JPH0710657Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はコンパクト容器に関するものであって、より具
体的には容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部において
開閉自在に枢着し、容器本体内に化粧料を収納する凹所
を形成するとともに容器本体と蓋体との間にパッキンを
配設し、パッキンの下面に環状突片を設け、蓋体を閉じ
ると環状突片が凹所の開口部に嵌合して気密保持するよ
うにしてなるコンパクト容器に関する。

《従来の技術》 従来、この種のコンパクト容器では蓋体の内面に弾性の
あるパッキンを配設し、蓋体を閉じることによってパッ
キンが化粧料を収納する凹部の外周上面に押圧され、こ
れによって凹所を密閉するようになっているものが一般
的である。

しかしながら、この種のコンパクト容器では、パッキン
あるいは容器本体にわずかな反りなどの変形があった場
合、互いに正常な密着が行なわれず、安定的に気密を保
持することが困難であった。このような問題点を解決す
るため、実開昭60-116907号公報に示されるようなコン
パクト容器が考案されている。このコンパクト容器で
は、蓋体の内面にパッキンを形成し、このパッキンの容
器本体側に環状の嵌合壁を突出形成し、この嵌合壁を容
器本体の開口部の内周面に装入嵌合することにより気密
を保持し、パッキンあるいは容器本体に変形などが発生
した場合でも安定して気密を保持することが出来るよう
にしている。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、上記のようなコンパクト容器において
は、次のような問題点が発生する。すなわち、蓋体を閉
じる際に蓋体はヒンジを支点として回動するため、蓋体
に固定されたパッキンの嵌合壁が化粧皿の開口部に対し
て垂直方向から嵌入されないので、パッキンの嵌合壁の
後方部先端が化粧皿の開口部の後端部上縁角部に斜めに
接触する状態になる。つまりヒンジ中心とパッキンの嵌
合壁の後端部先端を結ぶ距離がヒンジ中心と化粧皿の開
口部の後端部上縁角部を結ぶ距離より短いので、この状
態からさらに蓋体を閉じ、化粧皿内にパッキンの嵌合壁
を嵌入させようとするには比較的強い力を必要とし、そ
れによって強引にパッキンの嵌合壁を変形させて開口部
の上縁角部を乗り越えさせ、押し込まなくてはならなく
なる。また、蓋体を開く場合も同様にパッキンの嵌合壁
が化粧皿の開口部から離れる時に比較的強い力を必要と
するなど、開閉操作時に於ける不快感を伴うようになる
といった問題点があった。

さらに、上記のコンパクト容器では、パッキンの嵌合壁
を強引に嵌入させるため、パッキンの嵌合壁に傷が付い
たり、部分的に変形するなどの問題が発生し、コンパク
ト容器の気密不良をまねく恐れがあった。また、パッキ
ンの嵌合壁の長さや材質にも制約を受けるようになると
いった問題点もあった。

本考案は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目
的は、化粧料を気密保持し、かつ開閉をスムーズに行な
うことの出来るコンパクト容器を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために本考案では容器本体と蓋体と
をそれぞれの後方部において開閉自在に枢着し、該容器
本体内に化粧料を収納する凹所を形成するとともに、該
容器本体と該蓋体との間にパッキンを配設し、該パッキ
ンの下面に環状突片を設け、該蓋体を閉じると該環状突
片が該凹所の開口部に嵌合して気密保持するようにして
なるコンパクト容器において、該パッキンを該蓋体の内
面に摺動自在に組み込み、該蓋体を開閉するときに該パ
ッキンの該環状突起が該凹所の上縁角部に当接すると該
パッキンが前後に摺動し、該蓋体の止錠状態で該環状突
片が該凹所内に嵌合して該凹所を気密保持するようにし
てなるような構成としたのである。

《実施例》 以下に本考案の好適な実施例について、添付図面を参照
して説明する。

第１図ないし第４図は本考案の第１実施例を示し、図中
の符号10は容器本体を示し、この容器本体10の後端部に
は蓋体20がピン21を介して開閉自在に枢着されている。
容器本体10の上面には凹所11が設けられ、ここには化粧
料を収納する化粧皿12が嵌着されている。この化粧皿12
の開口部13の内周壁には段部14が形成され、その外周は
断面鉤形の鍔部15になっている。さらに、容器本体10の
前端縁部には切欠凹所16が設けられるとともにその奥面
の上部には第１の係合突起17が一体的に形成されてい
る。この切欠凹所16に対応して蓋体20の前端縁部中央か
らは爪片22が垂設されるとともに、この爪片22の後面端
部には第２の係合突起23が一体的に形成されていて、蓋
体20を閉じると爪片22が切欠凹所16に入り、第１の係合
突起17と第２の係合突起23とが係合し蓋体20は止錠状態
を占めるようになっている。

蓋体20は容器本体10の上面を覆うように形成されてお
り、その内面には凹部24が形成され、ここにパッキン30
が組み込まれている。このパッキン30は、化粧皿12の鍔
部15を含めた上面を覆うのに充分な面積を有する一方、
その前後の長さが前記凹部24のそれよりも短く形成さ
れ、外周は肉薄なフランジ部31となっている。このフラ
ンジ部31は蓋体20の内面とこれに接着されている環状の
プレート25に挟まれ、これによってパッキン30は蓋体20
内に前後方向に摺動自在に組み込まれている。またこの
パッキン30の前記フランジ部31の内側の肉厚部下面には
容器本体10の化粧皿12の鉤形鍔部15の内周面に対応して
環状突片32が一体的に突出形成され、この内周面に密着
嵌入することにより化粧皿12の内部を気密に保持するよ
うになっている。そして環状突片32の先端の外周側に傾
斜面33が形成されている。さらにこの環状突片32の内部
には鏡34が接着されている。またこの環状突片32の外周
側の下面には化粧皿12の鉤形鍔部15の水平な部分に対応
してシール用突起35が環状に設けられている。

上記のような構成のコンパクト容器において蓋体20が開
いた状態ではパッキン30は凹部24内を後方に摺動して蓋
体20の内周壁の後端部26に当接した状態にあり、この状
態ではピン21の中心とパッキン30の環状突片32の後端部
先端36を結ぶ距離がピン21の中心と容器本体10の開口部
13の後端部上縁角度18を結ぶ距離を比較して短くなって
いるが、この状態から蓋体20を閉じていくと、第２図及
び第３図に示すようにパッキン30の環状突片32の後端部
先端36が容器本体10の開口部13の後端部上縁角部18に当
接するようになる。さらに蓋体20を閉じていくと、第４
図に示すように環状突片32の傾斜面33が開口部13の後端
部上縁角部18に当接することによりパッキン30はこの環
状突片32を介して前方へ力を受けパッキン30は前方へ摺
動する。したがってパッキン30の環状突片32はスムーズ
に開口部13の後端部上縁角部18を乗り越え、化粧皿12内
に嵌入する。次いで環状突片32の前端部先端37が容器本
体10の開口部13の前端部上縁角部19に当接し、後方への
力を受けパッキン30はやや後方へ摺動して環状突片32は
化粧皿12の開口部13に完全に嵌着し、さらにシール用突
起35が化粧皿12の鍔部15の上面に圧接し、化粧皿12内部
が密閉されるようになるのである。また、蓋体20が止錠
状態から開いて環状突片32が容器本体10の開口部13の後
端部上縁角部18を乗り越える時も同様にパッキン30が前
方へ摺動する。

なお、この実施例においては、パッキン30の材質を比較
的軟質な材質で一体成型しているが、環状突片32の部分
のみを軟質な材質で形成し、他の部分を硬質な樹脂など
で形成して接着させてもよい。

第５図、本考案の体２実施例を示す。このコンパクト容
器では、容器本体10の化粧皿12aの鍔部15aを下方に歪曲
させるとともにその外周の容器本体に溝40を環状に設
け、パッキン30aの肉厚部下面には環状突片32aをこの溝
40に対応して突出形成し、さらにその内周側下面には化
粧皿12aの鍔部15aの上面に対応して環状のシール用突起
35aを設け、鍔部15aの外周面に環状突片32aの内周面が
接触嵌合し、気密保持している。その他の構成は第１実
施例と同様である。

上記のような構成において蓋体20を開いた状態ではパッ
キン30aは蓋体20の凹部24内を摺動してピン21側の後方
に位置しており、この状態から蓋体20を閉じていくと、
パッキン30aの環状突片32aの前端部先端（図示せず）が
化粧皿12aの前端鍔部に当接しながら溝40内に嵌入し、
これによってパッキン30aが前方に摺動し、さらに蓋体2
0を閉じていくと、パッキン30の環状突片32aの後端部先
端36aが化粧皿12aの鍔部15aの後方外周面に接触嵌合す
ることにより気密を保持するようになっている。

第６図は、本考案の第３実施例を示す。このコンパクト
容器では、容器本体10、蓋体20及び内蓋27の三段式にな
っており、容器本体10と蓋体20と内蓋27とをそれぞれの
後方部において開閉自在に枢着し、蓋体20の内部にはパ
フ等化粧具を収納する空所28が設けられ、パッキン30b
は内蓋27の内面に組み込まれている。その他の構成、作
用は第１実施例と同様である。

第７図及び第８図は本考案の第４実施例を示す。このコ
ンパクト容器では、パッキン30cの後端部に山形の弾性
片38を一体的に設け、蓋体20内に組付けられたパッキン
30cが蓋体20が開いた状態でも前方向に付勢されている
様になっている。パッキン30cが常時前方へ付勢されて
いるので、環状突片32cが化粧皿12の開口部13に嵌入し
やすくなり、蓋体20の開閉がよりスムーズに行なえるよ
うになっている。その他の構成、作用は第１実施例と同
様である。

《効果》 以上のように本考案にかかるコンパクト容器では容器本
体と蓋体とをそれぞれの後方部において開閉自在に枢着
し、容器本体内に揮発性のある化粧料を収納する凹所を
形成するとともに、容器本体と蓋体との間にパッキンを
前後に摺動自在に配設し、パッキンの下面に環状突片を
設け、蓋体を閉じるとパッキンが前後に摺動しつつ、環
状突片が凹所を気密保持するようになっているので蓋体
を閉じる際に強引にパッキンを変形させて容器本体の上
縁角部を乗り越えさせ、押し込む必要もなく、また、蓋
体を開く場合も同様にパッキンを化粧皿の開口部から抜
き出す為に強い力を必要とせず、容器の開閉がスムーズ
になり、またパッキンの先端部を強引に嵌入させるた
め、パッキンの先端部に傷が付いたり、部分的に変形す
るなどの問題も解消されるのである。さらにこのコンパ
クト容器によれば、パッキンあるいは容器本体が変形し
た場合や蝶番位置が狂い蓋体と容器本体にずれが生じた
場合でもパッキンが容器本体に容易に嵌入され、収納さ
れた化粧料の気密を保持することが出来るのである。さ
らに、パッキンの材質もある程度の柔軟性を持った材質
であれば、合成樹脂なども広く使用することが出来、ま
たパッキンの環状突片の長さも気密保持するのに十分な
寸法にすることが出来るのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例にかかるコンパクト容器の
縦断面図、第２図は蓋体を閉じる状態を示す縦断面図、
第３図はその要部拡大縦断面図、第４図は第２図の状態
から蓋体をさらに閉じた状態を示す要部拡大縦断面図、
第５は本考案の第２実施例にかかるコンパクト容器の要
部拡大縦断面図、第６図は本考案の第３実施例にかかる
コンパクト容器の縦断面図、第７図は本考案の第４実施
例にかかるコンパクト容器の要部拡大縦断面図、第８図
はそのパッキンの斜視図を示す。 10……容器本体、11……凹所 13……開口部、15……鍔部 18……（開口部の）後端部上縁角部 19……（開口部の）前端部上縁角部 20……蓋体、21……ピン 25……プレート、33……パッキン 31……フランジ部、32……環状突片 36……（環状突片の）後端部先端 37……（環状突片の）前端部先端

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部にお
   いて開閉自在に枢着し、該容器本体内に化粧料を収納す
   る凹所を形成するとともに、該容器本体と該蓋体との間
   にパッキンを配設し、該パッキンの下面に環状突片を設
   け、該蓋体を閉じると該環状突片が該凹所の開口部に嵌
   合して気密保持するようにしてなるコンパクト容器にお
   いて、該パッキンを該蓋体の内面に摺動自在に組み込
   み、該蓋体を開閉するときに該パッキンの該環状突起が
   該凹所の上縁角部に当接すると該パッキンが前後に摺動
   し、該蓋体の止錠状態で該環状突片が該凹所内に嵌合し
   て該凹所を気密保持するようにしてなることを特徴とす
   るコンパクト容器。
2. 【請求項２】蓋体と容器本体の間に内蓋を配設し、それ
   ぞれの後方を開閉自在に枢着し、該容器本体内に化粧料
   を収納する凹所を形成するとともに、該容器本体と該内
   蓋との間にパッキンを配設し、該パッキンの下面に環状
   突片を設け、該蓋体とともに該内蓋を閉じると、該環状
   突片が該凹所の開口部に嵌合して気密保持するようにし
   てなるコンパクト容器において、該パッキンを該内蓋の
   内面に摺動自在に組み込み、該内蓋を開閉するときに該
   パッキンの該環状突片が該凹所の上縁角部に当接すると
   該パッキンが前後方向に摺動し、該蓋体の止錠状態で該
   環状突起が該凹所内に嵌合して該凹所を気密保持するよ
   うにしてなることを特徴とするコンパクト容器。