JPH1099702A - ローラミルにおける流体噴射装置及び方法 - Google Patents

ローラミルにおける流体噴射装置及び方法

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JPH1099702A
JPH1099702A JP26211796A JP26211796A JPH1099702A JP H1099702 A JPH1099702 A JP H1099702A JP 26211796 A JP26211796 A JP 26211796A JP 26211796 A JP26211796 A JP 26211796A JP H1099702 A JPH1099702 A JP H1099702A
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air
water
mill
roller
nozzle
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JP26211796A
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English (en)
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Kazunori Satou
一教 佐藤
Hiroaki Kanemoto
浩明 金本
Nobuyasu Meguri
信康 廻
Hiroyuki Kako
宏行 加来
Hideo Mitsui
秀雄 三井
Tadashi Hasegawa
忠 長谷川
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローラミルにおける自励振動を防止し、ロー
ラミルを安定に運用することができる、ローラミルにお
ける流体噴射装置及び方法を提供する。 【解決手段】 隣接する粉砕ローラ1,1間の隙間に、
空気ノズル12と水ノズル16を設置する。この場合、
一つの隙間に空気ノズル12か水ノズル16のいずれか
一方を設置するか、あるいはその両方を設置する。そし
て、水と空気を同時には噴射せず、ミル内粉砕部におけ
る炭層の状態やミルの操作条件に応じて、両流体を使い
分けて噴射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローラミルに係わ
り、特に粉砕部の原料粉層に対し、流体を吹き付けて振
動を防止しようとする技術、すなわち流体噴射装置及び
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭焚きボイラでは、低公害燃焼(低N
Ox、低灰中未燃分)や広域負荷運用が行われ、それに
伴い微粉炭機(ミル)も高い粉砕性能や信頼性が要求さ
れている。
【0003】石炭、セメント原料あるいは新素材原料な
どの塊状物を細かく微粉砕するミルの一つのタイプとし
て、最近では、回転するテーブルと複数個のタイヤ型粉
砕ローラで粉砕を行う竪型のローラミルが広く用いられ
ており、特に日本国内では代表機種としての地位を固め
ている。
【0004】ここでは、図14に示すように、ローラミ
ルの一般的な構成を述べる。
【0005】この種のミルは、円筒型をしたハウジング
6の下部にあってモータで駆動され、減速機を介して低
速回転する略円台状の回転テーブル2と、その回転テー
ブル2の外周部の上面において円周方向へ等分する位置
へ油圧あるいはスプリグ等で荷重を付与されて回転する
複数個の粉砕ローラ1を備えている。
【0006】原料供給管(センターシュート)5より回
転テーブル2の中央へ供給された原料4は、回転テーブ
ル2上において遠心力により渦巻き状の軌跡を描いて回
転テーブル2の外周へ移動し、回転テーブル2の粉砕レ
ースと粉砕ローラ1の間にかみ込まれて、粉砕されて原
料粉層3となる。
【0007】ハウジング6の下部には、ダクトを通して
熱風(一次空気)8が導かれており、この熱風8が、回
転テーブル2とハウジング6の間にあるエアスロートの
スロートベーン9の間を通して吹き上がっている。
【0008】粉砕後の粉粒体は、エアスロートから吹き
上がる熱風8によって、ハウジング6内を上昇しながら
乾燥される。ハウジング6の上方へ輸送された粉粒体
は、粗いものから重力により落下し(一次分級)、粉砕
部で再粉砕される。
【0009】この一次分級部を貫通したやや細かな粉粒
体は、ハウジング6の上部に設けた固定式分級機(サイ
クロンセパレータ)あるいは回転式分級機(ロータリセ
パレータ)7で再度分級される。所定の粒径より小さい
微粉は、気流により搬送され、ボイラでは微粉炭バーナ
へと送られる。
【0010】分級機を貫通しなかった所定粒径以上の粗
粉は、回転テーブル2の上へ重力の作用で落下し、ミル
内へ供給されたばかりの原料と一緒に再度粉砕される。
このようにして、ミル内では粉砕が繰り返され、製品微
粉が生成されていく。
【0011】ローラミルを低負荷で運用する場合や、負
荷減少あるいは停止操作をする際に問題となるのはミル
の振動である。
【0012】この振動現象は、炭層とローラのすべりに
起因する一種の摩擦振動であり、振動のタイプとしては
自励振動である。一定負荷運用時の場合、普通の石炭で
は、低負荷運用時(ミル内において石炭ホールドアップ
の少ない条件)にこの振動が激しくなることが多いが、
石炭種によってはかなりの高負荷時にも発生することが
ある。
【0013】粉砕ローラを振り子運動が可能なように支
持するタイプのローラミルでは、ローラブラケットを介
して、ローラピボットを支軸として、粉砕ローラが振り
子運動可能なように支持される。この振り子運動の機能
は大変重要であり、粉砕ローラが鉄片等粉砕されにくい
異物をかみ込んだ場合、粉砕ローラは振り子運動をする
ことによって衝撃を回避することができる。
【0014】また、粉砕ローラや粉砕レースが摩耗変形
したときには、適切な押圧位置(粉砕ローラと粉砕レー
スの位置関係)を自動調心的に見つけ出す作用も、この
振り子運動にはある。
【0015】一般に、高負荷で定常な粉砕条件下では、
粉砕ローラは殆ど振り子運動をすることがない。
【0016】上記したように、ミルの起動時あるいは負
荷上昇時などにおいて、粉砕ローラが活発にかみ込む場
合には、粉砕ローラはゆっくりした速度で振り子運動を
するものの、この振り子動作は自励振動の発生には直接
関与しない。
【0017】一方、激しい自励振動は、ミルの減負荷時
や停止過程において発生しやすい。このように負荷を急
減する過程では、粉砕部における炭層が少なく細かくな
り、粉砕ローラの転動が極めて不安定になりやすい。
【0018】図13は高負荷一定運用時からミル停止ま
での過程において、給炭量が変化するときの発生パター
ンを模式的に描いたものである。
【0019】まず、負荷下げ開始後、減負荷過程におい
て、のように自励振動が発生する。さらに給炭機停止
後には、の自励振動が発生する。これらとは、と
もに激しい自励振動である。
【0020】一方、ミルの粉砕部が空になりかけると、
のように強制振動が発生する。この強制振動は、自己
増幅的な性質は無いものの、振動が低いレベルに抑制さ
れることがより望ましい。
【0021】従来技術の振動対策として、粉砕部の粉層
に対して、空気を吹き付ける技術(エアブロー法)があ
る(例えば、図15に示す特公平6−85880号公
報)。この技術は、空気流の勢いにより、粉層中の微粉
を飛ばしたり、粉層を変形させる作用により、自励振動
を抑制するものである。
【0022】なお、図15において、1401は回転テ
ーブル、1402は粉砕ローラ、1403は空気噴出
孔、1404はケーシング、1405は環状空間部、1
406はセンサを示す。
【0023】一方、これも振動対策であるが、粉砕部の
炭層に対して水を噴霧する技術(粉砕部注水)がある
(図16に示す特公平6−85881号公報)。この技
術は、粉層を湿らせて崩れにくくし、粉砕ローラの軌道
を安定にしようとするものである。なお、図16におい
て、1502は液体噴出ノズルを示す。
【0024】しかしながら、これらの技術のいずれか一
方のみでは、図13のようなミル停止過程の振動抑制に
は対応し切れない。例えば、の減負荷過程の振動に対
しては、エアブロー法は適用しにくい。減負荷過程で
は、ミルに溜まった多くの炭層が火炉へ出炭するため、
主蒸気の温度や圧力が変動する。
【0025】これに対し、エアブローを実施すれば、さ
らに出炭が多くなるので、主蒸気の圧力や温度特性に対
する外乱が増大し、好ましくない。従って、減負荷過程
では、出炭を抑制するように作用する粉砕部注水の方が
よいといえる。
【0026】給炭機停止後の自励振動に対しては、粉
砕部注水を実施すると、回転テーブル上の炭層が湿って
固まり、ミル停止後にも残炭として残るおそれがある。
このような残炭は、再起動時の熱風投入により発火する
可能性もある。
【0027】従って、粉砕部注入法は、給炭機停止後に
は使えない。給炭機停止後は、回転テーブル上の炭層を
出来るだけ早く除去するために、エアブロー法の方が好
ましい。
【0028】エアブロー法は、炭層を崩して微粉を除去
しようとするものであるのに対し、粉砕部注水法は、微
粉も含むような炭層でも崩れにくく安定になるように固
めるという方法であり、両者の方法は同時には機能しな
い。つまり、ここで示したエアブロー法及び注水法は、
巧みに使い分ける必要がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】上記したような自励振
動がローラミルに発生すると、 (1)ミル自体及び周辺機器の信頼性が損なわれる。
【0030】(2)プラント内従業員が不快感を味わ
う。
【0031】等の問題が生じるため、自励振動の発生を
防止しなければならない。
【0032】一方、この自励振動を回避するためには、 (1)分級機の回転数を下げる。
【0033】(2)粉砕荷重を下げる。
【0034】等の対策が有効であるが、いずれもミル出
口の粒度は粗くなり、微粉炭焚きボイラでは、ボイラ火
炉における燃焼特性が劣化する。すなわち燃焼を犠牲に
することになる。従って、自励振動の問題が、排ガス中
のNOx濃度、灰中未燃焼分、あるいはCO濃度の減少
など、燃焼特性の向上を阻むことになる。
【0035】本発明の目的は、ローラミルにおける自励
振動を防止し、ローラミルを安定に運用することができ
る、ローラミルにおける流体噴射装置及び方法を提供す
ることにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、次のような手段を採用す
る。
【0037】水及び空気を噴射する専用のノズルをミル
内に設け、これらのノズルから空気噴流及び水噴霧を回
転テーブル上の粉層に吹き付ける。これらのノズルは、
複数個ある各粉砕ローラの隙間に設ける。粉砕ローラを
3個備えるローラミルの場合は、ノズルを設ける隙間も
3個所になる。ミル内に3個所ある隙間に対し、一つの
隙間には空気噴射を、残り2個所の隙間には水を噴霧す
る。あるいは一つの隙間には水を噴霧し、他の2個所の
隙間では空気噴射を行うこともできる。
【0038】一方、3個所全ての隙間に対し、水噴射用
と空気噴射用のノズルを対として並べて配置する。つま
り、水噴射用に3個のノズルと空気噴射用に3個のズル
を、それぞれ計6個設けることも可能である。
【0039】水と空気は同時には噴射しない。ミルの粉
砕部における炭層の状態やミルの操作条件に応じて、水
と空気を使い分けて噴射する。
【0040】例えば、ミルの停止過程において、減負荷
(給炭量減少)過程では水を噴射し、一方、給炭機を停
止した後は、空気噴射を実施する。
【0041】このようにして、両流体の噴射を使い分け
ることにより、如何なる運用条件下においても、自励振
動が発生しないようにする。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明になる流体噴射装
置を設けたローラミルの構造を、縦方向断面図として描
いたものである。
【0043】各粉砕ローラのかみ込み部には、空気ノズ
ル12と水ノズル16が設けられている。空気は、回転
テーブル2の上で振動発生の切っ掛けになる原料粉層3
を吹き飛ばす(エアブロー)するためのものであり、空
気ヘッダ10から空気供給管11を通じて導かれ、複数
個設けた空気ノズル12から噴出し、空気噴流13とな
って原料粉層3に衝突する。
【0044】水は、回転テーブル2の上の原料粉層を湿
らせて、流動性を低下させて安定化を図ろうとするもの
であり、給水ヘッダ14と水供給管15を通じて、水ノ
ズル16から噴出し、原料粉層3に対して、符号17に
示すように散水される。
【0045】ローラミルにおけるこの他の構成と機能
は、図14に示したものと同様であるので、ここでは省
略し後述する。
【0046】本発明の特徴は、以下のように同一のロー
ラミルにおける原料粉層3に対し、空気噴射(エアブロ
ー)と注水を組み合わせて行うことにあるので、この内
容について以下に述べる。
【0047】図2は、第1の実施の形態を示すものであ
り、粉砕部の上方からの視図である。この粉砕部には、
粉砕ローラ1が、回転テーブル2の円周方向に対して3
個配置されている。粉砕ローラ1が3個あるので、粉砕
ローラ1,1間の隙間も3個所ある。1個所の隙間に
は、空気ノズル12が設けてあり、空気噴流22が噴出
するようになっている。この空気は、圧縮空気18であ
り、圧縮空気供給ライン20を通じて導かれる。
【0048】一方、他の2個所の隙間には、水ノズル1
6が設けてあり、これらの位置では、粉層3に向けて、
符号23に示すように水噴霧される。この水19は、ハ
ウジング6に巻き付くように配管されている水供給ライ
ン21を通じて供給される。図3は、第2の実施の形態
を示すものであり、図2に示す第1の実施の形態とは逆
に3個所の隙間において、一つの隙間には水噴霧23、
また他の2つの隙間における粉層には空気噴流22が吹
き付けられるようになっている。
【0049】圧縮空気18及び19は、ともに図2の第
1の実施の形態と同様に、ハウジング6に巻き付けるよ
うに配管した圧縮空気供給ライン20及び水供給ライン
21によりミルへ導き、それぞれ空気ノズル12及び水
ノズル16から粉砕部の炭層に向けて噴射する。
【0050】これらの水19と圧縮空気18は、同時に
吹き付ける訳ではなく、粉砕部の炭層の状態や、ミルの
操作条件に応じて使い分けて噴射し、それぞれの噴射機
能(後述)により自励振動の発生を防止する。
【0051】図4は、第3の実施の形態に係り、各粉砕
ローラ1,1間の3個所の隙間に、空気ノズル12と水
ノズル16を並行して配置した実施の形態を示すもので
ある。つまり、空気ノズル12と水ノズル16が、いず
れも3個ずつあることになる。
【0052】この図では、3個の空気ノズル12から、
空気噴流が噴射される状況を模式的に描いた。水19の
供給は停止されており、水ノズル16からは、僅かな量
の閉塞防止用の空気をリークさせているだけである。圧
縮空気18及び水19は、いずれもミルのハウジング6
に巻き付けられるように配管されている。圧縮空気供給
ライン20及び水供給ライン21を通じて、それぞれ空
気ノズル12及び水ノズル16から噴射され、噴流を炭
層(この図では省略)に衝突させる。
【0053】図5は、空気ノズル12及び水ノズル16
に対する圧縮空気18及び水19の供給系統を模式的に
描いたものである。
【0054】この実施の形態では、水ラインバルブ24
を「開」としており、水ノズル16からは水噴霧23が
噴出している。また、空気ラインバルブ25は閉じてお
り、空気ノズル12からは何も噴出していない。
【0055】水供給ライン21と圧縮空気供給ライン2
0の間には、連通バルブ26を介設しており、この連通
バルブ26を開けることにより、水ノズル12及び空気
ノズル16の両ノズルからともに、水19あるいは空気
18のいずれか一方を集中的に噴射できるようになって
いる。
【0056】例えば、両ノズル12,16から水19の
みを噴射する場合には、水ラインバルブ24を閉じて、
連通バルブ26を開けるようにする。
【0057】図6は、図5に示す供給系統とは別の実施
の形態を示すものである。この例では、圧縮空気供給ラ
イン20と水供給ライン21を繋いでおらず、それぞれ
独立した空気ノズル12及び水ノズル16から各流体が
噴出するようになっている。水供給ライン21には、リ
ークエア28を導くためのラインを設けてあり、水19
を噴射しないときには、水ノズル16の閉塞防止のため
に、リークエア28を流し続けるようにしてある。水ノ
ズル16から水19を噴射する場合には、リークエア用
バルブ27を閉じて、リークエア28の流入を停止す
る。
【0058】粉層3に注水し湿らせることは、粒子同士
の付着力の増大により粉層3を強化させようとするもの
である。微量の水が付着すると、図7に示すように、水
膜の架橋30となり、表面張力の作用で、石炭粒子29
同士が引き合うようになる。ローラミルの粉砕部では、
粉層3は常時混合しながら移動するので、図7に粉層3
の表面部で起こった現象は、粉層3全体へと浸透してい
く。
【0059】このようにして、ローラミルの粉砕部にお
ける粉層3全体が、もしくは粉砕ローラ1のかみ込み部
にある粉層3が湿り、粉層3が堅固になり安定化する。
【0060】以上のような作用により、粉砕ローラ1の
転動によっても粉層3が崩れることはなくなり、自励振
動が防げるようになる。
【0061】粉砕部の粉層3に空気流を吹き付けるエア
ブロー法は、以下に述べるような作用を狙ったものであ
る。
【0062】(1)粉層3から微粒子を吹き飛ばして
(一種の分級作用)粉層3を粗くし、安定で崩れにくく
する。
【0063】(2)自励振動のフィードバック系となっ
ている粉層3の周期的な形状を、気流の勢いで崩して変
化させ、自励振動を消滅させる。
【0064】図8は、粉砕ローラのかみ込み部における
原料粉層3に対し、空気ノズル12から空気噴流を噴射
して吹き付けた状況を模式的に描いたものである。
【0065】空気噴流13は、原料粉層3に衝突し、粉
層3を撹乱し、粉層3中にある微粉を符号31に示すよ
うに吹き飛ばす。粉層3中に微粉が混じっていると、粉
層3は流動・崩壊しやすくなる。エアブローにおける作
用は、粉砕ローラ1のかみ込み部の粉層3から微粉を吹
き飛ばし、粉砕ローラ1が符号32に示すごとく粗粒を
かみ込むようにしたものである。
【0066】以上のような作用により、粉砕ローラ1が
かみ込む粉層3は安定で崩壊しにくくなるので、自励振
動の発生は抑制される。
【0067】図9は、同じエアブローによる作用でも、
エアブローにより粉層の形状を変化させる挙動を模式的
に描いたものである。
【0068】上流側にある粉砕ローラ1が振動(α)す
ると、原料粉層3は、振動の影響をを受けて周期的に変
化し、波状粉層33となる。このような波状粉層33
は、「コルゲーション」と呼ばれる現象であるが、下流
の粉砕ローラがこの波状粉層33をかみ込めば、上流側
の粉砕ローラ1と同じように振動する。
【0069】この現象が、自己増幅系のフィードバック
・メカニズムであり、原料粉層3の波状変形が発達する
ほど、自励振動が増幅することになる。
【0070】空気ノズル12から噴出する空気噴流13
は、原料粉層3に衝突することにより、粉層3を符号3
4に示すように変形させて、フィードバック系を分断す
る。粉砕ローラ1は、自励振動を起こしかけても、以上
のような粉層3を変形させる作用により、発達した自励
振動には至らない。
【0071】このエアブローを、粉砕部の粉層に実施す
る場合、図8の微粒子除去作用と、図9の粉層を変形さ
せる作用は、それぞれ独立に生じるわけではなく、両作
用は相互に影響しながら、混じり合っている。
【0072】図10は、減負荷過程(図13の)にお
ける自励振動の抑制効果を示すものであり、本発明の実
施の形態と従来技術(無対策の場合)とを比較したもの
である。
【0073】振幅δOC1 は、無対策時の自励振動の振幅
δOC1 *で割ることにより無次元化した。
【0074】すなわち、無対策の場合の振幅レベルは、
δOC1 /δOC1 *=1と表される。この結果から、本発
明を実施することにより、δOC1 /δOC1 *=0.31
のレベルにまで振動を軽減できることが判る。
【0075】本発明では、この減負荷過程において、
粉砕部への注水を実施しており、以上の振動抑制効果
は、炭層を湿潤化したことによるものである。
【0076】図11は、給炭機停止後に発生する自励振
動(図13の)の抑制効果をまとめたものである。
【0077】この振動においても、振幅δOC2 を、無対
策時における振幅δOC2 で割ることにより無次元化
して表した。つまり、無対策の場合の振幅レベルは、δ
OC/δOC*=1である。
【0078】本発明の実施の形態においては、給炭機停
止後に、粉砕部注水からエアブローへと切り替えてい
る。エアブローの作用により、振幅のレベルをδOC2
δOC2*=0.22まで著しく低減できることが、この
結果からも明らかである。
【0079】以上、減負荷過程及び給炭機停止後に
おいても、実質的に自励振動は消滅しており、本発明の
効果がこれで実証されたことになる。
【0080】前述した図13に示すように、粉砕部から
粉層がパージされて空になる過程では、強制振動が激し
くなる。この振動は、自己増幅的な性質がないため問題
はないが、強制振動のレベルも低い方が好ましい。
【0081】本発明では、粉砕部が空になる過程におい
ても、出来るだけ早く粉砕部から粉層を追い出して、強
制振動を軽微なものにするためにエアブローを実施す
る。このエアブローは、給炭機停止後()から連続し
て実施する。
【0082】図12には、無対策の場合との比較結果を
示すが、本発明を実施すれば、強制振動の振幅をおよそ
1/3まで減少できることが判る。
【0083】無対策時の振幅をδOC3 /δOC3 *=1と
すると、本発明を実施すれば、ある程度の粉層が粉砕部
に存在する時点で発生する自励振動のみならず、ミルが
停止する直前に生じる強制振動の軽減に有効であること
が確認されたことになる。
【0084】ここまで、本発明の実施の形態を、3つの
粉砕ローラが一体構造である三角形加圧フレームの下部
に支持されるローラミル(図1)を対象にして述べた。
【0085】本発明になる流体噴射装置及び方法は、そ
れぞれの粉砕ローラが片持ちばりのように、アームによ
って独立に支持されるローラミル(例えば図15と図1
6に引用)における自励振動に対しても、ほぼ直接適用
することが可能である。
【0086】本発明では、粉砕部の炭層へ注水を行え
ば、石炭粒子の表面が僅かに濡れるために、粒子同士の
付着力が増大し、炭層全体の力学的強度が増して、崩壊
しにくくなる。従って、粉砕ローラが、炭層の上を安定
に転動するようになり、結果的に自励振動が発生しなく
なる。ミルの負荷減少過程では、粉砕部の炭層が時間と
ともにどんどん細かくなって、振動が極めて発生しやす
い状態となるが、粉砕部への注水により、粒子の細かな
炭層であっても安定化する。
【0087】一方、エアブロー法は、粉砕部にある炭層
中の微粉を吹き飛ばすものである。微粉が含まれる炭層
は流動しやすく、不安定である。給炭機停止後におい
て、エアブローにより炭層から微粉を吹き飛ばして除去
すれば、炭層は粗く堅固になり、自励振動は発生しな
い。
【0088】前述したように、給炭機停止後は、回転テ
ーブルが水で直接濡れるおそれがあり(これが腐食破壊
の切っ掛けになることもある)、さらに残炭が水で固め
られたまま回転テーブル上に残留すると、再起動時の熱
風投入により発火する危険もある。
【0089】この代わりに行うエアブローは、粉砕部に
ある余分な微粉炭を火炉内へ放出する方法なので、残炭
パージを促進する、という観点からも有効である。
【0090】以上の作用により、本発明のように、粉砕
部炭層への注水とエアブローを切り替える操作を行え
ば、特にミルの停止(バーナ消火)の過程において、減
負荷の途中でも、さらに給炭機が停止してからミルが停
止(回転テーブルの回転が停止)する間においても、自
励振動の発生を防止できる。回転テーブルの金属製粉砕
面も濡れることなく、残炭パージも完璧に行えるように
なる。
【0091】
【発明の効果】本発明を実施したことによる効果をまと
めると以下のようになる。
【0092】(1)低負荷あるいは高負荷の定常運用時
において、及びミル停止過程等のどのような運用条件下
においても、自励振動を起こすことなく、ミルを静粛に
操業できるようになる。
【0093】(2)分級機の回転数や荷重油圧の減少と
いった粉砕能力を抑制するような運用上の制限が撤廃さ
れる。これによって、粉砕能力は向上し、ミル出口の粒
度が細かくなり、またエアスロートからの落下炭量が減
少する。
【0094】(3)振動を起こしやすい石炭でも静粛な
運用が可能になるし、燃料比の高い比較的難燃性の石炭
については微細粒度まで粉砕可能なので、使用炭種の幅
が拡大する。
【0095】(4)上記効果(2)とも関連し、燃焼特
性が向上するので、NOxや灰中未燃分が減少する。
【0096】(5)振動を防止できることで、ミル自体
や周辺機器の信頼性が向上する。
【0097】(6)エアブローを実施しないとき、つま
り高速空気を噴射しないときでも、エアリークの作用で
ノズルは詰まらない。
【0098】(7)ミル内に溜まる残炭を効果的にパー
ジできるので、ミル内石炭の自然発火や爆発といったト
ラブルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる流体噴射装置を搭載したローラミ
ルの全体構成図である。
【図2】ローラミルにおける流体噴射装置の第1の実施
の形態を示す構成図である。
【図3】ローラミルにおける流体噴射装置の第2の実施
の形態を示す構成図である。
【図4】ローラミルにおける流体噴射装置の第3の実施
の形態を示す構成図である。
【図5】流体供給系統の一例を示す構成図である。
【図6】流体供給系統の別の例を示す構成図である。
【図7】水噴射による粉砕部のメカニズムを示す模式図
である。
【図8】空気噴射による粉砕部の粉層の挙動を示す模式
図である。
【図9】空気噴射による粉砕部の粉層の挙動を示す模式
図である。
【図10】本発明を実施することによる効果を示す説明
図である。
【図11】本発明を実施することによる効果を示す説明
図である。
【図12】本発明を実施することによる効果を示す説明
図である。
【図13】従来式ローラミルに生じる振動の問題を説明
するための特性図である。
【図14】一般的なローラミルの全体概略図である。
【図15】従来例に係るローラミルの要部構成図であ
る。
【図16】他の従来例に係るローラミルの要部構成図で
ある。
【符号の説明】
1 粉砕ローラ 2 回転テーブル 3 原料粉層 4 粉砕原料 5 原料供給管 6 ハウジング 7 回転分級機 8 熱風 9 スロートベーン 10 空気ヘッダ 11 空気供給管 12 空気ノズル 13 空気噴流 14 給水ヘッダ 15 水供給管 16 水ノズル 17 散水 18 圧縮空気 19 水 20 圧縮空気供給ライン 21 水供給ライン 22 空気噴流 23 水噴霧 24 水ラインバルブ 25 空気ラインバルブ 26 連通バルブ 27 リークエア用バルブ 28 リークエア 29 石炭粒子 30 水膜の架橋 31 微粉の吹き飛ばし 32 粗粒のかみ込み 33 波状粉層 34 粉層の変形
フロントページの続き (72)発明者 加来 宏行 広島県呉市宝町3番36号 バブコツク日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 三井 秀雄 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 長谷川 忠 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒型をしたハウジングの中にあり、タ
    イヤ型の粉砕ローラと、粉砕ローラに連動し粉砕ローラ
    が転動する溝部である粉砕レースを円周方向に刻設した
    回転テーブルにより、石炭等の固体燃料や固体原料を微
    粉砕するローラミルの粉砕部に形成される粉層に対し、
    ノズルから流体を吹き付ける流体噴射装置において、 水及び空気をそれぞれ独立に噴射する水用ノズル、空気
    用ノズルをミル内の粉砕部に向けて設置することを特徴
    とするローラミルにおける流体噴射装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、水用ノズル、空
    気用ノズルを、各粉砕ローラの間に設置することを特徴
    とするローラミルにおける流体噴射装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載において、各粉砕ローラ間
    の隙間には、水用ノズルあるいは空気用ノズルの何れか
    一方を設置したことを特徴とするローラミルにおける流
    体噴射装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載において、水用ノズルと空
    気用ノズルのそれぞれを少なくとも1個設置したことを
    特徴とする流体噴射装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載において、粉砕ローラ間の
    隙間に対し、水用と空気用のノズルを対として並べて配
    置することを特徴とするローラミルにおける流体噴射装
    置。
  6. 【請求項6】 円筒型をしたハウジングの中にあり、タ
    イヤ型の粉砕ローラと、粉砕ローラに連動し粉砕ローラ
    が転動する溝部である粉砕レースを円周方向に刻設した
    回転テーブルにより、石炭等の固体燃料や固体原料を微
    粉砕するローラミルの粉砕部に形成される粉層に対し、
    ノズルから流体を吹き付ける流体噴射方法において、 水及び空気をそれぞれ独立に噴射する水用ノズル、空気
    用ノズルをミル内の粉砕部に向けて設置し、水と空気を
    同時には噴射せず、ミル内粉砕部における炭層の状態や
    ミルの操作条件に応じて、両流体を使い分けて噴射する
    ことを特徴とするローラミルにおける流体噴射方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載において、ミル停止過程で
    減負荷中には、水用ノズルによる水噴射を行い、給炭機
    停止後には、空気用ノズルによる空気噴射を行うことを
    特徴とするローラミルにおける流体噴射方法。
  8. 【請求項8】 円筒型をしたハウジングの中にあり、タ
    イヤ型の粉砕ローラと、粉砕ローラに連動し粉砕ローラ
    が転動する溝部である粉砕レースを円周方向に刻設した
    回転テーブルにより、石炭等の固体燃料や固体原料を微
    粉砕するローラミルの粉砕部に形成される粉層に対し、
    ノズルから流体を吹き付ける流体噴射方法において、 水及び空気をそれぞれ独立に噴射する水用ノズル、空気
    用ノズルをミル内の粉砕部に向けて設置し、かつ水供給
    ラインと空気供給ラインをバルブを介して接続し、全ノ
    ズルから水のみあるいは空気のみの噴射を可能にするこ
    とを特徴とするローラミルにおける流体噴射方法。
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