塩を形成している場合、その窒素原子に結合する基としては低級アルキルが挙げられ、具体的には例えばメチル、エチル、プロピルが挙げられる。また、その四級アンモニウム塩の対イオンとなる陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、トリフラート、トシラート、メシラート等が挙げられ、特に、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオン等)が好ましいが、これらに限定されるものではない。他の陰イオンとして、例えば硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン等の無機陰イオン、フォルマート、アセタート、プロピオナート、オキサラート、マロナート等のカルボキシラート、グルタミン酸等のアミノ酸の陰イオン等を挙げることができる。ハロゲン化物イオンでは、臭化物イオン又はヨウ化物イオンが好ましい。なお、陰イオンは、通常のイオン交換反応により、適宜好ましい陰イオンに変換できるものである。
さらに、本発明は、本発明の医薬の有効成分である化合物若しくは本発明化合物又はその製薬学上許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。なお、本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物には、生体内において代謝されて一般式(I)又は(II)で示される化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物のプロドラッグを形成する基としては、Prog.Med.5:2157−2161(1985)に記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198ページに記載されている基が挙げられる。
(製造法)
一般式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。以下に代表的な製法を例示する。なお、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基、即ち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかる後、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基、アミノ基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(third edition)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
<第一製法>
(式中、R1は前述のR11又はR21を、R2は前述のR12又はR22を、R3は前述のR13又はR23を、R4は前述のR14又はR24を、R5は前述のR15又はR25を、XはO又はSを、Zは脱離基を示す。以下同様。)
本製法は式(1a)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(1b)で示されるアミン誘導体を作用させ、一般式(I)又は(II)で示される化合物を製造する方法である。
化合物(1a)におけるZで示される脱離基としては、反応条件下において化合物(1b)のアミノ基の水素原子と共にHZの形で脱離しうる基を意味し、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン、メタンスルホニルオキシのような低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシのようなトリハロゲノメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
化合物(1a)と化合物(1b)との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下または適当な溶媒中で行われる。
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール等のアルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン等が挙げられるが、化合物(1b)の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20℃〜約180℃、好ましくは約60℃〜約130℃である。
化合物(1a)は、例えば式(1c)で示されるピリミジノン又はピリミジンチオン誘導体を常法に従って、ハロゲン化またはスルホニル化することにより合成することができる。
本反応におけるハロゲン化は、例えば化合物(1c)とオキシ塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化剤とを反応させることにより行われる。スルホニル化は、例えばYが酸素原子である場合の化合物(1c)とメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホニル化剤とを反応させることにより行われる。
化合物(1c)は公知の方法、例えばJ.Am.Chem.Soc.,74,842,(1952)、Chem.Ber.,95,937,(1962)、若しくはJ.Org,Chem.,29,2887,(1964)に記載の方法又はこれらに準じた方法により合成することができる。また、化合物(1b)は市販されているか、あるいは公知の方法により合成することができる。
<第二製法>
(式中、D1はそれぞれ置換されていてもよいアリール又は芳香族ヘテロ環を、Z’は脱離基を示す。以下同様。)
本製法は、式(2a)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(2b)で示されるボロン酸誘導体を作用させ、前述のR11又はR21においてA11又はA21が単結合を示し、D11又はD21がそれぞれ置換されていてもよいアリール又は芳香族ヘテロ環を示す場合の一般式(I)又は(II)で示される化合物を製造する方法である。
化合物(2a)と化合物(2b)との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下または適当な溶媒中で行われる。
溶媒の具体例としては、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、アセトニトリル、DMF、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ、三級アミン等が挙げられる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20℃〜約180℃、好ましくは約60℃〜約130℃である。
また、本反応は遷移金属類或いは遷移金属ホスフィン錯体を添加することにより円滑に進行する場合がある。これらの具体例としては、パラジウム担持炭素、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられるが、アメリカ合衆国特許公報5550236号に記載された具体例のものを用いることもできる。
化合物(2a)は、例えば化合物(1b)と式(2c)で示される2つの脱離基を有するピリミジン誘導体とを反応させることにより合成することができる。本反応は前述の化合物(1a)と化合物(1b)との反応の方法又はこれらに準じた方法により行われる。
さらに、一般式(I)又は(II)で示されるいくつかの化合物は、以上のようにして得られた化合物から公知のアルキル化、アシル化、酸化、還元、加水分解等、当業者が通常採用し得る工程を任意に組み合わせることにより製造することもできる。例えば、ピリジルをオキシドピリジルへ、又はキノリルをオキシドキノリルへ酸化する酸化反応としては、常圧又は加圧下、溶媒の不存在下又は酢酸、トリフルオロ酢酸のような有機酸、クロロホルム、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ケトン類、水、硫酸、あるいはこれらの混合溶媒中で過酸化水素水、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、オキソン等の過酸類、若しくは酸素を用いた反応を挙げることができる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約−20℃〜約100℃、好ましくは約0℃〜約60℃である。
このようにして製造された本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施しその塩として、単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、沈澱、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して、常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法等の一般的ラセミ体分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオ混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
産業上の利用可能性
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)及び本発明化合物(II)は、優れたインスリン分泌促進作用、インスリン含量増加作用及び血糖上昇抑制作用を有する。従って、一般式(I)又は(II)で示される化合物は該作用に基づき、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患及び/又は肥満の治療及び/又は予防に有用である。
本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物の薬理作用は、以下の試験方法により確認された。
(1)インスリン分泌促進作用測定試験
本試験において、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞を用いた被検化合物のインスリン分泌促進作用を検討した。以下に試験方法を示す。
24穴プレートに2×105個/穴(0.4ml)になるようにMIN6細胞を蒔いた(培地は25mMグルコース入りのDMEMにFCSを10%になるように加えたものを用いた)。2日後に培地をアスピレーターで除き、37℃に暖めた2.8mMグルコースを含むKRB−HEPES(140mM NaCl、3.6mM KCl、0.5mM NaH2PO4、0.5mM MgSO4、1.5mM CaCl2、2mM NaHCO3、0.1%BSA、10mM HEPES(pH7.4))1mlで一度洗い、再度、同緩衝液1mlを入れて30分乃至60分間、37℃でインキュベートした。上記緩衝液をアスピレーターで除き、16.8mMグルコースを含むKRB−HEPESに被検化合物を各々10μM添加したものを、各穴に0.5mlずつ加え、22分間37℃でインキュベートした。上記サンプルを分取し、2.0μl−2.5μlをPBS50μlに希釈して、インスリン濃度をファデセフインスリンRIAキット(ファルマシア・アップジョン社製)を用いて定量した。被検化合物は100%DMSOに溶解し、終濃度0.1%で添加した。活性はDMSOを100%としたときの相対比で表した。その結果を表2に示す。
なお、表中の化合物表記において、Noは表1の化合物の化合物番号を、Exは後述の実施例化合物の実施例番号を示す(表4において同様)。
上記のように、本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物は、強いインスリン分泌促進作用を示した。
(2)インスリン含量増加作用測定試験
本試験において、ヒトインスリンプロモーターを導入した細胞を用いた被検化合物のインスリンプロモーター活性を測定することにより、インスリン含量増加作用を検討した。以下に試験方法を示す。
<ヒトインスリンプロモーターレポータープラスミドの構築>
ヒトのインスリン遺伝子の5’発現制御領域は、塩基配列が同定され(Nature284,26−32,1980.)、世界中の多くの研究者により研究されている。転写因子結合部位として知られる複数のシス(cis)エレメントはマウスやラットのインスリン遺伝子の5’発現制御領域にも共通に存在している(Diabetes44,1002−1004,1995.)。これら種を越えて共通のシスエレメントを含みプロモーター活性を示すのに十分と考えられる領域(本実施例では、−342から+37の領域。数字の+1はProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95,11572−11577,1998.に示された想定上の転写開始点を表す)を、ヒトゲノムDNA(Cat.No.6550−1;Clontech社)を用いて5’側にHind IIIサイト、3’側にNco IサイトができるようにしてPCR増幅し、プラスミドpCR2.1−Topo(Cat.No.K455001、TAクローニングシステム;Invitrogen社)にクローニングした。PCRの増幅条件は次の通りである。DNAポリメラーゼ(Ampli Taq DNAポリメラーゼ;Applied Biosystems社)を用いて1サイクルあたり94℃で30秒間2本鎖DNAを熱変性し、55℃で30秒間プライマーを変性した1本鎖DNAにアニーリングさせ、引き続き72℃で1分間DNA伸長反応させる。これを30サイクル繰り返した。つぎに、増幅断片がクローニングされたプラスミドを制限酵素Hind III(宝酒造)とNco I(宝酒造)を用いて消化することによりプラスミドから増幅断片を切り出し、ルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミド(ルシフェラーゼベクターpGV−B2,Cat.No.306−04831;東洋インキ)のルシフェラーゼ遺伝子の開始コドンのNco Iサイトとその5’上流に位置するHind IIIサイトにクローニングした。クローニングしたヒトインスリンプロモーターの塩基配列は、ジデオキシターミネーター(dideoxy terminator)法によりDNAシークエンサー(ABI377 DNA Sequencer;Applied Biosystems社)を用いて決定した。このようにして、ヒトインスリンプロモーターレポータープラスミドpIns−Luc380(以下、プラスミドInsProと称する)を構築した。なお、このプラスミドを細胞に導入し、このプラスミドに含まれるインスリンプロモーター部分が活性化されれば、ルシフェラーゼ遺伝子が生合成される。このルシフェラーゼ活性を測定することにより、インスリンプロモーター活性を測定することができる。
<インスリンプロモーター活性測定方法>
NIT1細胞4×104細胞に、トランスフェクション試薬(FuGENE6;Boeringer Mannheim社)を用いて、上記用法にて作製したプラスミドInsProを10ng導入し、96穴プレートに播種した(培地は、10%牛胎児血清(FCS)を含む、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)又はF−12培地を用いた)。播種後、18〜20時間培養し、培地で希釈した被検化合物を加え、5%CO2存在下、37℃で24時間インキュベートした。培地を吸引し、細胞溶解液(細胞溶解液LCβ;東洋インキ)で溶解した後、そのルシフェラーゼ活性を、市販の測定キット(ピッカジーン発光キット;東洋インキ)及び測定装置(ML3000 microtiter plate luminometer;Dynatech Laboratories社)を用いて測定した。被検化合物は100%DMSOに溶解し、終濃度0.1%で添加した。活性はDMSOを100%としたときの相対比で表した。その結果を表3に示す。
上記のように、本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物は、強いインスリンプロモータ活性、即ち、インスリン含量増加作用を示した。
(3)正常マウス経口糖負荷試験
本試験において、正常マウスを用いた被検化合物の糖負荷後の血糖上昇抑制作用について検討した。以下に試験方法を示す。
1週間予備飼育したICRマウス(雄、6週齢)を18〜20時間絶食し、被検動物として用いた。被検化合物は5%ポリプロピレングリコール−5%Tween80に溶解させ、グルコース負荷5分前(Nateglinideは30分前)に10mg/kg腹腔内投与(Nateglinide並びに実施例186及び197については経口投与)した。グルコース負荷後30分時の対照群に対する血糖低下率(%)を測定した。その結果を表4に示す。
上記のように、本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物は、正常マウス経口糖負荷試験において強い血糖低下作用を示した。
本発明の医薬は、一般式(I)又は(II)で示される化合物の1種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、通常使用されている方法によって調整することができる。投与は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、液剤等による経口投与、静注、筋注等の注射剤、又は坐剤、経鼻、経粘膜、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種以上の活性物質が、少なくとも1つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、ラクトース等の安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸等の可溶化剤又は溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、EtOHを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、EtOH等のアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、例えばラクトース等の安定化剤、可溶化剤又は溶解補助剤等の添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらは又無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
通常経口投与の場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.1〜500mgが適当で、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.01〜100mgが適当で、これを1回あるいは2乃至4回に分けて投与する。投与量は症状、年齢、体重、性別等を考慮して、個々の場合に応じて適宜決定される。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において使用される原料化合物には新規な物質も含まれており、そのような原料化合物の公知物からの製造法を参考例として説明する。
参考例1
4−ブロモベンゾニトリル18.20g、クロロホルム300ml及びEtOH100mlの混合物に、攪拌しながら−65℃で塩化水素ガスを30分間吹き込んだ後、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に炭酸アンモニウム48g及びEtOH400mlを加え、室温で3日間攪拌した。反応液に水300mlを加えた後EtOHを減圧留去し、析出した固体を濾取、水洗して、4−ブロモベンズアミジン塩酸塩22.91gを無色固体として得た。
参考例1と同様に、参考例2〜4の化合物を得た。
参考例5
3,4−(メチレンジオキシ)ベンゾニトリル25.0g、50%ヒドロキシルアミン水溶液25ml及びMeOH500mlの混合物を、70℃で4時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水300mlを加え析出した固体を濾取、水洗して、N−ヒドロキシ−3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアミジン27.83gを無色固体として得た。
参考例6
N−ヒドロキシ−3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアミジン27.83g、無水酢酸17.49ml及び酢酸300mlの混合物を室温で5時間攪拌した後、10%パラジウム担持炭素4.11gを加え水素雰囲気下室温で3時間攪拌した。反応液を濾過し溶媒を減圧留去した後、残渣にエーテルを加え析出した固体を濾取して、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアミジン酢酸塩32.40gを無色固体として得た。
参考例7
4−ブロモベンズアミジン塩酸塩14.13gのMeOH250ml溶液にナトリウムメトキシド9.72gを加え室温で30分間攪拌後、アセト酢酸メチル7.50mlを加え60℃で20時間攪拌した。反応液に氷冷下で1M HCl水溶液400mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、2−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン13.98gを無色固体として得た。
参考例7と同様に、参考例8〜10の化合物を得た。
参考例11
4−ブロモベンズアミジン472mg、プロピオル酸エチル0.27mlのEtOH5ml溶液を60℃に昇温後、KOH175mgのEtOH4ml溶液を15分間で滴下し、80℃で6時間攪拌した。室温に放冷後1M HCl水溶液10mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、2−(4−ブロモフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン97mgを微黄色固体として得た。
参考例12
2−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン8.80g及びオキシ塩化リン80mlの混合物を80℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に氷水100ml及び1M NaOH水溶液150mlを順に加え、析出した固体を濾取、水洗して、2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン10.13gを無色固体として得た。
参考例12と同様に、参考例13〜15の化合物を得た。
参考例16
4−クロロ−2−(2,3−ジメトキシフェニル)−6−メチルピリミジン1.29gのジクロロメタン50ml溶液に、−78℃で1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液10.0mlを加え、室温で18時間攪拌した。反応液に−78℃でMeOH30mlを滴下した後、室温まで昇温した。溶媒を減圧留去した後、残渣にジイソプロピルエーテルを加え析出した固体を濾取して、4−クロロ−2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン1.44gを黄色固体として得た。
参考例17
4−クロロ−2−[4−(メトキシメチル)フェニル]−6−メチルピリミジン6.08g及び2M HCl水溶液30mlの2−プロパノール90ml溶液を室温で2時間攪拌した後、濃塩酸15mlを加え、さらに室温で2時間、50℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に飽和重曹水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、4−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン4.30gを得た。
参考例18
2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン5.00g、p−アニシジン3.78g及びトリエチルアミン4.30mlの2−プロパノール50ml溶液を70℃で14時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水200ml及び飽和重曹水30mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にジイソプロピルエーテル120mlを加え析出した固体を濾取して、N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−p−アニシジン6.12gを無色固体として得た。
参考例19
60%水素化ナトリウム油分散体90mgのDMF15ml溶液に、氷冷下でN−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−p−アニシジン500mgを加え室温で15分間攪拌した後、ヨウ化メチル570mgを加え室温で1時間攪拌した。反応液に水を加えEtOAcで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−N−メチル−p−アニシジン430mgを無色固体として得た。
参考例20
3−(2−アミノエチル)ピリジン8.64gのTHF200ml溶液に、氷冷下でジ−tert−ブチルジカルボナート16.21gを加え同温で10分間、室温で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水100ml及び1M NaOH水溶液30mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去して、2−(ピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル15.90gを橙色油状物として得た。
参考例21
2−(ピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル15.90gのクロロホルム300ml溶液に、氷冷下で75%mCPBA17.90gを加え同温で1時間、室温で30分間攪拌後、反応液に飽和重曹水を加えクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して、2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル12.51gを微黄色油状物として得た。
参考例22
2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル12.51gと4M HCl−EtOAc溶液150mlの混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣にジエチルエーテル200mlを加え析出した固体を濾取して、3−(2−アミノエチル)ピリジン 1−オキシド二塩酸塩8.40gを無色固体として得た。
参考例23
水素化リチウムアルミニウム1.15g及びTHF50mlの混合物に、氷冷下で2−メチルニコチン酸エチル5.00gを加え、室温で1時間攪拌した。反応液に氷冷下で水2.5ml及び硫酸ナトリウム30gを順に加えセライト濾過した後、溶媒を減圧留去して、(2−メチルピリジン−3−イル)メタノール3.87gを微黄色油状物として得た。
参考例24
塩化チオニル23mlに氷冷下で(2−メチルピリジン−3−イル)メタノール3.86gを加え室温で15分間攪拌した。反応液にトルエン60mlを加え溶媒を減圧留去した後、残渣に飽和重曹水を加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にDMF70mlとシアン化カリウム3.06gを順に加え、室温で18時間攪拌した。反応液に水200mlを加え、EtOAcとクロロホルムの混合溶媒で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、(2−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル1.23gを黄色油状物として得た。
参考例25
60%水素化ナトリウム油分散体3.60gのTHF80ml溶液に、3−ピリジンアセトニトリル4.76gを加え室温で2時間攪拌した後、氷冷下でヨウ化メチル11.86gを加え室温で13時間攪拌した。反応液に氷水200mlを加えEtOAcで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去して、2−メチル−2−(ピリジン−3−イル)プロピオニトリル5.99gを褐色油状物として得た。
参考例26
(2−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル1.20gのEtOH15ml及びアンモニア水3ml溶液に、ラネーニッケル(懸濁液)1.5mlを加え水素雰囲気下室温で18時間攪拌した。反応液をセライト濾過後、溶媒を減圧留去して、3−(2−アミノエチル)−2−メチルピリジン1.05gを黄緑色油状物として得た。
参考例化合物の構造と物理学的データを表5に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す。
Rf:参考例番号、
Data:物理学的データ、FMS:質量分析データ(特に記載がない場合は、FAB−MS(M+H)+データ)、NMR:NMRデータ((CH3)4Siを内部標準とし、特に記載がない場合はDMSO−d6を測定溶媒とする1H−NMRにおけるピークのδ(ppm))、
Salt:塩(HCl:塩酸塩、HBr:臭化水素酸塩、AcOH:酢酸塩、ox:シュウ酸塩、無記載:フリー体)、
Structure:化学構造式、Et:エチル、tBu:ターシャリーブチル。
実施例1
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン284mg、70%エチルアミン水溶液1ml及びMeOH2mlの混合物を室温で2時間攪拌し、次いで60℃で3時間攪拌後、70%エチルアミン水溶液1mlを加え更に60℃で5時間攪拌した。室温に放冷後、水10mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]エチルアミン198mgを無色固体として得た。
実施例2
4−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}安息香酸メチル100mg、1M NaOH水溶液1ml及びMeOH4mlの混合物を50℃で1.5時間攪拌した。室温に放冷後、1M HCl水溶液1ml及び水3mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、4−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}安息香酸70mgを無色固体として得た。
実施例3
水素化リチウムアルミニウム10mg及びTHF10mlの混合物に、氷冷下で4−{4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}安息香酸メチル90mgを加え、室温で2時間攪拌した。反応液に1M HCl水溶液及び飽和重曹水を順に加え酢酸エチル(EtOAc)で抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣にジイソプロピルエーテル及びヘキサンを加え析出した固体を濾取して、4−{4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ベンジルアルコール88mgを無色固体として得た。
実施例4
2−{[6−メチル−2−(4−ニトロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール2.04gのEtOAc50ml及びTHF50ml溶液に、10%パラジウム担持炭素350mgを加え水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。反応液を濾過後、溶媒を減圧留去して、2−{[2−(4−アミノフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール1.80gを黄色固体として得た。
実施例5
2−{[2−(4−アミノフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール230mg、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン140mg及び酢酸6mlの混合物を100℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に1M NaOH水溶液を加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、2−{{2−[4−(1−ピロリル)フェニル]−6−メチルピリミジン−4−イル}アミノ}エタノール180mgを得た。
実施例6
N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−p−アニシジン300mg、4−メトキシフェニルボロン酸220mg、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム32mg、炭酸ナトリウム250mg、トルエン10ml、EtOH4ml及び水5mlの混合物を加熱還流下6時間攪拌した。反応液に水を加えEtOAcで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、N−[2−(4−メトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]−p−アニシジン140mgを無色粉状物として得た。
実施例7
N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−4−フルオロアニリン135mg、2−(メトキシメトキシ)フェニルボロン酸150mg、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム20mg、炭酸ナトリウム120mg、トルエン15ml、EtOH3ml及び水5mlを用い、実施例97と同様の操作を行って4−フルオロ−N−{2−[2−(メトキシメトキシ)フェニル]−6−メチルピリミジン−4−イル}アニリン150mgを得た。このものに4M HCl水溶液10ml及び2−プロパノール20mlを加え、50℃で3時間攪拌した。反応液に1M NaOH水溶液を加えEtOAcで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にジイソプロピルエーテル及びヘキサンを加え析出した固体を濾取して、4−フルオロ−N−[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アニリン76mgを微黄色固体として得た。
実施例8
2−(3−{[2−(2−メトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルアセトアミド170mg及びピリジン塩酸塩1.50gの混合物を、200℃で20分間攪拌した。反応液に重曹水を加えEtOAcで抽出した後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して2−(3−{[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルアセトアミドを得た。このものにEtOH、エーテル及び4M HCl−EtOAc溶液を加え、析出した固体を濾取して、2−(3−{[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩80mgを得た。
実施例9
実施例119のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、実施例119の化合物が溶出した後の溶出画分より得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え析出した固体を濾取して、(3−{[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)酢酸15mgを得た。
実施例10
2−(4−{[2−(2,4−ジメトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)エタノール290mg及び48%臭化水素酸20mlの混合物を、100℃で14時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に飽和重曹水を加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製したのち、ジイソプロピルエーテル及びヘキサンを加え析出した固体を濾取して、4−(4−{[4−(2−ブロモエチル)フェニル]アミノ}−6−メチルピリミジン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール72mgを得た。
実施例11
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン7.1mg及びチオフェン−2−イルメチルアミン28mgの混合物を80℃で13時間攪拌した後、DMF2ml及びPS−ベンズアルデヒド(Argonaut Technologies社製、1.22mmol/g)205mgを加え室温で終夜攪拌した。反応液を濾過後溶媒を減圧留去して、N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]−(チオフェン−2−イル)メチルアミン9.8mgを得た。
実施例12
4−クロロ−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン200mg、3−(2−アミノエチル)ピリジン−N−オキシド 二塩酸塩779mg、炭酸カリウム1.02g及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン4mlの混合物を80℃で22時間攪拌した。室温に放冷後、水15ml及び1M NaOH水溶液5mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して3−(2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド159mgを微黄色固体として得た。
実施例13
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン2.00g、3−(2−アミノエチル)ピリジン2.50g、ジイソプロピルエチルアミン962mg、ジオキサン20ml及びトルエン10mlを用い、実施例1と同様の操作を行って[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][2−(3−ピリジル)エチル]アミン1.42gを得た。このもののクロロホルム20ml溶液に、75%mCPBA1.40gを加え室温で22時間攪拌後、75%mCPBA0.20gを加え更に13時間攪拌した。反応液に飽和重曹水40mlを加えクロロホルムで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して、3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド1.11gを黄色油状物として得た。
実施例14
1M 三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液5mlに、氷冷下で2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−(メトキシメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール シュウ酸塩429mgを加え室温で8時間攪拌後、更に氷冷下で1M 三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液5mlを加え徐々に室温まで上昇しながら1.5時間攪拌した。反応液に氷及び1M NaOH水溶液30mlを加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製した。得られた黄色固体57mgにEtOH、アセトニトリル及びシュウ酸16mgを加え、析出した固体を同混合溶媒から再結晶して、2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール シュウ酸塩18mgを無色粉状物として得た。
実施例15
{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}酢酸 tert−ブチル478mg及び4M HCl−ジオキサン溶液10mlの混合物を室温で21時間攪拌した。反応液にジエチルエーテル50mlを加え析出した固体を濾取して、{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}酢酸 塩酸塩424mgを微黄色固体として得た。
実施例16
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]エタン−1,2−ジアミン242mg、塩化メタンスルホニル60μl、トリエチルアミン0.16ml及びTHF5mlの混合物を、室温で5分間攪拌した。反応液に水15mlを加えEtOAcで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣283mgにEtOH及びシュウ酸71mgを加えた後、析出した固体を濾取しエーテルで洗浄して、N−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)メタンスルホンアミド シュウ酸塩271mgを微黄色固体として得た。
実施例17
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン1.00g、アジ化ナトリウム2.21g及びアセトニトリル20mlの混合物を80℃で5日間攪拌した後、アセトニトリル10ml及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン4mlを加え更に同温で28時間攪拌した。反応液に水80mlを加え析出した固体を濾取、水洗した。得られた微黄色固体0.66gにトリフェニルホスフィン0.72g及びTHF15mlを加え室温で4時間攪拌後、水0.41mlを加え更に室温で18時間攪拌した。反応液に水50mlを加えEtOAcで抽出し、有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製した。得られた無色非晶性固体1.13gと酢酸600mg、水10ml及びEtOH10mlの混合物を3時間加熱還流した。室温に放冷後、飽和重曹水120mlを加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc〜クロロホルム:MeOH)で精製して、[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミン558mgを無色固体として得た。
実施例18
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]エタン−1,2−ジアミン307mg、ニコチン酸135mg、WSCD塩酸塩287mg及びTHF6mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応液に水20mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥後、溶媒を減圧留去して、N−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ニコチンアミド340mgを微黄色固体として得た。
実施例19
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][2−(6−クロロ−3−ピリジル)エチル]アミン145mg及びエチレンジアミン2mlの混合物を110℃で11日間攪拌した。室温に放冷後、EtOAc20mlを加え1M HCl水溶液20mlで抽出した。水層に5M NaOH水溶液5mlを加えクロロホルムで抽出後、MgSO4で乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:McOH:28%アンモニア水)で精製した。得られた褐色油状物66mgにEtOH及びシュウ酸28mgを加え、析出した固体をEtOHから再結晶して、N−[5−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン−2−イル]エタン−1,2−ジアミン シュウ酸塩45mgを褐色固体として得た。
実施例20
4−(4−メチル−6−{[2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチル]アミノ}ピリミジン−2−イル)安息香酸399mg、1,1’−カルボニルジイミダゾール369mg、THF8ml及びジオキサン5mlの混合物を60℃に加熱し、室温に放冷しながら終夜攪拌後、28%アンモニア水8mlを加え更に室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して、4−(4−メチル−6−{[2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチル]アミノ}ピリミジン−2−イル)ベンズアミド110mgを無色固体として得た。
実施例21
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]−(ピリジン−3−イル)エチルアミン84mg、ヨウ化メチル15μl及び酢酸エチル10mlの混合物を室温で4時間攪拌後、ヨウ化メチル60μlを加え同温で4日間、更にヨウ化メチル35μlを加え更に6日間攪拌した。溶媒を減圧留去して、ヨウ化3−{2−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イルアミノ]エチル}−1−メチルピリジニウム100mgを黄色非晶性固体として得た。
上記実施例化合物の構造と物理学的データを表6に示す。また、これらの実施例化合物と同様の製造法により得た実施例化合物の構造と物理学的データを表7〜12に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す。
Ex:実施例番号、
Salt:塩(HCl:塩酸塩、HBr:臭化水素酸塩、ox:シュウ酸塩、無記載:フリー体)、
Syn:製造法(数字は同様に製造した実施例番号を示す)、
R31、R32、R33、R34、R35、R41:一般式中の置換基(nPr:ノルマルプルピル、iPr:イソプロピル、cPr:シクロプロピル、nBu:ノルマルブチル、iBu:イソブチル、nPen:ノルマルペンチル、cPen:シクロペンチル、cHep:シクロヘプチル、nor:ノルボルニル、adam:アダマンチル、naph:ナフチル、pipe:ピペリジニル、mor:モルホリル、pyrr:ピロリル、imid:イミダゾリル、Fur:フリル、The:チエニル、thia:チアゾリル、Py:ピリジル、oxPy:1−オキシドピリジル、bthio:ベンゾチエニル、bthia:ベンゾチアゾリル、imidthia:イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、quin:キノリニル、oxquin:1−オキシドキノリニル、Ac:アセチル、di:ジ、tri:トリ。置換基の前の数字は置換位置を示し、従って、例えば5−Br−2−Theは5−ブロモチオフェン−2−イルを、−(CH2)2OHは2−ヒドロキシエチルを、−(CH2)2−(2−Me−3−oxPy)は2−(2−メチル−1−オキシドピリジン−3−イル)エチルを示す。)。
いくつかの実施例化合物のNMRデータを表13に示す。
以下、表14〜18に本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や、実施例記載の方法、及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより容易に合成することができる。
本発明は、医薬、殊にインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤又は糖尿病治療剤として有用な新規なピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩、及びピリミジン誘導体を有効成分とする医薬に関する。
背景技術
糖尿病は、慢性的な高血糖を主徴とする疾患であり、インスリン作用の絶対的又は相対的な不足により発症する。臨床においては、その特徴からインスリン依存性糖尿病(以下、「1型糖尿病」という。)とインスリン非依存性糖尿病(以下、「2型糖尿病」という。)に大別される。糖尿病患者の約9割を占める2型糖尿病において、膵β細胞からのインスリン分泌低下は主要な発症原因の一つであり、特に初期のインスリン分泌障害による食後高血糖が認められる。現在、インスリン分泌促進剤としてはスルホニルウレア剤(SU剤)が主流であるが、低血糖を起こしやすく、長期投与においては膵臓の疲弊により二次無効を引き起こすことが知られている。また、SU剤は食間の血糖コントロールには有効であるが、食後の過血糖を抑制することは困難である。最近、大規模臨床試験により、糖尿病性合併症の発症及び進展抑制には食後高血糖の是正が重要であることが確認された(N.Engl.J.Med.,329:977−986,1993)。また、食後高血糖のみの時期に動脈硬化が発症すること、食後軽度高血糖の持続が心血管疾患等の原因による死亡率を高めることが報告されている(Lancet,354:617,1999,Brit.Med.J.,321:405−413,2000)。このことは、食後高血糖はたとえ軽度であっても、心血管死の独立した危険因子であることを示している。以上のような背景により、食後高血糖に対する薬物治療の重要かつ必要性が認識されるようになっている。また、2型糖尿病においては、慢性的な高血糖により膵β細胞の機能低下、即ち膵臓インスリン含量の低下を引き起こすと理解されている(Joslin’s Diabetes Mellitus,Thirteenth Edition,Lea and Febiger,Philadelphia,PA,U.S.A,1994)。従って、インスリン分泌促進作用又はインスリン含量増加作用を有する医薬は、食後高血糖及び/若しくは空腹時血糖の是正、又は膵臓機能亢進に適したプロフィールを有し、1型糖尿病、2型糖尿病の治療及び予防に有用であると考えられる。
一方、日本国特許出願公開特開昭50−88079号には、下記一般式で示される化合物が鎮痛、抗炎症剤等として用いられることが記載されている(文献1)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同特開昭53−12877号には、下記一般式で示される化合物が大脳組織の酸素が不充分なために生じる大脳欠陥に対して用いられることが記載されている(文献2)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同特開昭57−131702号には、下記一般式で示される化合物が除草剤の植物毒性作用からの栽培植物保護剤として用いられることが記載されている(文献3)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同特開2001−139558号及び同特開2001−139560号には、それぞれ下記一般式で示される化合物が抗リウマチ作用を有することが記載されている(文献4及び5)。
(式中の記号はそれぞれの公報参照。)
また、ドイツ国特許出願公開DE4034762号には、下記一般式で示される化合物が植物の殺菌剤として用いられることが記載されている(文献6)。
(式中の記号は公報参照。)
また、国際公開第WO92/04333号には、下記一般式で示される化合物が痴呆等の中枢疾患治療剤として用いられることが記載されている(文献7)。
(式中の記号は公報参照。)
また、同WO00/09496号には、下記一般式で示される化合物が高血圧等の循環器疾患治療剤として用いられることが記載されている(文献8)。
(式中の記号は公報参照。)
なお、文献8には多彩な疾患の一例として、高血圧等の循環器疾患以外に糖尿病が挙げられているが、データによる裏付けはない。さらに、該公報における一般式のR4については、請求の範囲には「(C2−C5)−アルキル、トリフルオロメチル又はアリール」がクレームされているが、実施例において具体的に開示されているのは、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルの化合物に限られている。
上述の通り、インスリン分泌促進剤及びインスリン含量増加剤は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患、及び肥満の治療及び予防に有用であるため、さらに優れた効果を有するインスリン分泌促進剤及びインスリン含量増加剤の創製が切望されている。
発明の開示
本発明者等は、インスリン分泌促進作用又はインスリン含量増加作用を有する化合物について鋭意研究し、ピリミジン誘導体が上述の文献1〜8のいずれにも記載されていない優れたインスリン分泌促進作用、及びインスリン含量増加作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤が提供される。
[式中の記号は以下の意味を示す。
−R11: 式−A11−D11で示される基。
A11: 単結合、低級アルキレン又は低級アルケニレン。
D11: それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環、若しくは非芳香族ヘテロ環。
R12: アリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
R13: −H、メチル又はフルオロ。
R14: 1つ以上のハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
−R15: 式−A15−D15で示される基。
A15: 単結合又はそれぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン。
D15: −H;−O−低級アルキル;低級アルキル及びアリールからなる群より選択される1つ又は2つの基で置換されていてもよいアミノ;又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環。]
このうち、好ましくはR12がアリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル(但し、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルを除く。)である一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤であり;
さらに好ましくはA11が単結合であり、D11がそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環であり、R12がメチル又はエチルであり、R13が−H又はフルオロであり、R14が−Hであり、D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環である一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤であり;
特に好ましくはA11が単結合であり、R12がメチル又はエチルであり、R13が−H又はフルオロであり、R14が−Hであり、D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環であり、D11がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルである一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤である。
上記一般式(I)で示される本発明の医薬の有効成分である化合物は、インスリン分泌促進作用、インスリン含量増加作用及び血糖上昇抑制作用を有する点に薬理学上の特徴を有する。上記一般式(I)で示される化合物には、新規化合物の他、文献1〜8に開示された公知化合物をも包含する。しかし、上述の文献1〜7には、これらの作用についての開示及び示唆はなく、また、文献8には、これらの作用についての具体的裏付けはない。
さらに、上記一般式(I)で示される本発明の医薬の有効成分である化合物には、表1に示される化合物番号1〜9の試薬カタログ記載の化合物も含まれる。これらの化合物は、医薬用途はもちろんのこと、その他の用途についても全く報告されていない。従って、これらの化合物がインスリン分泌促進作用、又はインスリン含量増加作用を有し、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患及び/又は肥満の治療及び/又は予防に用いられることは全く知られていない。
なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様)。
No:化合物番号、
R、R’:一般式中の置換基(Me:メチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、cHex:シクロヘキシル。なお、置換基の前の数字は置換位置を示す。従って、例えば4−MeO−Phは4−メトキシフェニルを示す。)、
Comp:販売会社名、CN:カタログ番号。
また、本発明によれば、一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩
[式中の記号は以下の意味を示す。
R21: それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。
R22: メチル又はエチル。
R23: −H又はフルオロ。
R24: −H。
R25: それぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキル。
(但し、R22がメチルであり、かつ、R23が−Hである場合、
R25は置換されていない低級アルキル;
ジメチルアミノ若しくはジイソプロピルアミノでそれぞれ置換されているエチル若しくはプロピル;
低級アルキル及びフェニルからなる群より選択される同一又は異なる2つの基で置換されているカルバモイルで置換されているメチル;及び
置換されていてもよいフェニルで置換されているメチルを除く。)
但し、
6−メチル−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−2−フェニルピリミジン−4−アミン、
6−メチル−2−(4−メトキシフェニル)−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−アミン、
2−{[6−メチル−2−(6−メチルピリジン−2−イル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、及び、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](シクロヘキシル)アミンを除く。];
好ましくはR25が置換されていてもよい低級アルキルである一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩;
さらに好ましくはR21がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルであり、R25がピリジル、オキシドピリジル及び−OHからなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキルである一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩;
特に好ましくは
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][2−(ピリジン−3−イル)エチル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](シクロペンチル)アミン、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパニトリル、
2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(3−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(3−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][3−(ピリジン−3−イル)プロピル]アミン、
2−{[6−メチル−2−(3−ニトロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](プロピル)アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル][2−(ピリジン−3−イル)エチル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル][2−(ピリジン−4−イル)エチル]アミン、
(アリル)[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル][(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル]アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](イソブチル)アミン、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](2,2−ジメチルプロピル)アミン、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1−オール、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル(3−メトキシプロピル)アミン、
1−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}ブタン−2−オール、
1−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−2−オール、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
(R)−2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1−オール、
(±)−トランス−4−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}シクロヘキサノール、
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル](ピリジン−4−イルメチル)アミン、
2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
4−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−メチル−2−(3−ニトロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロピル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ヨードフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
4−({[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}メチル)ピリジン 1−オキシド、
5−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン−2(1H)−オン、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロピル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}−1−メチルエチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(6−クロロピリジン−3−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(6−クロロピリジン−3−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−メチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3,5−ジブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、若しくは、
3−(2−{[2−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、又はその製薬学的に許容される塩;
最も好ましくは、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[6−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、若しくは、
3−(2−{[6−メチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、又はその製薬学的に許容される塩;
並びに、これらのいずれかの化合物を有効成分とする医薬組成物、インスリン分泌促進剤及び/又は糖尿病治療剤が提供される。
一般式(II)で示される本発明化合物は、ピリミジン4位のアミノ基にそれぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキルが置換している点、及びピリミジン6位にメチル又はエチルが置換している点に化学構造上の特徴を有する。従って、一般式(II)で示される化合物は、文献1〜5に開示される化合物のようにピリミジン4位のアミノ基が直接芳香環で置換されることはなく、文献8に開示される化合物のようにピリミジン6位がイソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル又はフェニルで置換されることもない。また、一般式(II)で示される化合物には、文献6及び7に具体的に開示された化合物は含まれない。
一般式(I)又は(II)で示される化合物についてさらに説明すると、以下の通りである。
本明細書の一般式の定義において「低級」とは、特に断らない限り、炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。
従って、「低級アルキル」とは、C1−6のアルキルを意味し、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル若しくはヘキシル又はイソプロピル若しくはイソブチル等のこれらの構造異性体であり、好ましくはC1−4アルキルであり、さらに好ましくはメチル、エチルである。
「低級アルキレン」とは、C1−6のアルキルの2価基を意味し、具体的には例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン若しくはヘキシレン又はメチルエチレン等のこれらの構造異性体であり、好ましくはC1−4アルキレンであり、さらに好ましくはメチレン、エチレンである。
「低級アルケニレン」とは、C2−6のアルケニルの2価基を意味し、好ましくはプロパ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、ブタ−2−エン−1,4−ジイルである。
「シクロアルキル」とは、C3−10の炭素環の1価基を意味し、これらの環は架橋されていてもよい。具体的には例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルである。
「アリール」とは、C6−14の単環乃至3環の芳香族炭化水素環の1価基を意味し、好ましくはフェニル、ナフチルであり、さらに好ましくはフェニルである。
「芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有する縮合されていてもよい芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラニル、チオピラニル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾチオピラニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニル、カルバゾリルであり、これらの環を構成する窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよく、また、これらの環は部分的に飽和されていてもよい。好ましくはフリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、オキシドピリジル、ピラジル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、オキシドキノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニルであり、さらに好ましくは、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、オキシドピリジル、オキシドキノリル、ベンゾオキサジアゾリルである。
「非芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有する非芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフリル、テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キヌクリジニルであり、これらの環を構成する硫黄原子は酸化されていてもよい。好ましくはピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルである。
「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが挙げられる。
本明細書において、「置換されていてもよい」若しくは「置換されている」の語の許容される置換基としては、それぞれの基の置換基として通常用いられる置換基であればいずれでもよく、各々の基に1つ以上置換基を有していてもよい。
D11における「それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環」、D15における「それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環」、R21における「それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環」及びR25における「置換されていてもよいシクロアルキル」において許容される置換基としては、以下の(1)乃至(8)に示される基が挙げられる。なお、「RA」は、−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル、アリール、芳香族ヘテロ環及びハロゲンからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキルを示す。
(1)ハロゲン;
(2)−OH、−O−RA、−O−アリール、−OCO−RA、オキソ(=O);
(3)−SH、−S−RA、−S−アリール、−SO−RA、−SO−アリール、−SO2−RA、−SO2−アリール、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいスルファモイル;
(4)1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、−NHCO−RA、−NHCO−アリール、−NHSO2−RA、−NHSO2アリール、ニトロ;
(5)−CHO、−CO−RA、−CO2H、−CO2−RA、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいカルバモイル、シアノ;
(6)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくはシクロアルキル;
(7)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよい芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環;
(8)上記(1)乃至(7)に示される置換基より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル。
A15における「それぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン」及びR25における「置換されていてもよい低級アルキル」において許容される置換基としては、上記(1)乃至(7)に示される基が挙げられる。但し、R25における「置換されていてもよい低級アルキル」において許容される置換基としてオキソ(=O)を除く。
また、本明細書において、「インスリン含量増加」とは、好ましくは「インスリン産生促進に基づくインスリン含量増加」を意味する。
一般式(I)又は(II)で示される化合物には、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を含む場合があり、これに基づく光学活性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものをすべて包含する。また、一般式(I)又は(II)で示される化合物は互変異性体が存在する場合があるが、本発明はこれらの異性体の分離したもの及び混合物が包含される。
また、一般式(I)又は(II)で示される化合物は塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容されうる塩である限りにおいて、本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。なお、「芳香族ヘテロ環」及び「非芳香族ヘテロ環」の環を構成する窒素原子は、四級アンモニウム塩を形成していてもよい。四級アンモニウム塩を形成している場合、その窒素原子に結合する基としては低級アルキルが挙げられ、具体的には例えばメチル、エチル、プロピルが挙げられる。また、その四級アンモニウム塩の対イオンとなる陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、トリフラート、トシラート、メシラート等が挙げられ、特に、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオン等)が好ましいが、これらに限定されるものではない。他の陰イオンとして、例えば硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン等の無機陰イオン、フォルマート、アセタート、プロピオナート、オキサラート、マロナート等のカルボキシラート、グルタミン酸等のアミノ酸の陰イオン等を挙げることができる。ハロゲン化物イオンでは、臭化物イオン又はヨウ化物イオンが好ましい。なお、陰イオンは、通常のイオン交換反応により、適宜好ましい陰イオンに変換できるものである。
さらに、本発明は、本発明の医薬の有効成分である化合物若しくは本発明化合物又はその製薬学上許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。なお、本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物には、生体内において代謝されて一般式(I)又は(II)で示される化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物のプロドラッグを形成する基としては、Prog.Med.5:2157−2161(1985)に記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198ページに記載されている基が挙げられる。
(製造法)
一般式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。以下に代表的な製法を例示する。なお、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基、即ち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかる後、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基、アミノ基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(third edition)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
<第一製法>
(式中、R1は前述のR11又はR21を、R2は前述のR12又はR22を、R3は前述のR13又はR23を、R4は前述のR14又はR24を、R5は前述のR15又はR25を、XはO又はSを、Zは脱離基を示す。以下同様。)
本製法は式(1a)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(1b)で示されるアミン誘導体を作用させ、一般式(I)又は(II)で示される化合物を製造する方法である。
化合物(1a)におけるZで示される脱離基としては、反応条件下において化合物(1b)のアミノ基の水素原子と共にHZの形で脱離しうる基を意味し、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン、メタンスルホニルオキシのような低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシのようなトリハロゲノメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
化合物(1a)と化合物(1b)との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下または適当な溶媒中で行われる。
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール等のアルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン等が挙げられるが、化合物(1b)の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20℃〜約180℃、好ましくは約60℃〜約130℃である。
化合物(1a)は、例えば式(1c)で示されるピリミジノン又はピリミジンチオン誘導体を常法に従って、ハロゲン化またはスルホニル化することにより合成することができる。
本反応におけるハロゲン化は、例えば化合物(1c)とオキシ塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化剤とを反応させることにより行われる。スルホニル化は、例えばYが酸素原子である場合の化合物(1c)とメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホニル化剤とを反応させることにより行われる。
化合物(1c)は公知の方法、例えばJ.Am.Chem.Soc.,74,842,(1952)、Chem.Ber.,95,937,(1962)、若しくはJ.Org,Chem.,29,2887,(1964)に記載の方法又はこれらに準じた方法により合成することができる。また、化合物(1b)は市販されているか、あるいは公知の方法により合成することができる。
<第二製法>
(式中、D1はそれぞれ置換されていてもよいアリール又は芳香族ヘテロ環を、Z’は脱離基を示す。以下同様。)
本製法は、式(2a)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(2b)で示されるボロン酸誘導体を作用させ、前述のR11又はR21においてA11又はA21が単結合を示し、D11又はD21がそれぞれ置換されていてもよいアリール又は芳香族ヘテロ環を示す場合の一般式(I)又は(II)で示される化合物を製造する方法である。
化合物(2a)と化合物(2b)との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下または適当な溶媒中で行われる。
溶媒の具体例としては、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、アセトニトリル、DMF、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ、三級アミン等が挙げられる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20℃〜約180℃、好ましくは約60℃〜約130℃である。
また、本反応は遷移金属類或いは遷移金属ホスフィン錯体を添加することにより円滑に進行する場合がある。これらの具体例としては、パラジウム担持炭素、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられるが、アメリカ合衆国特許公報5550236号に記載された具体例のものを用いることもできる。
化合物(2a)は、例えば化合物(1b)と式(2c)で示される2つの脱離基を有するピリミジン誘導体とを反応させることにより合成することができる。本反応は前述の化合物(1a)と化合物(1b)との反応の方法又はこれらに準じた方法により行われる。
さらに、一般式(I)又は(II)で示されるいくつかの化合物は、以上のようにして得られた化合物から公知のアルキル化、アシル化、酸化、還元、加水分解等、当業者が通常採用し得る工程を任意に組み合わせることにより製造することもできる。例えば、ピリジルをオキシドピリジルへ、又はキノリルをオキシドキノリルへ酸化する酸化反応としては、常圧又は加圧下、溶媒の不存在下又は酢酸、トリフルオロ酢酸のような有機酸、クロロホルム、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ケトン類、水、硫酸、あるいはこれらの混合溶媒中で過酸化水素水、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、オキソン等の過酸類、若しくは酸素を用いた反応を挙げることができる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約−20℃〜約100℃、好ましくは約0℃〜約60℃である。
このようにして製造された本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施しその塩として、単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、沈澱、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して、常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法等の一般的ラセミ体分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオ混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
産業上の利用可能性
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)及び本発明化合物(II)は、優れたインスリン分泌促進作用、インスリン含量増加作用及び血糖上昇抑制作用を有する。従って、一般式(I)又は(II)で示される化合物は該作用に基づき、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患及び/又は肥満の治療及び/又は予防に有用である。
本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物の薬理作用は、以下の試験方法により確認された。
(1)インスリン分泌促進作用測定試験
本試験において、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞を用いた被検化合物のインスリン分泌促進作用を検討した。以下に試験方法を示す。
24穴プレートに2×105個/穴(0.4ml)になるようにMIN6細胞を蒔いた(培地は25mMグルコース入りのDMEMにFCSを10%になるように加えたものを用いた)。2日後に培地をアスピレーターで除き、37℃に暖めた2.8mMグルコースを含むKRB−HEPES(140mM NaCl、3.6mM KCl、0.5mM NaH2PO4、0.5mM MgSO4、1.5mM CaCl2、2mM NaHCO3、0.1%BSA、10mM HEPES(pH7.4))1mlで一度洗い、再度、同緩衝液1mlを入れて30分乃至60分間、37℃でインキュベートした。上記緩衝液をアスピレーターで除き、16.8mMグルコースを含むKRB−HEPESに被検化合物を各々10μM添加したものを、各穴に0.5mlずつ加え、22分間37℃でインキュベートした。上記サンプルを分取し、2.0μl−2.5μlをPBS50μlに希釈して、インスリン濃度をファデセフインスリンRIAキット(ファルマシア・アップジョン社製)を用いて定量した。被検化合物は100%DMSOに溶解し、終濃度0.1%で添加した。活性はDMSOを100%としたときの相対比で表した。その結果を表2に示す。
なお、表中の化合物表記において、Noは表1の化合物の化合物番号を、Exは後述の実施例化合物の実施例番号を示す(表4において同様)。
上記のように、本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物は、強いインスリン分泌促進作用を示した。
(2)インスリン含量増加作用測定試験
本試験において、ヒトインスリンプロモーターを導入した細胞を用いた被検化合物のインスリンプロモーター活性を測定することにより、インスリン含量増加作用を検討した。以下に試験方法を示す。
<ヒトインスリンプロモーターレポータープラスミドの構築>
ヒトのインスリン遺伝子の5’発現制御領域は、塩基配列が同定され(Nature284,26−32,1980.)、世界中の多くの研究者により研究されている。転写因子結合部位として知られる複数のシス(cis)エレメントはマウスやラットのインスリン遺伝子の5’発現制御領域にも共通に存在している(Diabetes44,1002−1004,1995.)。これら種を越えて共通のシスエレメントを含みプロモーター活性を示すのに十分と考えられる領域(本実施例では、−342から+37の領域。数字の+1はProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95,11572−11577,1998.に示された想定上の転写開始点を表す)を、ヒトゲノムDNA(Cat.No.6550−1;Clontech社)を用いて5’側にHind IIIサイト、3’側にNco IサイトができるようにしてPCR増幅し、プラスミドpCR2.1−Topo(Cat.No.K455001、TAクローニングシステム;Invitrogen社)にクローニングした。PCRの増幅条件は次の通りである。DNAポリメラーゼ(Ampli Taq DNAポリメラーゼ;Applied Biosystems社)を用いて1サイクルあたり94℃で30秒間2本鎖DNAを熱変性し、55℃で30秒間プライマーを変性した1本鎖DNAにアニーリングさせ、引き続き72℃で1分間DNA伸長反応させる。これを30サイクル繰り返した。つぎに、増幅断片がクローニングされたプラスミドを制限酵素Hind III(宝酒造)とNco I(宝酒造)を用いて消化することによりプラスミドから増幅断片を切り出し、ルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミド(ルシフェラーゼベクターpGV−B2,Cat.No.306−04831;東洋インキ)のルシフェラーゼ遺伝子の開始コドンのNco Iサイトとその5’上流に位置するHind IIIサイトにクローニングした。クローニングしたヒトインスリンプロモーターの塩基配列は、ジデオキシターミネーター(dideoxy terminator)法によりDNAシークエンサー(ABI377 DNA Sequencer;Applied Biosystems社)を用いて決定した。このようにして、ヒトインスリンプロモーターレポータープラスミドpIns−Luc380(以下、プラスミドInsProと称する)を構築した。なお、このプラスミドを細胞に導入し、このプラスミドに含まれるインスリンプロモーター部分が活性化されれば、ルシフェラーゼ遺伝子が生合成される。このルシフェラーゼ活性を測定することにより、インスリンプロモーター活性を測定することができる。
<インスリンプロモーター活性測定方法>
NIT1細胞4×104細胞に、トランスフェクション試薬(FuGENE6;Boeringer Mannheim社)を用いて、上記用法にて作製したプラスミドInsProを10ng導入し、96穴プレートに播種した(培地は、10%牛胎児血清(FCS)を含む、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)又はF−12培地を用いた)。播種後、18〜20時間培養し、培地で希釈した被検化合物を加え、5%CO2存在下、37℃で24時間インキュベートした。培地を吸引し、細胞溶解液(細胞溶解液LCβ;東洋インキ)で溶解した後、そのルシフェラーゼ活性を、市販の測定キット(ピッカジーン発光キット;東洋インキ)及び測定装置(ML3000 microtiter plate luminometer;Dynatech Laboratories社)を用いて測定した。被検化合物は100%DMSOに溶解し、終濃度0.1%で添加した。活性はDMSOを100%としたときの相対比で表した。その結果を表3に示す。
上記のように、本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物は、強いインスリンプロモータ活性、即ち、インスリン含量増加作用を示した。
(3)正常マウス経口糖負荷試験
本試験において、正常マウスを用いた被検化合物の糖負荷後の血糖上昇抑制作用について検討した。以下に試験方法を示す。
1週間予備飼育したICRマウス(雄、6週齢)を18〜20時間絶食し、被検動物として用いた。被検化合物は5%ポリプロピレングリコール−5%Tween80に溶解させ、グルコース負荷5分前(Nateglinideは30分前)に10mg/kg腹腔内投与(Nateglinide並びに実施例186及び197については経口投与)した。グルコース負荷後30分時の対照群に対する血糖低下率(%)を測定した。その結果を表4に示す。
上記のように、本発明の医薬の有効成分である化合物及び本発明化合物は、正常マウス経口糖負荷試験において強い血糖低下作用を示した。
本発明の医薬は、一般式(I)又は(II)で示される化合物の1種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、通常使用されている方法によって調整することができる。投与は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、液剤等による経口投与、静注、筋注等の注射剤、又は坐剤、経鼻、経粘膜、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種以上の活性物質が、少なくとも1つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、ラクトース等の安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸等の可溶化剤又は溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、EtOHを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、EtOH等のアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、例えばラクトース等の安定化剤、可溶化剤又は溶解補助剤等の添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらは又無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
通常経口投与の場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.1〜500mgが適当で、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.01〜100mgが適当で、これを1回あるいは2乃至4回に分けて投与する。投与量は症状、年齢、体重、性別等を考慮して、個々の場合に応じて適宜決定される。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において使用される原料化合物には新規な物質も含まれており、そのような原料化合物の公知物からの製造法を参考例として説明する。
参考例1
4−ブロモベンゾニトリル18.20g、クロロホルム300ml及びEtOH100mlの混合物に、攪拌しながら−65℃で塩化水素ガスを30分間吹き込んだ後、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に炭酸アンモニウム48g及びEtOH400mlを加え、室温で3日間攪拌した。反応液に水300mlを加えた後EtOHを減圧留去し、析出した固体を濾取、水洗して、4−ブロモベンズアミジン塩酸塩22.91gを無色固体として得た。
参考例1と同様に、参考例2〜4の化合物を得た。
参考例5
3,4−(メチレンジオキシ)ベンゾニトリル25.0g、50%ヒドロキシルアミン水溶液25ml及びMeOH500mlの混合物を、70℃で4時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水300mlを加え析出した固体を濾取、水洗して、N−ヒドロキシ−3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアミジン27.83gを無色固体として得た。
参考例6
N−ヒドロキシ−3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアミジン27.83g、無水酢酸17.49ml及び酢酸300mlの混合物を室温で5時間攪拌した後、10%パラジウム担持炭素4.11gを加え水素雰囲気下室温で3時間攪拌した。反応液を濾過し溶媒を減圧留去した後、残渣にエーテルを加え析出した固体を濾取して、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアミジン酢酸塩32.40gを無色固体として得た。
参考例7
4−ブロモベンズアミジン塩酸塩14.13gのMeOH250ml溶液にナトリウムメトキシド9.72gを加え室温で30分間攪拌後、アセト酢酸メチル7.50mlを加え60℃で20時間攪拌した。反応液に氷冷下で1M HCl水溶液400mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、2−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン13.98gを無色固体として得た。
参考例7と同様に、参考例8〜10の化合物を得た。
参考例11
4−ブロモベンズアミジン472mg、プロピオル酸エチル0.27mlのEtOH5ml溶液を60℃に昇温後、KOH175mgのEtOH4ml溶液を15分間で滴下し、80℃で6時間攪拌した。室温に放冷後1M HCl水溶液10mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、2−(4−ブロモフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン97mgを微黄色固体として得た。
参考例12
2−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン8.80g及びオキシ塩化リン80mlの混合物を80℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に氷水100ml及び1M NaOH水溶液150mlを順に加え、析出した固体を濾取、水洗して、2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン10.13gを無色固体として得た。
参考例12と同様に、参考例13〜15の化合物を得た。
参考例16
4−クロロ−2−(2,3−ジメトキシフェニル)−6−メチルピリミジン1.29gのジクロロメタン50ml溶液に、−78℃で1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液10.0mlを加え、室温で18時間攪拌した。反応液に−78℃でMeOH30mlを滴下した後、室温まで昇温した。溶媒を減圧留去した後、残渣にジイソプロピルエーテルを加え析出した固体を濾取して、4−クロロ−2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン1.44gを黄色固体として得た。
参考例17
4−クロロ−2−[4−(メトキシメチル)フェニル]−6−メチルピリミジン6.08g及び2M HCl水溶液30mlの2−プロパノール90ml溶液を室温で2時間攪拌した後、濃塩酸15mlを加え、さらに室温で2時間、50℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に飽和重曹水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、4−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン4.30gを得た。
参考例18
2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン5.00g、p−アニシジン3.78g及びトリエチルアミン4.30mlの2−プロパノール50ml溶液を70℃で14時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水200ml及び飽和重曹水30mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にジイソプロピルエーテル120mlを加え析出した固体を濾取して、N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−p−アニシジン6.12gを無色固体として得た。
参考例19
60%水素化ナトリウム油分散体90mgのDMF15ml溶液に、氷冷下でN−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−p−アニシジン500mgを加え室温で15分間攪拌した後、ヨウ化メチル570mgを加え室温で1時間攪拌した。反応液に水を加えEtOAcで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−N−メチル−p−アニシジン430mgを無色固体として得た。
参考例20
3−(2−アミノエチル)ピリジン8.64gのTHF200ml溶液に、氷冷下でジ−tert−ブチルジカルボナート16.21gを加え同温で10分間、室温で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水100ml及び1M NaOH水溶液30mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去して、2−(ピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル15.90gを橙色油状物として得た。
参考例21
2−(ピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル15.90gのクロロホルム300ml溶液に、氷冷下で75%mCPBA17.90gを加え同温で1時間、室温で30分間攪拌後、反応液に飽和重曹水を加えクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して、2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル12.51gを微黄色油状物として得た。
参考例22
2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチルカルバミン酸tert−ブチル12.51gと4M HCl−EtOAc溶液150mlの混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣にジエチルエーテル200mlを加え析出した固体を濾取して、3−(2−アミノエチル)ピリジン 1−オキシド二塩酸塩8.40gを無色固体として得た。
参考例23
水素化リチウムアルミニウム1.15g及びTHF50mlの混合物に、氷冷下で2−メチルニコチン酸エチル5.00gを加え、室温で1時間攪拌した。反応液に氷冷下で水2.5ml及び硫酸ナトリウム30gを順に加えセライト濾過した後、溶媒を減圧留去して、(2−メチルピリジン−3−イル)メタノール3.87gを微黄色油状物として得た。
参考例24
塩化チオニル23mlに氷冷下で(2−メチルピリジン−3−イル)メタノール3.86gを加え室温で15分間攪拌した。反応液にトルエン60mlを加え溶媒を減圧留去した後、残渣に飽和重曹水を加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にDMF70mlとシアン化カリウム3.06gを順に加え、室温で18時間攪拌した。反応液に水200mlを加え、EtOAcとクロロホルムの混合溶媒で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、(2−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル1.23gを黄色油状物として得た。
参考例25
60%水素化ナトリウム油分散体3.60gのTHF80ml溶液に、3−ピリジンアセトニトリル4.76gを加え室温で2時間攪拌した後、氷冷下でヨウ化メチル11.86gを加え室温で13時間攪拌した。反応液に氷水200mlを加えEtOAcで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去して、2−メチル−2−(ピリジン−3−イル)プロピオニトリル5.99gを褐色油状物として得た。
参考例26
(2−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル1.20gのEtOH15ml及びアンモニア水3ml溶液に、ラネーニッケル(懸濁液)1.5mlを加え水素雰囲気下室温で18時間攪拌した。反応液をセライト濾過後、溶媒を減圧留去して、3−(2−アミノエチル)−2−メチルピリジン1.05gを黄緑色油状物として得た。
参考例化合物の構造と物理学的データを表5に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す。
Rf:参考例番号、
Data:物理学的データ、FMS:質量分析データ(特に記載がない場合は、FAB−MS(M+H)+データ)、NMR:NMRデータ((CH3)4Siを内部標準とし、特に記載がない場合はDMSO−d6を測定溶媒とする1H−NMRにおけるピークのδ(ppm))、
Salt:塩(HCl:塩酸塩、HBr:臭化水素酸塩、AcOH:酢酸塩、ox:シュウ酸塩、無記載:フリー体)、
Structure:化学構造式、Et:エチル、tBu:ターシャリーブチル。
実施例1
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン284mg、70%エチルアミン水溶液1ml及びMeOH2mlの混合物を室温で2時間攪拌し、次いで60℃で3時間攪拌後、70%エチルアミン水溶液1mlを加え更に60℃で5時間攪拌した。室温に放冷後、水10mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]エチルアミン198mgを無色固体として得た。
実施例2
4−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}安息香酸メチル100mg、1M NaOH水溶液1ml及びMeOH4mlの混合物を50℃で1.5時間攪拌した。室温に放冷後、1M HCl水溶液1ml及び水3mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、4−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}安息香酸70mgを無色固体として得た。
実施例3
水素化リチウムアルミニウム10mg及びTHF10mlの混合物に、氷冷下で4−{4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}安息香酸メチル90mgを加え、室温で2時間攪拌した。反応液に1M HCl水溶液及び飽和重曹水を順に加え酢酸エチル(EtOAc)で抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣にジイソプロピルエーテル及びヘキサンを加え析出した固体を濾取して、4−{4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ベンジルアルコール88mgを無色固体として得た。
実施例4
2−{[6−メチル−2−(4−ニトロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール2.04gのEtOAc50ml及びTHF50ml溶液に、10%パラジウム担持炭素350mgを加え水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。反応液を濾過後、溶媒を減圧留去して、2−{[2−(4−アミノフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール1.80gを黄色固体として得た。
実施例5
2−{[2−(4−アミノフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール230mg、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン140mg及び酢酸6mlの混合物を100℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に1M NaOH水溶液を加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、2−{{2−[4−(1−ピロリル)フェニル]−6−メチルピリミジン−4−イル}アミノ}エタノール180mgを得た。
実施例6
N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−p−アニシジン300mg、4−メトキシフェニルボロン酸220mg、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム32mg、炭酸ナトリウム250mg、トルエン10ml、EtOH4ml及び水5mlの混合物を加熱還流下6時間攪拌した。反応液に水を加えEtOAcで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、N−[2−(4−メトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]−p−アニシジン140mgを無色粉状物として得た。
実施例7
N−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−4−フルオロアニリン135mg、2−(メトキシメトキシ)フェニルボロン酸150mg、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム20mg、炭酸ナトリウム120mg、トルエン15ml、EtOH3ml及び水5mlを用い、実施例97と同様の操作を行って4−フルオロ−N−{2−[2−(メトキシメトキシ)フェニル]−6−メチルピリミジン−4−イル}アニリン150mgを得た。このものに4M HCl水溶液10ml及び2−プロパノール20mlを加え、50℃で3時間攪拌した。反応液に1M NaOH水溶液を加えEtOAcで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にジイソプロピルエーテル及びヘキサンを加え析出した固体を濾取して、4−フルオロ−N−[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アニリン76mgを微黄色固体として得た。
実施例8
2−(3−{[2−(2−メトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルアセトアミド170mg及びピリジン塩酸塩1.50gの混合物を、200℃で20分間攪拌した。反応液に重曹水を加えEtOAcで抽出した後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して2−(3−{[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルアセトアミドを得た。このものにEtOH、エーテル及び4M HCl−EtOAc溶液を加え、析出した固体を濾取して、2−(3−{[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩80mgを得た。
実施例9
実施例119のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、実施例119の化合物が溶出した後の溶出画分より得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え析出した固体を濾取して、(3−{[2−(2−ヒドロキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)酢酸15mgを得た。
実施例10
2−(4−{[2−(2,4−ジメトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)エタノール290mg及び48%臭化水素酸20mlの混合物を、100℃で14時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に飽和重曹水を加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製したのち、ジイソプロピルエーテル及びヘキサンを加え析出した固体を濾取して、4−(4−{[4−(2−ブロモエチル)フェニル]アミノ}−6−メチルピリミジン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール72mgを得た。
実施例11
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン7.1mg及びチオフェン−2−イルメチルアミン28mgの混合物を80℃で13時間攪拌した後、DMF2ml及びPS−ベンズアルデヒド(Argonaut Technologies社製、1.22mmol/g)205mgを加え室温で終夜攪拌した。反応液を濾過後溶媒を減圧留去して、N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]−(チオフェン−2−イル)メチルアミン9.8mgを得た。
実施例12
4−クロロ−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン200mg、3−(2−アミノエチル)ピリジン−N−オキシド 二塩酸塩779mg、炭酸カリウム1.02g及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン4mlの混合物を80℃で22時間攪拌した。室温に放冷後、水15ml及び1M NaOH水溶液5mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して3−(2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド159mgを微黄色固体として得た。
実施例13
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン2.00g、3−(2−アミノエチル)ピリジン2.50g、ジイソプロピルエチルアミン962mg、ジオキサン20ml及びトルエン10mlを用い、実施例1と同様の操作を行って[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][2−(3−ピリジル)エチル]アミン1.42gを得た。このもののクロロホルム20ml溶液に、75%mCPBA1.40gを加え室温で22時間攪拌後、75%mCPBA0.20gを加え更に13時間攪拌した。反応液に飽和重曹水40mlを加えクロロホルムで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して、3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド1.11gを黄色油状物として得た。
実施例14
1M 三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液5mlに、氷冷下で2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−(メトキシメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール シュウ酸塩429mgを加え室温で8時間攪拌後、更に氷冷下で1M 三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液5mlを加え徐々に室温まで上昇しながら1.5時間攪拌した。反応液に氷及び1M NaOH水溶液30mlを加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製した。得られた黄色固体57mgにEtOH、アセトニトリル及びシュウ酸16mgを加え、析出した固体を同混合溶媒から再結晶して、2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール シュウ酸塩18mgを無色粉状物として得た。
実施例15
{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}酢酸 tert−ブチル478mg及び4M HCl−ジオキサン溶液10mlの混合物を室温で21時間攪拌した。反応液にジエチルエーテル50mlを加え析出した固体を濾取して、{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}酢酸 塩酸塩424mgを微黄色固体として得た。
実施例16
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]エタン−1,2−ジアミン242mg、塩化メタンスルホニル60μl、トリエチルアミン0.16ml及びTHF5mlの混合物を、室温で5分間攪拌した。反応液に水15mlを加えEtOAcで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣283mgにEtOH及びシュウ酸71mgを加えた後、析出した固体を濾取しエーテルで洗浄して、N−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)メタンスルホンアミド シュウ酸塩271mgを微黄色固体として得た。
実施例17
2−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−6−メチルピリミジン1.00g、アジ化ナトリウム2.21g及びアセトニトリル20mlの混合物を80℃で5日間攪拌した後、アセトニトリル10ml及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン4mlを加え更に同温で28時間攪拌した。反応液に水80mlを加え析出した固体を濾取、水洗した。得られた微黄色固体0.66gにトリフェニルホスフィン0.72g及びTHF15mlを加え室温で4時間攪拌後、水0.41mlを加え更に室温で18時間攪拌した。反応液に水50mlを加えEtOAcで抽出し、有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製した。得られた無色非晶性固体1.13gと酢酸600mg、水10ml及びEtOH10mlの混合物を3時間加熱還流した。室温に放冷後、飽和重曹水120mlを加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc〜クロロホルム:MeOH)で精製して、[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミン558mgを無色固体として得た。
実施例18
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]エタン−1,2−ジアミン307mg、ニコチン酸135mg、WSCD塩酸塩287mg及びTHF6mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応液に水20mlを加えEtOAcで抽出した。有機層を飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄しMgSO4で乾燥後、溶媒を減圧留去して、N−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ニコチンアミド340mgを微黄色固体として得た。
実施例19
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル][2−(6−クロロ−3−ピリジル)エチル]アミン145mg及びエチレンジアミン2mlの混合物を110℃で11日間攪拌した。室温に放冷後、EtOAc20mlを加え1M HCl水溶液20mlで抽出した。水層に5M NaOH水溶液5mlを加えクロロホルムで抽出後、MgSO4で乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:McOH:28%アンモニア水)で精製した。得られた褐色油状物66mgにEtOH及びシュウ酸28mgを加え、析出した固体をEtOHから再結晶して、N−[5−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン−2−イル]エタン−1,2−ジアミン シュウ酸塩45mgを褐色固体として得た。
実施例20
4−(4−メチル−6−{[2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチル]アミノ}ピリミジン−2−イル)安息香酸399mg、1,1’−カルボニルジイミダゾール369mg、THF8ml及びジオキサン5mlの混合物を60℃に加熱し、室温に放冷しながら終夜攪拌後、28%アンモニア水8mlを加え更に室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH)で精製して、4−(4−メチル−6−{[2−(1−オキシドピリジン−3−イル)エチル]アミノ}ピリミジン−2−イル)ベンズアミド110mgを無色固体として得た。
実施例21
N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]−(ピリジン−3−イル)エチルアミン84mg、ヨウ化メチル15μl及び酢酸エチル10mlの混合物を室温で4時間攪拌後、ヨウ化メチル60μlを加え同温で4日間、更にヨウ化メチル35μlを加え更に6日間攪拌した。溶媒を減圧留去して、ヨウ化3−{2−[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イルアミノ]エチル}−1−メチルピリジニウム100mgを黄色非晶性固体として得た。
上記実施例化合物の構造と物理学的データを表6に示す。また、これらの実施例化合物と同様の製造法により得た実施例化合物の構造と物理学的データを表7〜12に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す。
Ex:実施例番号、
Salt:塩(HCl:塩酸塩、HBr:臭化水素酸塩、ox:シュウ酸塩、無記載:フリー体)、
Syn:製造法(数字は同様に製造した実施例番号を示す)、
R31、R32、R33、R34、R35、R41:一般式中の置換基(nPr:ノルマルプルピル、iPr:イソプロピル、cPr:シクロプロピル、nBu:ノルマルブチル、iBu:イソブチル、nPen:ノルマルペンチル、cPen:シクロペンチル、cHep:シクロヘプチル、nor:ノルボルニル、adam:アダマンチル、naph:ナフチル、pipe:ピペリジニル、mor:モルホリル、pyrr:ピロリル、imid:イミダゾリル、Fur:フリル、The:チエニル、thia:チアゾリル、Py:ピリジル、oxPy:1−オキシドピリジル、bthio:ベンゾチエニル、bthia:ベンゾチアゾリル、imidthia:イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、quin:キノリニル、oxquin:1−オキシドキノリニル、Ac:アセチル、di:ジ、tri:トリ。置換基の前の数字は置換位置を示し、従って、例えば5−Br−2−Theは5−ブロモチオフェン−2−イルを、−(CH2)2OHは2−ヒドロキシエチルを、−(CH2)2−(2−Me−3−oxPy)は2−(2−メチル−1−オキシドピリジン−3−イル)エチルを示す。)。
いくつかの実施例化合物のNMRデータを表13に示す。
以下、表14〜18に本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や、実施例記載の方法、及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより容易に合成することができる。
【0005】
発明の開示
本発明者等は、インスリン分泌促進作用又はインスリン含量増加作用を有する化合物について鋭意研究し、ピリミジン誘導体が上述の文献1〜8のいずれにも記載されていない優れたインスリン分泌促進作用、及びインスリン含量増加作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤が提供される。
[式中の記号は以下の意味を示す。
−R11: 式−A11−D11で示される基。
A11: 単結合、低級アルキレン又は低級アルケニレン。
D11: それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環、若しくは非芳香族ヘテロ環。但し、A11が単結合であり、D11が置換されていてもよい芳香族ヘテロ環である場合、当該芳香族ヘテロ環は、その環構成原子の炭素原子がピリミジン環と結合する。
R12: アリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
R13: −H、メチル又はフルオロ。
R14: 1つ以上のハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
−R15: 式−A15−D15で示される基。
A15: 単結合又はそれぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン。
D15: −H;−O−低級アルキル;低級アルキル及びアリールからなる群より選択
発明の開示
本発明者等は、インスリン分泌促進作用又はインスリン含量増加作用を有する化合物について鋭意研究し、ピリミジン誘導体が上述の文献1〜8のいずれにも記載されていない優れたインスリン分泌促進作用、及びインスリン含量増加作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤、インスリン含量増加剤及び/又は糖尿病治療剤が提供される。
[式中の記号は以下の意味を示す。
−R11: 式−A11−D11で示される基。
A11: 単結合、低級アルキレン又は低級アルケニレン。
D11: それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環、若しくは非芳香族ヘテロ環。但し、A11が単結合であり、D11が置換されていてもよい芳香族ヘテロ環である場合、当該芳香族ヘテロ環は、その環構成原子の炭素原子がピリミジン環と結合する。
R12: アリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
R13: −H、メチル又はフルオロ。
R14: 1つ以上のハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
−R15: 式−A15−D15で示される基。
A15: 単結合又はそれぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン。
D15: −H;−O−低級アルキル;低級アルキル及びアリールからなる群より選択
【0008】
また、本発明によれば、一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩
[式中の記号は以下の意味を示す。
R21: それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。但し、R21が置換されていてもよい芳香族ヘテロ環である場合、当該芳香族ヘテロ環は、その環構成原子の炭素原子がピリミジン環と結合する。
R22: メチル又はエチル。
R23: −H又はフルオロ。
R24: −H。
R25: それぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキル。
(但し、R22がメチルであり、かつ、R23が−Hである場合、
R25は置換されていない低級アルキル;
また、本発明によれば、一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩
[式中の記号は以下の意味を示す。
R21: それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。但し、R21が置換されていてもよい芳香族ヘテロ環である場合、当該芳香族ヘテロ環は、その環構成原子の炭素原子がピリミジン環と結合する。
R22: メチル又はエチル。
R23: −H又はフルオロ。
R24: −H。
R25: それぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキル。
(但し、R22がメチルであり、かつ、R23が−Hである場合、
R25は置換されていない低級アルキル;
Claims (20)
- 一般式(I)で示されるいずれかのピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン分泌促進剤。
[式中の記号は以下の意味を示す。
−R11:式−A11−D11で示される基。
A11:単結合、低級アルキレン又は低級アルケニレン。
D11:それぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環。
R12:アリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
R13:−H、メチル又はフルオロ。
R14:1つ以上のハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル又は−H。
−R15:式−A15−D15で示される基。
A15:単結合又はそれぞれ置換されていてもよい低級アルキレン若しくは低級アルケニレン。
D15:−H;−O−低級アルキル;低級アルキル及びアリールからなる群より選択される1つ又は2つの基で置換されていてもよいアミノ;又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環。] - R12がアリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル(但し、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルを除く。)である請求の範囲1記載の医薬。
- A11が単結合であり、
D11がそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環であり、
R12がメチル又はエチルであり、
R13が−H又はフルオロであり、
R14が−Hであり、
D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環である請求の範囲2記載の医薬。 - D11がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルである請求の範囲3記載の医薬。
- 請求の範囲1記載の一般式(I)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とするインスリン含量増加剤。
- R12がアリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル(但し、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルを除く。)である請求の範囲5記載の医薬。
- A11が単結合であり、
D11がそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環であり、
R12がメチル又はエチルであり、
R13が−H又はフルオロであり、
R14が−Hであり、
D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環である請求の範囲6記載の医薬。 - D11がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルである請求の範囲7記載の医薬。
- 請求の範囲1記載の一般式(I)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とする糖尿病治療剤。
- R12がアリール、ハロゲン、−O−低級アルキル及び−OHからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル(但し、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルを除く。)である請求の範囲9記載の医薬。
- A11が単結合であり、
D11がそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環であり、
R12がメチル又はエチルであり、
R13が−H又はフルオロであり、
R14が−Hであり、
D15が−H又はそれぞれ置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環である請求の範囲10記載の医薬。 - D11がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルである請求の範囲11記載の医薬。
- 一般式(II)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩。
[式中の記号は以下の意味を示す。
R21:それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。
R22:メチル又はエチル。
R23:−H又はフルオロ。
R24:−H。
R25:それぞれ置換されていてもよい低級アルキル若しくはシクロアルキル。
(但し、R22がメチルであり、かつ、R23が−Hである場合、
R25は置換されていない低級アルキル;
ジメチルアミノ若しくはジイソプロピルアミノでそれぞれ置換されているエチル若しくはプロピル;
低級アルキル及びフェニルからなる群より選択される同一又は異なる2つの基で置換されているカルバモイルで置換されているメチル;及び置換されていてもよいフェニルで置換されているメチルを除く。)
但し、
6−メチル−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−2−フェニルピリミジン−4−アミン、
6−メチル−2−(4−メトキシフェニル)−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−アミン、
2−{[6−メチル−2−(6−メチルピリジン−2−イル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
及び、
[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル](シクロヘキシル)アミンを除く。] - R25が置換されていてもよい低級アルキルである請求の範囲13記載の化合物。
- R21がそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ベンゾジオキソリル若しくはベンゾオキサジアゾリルであり、
R25がピリジル、オキシドピリジル及び−OHからなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキルである請求の範囲14記載の化合物。 - 請求の範囲13、14又は15記載の化合物のうち、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[6−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
2−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エタノール、
3−(2−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、
3−(2−{[6−エチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン1−オキシド、若しくは、
3−(2−{[6−メチル−2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}エチル)ピリジン 1−オキシド、又はその製薬学的に許容される塩。 - 請求の範囲13,14,15又は16記載のいずれかの化合物を有効成分とする医薬組成物。
- インスリン分泌促進剤である、請求の範囲17記載の医薬組成物。
- インスリン含量増加剤である、請求の範囲17記載の医薬組成物。
- 糖尿病治療剤である、請求の範囲17記載の医薬組成物。
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