JPH0788205B2 - クロマトグラフイ−分離用リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイト及びその製造方法 - Google Patents

クロマトグラフイ−分離用リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイト及びその製造方法

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JPH0788205B2 JP60209562A JP20956285A JPH0788205B2 JP H0788205 B2 JPH0788205 B2 JP H0788205B2 JP 60209562 A JP60209562 A JP 60209562A JP 20956285 A JP20956285 A JP 20956285A JP H0788205 B2 JPH0788205 B2 JP H0788205B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、クロマトグラフイー分離用リン酸カルシウム
系ヒドロキシアパタイト及びその製造方法に関するもの
である。
更に詳しく言えば、本発明は、特定の結晶特性を有し、
生体高分子化合物の分離用カラム充填剤として有用な新
規のリン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイト及びその
製造方法に関するものである。
従来の技術及び問題点 アパタイト構造化合物は、一般に、M10(ZO4・X2
表わされる化合物である、この式でMは、Ca、Ba、Sn、
Mg、Na、K、Pb、Cd、Zn、Ni、Fe及びAl等の金属原子を
表わし、ZO4は、PO4、AsO4、VO4、SO4、及びSiO4等の酸
根を表わし、Xは、OH、Fの原子(団)を表わす広範囲
な化合物群の総称である。本発明においては、上記一般
式においてMが実質上Caであり、ZO4が実質上PO4であ
り、Xが実質上OHであるリン酸カルシムウ系化合物を対
象とする。
リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイトCa10(PO4
(OH)(以下特別の場合を除き単に「ヒドロキシア
パタイト」という。)は、脊椎動物の歯や骨の無機成分
の組成と近似し、生体との親和性が良好なため近年人工
歯、人工骨材料の医療用材料として注目を集めている。
又、生体親和性を有することから生体高分子化合物、例
えばタンパク質、酵素、核酸等のクロマトグラフイー分
離用カラム充填剤として用いられている。
従来、斯るヒドロキシアパタイトは、主として 水溶性カルシウム塩とリン酸塩とを水溶液中で反応さ
せる水溶液反応利用による湿式合成法によるか、 リン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを水蒸気の存在
下において900℃〜1400℃の温度で反応させる高温固相
反応利用による湿式合成法によるか、又は、 りん酸水素カルシウムを例えば200℃、15気圧で加水
分解する高温高圧水蒸気下での反応による水熱合成法を
利用するか、 によつて合成されている。
更に、これらの方法のほかに、例えば、特公昭55−5004
47号で開示されている合成法が提案されている。
上記の如き方法により得られるヒドロキシアパタイト
は、結晶構造では六方晶系に属し、空間群はP63/mであ
り単位格子定数はa軸が9.432Å、c軸が6.881Åである
(M.I.Kay及びR.A.Young;ネイチヤー(Nature、204、p.
1050(Dec.12,1964))。
本発明者等は、多くの研究実験の結果、このような結晶
特性を有するヒドロキシアパタイトは生体高分子化合物
のクロマトグラフイー分離用カラム充填剤として使用し
た場合に充分な分離能及び選択性を常時得ることができ
ないことを見出した。
発明の目的 従つて、本発明の目的は、従来提案されているヒドロキ
シアパタイトを生体高分子化合物のクロマトグラフイー
分離用カラム充填剤として使用した場合の分離能及び選
択性に難点があることに鑑み、特異な結晶特性を有し、
分離能及び選択性に優れた新規なクロマトグラフイー分
離用リン酸カルシウム系アパタイトを提供することであ
る。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、アパタイト構造化合物の結晶特性につい
て種々検討した結果、X線回折(XRD)法により求めら
れる単位格子定数が従来の当該技術分野において知られ
ているアパタイト構造化合物とは相違する新規な結晶構
造を有するヒドロキシアパタイトを見出し、当該化合物
が前記の如く、特に生体高分子化合物のクロマトグラフ
イー分離用カラム充填剤として極めて有用であることを
見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、六方晶系に属し、空間群がP63/mであ
り、単位格子定数は、a軸が9.58±0.08Å、c軸が7.00
±0.05Åであることを特徴とするヒドロキシアパタイト
である。又、本発明によると、特に分離能及び選択性に
優れた新規なクロマトグラフイー分離用リン酸カルシウ
ム系アパタイトが提供される。
ここで、単位格子とは、結晶が種々の原子、原子団や分
子が三次元的に規則正しく配列したものであり、その繰
り返しの最小単位の単位胞を意味する。該単位胞の幾何
学的対称性は晶系と空間群で記述され、単位胞の大きさ
は格子定数で表わされる。アパタイト構造化合物の単位
胞は、六方格子で表わされ、この中に例えばCa2+、PO4
3-、OH-が配列している。
前述の如き、従来開示されているアパタイト構造化合
物、例えばリン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイトの
単位格子足数は、a軸が9.432Åであり、c軸が6.881Å
である。
これに対し、本発明によるヒドロキシアパタイトの単位
格子定数は、a軸が9.58±0.08Åであり、c軸が7.00±
0.05Åであつて、上記従来のヒドロキシアパタイトとは
結晶特性が全く相違するものであり、斯る構造のヒドロ
キシアパタイトは従来知られていない新規なものであ
る。
前述の単位格子定数は、X線回折法により求めることが
できる。具体的には、粉末X線回折法により回折角(ブ
ラツク角)を測定する。回折角は、デイフラクトメータ
付のX線回折装置(CuKα線)を用いて記録紙上に記録
したX線回折図形から測定することができる。又、ブラ
ツクの式λ=2αsinθ(λはCuKα線の波長で1.54184
Å)からオングストローム単位で表示した格子面間隔d
(Å)を求めることもできる。ヒドロキシアパタイトの
結晶系は六方晶系であり、各格子面間隔d(Å)に対す
るミラー指数(hkl)が付されており、これは、JCPDS
(粉末X線回折フアイル(Joint Committee on Powder
Diffraction Standard)9−432に示されている。格子
面間隔d(Å)は、格子定数a、c及びミラー指数(hk
l)で次式の如く表される。
又、ブラツクの式を用いるならば、 となる。
本発明によるヒドロキシアパタイトの単位格子定数a及
びcは、上記の如くX線回折測定により求めた各回折線
のブラツク角及び既知のミラー指数を用いて上記の六方
晶系の理論式より求めたものである。そして、単位格子
定数a、cの最確値及び誤差の範囲は最小二乗法により
決定される。第1表に本発明によるヒドロキシアパタイ
トのX線回折結果から求めた格子面間隔d(Å)を示
す。
本発明に係る単位格子定数のa軸が9.58±0.08Å、c軸
が7.00±0.05Åであるヒドロキシアパタイトは、特に生
体高分子化合物、例えばタンパク質の分離において顕著
な性能を発揮する。単位格子定数が上記の値でない場合
には分離性能が著しく低下する。
本発明の特定の範囲の単位格子定数(a及びc)を示す
ヒドロキシアパタイトが特に生体高分子化合物の分離に
おいて優れた性能を有する理由は明白ではないが、生体
高分子化合物例えばDNAのような核酸又はタンパク質の
分離においてヒドロキシアパタイト基質に存在する吸着
点(吸着サイト)と核酸分子上のリン酸基との、又は該
吸着点とタンパク質のアミノ基及びカルボキシル基と相
互作用が重要な役割を演ずると言える。
ここで、ヒドロキシアパタイト結晶表面には結晶格子の
ac又はbc面に平行な面(それぞれb面、a面と呼ぶ。こ
れは結晶学的には等価である。)と、ab面に平行な面
(c面と呼ぶ。)との2種類の面が主として出現する。
更に、結晶のa面又はb面上には正の電荷を帯びた2個
のカルシウムによつて構成される吸着点(c吸着点と呼
ぶ。)が配列し、結晶のc面上には負の電荷を帯びたリ
ン酸イオンに由来する6個の酸素原子によつて構成され
る吸着点(P吸着点と呼ぶ。)が配列しており、これら
の配列の仕方は結晶であるが故に規則的であり単位面積
当りに存在する数も一定である。従つて単位格子定数
a、c(の値)が異なる場合、c吸着点間及びP吸着間
の距離に相違が出現することになる。
上述したように生体高分子化合物のクロマトグラフイー
分離において、ヒドロキシアパタイトの吸着点と生体高
分子化合物の種々の官能基との相互作用が重要であり、
C吸着点間及びP吸着点間、或いは相互の吸着点間の距
離が生体高分子化合物の吸着又は脱着等の相互作用に影
響することは明らかであり、これら吸着点間にはある適
切な距離が必要であつて、本発明の単位格子定数を有す
るヒドロキシアパタイトがこのような条件を満足してお
り生体高分子化合物分離において優れた性能を示すもの
と考えられる。
又、上述の如き特異な結晶特性を有した本発明に係るヒ
ドロキシアパタイトは、その組成においてCaとPの原子
比、つまりCa/Pが1.5〜1.9であることが好ましい。
更に、本発明のクロマトグラフイー分離用カラム充填剤
として有用なヒドロキシアパタイトは、前記の如くに特
定の単位格子定数を有するのに加えて特定のピリジン吸
着量を示すことが又特徴の一つである。即ち、本発明者
等の研究によると、ピリジン吸着量が0.003mmol/g〜0.0
1mmol/gの範囲にあるものが、生体高分子化合物の分離
において優れた性能を発揮することが分かつた。これ
は、前記の如きヒドロキシアパタイト基質と核酸分子上
のリン酸基、タンパク質のアミノ基及びカルボキシル基
との相互作用による吸脱着において重要な役割をなすOH
-、Ca2+、PO4 3-の各官能基の、特にOH-の酸量が制御さ
れることに起因するものと推定される。
ピリジン吸着量は、上記の如き官能基による固体酸量を
主として表示するものであり、ピリジン吸着量が0.003m
mol/gに満たない場合にはタンパク質の分離性能は低下
し、実用に供することができない。一方、ピリジ吸着量
が0.01mmol/gを越える場合も同様に分離性能は低下す
る。
本発明のヒドロキシアパタイトの第三の特徴は、針状微
結晶を主体とする微結晶集合体であることであり、その
大きさは、幅100Å〜500Å、長さ500Å〜3,000Åであ
る。針状微結晶であることは球状体に造粒することが容
易であり、通常球状体とされる微結晶集合体の平均粒径
は面積基準で0.5μm〜50μmであり、好ましくは1μ
m〜10μmである。又、斯る球状体とされることは機械
的強度が増大するという利点や分離カラム充填層を均一
にできるという利点がある。
クロマトグラフイー分離の対象となり得るタンパク質と
しては、Immunoglobulin G、Transterin、Myeloma Immu
noglobuline D、Serum albumin、Ovalbumin等を挙げる
ことができる。
次に、本発明のヒドロキシアパタイトの製造方法につい
て説明する。
本発明による製造方法は、前述のような溶液反応による
湿式法、高温固相反応による乾式法又は加水分解による
水熱法等の合成法より得られたゲル状ヒドロキシアパタ
イト又は粉末状ヒドロキシアパタイトを400℃〜700℃の
範囲の温度で焼成することによつても製造し得るが、好
ましくは、先ずゲル状ヒドロキシアパタイトを造粒し、
その結果生成された粒状ヒドロキシアパタイトを400℃
〜700℃の範囲の温度で焼成することによつて行なわれ
る。
本発明は、本発明者等が、アパタイト構造化合物の結晶
特性と焼成温度との関係について種々検討した結果、ア
パタイト構造化合物の単位格子定数が焼成温度の上昇に
伴い変化して増加し、約600℃未満で最大となり、更に
焼成温度を上昇させると単位格子定数は再び収縮に転じ
るという新しい知見を得たことに基づいて完成されたも
のである。
ここで、ゲル状ヒドロキシアパタイトとは、水に、又は
カルシウム、リン酸等のイオンを含有する水溶液にヒド
ロキシアパタイトの針状の微結晶体が共存している懸濁
体状つまりスラリー状のものであり、前記の如きヒドロ
キシアパタイトの合成法のいずれかにより調製すること
ができる。又、ゲル状ヒドロキシアパタイトは、微結晶
粉末を水溶液に分散混合しても得ることができる。
ゲル状ヒドロキシアパタイトの好ましい造粒方法は、噴
霧乾燥法(スプレードライ法)である。噴霧乾燥法は、
高温気流中にヒドロキシアパタイトの懸濁液又はスラリ
ーを噴霧させて瞬間的に乾燥させることを内容とする。
噴霧乾燥の条件は、懸濁液又はスラリーの濃度が0.1重
量%〜20重量%、好ましくは、1重量%〜10重量%であ
り、高温気流温度が100℃〜200℃、好ましくは110℃〜1
70℃の範囲にあることである。噴霧ノズルの形状、空気
量等の条件は適宜選択することができる。この造粒処理
の結果、約0.5μm〜約50μmの範囲、更に約1μm〜
約20μmの範囲に制御された粒径を有する生成物を得る
ことができた。更には、造粒処理の仕方によつては約1
μm〜約10μmの範囲に制御された球状体を得ることが
できることが分かつた。
本発明の方法において、焼成処理は、ゲル状ヒドロキシ
アパタイトを加熱帯域において所定温度に昇温し、保持
することによつて行なわれる。焼成温度は、400℃〜700
℃の範囲であり、更に、好ましい温度は500℃〜600℃の
範囲である。焼成時間は限定すべきものではないが0.1
〜20時間であり、好ましい焼成時間は、1〜3時間であ
る。焼成処理に際しては、酸素又は空気の存在下におい
て乾燥を行なうことが好ましい。乾燥処理条件は、制限
されるものではないが、80℃〜120℃の範囲で時間0.1〜
10時間加熱することが好適である。
このようにゲル状ヒドロキシアパタイトを焼成して得ら
れたヒドロキシアパタイトは、下記の如き特性値を有
し、上述の如き特定の単位格子定数を有する従来知られ
ていない新規な化合物である。
粒径(μm) 0.5〜50 Ca/P比 1.5〜1.9 粒形 球状(針状微結晶集合体) ピリジン吸着量(mmol/g) 0.003〜0.01 次に、本発明を実施例に即して説明する。
実施例1 1の三口フラスコに水酸化カルシウムの懸濁液(95%
Ca(OH)を15.6g及び蒸留水を400gから成る。)を採
り、窒素ガスを吹き込み、かつ強く撹拌しながらリン酸
水溶液(85%H3PO4を13.8g及び蒸留水を400Gから成
る。)をゆつくりとした速度で添加した。添加終了後、
これにリン酸水溶液を更に加えて、pHを8.2とし、オイ
ルバスにセツトし、90℃で約18時間保持した。この結晶
白色の微結晶物を含有する生成物、即ちゲル状ヒドロキ
シアパタイトを得た。
これを冷却した後、一部を噴霧乾燥機(スプレードライ
ヤー)にかけ、1μm〜10μm程度の球状の顆粒即ち微
結晶集合体を得た。
更に、これを100℃で乾燥後、580℃で焼成し分離カラム
用の顆粒を調製した。この顆粒のX線回折法により求め
た格子面間隔を第1表に示す。この顆粒の特性値は次の
通りであつた。
(1)X線回折法により求めた単位格子定数; a=9.58Å c=7.01Å (2)ピリジン吸着量;0.0056mmol/g (3)Ca/P比;1.67 X線回折は、理学電機製RAD−rDを使用し、次の測定条
件を採用した。
出力:40KV、30mA CuKα DS/RS/SS:1/6℃/0.15mm/1/6℃ プリセツトタイム:0.1秒 ステツプ幅:1/100 本実施例において、粒度分布は粒子濃度により吸光度が
変化するという原理を利用した遠心沈降法を採用して吸
光度を求め、ストークスの沈降式により粒径を求めた。
測定に当り、分散媒としては水を使用し、測定装置は堀
場自動粒度分布測定装置(CAPA−300型)を用いた。
測定時のパラメータは次の通りであり、測定結果は第3
表に示す通りであつた。
測定時パラメータ 分散媒粘性係数 0.96センチポイズ 分散媒密度 1.00g/ml 試料密度 3.21g/ml 最大粒径 10μm 最小粒径 1.0μm 粒径間隔 1.0μm 測定時間 6.3分間 回転数 500rpm ピリジン吸着量の測定は次の方法にて行なつた。
粒径1〜10μmのヒドロキシアパタイト顆粒を加圧成形
機を用いて軽く成形し、次にメノウ乳鉢で粉砕して30〜
100メツシユの粒度とした。その0.075gを精秤し、管状
試料管に充填し、窒素雰囲気下100℃にて乾燥した。一
方、15.5℃の一定温度に保持した水浴中にピリジンを入
れたバブラーを浸し窒素にてバブリングしてリアクター
内に充填されたヒドロキシアパタイトに100℃にて15分
間ピリジンを吸着させた。その後、窒素流通下に徐々に
昇温して200℃に維持し、物理吸着分を脱離させ、水素
イオン検知方式ガスクロマトグラフイーによりピリジン
の脱離が検知されなくなつたのを確認し。次に、5℃/
分の昇温速度で200℃から950℃まで昇温し、脱離してく
るピリジンの量をガスクロマトグラフイーにより定量し
た。この脱離ピリジン量をピリジン吸着量とした。
実施例2 実施例1と同一の原料を使用し、同一の反応条件で顆粒
を調製し、これを100℃で乾燥後400℃で3時間焼成し
た。この顆粒のX線回折法により求めた格子面間隔を第
1表に示す。
特性値は次の通りであつた。
(1)単位格子定数; a=9.51Å c=6.96Å (2)ピリジン吸着量;0.0092mmol/g (3)Ca/P比;1.67 実施例3 実施例1と同一の原料を使用し、同一の反応条件で顆粒
を調製した。これを100℃で乾燥した後700℃で3時間焼
成した。この顆粒のX線回折法により求めた格子面間隔
を第1表に示す。
特性値は次の通りであつた。
(1)単位格子定数; a=9.55Å c=6.99Å (2)ピリジン吸着量;0.0038mmol/g (3)Ca/P比;1.67 比較例1 1の三口フラスコに水酸化カルシウムの懸濁液(95%
Ca(OH)を15.6gと、水を400gとから成る。)を採
り、これに窒素ガスを吹き込み、かつ強く撹拌しなが
ら、リン酸水溶液(85%H3PO4を13.8gと、水を400gとか
ら成る。)を徐々に添加した。リン酸水溶液の添加終了
後、これに更にリン酸水溶液を添加してpHを8.2とし、
オイルバスにセツトし90℃にて約18時間保持した。これ
を冷却した後、その一部を噴霧乾燥器(スプレードライ
ヤー)にかけ粒径1μm〜10μmの顆粒を得た。これを
100℃で乾燥しクロマトグラフイー分離用充填剤とし
た。この顆粒のX線回折法により求めた格子面間隔を第
1表に示す。
特性値は、次の通りであつた。
(1)単位格子定数; a=9.41Å c=6.88Å (2)ピリジン吸着量;0.0106mmol/g (3)Ca/P比;1.67 比較例2 実施例1で使用した原料と同一の原料を使用し、同一の
反応条件で処理して得られた1μm〜10μmの球状の顆
粒を100℃で乾燥後、空気存在下マツフル炉にて1100℃
で3時間焼成した。この顆粒のX線回折法により求めた
格子面間隔を第1表に示す。
特性値は、次の通りであつた。
(1)単位格子定数; a=9.46Å c=6.92Å (2)ピリジン吸着量;0mmol/g (3)Ca/P比;1.67 参考例 実施例1〜3、比較例1〜2で得られたヒドロキシアパ
タイトを使用してチトクロームCリゾチーム及びボバイ
ンシーラムアルブミン(BSA)混合物試料の分離を行な
つた。クロマトグラフイー分離操作条件は次の通りであ
る。
液体クロマトグラフ;ウオーターズ社製LC224型 溶媒(グラジエント溶液);リン酸ナトリウム水溶液
(pH6.8)0.01モル〜0.3モル/時グラジエント 流速;0.8ml/分 試料量;100μ(但し実施例2のヒドロキシアパタイト
を使用した場合は50μ) 検出器;日本分光社製 UVDEC−100−III 検出波長280nm クロマトグラム記録;記録紙速度2.5mm/分 この結果を第1図〜第5図に示す。これにより本発明に
よるヒドロキシアパタイトが、従来公知のヒドロキシア
パタイトに比較して著しく優れた分離性能を有すること
が明らかである。
又、チトクレームCの分離における分離性能として理論
段数を求めたところ第2表に示す結果を得た。ここで理
論段数とは、クロマトグラフイーにおける溶出時間(t
R)とクロマトグラフの半価幅とから次の式により求め
たものである。
N(理論段数)=16(tR/ω) 発明の効果 本発明に係るヒドロキシアパタイトは、特異な結晶特性
を有し、特に生体高分子化合物、例えばタンパク質のク
ロマトグラフイー分離用カラム充填剤として有効であ
り、分離性能の大幅な向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第5図は、本発明によるヒドロキシアパタイ
トが、従来公知のヒドロキシアパタイトに比較して著し
く優れた分離性能を有することを示す液体クロマトグラ
ムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深町 圭子 東京都三鷹市上連雀9丁目21番地1号 (72)発明者 前島 次男 埼玉県入間郡鶴ヶ島町脚折1428番地34 (72)発明者 石川 利弘 東京都世田谷区桜丘4−14―11 (72)発明者 小川 哲朗 東京都板橋区大山金井町38―5 (56)参考文献 特開 昭60−198458(JP,A)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロキシアパタイトは球状体とされ、球
    状体の平均粒径が0.5μm〜50μmであることを特徴と
    するクロマトグラフイー分離用リン酸カルシウム系ヒド
    ロキシアパタイト。
  2. 【請求項2】球状体は、幅100Å〜500Å、長さ500Å〜
    3,000Åの結晶サイズを有する針状微結晶を主体とした
    集合体から成る特許請求の範囲第1項記載のクロマトグ
    ラフイー分離用リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイ
    ト。
  3. 【請求項3】前記微結晶は六方晶系に属し、単位格子定
    数はa軸が9.58±0.08Åであり、c軸が7.00±0.05Åで
    ある特許請求の範囲第1項又は第2項記載のクロマトグ
    ラフイー分離用リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイ
    ト。
  4. 【請求項4】ピリジン吸着量が、0.003mmol/g〜0.01mmo
    l/gの範囲である特許請求の範囲第1項から第3項のい
    ずれかの項に記載のクロマトグラフイー分離用リン酸カ
    ルシウム系ヒドロキシアパタイト。
  5. 【請求項5】ヒドロキシアパタイトのCa/P比が1.50〜1.
    90の範囲である特許請求の範囲第4項記載のクロマトグ
    ラフイー分離用リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイ
    ト。
  6. 【請求項6】ゲル状リン酸カルシウム系ヒドロキシアパ
    タイトを高温気流中に噴霧させて瞬間的に乾燥させるこ
    とにより、平均粒径が0.5μm〜50μmの球状体のリ酸
    カルシウム系ヒドロキシアパタイトを造粒し、次いで該
    粒状のリン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイト造粒体
    を400℃〜700℃の範囲の温度で焼成することを特徴とす
    るクロマトグラフイー分離用リン酸カルシウム系ヒドロ
    キシアパタイトの製造方法。
  7. 【請求項7】リン酸カルシウム系ヒドロキシアパタイト
    造粒体の焼成は、酸素又は空気の存在下において該造粒
    体を所定時間加熱することによつて行なわれる特許請求
    の範囲第6項記載の製造方法。
  8. 【請求項8】平均粒径が0.5μm〜50μmである球状体
    のヒドロキシアパタイトを充填材として詰めたことを特
    徴とするクロマトグラフイー分離用カラム。
  9. 【請求項9】ゲル状リン酸カルシウム系ヒドロキシアパ
    タイトをアパタイト微結晶集合体に造粒して形成され
    た、幅100Å〜500Å、長さ500Å〜3,000Åの結晶サイズ
    を有する微結晶の集合体からなる、平均粒径が0.5μm
    〜50μmの球状体であることを特徴とするリン酸カルシ
    ウム系ヒドロキシアパタイト。
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