JPH0363842B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガラス表面に設けたアンテナに関し、
特に自動車のラジオまたはTV受信用のガラス表
面に設けたアンテナに関する。

従来より自動車の後部窓ガラスに曇り止め用の
複数の加熱用導電線条と共にラジオ受信用のアン
テナ線条を付設したものが知られている。このよ
うな自動車のラジオ受信アンテナは中波に関して
は比較的良好に受信し得ても、FM放送等の超短
波については指向性を示し車の向きによつてFM
放送が受けにくいという欠点を持つため、その指
向性を小さくするため種々のアンテナパターンの
ものが用いられる。

例えば自動車後部窓ガラスの表面に水平方向に
付設された複数本の加熱用導電線条と、該加熱用
導電線条と平行な複数のアンテナ導電線条とを有
し、該アンテナ導電線条が一本の直線を折り曲げ
た如くに互に接続された上、中、下３段の平行な
線条からなる主アンテナと、該主アンテナの上側
及び下側に配置された夫々一本の線条からなる補
助アンテナとを備え、該窓ガラスの垂直方向中心
線位置の近傍において下側の補助アンテナ線条と
下段の主アンテナ線条とが連結線により接続さ
れ、更に上側の補助アンテナの該中心線位置と中
段の主アンテナ線条の該中心線位置から外れた位
置とが互に折れ曲つた連結線により接続され、ま
た上段の主アンテナ線条が該上側補助アンテナ線
条と所定長さにわたつて近接対向した状態で中心
線付近まで延ばされているガラス表面に設けられ
たアンテナが知られている。

このような自動車の後部窓ガラス表面に設けら
れたアンテナは、通常全方位角における受信感度
のデイツプ点がなく、受信レベルの片寄りのない
円形に近い無指向特性を得ることができるのであ
るが、自動車の車種、車型によつては、特定の受
信周波数のみにおいて指向性が強く表われる欠点
があつた。

本発明はこのような特定の受信周波数における
強い指向性を除去し、受信周波数帯域全体にわた
つて指向性のないガラス表面に設けられたアンテ
ナを提供するものである。

すなわち、本発明は窓ガラスの表面に水平方向
に付設された複数本の加熱用導電線条と、該加熱
用導電線条と平行な複数のアンテナ導電線条とを
有し、該アンテナ導電線条が一本の直線を折り曲
げた如くに互に結合された上、中、下３段の平行
な線条からなる主アンテナと、該主アンテナの上
側及び下側に配置された夫々一本の線条からなる
補助アンテナとを備え、該窓ガラスの垂直方向中
心線位置の近傍において下側の補助アンテナ線条
と下段の主アンテナ線条とが連結線により接続さ
れ、更に上側の補助アンテナの該中心線位置と中
段の主アンテナ線条の該中心線位置から外れた位
置とが互に第１の折れ曲つた連結線により接続さ
れ、また上段の主アンテナ線条が該上側補助アン
テナ線条と所定長さにわたつて近接対向した状態
で該中心線付近まで延ばされているアンテナにお
いて、該下側の補助アンテナ線条と該加熱用導電
線条の最上段線条との間で該補助アンテナに対向
して容量結合し、且つ該最上段線条の該中心線位
置近傍から外れた位置に一端が接続された第２の
折れ曲つた連結線の他端に該中心線位置近傍で接
続された、該補助アンテナに平行な結合素子を設
けたことを特徴とするガラス表面に設けられたア
ンテナである。

以下本発明の実施例について図面を参照して説
明する。

第１図において自動車の後部窓ガラス１に曇り
止めのための加熱用導電線群２が設けられ、バツ
テリー３から母線４，５，６を介して給電され
る。これらの導電線群２の上部にはアンテナ線条
群７が設けられ、受信電波が給電波８からプリア
ンプ９に導出される。加熱用導電線群２からの誘
起電力を有効に利用し得るように、加熱用導電線
群２とバツテリー３及び接地点との夫々の間には
ラジオ周波数帯域でインピーダンスの高いチヨー
クコイル１０が間挿される。また電源ラインに乗
るノイズが受信信号に混入しないように、バツテ
リー３の出力ラインと接地点との間にデカツプリ
ングコンデンサ１１が挿入される。

加熱用導電線群２への給電方法はその母線６の
接地を外すと共に母線４と母線６とを接続し、こ
こから加熱電流を流し、母線５をチヨークコイル
１０を介して接地するような構造に変形できる。

一方アンテナ線条群７は３本の互に平行なアン
テナ線条１２ａ，１２ｂ，１２ｃからなる主アン
テナ及びこの主アンテナと接続された補助アンテ
ナ線条１３ａ，１３ｂ、及び補助素子１４でもつ
て構成されている。

中段の主アンテナ線条１２ｂは給電点８から水
平方向に延び、その先端側が下側に折曲げられ
て、更に平行に折返されて下段の主アンテナ線条
１２ｃに連なつている。上段の主アンテナ線条１
２ａは給電線８から上方に延び、更に平行に折返
され、窓ガラス１のほぼ中央付近まで達してい
る。

補助アンテナ線条１３ａは主アンテナ線条１２
ａの上側に設けられ、この主アンテナ線条１２ａ
と所定の長さにわたつて近接して対向している。

この補助アンテナ線条１３ａは窓ガラス１の中
心軸１７（一点鎖線）に関してほぼ左右対称に配
置され、その中間点が中段の主アンテナ線条１２
ｂの中心軸１７から外れた位置に主アンテナ線条
１２ｂに平行で両端が折り曲つた連結線１５を介
して接続されている。また下側補助アンテナ１３
ｂは下段主アンテナ線条１２ｃの下側に配置さ
れ、窓ガラス１の中心軸１７の部分において主ア
ンテナ線条１２ｃと接続されている。

下側補助アンテナ線条１３ｂと加熱用導電線群
２の最上段線条との間に下側補助アンテナ線条１
３ｂに平行に対向した結合素子１４を窓ガラス１
の中心軸１７に関してほぼ左右対称に配置され、
その中間点が加熱用導電線群２の最上段線条の中
心軸１７から外れた位置に結合素子１４に平行で
両端が折り曲つた連結線１６を介して接続されて
いる。この結合素子１４及び連結線１６は加熱用
導電線群２に誘導される受信波を位相の整合をと
つて下側補助アンテナ１３ｂを介して下段主アン
テナ線条に伝達するために付設されており、その
結合点Ａの位置はアンテナの特定周波数の指向特
性を改良して全方位角に関してほぼ円形の無指向
特性を得る上で重要であることが実験上確められ
ている。

上側の補助アンテナ線条１３ａについても主ア
ンテナ線条１２ｂと位相の整合を取つて結合する
のが好ましく、補助アンテナ線条１３ａのほぼ中
間点から出力を取出し、これを第１図の如く主ア
ンテナ線条１２ｂの中心位置からずれた結合点Ｂ
に供給することにより整合を行うことができる。
結合点Ｂの位置はアンテナの指向特性を改良して
全方位角に関してほぼ円形の無指向特性を得る上
で大きな影響を有する主要なチユーニングポイン
トであることが実験上確められている。上側の補
助アンテナ線条１３ａは上述の如く主アンテナ線
条１２ｂに受信電力を供給する機能と共に、この
補助アンテナ線条１３ａの片側の約半分に近接し
て配置されている主アンテナ線条１２ａに誘導電
力を与える機能も有しているものと考えられる。
従つて補助アンテナ線条１３ａと主アンテナ線条
１２ａとの対向長さがアンテナの指向特性に対し
て大きな影響を与える。また、主アンテナ線条１
２ａの先端から補助アンテナ線条１３ａの信号引
出し点（中点）までの水平距離に最適値が存在す
ることが実験上確認されている。

第１図のアンテナパターンの好ましい寸法は次
の通りである。

窓ガラス１の中心軸１７から補助アンテナ線条
１３ａの両先端までの距離ａ，ｂ；300mm 主アンテナ線条１２ａの先端から中心軸１７ま
での距離ｃ；100mm 中心軸１７から主アンテナ線条１２ｃ上の接合
点Ｂまでの距離ｄ；300mm 中心軸１７から補助アンテナ線条１３ｂの両端
までの距離ｅ，ｆ；300mm 中心軸１７から結合素子１４の両端までの距離
ｇ，ｈ；550mm 中心軸１７から加熱用導電線群２上の接合点Ａ
までの距離ｉ；100mm 加熱用導電線群２の最上段線条と結合素子１４
との間隔ｊ；10mm 結合素子１４と補助アンテナ線条１３ｂとの間
隙ｋ；５mm 補助アンテナ線条１３ｂと主アンテナ線条１２
ｃとの間隙ｌ；20mm 主アンテナ１２ｃと主アンテナ１２ｂとの間隙
ｍ；20mm 主アンテナ１２ｂと連結線１５との間隙ｎ；20
mm 連結線１５と補助アンテナ線条１３ａとの間隙
ｏ；25mm 補助アンテナ線条１３ａと主アンテナ１２ａと
の間隙ｐ；10mm なお、主アンテナ線条１２ｂ及び１２ｃの水平
方向の全長は夫々1080mmである。

加熱用導電線群２、母線４，５，６、各アンテ
ナ線条群７、及び給電線８は銀の微細な粒子、低
融点ガラス粉末等を有機溶媒でペースト状にした
導電ペーストを窓ガラス１上にスクリーン印刷
し、更に焼成して得られる。このようにして形成
されたガラスアンテナの受信出力は給電点８に接
続された同軸ケーブル１８を介してプリアンプ９
に供給され、ここでAM波帯域及びFM波帯域に
夫々分けて増巾されてからチユーナに送られる。
以上のガラス表面に設けられたアンテナの
76MHZ〜90MHZの国内FM放送波帯域における
全方位角における平均受信感度を第２図に、全方
位角の受信感度における最小受信感度と全方位角
における平均受信感度との差を第３図に夫々実線
で示した。ちなみに結合素子１４及び第２の折れ
曲つた連結線１６のない従来のガラス表面に設け
られたアンテナの平均受信感度と最小受信感度と
平均受信感度との差を夫々第２図及び第３図に波
線で示した。

本実施例によれば第２図及び第３図から明らか
な如く特定の受信周波数における強い指向性がな
くなり受信周波数帯域全体にわたつて指向性のな
いガラス表面に設けたアンテナを得ることがで
き、これによつて特にFM波帯域の受信音質を良
好にすることができる。

以上は本発明の一実施例を示したものであり、
本発明は特許請求の範囲内において変形できる。
例えば、本発明において結合素子１４の長さｇ及
びｈは夫々300mm〜600mmの範囲で変化でき、また
中心軸１７から加熱用導電線群２上の接合点まで
の距離ｉは中心軸１７の左右に25mm〜400mmの範
囲で変化できる。また、本発明において横長の窓
ガラスにアンテナが設けられた場合にはアンテナ
の給電点８の位置が窓ガラスの側縁から隔れた位
置になるが、この場合には例えば主アンテナ線条
１２ａ，１２ｂ，１２ｃの長さを短かく調節し
て、窓ガラス側縁から25mm及30mm内側に主アンテ
ナと独立した給電線８を設けると共にこれと中段
アンテナ線条１２ｂとを接続する補償線を設ける
こともできる。

なお、以上は自動車のリアー窓ガラスについて
説明したのであるが本発明は自動車以外の乗物の
窓ガラスに適用できることは述べるまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す窓ガラス表面
に設けられたアンテナの正面図及び電気回路図、
第２図は各周波数における全方位角における平均
受信感度曲線、第３図は各周波数における全方位
角の受信感度における最小受信感度から、全方位
角における平均受信感度を差し引いた感度変化を
示す曲線である。 １：後部窓ガラス、２：加熱用導電線群、７：
アンテナ線条群、１２ａ，１２ｂ，１２ｃ：主ア
ンテナ線条、１３ａ，１３ｂ：補助アンテナ線
条、１４：結合素子、１６：第２の折れ曲つた連
結線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 窓ガラスの表面に水平方向に付設された複数
   本の加熱用導電線条と、該加熱用導電線条に平行
   な複数のアンテナ導電線条とを有し、該アンテナ
   導電線条が一本の直線を折り曲げた如くに互に接
   続された上、中、下３段の平行な線条からなる主
   アンテナと、該主アンテナの上側及び下側に配置
   された夫々一本の線条からなる補助アンテナとを
   備え、該窓ガラスの垂直方向中心線位置の近傍に
   おいて下側の補助アンテナ線条と下段の主アンテ
   ナ線条とが連結線により接続され、更に上側の補
   助アンテナの該中心線位置と中段の主アンテナ線
   条の該中心線位置から外れた位置とが互に第１の
   折れ曲つた連結線により接続され、また上段の主
   アンテナ線条が該上側補助アンテナ線条と所定長
   さにわたつて近接対向した状態で該中心線付近ま
   で延ばされているアンテナにおいて、該下側の補
   助アンテナ線条と該加熱用導電線条の最上段線条
   との間で該補助アンテナに対向して容量給合し、
   且つ該最上段線条の該中心線位置近傍から外れた
   位置に一端が接続された第２の折れ曲つた連結線
   の他端に該中心線位置近傍で接続された、該補助
   アンテナに平行な結合素子を設けたことを特徴と
   するガラス表面に設けられたアンテナ。