JPH11505377A - 半導体装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は透明材料の２つの接続電極（２，３）と、透明絶縁層（６）によりチャネル領域から分離された導電材料の透明ゲート電極（５）が設けられた半導体材料の介在透明チャネル領域とを有する透明スイッチング素子（１）が設けられた半導体装置に関する。本発明によれば、前記半導体材料は、伝導帯(11)と2.5ｅＶ以上の電子の価電子帯(12)との間にバンドギャップ(10)を有し、塩基性材料の価電子帯(12)または伝導帯(11)に、あるいはこれに隣接する固定不純物エネルギー準位(13)を形成するドーパント原子が設けられた10ｃｍ²／Ｖｓ以上の電荷キャリアの移動度を有する塩基性材料が設けられた縮退半導体材料を具える。本発明による縮退半導体材料は透明である。その理由は可視光の吸収が大きなバンドギャップ(10)のため、不可能であり、しかも、不純物エネルギー準位(13)を経て可視光が吸収されない。本発明半導体装置は比較的速いスイッチングを行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】 半導体装置 発明の技術分野 本発明は透明材料の２つの接続電極と、透明絶縁層によりチャネル領域から分 離された導電材料の透明ゲート電極が設けられた半導体材料の介在透明チャネル 領域とを有する透明スイッチング素子が設けられた半導体装置に関するものであ る。 ここに云う“透明”とは光が可視光範囲で実質的に吸収されないことを意味す るものとする。 発明の背景 特許願60-198861 には透明接続電極およびゲート電極を錫ドープ酸化インジウ ムで構成し、絶縁層を酸化シリコンで構成するようにした上述した種類の半導体 装置が記載されている。チャネル領域の透明半導体材料としてはＷＯ₃が用いら れている。 既知の半導体装置はいわゆる“電子−クロミック装置”（ＥＣＤ）である。か かる装置の接続上には電解液が存在する。従ってこの電解液からＷＯ₃内にＨ⁺イ オンが拡散される。従って、ＷＯ₃は可視光を吸収することができる。即ち、ス イッチング素子はカラーと見なすことができる。このＨ⁺イオンの拡散は緩慢に 進行する。スイッチング素子はＨ⁺イオンのこの緩慢な拡散のためにあるメモリ 効果を有する。即ち、スイッチング素子はある時間に亘って所定の状態に保持さ れる。この既知の半導体装置は極めて限定された度合で、即ち、ＷＯ₃内にＨ⁺イ オンが存在しない場合にのみ透明となる。それ自体絶縁体であるＷＯ₃の導電度 はＷＯ₃内の酸素の量が減少することによって決まる（“酸素空乏ＷＯ₃”）。 上述した既知の半導体装置では、これが比較的緩慢に状態切換を行うと云う実 際的な欠点があることを確かめた。その理由はスイッチング素子のスイッチング が部分的にはＨ⁺イオンの固体拡散によっても決まるからである。また、既知の 半導体材料においては、既に酸素が比較的僅かだけ除去されているため可視光の 吸収が強く増大し、従って半導体材料の導電度がある所望の値となった場合には 材料はもはや透明とはならない。これは、既知のスイッチング素子を全ての状況 の下で透明となるスイッチング素子として用いることができないことを意味する 。 本発明の目的は上述した欠点に対処し得るようにした半導体装置を提供せんと するにある。 発明の概要 この目的のため、本発明は透明材料の２つの接続電極と、透明絶縁層によりチ ャネル領域から分離された導電材料の透明ゲート電極が設けられた半導体材料の 介在透明チャネル領域とを有する透明スイッチング素子が設けられた半導体装置 において、前記半導体材料は、伝導帯と2.5 ｅＶ以上の電子の価電子帯との間に バンドギャップを有し、塩基性材料の価電子帯または伝導帯に、あるいはこれに 隣接する固定不純物エネルギー準位を形成するドーパント原子が設けられた10ｃ ｍ²／Ｖｓ以上の電荷キャリアの移動度を有する塩基性材料が設けられた縮退半 導体材料を具えることを特徴とする。 従って塩基性材料はそのバンドギャップを2.5 ｅＶ以上とし、移動度を10ｃｍ² ／Ｖｓ以上とするように選択し、その後導電度をドーパント原子の性質および 濃度を好適に選択することによって決定する。ドーパント原子の濃度は0.001 ％ 乃至0.3 ％の範囲に選択すると充分な導電度が得られるようになる。不純物エネ ルギー準位はこれがバンドギャップからほぼ0.1 ｅＶ以下の距離にある場合には 、価電子帯または伝導帯に隣接する。電子は室温で不純物エネルギー準位から価 電子帯または伝導帯に容易に変換され得るようになる。 可視光のエネルギーはほぼ2.5 ｅＶ以上のバンドギャップを有する半導体材料 に電子−正孔対を形成するには不充分であるため、この可視光は半導体材料によ っては吸収されない。本発明による縮退半導体材料は透明となる。その理由は可 視光の吸収が大きなバンドギャップのために不可能であり、これと同時に不純物 エネルギー準位のため可視光の吸収が生じないからである。加うるに、本発明半 導体材料を設けたスイッチング素子は電荷キャリアの高移動度のため比較的迅速 に作動する。 前記塩基性材料は非遷移金属の共有結合酸化物を具えるようにするのが好適で ある。かかる金属の酸化物およびかかる金属、例えば、Ｇａ，Ｓｎ，Ｚｎ，Ｓｂ ，Ｐｂ，ＧｅおよびＩｎの酸化物の化合物は、その移動度が10ｃｍ²／Ｖｓ以上 であり、バンドギャップが2.5 ｅＶ以上である（例えば、J．Phys．Chem．Ref． Data，Vol．2，No．1，1973，P.163 ff.参照）。非遷移金属の一層イオン的な酸 化物は塩基性材料としては好適ではない。その理由は電荷キャリアと結晶格子の イオンとの間に強い相互作用が働くからである。 前記塩基性材料はＳｎ，ＺｎおよびＩｎより成る群から選択された共有酸化物 を具えるようにするのが好適である。これら共有結合酸化物はその移動度が比較 的高く、ドーパント原子を設けた場合でも30ｃｍ²／Ｖｓ以上である。ドーパン ト原子は使用する共有結合酸化物に対し減衰する。従って、Ｓｂ，ＦまたはＣｌ のようなドーパント原子はＳｎＯ₃が共有結合酸化物である際に用いることがで き、Ｓｎドーパント原子はＩｎ₂Ｏ₃が共有結合酸化物である際に用いることがで き、Ｇａドーパント原子はＺｎＯが共有結合酸化物である際に用いることができ る。 好適な例では、前記接続電極、ゲート電極およびチャネル領域は同一の型のド ーパント原子を設けた同一の塩基性材料を具え、前記半導体材料は導電材料のド ーズ量よりも少量のドーパント原子を含むようにする。かかる半導体装置は比較 的容易に製造することができる。その理由はドーパント原子の量がことなるだけ で同一の材料を用いるからである。好適には、導電材料は０．５％以上のドーパ ント原子を含み、半導体材料は０．３％以下のドーパント原子を含むようにする 。前記塩基性材料はＳｎＯ₂を含み、前記ドーパント原子はＳｂを含むようにす るのが有利である。 前記絶縁層が強誘電材料を含む場合には追加の利点が得られる。例えば前記強 誘電材料はニオブ酸リチウム(ＬｉＮｂＯ₃)、タンタル酸リチウム(ＬｉＴａＯ₃) またはチタン酸鉛−ジルコニウム(ＰｂＺｒＴｉＯ₃)とすることができる。好適 には、チタン酸鉛−ジルコニウムを選択する。その理由はこの材料はその製造お よび他の材料との両立（適合）性が比較的容易であり、偏向性が比較的高く（50 μＣ／ｃｍ²）且つスイッチング電界が低い（ほぼ20ｋＶ／ｃｍ）からである 。従ってスイッチング素子は不揮発性メモリとなる。チャネル領域から電荷キャ リアを除去することによってスイッチング素子をスイッチオフするために例えば ゲート電極に電圧を印加することによって強誘電材料の両端間に電界を発生する 。この電圧を再び除去すると、強誘電材料の偏向が残留するようになる。即ち、 強誘電材料は電界の方向を記憶する。この残留偏向によってチャネル領域は電荷 キャリアが除去されたままとなり、従ってスイッチング素子は電圧を除去下にも かかわらずスイッチオフされたままとなる。 電極を有する電気−光学表示素子と、これら電極間に介挿された電気−光学材 料とを具え、前記透明スイッチング素子の接続電極を前記表示素子の電極に接続 し、前記透明スイッチング素子および前記表示素子は少なくとも一部分が互いに 重畳されるようにするのが好適である。ここに云う“電気−光学表示素子”とは 、電流または電圧のような電気量の影響のもとで光学的特性が変化する表示素子 、例えば通常液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）に関連する素子を意味するものとする 。本発明スイッチング素子は液晶ディスプレイにこの素子を用い得る高い周波数 で表示素子をスイッチングするに充分な速さで作動する。この表示素子は電気的 には共働するスイッチング素子即ち、内蔵スイッチング素子により充電または放 電するコンデンサとして作用する。実際上、半導体装置は各々が例えばマトリッ クスに配列された自己のスイッチング素子を有する多くの表示素子を具える。こ れらスイッチング素子は既知の装置に表示素子に次いで配列される。従ってこの 装置は比較的大きな表面積を占める。スイッチング素子に用いられる表面積は電 気−光学表示素子には用いられない。本発明半導体装置ではスイッチング素子お よび表示素子が部分的にまたは全体的に重畳するため、半導体装置の表面の大部 分を表示素子に用いることができる。透明なスイッチング素子は表示素子を光が 通過するのを妨害しない。 電気−光学撮像素子を具え、前記透明スイッチング素子を前記撮像素子に接続 し、前記スイッチング素子および前記撮像素子は少なくとも一部分が互いに重畳 されるようにする場合には追加の利点が得られる。従って半導体装置はカメラや スキャナのような光学的記録装置の一部分を構成する。ここに云う“電気−光学 撮像素子”とは光子束を電気的に測定すべき量に変換する素子を意味するものと する。従って例えば光子により撮像素子内に誘起された電荷をスイッチング素子 によって読取ることができる。スイッチング素子が透明であるため、スイッチン グ素子および撮像素子は部分的にまたは全体的に重畳させることができる。従っ てカメラを著しくコンパクトに設計することができ、しかも各撮像素子は例えば 個別に読取り、リセットし、またはリフレッシュすることができる。 図面の簡単な説明 図１は本発明透明スイッチング素子を有する半導体装置の一例を示す平面図、 図２は図１の半導体装置のＩ−Ｉ線上の断面図、 図３は本発明縮退半導体における電子のエネルギー準位を示す説明図、 図４は本発明半導体装置の第２例を示す断面図、 図５は図４に示す半導体装置の第２例における接続電極２及び３間の抵抗Ｒ_{2- 3} をゲート電極５及び接続電極２間の電圧Ｖ_gateの関数としてプロットして示す 説明図、 図６は図４に示す半導体装置の第２例において電圧Ｖ_gateおよび接続電極２及 び３間の電流Ｉ_2-3を時間ｔの関数としてプロットして示す説明図、 図７は強誘電材料の分極Ｐを強誘電材料を横切る電界の関数としてプロットし て示す説明図、 図８はマトリックス配列の内蔵スイッチング素子が設けられた電気−光学表示 素子または電気−光学撮像素子を有する本発明の第３例および第４例の半導体装 置を示す平面図、 図９は図８の内蔵スイッチング素子が設けられた単一の表示素子または撮像素 子を示す平面図、 図１０は図８および図９の半導体装置の等価回路図、 図１１は強誘電分離器に配設された単位ゲート電極表面積当たりの電荷Ｑをゲ ート電極の電圧Ｖ_Gの関数としてプロットした特性図、 図１２は伝達特性、即ち、接続電極間の電流Ｉ_Dおよびゲート電極の電圧Ｖ_Gと の関係を示す特性図、 図１３は電圧パルスがゲート電極に供給された際の接続電極間の電流Ｉ_Dの傾 度を時間ｔの関数として示す特性図、 図１４は電流Ｉ_Dと電圧Ｖ_Gとの電流−電圧特性を示す特性図である。発明を実 施するための最良の形態 図面は寸法通りではなく多少誇張して示してあり、且つ一般に図中同一部分に は同一符号を付して示す。 図１および２は透明材料の２つの接続電極２、３を有するスイッチング素子１ と、半導体材料の介在透明チャネル領域４とを設けた透明半導体装置を示す。本 例では、接続電極およびチャネル領域は同一半導体材料から造る。接続電極２、 ３の抵抗値はその幅のみにに起因して比較的低い。チャネル領域４には透明な導 電性ゲート電極５を設け、これを透明絶縁層６によってチャネル領域４から分離 する。本発明によればチャネル領域４の半導体材料は塩基性材料およびドーパン ト原子を有する縮退半導体材料を具える。図３は縮退半導体の電子のエネルギー 準位13を示す。塩基性材料は2.5 ｅＶ以上の電子の伝導帯11および価電子帯12間 のバンドギャップ10を有し、塩基性材料の電荷キャリアの移動度は10ｃｍ²/Ｖｓ である。塩基性材料にはドーパント原子を設け、このドーパント原子は塩基性材 料の、適用可能なように、価電子帯または伝導帯12,11 に、またはこれに隣接す る固定不純物エネルギー準位13を形成する。この不純物エネルギー準位13は伝導 帯または価電子帯の縁部からほぼ0.1 ｅＶ以下の距離14の箇所において価電子帯 または伝導帯12,11 に隣接して位置する。不純物エネルギー準位13は全価電子帯 または伝導帯12,11 内に存在する。導電度はドーパント原子を好適に選定するこ とによって決めることができる。ドーパント原子濃度は0.001 ％乃至0.3 ％の範 囲にすると充分に高い導電度を得ることができる。電子は室温で不純物エネルギ ー充分に13から価電子帯または伝導帯12,11 と容易に交換することができる。 図１および２の半導体装置は次のように製造することができる。厚さ50ｎｍの 導電性ＳｒＲｕＯ₃層５は絶縁単結晶ＳｒＴｉＯ₃基板７上にエピタキシヤル堆積 により設ける。ＳｒＲｕＯ₃はそれ自体透明ではないが、ほぼ60ｎｍ以下のＳｒ ＲｕＯ₃の極めて薄い層は透明である。このＳｒＲｕＯ₃層５上に厚さ0.7 μｍの モリブデン層を蒸着する。このモリブデン層はフォトレジストおよびＣＦ₄／Ｏ₂ によるＡｒ補助反応性エッチング（ＲＩＥ）によって既知のようにパターン化す る。次いで、パターン化されたモリブデンはＣＨＦ₃によるＲＩＥによっ てＳｒＲｕＯ₃層をパターン化するためのマスクとして用いてゲート電極５を形 成する。次いで残存するモリブデンはヘキサシアノ鉄酸カリウムによるいわゆる 酸化還元エッチング処理によって除去する。次に、ゲート電極５上および基板７ の表面上に透明絶縁層６および半導体材料４を設ける。本例では、ＢａＺｒＯ₂ の厚さ0.2 μｍの絶縁層６は650 ℃の温度で、且つ0.2mbar の酸素圧でパルスレ ーザ堆積によって設ける。次いで、0.03％のＳｎがドープされたＩｎ₂Ｏ₃の厚さ 0.1 μｍの層４を、0.2mbar の酸素圧および505 ℃の温度でパルスレーザ堆積に よって絶縁層６上および基板７の表面上に既知のように設ける。層４および６は 、ゲート電極５に対する導電層の場合と同様に、フォトレジストおよびモリブデ ン層を用いて再びパターン化する。ゲート電極５に損傷を与えないように限定期 間のみエッチングを行う。チャネル領域４および接続電極２は斯様にして形成す る。 接続電極２に対するゲート電極５の−４Ｖ以下の電圧で、この第１例により製 造されたスイッチング素子のチャネル領域は電荷キャリアを完全に空乏化する。 従って接続電極２および３間には200 ｋΩ以上の抵抗が得られる。ゲート電極５ における零Ｖ以上の電圧で、スイッチング素子が導通状態となり、接続電極２お よび３間の抵抗値はほぼ10ｋΩとなる。第１例によるスイッチング素子は種々に 変更することができる。これがため、スイッチング素子の電気特性は例えばチャ ネル領域の寸法または絶縁層の厚さのような幾何学的形状を変更することによっ て変化させることができる。また、チャネル領域４の半導体材料に対し、ドーパ ント原子を設けた非遷移金属の他の共有結合酸化物を用いることもできる。これ ら金属の酸化物およびその混合物は10ｃｍ２／Ｖｓ以上の移動度および2.5 ｅＶ 以上のバンドギャップを有する。例えば、Ｇａ₂Ｏ₃，Ｂｉ₂Ｏ₃，ＳｎＯ₂，Ｚｎ Ｏ，Ｓｂ₂Ｏ₃，ＰｂＯ，ＧｅＯ₂またはＩｎ₂Ｏ₃，これら酸化物の混合物，また はＧａＩｎＯ₃，ＺｎＧａ２Ｏ₄，またはＣｄＧａ₂Ｏ₄のようなこれら酸化物から 形成された化合物を用いることができる。これら共有結合酸化物はレーザ堆積、 ガス相からの分解後の堆積（ＣＶＤ）または蒸着によって得ることができる。ド ーパント原子は蒸着源または使用ガスによって塩基性材料内に導入することがで きる。ドーパント原子の濃度は0.001 ％乃至0.3 ％の範囲とするこ とによってスイッチング素子の半導体材料として用いるに充分な高さの導電度を 得ることができる。 好適には、半導体材料はＳｎ，Ｚｎ，Ｉｎより成る群から選択された金属の共 有結合酸化物を具える。これら共有結合酸化物はドーパント原子を設けた場合で も30ｃｍ²／Ｖｓ以上の移動度を有する。従って、これらドーパント原子は使用 する共有結合酸化物まで減衰する。これがため、ＳｎＯ₂を共有結合酸化物とす る場合にはＳｂ，ＦまたはＣｌのようなドーパント原子を用いることができ、Ｉ ｎ₂Ｏ₃を共有結合酸化物とする場合にはＳｎのようなドーパント原子を用いるこ とができ、且つＺｎＯを共有結合酸化物とする場合にはＧａのようなドーパント 原子を用いることができる。特にＡＴＯとしても既知のＳｂドープＳｎＯ₂、ま たはＩＴＯとしても既知のＳｎドープＩｎ₂Ｏ₃は著しく好適な材料である。 図４は本発明スイッチング素子１の第２実施例を示す。ガラス基板７、本例で は、0.2mbar のＯ₂圧且つ505 ℃の温度でパルスレーザ堆積により既知のように 堆積されたSb1.5 ％ドープの厚さ0.2 μｍのＳｎＯ₂層上に透明導電材料を設け る。この透明導電材料の上に蒸着により厚さ0.7 μｍのモリブデン層を設ける。 このモリブデン層はフォトレジストおよびＣＦ₄/Ｏ₂を用いるＲＩＥによって既 知のようにパターン化する。次に、パターン化されたモリブデン層をマスクとし て用いてＣＦＨ₃によるＲＩＥによってドープされたＳｎＯ₂層をパターン化して ゲート電極５を形成する。次いで、モリブデン層をヘキサシアノ鉄酸カリウムに よる酸化還元エッチング処理によって除去する。次に、強誘電材料の厚さ0.25μ ｍの透明絶縁層６をゲート電極５上および基板７の表面上に設ける。使用し得る 強誘電材料は例えば、ニオブ酸リチウム(ＬｉＮｂＯ₃)、タンタル酸リチウム(Ｌ ｉＴａＯ₃)またはチタン酸鉛−ジルコニウム(ＰｂＺｒ_xＴｉ_1-xＯ₃)がある。本 例では、チタン酸鉛−ジルコニウムＰｂＺｒ_0.2Ｔｉ_0.8Ｏ₃を用いる。その理由 はこの材料は他の使用材料との両立性を考慮する事なく比較的容易に提供できる からである。さらにこの材料はその偏光性が比較的高く（ほぼ60μＣ/ｃｍ²）、 且つスイッチング電界が低い（ほぼ50ｋＶ/ｃｍ）。チタン酸鉛−ジルコニウム は0.2mbar の酸素圧および587 ℃の温度でパルスレーザ堆積することによって既 知のように得られる。 次いで、0.2mbar のＯ₂圧且つ505 ℃の温度でパルスレーザ堆積により既知の ように強誘電層６上および基板７の表面上に0.03％のＳｂがドープされたＳｎＯ₂ の厚さ0.1 μｍの層４を設ける。ゲート電極５に対する導電層の場合と同様に 、これら層４および６はフォトレジストおよびモリブデン層を用いて再びパター ン化する。ゲート電極５に損傷を与えないように限定された期間のみエッチング を行う。次いで、モリブデン損傷を再び除去する。斯くしてチャネル領域４を形 成する。次に、その表面にＳｂが1.5 ％ドープされたＳｎＯ₂の厚さ0.5 μｍの 導電層を設ける。この層をフォトレジストおよびモリブデン層によりパターン化 してゲート電極に対する導電層の場合と同様に導電性接続電極２および３を形成 する。 本例では、接続電極２，３、ゲート電極５およびチャネル領域４は同一の方の ドーパント原子を設けた同一の塩基性材料、接続電極２．３の半導体材料および ゲート電極５の導電材料よりも少量のドーパント原子を有するチャネル領域４の 半導体材料を具える。かかる半導体装置は比較的簡単に製造することができる。 その理由はこれら材料に１種類の製造処理のみが必要となるだけであるからであ る。 この第２例によるスイッチング素子のスイッチング特性を図５に示す。図５に おいて、接続電極２および３間で測定された抵抗値Ｒ_2-3は縦軸にプロットし、 ゲート電極５の電圧Ｖ_gateは横軸にプロットする。接続電極間の抵抗値は強誘電 絶縁層６の分極状態に依存してほぼ５だけ変化する。スイッチング素子のスイッ チング特性は図５に示すように非対称である。これは、電圧Ｖ_gateの大部分がチ ャネル領域のエンハンスメント期間中強誘電材料６の両端間にある（図５の上側 曲線）が、チャネル両端の空乏中は電圧Ｖ_gateのほぼ大部分が空乏チャネル領域 ４に両端間にある、と云う事実に関連する。換言すれば、ゲート電極の電圧の効 果はチャネル領域の空乏およびエンハンスメントの場合に同一ではない。その理 由は電圧Ｖ_gateの一部分が空乏の場合にチャネル領域を横切って存在し、従って 僅かに負の電圧が有効に存在するからである。スイッチング素子は強誘電層６の ２つの状態間を切換わり短い電圧パルスがゲート電極５に供給されるようになる 。接続電圧２および３間の抵抗値は強誘電材料の残留分極に対応する電圧パルス 間の値にあるものとする。図６の下側曲線は±３Ｖのゲート電極５の電圧パルス Ｖ_gateおよび 100μs の時間周期を示す。図６の上側曲線は接続電極２および３ 間の電流Ｉ_2-3に及ぼす電圧パルスＶ_gateの影響を時間ｔの関数として示す。ス イッチング素子１は前のスイッチングパルスＶ_gateの値の依存して、即ち、残留 分極の方向に依存して接続電極２および３間の電流Ｉ_2-3に対し種々の値を与え る。 スイッチング素子のスイッチング特性は強誘電材料の種類に強く依存するとと もに強誘電材料の特定の組成にも強く依存することは明らかである。これがため 、ＰｂＺｒ_0.5Ｔｉ_0.5Ｏ₃は1200の誘電定数ε、10ｋＶ／ｃｍのスイッチング電 界および23μＣ／ｃｍ²の残留分極を有する。図７の曲線20は分極Ｐを、１ｋＨ ｚの周波数で測定された強誘電残留の両端間の電荷Ｅｃの増減の関数として示す 。従って、ＰｂＺｒ_0.5Ｔｉ_0.5Ｏ₃は比較的少ないヒステリシスを示す。他の組 成ＰｂＺｒ_0.2Ｔｉ_0.8Ｏ₃は300 の誘電定数ε、45ｋＶ／ｃｍのスイッチング電 界および60μＣ／ｃｍ²の残留分極を有する。この場合には強いヒステリシスが 発生する（図７、曲線21）。これがため、ＰｂＺｒ_0.5Ｔｉ_0.5Ｏ₃層６を使用す るスイッチング素子は傾斜スイッチング特性（軟スイッチング）を示すが、残留 分極はスイッチング素子が完全に切換わっていない場合に可能な最大残留分極お よび零分極間の値を採るものとする。かかる強誘電材料を有するスイッチング素 子はそのまま多くのスイッチング状態を保持することができる。ＰｂＺｒ_0.2Ｔ ｉ_0.8Ｏ₃は強誘電材料の極めて強いヒステリシス特性のため、２つの（個別の） スイッチング状態を有することは明らかである。かかる材料を有するスイッチン グ素子は実際上常時２つのスイッチング状態のうちの一方のスイッチング状態に ある。 図８、９および10は電気−光学表示素子30および共働する内蔵スイッチング素 子１を具える半導体装置の第３例を示す。表示素子30は、既知のように、これに 関連するスイッチング素子によって充放電されるコンデンサとして作用する（図 10参照）。本例では、半導体装置はマトリックスに配列された多数の表示素子お よび多数のスイッチング素子を具える。この半導体装置は液晶ディスプレイ（Ｌ ＣＤ）と称されるタイプのものである。各画像表示素子３０は電極３１及び３２ と、これらの電極間に位置する電気−光学材料とを具えている。この電気−光学 材料の光学特性は電極３１と３２との間に印加される電圧に応じて変化する。素 子電極３１及び３２は２つの異なるガラス板上に存在し、これらのガラス板は互 いに僅かに相互離間して平行に配置する。ガラス板間の空所には電気−光学材料 を充填する。表示素子の一方の電極は全ての表示素子に対する共通電極とするが 、他方の電極３２は各表示素子３０に対して別々に設ける。各表示素子３０は、 それ固有のスイッチング素子１により制御する。このために、スイッチング素子 １は素子電極３２と同じガラス板上に配置し、スイッチング素子１の接続電極３ を表示素子３０の電極３２に接続する。スイッチング素子１の他方の接続電極２ はバスライン２２に接続する。スイッチング素子のゲート電極５はバスライン２ ５に接続する。図１０は半導体装置の等価回路図を示す。動作中、個々の表示素 子３０はバスライン２２及び２５における信号によって制御される。本発明によ れば、特殊な透明半導体材料による透明のスイッチング素子１を用い、このスイ ッチング素子１及び表示素子３０が互いに少なくとも一部オーバラップするよう にする。図９は関連するスイッチング素子１を有する単一画像表示素子３０の平 面図である。この実施例のスイッチング素子１の構成は前記第２実施例のスイッ チング素子の構成に似ており、相違点は強誘電層６の代わりにＰｂ_0.9Ｌａ_0.1Ｚ ｒ_0.7Ｔｉ_0.3Ｏ₃から成る厚さ０．１μｍの非強誘電層６をパルスレーザにより 堆積することにある。このような非強誘電層６は高い誘電定数εを有するため、 チャネル領域４を有効に堆積することができる。この例におけるゲート電極５は 、このゲート電極５がバスライン２５に接続されるようにパターン化する。ゲー ト電極５は絶縁層６により他の導体から絶縁する。接続電極２は、この電極がバ スライン２２に接続されるようにパターン化する。この例では、スイッチング素 子１の接続電極２及び３の上にＣＶＤ法により透明絶縁層、本例ではＳｉＯ₂層 を堆積する。この絶縁層は接続電極２を画像表示素子３２の素子電極３２から絶 縁する。絶縁層には既知の方法で接点孔３５をエッチングにより形成する。次い で、本例ではＩＴＯ製とする透明導電層を絶縁層の上及び接点孔３５内に設ける 。この層をホトレジスト及びモリブデン層により既知の方法でパターン化して、 素子電極３２を形成する。この素子電極は接点孔３５を経てスイッチング素 子１の接続電極３に接続される。次いで、素子電極３１を有するガラス板と素子 電極３２及びスイッチング素子１を有するガラス板とを既知の方法で互いに結合 させ、これらのガラス板間に電気−光学材料を設ける。 本発明による半導体装置はディスプレイの用途にとって十分高速に作動し、即 ちスイッチング素子は表示素子を１００Ｈｚ以上の周波数で切り換えることがで きることを確かめた。本発明による半導体装置では、スイッチング素子及び表示 素子が実際上互いに全体的にオーバラップするようにするため、半導体装置の表 面領域の比較的大きな部分を画像表示素子用に用いることができる。この半導体 装置の第３実施例には強誘電絶縁層６を用いることもできる。この場合、スイッ チング素子１は電圧をゲート電極５に印加しなくても画像表示素子３０の状態を 保有することができる。 第４実施例では、半導体装置が電気−光学撮像素子３０を具え、透明スイッチ ング素子１が撮像素子３０に接続され、且つスイッチング素子及び撮像素子の少 なくとも一部が互いにオーバラップするようにする。図８及び図９もこのような 半導体装置を示す。この半導体装置はカメラ又はスキャナの如き光学撮像装置の 部品として用いられる。電気−光学撮像素子３０とは、ここでは光子束を電気的 に測定可能な量に変換する素子のこととする。従って、例えば、光子により撮像 素子３０に誘起される電荷をスイッチング素子１によって読出すことができる。 この第４実施例の半導体装置は、先ず撮像素子３０を標準的な方法、例えば光子 を電荷キャリヤに変換する感光性のｐｎ接合を有する所謂ホトダイオードを形成 するようにして基板上に製造する。次いでこの撮像素子の上に以前の実施例にお ける方法と同様な方法で透明スイッチング素子１を形成する。次に、スイッチン グ素子１の接続電極３とホトダイオードのｐｎ接合の片側との間を接点孔３５を 経て電気的に接続する。光子により撮像素子に発生する電荷キャリヤはスイッチ ング素子１により読出すことができる。スイッチング素子１は透明であるから、 これは撮像素子３０にオーバラップさせることができる。これによりカメラを極 めてコンパクトな構成とすることができると共に半導体デバイスの表面領域の比 較的大きな部分を撮像素子３０用に用いることができ、即ち光子を収集するのに 非常に大きな表面領域を利用することができる。さらに、各撮像素子３０を別々 に読出すことができる。 第５実施例では、トランジスタを第２実施例にならって形成するが、チャネル 領域には別の層４、即ち０．１％のＳ_bをドープした１０ｎｍの厚さのＳｎＯ₂層 を用いる。トランジスタには１０ｎｍの厚さのＢａＺｒＯ₃製のキャッピング層 をかぶせる。図１１〜図１４はこの第５実施例のトランジスタで得られる結果を 示している。図１１は強誘電絶縁体に生ずるゲートの単位表面積当たりの電荷Ｑ_G を、ゲート電極における電圧Ｖ_Gの関係として示したものである。この電荷Ｑ_G は図１１に示したような外部キャパシタンスＣで測定した。図１２は伝達特性、 即ち接続電極２と３との間の電流Ｉ_Dと、ゲート電極における電圧Ｖ_Gとの関係を 示している。接続電極間には０．１Ｖの電圧が存在する。これらの接続電極から ゲート電極への漏れ電流は、−３Ｖ以下のＶ_Gの値で伝達特性を乱す。図１３は 接続電極２と３との間の電流Ｉ_Dの勾配を時間ｔの関数として示したものである 。ここではＶ_G＝０及びＶ_D＝０．１Ｖとした。瞬時ｔ＝０に、ゲート電極にはＯ Ｎ状態に対しては＋６Ｖで，ＯＦＦ状態に対しては−６Ｖの振幅でパルス状の電 圧Ｖ_Gを印加した。図１４はＩ_DとＶ_Gとの電流−電圧特性を示す。この場合、図 １４にも示したように、Ｖ_Dは０Ｖから６Ｖに変化してから再び０Ｖに変化し、 Ｖ_Gは４Ｖから１Ｖにステップ状に変化した。図１１〜図１４から明らかなよう に、この第５実施例のトランジスタは極めて良好なスイッチング特性を呈する。 本発明は上述した実施例に限定されるものではない。従って、上記実施例では 非遷移金属の所定の共有結合酸化物を透明半導体及び導電材料として選定したが 、本発明による半導体装置は非遷移金属の別の共有結合酸化物でも極めて良好に 製造することができる。接続電極間の抵抗値及びオン／オフ比、即ちスイッチン グ素子のスイッチング中又はそうでない期間中の接続電極間の抵抗値の差は、例 えば半導体の種類や、絶縁材料や、強誘電材料を適合させるか、又はチャネル構 造、即ちチャネル領域の幅、長さ及び厚さを適合させることにより特殊な諸要求 に適合させることができる。従って、各用途に対し、チャネル抵抗や、オン／オ フ比や、強誘電材料のスイッチングの面で、最適な材料及び最適な構造のものを 選定することができる。強誘電材料として別のものを選定するか、又は強誘電材 料層の厚さを異なる厚さとして、強誘電材料によりスイッチング素子のスイッチ ング電圧を相違させることもできる。さらに、半導体装置の材料は、撮像素子又 は表示素子以外は透明とする必要はない。スイッチング素子は、これらのスイッ チング素子１を撮像及び表示素子３０とオーバラップさせる場合にだけは透明と する必要がある。従って、例えばバスライン２２及び２５並びに接続電極２及び ゲート電極５の部分には第３及び第４実施例における金属層、例えば導電性を促 進するためにモリブデン又はアルミニウム層を設けるのが極めて好適である。 材料を堆積したり、パターン化する方法としてレーザ堆積法、ＣＶＤ法及びホ トリソグラフィ法の如き所定の技法のみを提案したが、これは本発明をこのよう な技法でしか実施できないと云うことを意味するのではない。エピタキシャル成 長（ＭＢＥ）や、印刷技法により材料をマスクしたりするような他の技法も極め て良好に用い得ることは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴォルフ ロナルド マルティン オランダ国 5621 ベーアー アインドー フェン フルーネヴァウツウェッハ １ (72)発明者 ヒースベルス ヤコブス ベルナルダス オランダ国 5621 ベーアー アインドー フェン フルーネヴァウツウェッハ １

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．透明材料の２つの接続電極と、透明絶縁層によりチャネル領域から分離され た導電材料の透明ゲート電極が設けられた半導体材料の介在透明チャネル領域と を有する透明スイッチング素子が設けられた半導体装置において、前記半導体材 料は、伝導帯と2.5 ｅＶ以上の電子の価電子帯との間にバンドギャップを有し、 塩基性材料の価電子帯または伝導帯に、あるいはこれに隣接する固定不純物エネ ルギー準位を形成するドーパント原子が設けられた10ｃｍ²／Ｖｓ以上の電荷キ ャリアの移動度を有する塩基性材料が設けられた縮退半導体材料を具えることを 特徴とする半導体装置。 ２．前記塩基性材料は非遷移金属の共有結合酸化物を具えることを特徴とする請 求項１に記載の半導体装置。 ３．前記塩基性材料はＳｎ，ＺｎおよびＩｎより成る群から選択された共有結合 酸化物を具えることを特徴とする請求項１に記載の半導体装置。 ４．前記接続電極、ゲート電極およびチャネル領域は同一の型のドーパント原子 を設けた同一の塩基性材料を具え、前記半導体材料は導電材料のドーズ量よりも 少量のドーパント原子を含むようにしたことを特徴とする請求項１〜３の何れか の項に記載の半導体装置。 ５．導電材料は０．５％以上のドーパント原子を含み、半導体材料は０．３％以 下のドーパント原子を含むことを特徴とする請求項４に記載の半導体装置。 ６．前記塩基性材料はＳｎＯ²を含み、前記ドーパント原子はＳｂを含むことを 特徴とする請求項５に記載の半導体装置。 ７．前記絶縁層は強誘電材料を含むことを特徴とする請求項１〜６の何れかの項 に記載の半導体装置。 ８．前記強誘電材料はチタン酸鉛−ジルコニウムを具えることを特徴とする請求 項７に記載の半導体装置。 ９．電極を有する電気−光学表示素子と、これら電極間に介挿された電気−光学 材料とを具え、前記透明スイッチング素子の接続電極を前記表示素子の電極に接 続し、前記透明スイッチング素子および前記表示素子は少なくとも一部分が 互いに重畳されるようにしたことを特徴とする請求項１〜８の何れかの項に記載 の半導体装置。 10．電気−光学撮像素子を具え、前記透明スイッチング素子を前記撮像素子に接 続し、前記スイッチング素子および前記撮像素子は少なくとも一部分が互いに重 畳されるようにしたことを特徴とする請求項１〜８の何れかの項に記載の半導体 装置。