JPH09190909A - R−t−n系永久磁石粉末および異方性ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−n系永久磁石粉末および異方性ボンド磁石の製造方法

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JPH09190909A
JPH09190909A JP8069234A JP6923496A JPH09190909A JP H09190909 A JPH09190909 A JP H09190909A JP 8069234 A JP8069234 A JP 8069234A JP 6923496 A JP6923496 A JP 6923496A JP H09190909 A JPH09190909 A JP H09190909A
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pulverized powder
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Akira Makita
顕 槇田
Satoru Hirozawa
哲 広沢
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 R−T−N系ボンド磁石の製造方法におい
て、工程中の熱履歴及び応力を受けたときの保磁力の低
下が少なく、磁気特性のすぐれたR−T−N系異方性ボ
ンド磁石用の永久磁石粉末の製造方法の提供。 【解決手段】 特定組成のR−T系粉末(R:Yを含む
希土類元素の少なくとも1種で、かつSmを50at%
以上含有、T:FeまたはFeの一部をCoで置換)
を、内熱型加熱炉を用いて高圧N2ガス中で窒化処理
し、得られたR−T−N系粗粉砕粉をそのまま、あるい
は、潤滑剤を添加後微粉砕し、該微粉砕粉の表面に特定
量のZnをコーティングした後、熱処理し、さらに樹脂
と混合し磁界中で成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、永久磁石粉末を
樹脂と混合して磁界中で成形し、各種モーター、アクチ
ュェーター等の磁気回路を構成するR−T−N系異方性
ボンド磁石に用いる永久磁石粉末の磁気特性の安定性の
改良に係り、窒化したTh2Zn17型構造を有する化合
物からなる粗粉砕粉を、ジェットミル粉砕にて微粉砕し
かつ粉末表面にZnを被覆して改質し、さらに熱処理
後、微粉末の形態で得ることにより、バインダー樹脂の
混合時や成形時に保磁力iHcを低下させることなく異
方性ボンド磁石を得るR−T−N系永久磁石粉末および
異方性ボンド磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Th2Zn17構造を持つSm2Fe17合金
は、窒素を格子間に侵入させることによりTcが絶対温
度で2倍近く高くなり、このSm2Fe17x窒素侵入型
化合物(xはSm2Fe17xのxの値、以下同様)のT
cはNd2Fe14B化合物のTcよりも160℃も高
く、また、Nd2Fe14B化合物を上回る異方性磁界が
得られることが報告されている(J.Magn.Mag
n.Mat.87(1990)L251.)。
【0003】このSm2Fe17x窒素侵入型化合物を用
いた永久磁石の製造方法としては、Sm2Fe17合金粉
末をアンモニアと水素の混合ガス中で加熱保持して窒化
処理を行った後冷却し、ボールミルを用いて平均粒径3
μm以下に微粉砕し、エポキシ等の熱硬化性樹脂を混合
した後、磁界中でプレス成形し、さらに樹脂を加熱硬化
させる微粉末型異方性ボンド磁石の製造方法が、例えば
特開平2‐257603号に開示されている。
【0004】この従来技術では、得られた微粉砕粉を1
00℃以上に加熱すると保磁力が低下することが知られ
ており、例えば、Sm2Fe17xの微粉砕粉を120℃
の大気中で1時間加熱すると、iHcが約50%低下す
る(日本応用磁気学会誌Vol.18 No.3(19
94),p.782)。この保磁力の低下は、加熱の雰
囲気を不活性ガスにしても起こる。
【0005】Sm2Fe17xの微粉砕粉の表面には、厚
さが約10nmの酸素を多く含んだアモルファス相が存
在することが知られており、このアモルファス相とSm
2Fe17x相の界面の構造が、該微粉砕粉の保磁力を決
定すると考えられている(Journal of Al
loys and Compounds・193(19
93)p.235)。従って、前述の保磁力の低下は、
この界面の構造が変化したためと推定される。
【0006】ところで、Sm2Fe17xの微粉砕粉から
異方性ボンド磁石を製造するには、圧縮成形ボンド磁石
の場合は、該微粉砕粉にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
を混合し、磁界中で成形した後、約150℃に加熱して
樹脂を硬化させる。また、射出成形ボンド磁石の場合
は、該微粉砕粉とナイロン等の熱可塑性樹脂を200〜
300℃で混練してコンパウンドを製造し、さらにコン
パウンドを200〜300℃に加熱しながら磁界中で射
出成形する。いずれの場合も、該微粉砕粉が100℃以
上の熱履歴を受ける工程が含まれており、前述の保磁力
の低下が避けられない。
【0007】この保磁力の低下を防止するために、該微
粉砕粉の表面にシランカップリング剤による表面処理を
施す永久磁石粉末の製造方法が、例えば特開平6−20
814号に開示されている。この従来技術では、前述の
酸素を多く含んだアモルファス相の表面にカップリング
処理がなされるため、アモルファス相とSm2Fe17x
相の界面の構造は何ら改善されず、保磁力の低下に対し
て充分な防止効果が現れない。
【0008】また、樹脂ボンド磁石の製造方法として好
ましい平均粒径が15μm〜200μmで、保磁力が
0.5kOe以下のSm2Fe17x粉末の表面にメカノ
フュージョン法、熱CVD法などの方法により表面にZ
nをコーティングされた磁石粉末を得たり、あるいは、
該Sm2Fe17x粉末をZn粉末と混合後、仮成形、熱
処理を行って金属ボンド磁石となし、該金属ボンド磁石
を粉砕する方法により、好ましいコーティング層の厚さ
が0.5μm以上、25μm以下の、表面にZnがコー
ティングされた磁石粉末を得て、該磁石粉末を250〜
470℃で熱処理して保磁力を向上させた後、さらに樹
脂と混合して成形する樹脂ボンド磁石の製造方法が、例
えば特開平4−359405号に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術では平
均粒径15μm〜200μmのSm2Fe17x粉末を出
発原料としているが、このような粒径に粉砕したままの
粉末は、Sm2Fe17xの単磁区粒子径よりもはるかに
大きな粒径を有するために、実用的な保磁力を持ち得な
い。すなわち、平均粒径15μm以上のSm2Fe17x
粉末の保磁力は0.5kOe以下であり、Znコーティ
ング後の熱処理によって、コーティング層を構成するZ
n元素と、磁石粒子を構成するSm、Fe、およびN元
素が相互に拡散して混在部を形成し、もとのアモルファ
ス相とSm2Fe17x相の界面の構造を改善されて、初
めて実用的な保磁力が得られるが、Znコーティングの
みで熱処理を行わないと、前述の粉末表面のアモルファ
ス相とSm2Fe17x相の界面の構造が変化しないの
で、実用的な保磁力は得られない。
【0010】Znコーティングと熱処理を施したSm2
Fe17x粉末を樹脂と混合してボンド磁石を製造する
際に、粉末は、圧縮成形の場合には成形工程で強い圧縮
応力を、また、射出成形の場合には樹脂混練工程で強い
剪断応力を受ける。このため、平均粒径15μm〜20
0μmのSm2Fe17x粉末は容易に粒内破壊を起こ
し、Znのコーティングされていない新しい破断面(以
下これを新生破面と呼ぶ)が露出される。
【0011】新生破面の表面には直ちに酸素を多く含む
アモルファス相が形成されるが、この表面状態はZnコ
ーティングを行う前と同じなので保磁力が実用レベルか
ら低下する。また、この新生破面が100℃以上の熱履
歴を受けると、微粉砕粉の場合と同じくさらに保磁力が
低下する。
【0012】新生破面が発生する工程ではすでに樹脂が
混合されているので、新生破面に再度Znをコーティン
グして修復を計ることは困難である。たとえZnのコー
ティングができたとしても、Znの拡散が容易な350
〜470℃で熱処理すると樹脂が分解してしまい、ボン
ド磁石が製造できない。
【0013】また、平均粒径15μm〜200μmのS
2Fe17x粉末は、新生破面が露出するに至らなくて
も、前述のボンド磁石の製造工程における圧縮応力、ま
たは、剪断応力を受けて大きく歪む。この際に、Zn相
とSm2Fe17x相では弾性定数が異なるため、両者の
界面が剥離したり、界面構造の不整合が生じたりして、
保磁力が低下する可能性もあると推定される。
【0014】以上述べたように、好ましい平均粒径15
μm〜200μmのSm2Fe17x粉末を出発原料とし
て、Znコーティング、および熱処理を施した従来技術
による磁石粉末は、樹脂と混合してボンド磁石を製造す
る工程において受ける応力を原因とする保磁力の低下を
免れ得ないという問題点があった。
【0015】さらに、従来技術における熱処理工程で形
成される混在部は、Zn7Fe3やZn9Fe1などの非磁
性の金属間化合物を含有し、このことが磁石粉末の保磁
力の向上をもたらしているが、磁石粉末中の磁性を担う
Fe原子が非磁性化されるために、磁化が減少してしま
うという問題点もあった。
【0016】この発明は、平均粒径1〜5μmのSm2
Fe17x粉末を出発原料とし、Znの薄いコーティン
グ層を有し、100〜300℃の熱履歴を受けても保磁
力が低下せず、また、樹脂との混練時や、成形時に強い
応力を受けても保磁力が低下せず、微粉砕粉の形状を有
する磁化の高いR−T−N系永久磁石粉末を製造する方
法を提供し、さらに、すぐれた磁気特性を有するR−T
−N系異方性ボンド磁石を製造する方法の提供を目的と
している。
【0017】
【課題を解決するための手段】発明者らは、従来技術で
得られる平均粒径1〜5μmのSm2Fe17x微粉砕粉
の表面改質方法を鋭意検討した結果、該微粉砕粉の表面
に、微粉末の表面積1m2当たり1〜500mgのZn
をコーティングした後、熱処理を行うと磁化を大きく低
下させることなく、また、微粉砕粉の形状を保ったま
ま、加熱時の保磁力の低下を防止できることを知見し
た。
【0018】また、発明者らは、上記の平均粒径1〜5
μmのSm2Fe17x微粉砕粉を得る際に、微粉砕前の
粗粉砕粉に潤滑剤を添加し、不活性ガス中でジェットミ
ル粉砕すると、Znコーティング後の熱処理における微
粉末表面でのZnの拡散がスムーズに行われ、より優れ
た耐熱性をもつ磁石粉末が得られることを知見した。
【0019】さらにまた、発明者らは、上記の方法で得
られた、Znコーティングと熱処理を施した微粉砕粉に
樹脂を混合し樹脂ボンド磁石を作製すると、従来技術で
得られたZnコーティングを行わない平均粒径1〜5μ
mの微粉砕粉から作製した樹脂ボンド磁石に比べて、工
程中の熱履歴による保磁力の低下が少なく、また、従来
技術で得られた平均粒径15μm〜200μmのSm2
Fe17x粉末を出発原料とする、Znコーティング、
および熱処理を行った磁石粉末から作製した樹脂ボンド
磁石に比べて磁石粉末の粒径が小さいために、工程中に
受ける応力を原因とする保磁力の低下が少なく、優れた
磁気特性を持つボンド磁石が得られることを知見し、こ
の発明を完成した。
【0020】すなわち、この発明は、次の工程からなる
R−T−N系永久磁石粉末の製造方法であり、また、得
られた永久磁石粉末と樹脂を混合し、磁界中で成形する
ことを特徴とするR−T−N系異方性ボンド磁石の製造
方法である。 1)組成が、R 10〜12at%(R:Yを含む希土
類元素の少なくとも1種で、かつSmを50%以上含
有)、T 88.5〜90.5at%(T:Feまたは
Feの一部を30%以下のCoで置換)からなり、粒径
が150μm以下の少なくとも90vol%以上がTh
2Zn17型構造を有する化合物からなる粗粉砕粉を得
る、 2)前記粗粉砕粉を50〜2000atmのN2ガス中
で、350〜550℃に5〜50時間加熱保持した後冷
却し、R 8.5〜10.5at%、T 76〜78a
t%、N 12〜15at%を含有し、主としてTh2
Zn17型構造を有する粗粉砕粉を得る、 3)不活性ガス中でジェットミル粉砕機を用いて微粉砕
し、粒径が1〜5μmの粒子が全体の80wt%以上を
占めるような微粉砕粉を得る、 4)次いで、該微粉砕粉の表面にZnを微粉末の表面積
1m2当たり1〜500mgの割合でコーティングす
る、 5)コーティングしたZn含有微粉砕粉を、不活性ガス
中または真空中で300〜450℃で熱処理し、微粉砕
粉の形状を有する永久磁石粉末を得る。
【0021】また、この発明は、上記の製造方法におい
て、鋳塊を溶体化処理後に粗粉砕して得た粗粉砕粉、あ
るいは還元拡散法により得られた粗粉砕粉を用いる方法
を併せて提案する。
【0022】また、この発明は、上記のR−T−N系永
久磁石粉末の製造方法において、R8.5〜10.5a
t%、T 76〜78at%、N 12〜15at%を
含有し、主としてTh2Zn17型構造を有する粗粉砕粉
を得た後、該粗粉砕粉に少なくとも1種の潤滑剤を重量
比で0.1〜5.0wt%になるように添加混合し、そ
の後に不活性ガスでジェットミル粉砕機を用いて微粉砕
するR−T−N系永久磁石粉末の製造方法を併せて提案
する。さらに、この発明は前記製造方法で得られたR−
T−N系永久磁石粉末と樹脂を混合し、磁界中で成形し
てR−T−N系異方性ボンド磁石を得る製造方法を併せ
て提案する。
【0023】
【発明の実施の形態】
組成の限定理由 この発明に使用する粗粉砕粉および微粉砕粉の組成にお
いて、希土類元素RはY、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Gd、Tb、Ho、Er、Tm、Luが包含され、
これらのうち少なくとも1種以上で、SmをRの50a
t%以上含有する。希土類元素Rの50%以上をSmと
するのは、Smが50%未満では十分な保磁力が得られ
ないためである。窒化処理前の粗粉砕粉の成分Rは、1
0at%未満ではα−Feの析出により保磁力が低下
し、また12at%を越えるとRFe3相などが析出し
て磁化が低下するため、l0〜12at%とする。
【0024】Tは鉄属元素で、Fe、Coを含有する。
FeをTの70%以上含有することが重要である。すな
わち、T中のFeが70%未満では十分な磁化が得られ
ず好ましくない。なお、CoをTの30%以下添加する
ことは、キュリー温度が上昇し、磁化と異方性磁界が若
干向上するので好ましい。Coの添加量がTの30%を
超えることは、後工程の窒化処理における窒化量の低下
を招くので好ましくない。したがって、T中のCoの置
換率は30%以下とする。窒化処理前の粗粉砕粉の成分
Tは、88.5at%未満ではRFe3相などが析出し
て磁化が低下し、90.5at%を越えるとα−Feの
析出により保磁力が低下するため、88.5〜90.5
at%とする。
【0025】また、窒化処理後の粗粉砕粉の窒素量N
は、12at%未満では結晶磁気異方性が小さいために
高保磁力が得られず、また15at%を超えるとTh2
Zn17型構造が不安定となり、母相がRNやα−Feに
分解して好ましくないため、12〜15at%とする。
【0026】窒化処理後の粗粉砕粉の成分R、およびT
の組成は、窒化処理前に比べて低下する。これは、新た
な成分Nを含有することにより組成比が下がるためであ
る。すなわち、窒化処理後のR、およびTの組成は、そ
れぞれR 8.5〜10.5at%、T 76〜78a
t%とする。
【0027】製造条件の限定理由 この発明において、上述の組成を有する粗粉砕粉を製造
するには、鋳塊粉砕法、還元拡散法、アトマイズ法など
の公知の粗粉砕粉の製造方法を採用することができる。
【0028】この発明において、粒径が150μm以下
の少なくとも90vol%以上がTh2Zn17型構造を
有する化合物からなる粗粉砕粉に限定した理由は、該化
合物が90vol%未満であると磁気特性が低下する、
より具体的には、混在する第2相がα−Fe相の場合は
保磁力が低下し、Rリッチ相の場合は磁化が低下するた
め、Th2Zn17型化合物の存在比を90vol%以上
とした。
【0029】体積比で90%以上のTh2Zn17型化合
物を有する粗粉砕粉を得るためには、鋳塊粉砕法の場合
は、鋳造のままの鋳塊を900〜1200℃の温度で1
時間以上焼鈍するか、造塊工程で鋳塊の冷却速度を制御
するなど適宜選択できる。還元拡散法の場合には、R2
3、鉄粉およびCaを原料とした公知の還元拡散法を
用いて粉末状のTh2Zn17型化合物を合成し、必度に
応じて粉砕、整粒することにより、少なくとも90vo
l%以上がTh2Zn17型構造を有する化合物からなる
粗粉砕粉を得ることができる。
【0030】この発明において、粗粉砕粉の粒径を15
0μm以下に限定した理由は、150μmを超えると、
窒化処理において窒素の拡散経路が長いため、短時間で
粗粉砕粉の中心まで均一に窒化することが困難となるか
らである。粗粉砕の方法は、従来の機械的な粉砕方法の
ほか、H2吸蔵粉砕法で粗粉砕してもよく、また、これ
らの粉砕方法と不活性ガス中のジェットミル粉砕を組み
合わせる方法も好ましい。
【0031】この発明において、粗粉砕粉を窒化処理す
る場合、まず粗粉砕粉を耐熱容器に充填し、次に該粗粉
砕粉を耐熱容器ごとヒーターを内蔵した圧力容器内に装
入することが望ましい。耐熱容器は、N2ガスとの反応
性が低く窒化処理温度で変形しないものが望ましく、具
体的にはステンレス鋼、あるいはシリカなどのセラミッ
クスを用いる。
【0032】耐熱容器中の粗粉砕粉の充填深さは、あま
り深くするとN2ガスとの真空置換がスムーズに行え
ず、また、窒素との反応熱のために粉体が発熱し窒化処
理温度が変化してしまうといった弊害を生ずるため、l
cm以下にするのが望ましい。粗粉砕粉の充填深さをl
cm以下にする方法には、耐熱容器を2重にし、内側に
高さの低い容器を多数積み重ねる方法、あるいは、耐熱
容器の内部に多数の段を設ける方法などが適宜選定でき
る。
【0033】この発明において、内熱型加熱炉に用いる
内部ヒーターの材質はN2ガスとの反応性の低いものが
望ましく、具体的にはMo、Ptなどが用いられる。ヒ
ーターの形状は、被処理物を充填した耐熱容器を取り囲
むような籠状のもの、あるいは、耐熱容器の底部に接す
るプレート状のものが用いられ、また、両者を同時に用
いてもよい。
【0034】窒化処理時のN2圧力を50atm以上に
限定した理由は、50atm未満では窒化反応が遅く、
圧力を上げると反応は速やかに進行し、また、窒化処理
にともなう粉末表面での分解反応が抑制されるためであ
る。さらにまた、窒化処理に高圧のN2ガスを用いる
と、高圧容器内に封入された高圧N2ガスの熱伝導率は
圧力が高いほど大きいので、容器内部の温度分布がより
均一になり、大量の粗粉砕粉を一度に窒化処理しても磁
気特性のバラツキが少なくなるというメリットを生ず
る。N2圧力が2000atmを超えると処理設備が大
きくなりすぎ、工業生産上コスト的に好ましくない。し
たがって、窒化処理時のN2圧力は50〜2000at
mに限定する。より好ましい圧力範囲は80〜1000
atmである。
【0035】窒化処理時の温度を350〜550℃に限
定した理由は、350℃未満では窒化が進行せず、55
0℃を超えるとR2Fe17化合物がRNとα−Feに分
解し、磁気特性の劣化を招来するためである。また、窒
化処理時の保持時間は、5時間未満では充分な窒化が進
行せず、また50時間を超えると分解が起こり、磁気特
性の劣化を招来するため、5〜50時間とする。
【0036】この発明において、潤滑剤をジェットミル
粉砕の前に添加することは、ジェットミル時の粉砕能率
と歩留まりが向上するために好ましい。また、潤滑剤は
ジェットミル粉砕時の強力な撹拌作用により微粉砕粉の
表面に均一に分散されるが、この潤滑剤はZnコーティ
ング後の熱処理時に先に溶けてフラックスの働きをする
ため、コーティングされたZnの拡散がスムーズに行わ
れ、微粉末の表面全体にZnが行き渡り、耐熱性の優れ
た磁石粉末が得られる。コーティング材料であるZnを
含むステアリン酸亜鉛では特にこの効果が大きいので好
ましい。
【0037】この発明において、潤滑剤の添加量を重量
比で0.1〜5.0wt%に限定した理由は、0.1w
t%未満では添加量が少なすぎて磁化の向上効果がな
く、5.0wt%を超えると磁界中での配向性の向上効
果が飽和してしまい、むしろ非磁性の添加物が増加して
磁化が低下するため、0.1〜5.0wt%とする。
【0038】また、添加する潤滑剤の種類は、ステアリ
ン酸Zn、ステアリン酸Caなどの固形のもの、あるい
は脂肪酸エステルなどを液状にしたものの何れでもよ
く、また、両者を併用してもよい。潤滑剤の添加方法
は、そのままで、あるいはシクロヘキサンなどの溶媒に
溶解した状態でR−T−N粗粉砕粉に添加し、ロッキン
グミキサーなどを用いて均一混合することが望ましい。
【0039】この発明において、粗粉砕粉を不活性ガス
中でジェットミル粉砕機を用いて微粉砕するときの平均
粒径は3μm以下が望ましい。また、微粉砕粉の粒度分
布は、粒径が5μmを超える粒子が増えると保磁力、お
よび滅磁曲線の角型性が低下し、粒径が1μm未満の粒
子が増えると磁化が低下するため、微粒子全体のうち粒
径が1〜5μmのものの占める割合が80wt%以上に
なるように粉砕するのが望ましい。
【0040】このような粒度分布は、気流分級機を備え
たジェットミル粉砕機を用いて、分級点を制御すること
によって得られる。ジェットミル粉砕に用いる不活性ガ
スはN2、Arの何れでもよく、粉砕効率の向上、およ
び粉砕機の配管内壁への粉末の付着防止のために5vo
l%以下のO2を混合することが望ましい。
【0041】この発明において得られる微粉砕粉は粒径
が1〜5μmと細かいため、Znコーティングや熱処理
を行わなくてもすでにボンド磁石用の粉末として充分な
保磁力を有している。また、3μmの平均粒径というの
は、一般のジェットミル粉砕機で金属系材料を粉砕する
ときの限界の粒径に近く、これ以上細かく粉砕しようと
すると必要とされる機械的エネルギーが飛躍的に増大す
る。したがって、このような微粉砕粉に樹脂を混練した
り、成形したりして強い応力を加えても、粒内破壊によ
る新生破面はほとんど生じない。これが、平均粒径15
μm〜200μmのSm2Fe17x粉末を出発原料とす
る従来技術と大きく異なる点である。
【0042】この発明において、Znをコーティングす
る目的は微粉末の表面改質であり、Znのコーティング
量を表示するには、磁石粉末中に占めるZnの重量比で
はなく、磁石粉末の単位表面積をコーティングしている
Znの重量を用いるのが適切である。実際の微粉砕粉の
表面積を求める方法は、BET法や、粒度分布を測定し
て計算で求める方法など、適宜選択できる。
【0043】また、Znのコーティング量を微粉末の表
面積1m2当たり1〜500mgに限定した理由は、1
mg未満ではSm2Fe17x微粉砕粉の表面全体に拡散
するのに充分でないため、保磁力低下の防止効果がなく
なり、また、500mgを越えると非磁性相の割合が増
えて磁化が著しく低下するため、Znの量は微粉末の表
面積1m2当たり1〜500mgとする。
【0044】Sm2Fe17x微粉砕粉の表面にZnをコ
ーティングする方法としては、微粉砕粉の形態を保持で
きるならば、スパッタリング、真空蒸着などの気相成膜
法のいずれの公知技術を用いてもよい。スパッタリン
グ、真空蒸着の場合のZnのコーティング量は、微粉砕
粉の表面積1m2当たり1〜200mgが好ましい。コ
ーティング中に微粉砕粉を撹拌する機構を有する装置を
用いて、Znの均一な分散を図ることも好ましい。
【0045】また、微細なSm2Fe17x微粉砕粉の表
面にZnを薄くコーティングする方法としてZnの超微
粉を用いることも好ましい。Znの超微粉は、金属Zn
をプラズマ加熱によって気化、凝固することによって製
造される。この発明に用いる場合は、Zn超微粉の粒径
は0.3μm以下が好ましい。
【0046】コーティング方法としては、Zn超微粉と
Sm2Fe17x微粉砕粉を機械的に混合するか、あるい
は、超微粉生成装置中のZn超微粉が凝固、生成する直
近の位置にSm2Fe17x微粉砕粉を分散しながら供給
し、微粉砕粉の表面にZn超微粉を付着させる方法があ
る。後者の方法は、連続的にコーティング処理ができる
ので特に好ましい。Znの超微粉を用いる場合のZnの
コーティング量は、微粉砕粉の表面積1m2当たり10
0〜500mgが好ましい。
【0047】この発明において、Zn含有微粉砕粉の熱
処理温度を300〜450℃に限定した理由は、300
℃未満ではZnの拡散が起こり難く、保磁力の低下を防
止する効果がなくなり、また、450℃を越えるとSm
2Fe17x微粉砕粉の熱分解が進み、磁気特性が低下す
るため300〜450℃とする。
【0048】この発明において、Znコーティングと熱
処理を行う目的は、ボンド磁石の製造工程において微粉
砕粉が100〜300℃の熱履歴を受けても保磁力が低
下しないようにするためであり、コーティング前よりも
保磁力を増加させることは必ずしも必要ではない。すな
わち、平均粒径1〜5μmに微粉砕したSm2Fe17x
粉末は、すでにボンド磁石用粉末として充分な保磁力を
有しているので、その保磁力を大きく低下させることな
くZnコーティング、および熱処理を完了させることが
望ましい。
【0049】この発明においてコーティングするZnの
量は、微粉砕粉の表面に存在する厚みl0nmの酸素の
多いアモルファス相内を拡散して、Sm2Fe17x相に
到達するのに充分な量(微粉末の表面積1m2当たり
0.5g以下)であればよく、平均粒径15μm〜20
0μmのSm2Fe17x粉末を出発原料とする従来技術
において保磁力を実用レベルまで増加させるのに必要な
量(好ましい実施形態では、粉末表面積1m2当たり
3.6g以上)に比べるとずっと少量で目的の効果が得
られる。従って、この発明では、Znコーティング、熱
処理後も出発原料である平均粒径1〜5μmのSm2
17x微粉砕粉が互いに凝集することなく、元の形態
をそのまま保ったままで表面改質を行うことができる。
【0050】また、Znコーティング後、熱処理した微
粉砕粉の表面には、Zn7Fe3やZn9Fe1などの非磁
性の金属間化合物を含有する混在部が形成される必要は
ない。従って、平均粒径15μm〜200μmのSm2
Fe17x粉末を出発原料とする従来技術に比べて、熱
処理での磁化の低下が少ない。
【0051】Zn含有微粉砕粉の熱処理の雰囲気は窒素
中、不活性ガス中、あるいは真空中が好ましい。Znは
蒸気圧が高いため熱処理中に微粉砕粉の表面に拡散する
前に雰囲気中に蒸発してしまう恐れがある。このような
場合には、熱処理する粉末を密閉容器に収容するか、別
のZn源を加熱するなどして、Znの蒸気圧を高める工
夫を行うことが望ましい。また、Zn含有微粉砕粉の熱
処理時間は特に限定しないが、Znが微粉砕粉表面に拡
散するのに充分な時間だけ熱処理することが好ましい。
熱処理に要する時間は、Zn量、熱処理温度、雰囲気な
どの条件によって経験的に決定するのが望ましい。
【0052】この発明において、Znのコーティング処
理と、コーティングした粉末の熱処理を、同一の装置内
で連続的に行うことも好ましい実施形態である。具体的
な実施方法としては、真空蒸着の場合は微粉砕粉を予め
熱処理温度まで加熱保持しながら蒸着を行う、あるいは
Zn超微粉コーティングの場合は超微粉生成装置のプラ
ズマ加熱の温度が熱処理温度と一致する位置に微粉砕粉
を供給するなどの方法が適宜選択できる。
【0053】この発明におけるR−T−N系ボンド磁石
は、以下に示す圧縮成形、射出成形、押し出し成形、圧
延成形、樹脂含浸法など、公知のいずれの製造方法であ
ってもよい。圧縮成形の場合は、磁石粉末に熱硬化性樹
脂、カップリング剤、滑剤などを添加混練した後、磁界
中で圧縮成形後加熱し、樹脂を硬化して得られる。射出
成形、押し出し成形、圧延成形の場合は、磁石粉末に熱
可塑性樹脂、カップリング剤、滑剤などを添加混練した
後、磁界中で射出成形、押し出し成形、圧延成形のいず
れかの方法で成形して得られる。樹脂含浸法において
は、磁石粉末を磁界中で圧縮成形後、必要に応じて熱処
理した後、熱硬化性樹脂を含浸し、加熱して樹脂を硬化
させる得る。あるいは磁石粉末を圧縮成形後、必要に応
じて熱処理した後、熱可塑性樹脂を含浸して得る。
【0054】上述のいずれのボンド磁石の製造方法にお
いても、磁石粉末は微粉砕粉の形態を保持しているた
め、磁界中での配向性がよく、強い応力が加わっても新
生破面が生ずることなく耐熱性が保たれる。また、応力
によって微粉砕粉に歪が生じても、粒径が小さいために
歪量は小さく、さらに、Znコーティング相の厚みも薄
いので剥離や界面の不整合は起こらない。
【0055】この発明において、ボンド磁石中の磁石粉
末の充填率は、前記製造方法により異なるが、70〜9
9.5wt%であり、残部0.5〜30wt%が樹脂そ
の他である。圧縮成形法の場合、磁石粉末の充填率は9
5〜99.5wt%、射出成形法の場合、90〜95w
t%、樹脂含浸法の場合、96〜99.5wt%が好ま
しい。
【0056】この発明において、バインダーとして用い
る合成樹脂は熱硬化性、熱可塑性のいずれでも使用でき
るが、熱的に安定な樹脂が好ましく、例えば、エポキシ
樹脂、ナイロンなどが適宜選択される。
【0057】
【実施例】
実施例1 高周波溶解法によって得られた表1に示す試料No.1
〜7の組成の鋳塊を、1100℃、50時間溶体化処理
して、鋳塊中のTh2Zn17型化合物を95vol%以
上となした後、N2ガス雰囲気中でジョークラッシャー
およびパワーミルにて粒径150μm以下に粗粉砕し、
この粗粉砕粉を100atmのN2ガス中で、450
℃、36時間の窒化条件で窒化処理を行った後、冷却し
て表1に示す平均組成を有する粗粉砕粉を得た。
【0058】次に、得られたR−T−N粗粉砕粉を気流
分級機を有する衝突型ジェットミルを用いて3vol%
の02ガスを混合したN2ガス中で、平均粒径が約3μm
になるように微粉砕した。得られた微粉砕粉の粒度分布
を調べたところ、微粒子全体のうち粒径が1〜5μmの
ものの占める割合が85wt%以上であった。また、B
ET法で測定した微粉砕粉の表面積はlg当たり0.2
6m2であった。得られたR−T−N微粉砕粉の保磁力
を表2に示す。
【0059】さらに、得られたR−T−N微粉砕粉を5
×10-5Torrの真空中で撹拌しながら、微粉砕粉の
表面積1m2当たり、表2に示す量のZnを真空蒸着し
た後、3atmのN2ガス中で380℃、12時間の熱
処理を行った。得られた粉体は、微粉砕粉の形態を保っ
ており、X線回折パターンはTh2Zn17型構造のピー
クと低いα−Feのピークを示していた。得られたZn
コーティング、熱処理後の粉体の保磁力を表2に示す。
また、このZnコーティング、熱処理後の粉体を120
℃、大気中で100時間放置した後、室温まで冷却した
ところ、表2に示すように保磁力はほとんど低下しなか
った。
【0060】比較例1 高周波溶解法によって得られた表1に示す試料No.8
〜9の組成の鋳塊を、1100℃、50時間溶体化処理
して、鋳塊中のTh2Zn17型化合物を95vol%以
上となした後、N2ガス雰囲気中でジョークラッシャー
およびパワーミルにて粒径150μm以下に粗粉砕し、
この粗粉砕粉を100atmのN2ガス中で、450
℃、36時間の窒化条件で窒化処理を行った後冷却し、
表1に示す平均組成を有する粗粉砕粉を得た。
【0061】次に、得られたR−T‐N粗粉砕粉を気流
分級機を有する衝突型ジェットミルを用いて3vol%
のO2ガスを混合したN2ガス中で、平均粒径が約3μm
になるように微粉砕した。得られた微粉砕粉の粒度分布
を調べたところ、微粒子全体のうち粒径が1〜5μmの
ものの占める割合が85wt%以上であった。また、B
ET法で測定した微粉砕粉の表面積は1g当たり0.2
6m2であった。得られたR−T−N微粉砕粉の保磁力
を表2に示す。さらに、得られたR−T−N微粉砕粉を
120℃、大気中で100時間放置した後、室温まで冷
却したところ、表2に示すように保磁力は大きく低下し
た。
【0062】実施例2 実施例1で得られた表1に示す組成を持つ試料No.2
の窒化後の粗粉砕粉に、ステアリン酸Znを重量比で
0.5wt%になるように添加後、ロッキングミキサー
で均一混合し、気流分級機を有する衝突型ジェットミル
を用いて3vol%のO2ガスを混合したN2ガス中で、
平均粒径が約3μmになるように微粉砕した。得られた
微粉砕粉の粒度分布を調べたところ、微粒子全体のうち
粒径が1〜5μmのものの占める割合が85wt%以上
であった。また、BET法で測定した微粉砕粉の表面積
は1g当たり0.28m2であった。得られたR−T−
N微粉砕粉のiHcは7.0k0eであった。
【0063】次に、ジェットミル粉砕後の微粉砕粉を、
プラズマ加熱によるZn超微粉生成装置の内部に分散供
給し、該微粉砕粉の表面に粒径0.1μmのZn超徴粉
を、微粉砕粉の表面積1m2当たり300mgないし4
50mgコーティングした後、3atmのN2ガス中で
380℃、12時間の熱処理を行った。得られた各々の
粉体は微粉砕粉の形態を保っており、X線回折パターン
はTh2Zn17型構造のピークと低いα−Feのピーク
を示していた。得られたZnコーティング、熱処理後の
粉体のiHcは、Znコーティング量が300mg/m
2の場合は7.7kOe、Znコーティング量が450
mg/m2の場合は8.0kOeであった。
【0064】その後、これらの粉体に9.0wt%のナ
イロン樹脂を混合し、280℃に加熱しながら樹脂を混
練し、冷却後、粉砕してペレット状のコンパウンドを得
た。このコンパウンドを射出成形機に充填し、250℃
に加熱後、10kOeの磁界中で1.5ton/cm2
の圧力で金型中に射出成形し、ボンド磁石を作製した。
Znコーティング量が300mg/m2の場合、得られ
たボンド磁石のiHcは7.6kOe、Brは8.4k
Gであった。また、Znコーティング量が450mg/
2の場合、得られたボンド磁石のiHcは7.8kO
e、Brは7.7kGであった。
【0065】さらに、得られた2種類のボンド磁石を1
20℃、大気中で100時間放置した後、室温まで冷却
した時の磁気特性は、Znコーティング量が300mg
/m2の場合、iHcは7.5kOe、Brは8.2k
Gであった。また、Znコーティング量が450mg/
2の場合、iHcは7.8kOe、Brは7.6kG
であった。
【0066】比較例2 高周波溶解法によって得られた表1に示す試料No.2
の組成の鋳塊を、1100℃、50時間溶体化処理し
て、鋳塊中のTh2Zn17型化合物を95vol%以上
となした後、N2ガス雰囲気中で平均粒径10μmに粉
砕し、この粉砕粉を100atmのN2ガス中で、45
0℃、10時間の窒化条件で窒化処理を行った後冷却
し、R−T−N粉砕粉を得た。BET法で測定した粉砕
粉の表面積は1g当たり0.08m2であった。得られ
たR−T−N粉砕粉のiHcは0.5k0eであった。
【0067】次に、得られた平均粒径10μmのR−T
−N粉砕粉を、プラズマ加熱によるZn超徴粉生成装置
の内部に分散供給し、該微粉砕粉の表面に粒径0.1μ
mのZn超徴粉を、微粉砕粉の表面積1m2当たり3g
コーティングした後、3atmのN2ガス中で380
℃、12時間の熱処理を行った。得られた粉体は徴粉砕
粉の形態を保っており、X線回折パターンはTh2Zn
17型構造のピークとZn7Fe3のピーク、および低いα
‐Feのピークを示していた。得られたZnコーティン
グ、熱処理後の粉体のiHcは6.8kOeであった。
【0068】その後、この粉体に9.0wt%のナイロ
ン樹脂を混合し、280℃に加熱しながら樹脂を混練
し、冷却後粉砕してペレット状のコンパウンドを得た。
このコンパウンドを射出成形機に充填し、250℃に加
熱後、10kOeの磁界中で1.5ton/cm2の圧
力で金型中に射出成形し、ボンド磁石を作製した。ボン
ド磁石の表面を研磨して顕微鏡で観察すると、多くの磁
石粒子が混練、成形時に受けた応力により粉砕され、細
かく分裂しているのが見られた。得られたボンド磁石の
iHcは5.4kOe、Brは5.2kGであった。さ
らに、得られたボンド磁石を120℃、大気中で100
時間放置した後、室温まで冷却したときのiHcは2.
7kOe、Brは3.8kGであった。
【0069】実施例3 270gのSm23、610gの電解鉄粉、120gの
粒状のCaを混合し、蓋付きの容器に入れてAr雰囲気
中で900℃、10時間の還元拡散処理を行い、Sm2
Fe17とCaO及びその他の不純物との混合物を得て、
これを純水で洗浄してCaOを除去し、Sm2Fe17
合物を98vol.%以上含有した粗粉、約800gを
得た。これをパワーミルにて粒径150μm以下に粗粉
砕し、この粗粉砕粉を100atmのN2ガス中で、4
50℃、36時間の窒化条件で窒化処理を行った後冷却
し、Sm8.6at%、Fe77.7at%、N13.
7at%の平均組成を有する粗粉砕粉を得た。
【0070】得られたR−T−N粗粉砕粉を気流分級機
を有する衝突型ジェットミルを用いて3vol%のO2
ガスを混合したN2ガス中で、平均粒径が約3μmにな
るように微粉砕した。得られた微粉砕粉の粒度分布を調
べたところ、微粒子全体のうち粒径が1〜5μmのもの
の占める割合が87wt%以上であった、また、BET
法で測定した粉砕粉の表面積は1g当たり0.27m2
であった。得られたR−T−N粗粉砕粉のBrは12.
5kG、iHcは8.4k0eであった。
【0071】さらに、得られたR−T−N粗粉砕粉を5
×10-5Torrの真空中で撹拌しながら、微粉砕粉の
表面積1m2当たり、70mgのZnを真空蒸着した
後、3atmのN2ガス中で380℃、12時間の熱処
理を行った。得られた粉体は微粉砕粉の形態を保ってお
り、X線回折パターンはTh2Zn17型構造のピークと
低いα−Feのピークを示していた。得られたZnコー
ティング、熱処理後の粉体のBrは11.8kG、iH
cは8.2kOeであり、熱処理後の粉体を120℃、
大気中で1000時間放置した後、室温まで冷却した時
のBr、iHcは放置前と同一で全く低下しなかった。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】この発明によれば、平均粒径1〜5μm
のSm2Fe17x微粉砕粉の表面に、微粉末の表面積1
2当たり1〜500mgのZnをコーティングした
後、熱処理を行うことにより、磁化を大きく低下させる
ことなく、微粉砕粉の形状を保ったまま、加熱時の保磁
力の低下を防止でき、また、微粉砕粉を得る際に、微粉
砕前の粗粉砕粉に潤滑剤を添加し、不活性ガス中でジェ
ットミル粉砕すると、Znコーティング後の熱処理にお
ける微粉末表面でのZnの拡散が円滑になり、より優れ
た耐熱性をもつ磁石粉末が得られる。
【0075】また、この発明によれば、上記の方法で得
られた微粉砕粉に樹脂を混合し樹脂ボンド磁石を製造す
ることにより、従来技術で得られた微粉砕粉から作製し
た樹脂ボンド磁石に比べて、工程中の熱履歴による保磁
力の低下が少なく、また、樹脂との混練時や成形時に強
い応力を受けても保磁力が低下せず、優れた磁気特性を
持つボンド磁石が製造できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成が、R 10〜12at%(R:Y
    を含む希土類元素の少なくとも1種で、かつSmを50
    %以上含有)、T 88.5〜90.5at%(T:F
    eまたはFeの一部を30%以下のCoで置換)からな
    り、粒径が150μm以下の少なくとも90vol%以
    上がTh2Zn17型構造を有する化合物からなる粗粉砕
    粉を、50〜2000atmのN2ガス中で、350〜
    550℃に5〜50時間加熱保持した後冷却し、R
    8.5〜10.5at%、T 76〜78at%、N
    12〜15at%を含有し、主としてTh2Zn17型構
    造を有する粗粉砕粉を得た後、不活性ガス中でジェット
    ミル粉砕機を用いて微粉砕し、粒径が1〜5μmの粒子
    が全体の80wt%以上を占めるような微粉砕粉を得
    て、次いで、該微粉砕粉の表面にZnを微粉末の表面積
    1m2当たり1〜500mgの割合でコーティングした
    Zn含有微粉砕粉を、不活性ガス中または真空中で30
    0〜450℃で熱処理し、微粉砕粉の形状を有する永久
    磁石粉末を得るR−T−N系永久磁石粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、粗粉砕粉は鋳塊を溶
    体化処理後に粗粉砕して得たものであるR−T−N系永
    久磁石粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、粗粉砕粉は還元拡散
    法により得られたものであるR−T−N系永久磁石粉末
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、R 8.5〜10.
    5at%、T 76〜78at%、N 12〜15at
    %を含有し、主としてTh2Zn17型構造を有する粗粉
    砕粉を得た後、該粗粉砕粉に少なくとも1種の潤滑剤を
    重量比で0.1〜5.0wt%になるように添加混合
    し、その後に不活性ガス中でジェットミル粉砕機を用い
    て微粉砕するR−T−N系永久磁石粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項4で得られた永久
    磁石粉末と樹脂を混合し、磁界中で成形するR−T−N
    系異方性ボンド磁石の製造方法。
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